JP2000246794A - 熱成形用多層フィルムおよびシート - Google Patents

熱成形用多層フィルムおよびシート

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JP2000246794A
JP2000246794A JP11056548A JP5654899A JP2000246794A JP 2000246794 A JP2000246794 A JP 2000246794A JP 11056548 A JP11056548 A JP 11056548A JP 5654899 A JP5654899 A JP 5654899A JP 2000246794 A JP2000246794 A JP 2000246794A
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thermoforming
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copolymer
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JP11056548A
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Nahotoshi Hayashi
七歩才 林
Hiroyuki Shimo
浩幸 下
Hitoshi Tateno
均 舘野
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性、熱成形性、力学特性及び透明
性に優れた熱成形用多層フィルムまたはシート並びに多
層容器を提供すること。 【解決手段】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
(A)、ポリアミド樹脂(B)、オレフィン−不飽和カ
ルボン酸共重合体(C)および12以下の溶解性パラメ
ーター(Fedorsの式から算出)を有する前記樹脂
以外の熱可塑性樹脂(D)からなり、配合重量比が下記
式(1)〜(4)を満足する樹脂組成物層を少なくとも
一層含む熱成形用多層フィルムまたはシートを提供し、
熱成形して多層容器とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性、熱
成形性、力学特性及び透明性に優れた、熱成形用多層フ
ィルムまたはシート及びそれらを熱成形してなる熱成形
容器に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ハム、ソーセージ、赤肉、加工
肉等は、消費者に使用されるまでの期間、肉類の品質を
保護する必要がある。他方で、酸素は肉類の品質の劣化
を促進する。そこで、肉類を新鮮に保つためには、肉類
を酸素から長期間適切に遮断することが最も重要であ
る。その為の包装として、例えば、二軸延伸により強度
やバリア性を向上させたフィルムをラミネーションによ
り多層構造にしてパウチ等を作る方法や、一旦延伸した
フィルムを加熱して熱収縮させることにより、隙間無く
内容物に密着させる方法が挙げられる。
【0003】ところで、近年、フィルムを加熱して、エ
アーまたはプラグ等により、立体状に熱成形したフィル
ム容器に肉類を詰め、その上面をフィルムにてシールす
る包装形態が盛んに使用されるようになっている。この
理由は、内容物の形態に適合した容器形状にすること
で、内容物の状態や、形状を明確に消費者に伝えられる
ことにある。また、画一的な形状とすることで、店頭陳
列棚での配置がしやすいことも挙げられる。
【0004】この様な熱成形用途に使用される酸素の透
過防止性能に優れた材料の一つとしてポリ塩化ビニリデ
ンがある。しかし、ポリ塩化ビニリデンはハロゲン元素
を含有する樹脂であるので、環境保護の観点から包装用
素材としての使用が懸念されている。また一方、酸素の
透過防止性能及び熱成形性の点から、ナイロン層を含む
多層フィルムがこの用途に用いられているが、近年、食
品の賞味期限の更なる延長要求から、より優れた酸素の
透過防止性能が望まれている状況にある。
【0005】優れた酸素の透過防止性能を有し、かつ環
境保護の面からも問題の少ない材料としては、エチレン
−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHという)
が挙げられるが、EVOH単体フィルムはタフネスに欠
け、また、水、水蒸気に対し有効なバリア性を示さない
欠点がある。
【0006】これらの欠点を改善するため、EVOHフ
ィルムに、ポリプロピレンと、アイオノマー、エチレン
−酢酸ビニル共重合体などで代表される各種熱シーラン
ト層とを積層してなる多層構造体のフィルムが用いられ
ることが多い。
【0007】しかし、このようなEVOH層とポリプロ
ピレン層とを有する多層構造体(フィルム、シート、パ
リソン等)を容器などの形状に二次加工した場合、EV
OH層に小さなボイド、クラック、局所的偏肉などが多
発し、その結果、成形容器の酸素バリア性が大幅に悪化
する。また、外見上も不良となり、食品等の容器として
使用に耐えない状況であった。
【0008】そこで、従来から、加熱延伸時に発生する
EVOH層のピンホール、クラックなどを防止する目的
で、EVOHに各種可塑剤を添加する方法(特開昭53
−88067号公報、特開昭59−20345号公
報)、あるいは、ポリアミド系樹脂をブレンドする方法
(特開昭52−141785号公報、特開昭58−15
4755号公報、特開昭58−36412号公報)等が
検討されている。しかし、いずれの場合も、ピンホー
ル、クラックなどを充分防止できるレベルではない。
【0009】また、特開平10−151707号公報で
は、EVOHの成形性を改良するためにエチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体をEVOHに添加している。エ
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体がEVOHのマト
リックス中において適度な粒径を保ちつつ分散している
ため、透明性を維持しつつ成形性を改良することが可能
であったが、透明性および成形性についてはまだ改善の
余地が残されている。
【0010】次に、比較的厚いシート状の熱成形容器に
関する従来技術について説明する。食品包装分野では、
店頭にて商品を購入した後、その内容物を他の容器に移
し替えることなく、その容器のまま飲食できるカップや
トレーが盛んに使用されている。具体的には、ゼリー、
プリン、ヨーグルト、ジュース等を包装する容器がその
代表例として挙げられる。また、その内容物を他の容器
に移し替えることなく保存容器として使用できる味噌カ
ップなどの容器も使用されている。
【0011】一般に、これらの包装材料として、熱成形
容器が使用されている。熱成形容器は、内容物の品質維
持のために、形態安定性や酸素バリア性が要求される。
形態維持の観点から使用される樹脂の代表例としては、
その剛性や耐衝撃性のバランスに優れたポリプロピレン
の単独重合体(以下「ホモポリプロピレン」と略記する
ことがある)が挙げられる。また、内容物の酸化劣化を
防止するために、酸素バリア性に優れるEVOHをバリ
ア層として使用することが一般的である。
【0012】しかし、EVOHの熱成形性不足から、容
器の側面にクラックや波模様が発生し、外観に優れた熱
成形容器を得られないこともある。これらの熱成形容器
や耐衝撃性を改善するためにEVOHにナイロンを添加
する方法(米国特許第4079850号)など、様々な
提案がなされているが、熱成形性が十分でない、ガスバ
リア性が低下する、製膜時の熱安定性に問題がある、あ
るいは樹脂の種類や分散状態によっては透明性が低下す
る等の問題を有し十分な改善には至っていない。
【0013】EVOHは前記したように優れた諸特性を
持っている反面、熱可塑性樹脂との積層体を容器などに
二次加工する場合、EVOH層にクラック、ピンホー
ル、局所的偏肉などが発生し、ガスバリア性が大幅に悪
化する。また外見上も不良であり、食品包装用容器とし
ては不適当である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】そこで、良好なバリア
性を有しながらも、熱成形時のEVOH層におけるクラ
ック、ピンホール、局所的偏肉などの発生を防止し、高
いガスバリア性を有する多層構造フィルムまたはシート
並びにこれらのフィルムまたはシートで形成される多層
容器が求められている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題は、特定の組成
を有する樹脂を少なくとも一層含む熱成形容器を提供す
ることにより、解決される。すなわち、本発明者らは良
好なバリア性を有し、かつ熱成形時のEVOH層におけ
