JP4905971B2 - 防曇性スチレン系樹脂シートとその成形品 - Google Patents
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Description
本発明は、防曇性スチレン系樹脂シートを成形した成形品の防曇性に優れ、なおかつ、成形時の熱板汚れが少ない為成形性が格段に向上した防曇性スチレン系樹脂シートとその成形品を提供することを目的とする。
(A)ショ糖脂肪酸エステル3〜35質量%と、(B)PVA3〜40質量%と、(C)脂肪酸金属塩30〜90質量%とからなる防曇剤をスチレン系樹脂シートの一方の面に塗布することを必須とする。
(A)ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸とのエステルである。ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸などの炭素数6〜30程度の飽和脂肪酸、リンデン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、イソオレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数10〜24程度の不飽和脂肪酸が挙げられ、これら脂肪酸は単独でも併用してもよい。その中でもショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸がラウリン酸であり、ラウリン酸成分としての割合が50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、特に好ましくは65質量%以上である。ラウリン酸成分としての割合が50質量%以上の場合、シート塗工性、経時の低温防曇性に優れる傾向が見られる。なお、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸とは、ショ糖と脂肪酸からエステルを成すが、そのエステルを成す前の脂肪酸をここではいう。
また、これらショ糖脂肪酸エステルは少なくとも単独でも一種類以上併用使用することもできる。防曇剤中のショ糖脂肪酸エステル量は3〜35質量%である。好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%である。ショ糖脂肪酸エステル量は3質量%未満であると塗布ムラが発生し易くシート外観に劣る傾向を示す。また、ショ糖脂肪酸エステル量は35質量%を超える場合は成形時の熱板が汚れ易い。
シリコーンエマルジョン量が5質量%未満であるとシート滑性に劣り、60質量%を超えると防曇面にシリコーンオイルが転写し易く、防曇性が劣る傾向を示す。
更に、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコール共重合体樹脂の場合、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールがブロック共重合体であり、ポリプロピレングリコールの両端にポリエチレングリコールが配置するブロック共重合体が好ましく、更に好ましくは、ポリエチレングリコール割合が40〜95質量%であり、特に好ましくは、60〜90質量%以下である。ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコール共重合体樹脂がランダム共重合体の場合、プレス試験後の防曇性に劣る傾向を示す。
更にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールがブロック共重合体でポリエチレングリコール割合が40質量%未満である場合と95質量%を超える場合でもプレス試験後の防曇性が劣る傾向を示す。
離型剤中の界面活性剤量は、好ましくは、5〜50質量%であり、更に好ましくは10〜37質量%である。特に好ましくは、15〜33質量%以下である。界面活性剤量が5質量%未満であると帯電防止性に劣り、50質量%を超えると塗工ムラが発生し易くシート外観に劣る傾向を示す。
また、スチレン系単量体に共重合可能な単量体を共重合して得た共重合体としては、メタクリル酸−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好ましい。
ここで用いられるスチレン系単量体及び/又はスチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、前記で挙げた単量体を用いることができる。
ブタジエン系ゴムにはハイシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックゴム、部分水添ポリブタジエンゴム等が挙げられる。
更に、スチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、前記で挙げた単量体を用いることが出来る。
なお、重合に用いる単量体やブタジエン系ゴムは少なくとも1種類類以上を用いることができる。これらの透明性を損なわない範囲で混合できる重合体としてはゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が好ましい。
また、0.5g/m2を超えると塗工ムラが発生し易く、シート外観が劣る傾向を示す。
なお、実施例における物性測定は以下の通り実施した。
◎:シートの90%以上に塗工ムラが無い。
○:シートの75%以上90%未満で塗工ムラが無い。
□:シートの50%以上75%未満で塗工ムラが無い。
△:シートの20%以上50%未満で塗工ムラが無い。
×:シートの80%より広い範囲で塗工ムラが有る。
◎:熱板掃除したウエスの90%以上が汚れて無かった。
○:熱板掃除したウエスの80%以上90%未満が汚れて無かった。
□:熱板掃除したウエスの70%以上80%未満が汚れて無かった。
△:熱板掃除したウエスの50%以上70%未満が汚れて無かった。
▲:熱板掃除したウエスの30%以上50%未満が汚れて無かった。
×:熱板掃除したウエスの30%を超える範囲で汚れていた。
◎:格子柄が95%以上はっきり見える。
○:格子柄が85%以上95%未満はっきり見える.
