JP4163160B2 - 防曇性樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱成形してワンウェイの食品包装用透明容器等として用いるに好適な防曇性樹脂シートに関する。
従来より、透明樹脂シートを熱成形することにより、弁当等の各種食品のワンウェイの食品包装用透明容器の容器本体や蓋体を製造することは広く行われている。一方、市場の拡大や消費者のニーズの多様化に伴い、食品包装用容器としての要求性能も高まっており、とりわけ水分を含む内容物を包装し冷蔵保存した場合の容器内面での結露に対する低温防曇性、及び高温の内容物を包装した場合の容器内面での水蒸気の凝縮に対する高温防曇性等の向上が強く望まれている。
ところで、これら樹脂シートは、ロール状に捲き取った捲回物として製品とされ、それを捲き戻しながら熱成形に供されるが、そのロール状捲回物としての保管時に樹脂シートの表面同士が密着し(以降、この種の密着現象を「ブロッキング」と言うことがある。)、捲き戻しが円滑にできず、強引に引き剥がすと樹脂シートが裂けてしまうというトラブルが起こり易かった。又、熱成形機の金型からの離型性が不良のため、成形容器を金型から取り出す際に傷等が発生し、商品価値を低下させるという問題もあった。更に、成形容器を多数積み重ね、打ち抜いて容器形状に整えるにおいて、容器同士のブロッキングが起こり、その引き剥がし時に往々にして容器の破損が生じる場合があった。
そして、これらの樹脂シートに前述の防曇性及びアンチブロッキング性・離型性等を賦与するために、従来より、樹脂シート表面に防曇剤及びシリコーンオイルの層を形成することが知られており、更に、その改良手法として、例えば、蔗糖ラウリン酸エステル、特定重合度のポリビニルアルコール、及びシリコーンオイルからなる層を形成する方法(例えば、特許文献1参照。)、蔗糖脂肪酸エステル、シリコーンオイル、及び多糖類又はポリアクリル酸ナトリウム等の親水性高分子からなる層を形成する方法(例えば、特許文献2参照。)、特定粘度のシリコーンオイル、及び防曇性を有するアクリル系重合体からなる層を形成する方法(例えば、特許文献3参照。)、蔗糖脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪エステル、及びポリエーテル変性シリコーンオイルからなる層を形成する方法(例えば、特許文献4参照。)、等の防曇性と離型性とを兼用する層を形成する方法、並びに、例えば、一方の面に蔗糖脂肪酸エステルからなる防曇剤層を、他方の面にシリコーンオイルからなる離型剤層を形成する方法(例えば、特許文献5参照。)、一方の面に蔗糖脂肪酸エステル、及びアクリル系重合体からなる防曇剤層を、他方の面にシリコーンオイルからなる離型剤層を形成する方法(例えば、特許文献6参照。)、等の防曇剤層と離型剤層とを別々に形成する方法等が提案されている。
しかしながら、特許文献1乃至4に提案されるような、防曇性と離型性とを兼用する層を形成する方法では、高分子化合物の添加の有無に関わらず、疎水性で防曇効果のないポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルやその変性物が混合されているため、十分な防曇性能が得られ難く、一方、特許文献5乃至6に提案されるような、防曇剤層と離型剤層とを別々に形成する方法では、ロール状捲回物としての保管時に防曇剤層と離型剤層が混じり合って、 透明シートを白化させてシート外観を悪化させるばかりか、捲き戻す時に防曇剤層が離型剤層に剥ぎ取られ(以降、この種の剥ぎ取られる現象を「転写」と言うことがある。)、防曇性が低下すると共に離型剤層の転写も起こして防曇性の更なる低下を引き起こし、それが、ロール状捲回物としての保管期間の長期化と共に益々顕著になるという問題があった。
更に、本発明者等の検討によると、防曇剤層又は離型剤層に高分子化合物を併用する場合、ポリビニルアルコールは、樹脂シートの熱成形時に白化が生じ易く、又、多糖類及びポリアクリル酸ナトリウムでは、シート成形時に発生するスクラップ等を回収してリサイクルした際、これらの高分子化合物が未溶融のまま凝集又はゲル化し、フィッシュアイとしてシート中に存在することとなってリサイクルすることができないという問題があることが判明した。
一方、離型剤層が防曇剤層に転写しても防曇性への影響を低減させる目的で、一方の面に蔗糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪エステルからなる防曇剤層を、他方の面にポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーやポリエチレングリコール等のエーテル系多量体、及びシリコーンオイルからなる離型剤層を形成する方法(例えば、特許文献7参照。)等も提案されているものの、本発明者等の検討によると、この提案方法においても、シート外観の悪化や防曇性の低下を抑制することは困難であることが判明した。
特公昭63−62538号公報。 特許第3241797号公報。 特許第3524659号公報。 特開2000−1555号公報。 特開平9−295384号公報。 特開2002−60633号公報。 特開2003−238716号公報。
