JP3524659B2 - 高機能性スチレン系樹脂フィルムまたはシート - Google Patents

高機能性スチレン系樹脂フィルムまたはシート

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JP3524659B2
JP3524659B2 JP33172395A JP33172395A JP3524659B2 JP 3524659 B2 JP3524659 B2 JP 3524659B2 JP 33172395 A JP33172395 A JP 33172395A JP 33172395 A JP33172395 A JP 33172395A JP 3524659 B2 JP3524659 B2 JP 3524659B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスチレン系フィルム
またはシートに関する。さらに詳細には表面外観、防曇
性、アンチブロッキング性等が優れたスチレン系樹脂フ
ィルムまたはシートに関する。
【0002】
【従来の技術】一般用ポリスチレン(GPPS)、耐衝
撃性ポリスチレン等のスチレン系樹脂はその優れた耐水
性及び/又は透明性に基づいてフィルム、シートの形状
で或いは成形品に加工されて、食料品等の包装材として
広く使用されている。
【0003】しかしながら、スチレン系樹脂のような疎
水性樹脂のフィルム、シート等は、気温、湿度の変化に
より空気中の水分がその表面に凝結し、微小水滴となり
シート表面が曇って透明性が失われるという問題が生じ
ている。例えば一般用ポリスチレン(GPPS)シート
は各種食品包材として使用されているが、このシートよ
り成形した容器に新鮮な生野菜等を収納、包装して保存
した場合、生野菜に含まれる水分により容器内部が飽和
状態となり容器内面に水分が凝結、付着する。その結
果、容器が曇り、収納物を見分けることが困難となり、
詰まるところ、透明性という一般用ポリスチレンシート
の特徴を著しく低下させる。さらに、凝結付着した水分
はシートの透明性を低下させるだけでなく容器に収納し
ている生野菜にも悪影響を与える。また、一般用ポリス
チレンシートは、弁当容器の蓋等に加工され高温条件に
おいても使用されている。この場合においても、食品部
より発生する水蒸気により容器が曇り、収納物を見分け
ることが困難となる。
【0004】また、長尺のシートは、その製造工程にお
いてロール状に巻き、食料品の包装材として使用する場
合にはロール状に巻かれたシートを巻き戻しながら容器
に成形される。しかし、シート表面同志が付着し(ブロ
ッキング)巻き戻しが円滑にできず、強く引き剥がすと
シートが裂けてしまうというトラブルがが起こり易い。
さらにシートから多数の容器を製造し、それらを多数枚
重ねてシートから打抜きした容器に物品を収納する際
に、成形品間の剥離性が悪く作業効率の低下をきたし、
また強く引き剥がせば成形品が破損するという欠点があ
った。
【0005】以上のように、スチレン系シート単体では
防曇性は悪く、また、シート巻き取り時にはブロッキン
グ現象が起こる。
【0006】従来、このような欠点を改良するためにス
チレン系樹脂フィルム又はシート表面に例えばショ糖脂
肪酸エステル等の防曇剤と例えばシリコーンオイル等の
アンチブロッキング剤等の表面処理剤を塗布する方法が
提案されている。
【0007】特公昭63−62538では防曇剤として
ショ糖脂肪酸エステルと重合度800以下の無変性ポリ
ビニルアルコールと、アンチブロッキング剤として平均
粒子径が1μm未満のポリシロキサンエマルジョンとを
予め混合してシート表面に塗布する方法が提案されてい
るが、この方法で得られたシートは初期防曇性、アンチ
ブロッキング性は良好であるが、シート表面に白い斑点
状の模様が生じ外観が不良であり、スチレン系樹脂シー
トの特徴である透明性を損なうという欠点がある。ま
た、表面が水分で濡れるとショ糖脂肪酸エステルが溶出
して防曇性が消失し、シートを深絞り成形を行うと塗膜
の分断が生じて表面外観が悪化するという欠点がある。
【0008】特開昭53−115781では、フィルム
表面にコロナ放電処理を施した後に処理剤でフィルム表
面を処理する方法が提案されているが、コロナ処理は放
電電極部よりオゾンが発生するため作業環境の汚染、金
属腐食性があるので排気を十分に行う設備を設けるか、
集気して分解するような付帯設備を設けるのに非常に多
大な投資が必要となるため経済性に劣る。またノニオン
系の処理剤に対しては効果が低い。
【0009】そこで、特公昭59−35922は処理剤
に親水性高分子を配合し、スチレン系樹脂シートの初期