るクラック、ピンホール、局所的偏肉などの発生を防止
できるEVOHを含む樹脂組成物を見出して、本発明を
完成した。
【0016】本発明は、エチレン−ビニルアルコール共
重合体(A)、ポリアミド樹脂(B)オレフィン−不飽
和カルボン酸共重合体(C)および12以下の溶解性パ
ラメーター(Fedorsの式から算出)を有する前記
樹脂以外の熱可塑性樹脂(D)からなり、配合重量比が
下記式(1)〜(4): 0.50≦W(A)/W(T)≦0.98 (1) 0.01≦W(B+C)/W(T)≦0.30 (2) 0.01≦W(D)/W(T)≦0.40 (3) 0.01≦W(B)/W(B+C)≦0.99 (4) (但し、W(A);組成物中の(A)の重量 W(B);組成物中の(B)の重量 W(B+C);組成物中の(B)と(C)との合計重量 W(D);組成物中の(D)の重量 W(T);組成物の合計重量) を満足する樹脂組成物層を少なくとも一層含む熱成形用
多層フィルムまたはシートに関する。
【0017】好ましい実施態様によれば、本発明の熱成
形用多層フィルムまたはシートは、ヒートシール層を少
なくとも一層有する。
【0018】さらに好ましい実施態様によれば、本発明
の熱成形用多層フィルムまたはシートは、ヒートシール
層に加えて、さらにポリプロピレン樹脂層及び/または
ポリアミド樹脂層を有する。
【0019】より好ましい実施態様では、熱成形用多層
フィルムまたはシートのヘイズが10%以下である。
【0020】さらに、本発明は、上記熱成形用多層フィ
ルムまたはシートを熱成形してなる多層容器に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を説明する。本発明
に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体
(A)(EVOH)は、例えば、エチレンとビニルエス
テルからなる共重合体を、アルカリ触媒等を用いてケン
化して得られる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが
代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニ
ルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルな
ど)も使用できる。また、EVOHは共重合成分として
ビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有
することができる。ここで、ビニルシラン系化合物とし
ては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキ
シ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシ
ランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。さ
らに、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共単量
体、例えば、プロピレン、ブチレン、あるいは、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチルもしくは
(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸また
はそのエステル、及び、N−ビニルピロリドンなどのビ
ニルピロリドンを共重合することも出来る。
【0022】本発明に用いられるEVOH(A)のエチ
レン含量は20〜60モル%が好ましく、好適には25
〜55モル%、より好適には25〜50モル%である。
エチレン含量が20モル%未満では、高湿度下でのガス
バリア性が低下し溶融成形性も悪化する虞があり、60
モル%を超えると十分なガスバリア性が得られない虞が
ある。
【0023】また、本発明に用いられるEVOH(A)
のビニルエステル成分のケン化度は90%以上が好まし
く、好適には95%以上、より好適には99%以上であ
る。ケン化度が90%未満では、高湿度時のガスバリア
性が低下するだけでなく、EVOHの熱安定性が悪化
し、成形物にゲルが発生しやすくなる。ケン化度をかか
る範囲とすることが、該多層フィルムまたはシートのガ
スバリア性を維持する観点から好ましい。
【0024】さらに、EVOHがホウ素化合物を含有す
ることが好ましい。ホウ素化合物を含有することによ
り、EVOHの溶融粘性が改善され、ブレンドに際し、
分散性が改善されるだけでなく、均質な共押出多層フィ
ルムの製造の面でも有効である。ここで、ホウ素化合物
としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素
化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類とし
ては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げ
られ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ
酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の
各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、
ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物うちでもオル
トホウ酸、NaBHが好ましい。
【0025】ホウ素化合物の含有量はホウ素元素換算で
20〜2000ppmが好ましく、より好ましくは、5
0〜1000ppmである。この範囲にあることで、加
熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOHを得ること
ができる。20ppm未満ではそのような効果が小さく
なりやすく、2000ppmを超えるとゲル化しやす
く、成形性不良となる場合がある。
【0026】また、本発明に用いられるEVOH(A)
に対して、アルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で5
〜5000ppm含有させることも、層間接着性や相容
性の改善のために効果的であることから好ましい。
【0027】アルカリ金属塩の、より好適な含有量は、
アルカリ金属元素換算で20〜1000ppm、さらに
は30〜500ppmである。ここでアルカリ金属とし
ては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどがあげら
れ、アルカリ金属塩としては、一価金属の脂肪族カルボ
ン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体等が
挙げられる。例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、
リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナト
リウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢
酸のナトリウム塩等が挙げられる。中でも酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムが好適である。
【0028】また、本発明に用いられるEVOH(A)
に対し、リン化合物を、リン元素換算で2〜200pp
m、より好適には3〜150ppm、最適には5〜10
0ppm含有させることも好ましい。EVOH中のリン
濃度が2ppmより少ない場合あるいは200ppmよ
り多い場合には、溶融成形性や熱安定性に問題を生じる
ことがある。特に、長時間にわたる溶融成形を行なう際
のゲル状ブツの発生や着色の問題が発生しやすくなる。
【0029】EVOH中に配合するリン化合物の種類は
特に限定されるものではない。リン酸、亜リン酸等の各
種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩とし
ては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいず
れの形で含まれていても良く、そのカチオン種も特に限
定されるものではないが、アルカリ金属塩、アルカリ土
類金属塩であることが好ましい。中でも、リン酸2水素
ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナト
リウム、リン酸水素2カリウムの形でリン化合物を添加
することが好ましい。
【0030】本発明に用いられるEVOH(A)の好適
なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160
