JP3596872B2 - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する)ペレットの製造方法に関し、更に詳しくは製造時の乾燥性に優れたEVOHペレットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、EVOHは、その透明性、ガスバリヤー性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、かかる特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシート、あるいはボトル等の容器などに成形されて利用されている。
【0003】
かかるEVOHは、通常ペースト状のEVOHをストランド状にして、そのストランドを切断してペレット形状として市場に供されているが、かかるEVOHペレットの製造時には、切断されて得られたペレットを水洗処理したり、あるいはEVOHの成形性を向上させるために、該ペレットを酸やアルカリ金属塩等を含有した水溶液に浸漬させて処理することも行われている。
これらの処理後は、当然のことながら、ペレットを乾燥させる必要があり、工業的にはかかる乾燥時間を短縮して効率化が望まれることは言うまでもない。
【0004】
かかる対策としては、乾燥装置を改良したり、乾燥温度を上げたりすることが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、乾燥装置の改良は、大がかりとなり、膨大な費用を要することがあり、また、乾燥温度を上げすぎるとEVOHの熱劣化を招く恐れがあり好ましくない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、かかる現況に鑑みて乾燥前のEVOHのペレット形状に着目して鋭意研究を重ねた結果、切断時のペレット形状が円柱状で、円形断面の平均直径a(mm)とペレットの平均長さb(mm)の関係において、a/b>1の条件を満足するEVOHペレットが上記の目的を達成できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、従来のような直径よりも長さの方が長いペレット形状(a/b<1)では、上記の目的を達成することができなかったのである。
なお、ペレットの断面形状は、真円形である必要はなく、楕円形であっても良く、また、多少変形した円状形でも良い。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。
【0009】
本発明のEVOHペレットの原料となるEVOHとしては、特に限定されないが、エチレン含有量が5〜70モル%(さらに10〜60モル%、特に20〜55モル%、特には25〜55モル%)、ケン化度が90モル%以上(さらに95モル%以上、特に98モル%以上、特には99モル%以上)のものが用いられ、該エチレン含有量が5モル%未満では高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下し、逆に70モル%を越えると充分なガスバリア性が得られず、更にケン化度が90モル%未満ではガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下して好ましくない。
【0010】
該EVOHは、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られ、該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
【0011】
また、本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0012】
本発明のEVOHは上述のように、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるものであるが、かかるケン化反応は、アルカリ触媒の共存下に実施され、該アルカリ触媒としては、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体のアルカリ触媒によるケン化反応に使用される従来公知の触媒をそのまま使用できる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート、t−ブトキシカリウムなどのアルカリ金属アルコラート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,10]ウンデセン−7(DBU)で代表される強塩基性アミン、さらには炭酸アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ金属塩などが挙げられるが、取り扱いの容易さ、触媒コスト等から水酸化ナトリウムの使用が好ましい。触媒の使用量は必要ケン化度、反応温度等により異なるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の残存酢酸基に対して0.05当量以下が用いられ、好ましくは0.03当量以下である。又アルカリ触媒の替わりに、塩酸、硫酸等の酸触媒を用いることも可能である。
【0013】
ケン化にあたっては、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を、アルコール又はアルコール含有媒体中に通常20〜60重量%程度の濃度になる如く溶解し、アルカリ触媒、あるいは酸触媒を添加して40〜140℃の温度で反応せしめる。該溶液温度において反応後のEVOHが析出しない様に配慮すれば、該EVOHの濃度に特に制限はないが、通常はその濃度が10〜55重量%、好ましくは15〜50重量%となるようにすれば良い。