本発明は、前述の従来技術における現状に鑑みてなされたもので、一方の面に防曇剤層が形成され、他方の面に離型剤層が形成された防曇性樹脂シートにおいて、ロール状に捲き取った捲回物の保管時における防曇剤層と離型剤層との混じり合い、 及び捲回物を捲き戻して成形に供する際の防曇剤層と離型剤層間の転写、成形後の金型からの離型性が改善され、シートや成形体としての外観の低下、ブロッキング等が抑制されると共に、食品包装用透明容器等としたときの低温及び高温防曇性の低下をも抑制することができる、リサイクル可能な防曇性樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、離型剤層にシリコーンオイルと共に特定のアクリル系重合体を併用することにより、前記目的を達成できることを見い出し本発明に到達したもので、即ち、本発明は、一方の面に防曇剤層が形成され、他方の面に離型剤層が形成された防曇性樹脂シートであって、離型剤層が、下記の(R1)成分と(R2)成分とを下記の割合で含有する防曇性樹脂シート、を要旨とする。
(R1)シリコーンオイル又は/及びその変性物;(R2)成分との合計量に対して45〜95重量%
(R2)親水性アクリル系重合体;(R1)成分との合計量に対して55〜5重量%
本発明によれば、一方の面に防曇剤層が形成され、他方の面に離型剤層が形成された防曇性樹脂シートにおいて、ロール状に捲き取った捲回物の保管時における防曇剤層と離型剤層との混じり合い、 及び捲回物を捲き戻して成形に供する際の防曇剤層と離型剤層間の転写、成形後の金型からの離型性が改善され、シートや成形体としての外観の低下、ブロッキング等が抑制されると共に、食品包装用透明容器等としたときの低温及び高温防曇性の低下をも抑制することができる、リサイクル可能な防曇性樹脂シートを提供することができる。
本発明の防曇性樹脂シートにおいて、離型剤層を構成する(R1)成分のシリコーンオイルとしては、この種の離型剤として公知の、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン等のアルキルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のアリールポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のアルキルアリールポリシロキサン等が挙げられる。これらの中で、離型性、及び経済性等の点から、アルキルポリシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサンが特に好ましい。
又、これらシリコーンオイルの変性物は、前記シリコーンオイルのアルキル基、或いはアリール基等に代えて、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、或いはフッ素原子含有アルキル基等が導入されたシリコーンオイルであり、具体的には、この種の離型剤として公知の、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの中で、安全性、及び離型剤層形成時の塗布液における溶解性等の点から、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく、オキシエチレン、オキシプロピレン等の炭素数2〜4のオキシアルキレンのポリマーであるポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンが更に好ましく、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性ジメチルポリシロキサンが特に好ましい。
又、本発明における前記シリコーンオイル及びその変性物は、25℃での粘度が、10〜100,000mm2 /sであるのが好ましく、50〜50,000mm2 /sであるのが更に好ましく、100〜30,000mm2 /sであるのが特に好ましい。尚、 シリコーンオイル及びその変性物は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
又、本発明の防曇性樹脂シートにおいて、離型剤層を構成する(R2)成分の親水性アクリル系重合体としては、 親水性基を有するアクリル系単量体に由来する構成繰返し単位を含むものであればよいが、該構成繰返し単位と、親水性基を有さないアクリル系単量体に由来する構成繰返し単位とからなる共重合体であるのが好ましい。
その親水性基を有するアクリル系単量体としては、 水と相互作用が強い極性の原子団である親水性基、即ち、 水中で陽イオンとして解離するカチオン性基、陰イオンとして解離するアニオン性基、 或いは解離しない非イオン性基を有する公知のアクリル系単量体が挙げられる。
そのカチオン性基を有するアクリル系単量体としては、 例えば、 (メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びその塩、 (メタ)アクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等が、又、そのアニオン性基を有するアクリル系単量体としては、 例えば、 (メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル及びその塩、ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びその塩等が、又、非イオン性基を有するアクリル系単量体としては、 例えば、 ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。尚、ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は/及び「メタクリル」を意味するものとする。