g荷重下)は0.1〜50g/10min.、最適には
0.5〜30g/10min.である。但し、融点が1
90℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g
荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフ
で絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロッ
トし、190℃に外挿した値で表す。これらのEVOH
樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以
上を混合して用いることもできる。
【0031】本発明に用いられるポリアミド樹脂(B)
は、アミド結合を有する重合体であって、例えば、ポリ
カプロアミド(ナイロン−6)、ポリウンデカンアミド
(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン
−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−
6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−
6,12)の如き単独重合体、カプロラクタム/ラウリ
ルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラ
クタム/アミノウンデカン酸重合体(ナイロン−6/1
1)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸重合体(ナ
イロン−6,9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジ
アンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,
6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウム
アジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート
共重合体(ナイロン−6/6,6/6,12)、アジピ
ン酸とメタキシリレンジアミンとの重合体、あるいはヘ
キサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との重合体で
ある芳香族系ナイロンなどが挙げられる。これらのポリ
アミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、
2種以上を混合して用いることもできる。
【0032】EVOHとの相容性の点から、これらのポ
リアミド樹脂(B)のうち、ナイロン6成分を含むポリ
アミド樹脂(例えば、ナイロン−6、ナイロン−6,1
2、ナイロン−6/12、ナイロン−6/6,6等)が
好ましい。EVOHとポリアミド樹脂は高温での溶融過
程で反応してゲル化するため、ブレンド組成物の熱劣化
を抑制する点から、ポリアミド樹脂(B)の融点は24
0℃以下が好ましく、230℃以下であることがより好
ましい。
【0033】本発明に用いるポリアミド樹脂(B)の好
適なメルトフローレート(MFR)(210℃、216
0g荷重下)は0.1〜50g/10min.、最適に
は0.5〜30g/10min.である。但し、融点が
210℃付近あるいは210℃を超えるものは2160
g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラ
フで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロ
ットし、210℃に外挿した値で表す。
【0034】本発明に用いられるオレフィン−不飽和カ
ルボン酸共重合体(C)とは、オレフィン、特にα−オ
レフィンと不飽和カルボン酸とからなる共重合体のこと
をいい、分子中にカルボキシル基を有するポリオレフィ
ンおよびポリオレフィン中に含有されるカルボキシル基
の全部あるいは一部が金属塩の形で存在しているものも
含まれる。オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体
(C)のベースとなるポリオレフィンとしては、ポリエ
チレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直
鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリ
エチレン(VLDPE)など)、ポリプロピレン、共重
合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の各種
ポリオレフィンが挙げられる。
【0035】本発明に用いられるオレフィン−不飽和カ
ルボン酸共重合体またはその金属塩(C)の中でも、ポ
リオレフィンと不飽和カルボン酸またはその無水物をラ
ンダム共重合して得られる重合体が好ましく、エチレン
と不飽和カルボン酸またはその無水物がランダムに共重
合していることがさらに望ましい。ランダム共重合体ま
たはその金属塩がグラフト化合物よりも優れている理由
は、グラフト化合物では、相容性を発揮するのに必要な
高い酸含有量を得ることが難しいためである。さらに、
不飽和カルボン酸、例えば無水マレイン酸のグラフト化
合物の場合は、EVOH中の水酸基とグラフト共重合体
中のカルボキシル基が反応して、ゲル・フィッシュアイ
の原因となるため、好ましくない場合がある。特に長時
間に渡る溶融成形を行う場合にフィッシュアイの発生が
顕著となり易い。また、本樹脂組成物において、オレフ
ィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体より、その金
属塩を用いる方が優れている。その理由は明確でない
が、金属塩の方が極性が高くなるために、ポリアミド樹
脂に対する相容性が増すためと考えられる。
【0036】不飽和カルボン酸またはその無水物の含有
量は、好ましくは2〜15モル%、さらに好ましくは3
〜12モル%である。最も好ましくは、3.5〜10モ
ル%である。不飽和カルボン酸またはその無水物として
は、アクリル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、マ
レイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチ
ル、イタコン酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸など
が例示され、特にアクリル酸あるいはメタアクリル酸が
好ましい。また、共重合体に含有されても良い他の単量
体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのような
ビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、
アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸イソブチ
ル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エス
テル、一酸化炭素などが例示される。
【0037】オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体の
金属塩における金属イオンとしては、リチウム、ナトリ
ウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カ
ルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属
が例示され、特に亜鉛を用いた場合がポリアミド樹脂に
対する相容性の点で好ましい。オレフィン−不飽和カル
ボン酸共重合体の金属塩における中和度は、100%以
下、特に90%以下、さらに70%以下の範囲が望まし
い。中和度の下限値については、通常5%以上、特に1
0%以上、さらには30%以上が望ましい。
【0038】本発明に用いられるオレフィン−不飽和カ
ルボン酸共重合体(C)のメルトフローレート(MF
R)(190℃、2160g荷重下)は、好ましくは
0.05〜50g/10min.、さらに好ましくは
0.5〜30g/10min.である。これらのオレフ
ィン−不飽和カルボン酸共重合体(C)は、それぞれ単
独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いる
こともできる。
【0039】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(D)
は、成分(A)、(B)、(C)とは異なる熱可塑性樹
脂であり、溶解性パラメーターが12以下である事が重
要である。即ち、熱可塑性樹脂(D)とオレフィン−不
