JP5127374B2 - 防曇性表面処理剤及び防曇性樹脂シート - Google Patents
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Description
本発明の防曇性表面処理剤は、脂肪酸アミド(A)と、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(B)とで構成されている。
脂肪酸アミド(A)は、アミン類(アミン又はアンモニア)の水素原子を脂肪酸(脂肪族カルボン酸)に対応する酸基で置換した化合物であり、脂肪酸とアミン類とのアミドとして表すことができる。脂肪酸アミド(A)には、脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物(例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのC2−4アルキレンオキサイド付加物)も含まれる。脂肪酸アミド(アルキレンオキサイド付加物を含む)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(以下、単にPOE−POPブロック共重合体と称する場合がある)(B)は、オキシエチレンブロック−(CH2CH2O)m−(式中、mはオキシエチレン単位の繰り返し数を示す)とオキシプロピレンブロック−(CH(CH3)CH2O)n−(式中、nはオキシプロピレン単位の繰り返し数を示す)とで構成された共重合体である。m及びnは同一又は異なって、1以上の整数である。
(式中、m1及びm2は同一又は異なって、オキシエチレン鎖の繰り返し数を示し、1以上の整数である)
POE−POPブロック共重合体の重量平均分子量は特に制限されず、1,000〜100,000(例えば、1,000〜80,000)、好ましくは1,500〜60,000(例えば、1,500〜50,000)、さらに好ましくは2,000〜40,000(例えば、2,000〜30,000)程度であってもよい。
表面処理剤は、シリコーンオイルを含有してもよい。シリコーンオイルを用いると、表面処理剤を適用した樹脂シート(防曇性樹脂シート)のブロッキング防止性又は離型性を改善できる。シリコーンオイルの種類は特に制限されず、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、トリフルオロプロピルポリシロキサンなどのアルキルポリシロキサン;ジフェニルポリシロキサンなどのアリールポリシロキサン;メチルフェニルポリシロキサンなどのアルキルアリールポリシロキサンなどが挙げられる。シリコーンオイルは、鎖状ポリシロキサンであってもよく、環状ポリシロキサンであってもよい。
本発明の防曇性樹脂シートは、樹脂シートと、この樹脂シートの少なくとも一方の面(片面又は両面)に形成された防曇層(被覆層又はコーティング層)とで構成されており、前記防曇層は、前記表面処理剤で構成されている。
本発明の容器は、樹脂製容器とこの容器の少なくとも一部の表面に形成された防曇層とで構成されており、防曇層は、前記表面処理剤で構成されている。このような容器は、防曇性及び透明性に優れるため、食品包装用容器などの水分を含有する収容物を収容するための容器などとして有用である。
(A1)ラウリン酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAA−62EX、ラウリン酸:ジエタノールアミド=1:1型)
(A2)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンエキストラ24、ヤシ油脂肪酸:ジエタノールアミド=1:1型)
(A3)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAB−20、ヤシ油脂肪酸:モノエタノールアミド=1:1型)
(A4)ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンME−20、ヤシ油脂肪酸:モノエタノールアミド=1:1型)
(A5)ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAD−31、ラウリン酸:モノイソプロパノールアミド=1:1型)
(A6)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファン2012E、ヤシ油脂肪酸:ジエタノールアミド=1:2型)。
(B1)第一工業製薬(株)製、エパンU108、重量平均分子量18000、エチレンオキシド含有率80重量%
(B2)第一工業製薬(株)製、エパン785、重量平均分子量13000、エチレンオキシド含有率85重量%
(B3)第一工業製薬(株)製、エパン485、重量平均分子量8000、エチレンオキシド含有率85重量%
(B4)第一工業製薬(株)製、エパン450、重量平均分子量2400、エチレンオキシド含有率50重量%。
ジメチルシリコーン水性エマルジョン、信越化学工業(株)製、KM9738、粘度10万センチストークス=100×10−4m2/s
(D)他の成分
(D1)ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製、リケマールA)
(D2)デカグリセリンモノラウリン酸エステル(坂本薬品工業(株)製、SYグリスタML750)
(D3)ポリビニルピロリドン(BASFジャパン(株)製、ルビテックk−90、重量平均分子量90×104〜150×104)。
表に示す割合(重量部)で各成分を含む水性表面処理剤(防曇処理剤)を調製した。シート厚み0.25mmの二軸延伸ポリスチレンシートを60dyn/cm(60×10−5N/cm)にコロナ放電処理し、前記防曇処理剤を乾燥後の塗布量が15mg/m2となるようにワイヤーブラシにて塗布し、乾燥することにより、防曇層を形成した。