【0014】
上記で得られたEVOHのアルコール溶液はそのままでもよいが、好ましくは、直接水を加えるか、該EVOH溶液を適宜濃縮あるいは希釈してから水を加えてストランド製造用の溶液に調整される。水溶液の場合には水/アルコールの混合重量比が80/20〜5/95の範囲で、かつ水/アルコール中のアルコールの含有量A(重量%)が、2.55E−40.75≦A≦2.55E−15.75なる関係(ここで、EはEVOHのエチレン含有量(モル%)である)を満足させることが溶液の安定性の点で好ましく、溶液中に含有されるEVOHの量としては、20〜55重量%(更には25〜50重量%)が後続の凝固作業の安定性の点で好ましい。
【0015】
ついで、上記で得られたEVOH溶液はストランド状に押出されて、その後カッティングされてペレット状にされるのであるが、この時点で、飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸カルシウム等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10,000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機酸(例えばリン酸、ホウ酸等)、有機酸(例えば酢酸、ステアリン酸等)、無機塩(例えばリン酸のアルカリ金属・アルカリ土類金属塩、ハイドロタルサイト等)、有機酸の金属塩(例えば酢酸のアルカリ金属・アルカリ土類金属塩等)、可塑剤(例えばエチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸化防止剤(例えばチバスペシャルティケミカルズ社製『IRGANOX1098』など)、紫外線吸収剤、着色剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤(例えばタルク微粒子など)、スリップ剤(例えば無定形シリカ微粒子など)、無機充填材(例えば酸化ケイ素、二酸化チタン、クレー、タルク、ベントナイト、水膨潤性フィロケイ酸塩など)等を配合しても良い。
【0016】
析出させる凝固液としては、水又は水/アルコール混合溶媒、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル等が用いられるが、取り扱いの容易な点で水又は水/アルコール混合溶媒(通常水/アルコールの重量比は5/95〜90/10)が好ましい。
該アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが用いられるが、工業上好ましくはメタノールが用いられる。
【0017】
凝固液中の凝固液とEVOHのストランドとの重量比(凝固液/EVOHのストランド)としては、50〜10000であることが好ましく、更には100〜1000である。該範囲の重量比にすることにより、寸法分布が均一なEVOHペレットを得ることが可能となる。
【0018】
さらに該凝固液中に、カルボン酸を1〜10000ppmおよび/またはカルボン酸金属塩を1〜15000ppmおよび/またはカルボン酸エステルを1〜50000ppm含有させることも好ましく、更にはカルボン酸を50〜5000ppmおよび/またはカルボン酸金属塩を10〜5000ppmおよび/またはカルボン酸エステルを10〜10000ppm含有させるのが好ましい。該範囲のカルボン酸類を凝固浴中に含有させることにより、寸法分布が均一なEVOHペレットを更に好適に得ることが可能となる。
【0019】
かかるカルボン酸としては特に制限されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、グルタル酸、アジピン酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられるが、好ましくは酢酸が用いられる。
かかるカルボン酸金属塩としては特に制限されないが、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム等が用いられるが、好ましくは酢酸ナトリウムが用いられる。
かかるカルボン酸エステルとしては特に制限されないが、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が用いられるが、好ましくは酢酸メチルが用いられる。
【0020】
EVOH溶液を凝固液と接触させる温度は、−10〜40℃が好ましく、更には0〜20℃で、特には0〜10℃である。
【0021】
EVOH溶液は任意の形状を有するノズルにより、上記の如き凝固液中にストランド状に押出されるのであるが、本発明では、かかるノズルの形状を円筒形状とすることが好ましいが、楕円形や多少変形した円形断面を有するノズルであっても良い。かかるノズルの長さは1〜100cmが好ましく、さらには3〜30cmで、内径は0.1〜2cmが好ましく、更には0.2〜1cmである。
【0022】
かくしてノズルよりEVOH(溶液)がストランド状に押し出されるのであるが、ストランドは必ずしも一本である必要はなく、数本〜数百本の間の任意の数で押し出し可能である。
【0023】