飽和カルボン酸共重合体(C)の溶解性パラメーター
(Fedorsの式から算出)が近いことにより、結果
として、4成分(A)、(B)、(C)、(D)間の相
溶性が向上する。
【0040】溶解性パラメーターが12以下の熱可塑性
樹脂(D)として、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系
樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂など
が挙げられる。その中でも、ポリオレフィン系樹脂が最
も好ましく、高密度もしくは低密度ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリブテン−1などのα−オレフィンの単
独重合体、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセ
ン−1などから選ばれたα−オレフィン同士の共重合体
などが例示される。また、エチレンに以下の成分:ジオ
レフィン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどのビニル化合
物、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの
不飽和カルボン酸エステルなど;を共重合したものも含
まれる。また、スチレン系樹脂としては、ポリスチレ
ン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹
脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂
(AS)等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂と
しては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)あるいはポリブチレンテレフタレート(PBT)ま
たはこれらの共重合体などが挙げられる。これらの熱可
塑性樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2
種以上を混合して用いることもできる。
【0041】本発明に用いられる熱可塑性樹脂(D)の
メルトフローレート(MFR)(190℃、2160g
荷重下)は、好ましくは0.05〜100g/10分、
さらに好ましくは0.05〜50g/10分、最適には
0.5〜30g/10分である。但し、融点が190℃
付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重
下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶
対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロット
し、190℃に外挿した値で表す。
【0042】本発明に用いられる樹脂組成物中に含まれ
るEVOH(A)、ポリアミド樹脂(B)、オレフィン
−不飽和カルボン酸共重合体(C)および熱可塑性樹脂
(D)の配合重量比は下記式(1)〜(4): 0.50≦W(A)/W(T)≦0.98 (1) 0.01≦W(B+C)/W(T)≦0.30 (2) 0.01≦W(D)/W(T)≦0.40 (3) 0.01≦W(B)/W(B+C)≦0.99 (4) (但し、W(A);組成物中の(A)の重量 W(B);組成物中の(B)の重量 W(B+C);組成物中の(B)と(C)との合計重量 W(D);組成物中の(D)の重量 W(T);組成物の合計重量)で示される。
【0043】好適には 0.60≦W(A)/W(T)≦0.93 (1’) 0.02≦W(B+C)/W(T)≦0.25 (2’) 0.05≦W(D)/W(T)≦0.30 (3’) 0.01≦W(B)/W(B+C)≦0.98 (4’) であり、より好適には、 0.70≦W(A)/W(T)≦0.90 (1”) 0.02≦W(B+C)/W(T)≦0.20 (2”) 0.05≦W(D)/W(T)≦0.25 (3”) 0.05≦W(B)/W(B+C)≦0.95 (4”) である。
【0044】W(A)/W(T)が0.50に満たない
場合、あるいはW(D)/W(T)が0.40を超える
場合には、得られる多層フィルムまたはシートの、特に
ガスバリア性などが劣る。一方、 W(A)/W(T)
が0.98を超える場合、あるいはW(D)/W(T)
が0.01に満たない場合では、成形性の向上が充分で
ない。
【0045】W(B+C)/W(T)が0.01に満た
ない場合、EVOH(A)と熱可塑性樹脂(D)の相容
性が悪化し、本発明の効果が得られない。 W(B+
C)/W(T)が0.40を超える場合、組成物全体の
量のうちEVOH(A)と熱可塑性樹脂(D)の比率が
低下するため、本来EVOH(A)の有するガスバリア
性や熱可塑性樹脂(D)の有する耐衝撃性等の性能が低
下する。また、W(B)/W(B+C)が0.01に満
たない場合、EVOH(A)と熱可塑性樹脂(D)との
相容性が低下するため、本発明の目的を達成することが
出来ない。一方、W(B)/W(B+C)が0.99を
超える場合、溶融ペレット化時、EVOHとの架橋反応
が劇的に進行し、ゲル、ブツの発生原因となる。
【0046】EVOH(A)とポリアミド樹脂(B)が
反応することによるEVOHの熱劣化を防ぐ観点から、
本発明に用いる樹脂組成物には、高級脂肪族カルボン酸
の金属塩およびハイドロタルサイト化合物の少なくとも
1種を含有させることが好ましい。
【0047】ここで、ハイドロタルサイト化合物として
は特にMAl(OH)2x+3 y−2z(A)
aHO(MはMg、CaまたはZn、AはCOまた
はHPO、x、y、z、aは正数)で示される複塩で
あるハイドロタルサイト化合物を挙げることができる。
特に好適なものとして以下のハイドロタルサイト化合物
が例示される。
【0048】 MgAl(OH)16CO・4HO MgAl(OH)20CO・5HO MgAl(OH)14CO・4HO Mg10Al(OH)22(CO・4HO MgAl(OH)16HPO・4HO CaAl(OH)16CO・4HO ZnAl(OH)16CO・4HO Mg4.5Al(OH)13CO・3.5H
【0049】また、ハイドロタルサイト化合物として、
特開平1−308439号(USP4954557)に
記載されているハイドロタルサイト系固溶体である、
[Mg 0.75Zn0.250.67Al
0.33(OH)(CO0.167・0.45H
Oのようなものも用いることができる。
【0050】高級脂肪族カルボン酸の金属塩とは炭素数
8〜22の高級脂肪酸の金属塩であり、炭素数8〜22
の高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、ミ
リスチン酸などがあげられ、また金属としては、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バ
リウム、アルミニウムなどがあげられる。このうちマグ
ネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属
が好適である。
【0051】これらの高級脂肪族カルボン酸の金属塩、
またはハイドロタルサイト化合物の含有量は、樹脂組成
物の合計重量に対して0.01〜3重量部が好ましく、
より好適には0.05〜2.5重量部である。
【0052】また、本発明に用いられる樹脂組成物に
は、上記の樹脂成分の他に適切な添加剤(例えば、熱安
定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フ
ィラー、他の樹脂など)を本発明の目的が阻害されない
範囲で使用することは自由である。
【0053】本発明に用いられる樹脂組成物を得るため
の溶融混練する方法に関しては、特に限定されるもので
はないが、EVOH(A)、ポリアミド樹脂(B)、オ
レフィン−不飽和カルボン酸共重合体(C)、および熱
可塑性樹脂(D)を同時に、単軸または二軸スクリュー
押出機などで造粒・乾燥する方法、あるいは、まず最初
に、ポリアミド樹脂(B)とオレフィン−不飽和カルボ
ン酸共重合体(C)とを溶融混合し、造粒・乾燥してか
ら、EVOH(A)と熱可塑性樹脂(D)にドライブレ
ンドし、単軸または二軸スクリュー押出機などで造粒・
乾燥する方法等があげられる。分散状態を均一なものと
し、ゲル、ブツの発生や混入を防止するためには、混練
ペレット化操作時に混練度の高い押出機を使用し、ホッ
パー口を窒素シールし、低温で押出すことが望ましい。
【0054】なかでも、後述する実施例で示されている
ように、まず最初に、ポリアミド樹脂(B)とオレフィ
ン−不飽和カルボン酸共重合体(C)とを溶融混合し、
造粒・乾燥してから、 EVOH(A)と熱可塑性樹脂
(D)とにドライブレンドし、単軸または二軸スクリュ
