JP4515844B2 - 防曇性樹脂シート及びそれを用いた防曇性食品包装用容器 - Google Patents
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(例えば、特許文献1参照。)が、また、離型剤層の観点からはポリエーテル変性シリコーンオイルを含む塗布層を形成させる方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。しかし、いずれか一方、或いは両方を用いても保管期間の長期化に伴った防曇性の低下を抑えることはできなかった。
一方、防曇剤層に水溶性高分子を用いる例としては、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニル鹸化物)、ポリビニルピロリドン、セルロース類、デキストリン類が多数提案されている。しかしながら、これら高分子化合物を併用する場合、本発明者等の検討によると、一部のポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニル鹸化物)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール以外の高分子化合物では、リサイクルした際、該高分子化合物が未溶融のまま凝集し、又はゲル、ブツとしてシート中に存在することとなってリサイクルすることができず、結局、用い得ないことが判明した。
以下、「ポジティブリスト」と言う。)に規定の粘度未満となってしまうので、不適であり、又、ポリエチレングリコールは他の非イオン性界面活性剤と併用しても低温防曇性の点で、満足のいく結果が得られなかった。
防曇性等において前二者よりも優れており、従来においても、例えば、蔗糖ラウリン酸エステル、重合度が800以下のポリビニルアルコール、及び特定粒径のシリコンからなる防曇剤層を設けることにより、樹脂シートに防曇性及び剥離性を付与する方法(例えば、特許文献3参照。)、HLB11〜18の蔗糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、及びポリビニルアルコールからなる防曇剤層と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体からなる離型剤層とを設けることにより、樹脂シートに特に低温防曇性を付与する方法(例えば、特許文献4参照。)、及び、HLB12〜18で低表面張力の非イオン性界面活性剤と高表面張力の非イオン性界面活性剤、及びポリビニルアルコールの特定割合の防曇剤層と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体からなる離型剤層とを設けることにより、樹脂シートに低温及び高温防曇性を付与する方法(例えば、特許文献5参照。)等も提案されている。しかしながら、本発明者等の検討によると、特許文献3では、樹脂シートの熱成形時に白化が生じ易いこと、又、特許文献4では、離型性、剥離性等、総合的な滑り性の点で不十分であること、又、特許文献5では、離型剤層の転写を完全に防ぐことはできず、経時的な防曇性の低下を抑制することは困難であること、等が判明した。
更には防曇剤層が水溶性高分子化合物を含み、その水溶性高分子化合物が、重合度300〜800、鹸化度70〜83モル%のポリ酢酸ビニル鹸化物であって、その含有割合が、非イオン性界面活性剤との合計量に対して10重量%以上、95重量%以下である
防曇性樹脂シート、及び、容器本体及び蓋体からなる包装用容器であって、容器本体及び/又は蓋体が、前記防曇性樹脂シートを、防曇剤層が内面となるように賦形した熱成形体からなる防曇性食品包装用容器、を要旨とする。
本発明の防曇性樹脂シートは、一方の面に、非イオン性界面活性剤含む防曇剤層が形成され、他方の面に、シリコーンオイルを含む離型剤層が形成されたものであり、その一方の面に形成されている防曇剤層における非イオン性界面活性剤は、HLBが11以下であることを必須とし、9以下であるのが好ましく、7以下であるのが更に好ましい。HLBが前記範囲超過であると、防曇性、特に低温防曇性の持続性が劣ることとなる。
HLB=20×(1−S/A)〔但し、Sはエステルの鹸化価、Aは脂肪酸の酸価である。〕
HLB=(a×x+b×y+c×z)/(x+y+z)