本発明においては、ノズルから押出されたストランドを切断する際に、ペレット形状が、円柱状で、かつ円形断面の平均直径a(mm)とペレットの平均長さb(mm)の関係において、a/b>1(さらには4>a/b>1.2、特には3.5>a/b>1.2、殊に3.0>a/b>1.2)の条件を満足するようにストランドを切断することを最大の特徴とするもので、かかる条件を逸脱するときには、本発明の目的を達成することが困難となる。なお、かかるa/bの上限は特に限定はないが、工業的に均一な形状を確保するには通常、5程度を上限とすることが好ましい。
【0024】
すなわち、従来のEVOHペレットは、上述したように、ペレットの長さと直径の比(a/b)が1未満で、このときは本発明の目的を達成することは困難となる。一般的に、含水物の乾燥性は、その表面積に比例すると考えられ、表面積が同じであれば、該比によってあまり差異が生じないと推察されるが、驚くべきことにEVOHペレットにおいては、かかる比により差異が見られることが判明したのである。このことは、後述の比較例に記載のとおりである。
【0025】
なお、ペレットの直径や長さの具体的な制限はないが、長さは1〜12mm(さらには1.3〜6mm、特に1.7〜4)、直径は1〜15mm(さらには1.5〜8mm、特に2〜5mm)の範囲から、上記の条件に合致するように選択することが好ましい。
【0026】
ストランドを切断して得られたEVOHペレットは、必要により水洗処理される。かかる水洗の条件としては、該ペレットを温度10〜40℃(更には20〜40℃)の水、あるいは酢酸等の酸の水溶液で洗浄する。かかる洗浄処理により、EVOH中のオリゴマーや不純物が除去される。
【0027】
そして、乾燥されて製品となるのであるが、通常は、該洗浄処理に続いて、または該洗浄処理の代わりに、種々の酸や金属塩を含む水溶液中で処理して、EVOH中に酸や金属塩を含有させることが多い。
かかる酸成分としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や硫酸、亜硫酸、炭酸、ホウ酸、リン酸等の無機酸が挙げられ、金属塩としては上記酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩が挙げられ、特にホウ素化合物、酢酸塩またはリン酸塩が好ましく用いられる。
【0028】
かかるホウ素化合物の含有量としては、乾燥後のEVOHに対してホウ素換算で10〜10000ppm(さらには20〜2000ppm、特には50〜1000ppm)とすることが好ましく、かかるホウ素の含有量が10ppm未満では成形性が低下することがあり、逆に10000ppmを超えると得られる成形物の外観が悪化して好ましくない。
【0029】
また、酢酸塩および/またはリン酸塩の含有量としては、乾燥後のEVOHに対して金属換算で10〜500ppm(さらには50〜400ppm、特には100〜300ppm)とすることが好ましく、かかる含有量が10ppm未満ではロングラン成形性等が低下する傾向にあり、その含有効果が充分得られないことがあり、逆に500ppmを超えると得られる成形物の外観が悪化して好ましくない。
【0030】
最終的に乾燥されてEVOHペレットの製品となるのであるが、かかる乾燥に際しては公知の方法を採用することができ、例えば、円筒・溝型撹拌乾燥器、円筒乾燥器、回転乾燥器、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回転型乾燥器等を用いた流動乾燥や回分式箱型乾燥器、バンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型サイロ乾燥器等を用いた静置乾燥などのいずれかまたはこれらの組み合わせにより乾燥を行えばよい。
【0031】
本発明では、切断時のEVOHペレットが上記の如き特定の形状を有するため、かかる乾燥時にその特色を発揮するものであり、従来よりも乾燥温度を低くしたり、或いは乾燥時間を短くしても、従来と同様の乾燥効率を得ることができるというメリットを有するが、乾燥温度としては従来よりも3〜10℃程度低くして行うことができ、乾燥時間に関しては従来の1/5〜1/2程度とすることが可能である。
【0032】
かくしてEVOHペレットの製品が得られるのであるが、かかるペレットの形状も、円柱状で、円形断面の平均直径a(mm)とペレットの平均長さb(mm)の関係において、5>a/b>1(さらには4>a/b>1.2、特には3.5>a/b>1.2)の条件を満足することが好ましい。すなわち、ストランドの切断時に最終的に得られるペレット形状を意識して、本発明の規定に合致するように切断することが好ましいのである。
【0033】
該EVOHペレットは、溶融成形等により、フィルム、シート、容器、繊維、棒、管、各種成形品等に成形され、又、これらの粉砕品(回収品を再使用する時など)は再び溶融成形に供することもでき、かかる溶融成形方法としては、押出成形法、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
また、該EVOHペレットは、単層として用いることもできるし、EVOHペレットからなる層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層等を積層して多層積層体として用いることも有用である。
【0034】
