JP3904545B2 - スチレン系樹脂シートとその成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
防曇剤はショ糖脂肪酸エステルと残メタノールと残酢酸メチルの合計が4質量%以下であるPVAを必須とする。ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸とのエステルである。ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸などの炭素数6〜30程度の飽和脂肪酸、リンデン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、イソオレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数10〜24程度の不飽和脂肪酸が挙げられ、これら脂肪酸は単独でも併用してもよい。その中でもショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸がラウリン酸であり、ラウリン酸成分としての割合が50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、特に好ましくは65質量%以上である。ラウリン酸成分としての割合が50質量%以上の場合、防曇効果にも優れる傾向が見られる。なお、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸とは、ショ糖と脂肪酸からエステルを成すが、そのエステルを成す前の脂肪酸をここではいう。また、これらショ糖脂肪酸エステルは少なくとも単独でも一種類以上併用使用することもできる。
ここで用いられるスチレン系単量体及び/又はスチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、前記で挙げた単量体を用いることができる。
ブタジエン系ゴムにはハイシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックゴム、部分水添ポリブタジエンゴム等が挙げられる。
更に、スチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、前記で挙げた単量体を用いることが出来る。
重合に用いる単量体やブタジエン系ゴムは少なくとも1種類類以上を用いることができる。これらの透明性を損なわない範囲で混合できる重合体としてはゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が好ましい。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
なお、実施例における物性測定は以下の通り実施した。
連続成形条件として成型温度135℃で天面が平らな蓋容器(200mm長×120mm幅×50mm高)を500ショット連続成形した。成形後熱板をウエスで掃除しその汚れ具合を目視で評価した。
◎:ウエスが殆ど汚れて無い。
○:ウエスが1/3程度汚れた。
□:ウエスが1/2程度汚れた。
△:ウエスが2/3程度汚れた。
×:ウエス全面的に汚れた。
◎:Hazeが2.0%未満
○:Hazeが2.0%以上2.5%未満
□:Hazeが2.5%以上3.0%未満
△:Hazeが3.0%以上3.5%未満
×:Hazeが3.5%以上
◎:格子柄が殆どはっきり見える。
○:格子柄が1/3程度ぼやけて見える。
□:格子柄が1/2程度ぼやけて見える。
△:格子柄が2/3程度ぼやけて見える。
×:格子柄が全体的にぼやけて見える。
(5)防曇持続性:温度45℃のお湯を張った1cm間隔の格子柄(格子の線の大きさは2mm)のPSP(ポリスチレンペーパー)容器の上に(3)で得られた蓋容器をそれぞれ1個張り付けた後、更に温度5℃雰囲気に3時間放置した。その後蓋容器を通して格子柄の見え易さを目視で評価した。なお、421〜430ショット目の10個の容器を用いて評価した。
◎:格子柄が殆どはっきり見える。
○:格子柄が1/3程度ぼやけて見える。
□:格子柄が1/2程度ぼやけて見える。
△:格子柄が2/3程度ぼやけて見える。
×:格子柄が全体的にぼやけて見える。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤分は0.6質量%、スチレンオリゴマー分は0.7質量%を含有し、シート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた。また、防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の70質量%がラウリン酸であるショ糖ラウリン酸エステルで、かつその40質量%水溶液を用い、PVAには残メタノールと残酢酸メチルの合計が3.0質量%であるPVAを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で70質量%と30質量%になるように調整して得た。更にこの防曇剤を1.0質量%水溶液に希釈して、シート片方の面に防曇剤の固形分が0.05g/m2に塗布したシートを得た。また、そのシートを用い、蓋容器(200mm長×120mm幅×50mm高さ)を成形した。なお、内部潤滑油は10mmHg減圧下における初溜温度が230℃である白色鉱油、ショ糖ラウリン酸エステルの40質量%水溶液に三菱化学フーズ社製ショートーシュガーエステルLWA1570、PVAはケン化度88%、4%水溶液の20℃における粘度が23cps品を用いた。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1のショ糖ラウリン酸エステルを用い、PVAには残メタノールと残酢酸メチルの合計が3.3質量%であるPVAを用いた。ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で50質量%と50質量%になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。なお、PVAはケン化度88%、4%水溶液の20℃における粘度が23cps品を用いた。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1のショ糖ラウリン酸エステルを用い、PVAに実験例1のPVAを用いた。ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で90質量%と10質量%になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1のショ糖ラウリン酸エステルを用い、PVAには残メタノールと残酢酸メチルの合計が3.9質量%であるPVAを用いた。ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で35質量%と65質量%になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。なお、PVAはケン化度88%、4%水溶液の20℃における粘度が23cps品を用いた。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1のショ糖ラウリン酸エステルを用い、PVAに実験例2で用いたPVAを用いた。ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で97質量%と3質量%になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルとPVAに実施例1のショ糖ラウリン酸エステルとPVAを用いた。更にショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の80質量%がパルミチン酸であるショ糖パルミチン酸エステルも用いた。その時ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸量の60質量%がラウリン酸に相当する様にショ糖ラウリン酸エステルとショ糖パルミチン酸エステルを併用した。それ以外は実施例1と同様に行った。なお、ショ糖パルミチン酸エステルに三菱化学フーズ社製ショートーシュガーエステルP−1570を用いた。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルとPVAに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルとPVA、実験例4で用いたショ糖パルミチン酸エステルを用いた。その時ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸量の52質量%がラウリン酸に相当する様にショ糖ラウリン酸エステルとショ糖パルミチン酸エステルを併用した。それ以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤は0.2質量%、スチレンオリゴマー分は0.2質量%を含有し、シート厚み0.4mmの2軸延伸メタクリル酸−スチレン共重合体シート(スチレン系樹脂はスチレン97質量%とメタクリル酸3質量%)を用いた以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤分は0.4質量%、スチレンオリゴマー分は0.4質量%を含有しシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