防曇性を維持する方法、、特開平2−263836では
処理剤(ジあるいはモノ)アルキルスルホコハク酸エス
テルを用いた方法等が提案されている。
【0010】しかしこれ等の方法では防曇性、アンチブ
ロッキング性、表面外観の優れた満足したスチレン系フ
ィルム、シートが得られるまでは至っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は防曇性、ブロ
ッキング性、外観のいずれにも優れたスチレン系樹脂フ
ィルム、シートを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は鋭意
検討を行った結果、特定のシリコーンオイルと親水性基
を有する系樹脂からなる処理剤でスチレン系樹脂フィル
ム、シートの表面を処理することでフィルムまたはシー
ト本来の美麗な外観を損なわしめることなく、これに優
れた防曇性とアンチブロッキング性を付与することを見
出し、本発明を完成させた。
【0013】即ち本発明は、25℃における基油粘度
2,000〜150,000cstのシリコーンオイル
(A)5〜40重量部と親水性基を有する樹脂(B)6
0〜95重量部との混合物からなり、且つショ糖脂肪酸
エステルを含まない処理剤が表面に塗布されていること
を特徴とするスチレン系樹脂フィルムまたはシートを提
供することにある。
【0014】また本発明は、該(A)のシリコーンオイ
ルが25℃における基油粘度7,000〜50,000
cstであることを特徴とする上記記載のスチレン系樹
脂フィルムまたはシートを提供することにある。
【0015】また本発明は、親水性基を有する樹脂
(B)がアクリル酸エステル又は、メタクリル酸エステ
ル単独、又はそれらの2種以上のモノマーと親水性モノ
マーとの共重合体であるものが塗布されたスチレン系樹
脂フィルムまたはシートを提供することにある。
【0016】また本発明は、該処理剤が水性エマルジョ
ンであって、かつシリコーンオイル(A)と親水性基を
有する樹脂(B)の合計の濃度が処理剤全重量に対し、
5〜20重量%であるものを用いた前記記載のスチレン
系樹脂フィルムまたはシートを提供することにある。
【0017】また本発明は、該水性エマルジョンがアニ
オン性エマルジョンを用いた前記記載のスチレン系樹脂
フィルムまたはシートを提供することにある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】本発明におけるスチレン系樹脂はスチレン
を含有する樹脂であれば特に限定されるものではない
が、例えば一般用ポリスチレン(GPPS)、スチレン
と他のモノマーとの共重合体、例えばアクリロニトリル
−スチレン共重合体(AS)、又はゴムで変成したスチ
レン系樹脂、例えば耐衝撃性ポリスチレン(HIP
S)、ABS樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合
体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が
挙げられる。これら重合体のスチレンの一部又は全部を
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトル
エン、p−ターシャリースチレン等のビニル芳香族化合
物に置き換えたものでも良い。またABS樹脂のアクリ
ロニトリルの一部又は全部をメタクリロニトリルに置き
換えたものでも良い。さらに他のスチレンと共重合可能
な単量体例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸
アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル、
無水マレイン酸等をスチレンと共重合したものでも良
い。さらには上記スチレン系樹脂同士またはの樹脂と
のブレンド物も使用できる。
【0020】本発明において、スチレン系樹脂をフィル
またはシートに加工する方法は通常行われている方法
が採用され、例えば、T−ダイ法、インフレーション
法、カレンダー法等が挙げられる。また事前にコロナ放
電処理等の前処理を受けたフィルムまたはシートを使用
しても有効である。
【0021】本発明の表面処理剤はシリコーンオイル
(A)と親水性基を有する樹脂(B)から構成される。
【0022】本発明において使用されるシリコーンオイ
ル(A)は、有機基を持つケイ素がシロキサン結合によ
って連なったポリマーであり、好ましくは直鎖ポリマー
が使用され、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチル
ポリシロキサン、トリフロロプロピルポリシロキサン、
ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキ
サン等が挙げられる。ジメチルポリシロキサンが好まし
い。
【0023】シリコーンオイル(A)の、基油粘度は2
5℃で 2,000〜150,000cstのものを使
用するのが好ましく、さらに好ましくは2、000〜1
00、000、特に好ましくは7,000〜20,00
0cstである。
【0024】本発明で言う、基油粘度とはJIS K
2283で測定したシリコーンオイルの粘度のことであ
る。この範囲のシリコーンオイルを使用することによ
り、良好なスベリ性が得られ、また塗りムラもなく外
観、防曇性ともに良好なシートが得られる。基油粘度が
2,000cstより低いものを使用すると、表面処理
剤塗布、乾燥後、シート表面に白い斑点状の模様が発生
し、外観不良の原因となる。また、基油粘度が150,
000cstより高くなると、シート表面がべたつき、
塗りムラが発生し防曇性、アンチブロッキング性、外観
は低下する。
【0025】また、シート表面の処理方法を考慮すると
シリコーンオイルが水中に分散した水性エマルジョンの
形態で使用するのが良い。
【0026】シリコーンエマルジョンとしては、乳化重
合の段階で得られるエマルジョンと、シリコーンオイル
を機械的に乳化分散させて得られるエマルジョンとに大
別されるが、どちらのタイプを使用してもよい。エマル
ジョンにはアニオン型、ノニオン型、カチオン型がある
が、特にアニオン型又はノニオン型のエマルジョンが好
ましい。
【0027】本発明において使用する親水性基を有する
樹脂(B)は水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基等の
親水基を持つ樹脂であれば特に制限はないが、例えば特
公昭60−52188明細書の第3欄14行〜同32行
及び実施例に記載の水溶性アクリル樹脂、特開平6−1
6849明細書第3欄第6行〜同第5頁第6行記載のア
クリルアミド系共重合体、特開昭62−220502明
細書第2頁左上欄第18行〜同第5頁第9行、特開平6
84401明細書第2頁左欄第16行〜同第4頁第46
及び上記特許の各実施例に記載のエチレン系不飽和基
を有し親水基を有しない単量体(a)とエチレン系不飽
和基を有し親水基を有する単量体(b)を共重合させて
得られる樹脂などが例示される。
【0028】特に好ましくはエチレン系不飽和基を有し
親水基を有しない単量体(a)とエチレン系不飽和基を
有し親水基を有する単量体(b)を共重合させて得られ
る樹脂であり、(a)と(b)の共重合体はランダム重
合でも特開昭62−220502、特開平684401
記載のブロック的共重合体でも使用できる。
【0029】(a)の単量体としては水酸基、カルボン
酸基、スルホン酸基、アクリルアミド基等の親水基を持
たない単量体であって、エチレン系不飽和基を持つもの
が使用される。
【0030】(a)単量体としては通常ラジカル重合で
きる単量体が用いられ、例えばアクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸プロピレ、アクリル酸n−ブ
チル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、ア
クリル酸n−オクチル、アクリル酸2ーエチルヘキシ
ル、アクリル酸n−オクチル等のアクリル酸アルキルエ
ステル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチ
ル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸ベンジル等
のメタアクリル酸アルキルエステル、スチレン、ビニル
トルエン、α−メチルスチレン、ブロモスチレン、ビニ
ルカルバゾール等の芳香族ビニル化合物及びその誘導
体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和
ニトリル化合物、メチルビニルエーテル、ブチルビニル
エーテル等のビニルエーテル、蟻酸ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニ
ル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル、
塩化ビニリデン、、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデン
等のハロゲン化ビニリデンさらにはイソプレン、クロロ
プレン、ブタジエン等のジエン化合物も使用できる。
【0031】アクリル酸アルキルエステル、メタクリル