尚、ここで、塩としては、アルカリ金属、アルカリ土金属、及びアルミニウム族等の金属、好ましくはLi、Na、K、Mg、Ca、及びAlの塩、並びに、アンモニウム塩等が挙げられる。
これら親水性基を有するアクリル系単量体の中で、本発明においては、アンチブロッキング性、及び層間の転写抑制の点から、 アニオン性基を有するアクリル系単量体、及び非イオン性基を有するアクリル系単量体が好ましく、 アニオン性基を有するアクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸及びその塩が、 非イオン性基を有するアクリル系単量体としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、更に好ましい。
又、その親水基を有さないアクリル系単量体としては、 例えば、 (メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜8の直鎖状及び分岐状)エステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これらの親水基を有さないアクリル系単量体の中で、本発明においては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び(メタ)アクリロニトリルが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが更に好ましい。
以上の親水性アクリル系重合体の中で、本発明においては、(メタ)アクリル酸の金属塩に由来する構成繰返し単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成繰返し単位とを含む共重合体であるのが好ましい。
尚、本発明における(R2)成分の親水性アクリル系重合体としては、更に、架橋性アクリル系単量体に由来する構成繰返し単位を、共重合体がゲル化しない範囲で含んでいてもよく、これにより防曇剤層の硬度を向上させることができる。その架橋性アクリル系単量体としては、 例えば、 N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
又、本発明における前記親水性アクリル系重合体は、単独でも2種以上を組み合わせてもよく、その重量平均分子量としては、1,000〜200,000であるのが好ましく、3,000〜150,000であるのが更に好ましく、5,000〜100,000であるのが特に好ましい。
本発明において、 離型剤層を構成する(R1)成分の前記シリコーンオイル又は/及びその変性物と(R2)成分の前記親水性アクリル系重合体の割合は、 両者の合計量に対して、(R1)成分45〜95重量%、(R2)成分55〜5重量%であるのが好ましく、(R1)成分50〜93重量%、(R2)成分50〜7重量%であるのが更に好ましく、 (R1)成分55〜90重量%、(R2)成分45〜10重量%であるのが特に好ましい。(R1)成分が前記範囲未満で、(R2)成分が前記範囲超過では、 金型からの離型性及び成形容器同士の剥離性が不十分となり、一方、(R1)成分が前記範囲超過で、(R2)成分が前記範囲未満では、 防曇剤層と離型剤層間の混じり合い及び転写を十分に抑止できず、外観の低下及び経時的な防曇性の低下を生じることとなる。
又、本発明において、離型剤層は、離型剤層形成時の塗布液の樹脂シートに対する濡れ性を改良する目的で、更に下記の(R3)成分を含有するのが好ましい。
(R3)界面活性剤
本発明において、離型剤層に含有される界面活性剤としては、この種分野において濡れ性を改良する目的で用いられることが知られている界面活性剤であればよく、例えば、 グリセリン脂肪酸エステル、 ポリグリセリン脂肪酸エステル、 ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、 蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の非イオン性界面活性剤、 脂肪酸塩、 アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、 アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、 アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、 アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらの中で、良好な濡れ性を発現する点から、非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドが更に好ましい。これらの界面活性剤は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせてもよい。尚、本発明における離型剤層に含有される界面活性剤は、前述の特許文献1乃至4に記載されるような、防曇性と離型性とを兼用する層を形成する方法において防曇性を賦与することを目的として含有されるものとは異なり、実際に本発明における離型剤層だけでは十分な防曇性は発現できない。
ここで、好ましいとするポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの有する水酸基の一部が脂肪酸とエステル結合している限り、そのエステル結合の位置と数については制限されないが、良好な濡れ性を発現する点から、ポリグリセリンの重縮合度は2〜20であるのが好ましく、2〜15であるのが更に好ましく、2〜12であるのが特に好ましく、又、脂肪酸の炭素数は8〜22であるのが好ましく、10〜20であるのが更に好ましく、12〜18であるのが特に好ましく、その脂肪酸としては、飽和、不飽和を問わず、又、単独であっても混合物であってもよい。