ー押出機などで造粒し、乾燥する方法が好ましい。この
理由として、各成分を同時に溶融混練する場合は、相容
性の良い成分同士(例えば、EVOH(A)とポリアミ
ド樹脂(B))の混合が優先して進む場合があるため
に、4成分からなる樹脂組成物のモルフォロジーを安定
に制御することが難しいことがある。しかしながら、ポ
リアミド樹脂(B)とオレフィン−不飽和カルボン酸共
重合体(C)とのブレンド物を予め作製しておくことに
より、溶融混合時の条件にあまり影響を受けずに、安定
したEVOH(A)とポリオレフィン(D)の相容化効
果が得られる。
【0055】以上のようにして得られた樹脂組成物は、
熱成形用多層フィルムまたはシートとして用いられる。
本発明でいう熱成形とは、フィルム等を加熱して軟化さ
せた後に、金型形状に成形することをいう。成形方法と
しては、真空あるいは圧空を用い、必要により、さらに
プラグを併せ用いて金型形状に成形する方法(例えば、
ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップ
バック法、プラグアシスト法など)やプレス成形する方
法などが挙げられる。成形温度、真空度、圧空の圧力ま
たは成形速度等の各種成形条件は、プラグ形状や金型形
状または原料フィルムの性質により、適切に設定され
る。
【0056】成形温度は特に限定されるものではなく、
成形するのに充分なだけ樹脂が軟化する温度であればよ
いが、原料フィルムによって、その好適な温度範囲は異
なる。
【0057】例えば、フィルムを熱成形する際には、加
熱によるフィルムの溶解が生じたり、ヒーター板の金属
面の凹凸がフィルムに転写したりするほど高温にはせ
ず、一方、賦形が充分でない程低温にしないことが望ま
しい。具体的にはフィルム温度が50〜120℃、好適
には60〜110℃、より好適には70〜100℃が示
される。
【0058】本発明の熱成形容器は、フィルムまたはシ
ートの平面に凹部を形成した形の3次元状に熱成形され
てなる容器である。凹部の形状は内容物の形状に対応し
て決定されるが、特に凹部の深さが深いほど、凹部の形
状が滑らかでないほど、通常のEVOH積層体では厚み
ムラを発生しやすく、コーナー部等が極端に薄くなるの
で、本発明における改善効果が大きい。熱成形容器がフ
ィルムを成形してなるものである場合、絞り比(S)
は、好適には0.2以上、より好適には0.3以上、更
に好適には0.4以上のときに本発明の効果はより有効
に発揮される。
【0059】ここで、絞り比(S)とは、下記式(5)
で示される値をいう。 S=(容器の深さ)/(容器の開口部に内接する最大形の円の直径)(5) すなわち、絞り比(S)とは、容器の最深部の深さを、
フィルムの平面に形成された凹部(開口部)の形状に接
する最も大きい内接円の円の直径で割ったものである。
例えば、凹部の形状が円である場合にはその直径、楕円
である場合にはその短径、長方形である場合にはその短
辺の長さがそれぞれ内接する最大形の円の直径となる。
【0060】本発明でいう熱成形用多層フィルムとは、
上述の樹脂組成物層を少なくとも一層含み、熱成形に供
するフィルムのことをいう。かかる熱成形用多層フィル
ムの厚み構成は、全体厚みが50〜300μm、好まし
くは80〜250μmで、樹脂組成物層の厚みが3〜5
0μm、好ましくは5〜40μmである。全体厚みが3
00μmを超える場合には、必要以上に容器の重量が大
きくなり、コストの点から好ましくない。また全体厚み
が50μm未満では、成形した際に凹部の肉厚が薄くな
りすぎ、力学的強度が低く破れやすいので内容物を充分
に保護することが出来ない。また、樹脂組成物層の厚み
が50μmを超える場合にはコストが上昇する上に成形
性が悪化するので好ましくない。逆に樹脂組成物層の厚
みが3μm未満では、成形した際に樹脂組成物層にピン
ホールを発生しやすく好ましくない。
【0061】本発明の熱成形用多層フィルムの具体的構
成としては、特に限定されるものではないが、ヒートシ
ール層を有することが、内容物を容易に密封できる点か
ら好ましく、また、ポリアミド樹脂層および/またはポ
リプロピレン層を有することがフィルムの力学性能、熱
成形性の観点から好ましい。かかるヒートシール層とポ
リアミド樹脂層、またはヒートシール層とポリプロピレ
ン層の双方を有する熱成形用多層フィルムが特に好まし
い。また、これらの各層の間に接着剤層を設けても良
い。また、上記各層はフィルム中に1層のみならず、複
数の層に分けて配置されていても良い。
【0062】ヒートシール層に用いられる樹脂は特に限
定されるものではないが、樹脂組成物層中に用いられる
EVOH樹脂の融点よりも低い融点あるいは軟化点を有
する樹脂が好ましく、特にポリオレフィン系樹脂が好ま
しい。用いられるポリオレフィン系樹脂としては、高密
度もしくは低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン−1などの単独重合体、及びエチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メ
チル−1−ペンテンなどから選ばれたα―オレフィン同
士の共重合体あるいはα―オレフィンと他の共重合体成
分との共重合体が挙げられる。これらα―オレフィン以
外の共重合体成分としては、ジオレフィン、N−ビニル
カルバゾール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニ
ル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル、等
のビニル化合物、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル
酸、エタクリル酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和
カルボン酸、そのエステル及びその酸無水物あるいはこ
れらにヒドロキシル基またはエポキシ基を付加したもの
などが挙げられる。例えばグラフト可能なモノマーとポ
リオレフィンとの共重合体やα―オレフィン/α、β―
不飽和カルボン酸共重合体とイオン性金属化合物との反
応物であるアイオノマー樹脂などの各種の共重合体など
を用いることもできる。中でも、低密度ポリエチレン
(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDP
E)が好適である。これらのポリオレフィン系樹脂はそ
れぞれ単独で用いることもできるし、また2種類以上を
混合して用いることもできる。
【0063】ポリアミド樹脂層を用いた場合には、樹脂
組成物層とヒートシール層のみからなるフィルムに比べ
て、熱成形性が良好になる。ポリアミド樹脂層に用いら
れるポリアミド樹脂は特に限定されるものではないが、
例えば、ポリカプロアミド(ナイロンー6)、ポリウン
デカンアミド(ナイロンー11)、ポリラウリルラクタ
ム(ナイロンー12)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(ナイロンー6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド
(ナイロン−6,12)のごとき単独重合体、カプロラ
クタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/1
2)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体
(ナイロンー6/11)、カプロラクタム/ω―アミノ
ノナン酸共重合体(ナイロンー6/9)、カプロラクタ
ム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体
(ナイロンー6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメ
チレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジア
ンモニウムセバケート共重合体(ナイロンー6/6,6
/6,12)の如き共重合体などが挙げられる。これら
のポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもでき
るし、2種類以上を混合して用いることもできる。ポリ
アミド樹脂層に加えて更にヒートシール層を有すること
が内容物を容易に密封できる点から好ましく、ヒートシ
ール層とポリアミド樹脂層の双方を有する構成の熱成形
用多層フィルムが好適である。
【0064】また、ポリプロピレン樹脂層を用いた場
合、ポリアミド樹脂層ほどの熱成形性の改善効果は得ら
れないものの、フィルムの耐湿性が向上すること、力学
性能が向上すること、樹脂コストが低いことなどポリア
ミド樹脂を用いた場合と比較して有利な面を有する。ポ
リプロピレン樹脂としてはアイソタクチックポリプロピ
