JPH11106590A - 樹脂組成物および熱成形用多層構造体 - Google Patents

樹脂組成物および熱成形用多層構造体

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JPH11106590A
JPH11106590A JP26623197A JP26623197A JPH11106590A JP H11106590 A JPH11106590 A JP H11106590A JP 26623197 A JP26623197 A JP 26623197A JP 26623197 A JP26623197 A JP 26623197A JP H11106590 A JPH11106590 A JP H11106590A
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JP
Japan
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container
thermoforming
resin composition
ethylene
evoh
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JP26623197A
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English (en)
Inventor
Nobuhiro Hata
暢宏 秦
Hiroyuki Shimo
浩幸 下
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性、熱成形性、力学特性および外
観に優れた熱成形用多層フィルムおよび熱成形容器なら
びにそれらに適した樹脂組成物を得ること。 【解決手段】 エチレン含量の異なる2種類のエチレン
−ビニルアルコール共重合体(a)、(b)、およびエ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体(c)からなり、
(a)のエチレン含量が20〜45モル%、(b)のエ
チレン含量が45〜65モル%、(a)と(b)のエチ
レン含量の差が8モル%以上、かつ(c)の(メタ)ア
クリル酸含量が1〜30重量%であり、それらの配合重
量比が、下記式(1)および(2)を満たす樹脂組成
物。 2/1≦(a)/(b)≦50/1 (1) 1/99≦(c)/{(a)+(b)}≦40/60 (2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性、熱
成形性、力学特性および外観等に優れた熱成形用多層フ
ィルム、シート等、およびそれらを熱成形してなる熱成
形容器、ならびにそれらに用いられる樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】エチレン−ビニルアルコール共重合体
(EVOH)は食品や医薬品等、品質の保持が重要視さ
れる内容物を包装する材料として好適に用いられてい
る。かかるEVOHを用いた包装容器の形態は多様であ
り、中でもEVOH層を有する多層体を熱成形して得ら
れる容器は広く用いられており、フィルム状の薄いもの
としてもあるいは比較的厚いシート状のものとしても用
いられている。
【0003】まず、フィルム状の熱成形容器に関する従
来技術について説明する。例えば、ハム、ソーセージ、
赤肉、加工肉等は、消費者に使用されるまでの期間、肉
類の品質を保護する必要がある。特に、酸素はそのよう
な肉類の品質の劣化を促進するので、肉類を新鮮に保つ
ためには肉類を酸素から長期間適切に遮断することが最
も重要である。そして、そのための包装形態として、例
えば、二軸延伸により強度やバリア性を向上させたフィ
ルムをラミネーションにより多層構造にしてパウチ等を
作る方法や、一旦延伸したフィルムを加熱して熱収縮さ
せることにより隙間無く内容物に密着させる方法があげ
られる。
【0004】近年、フィルムを加熱してエアーまたはプ
ラグ等により、立体状に成形したフィルム容器に肉等を
詰め、その上面をフィルムでシールする包装形態が盛ん
に使用されるようになっている。この理由は、内容物の
形態に適合した容器形状にすることで、内容物の状態
や、形状を明確に消費者に伝えられることにある。ま
た、今般施行されたPL法に適合した商品を販売する観
点から、内容物に関する表示部を設けやすいことも一つ
の理由である。さらに画一的な形状とすることで、店頭
陳列棚での配置がしやすいこともあげられる。
【0005】このような多層フィルムの熱成形用途に使
用される酸素の透過防止性能に優れた材料の一つとして
ポリ塩化ビニリデンがあげられるが、ハロゲン元素を含
有する樹脂であることから、環境保護の観点から包装用
素材としての使用が懸念されている。また一方、酸素の
透過防止性能及び熱成形性の点から、ナイロン層を含む
多層フィルムもこの用途に用いられているが、近年の食
品の賞味期限のさらなる延長の要求から、より優れた酸
素の透過防止性能が望まれている状況にある。
【0006】優れた酸素の透過防止性能を有し、かつ環
境保護の面からも問題の少ない材料としては、EVOH
があげられるが、熱成形によりコーナー部が極端に薄く
なったり、スジ、シワが生じたり、耐衝撃性が低下した
りする欠点がある。また、容器の形状、例えば、極端に
深い形状の場合には、熱成形時、フィルムが破裂した
り、 成形品の側面部と底面部の交差部やコーナー部が
金型に正確に沿わないといった問題も生じている。特に
厚みの薄いフィルム状の積層体は比較的厚みの厚いシー
ト状の積層体に比べるとこのような問題が発生しやすく
成形が困難である。
【0007】上記のような熱成形性の問題を改善する手
段として、具体的な手法は報告されていないが、類推可
能な手段として、上記EVOH層にナイロンを積層する
方法や、EVOHにナイロンをはじめとする各種樹脂を
ブレンドする方法(米国特許第4079850号)が報
告されているが、これらの場合の熱成形性は、ナイロン
を単独で使用した場合と比較すると、満足のいく結果は
得られていない。さらに、EVOHにナイロンをはじめ
とする各種樹脂をブレンドした場合には、ガスバリア性
が低下したり、製膜時の熱安定性に問題があるととも
に、樹脂の種類や分散状態によっては透明性が低下する
という問題も有している。
【0008】次に比較的厚いシート状の熱成形容器に関
する従来技術について説明する。食品包装の分野では、
店頭にて商品を購入した後、その内容物を他の容器に移
し替えることなく、その容器のまま飲食ができるカップ
やトレーが盛んに使用されている。具体的には、ゼリ
ー、プリン、ヨーグルト、ジュース等を包装する容器が
その代表例としてあげられる。また、その内容物を他の
容器に移し替えることなく保存用容器として使用できる
味噌カップなどの容器も使用されている。
【0009】一般に、これらの包装材料として、熱成形
容器が使用されている。熱成形容器は、内容物の品質維
持のために、形態安定性や酸素バリア性が要求される。
形態維持の観点から使用される樹脂の代表例としては、
その剛性や耐衝撃性のバランスに優れたポリプロピレン
の単独重合体(以下「ホモポリプロピレン」と略すこと
がある)があげられる。また、内容物の酸化劣化を防止
するために、酸素バリア性にすぐれたEVOHをバリア
層として使用することが一般的である。
【0010】しかし、EVOH層を中間層として使用し
た場合、EVOHの熱成形性不足から、容器の側面にク
ラックや波模様が発生し、外観に優れた熱成形容器を得
られないこともある。これらの熱成形性や耐衝撃性を改
善するためにEVOHにナイロンを添加する方法(米国
特許第4079850号)など様々な提案がなされてい
るが、熱成形性が十分でない、ガスバリア性が低下す
る、製膜時の熱安定性に問題がある、あるいは樹脂の種
類や分散状態によっては透明性が低下する問題を有し十
分な改善には至っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかして、本発明の目
的は、ガスバリア性、熱成形性、力学特性および外観等
に優れた熱成形用多層フィルム、シート等、およびそれ
らを熱成形してなる熱成形容器、ならびにそれらに用い
られる樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、エチレン含
量の異なる2種類のエチレン−ビニルアルコール共重合
体(a)、(b)、およびエチレン−(メタ)アクリル
酸共重合体(c)からなり、(a)のエチレン含量が2
0〜45モル%、(b)のエチレン含量が45〜65モ
ル%、(a)と(b)のエチレン含量の差が8モル%以
上、かつ(c)の(メタ)アクリル酸含量が1〜30重
量%であり、それらの配合重量比が、下記式(1)およ
び(2)を満たす樹脂組成物を提供することによって達
成される。 2/1≦(a)/(b)≦50/1 (1) 1/99≦(c)/{(a)+(b)}≦40/60 (2)