又、好ましいとするソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンの有する水酸基の一部が脂肪酸とエステル結合している限り、そのエステル結合の位置と数については制限されないが、良好な濡れ性を発現する点から、脂肪酸の炭素数は8〜22であるのが好ましく、10〜20であるのが更に好ましく、12〜18であるのが特に好ましく、その脂肪酸としては、飽和、不飽和を問わず、又、単独であっても混合物であってもよい。
又、好ましいとする蔗糖脂肪酸エステルとしては、蔗糖の有する水酸基の一部が脂肪酸とエステル結合している限り、そのエステル結合の位置と数については制限されないが、良好な濡れ性を発現する点から、脂肪酸の炭素数は8〜22であるのが好ましく、10〜20であるのが更に好ましく、12〜18であるのが特に好ましく、その脂肪酸としては、飽和、不飽和を問わず、又、単独であっても混合物であってもよい。
又、好ましいとする脂肪酸アルカノールアミドは、脂肪酸とモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン等のアルキルアルコールアミンとの縮合生成物であり、良好な濡れ性を発現する点から、炭素数が10〜18の脂肪酸単独又は該脂肪酸を主成分とする混合脂肪酸とジエタノールアミンとの縮合生成物である脂肪酸ジエタノールアミドが好ましく、その脂肪酸としては、飽和、不飽和を問わない。又、脂肪酸ジエタノールアミドには、一般に、脂肪酸1モルとジエタノールアミン1モルとの縮合生成物である1:1型と、脂肪酸1モルとジエタノールアミン2モルとの縮合生成物である1:2型とがあるが、本発明においては、それぞれの単独物であっても混合物であってもよい。
本発明において、 離型剤層に含有される(R3)成分の前記界面活性剤の割合は、 前記(R1)成分と前記(R2)成分との三者の合計量に対して、(R1)成分と(R2)成分の合計量10〜90重量%、(R3)成分90〜10重量%であるのが好ましく、(R1)成分と(R2)成分の合計量15〜85重量%、(R3)成分85〜15重量%であるのが更に好ましく、 (R1)成分と(R2)成分の合計量20〜80重量%、(R3)成分80〜20重量%であるのが特に好ましい。(R1)成分と(R2)の合計量が前記範囲未満で、(R3)成分が前記範囲超過では、 金型からの離型性及び成形容器同士の剥離性が不十分となる傾向となり、一方、(R1)成分と(R2)成分の合計量が前記範囲超過で、(R3)成分が前記範囲未満では、 樹脂シート表面への離型剤層の形成性が低下する傾向となる。
又、本発明において、離型剤層は、離型剤層表面に微細な凹凸を形成させることにより、防曇剤層との間の転写を抑制し、或いは、金型からの離型性、及び成形容器同士の剥離性を改良することを目的として、更に下記の(R4)成分を含有していてもよい。
(R4)有機質又は/及び無機質微粒子
本発明において、離型剤層に含有される有機質微粒子としては、例えば、ポリスチレン系微粒子、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリプロピレン系微粒子、ポリアミド系微粒子、ポリエステル系微粒子、ポリビニルアルコール系微粒子、エポキシ樹脂系微粒子、シリコーン系微粒子、フッ素樹脂系微粒子等が、又、無機質微粒子としては、例えば、シリカ系微粒子、アルミナ系微粒子、シリカ・アルミナ系微粒子、チタニア系微粒子、ジルコニア系微粒子、クレー系微粒子等が挙げられる。これらの中で、良好な転写抑制性、離型性、及び剥離性の発現とリサイクル性の点から、有機質微粒子が好ましく、ポリスチレン系微粒子、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系微粒子、及びシリコーン系微粒子が更に好ましい。尚、これらの微粒子は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
ここで、好ましいとするポリスチレン系微粒子としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン、α−アルキルスチレン、ハロゲン化スチレン、及びジビニルベンゼン等の架橋性単量体等のスチレン系単量体の単独重合体或いは共重合体、又は、更に、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン等の、前記スチレン系単量体と共重合可能な他単量体との共重合体等の微粒子が挙げられ、中で、微粒子としての強度の点から、架橋性スチレン系単量体を含む重合体による架橋重合体の微粒子が好ましい。
又、好ましいとするポリ(メタ)アクリル酸エステル系微粒子としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜8の直鎖状及び分岐状)エステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びN,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート等の架橋性単量体等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体の単独重合体或いは共重合体、又は、更に、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、アルキル置換スチレン、α−アルキルスチレン、ハロゲン化スチレン、エチレン等の、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能な他単量体との共重合体等の微粒子が挙げられ、中で、微粒子としての強度の点から、架橋性(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含む重合体による架橋重合体の微粒子が好ましい。