該積層体を製造するに当たっては、該EVOHペレットからなる層の片面又は両面に他の基材を積層するのであるが、積層方法としては、例えば該EVOHペレットからなるフィルムやシートに熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材に該EVOHペレットを溶融押出する方法、該EVOHペレットと他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、更には本発明で得られたEVOHペレットからなるフィルムやシートと他の基材のフィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。
【0035】
共押出の場合の相手側樹脂としては直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリケトン、ポリアルコール等が挙げられる。他のEVOHも共押出可能である。上記のなかでも、共押出製膜の容易さ、フィルム物性(特に強度)の実用性の点から、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、PET、PENが好ましく用いられる。
【0036】
さらに、該EVOHペレットから一旦フィルムやシート等の成形物を得、これに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
【0037】
積層体の層構成は、該EVOHペレットからなる層をa(a1、a2、・・・)、他の基材、例えば熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、フィルム、シート、ボトル状であれば、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能であり、フィラメント状ではa、bがバイメタル型、芯(a)−鞘(b)型、芯(b)−鞘(a)型、或いは偏心芯鞘型等任意の組み合わせが可能である。
【0038】
かくして得られた積層体の形状としては任意のものであってよく、フィルム、シート、テープ、ボトル、パイプ、フィラメント、異型断面押出物等が例示される。又、得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液又は溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
上記の如く得られたフィルム、シート或いは容器等は食品、医薬品、工業薬品、農薬等各種の包装材料として有用である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準を示す。
【0040】
実施例1
EVOH[エチレン含有量35モル%、ケン化度99.5モル%]の水/メタノール(水/メタノール=40/60混合重量比)混合溶液(EVOH濃度40%)を10kg/時の速度で、酢酸50ppmを含有するメタノール5%と水95%よりなる5℃に維持された凝固浴槽に円筒形のノズル(内径4mm)よりストランド状に押し出し、凝固浴槽の端部に付設された引き取りローラーにより、凝固浴槽中に60秒接触させた後、ストランドを凝固浴槽から引き出した。
次いで、該ストランドをカッターで切断して、直径3.8mm、長さ1.7mmの円柱形(a/b=2.2)の白色の多孔性のEVOHペレットを得た。
【0041】
得られたEVOHペレットを0.2%の酢酸水溶液で2回洗浄後、0.02%のホウ酸、0.04%の酢酸および0.05%の酢酸ナトリウムを含有する水溶液に投入して、30℃で5時間攪拌して、含水率50%のEVOHペレットを得て、80℃で約1時間乾燥後、乾燥温度を120℃まで上げて含水率が0.3%になるまで乾燥させたが、その全乾燥処理時間は約9時間で効率よく乾燥することができた。得られたEVOHペレットの形状は、円柱形で、直径2.8mm、長さ1.4mm(a/b=2.0)であった。なお、該ペレットは、ホウ酸をホウ素換算で100ppm、酢酸ナトリウムを金属換算で150ppm含有するものであった。
【0042】
また、得られたEVOHペレットを用いて下記の条件で成形(製膜)を行ったが、フィッシュアイやゲル等は認められずに良好な成形性を示した。
【0043】
【0044】
実施例2
実施例1のストランドの切断条件を変更して、直径3.8mm、長さ2.5mmの円柱形(a/b=1.5)の白色の多孔性のEVOHペレットを得た。
得られたEVOHペレットを実施例1と同様に洗浄および水溶液処理を行って、得られたEVOHペレットを80℃で約1時間乾燥後、乾燥温度を120℃まで上げて含水率が0.3%になるまで乾燥させたが、その全乾燥処理時間は約10時間で効率よく乾燥することができた。
【0045】
得られたEVOHペレットの形状は、円柱形で、直径2.8mm、長さ2.1mm(a/b=1.3)であった。なお、該ペレットは、ホウ酸をホウ素換算で100ppm、酢酸ナトリウムを金属換算で150ppm含有するものであった。
得られたEVOHペレットについて、実施例1と同様に成形を行ったが良好な結果を示した。
【0046】
実施例3
実施例1のストランドの切断条件を変更して、直径5.0mm、長さ1.7mmの円柱形(a/b=2.9)の白色の多孔性のEVOHペレットを得た。
得られたEVOHペレットを実施例1と同様に洗浄および水溶液処理を行って、得られたEVOHペレットを80℃で約1時間乾燥後、乾燥温度を120℃まで上げて含水率が0.3%になるまで乾燥させたが、その全乾燥処理時間は約10時間で効率よく乾燥することができた。
【0047】
得られたEVOHペレットの形状は、円柱形で、直径3.8mm、長さ1.4mm(a/b=2.7)であった。なお、該ペレットは、ホウ酸をホウ素換算で100ppm、酢酸ナトリウムを金属換算で150ppm含有するものであった。