高くなって均一な分散が困難となること等から、用いる非イオン性界面活性剤のHLBは5以上とするのが好ましい。以上の中で、本発明においては、HLBの異なる2種以上の複数種の非イオン性界面活性剤の混合物とするのが好ましい。
水素ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(C2 〜C4 )ジメチルポリシロキサン等から選択するのが好ましい。これらの中で、離型性、臭い、及び経済性等の点から、ジメチルポリシロキサンが特に好ましい。尚、本発明において、シリコーンオイルの粘度としては、25℃での値として、100〜50,000mm2 /sであるのが好ましく、1,000〜20,000mm2 /sであるのが更に好ましい。
器本体及び/又は蓋体等に賦形され、防曇性食品包装用容器の容器本体及び/又は蓋体として用いられる。
N−1;蔗糖ラウリン酸エステル(モノエステル30%、ジ・トリ・ポリエステル70%の混合体、HLB 5)
N−2;ソルビタンラウリン酸エステル(HLB 7.4)
N−3;ジグリセリンラウリン酸エステル(HLB 9.4)
N−4;蔗糖ラウリン酸エステル(モノエステル70%、ジ・トリ・ポリエステル30%の混合体、HLB 15)
<水溶性高分子化合物>
P−1;ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニル鹸化物)(重合度500、鹸化度約73モル%)
<陰イオン性界面活性剤>
A−1;オレイン酸カリウム
<離型剤>
R−1;ジメチルポリシロキサン(25℃での粘度10,000mm2 /s)
R−2;ホリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体(ポリオキシエチレン80重量%、平均分子量15,000)、(前記特許文献4の実施例1記載の離型剤)
防曇性樹脂シートの防曇剤層面を指で押さえ、引き離した時のベタツキ感を以下の基準で評価した。
◎:殆どベタツキを感じない。
○:ベタツキを感じるが、実用上許容できるレベルにある。
△:ベタツキがやや強く、指紋の跡がはっきり残る。
×:ベタツキが激しく、ヌルヌルしている。
防曇性樹脂シートの曇価(ヘーズ)を、JIS K7105に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH−300A」を用いて測定(n=5の平均値)し、そのヘーズ値と、肉眼により観察したシート外観の両方を、以下の基準で評価した。
◎:ヘーズ1.5未満、又は白いムラ(転写模様)が全く見られない。
○:ヘーズ1.5〜2未満、又はうっすらとした白いムラ(転写模様)が見られる。
△:ヘーズ2〜3未満、又は白いムラ(転写模様)が目立つ。
×:ヘーズ3以上、又はくっきりとした白いムラ(転写模様)が見られる。
防曇性樹脂シート捲回物を捲き戻しながら、シートを熱板加熱式圧空成形機(関西自動成型機社製)にセットし、離型圧空なしの条件で、開口部260mm×80mm、深さ60mmの成形品を成形した際の金型からの離型性を、以下の基準で評価した。
◎:成形終了後、スムーズに離型する。
○:離型する際、若干の引っかかりがあるが、連続成形が可能である。
×:離型時に金型に引っかかり、連続成形が不可能である。
開口部220mm×135mm、深さ30mmに熱成形した容器本体(中仕切あり)144枚を積み重ね、その上に5kgの荷重を載せたときの高さをAとし、1分後荷重を取り除いた時の高さをBとして次式より復元率(n=2の平均値)を求め、以下の基準で評価した。
復元率(%)=〔(B−A)/A〕×100
◎:25%以上。
○:20〜25%未満。
△:10〜20%未満。
×:10%未満。
ポリスチレンシートから開口部195mm×135mm、深さ20mmに熱成形した容器本体(嵌合タイプ)に23℃の水150ccを入れ、一方、本発明の防曇性樹脂シートから、熱板加熱式圧空成形機を用いて、防曇剤層が内面となるように開口部195mm×135mm、深さ38mmに賦形した蓋体(嵌合タイプ)で蓋をして、5℃のショーケース内に静置し、30分後、及び3時間後における蓋体内面の曇りの発生状況、液膜・水滴の付着状況を目視観察し、それぞれ初期防曇性、持続防曇性として、以下の基準で評価した。
◎:蓋体に曇りがなく、液膜が均一であり、内容物の視認性が良好なレベル。
○:蓋体に曇りはなく、液膜が不均一でやや水滴の付着が見られるが、内容物の視認性は問題ないレベル。