又、好ましいとするシリコーン系微粒子は、シロキサン結合を有する三次元網目状化合物の微粒子であり、例えば、シロキサン結合が(RSiO3/2 n で表されるポリオルガノシルセスキオキサン硬化物であるシリコーンレジン微粒子、直鎖状のジメチルポリシロキサンを架橋させたシリコーンゴム微粒子、シリコーンゴム微粒子の表面をシリコーンレジンで被覆したシリコーン複合微粒子、アモルファスシリカ微粒子の表面をシリコーンにより疎水化処理したシリコーン表面処理シリカ微粒子等が挙げられる。
尚、本発明において、これらの有機質及び無機質微粒子の形状としては、球状であっても不定形状であってもよく、又、平均粒径は、0.1〜30μmであるのが好ましく、0.5〜25μmであるのが更に好ましく、1〜20μmであるのが特に好ましい。平均粒径が前記範囲未満では、微粒子が凝集してフィッシュアイが発生し易い傾向となり、一方、前記範囲超過では、粗大粒子が多く含まれることとなってシート外観を悪化させる傾向となる。
本発明において、 離型剤層に含有される(R4)成分の前記有機質又は/及び無機質微粒子の割合は、 前記(R1)成分と前記(R2)成分との三者の合計量に対して、(R1)成分と(R2)成分の合計量50〜98重量%、(R4)成分50〜2重量%であるのが好ましく、(R1)成分と(R2)成分の合計量55〜95重量%、(R4)成分45〜5重量%であるのが更に好ましく、 (R1)成分と(R2)成分の合計量60〜90重量%、(R4)成分40〜10重量%であるのが特に好ましい。(R1)成分と(R2)の合計量が前記範囲未満で、(R4)成分が前記範囲超過では、 微粒子が凝集してフィッシュアイが発生し易い傾向となり、一方、(R1)成分と(R2)成分の合計量が前記範囲超過で、(R4)成分が前記範囲未満では、 防曇剤層との間の転写の抑制効果、或いは、金型からの離型性、及び成形容器同士の剥離性が低下する傾向となる。
又、本発明において、 離型剤層に含有される(R4)成分の前記有機質又は/及び無機質微粒子の割合は、 前記(R1)成分と前記(R2)成分と前記(R3)成分との四者の合計量に対して、(R1)成分と(R2)成分と(R3)成分の合計量50〜98重量%、(R4)成分50〜2重量%であるのが好ましく、(R1)成分と(R2)成分と(R3)成分の合計量55〜95重量%、(R4)成分45〜5重量%であるのが更に好ましく、 (R1)成分と(R2)成分と(R3)成分の合計量60〜90重量%、(R4)成分40〜10重量%であるのが特に好ましい。
尚、前記離型剤層には、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、粘度調節剤、消泡剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤、及び顔料、染料等の着色剤等が添加されていてもよい。
本発明において、前記離型剤層の膜厚は、1〜100mg/m2 であるのが好ましく、3〜70mg/m2 であるのが更に好ましく、5〜50mg/m2 であるのが特に好ましい。離型剤層の膜厚が前記範囲未満では、金型からの離型性及び成形容器同士の剥離性が不十分となる傾向となり、一方、前記範囲超過では、防曇剤層との間の転写、及びそれに伴うシートの白化や防曇性の低下を抑制することが困難な傾向となる。
又、本発明において、防曇剤層としては、下記の(F1)成分を含有するのが好ましい。
(F1)多価アルコール型非イオン性界面活性剤又は/及び脂肪酸塩
本発明において、防曇剤層に含有される多価アルコール型非イオン性界面活性剤としては、この種分野において防曇剤として公知の、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、 ソルビタン脂肪酸エステル、 蔗糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、 ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル等が挙げられ、これらは2種以上が併用して用いられていてもよい。
これらの中で、良好な防曇性を発現する点から、構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜18の飽和又は/及び不飽和脂肪酸であり、且つ、モノエステルを20重量%以上含有するモノ−、ジ−、トリ−、及びポリ−エステルの混合体である蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び、構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜18の飽和又は/及び不飽和脂肪酸であり、且つ、重縮合度が2〜20、更には2〜12で、モノエステルを20重量%以上含有するモノ−、ジ−、トリ−、及びポリ−エステルの混合体であるポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