【0013】上記樹脂組成物は、熱成形用樹脂組成物と
して好適であり、上記樹脂組成物からなる層を有する熱
成形用多層構造体としても好適である。さらにかかる多
層構造体を熱成形してなる熱成形容器としても好適であ
る。
【0014】特に容器の最も肉厚の厚い部分における全
層厚みをTμm、最も肉厚の薄い部分における全層厚み
をtμm、容器の絞り比をSとしたときに、下記式
(3)〜(5)を満たす熱成形容器が好適な態様であ
る。 S≦T/t≦20S (3) 300<T≦3000 (4) t≧100 (5) 但し、容器の絞り比Sは下記式(6)で示される値であ
る。 S=(容器の深さ)/(容器の開口部に内接する最大径の円の直径) (6)
【0015】また、熱成形用多層構造体の内でも、上記
樹脂組成物からなる層を有し、全層厚みが50〜300
μmで樹脂組成物層厚みが3〜50μmである熱成形用
多層フィルムが好適であり、かかる多層フィルムを熱成
形してなる熱成形容器も好適である。なかでも、容器の
最も肉厚の厚い部分における全層厚みをTμm、最も肉
厚の薄い部分における全層厚みをtμm、容器の絞り比
をSとしたときに、下記式(7)〜(9)を満たす熱成
形容器が特に好適な態様である。 5S≦T/t≦30S (7) 50≦T≦300 (8) t≧20 (9) 但し、容器の絞り比Sは下記式(6)で示される値であ
る。 S=(容器の深さ)/(容器の開口部に内接する最大径の円の直径) (6)
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のEVOHは、エチレンと
ビニルエステルからなる共重合体をアルカリ触媒等を用
いてケン化して得られる。ビニルエステルとしては酢酸
ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂
肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸
ビニルなど)も使用できる。
【0017】本発明で用いるEVOHとしては、エチレ
ン含量の異なる2種以上のEVOHをブレンドして用い
る事が重要である。すなわち、EVOHが、エチレン含
量の異なる2種類のEVOH(a)および(b)の混合
物からなり、(a)のエチレン含量が20〜45モル
%、(b)のエチレン含量が45〜65モル%、(a)
と(b)のエチレン含量の差が8モル%以上であり、か
つその配合重量比{(a)/(b)}が2/1〜50/
1であることが重要であり、これにより良好なガスバリ
ア性と熱成形性を両立することができる。
【0018】このとき、EVOH(a)のエチレン含量
は20〜45モル%であることが好ましい。より好適に
は25〜42モル%であり、さらに好適には30〜40
モル%である。EVOH(a)のエチレン含量が20モ
ル%未満では、熱成形性が悪化するのみならず、溶融安
定性、高湿度下でのガスバリア性が悪化する。また、4
5モル%を超えると十分なガスバリア性が得られない。
【0019】また、 EVOH(b)のエチレン含量は
45〜65モル%であることが好ましい。より好適には
47〜62モル%であり、さらに好適には50〜60モ
ル%である。EVOH(b)のエチレン含量がかかる範
囲にあることで、熱成形性が十分に改善される。
【0020】さらに、 EVOH(a)と(b)のエチ
レン含量の差は8モル%以上であることが好ましい。よ
り好適には12モル%以上であり、さらに好適には15
モル%以上である。EVOH(a)のエチレン含量の差
が8モル%未満では、熱成形性の改善効果が小さい。
【0021】またEVOH(a)および(b)の配合重
量比{(a)/(b)}が2/1〜50/1であること
が好ましい。より好適には3/1〜40/1であり、さ
らに好適には4/1〜30/1である。配合重量比が2
/1未満では、ガスバリア性が低下し、50/1を超え
ると熱成形性の改善効果が小さい。
【0022】また、本発明のEVOHのビニルエステル
成分のケン化度は90%以上であり、好適には95%以
上、より好適には98%以上である。なおここで、EV
OHがケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物
からなる場合には、配合重量比から算出される平均値を
ケン化度とする。ケン化度が90%未満では、高湿度時
のガスバリア性が低下するだけでなく、EVOHの熱安
定性が悪化し、成形物にゲルが発生しやすくなる。
【0023】またEVOHには、本発明の目的が阻害さ
れない範囲で他の単量体を少量共重合することもでき
る。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、ブ
テン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセ
ン、オクテンなどのα−オレフィン、イタコン酸、メタ
クリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カ
ルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、その
ニトリル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキ
シシランなどのビニルシラン系化合物、不飽和スルホン
酸、その塩、アルキルチオール類、ビニルピロリドンな
どがあげられる。
【0024】なかでも、EVOHに共重合成分としてビ
ニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有す
る場合は共押し出しする際の基材樹脂との溶融粘性の整
合性が改善され、均質な共押し出し多層フィルムの製造
が可能なだけでなく、EVOH同士をブレンドに使用す
る際の分散性が改善され成形性などの改善の面でも有効
である。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例え
ば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、
γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げ
られる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシランが好適に用いられる。
【0025】本発明のEVOH中のリン化合物濃度は、
リン元素重量換算で1〜200ppm、好適には2〜1
50ppm、最適には5〜100ppmの範囲であるこ
とが製膜性や熱安定性の点から好ましい。
【0026】さらにナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを金属重
量換算でEVOHに対し10〜500ppm含有させる
ことも本発明の効果を増進させ、層間接着性や相溶性の
改善のために効果的である。アルカリ金属化合物として
は、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸
塩、リン酸塩、金属錯体等があげられ、具体的には、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン
酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カ
リウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩等があげ
られ、好適には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン
酸ナトリウムがあげられる。
【0027】また、本発明に用いるEVOHの好適なメ
ルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷
重下で測定した値)は、好適には0.1〜50g/10
分、最適には0.5〜20g/10分である。なおここ
で、EVOHがメルトフローレートの異なる2種類以上
のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から
算出される平均値をメルトフローレートとする。
【0028】本発明で用いられるエチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体とは、エチレンを主成分としアクリル
酸またはメタクリル酸を共重合した重合体のことをい
う。本発明においては共重合体中のカルボキシル基がナ
トリウムや亜鉛などの金属の塩の形で存在している、い
わゆるアイオノマーを含むものではない。かかるアイオ
ノマーを用いた場合に本願発明の目的が達成されないこ
とは、理由は明らかでないが、後述する比較例に示した
とおりである。
【0029】エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体中