レンの他にシンジオタクチックポリプロピレンでも良
く、少量の共重合が施されていても構わない。ポリプロ
ピレン樹脂層に加えて更にヒートシール層を有すること
が内容物を容易に密封できる点から好ましく、ヒートシ
ール層とポリプロピレン樹脂層の双方を有する構成の熱
成形用多層フィルムが好適である。
【0065】更に、本発明の熱成形用多層フィルム又は
シートのヘイズは10%以下であることが好ましい。ヘ
イズが10%を超える場合、最終商品としての包材を形
成した際に、内容物を鮮明に外部より見ることが出来な
い問題を生じる。本発明の熱成形用フィルムまたはシー
ト並びにこれらを熱成形して得られる多層容器は、相容
性に優れていることにも起因して、透明性が非常に高い
のが特徴である。
【0066】本発明の熱成形用多層フィルムの具体的構
成例は、EVOH(EVOH組成物)、PA(ナイロ
ン)、AD(接着剤)、PP(ポリプロピレン)、S
(ヒートシール層)として表記すると、PA/AD/E
VOH/AD/S、PP/AD/EVOH/AD/S、
EVOH/AD/PA/AD/S、EVOH/AD/P
P/AD/S、PA/AD/EVOH/AD/PA/A
D/S、PP/AD/PA/AD/EVOH/AD/
S、PP/AD/PA/AD/EVOH/AD/PA/
AD/Sなどが好適なものとして示される。ただし、本
発明の熱成形用多層フィルムの層構成は上記の層構成例
に限定されるものではない。上記各構成例に、例えばポ
リエステルやポリスチレン等の他の樹脂層が付加されて
いてもよい。
【0067】本発明の熱成形用多層フィルム得る方法と
しては、特に限定されるものではないが、一般のポリオ
レフィン等の分野において実施されている成形方法、例
えば、Tダイ成形、インフレーション成形、共押出成
形、ドライラミネート成形等を採用することができ、特
に共押出成形が好適である。また、これら成形方法の組
み合わせとして、共押出成形により(LLDPE/AD
/EVOH/AD/LLDPE)等の構成のフィルムを
作製後、PPあるいはPAとドライラミネート成形を行
い、(PPあるいはPA/AD/LLDPE/AD/E
VOH/AD/S)等の構成のフィルムを得るような方
法も採用できる。
【0068】また、ガスバリア性、熱成形性、力学特性
及び透明性に優れる本発明に用いられる樹脂組成物の利
用形態は、上記熱成形用多層フィルムに限定されるもの
ではなく、フィルムより厚みの大きい熱成形用多層シー
トにおいても十分に効果が得られる。
【0069】かかる熱成形用多層シートの積層例につい
ては特に限定されるものではない。樹脂組成物層と積層
して用いられる樹脂としてはポリオレフィン系樹脂、ポ
リスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステ
ル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカー
ボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニ
リデン系樹脂等が挙げられ、用途に応じて適当に選択で
きる。この様な樹脂と積層する事で、樹脂組成物単層で
用いる場合に比べて高湿度下でのガスバリア性や、強度
等の改善が図れるからである。
【0070】好ましい樹脂としては、ポリプロピレン
(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエステル(PE
S)等が挙げられ、その好ましい層構成例としては、P
P/AD/EVOH/AD/PP、PS/AD/EVO
H/AD/PS、PES/AD/EVOH/AD/PE
S等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0071】中でも、本発明の効果が得られる好適な構
成としては、上述の樹脂組成物層及び共重合ポリプロピ
レンからなる層を含むものが挙げられる。かかる共重合
ポリプロピレンは、プロピレンを主成分とし、プロピレ
ン以外の共重合成分を少量成分として共重合した重合体
である。共重合成分としては、エチレンまたは炭素数4
〜8のα−オレフィンがプロピレンとの共重合のし易さ
やコストの面から一般的に使用される。共重合の形態と
しては、ランダム共重合とブロック共重合があるが、ラ
ンダム共重合体は透明性が良好な点で好ましく、ブロッ
ク共重合体は耐衝撃性が良好な点で好ましい。もちろ
ん、ホモポリプロピレンも用いることができる。
【0072】上記共重合ポリプロピレンにおいて、プロ
ピレンと共重合されるコモノマーである炭素数が4〜8
のα―オレフィンとしては、1−ブテン、イソブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オク
テン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペン
テン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられ
る。これらのα−オレフィンは単独で使用しても良く、
2種以上を組み合わせて使用しても良い。中でも、1−
ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが、モノマーコ
ストが安く、共重合組成を幅広く制御できる点から好ま
しい。また、エチレンとの共重合も同様の観点から好ま
しい。
【0073】これらのコモノマーの含有量は特に限定さ
せるものではないが、ランダム共重合体では10重量%
以下、好ましくは1〜7重量%であることが、透明性、
剛性のバランスの上から好ましい。また、ブロック共重
合体では2〜30重量%程度が良好な耐衝撃性を得る上
から好ましい。
【0074】また、上記ポリプロピレン以外にも好適な
層としてポリスチレンを挙げることが出来る。かかるポ
リスチレンとしては、スチレンの単独重合体だけでな
く、スチレン以外の単量体を少量共重合したものや、ス
チレン以外の単量体を重合してなる樹脂を少量ブレンド
したものであっても良く、スチレン成分が80重量%以
上であればよい。従って、本発明のポリスチレンには少
量のゴム成分を含むいわゆるHIPS(ハイインパクト
ポリスチレン)も含まれる。
【0075】かかるポリスチレンは剛性が高いことか
ら、薄肉で形態保持が可能である。また光沢性に優れて
いることから、透明性または不透明の場合に関わらず優
れた外観の成形品を得ることが出来る。更にスチレンの
単独重合体は透明性に優れておりこれを用いた容器では
内容物の視認性に優れる。
【0076】また接着性樹脂層に使用される樹脂は特に
限定されるものではないが、ポリウレタン系、ポリエス
テル系一液型あるいは二液型硬化接着剤、不飽和カルボ
ン酸またはその無水物(無水マレイン酸など)をオレフ
ィン系重合体または共重合体に共重合またはグラフト変
性したもの(カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂)が、
好適に用いられる。この様な接着性樹脂層を設けること
により、層間接着性の優れた熱成形容器を得ることが出
来る。
【0077】これらの中でも、接着性樹脂がカルボン酸
変性ポリオレフィン樹脂であることが、EVOHを含む
樹脂組成物層あるいは共重合ポリオレフィンとの接着
性、あるいはスクラップ回収時の相容性の観点からより
好ましい。かかるカルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂
の例としては、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチ
レン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLD
PE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)など)、
ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エス
テル(メチルエステル、またはエチルエステル)共重合
体をカルボン酸変性したものが挙げられる。
【0078】本発明の熱成形用多層構造体の具体的構成
例としては、TR(熱可塑性樹脂)、REG(回収層)
とすると、TR/AD/EVOH/AD/TR、TR/
AD/EVOH/AD/REG、TR/AD/EVOH
/AD/REG/TR等挙げることが出来るが、これに
限定されるものではない。(上記各構成に例えばポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルあ
るいはポリスチレン等の樹脂が積層されていても良
い。)
【0079】本発明の熱成形用多層構造体を得る方法と
しては、特に限定されるものではないが、一般のポリオ
レフィン等の分野において実施されている成形方法、例
えばTダイ成形、インフレーション成形、共押出成形、