又、防曇剤層に含有される脂肪酸塩としては、この種分野において防曇剤として公知の、例えば、牛脂等の動物性油脂由来の脂肪酸塩、椰子油等の植物性油脂由来の脂肪酸塩、合成脂肪酸由来の脂肪酸塩等が挙げられ、これらの中で、良好な防曇性を発現する点から、構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜18の飽和又は/及び不飽和脂肪酸のナトリウム塩或いはカリウム塩が好ましい。これらは2種以上が併用して用いられていてもよい。
又、本発明における防曇剤層は、シート表面のベタツキを抑制する目的で、更に下記の(F2)成分を含有するのが好ましい。
(F2)親水性重合体
本発明において、防曇剤層に含有される親水性重合体としては、例えば、前記離型剤層において(R2)成分として挙げたと同様の親水性アクリル系重合体、及び、粘度平均分子量が5万〜800万であるポリエチレンオキサイド等が挙げられる。又、その含有割合としては、防曇性の点から、前記(F1)成分100重量部に対して900重量部以下であるのが好ましい。
尚、前記防曇剤層には、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、粘度調節剤、消泡剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤、及び顔料、染料等の着色剤等が添加されていてもよい。
本発明において、前記防曇剤層の膜厚は、5〜300mg/m2 であるのが好ましく、10〜200mg/m2 であるのが更に好ましく、15〜100mg/m2 であるのが特に好ましい。防曇剤層の膜厚が前記範囲未満では、防曇性自体が不十分となる傾向となり、一方、前記範囲超過では、シート同士のブロッキングが生じ易く、又、離型剤層との間の転写、及びそれに伴うシートの白化等が生じ易い傾向となる。
尚、本発明において、前記離型剤層及び前記防曇剤層の各膜厚の測定は、防曇性樹脂シート上の防曇剤、及び離型剤を洗浄して洗液を集め、重量法、ガスクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法等ですることができるが、膜厚既知のシートを標準サンプルとしてFT−IR(ATR法)により検量線を作成し、膜厚未知の測定値と比較する方法が簡便である。
本発明の防曇性樹脂シートで対象となる樹脂シートとしては、防曇性の食品包装用透明容器に用いられる樹脂、例えば、ポリスチレン系樹脂、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、及びポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂の未延伸シート、一軸或いは二軸延伸シート等が挙げられ、これらの中で、二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート、及び未延伸A−PETシートが好ましい。尚、樹脂シートとしては、単層シートのみならず積層シートであってもよく、その厚みは、0.1〜0.7mm程度であるのが好ましい。
本発明の防曇性樹脂シートは、通常、必要により前記樹脂シート表面を公知の表面処理方法を用いて、例えばコロナ放電処理により表面張力を50〜60mN/mの範囲に調整し、又は、高周波処理等の処理を施した後、その一方の表面に、0.1〜5重量%程度の濃度に調整した、前記(F1)成分の多価アルコール型非イオン性界面活性剤又は/及び脂肪酸塩、及び前記(F2)成分の親水性重合体等各成分の防曇剤含有水性塗布液を、スプレーコーター、エアーナイフコーター、スクィーズロールコーター、グラビアロールコーター、ナイフコーター等の公知の塗布方法で、乾燥膜厚が前記膜厚となる量で塗布し、熱風乾燥機等により乾燥させて防曇剤層を形成させ、次いで、他方の面に、0.1〜5重量%程度の濃度に調整した、前記(R1)成分のシリコーンオイル又は/及びその変性物、前記(R2)成分の親水性アクリル系重合体、前記(R3)成分の界面活性剤、及び前記(R4)成分の有機質又は/及び無機質微粒子等各成分の離型剤含有水性塗布液を同様の方法で、乾燥膜厚が前記膜厚となる量で塗布し、熱風乾燥機等により乾燥させて離型剤層を形成させることにより製造される。尚、その際、(R1)成分のシリコーンオイル又は/及びその変性物としては、エマルジョン状態のものを用いるのが好ましく、又、防曇剤層と離型剤層の形成順序は逆であってもよい。製造された防曇性樹脂シートは、通常、防曇剤層を外側とし離型剤層を内側として両層が重合するように、ロール状に捲き取られて捲回物とされる。
ロール状に捲き取られた防曇性樹脂シート捲回物は、捲き戻されながら、主として、真空成形法、圧空成形法等の熱成形法により、防曇剤層が内面となるように容器本体及び/又は蓋体等に賦形され、防曇性食品包装用容器の容器本体及び/又は蓋体として用いられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例、比較例で用いた離型剤層形成用成分としての(R1)シリコーンオイル又は/及びその変性物、(R2)親水性アクリル系重合体、(R3)界面活性剤、(R4)有機質又は/及び無機質微粒子、(X)その他成分、並びに、防曇剤層形成用成分としての(F1)多価アルコール型非イオン性界面活性剤又は/及び脂肪酸塩、(F2)親水性重合体を以下に示す。
<(R1)シリコーンオイル又は/及びその変性物>
R1−1;ジメチルポリシロキサン(25℃での粘度5,000mm2 /s、固形分35重量%のエマルジョン)