△:蓋体に曇りはないが、液膜が不均一でかなりの水滴付着が見られ、内容物の視認性に問題があるレベル。
×:蓋体の一部に曇りが見られるか、蓋体のほぼ全面で水滴付着が激しく内容物の視認が困難なレベル。
ポリスチレンシートから開口部195mm×135mm、深さ20mmに熱成形した容器本体(嵌合タイプ)に80℃のお湯150ccを入れ、一方、本発明の防曇性樹脂シートから、熱板加熱式圧空成形機を用いて、防曇剤層が内面となるように開口部195mm×135mm、深さ38mmに賦形した蓋体(嵌合タイプ)で蓋をして、23℃雰囲気に静置し、2分後、及び1間後における蓋体内面の曇りの発生状況、液膜・水滴の付着状況を目視観察し、それぞれ初期防曇性、持続防曇性として、以下の基準で評価した。
◎:蓋体に曇りがなく、液膜が均一であり、内容物の視認性が良好なレベル。
○:蓋体に曇りはなく、液膜が不均一でやや水滴の付着が見られるが、内容物の視認性は問題ないレベル。
△:蓋体に曇りはないが、液膜が不均一でかなりの水滴付着が見られ、内容物の視認性に問題があるレベル。
×:蓋体の一部に曇りが見られるか、蓋体のほぼ全面で水滴付着が激しく内容物の視認が困難なレベル。
実施例を表1に、比較例を表2に示す。
二軸延伸ポリスチレンシート(厚み0.3mm)にコロナ処理を施した後、一方の面に、表1又は表2に示す組成の防曇剤の水溶液を2g/m2 の塗布量で、他方の面に、離型
剤としてジメチルポリシロキサンエマルジョンを0.5g/m2 の塗布量で、それぞれスプレーコーターで塗布し、塗工面を均一化し、乾燥させた後、防曇剤層を外側とし離型剤層を内側として両層が重合するようにロール状に捲き取って捲回物とした。尚、比較例2及び3においては、ジメチルポリシロキサンエマルジョンの塗布量を2g/m2 とした。巻き取った直後の捲回物を捲き戻してシートをサンプリングし、防曇剤層の膜厚、及び離型剤層の膜厚をFT−IR(ATR法)により測定し、結果を表1、表2に示した。尚、膜厚の測定は、防曇剤層については1730cm-1付近の、離型剤層については1260cm-1付近の各特性吸収と、ポリスチレンの1940cm-1付近の特性吸収との比を、膜厚既知のシートから作成した検量線と比較することで定量した。
。逆に、比較例2、3より、防曇剤層に含まれる非イオン性界面活性剤のHLBが11以下であっても、離型剤層膜厚が15mg/m2より多くなると、シートの透明性、低温防
曇性、高温防曇性が急激に悪化してしまい、不十分であることは明らかである。比較例4からは水溶性高分子のみでは直後から防曇性が不十分であることが分かる。又、比較例5より、離型剤層がシリコーンオイル以外からなる場合には、シートの熱成形時の離型性、
及び成形した容器本体同士の剥離性が劣っていることが明らかである。
Claims (6)
- 一方の面に、非イオン性界面活性剤を含む防曇剤層が形成され、他方の面に、シリコーンオイルからなる離型剤層が形成された防曇性樹脂シートであって、防曇剤層における非イオン性界面活性剤のHLBが9以下であり、且つ、ロール状に捲き取って捲回物とした後、30分以内に捲き戻して測定した離型剤層の膜厚が1〜15mg/m2であることを特徴とする防曇性樹脂シート。
- 防曇剤層における非イオン性界面活性剤が、複数種の蔗糖脂肪酸エステルの混合物である請求項1に記載の防曇性樹脂シート。
- 防曇剤層が更に水溶性高分子化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の防曇性樹脂シート。
- 防曇剤層に含まれる水溶性高分子化合物が、重合度300〜800、鹸化度70〜83モル%のポリ酢酸ビニル鹸化物で、その含有割合が、非イオン性界面活性剤との合計量に対して10重量%以上、95重量%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートが二軸延伸ポリスチレン系樹脂シートである請求項1乃至4のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
- 容器本体及び蓋体からなる包装用容器であって、容器本体及び/又は蓋体が、請求項1乃至5のいずれかに記載の防曇性樹脂シートを、防曇剤層が内面となるように賦形した熱成形体からなることを特徴とする防曇性食品包装用容器。
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