酸アルキルエステルが好ましく使用される。
【0032】(b)の単量体としては、水と相互作用が
強い極性の原子団である親水基、即ち水中で陽イオン
(カチオン性)、陰イオン(アニオン性)として解離す
る基、あるいは解離しない基(ノニオン系)を有する
チレン系不飽和基を併せ持つ公知の単量体であれば特に
限定されないで使用できる。
【0033】アニオン性の親水基を有する単量体として
は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マ
レイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸またはその
塩、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリル
酸2−スルホエチル、スチレンスルホン酸−2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスフホン酸等の不飽和ス
ルホン酸またはその塩、ヒドロキシルエチルアクリロイ
ルホスフェート、2−ヒドロキシルエチルアクリロイル
ホスフェート等の不飽和リン酸またはその塩等があげら
れる。
【0034】カチオン性親水基を有する単量体としては
アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタアクリル酸ジメ
チルアミノエチル、N−(3−アリルオキシ−2−ヒド
ロキシプロピル)ジメチルアミン、N−(3−アリルオ
キシ−2−ヒドロキシプロピル)ジエチルアミン等の不
飽和第3級アミンまたはその塩(例えば塩酸塩、酢酸
塩、硫酸塩等)、アクリル酸エチルトリメチルアンモニ
ウムクロライド、メタアクリル酸エチルトリメチルアン
モニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロ
イルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、N−メチルピリジウムクロライド、ビニルピリジル
トリメチルアンモニウムクロライド等の不飽和4級アン
モニウム塩等が挙げられる。
【0035】ノニオン性の親水性基を有する単量体とし
ては例えば2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の
不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、ポリ
エチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコ
ールメタアクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ルアクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレ
ート等の不飽和カルボン酸のポリアルキレングリコール
エステルが挙げられる。
【0036】これ等の中でも、アニオン性、ノニオン性
の親水性基を有する単量体が好ましい。特に(b)の単
量体の親水基カルボン酸の塩型、スルホン酸の塩型、リ
ン酸の塩型、水酸基、ポリアルキレンオキシド基のもの
が好ましい。
【0037】親水性基を有する樹脂(B)中の単量体
(a)と(b)の比は、単量体合計に対して(a)が5
0〜99重量%、好ましくは70〜97重量%である。
(b)が1重量%以下になると十分な防曇性効果が得ら
れず、50重量%より多いとアンチブロッキング性の改
良効果が低下する。
【0038】(B)の樹脂を製造する際に、(a)及び
(b)に100重量部に対して架橋性単量体を好ましく
は0.2〜15重量%添加して重合しても良い。これに
よって塗膜の耐水性や硬度を向上させることができる。
【0039】該架橋性モノマーの例としてはアクリルア
ミド、N−メチロールアクリルアミド、アルコキシメチ
ルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロール
メタクリルアミド、アルコキシメチルメタクリルアミド
等のアクリルアミド、メタクリロアミド類、エチレング
リコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアク
リレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テ
トラエチレングリコールジアクリレート等のモノまたは
ポリアルキレングリコールジアクリレート類、エチレン
グリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジ
メタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレ
ート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等の
モノまたはポリアルキレングリコールジメタクリレート
類、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリル
セパケート、トリアリルトリアジン)等のジまたはポリ
アリル化合物、アリルメタクリレート、アリルアクリレ
ート等のアリル化合物などが挙げられる。
【0040】本発明の処理方法を考慮すると、(B)が
水中に乳化分散した水性エマルジョンの形態が好まし
い。水性エマルジョンの形態で得るには重合でエマルジ
ョンを得る方法、界面活性剤を用いて重合体を水中に分
散させる方法等公知の方法が適用できる。エマルジョン
にはアニオン型、ノニオン型、カチオン型があるが、ア
ニオンまたはノニオン型が好ましい。
【0041】本発明の方法では親水性基としてカルボン
酸の塩型基、スルホン酸の塩型基、リン酸の塩型基、第
4級アンモニウム塩基、水酸基及びポリアルキレンオキ
サイド基を有するものも好ましく使用できるので、必要
によりカルボン酸基、スルホン酸基、又はリン酸基を有
する親水性基を含有するモノマーを使用した場合はアル
カリ金属化合物や有機アミン化合物で変性して酸型えお
塩基型に一部または全部変性して使用することもでき
る。また第3級アミン基を持つ親水性基を有するモノマ
ーを使用した場合には酸で中和して第4級アミンに変性
して使用することもできる。これらの変性物も本願の
(B)樹脂の中に含まれる。
【0042】本発明で使用されるシリコーンオイル
(A)と親水性基を有する樹脂(B)との混合組成は
(A)5〜40重量部、親水性基を有する樹脂(B)9
5〜60重量部である。
【0043】(A)が5重量部より少なく(B)が95
部より多いとアンチブロッキング性が劣り、(A)が4
0重量部を越え、(B)が60重量部より少ないと表面
外観、防曇性に優れず好ましくない。
【0044】本発明の方法では(A)と(B)とからな
る処理剤でスチレン系樹脂フィルムまたはシートの表面
を処理される。処理すると言う意味はスチレン系樹脂フ
ィルムまたはシートの表面に処理剤を付着している状態
にすれば特に方法は限定されない。処理方法としては塗
布法、練込み法、真空蒸着法等が挙げられるが、はけぬ
り、噴霧、侵漬、ロールコーター、グラビアロールコー
ター、ナイフコーター、バーコーターをはじめとする塗
布法が好ましい。
【0045】また、処理剤をスチレン系樹脂シートまた
はフィルムに塗布するに際し、(A)と(B)を別々に
塗布しても、(A)と(B)を混合して塗布することも
できるが予め混合して塗布した方が塗布むらが生じにく
く好ましい。
【0046】上記塗布に際しては、特に処理剤を水性エ
マルジョンで使用する方法が推奨され、その場合(A)
と(B)の濃度は処理剤全重量に対して1〜20重量
%、好ましくは3〜10重量%である。1重量%より少
ないと防曇性、アンチブロッキング性に劣り、20重量
%を越えると塗りむらが発生して、表面外観が悪化して
好ましくない。
【0047】
【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に
限定されるものではない。尚、表面処理剤の組成比の差
が二軸延伸ポリスチレンシート並びに成形容器の防曇
性、アンチブロッキング性、外観に及ぼす影響を調査
し、以下に掲げる評価方法、評価基準に従って評価し
た。
【0048】a.防曇性の評価 a−1.評価方法 (1)恒温水槽にて、水温を80℃に保ち、上記シートを
塗布面を下に覆い密封し、放置、経時、シート表面外観
を目視で観察した。 (2)上記シートの塗布面が内側になるように成形した容
器に青果を入れて、上記シートの塗布面が内側になるよ
うに蓋をして熱封した。塗布面を生野菜と接触させ、−
5℃の低温下に放置、経時成形物表面を肉眼で観察し
た。
【0049】a−2.評価基準 ◎:全く曇りが見られず、水滴も見られない。 ○:曇りは見られず、大粒の水滴が見られる。 △:防曇処理面積の2割未満が微小水滴で曇り不透明状
を呈する。 ×:防曇処理面積の2割以上が微小水滴で曇り不透明状
を呈する。
【0050】b.アンチブロッキング性の評価 b−1.評価方法 JIS−K−7125に準じ静摩擦係数を測定。測定器
は東洋精機製卓上型自動平行記録計を使用した。 卓上型自動平行記録計測定条件 ロードセル:200g、シート引張り速度:50mm/
min b−2.評価基準 静摩擦係数値 0.4> :◎ 0.4〜0.5 :○ 0.4< :×