R1−2;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性ジメチルポリシロキサン(25℃での粘度900mm2 /s)
<(R2)親水性アクリル系重合体>
R2−1;メタクリル酸アルキルエステル/アクリル酸アルキルエステル/アクリル酸ナトリウム塩の三元共重合体
R2−2;メタクリル酸アルキルエステル/アクリル酸アルキルエステル/エチレングリコールジメタクリレート/メタクリル酸ナトリウム塩の四元共重合体
<(R3)界面活性剤>
R3−1;混合脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型、脂肪酸は炭素数12〜16の飽和脂肪酸が主成分)
R3−2;ラウリン酸ジエタノールアミド(1:1型)
R3−3;ヘキサグリセリンラウリン酸エステル
<(R4)有機質又は/及び無機質微粒子>
R4−1;架橋ポリスチレン系微粒子(平均粒径6μm)
R4−2;シリコーン複合微粒子(平均粒径2μm)
<(X)その他成分>
X−1;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体(ポリオキシエチレン80重量%、平均分子量15,000)(前述の特許文献7の実施例使用のエーテル系多量体)
<(F1)多価アルコール型非イオン性界面活性剤又は/及び脂肪酸塩
F1−1;蔗糖ラウリン酸エステル(モノエステル30重量%/ジ・トリ・ポリエステル70重量%の混合体)
F1−2;ジグリセリンラウリン酸エステル(モノエステル80重量%/ジ・トリ・ポリエステル20重量%の混合体)
F1−3;混合脂肪酸ナトリウム塩(脂肪酸は炭素数14〜18の飽和及び不飽和脂肪酸が主成分)
<(F2)親水性重合体>
F2−1;メタクリル酸アルキルエステル/アクリル酸アルキルエステル/アクリル酸ナトリウム塩の三元共重合体
F2−2;ポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量10万〜17万)
又、以下の実施例、比較例における防曇性樹脂シートの性能評価は、以下の方法及び基準に従って行った。特に断りがない限り「○」以上が本発明の対象レベルである。
<シートの透明性>
防曇性樹脂シートの曇価(ヘーズ)を、JIS K7105に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業社製「NDH−300A」を用いて測定(n=5の平均値)し、そのヘーズ値と、肉眼により観察したシート外観の両方を、以下の基準で評価した。
◎:ヘーズ1.5未満、又は白いムラ(転写模様)が全く見られない。
○:ヘーズ1.5〜2.0未満、又はうっすらとした白いムラ(転写模様)が見られる。
△:ヘーズ2.0〜3.0未満、又は白いムラ(転写模様)が目立つ。
×:ヘーズ3.0以上、又はくっきりとした白いムラ(転写模様)が見られる。
<熱成形時の離型性>
防曇性樹脂シート捲回物を捲き戻しながら、シートを熱成形機にセットし、離型圧空なしの条件で、開口部260mm×80mm、深さ60mmの容器本体を熱成形した際の金型からの離型性を、以下の基準で評価した。
◎:スムーズに離型できる。
○:離型時に若干の引っ掛かりがあるが、連続成形が可能である。
×:離型時に金型に引っ掛かり、連続成形が不可能である。
<容器本体同士の剥離性>
開口部220mm×135mm、深さ30mmに熱成形した容器本体(中仕切あり)144枚を積み重ね、その上に5kgの荷重を載せたときの高さをAとし、1分後に荷重を取り除いたときの高さをBとして、次式により復元率(n=2)を求め、以下の基準で評価した。
復元率(%)=〔(B−A)/A〕×100
◎:復元率が25%以上。
○:復元率が20〜25%未満。
△:復元率が10〜20%未満。
×:復元率が10%未満。
<蓋体の低温防曇性>
ポリスチレンシートから開口部180mm×120mm、深さ20mmに熱成形した容器本体(嵌合タイプ)に23℃の水150ccを入れ、一方、本発明の防曇性樹脂シートから、防曇剤層が内面となるように開口部180mm×120mm、深さ30mmに熱成形した蓋体(嵌合タイプ)で蓋をして、5℃のショーケース内に静置し、30分後、及び3時間後における蓋体内面の曇りの発生状況、液膜・水滴の付着状況を目視観察し、それぞれ初期防曇性、防曇持続性として、以下の基準で評価した。
◎:蓋体に曇りがなく、液膜が均一であり、内容物の視認性が良好なレベル。
○:蓋体に曇りはなく、液膜が不均一でやや水滴の付着が見られるが、内容物の視認性は問題ないレベル。
△:蓋体に曇りはないが、液膜が不均一でかなりの水滴付着が見られ、内容物の視認性に問題があるレベル。
×:蓋体の一部に曇りが見られるか、蓋体のほぼ全面で水滴付着が激しく内容物の視認が困難なレベル。
<蓋体の高温防曇性>
ポリスチレンシートから開口部180mm×120mm、深さ20mmに熱成形した容器本体(嵌合タイプ)に80℃のお湯150ccを入れ、一方、本発明の防曇性樹脂シートから、防曇剤層が内面となるように開口部180mm×1205mm、深さ30mmに熱成形した蓋体(嵌合タイプ)で蓋をして、23℃雰囲気に静置し、2分後、及び1間後における蓋体内面の曇りの発生状況、液膜・水滴の付着状況を目視観察し、それぞれ初期防曇性、持続防曇性として、以下の基準で評価した。
◎:蓋体に曇りがなく、液膜が均一であり、内容物の視認性が良好なレベル。
○:蓋体に曇りはなく、液膜が不均一でやや水滴の付着が見られるが、内容物の視認性は問題ないレベル。
△:蓋体に曇りはないが、液膜が不均一でかなりの水滴付着が見られ、内容物の視認性に問題があるレベル。