□:格子柄が70%以上85%未満はっきり見える。
△:格子柄が50%以上70%未満はっきり見える。
▲:格子柄が30%以上50%未満はっきり見える。
×:格子柄が70%より広い範囲でぼやけて見える。
尚、目視評価は(4)と同じ方法である。
(A−1):ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の70質量%がラウリン酸であるショ糖ラウリン酸エステルで、かつその40質量%水溶液(三菱化学フーズ社製ショートーシュガーエステルLWA1570)
(B−1):ケン化度が88モル%、4%水溶液20℃の粘度が23mPa・sのPVA(電気化学社製ポバールB−17)
(B−2):ケン化度が74モル%、4%水溶液20℃の粘度が5mPa・sのPVA
(C−1):脂肪酸成分がラウリン酸で、塩がNaであるラウリン酸Na(日本油脂社製ノンサールLN−1)
(C−2):脂肪酸成分がラウリン酸で、塩がKであるラウリン酸K(日本油脂社製ノンサールLK−2)
(D−1):ジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーンエマルジョンで、かつその35質量%水溶液(GE東芝シリコーン社製TSM6343)
(E−1):ポリエチレングリコール成分が80モル%のポリエチレングリコールとポリプロピレングリコール共重合体(日本油脂社製プロノン208)
(E−2):2%水溶液の平均粘度4500mPa・sのメチルセルロース(信越化学社製SM4000)
(E−3):平均分子量4000のポリプロピレングリコール(日本油脂社製PEG#4000)
(E−4):平均分子量3500、ポリオキシエチレン50wt%のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、
(E−5):平均分子量1600のポリエチレングリコール
(F−1):ラウリル硫酸アンモニウム(花王社製ラテウムAD25)
(F−2):ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(花王社製レオドールTWL120)
0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートに防曇剤としては(A−1)、(B−1)、(C−1)を用い、表1の割合に調整になるように調整した防曇剤液を2軸延伸GPポリスチレンシートに65mg/m2になるようにグラビア塗布/乾燥し、更に離型剤としては(A−1)、(D−1)、(E−1)、(F−1)を用い、防曇剤液を塗布した反対面にグラビア塗布/乾燥し、防曇性スチレン系樹脂シートを得た。また、そのシートを用い、蓋容器(200mm長×120mm幅×50mm高さ)を成形した。表1に防曇剤、離型剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。防曇性及び熱板汚れ性の両方に物性に優れていることが分かる。
0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートに表1に示した防曇剤及び離型剤成分とした以外が実施例1と同様に行った。表1に防曇剤、離型剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。防曇性及び熱板汚れ性の両方の物性に優れていることが分かる。
防曇剤と離型剤の組成および塗布量として表2の様になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。表2に防曇剤、離型剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。表1と比較し、防曇性と熱板汚れ性の両方の物性を同時に改善してないことが分かる。
Claims (8)
- (A)ショ糖脂肪酸エステル3〜35質量%と、(B)ポリビニルアルコール3〜40質量%と、(C)脂肪酸塩30〜90質量%とからなる防曇剤をスチレン系樹脂シートの一方の面に塗布したことを特徴とする防曇性スチレン系樹脂シート。
- (C)脂肪酸塩を構成する脂肪酸の50%以上が炭素数12〜14であり、かつ塩がNaおよびKの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の防曇性スチレン系樹脂シート。
- (A)ショ糖脂肪酸エステル3〜40質量%と、(D)シリコーンエマルジョン5〜60質量%と、(E)水溶性高分子量樹脂3〜50質量%と、(F)界面活性剤5〜50質量%とからなる離型剤を防曇剤塗布したスチレン系樹脂シートの反対面に塗布することを特徴とする請求項1又は2記載の防曇性スチレン系樹脂シート。
- (E)水溶性高分子量樹脂がメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコール共重合体から選ばれた少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項3記載の防曇性スチレン系樹脂シート。
- (F)界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびアルキル硫酸エステル塩の少なくとも一方からなることを特徴とする請求項3又は4記載の防曇性スチレン系樹脂シート。
- スチレン系樹脂シートとして2軸延伸GPポリスチレンシートを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の防曇性スチレン系樹脂シート。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の防曇性スチレン系樹脂シートを用いて得られることを特徴とする成形品。
- 成形品が食料品包装容器であることを特徴とする請求項7記載の成形品。
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