JP5329834B2 - 防曇性表面処理剤及び防曇性樹脂シート - Google Patents
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本発明の防曇性表面処理剤(防曇剤又は防曇性組成物)は、(A)脂肪酸アミドと(B)水溶性高分子と(C)非イオン性界面活性剤及び/又は(D)アニオン性界面活性剤とで構成されている。
脂肪酸アミド(A)は、アミン類(アミン又はアンモニア)の水素原子を脂肪酸(脂肪族カルボン酸)に対応する酸基で置換した化合物であり、脂肪酸とアミン類とのアミドとして表すことができる。脂肪酸アミド(A)には、脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加体(例えば、エチレンオキサイド付加体、プロピレンオキサイド付加体などのC2−4アルキレンオキサイド付加体)も含まれる。脂肪酸アミド(アルキレンオキサイド付加体を含む)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
水溶性高分子には、親水性基又はユニット(カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、ヒドロキシル基、アミド基、塩基性窒素原子含有基、ビニルエーテルユニット、オキシエチレンユニットなど)を有するポリマー、セルロース誘導体、天然高分子多糖類(アルギン酸類など)などが含まれる。水溶性高分子は、水溶性、水分散性及び水膨潤性高分子のいずれであってもよい。
非イオン性界面活性剤には、多価アルコール脂肪酸エステルと、活性水素原子を有する疎水性化合物の活性水素原子にエチレンオキサイドが付加した付加体とに大別できる。
(D)アニオン性界面活性剤は、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、カルボン酸塩、リン酸塩又はリン酸エステル塩などであってもよい。
表面処理剤はシリコーンオイルを含有してもよい。シリコーンオイルを用いると、表面処理剤を適用した樹脂シート(防曇性樹脂シート)のブロッキング防止性又は離型性を改善できる。シリコーンオイルの種類は特に制限されず、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、トリフルオロプロピルポリシロキサンなどのアルキルポリシロキサン;ジフェニルポリシロキサンなどのアリールポリシロキサン;メチルフェニルポリシロキサンなどのアルキルアリールポリシロキサンなどが挙げられる。シリコーンオイルは、鎖状ポリシロキサンであってもよく、環状ポリシロキサンであってもよい。
本発明の防曇性樹脂シートは、樹脂シートと、この樹脂シートの少なくとも一方の面(片面又は両面)に形成された防曇層(被覆層又はコーティング層)とで構成されており、前記防曇層は、前記表面処理剤で構成されている。
本発明の容器(防曇性容器)は、樹脂製容器と、この容器の少なくとも一部の表面(例えば、容器本体の内面又は外面、蓋体の内面又は外面などの少なくとも一つの面)に形成された防曇層(前記表面処理剤で構成された防曇層)とで構成されていればよく、樹脂製容器の表面に前記塗布方法(噴霧など)により表面処理剤を塗布することにより得られる容器であってもよく、前記防曇性樹脂シートで形成された容器(防曇性樹脂シートを成形加工することにより得られる容器など)などであってもよい。このような容器は、防曇性及び透明性に優れるため、食品包装用容器などの水分を含有する収容物を収容するための容器などとして有用である。なお、前者の容器において、樹脂製容器を構成する樹脂としては、前記樹脂シートの項で例示の樹脂が使用できる。
(A1)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンエキストラ128、ヤシ油脂肪酸:ジエタノールアミド=1:1型)
(A2)ラウリン酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAA−62EX、ラウリン酸:ジエタノールアミド=1:1型)
(A3)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAB−20、ヤシ油脂肪酸:モノエタノールアミド=1:1型)
(A4)ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンME−20、ヤシ油脂肪酸:モノエタノールアミド=1:1型)
(A5)ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAD−31、ラウリン酸:モノイソプロパノールアミド=1:1型)
(A6)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファン2012E、ヤシ油脂肪酸:ジエタノールアミド=1:2型)。
(B1)ポリビニルピロリドン(BASF製、ルビテックK−90、ガラス転移温度180℃、重量平均分子量90×104〜150×104)
(B2)ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(BASF製、ルビテックVA64、ガラス転移温度70℃)
(B3)ポリビニルアルコール((株)クラレ製、ポバールPVA117、融点180℃、鹸化度98〜99mol%)
(B4)メチルセルロース(信越化学工業(株)製、メトローズSM100、融点300℃)