【0051】c.外観の評価 c−1.評価方法 上記シート及び、上記シートより得られた成形品の外観
を目視で観察した。
【0052】c−2.評価基準― シート、成形品共通 ◎:塗布ムラ見られず外観良好。 ○:シート、成形品表面に白い斑点状の模様が見られ
る。 ×:塗布ムラ、または、白い筋状の模様が見られる。
【0053】製造例−1(樹脂(B1)の製造) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた反応器に水200部
(重量部、以下同様)、ラウリル硫酸ナトリウム0.6
75部、アクリル酸n−ブチル40.5部、メタクリル
酸メチル10.12部、テトラエチレングリコールジメ
チルアクリレート1.01部を入れ、容器内を窒素置換
した。反応器内の温度を85℃にして、過硫酸カリウム
0.24を水25部に溶解した重合開始剤を添加して4
時間重合を行ったあと中和して、粒子径0.062μm
のエマルジョン370mlを得た。本エマルジョンにさ
らに水を加えて重合体の濃度を7.2wt%の重合体が
含むように調節した。本エマルジョンを重合体(B1)
として使用した。
【0054】製造例−2(樹脂(B2)の製造) 攪拌機、温度計及び冷却管を備えた反応器に水200部
(重量部、以下同様)、ラウリル硫酸ナトリウム0.6
75部、アクリル酸n−ブチル40.5部、メタクリル
酸メチル10.12部、テトラエチレングリコールジメ
チルアクリレート1.01部を入れ、容器内を窒素置換
した。反応器内の温度を85℃にして、過硫酸カリウム
0.15を水25部に溶解した重合開始剤を添加して2
時間重合を行った。
【0055】次に、アクリル酸n−ブチル10.8部、
メタクリル酸メチル3.38部、テトラエチレングリコ
ールジメチルアクリレート1.35部を入れさらに2時
間重合し、その後に、メタクリル酸メチル40部、テト
ラエチレングリコールジメチルアクリレート0.4部を
添加し、30分後に過硫酸カリウム0.15を水50部
に溶解した重合開始剤を添加して3時間重合を行ったあ
と中和した。その結果、粒子径0.088μmのエマル
ジョンを得、エマルジョンは7wt%の重合体を含んで
いる濃度に調節した。本エマルジョンを重合体(B2)
として使用した。
【0056】実施例1 基油粘度10000cstのジメチルポリシロキサンエ
マルジョン(東芝シリコーン社製、商品名:TSM64
8はジメチルポリシロキサンを30重量%含有していろ
が、これに水を添加して実分6重量%含む水性エマルジ
ョンに調節した)(A)が10重量%と製造例1で得ら
れた樹脂(B1)の水性エマルジョン90重量%を混
合、一液とし表面処理剤の濃度7重量%調整した表面処
理剤を、表面未処理の二軸延伸ポリスチレンシートにバ
ーコーター(テスタ産業(株)、P11210 FIL
MCOATER)で塗布を施した。結果を表1に示す。
この方法で得られた二軸延伸ポリスチレン系樹脂フィル
ムまたはシートは、表1に示す通り、防曇性、アンチブ
ロッキング性、外観に優れ、また、2次加工されても初
期防曇性、防曇持続性は良好である。
【0057】表1において処理剤の成分比は水分を含ま
ないシリコーンオイル及び樹脂の実分で示した。
【0058】実施例2 実施例1の方法において、ジメチルポリシロキサンエマ
ルジョン(東芝シリコーン社製、商品名:TSM648
水を加えて実分7.5重量%になるように希釈した)
(A)20重量%と製造例1で得られた(B1)樹脂の
水性エマルジョン80重量%とした以外は実施例1と同
様に実験を行った。結果を表1に示す。この方法で得ら
れた二軸延伸ポリスチレン系樹脂フィルムまたはシート
は、防曇性、アンチブロッキング性、外観に優れ、ま
た、2次加工されても初期防曇性、防曇持続性は良好で
ある。
【0059】実施例3 実施例1の方法において、ジメチルポリシロキサンエマ
ルジョンの基油粘度を80000の物を用いた以外は実
施例1と同様にして実験を行った。
【0060】結果を表1に示す。この方法で得られた二
軸延伸ポリスチレン系樹脂フィルムまたはシートは、防
曇性、アンチブロッキング性、外観に優れ、また、2次
加工されても初期防曇性、防曇持続性は良好である。
【0061】実施例4 実施例1の方法において、ジメチルポリシロキサンエマ
ルジョンとして基油粘度を5000のもの(信越化学
((株)製、商品名KM 893)を用いた以外は実施
例1と同様にして実験を行った。
【0062】結果を表1に示す。この方法で得られた二
軸延伸ポリスチレン系樹脂フィルムまたはシートは、防
曇性、アンチブロッキング性、外観に優れ、また、2次
加工されても初期防曇性、防曇持続性は良好である。