ドライラミネート成形等を採用することができ、特に共
押出成形が好適である。
【0080】得られた多層構造体を熱成形する際の熱成
形温度は特に限定されるものではないが、成形する際に
充分なだけ樹脂が軟化する温度であればよい。原料シー
トによってその好適温度範囲は異なる。シートを成形す
る際には、加熱によるシートの溶解が生じたり、ヒータ
ー板の金属面の凹凸がフィルムに転写したりするほど高
温にはせず、一方、賦形が充分でないほど低温にしない
ことが好ましい。具体的な熱成形温度としては、130
〜180℃の温度範囲から、組合せる樹脂に応じて適宜
選択される。上述のような多層構造体、特にシート状の
多層構造体を熱成形するとき、あるいは共重合ポリプロ
ピレンあるいはポリスチレンからなる層を有する多層構
造体を熱成形する場合の、成形容器の好ましい形状は以
下のとおりである。
【0081】すなわち得られた熱成形容器の最も肉厚の
厚い部分(成形前の多層構造体と同じ部分)における全
層厚みをTμm、最も肉厚の薄い部分における全層厚み
をtμm、上述の容器の絞り比Sを用いて、以下の式を
満たしていることが好ましい。 S≦T/t≦20S (6) 300<T≦3000 (7) t≧100 (8) ここで、(6)、(7)、(8)式はそれぞれ好ましく
は 1.5S≦T/t≦15S (6′) 500≦T/t≦2000 (7′) t≧300 (8′) である。
【0082】T/tの値がS未満である場合には本発明
の構成を必要としないほど熱成形が容易な形状の容器で
あり、T/tの値が20Sを超えるほど大きい値である
ときには、容器の厚みムラが大きく、好ましい形状の容
器とならない。また、肉厚の厚い部分における全層厚み
(T)が3000μmを超える場合には、必要以上に容
器の重量が大きくなり、コストの点から好ましくないの
みならず、成形も困難になる。また、最も肉厚の厚い部
分における全層厚み(T)が300μm未満では、成形
容器の肉厚が薄くなりすぎ、剛性が不足してしまう。ま
た、最も肉厚の薄い部分における全層厚み(t)が10
0μm未満である場合も同様の理由から好ましくない。
【0083】上述のようなシートから成形されてなる各
種の熱成形容器は各種用途に用いられる。中でも、ガス
バリア性に優れるという本発明の樹脂組成物を用いるこ
との優位性は、各種包装容器として用いられたときに大
きく発揮される。食品、医薬品、農薬等、酸素の存在に
よって品質が悪化しやすいものの包装容器、例えばプリ
ン、ゼリー、味噌等のカップとして特に好適である。
【0084】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0085】なお、表1に、本発明の実施例に用いた樹
脂組成を示す。使用した樹脂の詳細は、各実施例に記載
した。
【0086】
【表1】
【0087】(熱成形用フィルムまたはシート、熱成形
容器の評価方法)実施例によって得られた熱成形用フィ
ルムまたはシート、熱成形容器の評価は、以下の方法に
従って行った。
【0088】(1)コーナー部の厚み(角厚み)の測定 熱成形容器の4つのコーナー部を厚み計にて測定し、各
コーナー部の最も厚みの薄い部分の厚みを測定した。
【0089】(2)成形収縮率 熱成形容器より、金型タテ辺に直角で底部中央を通る帯
状(幅30mm)の試験片を切り出し、金型形状に対す
る、切り出した試験片の長さ(mm)から成形収縮率を
求めた。 成形収縮率[%]=[{(50×2+110)−(試験
片の長さ)}/(50×2+110)]×100
【0090】成形収縮率が大きいことは、金型形状に対
する賦形性が悪いことを示す。
【0091】(3)成形品外観(熱成形用多層フィルム
の場合) 熱成形容器にて、スジ、シワ、ムラ等に着目して目視に
て判定した。 良:A>B>C>D:悪
【0092】(4)成形品外観(シート成形の場合) シート加熱温度150℃で成形されたカップ(タテ:1
30mm、ヨコ:110mm、深さ:50mmの直方体
形状の金型ににて成形品の外観を目視にて観察し、賦形
性、クラックの発生状況及び波模様の発生状況を評価し
た。
【0093】賦形性は、角部(側面と底面の交線)が正
確に成形されているかを目視にて判断し、4段階で評価
した: 良:A>B>C>D:悪。
【0094】クラックの発生状況は側面の底部付近に発
生する長さ約2mm程度の亀裂(クラック)の発生状況
を目視にて判断し、発生状態の目立ちやすさによって4
段階で評価した: 良:A>B>C>D:悪。
【0095】波模様の発生状況は、主としてカップの側
面部に発生する波状の外観ムラを目視にて判断し、その
目立ちやすさによって4段階で評価した: 良:A>B>C>D:悪。
【0096】(5)酸素透過量 160℃でシート熱成形した容器、および実施例に示し
た条件で行ったフィルム熱成形容器の底部を切り取り、
20℃−85%RHに湿度調整した後、バリア測定装置
(モダンコントロール社製、OX−TRAN−10/5
0A)にて、酸素透過量を測定した。
【0097】(6)ヘイズ 熱成形フィルムの一部を切り取りシリコンオイルを塗布
して、村上色彩技術研究所製HR−100を用い、AS
TM D1003−61に従ってヘイズ値を測定した。
【0098】(7)落下試験(フィルム熱成形の場合) 成形品(タテ:130mm、ヨコ:110mm、深さ:
50mmの直方体形状の金型にて成形)に500ccの
水を入れ、上面に低密度ポリエチレンフィルム(厚み1
00μm)を加熱融着させた。この容器をコンクリート
上に落下させ、容器の破壊(容器内部の水が漏れる)す
る高さを0.25m刻みで求めた。破壊高さは、n=3
0の試験結果を用いて、JIS試験法に示される計算方
法を用いて、50%破壊高さを求めた。
【0099】(8)落下試験(シート熱成形の場合) 160℃で成形されたカップに200ccの水を入れ、
同じカップを逆向きに伏せて加熱融着させた。この容器
をコンクリート上に落下させ、容器の破壊(内部の水が
漏れる)する高さを求めた。破壊高さは、n=30の試
験結果を用いて、JIS試験法に示される計算方法を用
いて、50%破壊高さを求めた。
【0100】実施例1 酢酸ナトリウムをナトリウム元素の重量換算で65pp
m、リン化合物をリン酸塩の形でリン原子当たりの重量
で100ppm含有するEVOH(A−1){エチレン
量32モル%、ケン化度99.6%、MFR=3.1g
/10分(210℃、2160g荷重)}85重量%
と、6/12−ポリアミド(B−1){宇部興産製、U
BE7024B}/エチレン−不飽和カルボン酸ランダ
ム共重合体金属塩(C−1){メタクリル酸(MAA)
含有量:7.5モル%、中和金属:亜鉛、MFR=1.
1g/10分(190℃、2160g荷重)}の重量比
30/70の混合物(以下、N−Ionomerと略す
る)5重量%、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(D
−1)(グランドポリマー製F103)10重量%とを
ドライブレンドした後、ニーディングディスクを有する
30mmφの2軸押出機(日本製鋼所製TEX30:L
/D=30)を用いてフィーダー下部のシリンダー温度
を200℃、混練部及びノズル付近を220℃に設定
し、押出機のローターの回転数は610rpm、フィー
ダーのモーター回転数250rpmで、溶融混練しペレ
ット化を行った。
【0101】得られたペレットを樹脂組成物層とし、直
鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE){MFR=2.
1g/10分(210℃、2160g荷重)、三井石油
化学製「ウルトゼックス3520L」}をヒートシール
層とし、無水マレイン酸変性ポリエチレン{MFR=
3.3g/10分(210℃、2160g荷重)、三井
石油化学製「アドマーSF600」}を接着剤(AD)
層とし、さらにナイロン6(PA−6){MFR=7.
2g/10分(230℃、2160g荷重)、宇部興産
製「UBEナイロン1022B」}をポリアミド樹脂層
とする構成で、T型ダイを備えた共押出機にて4種5層
(PA−6/AD/樹脂組成物層/AD/LLDPE=
20μm/5μm/20μm/5μm/80μm)で全
体厚みが130μmの熱成形用フィルムを得た。
【0102】こうして得られた熱成形用フィルムを熱成
形機(ムルチバック社製R530)にて、ヒーター板温
度100℃にて1.5秒間加熱しフィルム温度を約85
℃にして、金型形状(タテ:130mm、ヨコ:110
mm、深さ:50mmの直方体形状、絞り比S=0.4
5)に圧縮空気(気圧5kgf/cm2)を用いて成形
し、熱成形容器を得た。得られた熱成形用フィルムの評
価結果を、表2に示す。
【0103】比較例1 実施例1において、樹脂組成物層の代わりに実施例1で
用いたのと同じEVOH樹脂を単独で用いた以外は、実
施例1に同様にしてサンプルを作製し試験をおこなっ
た。得られた熱成形用フィルムの評価結果を表2に示
す。