(B5)カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製、CMCダイセル1260、融点230℃)
(B6)ポリオキシエチレン(明成化学工業(株)製、アルコックスL−11、融点70℃、重量平均分子量11×104)。
(C1)ショ糖ラウリン酸エステル(理研ビタミン(株)製、リケマールA、融点90℃、固形分濃度41重量%の水溶液)
(C2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(第一工業製薬(株)製、DKS NL−600、融点54℃)
(C3)グリセリンモノべヘネート(理研ビタミン(株)製、リケマールB−100、融点75〜82℃)。
(D1)アルカンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、ラテムルPS、炭素数15程度のアルカンスルホン酸ナトリウム、融点70℃、固形分濃度40重量%の水溶液)
(D2)ラウリル硫酸ナトリウム(花王(株)製、エマール2FG、融点104℃)。
各成分の固形分比率(各成分の乾燥後の重量比率)が表に示す割合(重量部)になるように水性表面処理剤(防曇処理剤)を調製した。なお、処理剤の濃度は評価項目により異なるが、処理剤の濃度とは固形分の濃度(重量%)を示す。そして、シート厚み0.25mmの二軸延伸ポリスチレンシートのコロナ放電処理面に水性表面処理剤(防曇処理剤)を、以下の評価特性項目に応じて、所定量塗布し、熱風乾燥機を用いて、80℃で2分間乾燥することにより、防曇層を形成した。
(1-i)高温防曇性
シート厚み0.25mmの二軸延伸ポリスチレンシートを54dyn/cm以上(54×10−5N/cm以上)にコロナ放電処理し、このコロナ放電処理面に乾燥後の塗布量20mg/m2で防曇処理剤(濃度0.7重量%)をNo.5メイヤーバーにて塗布し、乾燥することにより、防曇層を形成した。得られた防曇性樹脂シートを所定サイズ(120mm×120mm)に切り取り、卓上二軸延伸機(岩本製作所(株)製)にて70mm延伸させた。60℃の湯を入れた容器の開口部に、シートの防曇層を向けてシートを載せ、常温環境下で2分間放置した。次いで、シートの蒸気接触部分を、紙に印刷したフォントサイズの異なる文字群「防曇性」の上に載せ、シートの曇りの程度を下記の基準に従って目視にて評価し、5枚のシートについて評価した結果の平均値を算出した。
4:フォントサイズ10の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
3:フォントサイズ14の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
2:フォントサイズ18の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
1:文字が判別できない。
周囲の温度23℃にて、水(23℃)を入れた容器に、高温防曇性(1-i)の評価で得られた延伸された防曇性樹脂シートの防曇層を容器の開口部に向けてシートを載せ、この状態で、5℃の恒温槽内に入れて、10分間放置した。次いで、取り出した直後のシートの曇りの程度を、防曇性樹脂シートの初期特性における高温防曇性(1-i)の評価と同様にして評価し、5枚のシートについて評価した結果の平均値を算出した。
シート厚み0.25mmの二軸延伸ポリスチレンシートを54dyn/cm以上(54×10−5N/cm以上)にコロナ放電処理し、このコロナ放電処理面に乾燥後の塗布量30mg/m2で防曇処理剤(濃度1.0重量%)をNo.5メイヤーバーにて塗布し、乾燥することにより、防曇層を形成した。得られた防曇性樹脂シートを所定サイズ(5cm×5cm)に切り取り、同じ大きさのアルミシートと防曇面側を合わせ、ステンレス板(厚み5mm、3cm×5cm)で挟んだ。これを60℃の恒温槽に水平に置き、更に15kgの重りを載せ、1時間放置した。放置後、恒温槽から取出し、常温に冷却した後、防曇面とアルミシートとが接触した面を観察し、接触面積に対し、防曇面がアルミシートに転写されている割合を求めた。5枚のシートで評価し、その平均を求めた。
シート厚み0.25mmの二軸延伸ポリスチレンシートを54dyn/cm以上(54×10−5N/cm以上)にコロナ放電処理し、このコロナ放電処理面に乾燥後の塗布量20mg/m2で防曇処理剤(濃度0.7重量%)をNo.5メイヤーバーにて塗布し、乾燥することにより、防曇層を形成した。防曇性樹脂シートを所定サイズ(30cm×30cm)にカットし、10枚重ねた後、温度40℃及び荷重10kgf/cm2(≒98N/cm2)にて、1時間プレスした後、圧力を開放してシートを1枚ずつ分離し、シートの裏移り性及び高温防曇性について下記に従って評価し、ロール状にシートを巻取った場合のシート特性の指標とした。
防曇性樹脂シートの加圧前後のヘーズ値(%)を測定し、差を求めた。
プレス後の分離したシートについて、防曇性樹脂シートの初期特性における高温防曇性(1-i)の評価と同様に操作を行い、前記高温防曇性(1-i)の評価と同様に評価し、5枚のシートの平均値を算出した。
Claims (17)
- (A)脂肪酸アミドと、(B)水溶性高分子と、(C)非イオン性界面活性剤及び/又は(D)アニオン性界面活性剤とを含む防曇性表面処理剤であって、
(A)脂肪酸アミドと(B)水溶性高分子との割合(重量比)が、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)であり、