の(メタ)アクリル酸含量は、1〜30重量%であり、
好適には2〜25重量%、より好適には3〜20重量%
である。(メタ)アクリル酸含量が1重量%未満である
場合は樹脂粒子の分散が不良となり、熱成形性が悪化す
る。また30重量%を超える場合には熱安定性が不良と
なる。
【0030】また、本発明に用いるエチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体の好適なメルトフローレート(MF
R)(210℃、2160g荷重下で測定した値)は、
好適には0.1〜80g/10分、最適には0.5〜5
0g/10分である。本発明においてエチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体は、(メタ)アクリル酸含量お
よび/またはMFRの異なる2種あるいはそれ以上のエ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体をブレンドして用
いることもできる。
【0031】本発明の樹脂組成物におけるEVOH
(a)、(b)合計の含有量は60〜99重量%、好ま
しくは70〜97重量%、より好ましくは80〜95重
量%である。またエチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体(c)の含有量は1〜40重量%、好ましくは3〜3
0重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。エ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体の配合比が1重量
%より少ない場合には、優れた熱成形性が得られず、熱
成形容器の側面部と底面部の交差部や、コーナー部の肉
厚が薄くなりすぎるとともに、成形物の耐衝撃性が低下
する。また、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の
配合比が40重量%より多い場合には、ガスバリア性が
著しく低下するとともに、得られる熱成形容器の成形収
縮率が大きく、実使用に適さない。
【0032】本発明の樹脂組成物は、EVOHのマトリ
ックス中にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子
が分散していることが好ましい。かかる分散形態を有す
ることで、良好なガスバリア性、熱成形性、力学特性を
保有することができる。エチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体のマトリックス中にEVOHが分散していた
り、双方の樹脂が連続状につながっているような形態の
時にはガスバリア性の低下が著しい。
【0033】本発明に用いるEVOHとエチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体のメルトフローレート(MF
R)(210℃、2160g荷重下で測定した値)比と
しては、EVOHのMFR(A)とエチレン−(メタ)
アクリル酸共重合体のMFR(B)の比(A)/(B)
が0.1〜5.0であることが好ましく、より好適には
0.15〜3.0、最適には0.2〜2.0である。か
かる範囲のMFRの比の樹脂を組み合わせることによっ
て、良好に分散され、本発明の目的を達成することがで
きる。
【0034】本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を
増進させ、また溶融安定性等を改善するためにハイドロ
タルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダ
ードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩
(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウム等)の一種または二種以上を樹脂組成物に対
し0.01〜1重量%添加することは好適である。
【0035】また、本発明の樹脂組成物に必要に応じて
各種の添加剤を配合することもできる。このような添加
剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外
線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、ある
いは他の高分子化合物を挙げることができ、これらを本
発明の作用効果が阻害されない範囲でブレンドすること
ができる。添加剤の具体的な例としては次のようなもの
が挙げられる。
【0036】酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイ
ドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノー
ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル
フェノール)等。
【0037】紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−
3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−
クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン等。
【0038】可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィ
ン、リン酸エステル等。 帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソ
ルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、
ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。 滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレー
ト等。 着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリ
ドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。 充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイ
ト、ケイ酸カルシウム等。
【0039】また、他の多くの高分子化合物を本発明の
作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもでき
る。
【0040】ここで、本発明の樹脂組成物はEVOHの
マトリックス中に平均粒子径が0.3〜1.5μmのエ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体粒子が分散してい
ることが好ましく、0.3〜1.0μmであることがよ
り好ましい。かかる分散形態を有することで良好なガス
バリア性、熱成形性、力学特性および透明性を得ること
ができる。平均粒子径が1.5μmより大きい場合に
は、組成物中での不均一な分散が発生しやすく熱成形時
に不具合を生じるとともにガスバリア性が低下しやす
い。また平均粒子径が0.3μm以下の場合、分散粒子
を含有する効果が組成物の熱成形性に生かされず、良好
な熱成形性が得られにくい。
【0041】かかる分散形態は主に、フィルムまたはシ
ート等の原料となるペレットの状態において観察され
る。観察は、破断面の走査型電子顕微鏡観察、あるいは
薄片の透過型電子顕微鏡観察等によって行うことができ
る。これら電子顕微鏡観察等によって得られた写真を画
像処理によりその輪郭を特定し、特定された粒子の輪郭
の長径と短径の平均の値から各粒子ごとの粒径を求め
た。こうして得られた各粒子の粒径の単純平均を分散粒
子径とした。このとき、観察方向による粒径の相異を解
消するために、互いに垂直な3方向から観察して得られ
た粒子の平均の値を採用した。
【0042】このような分散形態を得るために、本発明
における混練操作は重要である。高度な分散を有する組
成物を得るための混練機としては、連続式インテンシブ
ミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方向、あ
るいは異方向)などの連続型混練機が最適であるが、バ
ンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダ
ーなどのバッチ型混練機を用いることもできる。また別
の連続混練装置としては石臼のような摩砕機構を有する
回転円板を使用したもの、たとえば(株)KCK製のK
CK混練押出機を用いることもできる。混練機として通
常に使用されるもののなかには、一軸押出機に混練部
(ダルメージ、CTM等)を設けたもの、あるいはブラ