(i)高温防曇性
60℃のお湯を入れた容器の開口部に、防曇性樹脂シートの防曇層が蒸気に接するようにシートを載せ、常温環境下で2分間放置した。次いで、シートの蒸気接触部分を、紙に印刷したフォントサイズの異なる文字群「防曇性」の上に載せ、シートの曇りの程度を下記の基準に従って目視にて評価し、5枚のシートについて評価した結果の平均値を算出した。
5:フォントサイズ5の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
4:フォントサイズ10の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
3:フォントサイズ14の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
2:フォントサイズ18の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
1:文字が判別できない。
周囲の温度23℃にて、水(23℃)を入れた容器に、防曇性樹脂シートの防曇層を容器の開口部に向けてシートを載せ、この状態で、5℃の恒温槽内に入れて、2分間放置した。次いで、取り出した直後のシートの曇りの程度を、上記高温防曇性(i)と同様にして評価し、5枚のシートについて評価した結果の平均値を算出した。
防曇性樹脂シートのヘーズ値(%)を測定した。なお、ヘーズ値が2%未満を、透明性に優れるとして評価した。
防曇性樹脂シートの外観を目視で観察し、下記の基準にて評価した。
○:光沢があり、均一でにごりやむらがない
×:白くにごり、むらがある。
防曇性樹脂シートを指で挟み、シートの指への粘着性を下記の基準で評価した。
○:指への粘着感がなく、さらっとしている
×:指への粘着感がある。
防曇性樹脂シートを30cm×30cm四方にカットし、10枚重ねた後、温度40℃及び荷重10kgf/cm2(≒98N/cm2)にて、1時間プレスした後、圧力を開放してシートを1枚ずつ分離し、シートの外観及び高温防曇性について下記に従って評価し、ロール状にシートを巻取った場合のシート特性の指標とした。
シートの外観を、下記の基準に従って、目視にて評価した。
○:シート表面に防曇処理剤の裏移りがなく、プレスの前後でシートの外観に差異がない
×:シートの表面に防曇処理剤が裏移りし、不均一に白っぽい部分が形成される。
プレス後の分離したシートについて、防曇性樹脂シートの初期特性における高温防曇性(i)の評価と同様に操作を行い、下記の基準にて、高温防曇性を評価し、5枚のシートの平均値を算出した。
5:フォントサイズ5の「防曇性」の文字が読み取れる
4:フォントサイズ10の「防曇性」の文字が読み取れる
3:フォントサイズ14の「防曇性」の文字が読み取れる
2:フォントサイズ18の「防曇性」の文字が読み取れる
1:文字が判別できない。
Claims (14)
- 脂肪酸アミド(A)と、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(B)とを、脂肪酸アミド(A)/ブロック共重合体(B)(重量比)=1/99〜37/63の割合で含有する防曇性表面処理剤であって、前記ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(B)の重量平均分子量が8000〜100000である防曇性表面処理剤。
- 脂肪酸アミド(A)とブロック共重合体(B)との割合(重量比)が、脂肪酸アミド(A)/ブロック共重合体(B)=5/95〜30/70である請求項1記載の表面処理剤。
- 脂肪酸アミド(A)が、C8−30脂肪酸とアミン類とのアミド又はそのC2−4アルキレンオキサイド付加物である請求項1又は2記載の表面処理剤。
- 脂肪酸アミド(A)が、C8−26脂肪酸とモノ又はジアルカノールアミンとのアミドもしくはそのエチレンオキサイド付加物である請求項1〜3のいずれかの項に記載の表面処理剤。
- さらにシリコーンオイルを含有する請求項1〜4のいずれかの項に記載の表面処理剤。
- 樹脂シートの少なくとも一方の面に請求項1〜5のいずれかの項に記載の表面処理剤で構成された防曇層が形成されている防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートがコロナ放電処理されており、コロナ放電処理面に防曇層が形成されている請求項6記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートの一方の面に防曇層が形成され、他方の面に離型層が形成されている請求項6又は7記載の防曇性樹脂シート。
- 離型層が、少なくともオキシエチレン単位を有するエーテル系親水性高分子、及びシリコーンオイルから選択された少なくとも一種で構成されている請求項8記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートがスチレン系樹脂シートである請求項6〜9のいずれかの項に記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートの少なくとも一方の面に、請求項1〜5のいずれかの項に記載の表面処理剤を塗布する防曇性樹脂シートの製造方法。
- 樹脂シートに請求項1〜5のいずれかの項に記載の表面処理剤を塗布した後、ロール状に巻き取る請求項11記載の防曇性樹脂シートの製造方法。
- 請求項6〜10のいずれかの項に記載の防曇性樹脂シートで形成された容器。
- 樹脂製容器の少なくとも一部の表面に請求項1〜5のいずれかの項に記載の表面処理剤で構成された防曇層が形成されている容器。
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