(A)脂肪酸アミドが、(A-1)C 8−30 脂肪酸アミド又はそのC 2−4 アルキレンオキサイド付加体、及び(A-2)C 8−30 脂肪酸のモノ又はジアルカノールアミド又はそのC 2−4 アルキレンオキサイド付加体から選択された少なくとも一種で構成され、
(B)水溶性高分子が、カルボキシル基又はその塩を有する重合体、スルホン酸基又はその塩を有する重合体、ヒドロキシル基含有重合体、アミド基含有重合体、塩基性窒素原子含有重合体、ビニルエーテル系重合体、アルキレンエーテル系重合体、セルロース誘導体、水溶性ポリエステル及び天然高分子多糖類からなる群より選択された少なくとも1種で構成され、
(D)アニオン性界面活性剤が、アルカンスルホン酸塩及びアルキル硫酸エステル塩から選択された少なくとも一種で構成されている防曇性表面処理剤。 - (B)水溶性高分子が、60℃以上の融点、軟化点又はガラス転移温度を有する請求項1記載の表面処理剤。
- (B)水溶性高分子が、ビニルピロリドン系重合体、ビニルアルコール系重合体、セルロースエーテル類、アルキレンエーテル系重合体及びアルギン酸又はその塩から選択された少なくとも一種である請求項1又は2記載の表面処理剤。
- (C)非イオン性界面活性剤が、50℃以上の融点、軟化点又はガラス転移温度を有する請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤。
- (C)非イオン性界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択された少なくとも一種で構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理剤。
- (A-1)C8−26脂肪酸のアミド又はそのエチレンオキサイド付加体、及び(A-2)C8−26脂肪酸のモノ又はジアルカノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加体から選択された少なくとも一種で構成された(A)脂肪酸アミドと、ビニルピロリドン系重合体で構成された(B)水溶性高分子と、(C)非イオン性界面活性剤及び(D)アニオン性界面活性剤のうち少なくとも(C)非イオン性界面活性剤とを含み、(C)非イオン性界面活性剤が少なくともショ糖脂肪酸エステルで構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理剤。
- (A)脂肪酸アミドと(B)水溶性高分子とを前者/後者=15/85〜85/15(重量比)の割合で含むベース組成物100重量部に対して、(C)非イオン性界面活性剤0.1〜400重量部及び/又は(D)アニオン性界面活性剤0.1〜200重量部を含む請求項1〜6のいずれかに記載の表面処理剤。
- (A)脂肪酸アミドが(A-2)C8−20脂肪酸のモノ又はジアルカノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加体で構成され、(B)水溶性高分子が、ビニルピロリドン系重合体、ビニルアルコール系重合体、セルロースエーテル類から選択された少なくとも一種で構成され、かつ62℃以上の融点、軟化点又はガラス転移温度を有しており、(C)非イオン性界面活性剤が53℃以上の融点、軟化点又はガラス転移温度を有するショ糖脂肪酸エステルで構成され、(A)脂肪酸アミドと(B)水溶性高分子とを前者/後者=20/80〜80/20(重量比)の割合で含むベース組成物100重量部に対して、(C)非イオン性界面活性剤1〜380重量部及び/又は(D)アニオン性界面活性剤1〜150重量部を含む請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理剤。
- 樹脂シートの少なくとも一方の面に請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理剤で構成された防曇層が形成されている防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートがコロナ放電処理されており、コロナ放電処理面に防曇層が形成されている請求項9記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートの一方の面に防曇層が形成され、他方の面に離型層が形成されている請求項9又は10記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートがスチレン系樹脂シートである請求項9〜11のいずれかに記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートの少なくとも一方の面に、請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理剤を塗布する防曇性樹脂シートの製造方法。
- 樹脂シートに表面処理剤を塗布した後、ロール状に巻き取る請求項13記載の製造方法。
- 樹脂製容器の少なくとも一部の表面に請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理剤で構成された防曇層が形成されている容器。
- 請求項9〜12のいずれかに記載の防曇性樹脂シートで形成された容器。
- 樹脂シートの少なくとも一方の面に請求項1〜8のいずれかに記載の表面処理剤が塗布量5〜50mg/m2で塗布され、かつ容器成形されている防曇性容器。
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