ベンダーミキサーなどの簡易型の混練機もあげることが
できる。
【0043】この中で、本発明の目的に最も好ましいも
のとしては連続式インテンシブミキサーを挙げることが
できる。市販されている機種としてはFarrel社製
FCM、(株)日本製鋼所製CIMあるいは(株)神戸
製鋼所製KCM、LCMあるいはACM等がある。実際
にはこれらの混練機の下に一軸押出機を有する、混練と
押出ペレット化を同時に実施する装置を採用するのが好
ましい。また、ニーディングディスクあるいは混練用ロ
ータを有する二軸混練押出機、例えば(株)日本製鋼所
製のTEX、Werner&Pfleiderer社の
ZSK、東芝機械(株)製のTEM、池貝鉄工(株)製
のPCM等も本発明の混練の目的に用いられる。
【0044】これらの連続型混練機を用いるにあたって
は、ロータ、ディスクの形状が重要な役割を果たす。特
にミキシングチャンバとローターチップあるいはディス
クチップとの隙間(チップクリアランス)は重要で狭す
ぎても広すぎても本発明の良好な分散性を有する組成物
は得られない。チップクリアランスとしては1〜5mm
が最適である。
【0045】また、本発明の良好な分散性を有する組成
物を得るためには混練機の比エネルギーとして0.1k
Wh/kg以上、望ましくは0.2〜0.8kWh/k
gで混練することが最良であることが判明した。比エネ
ルギーは混練に使用されるエネルギー(消費電力量;k
W)を1時間あたりの混練処理量(kg)で除して求め
られるものであり、その単位はkWh/kgである。比
エネルギーが通常の混練で採用される値より高い値で混
練することが本発明の組成物を得るためには必要であ
り、比エネルギー0.1kWh/kg以上とするために
は、単に混練機の回転数をあげるだけでは不十分で、混
練中の組成物をジャケットなどにより冷却して温度を下
げ、粘度を上昇させることが好ましい。粘度を低くした
状態で混練したのでは本発明の目的とする組成物を得る
ことは難しい。したがって、混練温度は混練部の出口の
排出樹脂温度でEVOHの融点〜融点+40℃の範囲で
あることが効果的である。
【0046】また、混練機のローターの回転数は100
〜1200rpm、望ましくは150〜1000rp
m、さらに望ましくは200〜800rpmの範囲が採
用される。混練機チャンバー内径(D)は30mm以
上、望ましくは50〜400mmの範囲のものが挙げら
れる。混練機のチャンバー長さ(L)との比L/Dは4
〜30が好適である。また混練機はひとつでもよいし、
また2以上を連結して用いることもできる。
【0047】混練時間は長い方が良い結果を得られる
が、EVOHの熱劣化変質あるいは経済性の点から10
〜600秒、好適には15〜200秒の範囲であり、最
適には15〜150秒である。
【0048】以上のようにして得られた樹脂組成物は、
熱成形用多層構造体として有用に用いられる。本発明で
いう熱成形とは、フィルムあるいはシート等を加熱して
軟化させた後に、金型形状に成形することをいう。成形
方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要によりさ
らにプラグを併せ用いて金型形状に成形する方法(スト
レート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバッ
ク法、プラグアシスト法など)やプレス成形する方法な
どが挙げられる。成形温度、真空度、圧空の圧力または
成形速度等の各種成形条件は、プラグ形状や金型形状ま
たは原料フィルムやシートの性質等により適当に設定さ
れる。
【0049】成形温度は特に限定されるものではなく、
成形するのに十分なだけ樹脂が軟化する温度であればよ
いが、原料フィルムやシートによってその好適な温度範
囲は異なる。例えば、フィルムを熱成形する際には、加
熱によるフィルムの溶解が生じたり、ヒーター板の金属
面の凹凸がフィルムに転写したりするほど高温にはせ
ず、一方賦形が十分でない程低温にしないことが望まし
く、具体的にはフィルム温度が50〜120℃、好適に
は60〜110℃、より好適には70〜100℃が示さ
れる。一方、フィルムより厚みの大きいシートを熱成形
する際にはフィルムの場合より高温でも成形が可能な場
合があり、130〜180℃の温度範囲で成形が行われ
る。
【0050】本発明の熱成形容器はフィルムあるいはシ
ートの平面に凹部を形成した形の3次元状に熱成形され
てなる容器である。凹部の形状は内容物の形状に対応し
て決定されるが、特に凹部の深さが深いほど、凹部の形
状が滑らかでないほど通常のEVOH積層体では厚みム
ラを発生しやすく、コーナー部等が極端に薄くなるの
で、本願発明による改善効果が大きい。熱成形容器がフ
ィルムを成形してなるものである場合、絞り比(S)
は、好適には0.2以上、より好適には0.3以上、さ
らに好適には0.4以上のときに本願発明の効果はより
有効に発揮される。また、熱成形容器がフィルムよりも
厚いシートを成形してなるものである場合、絞り比
(S)は、好適には0.3以上、より好適には0.5以
上、さらに好適には0.8以上のときに本願発明の効果
はより有効に発揮される。
【0051】ここで、絞り比(S)とは、下記式(6)
で示される値をいう。 S=(容器の深さ)/(容器の開口部に内接する最大径の円の直径) ( 6) すなわち、絞り比(S)とは、容器の最深部の深さの値
を、フィルムあるいはシートの平面に形成された凹部
(開口部)の形状に接する最も大きい内接円の円の直径
で割ったものである。例えば、凹部の形状が円である場
合にはその直径、楕円である場合にはその短径、長方形
である場合にはその短辺の長さがそれぞれ内接する最大
径の円の直径になる。
【0052】薄いフィルムを熱成形する際には、厚いシ
ートを熱成形する際に比較して、深い絞り比の成形がで
きない場合や、角部が破れる場合が多く、これらの点か
らより厳しい成形性を要求されるので、本発明の樹脂組
成物層を含むフィルムが特に好適である。また、フィル
ムから熱成形されてなる包装容器においては内容物がよ
く見えるように透明性も要求される点からも本発明の構
成のフィルムが好適である。
【0053】本発明でいう熱成形用多層フィルムとは、
上述の樹脂組成物層を含み、熱成形に供するフィルムの
ことをいう。かかる熱成形用多層フィルムの厚み構成
は、全体厚みが50〜300μm、好ましくは80〜2
50μmで、樹脂組成物層の厚みが3〜50μm、好ま
しくは5〜40μmである。全体厚みが300μmを超
える場合には、必要以上に容器の重量が大きくなり、コ
ストの点から好ましくない。また全体厚みが50μm未
満では、成形した際に凹部の肉厚が薄くなりすぎ、力学
的強度が低くて破れやすく、しかもその部分の樹脂組成
物層にピンホールが発生しやすいので内容物を充分に保
護することができない。また、樹脂組成物層の厚みが5
0μmを超える場合にはコストが上昇する上に成形性が
悪化するので好ましくない。逆に樹脂組成物層の厚みが
3μm以下では、成形した際に樹脂組成物層にピンホー
ルを発生しやすく好ましくない。
【0054】本発明の熱成形用多層フィルムの層構成は
特に限定されるものではないが、ヒートシール層を有す
ることが内容物を容易に密封できる点から好ましく、ま
たポリアミド層および/またはポリプロピレン層を有す
ることがフィルムの力学性能、熱成形性の観点から好ま
しい。かかるヒートシール層とポリアミド層またはヒー
トシール層とポリプロピレン層の双方を有する熱成形用
フィルムが特に好ましい。また、これらの各層の間に接
着剤層を設けてもよい。また、上記各層はフィルム中に
1層のみならず、複数の層に分けて配置されていてもよ
い。
【0055】ヒートシール層に用いられる樹脂は特に限
定されるものではないが、樹脂組成物層中に用いられる
EVOH樹脂の融点よりも低い融点あるいは軟化点を有
する樹脂が好ましく、特にポリオレフィン系樹脂が好ま
しい。用いられるポリオレフィン系樹脂としては、高密
度もしくは低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン−1などの単独重合体、およびエチレン、プロピ
レン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−
メチル−1−ペンテンなどから選ばれたα−オレフィン
同士の共重合体あるいはα−オレフィンと他の共重合体
成分との共重合体があげられる。これらα−オレフィン
以外の共重合成分としては、ジオレフィン、N−ビニル
カルバゾール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニ
ル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル、な
どのビニル化合物、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸、エタクリル酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽
和カルボン酸、そのエステルおよびその酸無水物あるい
はこれらにヒドロキシル基またはエポキシ基を付加した
ものなどがあげられる。例えばグラフト可能なモノマー
とポリオレフィンとの共重合体やα−オレフィン/α,
β−不飽和カルボン酸共重合体とイオン性金属化合物と
の反応物であるアイオノマー樹脂などの各種の共重合体
などを用いることもできる。なかでも、低密度ポリエチ
レン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLD
PE)が好適である。これらのポリオレフィン系樹脂は
それぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を
混合して用いることもできる。
【0056】ポリアミド樹脂層を用いた場合には、樹脂
組成物層とヒートシール層のみからなるフィルムに比べ
て、熱成形性が良好になる。ポリアミド樹脂層に用いら
れるポリアミド樹脂は特に限定されるものではないが、
例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリウン
デカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタ
ム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド
(ナイロン−6,12)の如き単独重合体、カプロラク
タム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/1
2)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体
(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ω−アミノ
ノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタ
ム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体
(ナイロン−6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメ
チレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジア
ンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6
/6,12)の如き共重合体などがあげられる。これら
のポリアミド系樹脂は、それぞれ単独で用いることもで
きるし、2種以上を混合して用いることもできる。ポリ
アミド樹脂層に加えてさらにヒートシール層を有するこ
とが内容物を容易に密封できる点から好ましく、ヒート
シール層とポリアミド樹脂層の双方を有する構成の熱成
形用多層フィルムが好適である。
【0057】また、ポリプロピレン樹脂層を用いた場
合、ポリアミド樹脂層ほどの熱成形性の改善効果は得ら
れないものの、フィルムの耐湿性が向上すること、力学
性能が向上すること、樹脂コストが低いことなどポリア
ミド樹脂を用いた場合と比較して有利な面を有する。ポ
リプロピレン樹脂としてはアイソタクティックポリプロ
ピレンの他にシンジオタクティックのポリプロピレンで
もよく、少量の共重合が施されていても構わない。ポリ
プロピレン樹脂層に加えてさらにヒートシール層を有す
ることが内容物を容易に密封できる点から好ましく、ヒ
ートシール層とポリプロピレン樹脂層の双方を有する構
成の熱成形用多層フィルムが好適である。
【0058】さらに本発明の熱成形性フィルムのヘイズ
は10%以下であることが好ましい。ヘイズが10%を
超える場合、最終商品としての包材を形成した際に、内
容物を鮮明に外部より見ることができない問題を生じ
る。ヘイズの測定方法は、ASTM D1003−61
に従った。
【0059】本発明の熱成形用多層フィルムの具体的構
成例は、EVOH(EVOH組成物)、PA(ナイロ
ン)、AD(接着剤)、PP(ポリプロピレン)、S
(ヒートシール層)として表記すると、PA/AD/E
VOH/AD/S、PP/AD/EVOH/AD/S、
EVOH/AD/PA/AD/S、EVOH/AD/P
P/AD/S、PA/AD/EVOH/AD/PA/A
D/S、PP/AD/PA/AD/EVOH/AD/
S、PP/AD/PA/AD/EVOH/AD/PA/
AD/Sなどが好適なものとして示される。ただし、本
発明の熱成形用多層フィルムの層構成は上記の層構成例
に限定されるものではない。上記各構成例に、例えばポ
リエステルやポリスチレン等の他の樹脂層が付加されて
いてもよい。
【0060】本発明の熱成形用多層フィルムを得る方法
としては、特に限定されるものではないが、一般のポリ
オレフィン等の分野において実施されている成形方法、
例えばTダイ成形、インフレーション成形、共押出成
形、ドライラミネート成形等を採用することができ、特
に共押出成形が好適である。また、これら成形方法の組
み合わせとして、共押出成形により(LLDPE/AD
/EVOH/AD/LLDPE)等の構成のフィルムを
作製後、PPあるいはPAとドライラミネート成形を行
い、(PPあるいはPA/AD/LLDPE/AD/E
VOH/AD/S)等の構成のフィルムを得るような方
法も採用できる。
【0061】得られた熱成形容器が前述の熱成形用多層
フィルムを成形してなる場合には、容器の最も肉厚の厚
い部分(成形前のフィルム厚と同じ部分)における全層
厚みをTμm、最も肉厚の薄い部分における全層厚みを
tμm、上述の容器の絞り比Sを用いて、以下の式を満
たしていることが好ましい。 5S≦T/t≦30S (7) 50≦T≦300 (8) t≧20 (9) ここで、(7)、(8)、(9)式はそれぞれより好ま
しくは 6S≦T/t≦20S (7’) 80≦T≦250 (8’) t≧25 (9’) であり、さらに好ましくは、 7S≦T/t≦15S (7”) 90≦T≦200 (8”) t≧30 (9”) である。
【0062】T/tの値が5S未満である場合には本発
明の構成を必要としないほど熱成形が容易な形状の容器
であり、T/tの値が30Sを超えるほど大きい値であ
るときには、容器の厚みムラが大きく好ましい形状の容
器とはならない。また、最も肉厚の厚い部分における全
層厚み(T)が300μmを超える場合には、必要以上
に容器の重量が大きくなり、コストの点から好ましくな
い。また、最も肉厚の厚い部分における全層厚み(T)
が50μm未満では、成形した際に凹部の肉厚が薄くな
りすぎ、力学的強度が低くて破れやすく、しかもその部
分の樹脂組成物層にピンホールが発生しやすいので内容
物を充分に保護することができない。また、最も肉厚の
薄い部分における全層厚み(t)が20μm未満である
場合も、同様の理由から好ましくない。
【0063】上述のようなフィルムから成形されてなる
各種の熱成形容器は各種用途に用いられる。なかでも、
ガスバリア性に優れるという本発明の樹脂組成物を用い
ることの優位性は、各種包装容器として用いられたとき
に大きく発揮される。食品、医薬品、農薬等、酸素の存
在によって品質が悪化しやすいものの包装容器、例えば
肉類等の容器として特に好適である。
【0064】また、ガスバリア性、熱成形性、力学特性
および透明性に優れる本発明の樹脂組成物の利用形態と
しては、上記熱成形用フィルムに限定されるものではな
く、フィルムより厚みの大きい熱成形用シートをも含む
多層構造体においても十分に効果が得られる場合もあ
る。
【0065】かかる多層構造体の積層構成については特
に限定されるものではない。樹脂組成物層と積層して用
いられる樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系
樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネ
ート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデ
ン系樹脂等の熱可塑性樹脂があげられ、用途に応じて適
当に選択できる。このような樹脂と積層する事で、樹脂
組成物単層で用いる場合に比べて高湿度下でのガスバリ
ア性や、強度等の改善がはかれるからである。好ましい
樹脂としてはポロプロピレン(PP)、ポリスチレン
(PS)、ポリエステル(PES)等が挙げられ、その
好ましい層構成の例としては、PP/AD/EVOH/
AD/PP、PS/AD/EVOH/AD/PS、PE
S/AD/EVOH/AD/PESなどが例示される
が、これらに限定されるものではない。また、上記熱可
塑性樹脂としてEVOH、エチレン−(メタ)アクリル
酸共重合体、接着性樹脂等を含む回収組成物(リグライ
ンド)層を用いることもできる。
【0066】本発明の熱成形用多層構造体の層構成は、
前述の樹脂組成物層および熱可塑性樹脂からなる層を有
する以外に特に限定されるものではないが、樹脂組成物