【0104】比較例2 実施例1において、N−Ionomerを用いず、EV
OHを85重量部、ポリプロピレンを15重量部とした
以外は実施例1と同様にしてサンプルを作成し試験を行
った。得られた熱成形用フィルムの評価結果を表2に示
す。
【0105】実施例2、比較例3 実施例1において、ポリプロピレンの代わりにポリエチ
レンテレフタレート(以下PETと略記する、クラレ
製、KS750RCT)を用いた(実施例2)。また、
比較例2と同様にN−Ionomerを用いずEVOH
を85重量部、PETを15重量部とした(比較例3)
以外は実施例1と同様にしてサンプルを作成し試験を行
った。得られた熱成形用フィルムの評価結果を表2に示
す。
【0106】実施例3、比較例4 実施例1において、熱可塑性樹脂の代わりにシラン変性
エチレン−アクリル酸エチル(以下Si−EEAと略記
する、三井・デュポンポリケミカル製、「HPR―AS
251」)を用いた(実施例3)。また、比較例2と同
様にN−Ionomerを用いずEVOHを85重量
部、Si−EEAを15重量部とした(比較例4)以外
は実施例1と同様にしてサンプルを作成し試験を行っ
た。得られた熱成形用フィルムの評価結果を表2に示
す。
【0107】実施例4〜6、比較例5〜7 実施例1において多層構成フィルム作製時の層構成を
(LLDPE/AD/樹脂組成物層/AD/PP=80
μm/5μm/20μm/5μm/30μm)に変更
し、樹脂組成物層としてそれぞれ下記の樹脂あるいは樹
脂組成物を用いた以外は実施例1に同様にして、サンプ
ルを作製し試験をおこなった。得られた熱成形用フィル
ムの評価結果を表2に示す。なお、表1からわかるよう
に: 実施例4;実施例1と同じ樹脂組成物 実施例5;実施例2と同じ樹脂組成物 実施例6;実施例3と同じ樹脂組成物 比較例5;比較例2と同じ樹脂組成物 比較例6;比較例3と同じ樹脂組成物 比較例7;比較例4と同じ樹脂組成物であった。
【0108】実施例7〜9、比較例8〜10 実施例1において多層構成フィルム作製時の層構成を
(LLDPE/AD/樹脂組成物層/AD/LLDPE
=40μm/5μm/20μm/5μm/40μm)に
変更し、樹脂組成物層としてそれぞれ下記の樹脂あるい
は樹脂組成物を用いた以外は実施例1に同様にして、サ
ンプルを作製し試験をおこなった。得られた熱成形用フ
ィルムの評価結果を表2に示す。なお、表1からわかる
ように: 実施例7;実施例1と同じ樹脂組成物 実施例8;実施例2と同じ樹脂組成物 実施例9;実施例3と同じ樹脂組成物 比較例8;比較例2と同じ樹脂組成物 比較例9;比較例3と同じ樹脂組成物 比較例10;比較例4と同じ樹脂組成物であった。
【0109】実施例10〜12、比較例11〜14 実施例1で用いた樹脂組成物をランダム共重合ポリプロ
ピレン{グランドポリマー製「F226D」、MFR=
6g/10分(230℃、2160g荷重)}を内外
層、無水マレイン酸変性ポリプロピレン{三井石油化学
製「アドマーQF500」、MFR=5.3g/10分
(230℃、2160g荷重)}を接着剤層(AD)層
とする構成で、T型ダイを備えた共押出機にて3種5層
(ランダム共重合ポリプロピレン/AD/樹脂組成物/
AD/ランダム共重合ポリプロピレン=400μm/5
0μm/100μm/50μm/400μm)で全体厚
みが1000μmの熱成形用シートを得た。得られた熱
成形用シートの評価結果を表3に示す。
【0110】こうして得られたシートを熱成形機(浅野
製作所製)にてシート温度を変更して、カップ形状(金
型形状70φx70mm、絞り比S=1.0)に熱成形
(圧空:5kg/cm、プラグ:45φx65mm、
シンタックスフォーム、プラグ温度:150℃、金型温
度:70℃を使用)を行った。形成されたカップの外観
は目視にて評価した。また最も薄い部分の厚みを、成形
品の底部と側面の交差部付近での最も厚みの薄い部分を
測定して求めた。結果を表3に示す。なお、表1からわ
かるように: 実施例10:実施例1と同じ樹脂組成物を使用 実施例11:実施例2と同じ樹脂組成物を使用 実施例12:実施例3と同じ樹脂組成物を使用 比較例11:比較例1と同じ樹脂組成物を使用 比較例12:比較例2と同じ樹脂組成物を使用 比較例13:比較例3と同じ樹脂組成物を使用 比較例14:比較例4と同じ樹脂組成物を使用であっ
た。
【0111】以上の実験結果を表2と表3にまとめて示
す。
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】各実施例で得られたフィルムおよびシート
は、外観に優れ、ヘイズも10以下であり、機械強度に
も優れていた。(B)と(C)混合物を含まない比較例
のフィルムで熱成形した多層容器は、バリア性、外観、
ヘイズが悪かった。また、比較例のシートを熱成形した
多層容器は、外観が悪く、層の厚みにむらが生じてい
た。
【0115】
【発明の効果】エチレン−ビニルアルコール共重合体
(A)、ポリアミド樹脂(B)、オレフィン−不飽和カ
ルボン酸共重合体(C)および12以下の溶解性パラメ
ーター(Fedorsの式から算出)を有する前記樹脂
以外の熱可塑性樹脂(D)からなり、配合重量比が下記
式(1)〜(4)を満足する樹脂組成物層を少なくとも
一層含む熱成形用多層フィルムまたはシートは、ガスバ
リア性、熱成形性、力学特性及び透明性に優れており、
これらの熱成形用多層フィルムまたはシートを熱成形し
てなる多層容器は、ガスバリア性、熱成形性、力学特性
及び透明性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 31/04 C08L 31/04 Fターム(参考) 4F071 AA12 AA15 AA16 AA18 AA20 AA21 AA22 AA24 AA28 AA29 AA32 AA33 AA34 AA36 AA45 AA46 AA55 AA77 AF05 AF08 AF30 AH04 AH05 BA01 BB03 BB06 BC01 BC04 4F100 AK03A AK03J AK04 AK04G AK07 AK07C AK24A AK24J AK25 AK25J AK46A AK46C AK48 AK63 AK69A AL01 AL01A AL05A AL07 AL07G AR00B BA03 BA07 BA15 CB03 DA01 GB15 JD02 JK01 JL01 JL11B JN01 JN30 YY00 4F208 AA03E AA04E AA10 AA11 AA19E AA20E AA29 AC03 AG01 AG03 AG07 AR20 MB01 MB22 MC01 MG04 MG11 4J002 BB032 BB042 BB052 BB062 BB072 BB084 BB094 BB122 BB142 BB152 BB172 BB234 BC032 BC062 BD062 BE031 BN152 CF062 CF072 CL013 CL033 CL053 FD010 FD020 FD050 FD060 FD070 FD090 GF00 GG00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン−ビニルアルコール共重合体
    (A)、ポリアミド樹脂(B)、オレフィン−不飽和カ
    ルボン酸共重合体(C)および12以下の溶解性パラメ
    ーター(Fedorsの式から算出)を有する前記樹脂
    以外の熱可塑性樹脂(D)からなり、配合重量比が下記
    式(1)〜(4)を満足する樹脂組成物層を少なくとも
    一層含む熱成形用多層フィルムまたはシート: 0.50≦W(A)/W(T)≦0.98 (1) 0.01≦W(B+C)/W(T)≦0.30 (2) 0.01≦W(D)/W(T)≦0.40 (3) 0.01≦W(B)/W(B+C)≦0.99 (4) (但し、W(A);組成物中の(A)の重量 W(B);組成物中の(B)の重量 W(B+C);組成物中の(B)と(C)との合計重量 W(D);組成物中の(D)の重量 W(T);組成物の合計重量)。
  2. 【請求項2】 ヒートシール層を少なくとも一層有す
    る、請求項1に記載の熱成形用多層フィルムまたはシー
    ト。
  3. 【請求項3】 ヒートシール層に加えて、さらにポリプ
    ロピレン樹脂層及び/またはポリアミド樹脂層を有す
    る、請求項1または2に記載の熱成形用多層フィルムま
    たはシート。
  4. 【請求項4】 ヘイズが10%以下である、請求項1な
    いし3いずれかの項に記載の熱成形用多層フィルムまた
    はシート。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかの項に記載
    の熱成形用多層フィルムまたはシートを熱成形してなる
    多層容器。
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