×:蓋体の一部に曇りが見られるか、蓋体のほぼ全面で水滴付着が激しく内容物の視認が困難なレベル。
<リサイクル性>
実施例、比較例で作製した防曇性樹脂シートを粉砕し、口径40mmの押出機を用いて、樹脂シートがポリスチレン系樹脂である場合は230℃で、ポリエステル系樹脂である場合は260℃で、4回繰り返して溶融混練を行った後、ペレット化した。このペレットを用いて、厚み0.3mmの粉砕前のシートと同様のシートを作製し、1m2 当たり0.1mm以上の大きさのフィッシュアイ個数を測定し、リサイクルなしの粉砕前のシートにおけるフィッシュアイ個数に対する増加数を算出し、以下の基準で評価した。
○;フィッシュアイの増加数が1m2 当たり10個未満。
×;フィッシュアイの増加数が1m2 当たり10個以上。
実施例1〜5、比較例1〜3
二軸延伸ポリスチレンシート(厚み0.3mm)の一方の面にコロナ処理を施した後、コロナ処理した面に、表1に示す組成の防曇剤水性塗布液を、他方の面に、表1に示す離型剤水性塗布液を、それぞれスプレーコーターで塗布し、塗工面を均一化し、乾燥させた後、防曇剤層を外側とし離型剤層を内側としてロール状に捲き取って捲回物とした。巻き取った直後の捲回物を捲き戻してシートをサンプリングし、防曇剤層の膜厚、及び離型剤層の膜厚をFT−IR(ATR法)により測定し、結果を表1に示した。尚、膜厚の測定は、防曇剤層については1730cm-1付近の、離型剤層については1260cm-1付近の各特性吸収と、ポリスチレンの1940cm-1付近の特性吸収との比を、防曇剤組成又は離型剤組成、及び各膜厚が既知のシートから作成した検量線と比較することで定量した。
一方、巻き取った捲回物を室温で約2ヶ月間保管した後、捲き戻したシートの透明性、熱成形時の離型性、成形した容器本体同士の剥離性、熱成形した蓋体の防曇性、及びシートのリサイクル性を、前述の方法で評価し、結果を表1に示した。
実施例6
未延伸A−PETシート(厚み0.3mm)の一方の面に、表1に示す組成の防曇剤水性塗布液を、他方の面に、表1に示す離型剤水性塗布液を、それぞれスプレーコーターで塗布し、塗工面を均一化し、乾燥させた後、防曇剤層を外側とし離型剤層を内側としてロール状に捲き取って捲回物とした。巻き取った直後の捲回物を捲き戻してシートをサンプリングし、防曇剤層の膜厚、及び離型剤層の膜厚をFT−IR(ATR法)により測定し、結果を表1に示した。尚、膜厚の測定は、防曇剤層については1730cm-1付近の、離型剤層については1260cm-1付近の各特性吸収と、A−PETの特性吸収との比を、防曇剤組成又は離型剤組成、及び各膜厚が既知のシートから作成した検量線と比較することで定量した。
一方、巻き取った捲回物を室温で約2ケ月間保管した後、捲き戻したシートの透明性、熱成形時の離型性、成形した容器本体同士の剥離性、熱成形した蓋体の防曇性、及びシートのリサイクル性を、前述の方法で評価し、結果を表1に示した。
Figure 0004163160
比較例1、2、及び3と、各実施例との対比により、離型剤層としては、シリコーンオイル又は/及びその変性物の他に、特定重量割合の親水性アクリル系重合体が必要であることが明らかである。
本発明の防曇性樹脂シートは、ロール状に捲き取った捲回物の保管時における防曇剤層と離型剤層との混じり合い、 及び捲回物を捲き戻して成形に供する際の防曇剤層と離型剤層間の転写、成形後の金型からの離型性が改善され、シートや成形体としての外観の低下、ブロッキング等が抑制されると共に、食品包装用透明容器等としたときの低温及び高温防曇性の低下をも抑制することができる、リサイクル可能な防曇性樹脂シートを提供することができ、熱成形により防曇性食品包装用用透明容器等として用いるに好適である。

Claims (7)

  1. 一方の面に防曇剤層が形成され、他方の面に離型剤層が形成された防曇性樹脂シートであって、離型剤層が、下記の(R1)成分と(R2)成分とを下記の割合で含有することを特徴とする防曇性樹脂シート。
    (R1)シリコーンオイル又は/及びその変性物;(R2)成分との合計量に対して45〜95重量%
    (R2)親水性アクリル系重合体;(R1)成分との合計量に対して55〜5重量%
  2. 離型剤層における(R1)成分のシリコーンオイルが、ジメチルポリシロキサンである請求項1に記載の防曇性樹脂シート。
  3. 離型剤層における(R1)成分のシリコーンオイル変性物が、ポリエーテル変性シリコーンオイルである請求項1又は2に記載の防曇性樹脂シート。
  4. 離型剤層における(R2)成分の親水性アクリル系重合体が、(メタ)アクリル酸塩に由来する構成繰返し単位を含む共重合体である請求項1乃至3のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
  5. 離型剤層が、更に下記の(R3)成分を含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
    (R3)界面活性剤
  6. 離型剤層が、更に下記の(R4)成分を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
    (R4)有機質又は/及び無機質微粒子
  7. 防曇剤層が、下記の(F1)成分を含有する請求項1乃至6のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
    (F1)多価アルコール型非イオン性界面活性剤又は/及び脂肪酸塩
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