得られたEVOHペレットについて、実施例1と同様に成形を行ったが良好な結果を示した。
【0048】
実施例4
実施例1において、EVOHとして、エチレン含有量42モル%、ケン化度99.6モル%のEVOHを用い、かつストランドの切断条件を変更して、直径5.0mm、長さ1.7mmの円柱形(a/b=2.9)の白色の多孔性のEVOHペレットを得た。
【0049】
得られたEVOHペレットを0.2%の酢酸水溶液で2回洗浄後、0.02%のホウ酸、0.05%の酢酸および0.06%の酢酸ナトリウムを含有する水溶液に投入して、30℃で5時間攪拌して、含水率50%のEVOHペレットを得て、実施例1と同様に80℃で約1時間乾燥後、乾燥温度を120℃まで上げて含水率が0.3%になるまで乾燥させたが、その乾燥処理時間は約11時間で効率よく乾燥することができた。
【0050】
得られたEVOHペレットの形状は、円柱形で、直径3.8mm、長さ1.4mm(a/b=2.7)であった。なお、該ペレットは、ホウ酸をホウ素換算で120ppm、酢酸ナトリウムを金属換算で180ppm含有するものであった。
得られたEVOHペレットについて、実施例1と同様に成形を行ったが良好な結果を示した。
【0051】
実施例5
実施例1のストランドの切断条件を変更して、直径3.5mm、長さ3.3mmの円柱形(a/b=1.1)の白色の多孔性のEVOHペレットを得た。
得られたEVOHペレットを実施例1と同様に洗浄および水溶液処理を行って、得られたEVOHペレットを80℃で約1時間乾燥後、乾燥温度を120℃まで上げて含水率が0.3%になるまで乾燥させたが、その全乾燥処理時間は約11時間で比較的効率よく乾燥することができた。
【0052】
得られたEVOHペレットの形状は、円柱形で、直径2.6mm、長さ2.8mm(a/b=0.9)であった。なお、該ペレットは、ホウ酸をホウ素換算で100ppm、酢酸ナトリウムを金属換算で150ppm含有するものであった。
得られたEVOHペレットについて、実施例1と同様に成形を行ったが良好な結果を示した。
【0053】
比較例1
実施例1において、切断条件を変更して、直径3.0mm、長さ4.5mm(a/b=0.7)の円柱形の白色の多孔性のEVOHペレットを得た。
得られたEVOHペレットを実施例1と同様に洗浄および水溶液処理を行って、得られたEVOHペレットを80℃で約1時間乾燥後、乾燥温度を120℃まで上げて含水率が0.3%になるまで乾燥させたが、その全乾燥処理時間は15時間以上かかった。
また、乾燥時間を9時間と短縮してEVOHペレットを得て、実施例1と同様に成形性の評価を行ったが、押出機を出た直後にEVOHが発泡して、得られるフィルムの外観が不良となった。
【0054】
比較例2
実施例1において、切断条件を変更して、直径2.1mm、長さ5.5mm(a/b=0.4)の円柱形(表面積が実施例のペレットと同等になるようにした)の白色の多孔性のEVOHペレットを得た。
得られたEVOHペレットを実施例1と同様に洗浄および水溶液処理を行って、得られたEVOHペレットを80℃で約1時間乾燥後、乾燥温度を120℃まで上げて含水率が0.3%になるまで乾燥させたが、その全乾燥処理時間は15時間以上かかった。
また、乾燥時間を9時間と短縮してEVOHペレットを得て、実施例1と同様に成形性の評価を行ったが、押出機を出た直後にEVOHが発泡して、得られるフィルムの外観が不良となった。
【0055】
【発明の効果】
本発明においては、EVOHペレットを製造するにあたり、ストランド状のEVOHを特定の形状に切断しているため、ペレットの乾燥性が良好で、溶融成形についても良好で、各種の溶融成形物に適用することができ、さらには各種の積層体とすることもでき、食品や医薬品、農薬品、工業薬品包装用のフィルム、シート、チューブ、ボトル、カップ、袋、容器等の用途に非常に有用である。
Claims (3)
- エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットを製造するにあたり、ストランド状のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を円柱状で、かつ円形断面の平均直径a(mm)とペレットの平均長さb(mm)の関係が、a/b>1の条件を満足するように切断することを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの製造方法。
- エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のエチレン含有量が5〜70モル%で、ケン化度が90モル%以上であることを特徴とする請求項1記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの製造方法。
- ストランド状に成形される前のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物がエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のアルコール溶液または水/アルコール混合溶液であることを特徴とする請求項1または2記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ペレットの製造方法。
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