層の内外層に接着性樹脂層を介して熱可塑性樹脂、なか
でもポリオレフィンからなる層を有する構成が特に好ま
しいものとしてあげられる。樹脂組成物層の両側をポリ
オレフィンで覆うことで樹脂組成物層の吸湿によるガス
バリア性の低下を防ぐことができるとともに、接着性樹
脂層によって両層間の良好な接着性を確保できるからで
ある。
【0067】また接着性樹脂層に使用される樹脂は特に
限定されるものではないが、ポリウレタン系、ポリエス
テル系一液型あるいは二液型硬化性接着剤、不飽和カル
ボン酸またはその無水物(無水マレイン酸など)をオレ
フィン系重合体または共重合体に共重合またはグラフト
変性したもの(カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂)
が、好適に用いられる。このような接着性樹脂層を設け
ることにより、層間接着性の優れた熱成形容器を得るこ
とができる。
【0068】これらのうちでも、接着性樹脂がカルボン
酸変性ポリオレフィン樹脂であることが、EVOHを含
む樹脂組成物層あるいは共重合ポリプロピレンとの接着
性、あるいはスクラップ回収時の相溶性の観点からより
好ましい。かかるカルボン酸変性ポリエチレン系樹脂の
例としては、ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LD
PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超
低密度ポリエチレン(VLDPE)}、ポリプロピレ
ン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチル
エステル、またはエチルエステル)共重合体等をカルボ
ン酸変性したものが挙げられる。
【0069】本発明の熱成形用多層構造体を得る方法と
しては、特に限定されるものではないが、一般のポリオ
レフィン等の分野において実施されている成形方法、例
えばTダイ成形、インフレーション成形、共押出成形、
ドライラミネート成形等を採用することができ、特に共
押出成形が好適である。
【0070】得られた多層構造体を熱成形する際の成形
温度は特に限定されるものではなく、成形するのに十分
なだけ樹脂が軟化する温度であればよいが、原料シート
によってその好適な温度範囲は異なる。例えば、シート
を熱成形する際には、加熱によるシートの溶解が生じた
り、ヒーター板の金属面の凹凸がフィルムに転写したり
するほど高温にはせず、一方賦形が十分でない程低温に
しないことが望ましく、具体的にはシート温度として1
30〜180℃、好適には135〜160℃、より好適
には135〜155℃が示される。
【0071】上述のような多層構造体、特にシート状の
多層構造体を熱成形するときの熱成形容器の好ましい形
状は以下の通りである。すなわち得られた熱成形容器の
最も肉厚の厚い部分(成形前の多層構造体厚と同じ部
分)における全層厚みをTμm、最も肉厚の薄い部分に
おける全層厚みをtμm、上述の容器の絞り比Sを用い
て、以下の式を満たしていることが好ましい。 S≦T/t≦20S (3) 300<T≦3000 (4) t≧100 (5) ここで、(3)、(4)、(5)式はそれぞれより好ま
しくは 1.5S≦T/t≦15S (3’) 500≦T≦2000 (4’) t≧200 (5’) であり、さらに好ましくは 2S≦T/t≦10S (3”) 800≦T≦1500 (4”) t≧300 (5”) である。
【0072】T/tの値がS未満である場合には本発明
の構成を必要としないほど熱成形が容易な形状の容器で
あり、T/tの値が20Sを超えるほど大きい値である
ときには、容器の厚みムラが大きく好ましい形状の容器
とはならない。また、最も肉厚の厚い部分における全層
厚み(T)が3000μmを超える場合には、必要以上
に容器の重量が大きくなり、コストの点から好ましくな
いのみならず成形も困難になる。また、最も肉厚の厚い
部分における全層厚み(T)が300μm未満では、成
形容器の肉厚が薄くなりすぎ、剛性が不足してしまう。
また、最も肉厚の薄い部分におけ全層厚み(t)が10
0μm未満である場合も、同様の理由から好ましくな
い。
【0073】上述のようなシートから成形されてなる各
種の熱成形容器は各種用途に用いられる。なかでも、ガ
スバリア性に優れるという本発明の樹脂組成物を用いる
ことの優位性は、各種包装容器として用いられたときに
大きく発揮される。食品、医薬品、農薬等、酸素の存在
によって品質が悪化しやすいものの包装容器、例えばプ
リン、ゼリー、みそ等のカップとして特に好適である。
【0074】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明する。
本発明の実施例としては、多層フィルムを熱成形した例
(実施例1〜12、比較例1〜18)と、多層シートを
熱成形した例(実施例13、比較例19、20)の2種
類の実施例を実施した。以下、それぞれにつき順に説明
する。
【0075】まず、多層フィルムを熱成形して容器を作
成した例から説明する。実施例によって得られた熱成形
用フィルム、熱成形容器の評価は、以下の方法に従って
行った。
【0076】・ヘイズ 熱成形フィルムの一部を切り取りシリコンオイルを塗布
して、村上色彩技術研究所製HR−100を用い、AS
TM D1003−61に従ってヘイズ値を測定した。
【0077】・コーナー部の厚み(角厚み)測定 熱成形容器の4つのコーナー部を厚み計にて測定し、各
コーナー部の最も厚みの薄い部分の厚みを測定した。
【0078】・成形収縮率 熱成形容器より、金型タテ辺に直角で底部中央を通る帯
状(幅30mm)の試験片を切り出し、金型形状に対す
る、切り出した試験片の長さ(mm)から成形収縮率を
求めた。 成形収縮率[%]=[{(50×2+110)−(試験
片の長さ)}/(50×2+110)]×100 成形収縮率が大きいことは、金型形状に対する賦形性が
悪いことを示す。 ・成形品外観 熱成形容器にて、スジ、シワ、ムラ等に着目して目視に
て判定した。(良):A>B>C>D:(悪)
【0079】・酸素透過量 熱成形容器の底部を切り取り、20℃−85%RHに湿
度調整した後、バリア測定装置(モダンコントロール社
製、OX−TRAN−10/50A)にて、底部の積層
フィルムの酸素透過量(ml/m2・day・atm)
を測定した。
【0080】・落下試験 成形品(タテ:130mm、ヨコ:110mm、深さ:
50mmの直方体形状の金型にて成形)に500ccの
水を入れ、上面に低密度ポリエチレンフィルム(厚み1
00μm)を加熱溶着させた。この容器をコンクリート
上に落下させ、容器の破壊(容器内部の水が漏れる)す
る高さをもとめた。破壊高さは、n=30の試験結果を
用いて、JIS試験法(K7211の「8.計算」の部
分)に示される計算方法を用いて、50%破壊高さを求
めた。
【0081】実施例1 酢酸ナトリウムをナトリウム元素の重量換算で65pp
m、リン化合物をリン酸塩の形でリン原子当たりの重量
で100ppm含有するEVOH(a){エチレン含量
32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g/
10分(210℃、2160g荷重)}85重量%、同
量の酢酸ナトリウムおよびリン化合物を含有するEVO
H(b){エチレン含量51モル%、ケン化度96%、
MFR=15.1g/10分(210℃、2160g荷
重)}5重量%、およびエチレン−メタクリル酸共重合
体(c)(以下EMAAと略する){メタクリル酸(M
AA)含有量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュ
クレル0903HC、MFR=5.7g/10分(21
0℃、2160g荷重)}10重量%とをドライブレン
ドした後、ニーディングディスクを有する30mmφの
2軸押出機(日本製鋼所製TEX30:L/D=30)
を用いてシリンダー温度をフィード下部を190℃、混
練部及びノズル付近を210℃に設定し、押出機のロー
ターの回転数は610rpm、フィーダーのモーター回
転数250rpmで、溶融混練しペレット化を行った。
この時の押出量が1時間当たり20kgでシリンダー内
部の樹脂圧力は20kg/cm2であった。このときの
比エネルギーは0.6kWh/kgであった。
【0082】得られたペレットを樹脂組成物層とし、直
鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE){MFR=2.
1g/10分(210℃、2160g荷重)、三井石油
化学製「ウルトゼックス3520L」}をヒートシール
層とし、無水マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=
3.3g/10分(210℃、2160g荷重)、三井
石油化学製「アドマーSF600」}を接着剤(AD)
層とし、さらにナイロン6(PA−6){MFR=7.