実施例1の防曇剤を用い、この防曇剤を3.0質量%水溶液になる様に希釈して、シート片方の面に防曇剤の固形分が0.3g/m2に塗布したシートを得た以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
実施例1の防曇剤を用い、この防曇剤を5.0質量%水溶液になる様に希釈して、シート片方の面に防曇剤の固形分が0.47g/m2に塗布したシートを得た以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルとPVAに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルとPVA、実験例4で用いたショ糖パルミチン酸エステルを用いた。その時ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸量の40質量%がラウリン酸に相当する様にショ糖ラウリン酸エステルとショ糖パルミチン酸エステルラウリン酸を併用した。それ以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤分は1.4質量%、スチレンオリゴマー分は0.7質量%を含有しシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤分は0質量%(無し)、スチレンオリゴマー分は0.7質量%を含有しシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤は0.6質量%、スチレンオリゴマー分は0.05質量%を含有し、シート厚み0.4mmの2軸延伸メタクリル酸メチル−スチレン共重合体シート(スチレン系樹脂はスチレン80質量%とメタクリル酸20質量%)を用いた以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤分は0.6質量%、スチレンオリゴマー分は1.6質量%を含有しシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
実施例1の防曇剤を用い、この防曇剤を0.1質量%水溶液になる様に希釈して、シート片方の面に防曇剤の固形分が0.005g/m2に塗布したシートを得た以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
実施例1の防曇剤を用い、この防曇剤を7.0質量%水溶液になる様に希釈して、シート片方の面に防曇剤の固形分が0.6g/m2に塗布したシートを得た以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤分は1.4質量%、スチレンオリゴマー分は0.7質量%を含有しシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用い、防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルを用い、PVAに残メタノールと残酢酸メチルの合計が8.0質量%であるPVAを用いた。
これ以外は実施例1と同様行った。なお、内部潤滑油は10mmHg減圧下における初溜温度が178℃である白色鉱油、PVAはケン化度88%、4%水溶液の20℃における粘度が23cps品を用いた。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。熱板の汚れ性、成形品の透明性に劣ることが分かる。
スチレン系樹脂シートに比較例1の2軸延伸GPポリスチレンシートを用い、
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルを用い、PVAに比較例1のPVAを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で99.5質量%と0.5質量%になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。熱板の汚れ性、成形品の透明性、防曇持続性に劣ることが分かる。
スチレン系樹脂シートに比較例1の2軸延伸GPポリスチレンシートを用い、
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルを用い、PVAに比較例1のPVAを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で80質量%と20質量%になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。熱板の汚れ性、成形品の透明性、初期防曇効果に劣ることが分かる。
スチレン系樹脂シートに内部潤滑剤は0質量%(無し)、スチレンオリゴマー分は0.05質量%を含有し、シート厚み0.4mmの2軸延伸メタクリル酸メチル−スチレン共重合体シート(スチレン系樹脂はスチレン80質量%とメタクリル酸20質量%)を用い、防曇剤としては比較例1の防曇剤を用いた以外は実施例1と同様に行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。熱板の汚れ性、成形品の透明性、成形品の抜き打ち性に劣ることが分かる。
スチレン系樹脂シートに実施例1の2軸延伸GPポリスチレンシートを用い、
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルとPVAに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルとPVAを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で99.5質量%と0.5質量%になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。防曇持続性に劣ることが分かる。
スチレン系樹脂シートに実施例1の2軸延伸GPポリスチレンシートを用い、
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルとPVAに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルとPVAを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとPVAを固形分割合で20質量%と80質量%になるように調整した以外は実施例1と同様に行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。初期防曇効果に劣ることが分かる。
Claims (7)
- ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の70質量%がラウリン酸であるショ糖脂肪酸エステル70質量%以上90質量%以下と、残メタノールと残酢酸メチルの合計が4質量%以下であるポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)10質量%以上30質量%以下とを含有し、かつ下記(1)、(2)の条件を満たす防曇剤をスチレン系樹脂シートの少なくとも一方の面に固形分として0.01g〜0.5g/m 2 塗布することを特徴とするスチレン系樹脂シートであり、スチレンオリゴマー分を0.1質量%以上1.5質量%以下かつ内部潤滑剤を0.1質量%以上0.8質量%未満含有することを特徴とするスチレン系樹脂シート。
(1) PVAのケン化度が70質量%以上かつ4%水溶液20℃における粘度が4cps以上
(2) ショ糖脂肪酸エステルとPVAの水溶液濃度が0.1質量%以上10質量%以下 - 内部潤滑剤が10mmHg減圧下における初溜温度が180℃以上である白色鉱油であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂シート。
- スチレン系樹脂シートとして2軸延伸GPポリスチレンシートを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスチレン系樹脂シート。
- HAZEが5%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスチレン系樹脂シート。
- 請求項1乃至4のいずれか1項記載のスチレン系樹脂シートを用いて得られることを特徴とする成形品。
- 成形品が食料品包装容器であることを特徴とする請求項5記載の成形品。
- スチレン系樹脂シートの少なくとも一方の面に防曇剤をグラビア塗布する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂シートの製造方法。
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