【0063】実施例5 実施例1の方法において、(B)成分として製造例2で
得られたB2を用いた以外は実施例1と同様に実験を行
った。結果を表1に示す。この方法で得られた二軸延伸
ポリスチレン系樹脂フィルムまたはシートは、防曇性、
アンチブロッキング性、外観に優れ、また、2次加工さ
れても初期防曇性、防曇持続性は良好である。
【0064】実施例6 実施例1の方法において(B)成分としての水性エマル
ジョン90重量%(理研ビタミン社製、商品名リケマー
ルS−3:アクリル酸とメタクリル酸ブチレ及びアクリ
ル酸ブチルを主成分とした共重合体)を使用した以外は
実施例1と同様に実験を行った。
【0065】比較例1 実施例1の方法において、ジメチルポリシロキサンエマ
ルジョンを用いずに親水性基を有する樹脂(B)の水性
エマルジョン(樹脂分7重量%含有)のみを用いてその
他は同様にして実験を行った結果を表1に示す。
【0066】比較例2 実施例1の方法において、親水性基を有する樹脂(B)
の水性エマルジョンを用いずにジメチルポリシロキサン
エマルジョン(ジメチルポリシロキサンエマルジョン分
7重量%含有)のみを用いてその他は同様にして実験を
行った結果を表1に示す。
【0067】比較例3、4 実施例1の方法において、使用したジメチルポリシロキ
サンエマルジョンの基油粘度を比較例3では100cs
t、比較例4では200000cstとした以外は同様
にして行った結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【0070】
【発明の効果】 本発明は、上記を構成することによ
り、スチレン系樹脂シートまたはフィルムに、その本来
の透明性、光沢を損なわしめずに優れた防曇性、アンチ
ブロッキング性を一回の処理で付与することに成功した
ものであり、これにより得られたシートまたはフィルム
は透明性、ブロッキング性、防曇性を併せて改良するこ
とができる。また、従来に比べ複数の塗布液タンク、コ
ロナ設備等を必要としないので製造プロセスの合理化が
可能である。その工業的な利用価値は極めて大きい。
フロントページの続き (72)発明者 川野 浩司 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (72)発明者 緒續 士郎 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東 圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−287097(JP,A) 特開 昭58−79027(JP,A) 特開 平5−39375(JP,A) 特開 平6−158032(JP,A) 特開 昭53−115781(JP,A) 特開 昭56−166234(JP,A) 特公 昭59−35922(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 C08J 5/18 C09D 5/00 - 201/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25℃における基油粘度2,000〜1
    50,000cstのシリコーンオイル(A)5〜40
    重量部と親水性基を有する樹脂(B)60〜95重量部
    との混合物からなり、且つショ糖脂肪酸エステルを含ま
    ない処理剤が表面に塗布されていることを特徴とするス
    チレン系樹脂フィルムまたはシート。
  2. 【請求項2】 (A)のシリコーンオイルが25℃にお
    ける基油粘度7,000〜50,000cstである
    とを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂フィルム
    またはシート。
  3. 【請求項3】 親水性基を有する樹脂(B)がアクリル
    酸エステル又は、メタクリル酸エステル単独、又はそれ
    らの2種以上とモノマーと親水性モノマーとの共重合体
    である請求項1記載のスチレン系樹脂フィルムまたはシ
    ート。
  4. 【請求項4】 処理剤が水性エマルジョンであって、か
    つシリコーンオイル(A)と親水性基を有する樹脂
    (B)の合計の濃度が処理剤全重量に対し、5〜20重
    量%であるものを用いた請求項1記載のスチレン系樹脂
    フィルムまたはシート。
  5. 【請求項5】 水性エマルジョンがアニオン性エマルジ
    ョンを用いた請求項4記載のスチレン系樹脂フィルムま
    たはシート。
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