2g/10分(230℃、2160g荷重)、宇部興産
製「UBEナイロン1022B」}をポリアミド層とす
る構成で、T型ダイを備えた共押出機にて3種5層(P
A−6/AD/樹脂組成物層/AD/LLDPE=20
μ/5μ/20μ/5μ/80μ)で全体厚みが130
μmの熱成形用フィルムを得た。
【0083】こうして得られた熱成形用フィルムを熱成
形機(ムルチバック社製R530)にて、ヒーター板温
度100℃にて1.5秒間加熱しフィルム温度を約85
℃にして、金型形状(タテ:130mm、ヨコ:110
mm、深さ:50mmの直方体形状、絞り比S=0.4
5)に圧縮空気(気圧5kgf/cm2)を用いて成形
し、熱成形容器を得た。配合組成および得られた熱成形
用フィルム、熱成形容器の評価結果は表1および表2に
まとめて示す。
【0084】実施例2、3、比較例1〜5 実施例1において使用したものと同じEVOH(a)、
EVOH(b)およびEMAA(c)を用い、その混合
比を以下に示すように変更した以外は、実施例1に同様
にしてサンプルを作製し試験をおこなった。配合組成お
よび得られた熱成形用フィルム、熱成形容器の評価結果
は表1および表2にまとめて示す。 実施例2;(a)75重量%、(b)5重量%、(c)20重量% 実施例3;(a)80重量%、(b)10重量%、(c)10重量% 比較例1;(a)95重量%、(b)5重量%、(c)0重量% 比較例2;(a)45重量%、(b)5重量%、(c)50重量% 比較例3;(a)90重量%、(b)0重量%、(c)10重量% 比較例4;(a)100重量%、(b)0重量%、(c)0重量% 比較例5;(a)50重量%、(b)40重量%、(c)10重量%
【0085】実施例4〜6、比較例6、7 実施例1において使用したEVOH(a)および(b)
をそれぞれ以下に示すEVOHに変更した以外は実施例
1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなった。配
合組成および得られた熱成形用フィルム、熱成形容器の
評価結果は表1および表2にまとめて示す。 実施例4 EVOH(a);エチレン含量27モル%、ケン化度9
9.6%、MFR=3.9g/10分(210℃、21
60g荷重) EVOH(b);エチレン含量51モル%、ケン化度9
6%、MFR=15.1g/10分(210℃、216
0g荷重) 実施例5 EVOH(a);エチレン含量38モル%、ケン化度9
9.7%、MFR=3.8g/10分(210℃、21
60g荷重) EVOH(b);エチレン含量51モル%、ケン化度9
6%、MFR=15.1g/10分(210℃、216
0g荷重) 実施例6 EVOH(a);エチレン含量44モル%、ケン化度9
9.7%、MFR=3.5g/10分(210℃、21
60g荷重) EVOH(b);エチレン含量58モル%、ケン化度9
5%、MFR=16g/10分(210℃、2160g
荷重) 比較例6 EVOH(a);エチレン含量32モル%、ケン化度9
9.6%、MFR=3.1g/10分(210℃、21
60g荷重) EVOH(b);エチレン含量89モル%、ケン化度9
7%、MFR=12.1g/10分(230℃、216
0g荷重) 比較例7 EVOH(a);エチレン含量38モル%、ケン化度9
9.7%、MFR=3.8g/10分(210℃、21
60g荷重) EVOH(b);エチレン含量44モル%、ケン化度9
9.7%、MFR=3.5g/10分(210℃、21
60g荷重)
【0086】実施例7〜9、比較例8〜12 実施例1において用いたEMAA{メタクリル酸含有
量:9重量%、三井デュポンケミカル「ニュクレル09
03HC、MFR=5.7g/10分(210℃、21
60g荷重)}のかわりに、以下に示す樹脂を用いた以
外は実施例1−1に同様にしてサンプルを作製し試験を
おこなった。配合組成および得られた熱成形用フィル
ム、熱成形容器の評価結果は表1および表2にまとめて
示す。 実施例7;EMAA{メタクリル酸含有量:4重量%、
三井デュポンケミカル「ニュクレルAN4214C」、
MFR=12.2g/10分(210℃、2160g荷
重)} 実施例8;EMAA{メタクリル酸含有量;12重量
%、三井デュポンケミカル「ニュクレル1207C」、
MFR=13.4g/10分(210℃、2160g荷
重)} 実施例9;エチレン−アクリル酸共重合体(以下EAA
と略する){アクリル酸(AA)含有量:9.0重量
%、ダウケミカル「プリマコール1430、MFR=
8.7g/10分(210℃、2160g荷重)} 比較例8;エチレンーメチルメタクリレート共重合体
{メチルメタアクリル酸(MMA)含有量:18重量
%、住友化学「アクリフトWH303、MFR=12.
1g/10分(210℃、2160g荷重)} 比較例9;無水マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=
3.6g/10分(210℃、2160g荷重)、三井
石油化学製「アドマーNF500」} 比較例10;アイオノマー{三井デュポンケミカル「ハ
イミラン1652、MFR=7.6g/10分(210
℃、2160g荷重)} 比較例11;LDPE{三井石油化学製「ミラソンB3
24、MFR=3.4g/10分(210℃、2160
g荷重)} 比較例12;ナイロン{ナイロン6(PA−6){MF
R=7.2g/10分(230℃、2160g荷重)、
宇部興産製「UBEナイロン1022B」}
【0087】実施例10、比較例13、14 実施例1において多層構成フィルム作製時の層構成を
(LLDPE/AD/樹脂組成物層/AD/PP=80
μ/5μ/20μ/5μ/30μ)に変更し、樹脂組成
物層としてそれぞれ下記の樹脂あるいは樹脂組成物を用
いた以外は実施例1と同様にして、サンプルを作製し試
験をおこなった。得られた熱成形用フィルム、熱成形容
器の評価結果は表3および表4にまとめて示す。 実施例10;実施例1と同じ樹脂組成物 比較例13;比較例3と同じ樹脂組成物 比較例14;比較例4と同じEVOH
【0088】実施例11、比較例15、16 実施例1において多層構成フィルム作製時の層構成を
(LLDPE/AD/樹脂組成物層=80μ/5μ/2
0μ)に変更し、樹脂組成物層としてそれぞれ下記の樹
脂あるいは樹脂組成物を用いた以外は実施例1に同様に
して、サンプルを作製し試験をおこなった。得られた熱
成形用フィルム、熱成形容器の評価結果は表3および表
4にまとめて示す。 実施例11;実施例1と同じ樹脂組成物 比較例15;比較例3と同じ樹脂組成物 比較例16;比較例4と同じEVOH
【0089】実施例12、比較例17、18 実施例1において多層構成フィルム作製時の層構成を
(LLDPE/AD/樹脂組成物層/AD/LLDPE
=40μ/5μ/20μ/5μ/40μ)に変更し、樹
脂組成物層としてそれぞれ下記の樹脂あるいは樹脂組成
物を用いた以外は実施例1に同様にして、サンプルを作
製し試験をおこなった。得られた熱成形用フィルム、熱
成形容器の評価結果は表3および表4にまとめて示す。 実施例12;実施例1と同じ樹脂組成物 比較例17;比較例3と同じ樹脂組成物 比較例18;比較例4と同じEVOH
【0090】次に、多層シートを熱成形して容器を作成
した例について説明する。実施例によって得られた熱成
形用多層構造体、熱成形容器の評価は、以下の方法に従
って行った。
【0091】・ヘイズ 熱成形用多層構造体の一部を切り取りシリコンオイルを
塗布して、村上色彩技術研究所製HR−100を用い、
ASTM D1003−61に従ってヘイズ値を測定し
た。 ・酸素透過量 熱成形用多層構造体の一部を切り取り、20℃−85%
RHに湿度調整した後、バリア測定装置(モダンコント
ロール社製、OX−TRAN−10/50A)にて、多
層構造体の酸素透過量を測定した。ここでいう酸素透過
量は、多層構造体で測定した酸素透過量(単位; ml
/m2・day・atm)を、ガスバリア性樹脂層20
μm当たりの酸素透過量に換算した値(ml・20μm
/m2・day・atm)で示した。なお、内外層およ
び接着性樹脂層の酸素透過量はガスバリア性樹脂層に比
べて遙かに大きいので無視した上で計算した。
【0092】・熱成形容器外観 シート加熱温度150℃で成形されたカップ(タテ:1
30mm、ヨコ:110mm、深さ:50mmの直方体
形状の金型にて成形)の外観を目視にて観察し、賦形
性、クラックの発生状況および波模様の発生状況を評価
した。ここでの賦形性の評価基準は、角部(側面と底面
の交線)が正確に成形されているかを目視にて判断し、
全評価サンプルを4段階(良:A>B>C>D:悪)に
分類した。クラックの発生状況は側面の底部付近に発生
する長さ約2mm程度の亀裂(クラック)の発生状態を
目視にて判断し、発生状態の目立ちやすさによって全評
価サンプルを4段階(良:A>B>C>D:悪)に分類
した。波模様の発生状況は、主としてカップの側面部に
発生する波状の外観ムラを目視にて判断し、その目立ち
やすさによって全評価サンプルを4段階(良:A>B>
C>D:悪)に分類した。また最も薄い部分の厚みは、
成形品の底部と側面の交差部分付近での最も厚みの薄い
部分を測定して求めた。
【0093】・落下試験 成形されたカップに200ccの水を入れ、同じカップ
を逆向きに伏せて加熱溶着させた。この容器をコンクリ
ート上に落下させ、容器の破壊(容器内部の水が漏れ
る)する高さをもとめた。破壊高さは、n=30の試験
結果を用いて、JIS試験法(K7211の「8.計
算」の部分)に示される計算方法を用いて、50%破壊
高さとして求めた。
【0094】実施例13 実施例1で得られたペレットを樹脂組成物層とし、ホモ
ポリプロピレン{グランドポリマー製「J103」、M
FR=3.0g/10分(230℃、2160g荷
重)}を内外層、無水マレイン酸変性ポリプロピレン
{三井石油化学製「アドマーQF500」、MFR=
5.3g/10分(230℃、2160g荷重)}を接
着剤(AD)層とする構成で、T型ダイを備えた共押出
機にて3種5層(coPP/AD/樹脂組成物層/AD
/coPP=400μ/50μ/100μ/50μ/4
00μ)で全体厚みが1000μmの熱成形用シートを
得た。得られたシートのヘイズ値、シートの酸素透過度
をそれぞれ測定した。
【0095】こうして得られたシートを熱成形機(浅野
製作所製)にてシート温度を変更して、カップ形状(金
型形状70φ×70mm、絞り比S=1.0)に熱成形
(圧空:5kg/cm2、プラグ:45φ×65mm、
シンタックスフォーム、プラグ温度:150℃、金型温
度:70℃を使用)を行った。成形されたカップの外観
は目視にて評価した。また最も薄い部分の厚みを、成形
品の底部と側面の交差部分付近での最も厚みの薄い部分
を測定して求めた。さらに得られた容器に水を入れてか
ら落下試験に供した。これらの熱成形用シート、熱成形
容器の評価結果は表5にまとめて示す。
【0096】比較例19、20 実施例13において使用した樹脂組成物のかわりにそれ
ぞれ以下に示すものを用いた以外は実施例13と同様に
してサンプルを作製し試験をおこなった。得られたシー
ト、熱成形容器の評価結果は表5にまとめて示す。 比較例19;比較例3で用いた樹脂組成物 比較例20;比較例4で用いたEVOH
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物を用いた熱成形用フ
ィルムあるいはシート等は、熱成形性が良好であり、ガ
スバリア性、力学特性に優れた熱成形容器を提供するこ
とができる。かかる熱成形容器は、外観が良好で、力学
性能に優れ、優れたガスバリア性を保有するので、各種
包装容器として優秀な性能を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 22:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含量の異なる2種類のエチレン
    −ビニルアルコール共重合体(a)、(b)、およびエ
    チレン−(メタ)アクリル酸共重合体(c)からなり、
    (a)のエチレン含量が20〜45モル%、(b)のエ
    チレン含量が45〜65モル%、(a)と(b)のエチ
    レン含量の差が8モル%以上、かつ(c)の(メタ)ア
    クリル酸含量が1〜30重量%であり、それらの配合重
    量比が、下記式(1)および(2)を満たす樹脂組成
    物。 2/1≦(a)/(b)≦50/1 (1) 1/99≦(c)/{(a)+(b)}≦40/60 (2)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の樹脂組成物からなる熱成
    形用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の樹脂組成物からなる層を
    有する熱成形用多層構造体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の多層構造体を熱成形して
    なる熱成形容器。
  5. 【請求項5】 容器の最も肉厚の厚い部分における全層
    厚みをTμm、最も肉厚の薄い部分における全層厚みを
    tμm、容器の絞り比をSとしたときに、下記式(3)
    〜(5)を満たす請求項4記載の熱成形容器。 S≦T/t≦20S (3) 300<T≦3000 (4) t≧100 (5) 但し、容器の絞り比Sは下記式(6)で示される値であ
    る。 S=(容器の深さ)/(容器の開口部に内接する最大径の円の直径) (6)
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の樹脂組成物からなる層
    を有し、全層厚みが50〜300μmで樹脂組成物層厚
    みが3〜50μmである熱成形用多層フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の多層フィルムを熱成形し
    てなる熱成形容器。
  8. 【請求項8】 容器の最も肉厚の厚い部分における全層
    厚みをTμm、最も肉厚の薄い部分における全層厚みを
    tμm、容器の絞り比をSとしたときに、下記式(7)
    〜(9)を満たす請求項7記載の熱成形容器。 5S≦T/t≦30S (7) 50≦T≦300 (8) t≧20 (9) 但し、容器の絞り比Sは下記式(6)で示される値であ
    る。 S=(容器の深さ)/(容器の開口部に内接する最大径の円の直径) (6)
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000336230A (ja) * 1999-05-31 2000-12-05 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 樹脂組成物及び多層構造体
JP2001058374A (ja) * 1999-08-24 2001-03-06 Kuraray Co Ltd 熱成形用多層構造体および熱成形容器
JP2001131376A (ja) * 1999-11-05 2001-05-15 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物組成物の製造法
JP2002036448A (ja) * 2000-07-26 2002-02-05 Kuraray Co Ltd 多層構造体
JP2013028732A (ja) * 2011-07-28 2013-02-07 Kyodo Printing Co Ltd シーラントフィルム、該シーラントフィルムを用いた積層体、該積層体を用いた包装容器及びシーラントフィルムの製造方法
JP2015063701A (ja) * 2014-12-22 2015-04-09 共同印刷株式会社 シーラントフィルム、該シーラントフィルムを用いた積層体、及び該積層体を用いた包装容器

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