JP5345306B2 - 防曇性表面処理剤及び防曇性樹脂シート - Google Patents
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Description
本発明の防曇性表面処理剤は、脂肪酸アミド(但し、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドを除く)(A)と、親水性高分子(但し、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体を除く)とで構成されている。
脂肪酸アミド(A)は、アミン類(アミン又はアンモニア)の水素原子を脂肪酸(脂肪族カルボン酸)に対応する酸基で置換した化合物であり、脂肪酸とアミン類とのアミドとして表すことができる。脂肪酸アミド(A)は、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド以外であれば、ポリオキシプロピレン脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミドのC2−4アルキレンオキサイド付加物であってもよいが、通常、アルキレンオキサイドが付加していない脂肪酸アミドを用いる場合が多い。
親水性高分子には、親水性基又はユニット(カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、ヒドロキシル基、アミド基、塩基性窒素原子含有基、ビニルエーテルユニット、オキシエチレンユニットなど)を有するポリマー、セルロース誘導体、天然高分子多糖類(アルギン酸類など)などが含まれる。親水性高分子は、水溶性高分子、水分散性高分子及び水膨潤性高分子のいずれであってもよい。
表面処理剤は、シリコーンオイルを含有してもよい。シリコーンオイルを用いると、表面処理剤を適用した樹脂シート(防曇性樹脂シート)のブロッキング防止性又は離型性を改善できる。シリコーンオイルの種類は特に制限されず、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、トリフルオロプロピルポリシロキサンなどのアルキルポリシロキサン;ジフェニルポリシロキサンなどのアリールポリシロキサン;メチルフェニルポリシロキサンなどのアルキルアリールポリシロキサンなどが挙げられる。シリコーンオイルは、鎖状ポリシロキサンであってもよく、環状ポリシロキサンであってもよい。
本発明の防曇性樹脂シートは、樹脂シートと、この樹脂シートの少なくとも一方の面(片面又は両面)に形成された防曇層(被覆層又はコーティング層)とで構成されており、前記防曇層は、前記表面処理剤で構成されている。
本発明の容器は、樹脂製容器とこの容器の少なくとも一部の表面に形成された防曇層とで構成されており、防曇層は、前記表面処理剤で構成されている。このような容器は、防曇性及び透明性に優れるため、食品包装用容器などの水分を含有する収容物を収容するための容器などとして有用である。
(A1)ラウリン酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAA−62EX、ラウリン酸:ジエタノールアミド=1:1型)
(A2)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンエキストラ24、ヤシ油脂肪酸:ジエタノールアミド=1:1型)
(A3)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAB−20、ヤシ油脂肪酸:モノエタノールアミド=1:1型)
(A4)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファン2012E、ヤシ油脂肪酸:ジエタノールアミド=1:2型)
(A5)ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAD−31、ラウリン酸:モノイソプロパノールアミド=1:1型)。
(B1)ポリオキシエチレン(三洋化成工業(株)製、ポリエチレングリコール PEG6000P、数平均分子量6000)
(B2)ポリビニルピロリドン(BASFジャパン(株)製、ルビテックK−90、重量平均分子量90×104〜150×104)
(B3)ポリビニルアルコール((株)クラレ製、ポバールPVA117)
(B4)メチルセルロース(信越化学工業(株)製、メトローズSM100)
(B5)カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製、CMCダイセル1260)
(B6)アルギン酸ナトリウム(紀文フードケミファ(株)製、ダックアルギンNSPH)。
ジメチルシリコーン水性エマルジョン、信越化学工業(株)製、KM9738、粘度10万センチストークス=100×10−4m2/s
(D)他の成分
(D1)ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製、リケマールA)
(D2)デカグリセリンモノラウリン酸エステル(坂本薬品工業(株)製、SYグリスタML750)
(D3)第一工業製薬(株)製、エパンU108、重量平均分子量18000、エチレンオキシド含有率80重量%。
表に示す割合(重量部)で各成分を含む水性表面処理剤(防曇処理剤)を調製した。シート厚み0.25mmの二軸延伸ポリスチレンシートを60dyn/cm(60×10−5N/cm)にコロナ放電処理し、前記防曇処理剤を乾燥後の塗布量が15mg/m2となるようにワイヤーブラシにて塗布し、乾燥することにより、防曇層を形成した。
(i)高温防曇性
60℃のお湯を入れた容器の開口部に、防曇性樹脂シートの防曇層が蒸気に接するようにシートを載せ、常温環境下で2分間放置した。次いで、シートの蒸気接触部分を、紙に印刷したフォントサイズの異なる文字群「防曇性」の上に載せ、シートの曇りの程度を下記の基準に従って目視にて評価し、5枚のシートについて評価した結果の平均値を算出した。
5:フォントサイズ5の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
4:フォントサイズ10の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
3:フォントサイズ14の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
2:フォントサイズ18の「防曇性」の文字がはっきりと読み取れる
1:文字が判別できない。
周囲の温度23℃にて、水(23℃)を入れた容器に、防曇性樹脂シートの防曇層を容器の開口部に向けてシートを載せ、この状態で、5℃の恒温槽内に入れて、2分間放置した。次いで、取り出した直後のシートの曇りの程度を、上記高温防曇性(i)と同様にして評価し、5枚のシートについて評価した結果の平均値を算出した。
防曇性樹脂シートの外観を目視で観察し、下記の基準にて評価した。
○:光沢があり、均一でにごりやむらがない
×:白くにごり、むらがある。
防曇性樹脂シートを指で挟み、シートの指への粘着性を下記の基準で評価した。
○:指への粘着感がなく、さらっとしている
×:指への粘着感がある。
防曇性樹脂シートを30cm×30cm四方にカットし、10枚重ねた後、温度40℃及び荷重10kgf/cm2(≒98N/cm2)にて、1時間プレスした後、圧力を開放してシートを1枚ずつ分離し、シートの外観及び高温防曇性について下記に従って評価し、ロール状にシートを巻取った場合のシート特性の指標とした。
シートの外観を、下記の基準に従って、目視にて評価した。
○:シート表面に防曇処理剤の裏移りがなく、プレスの前後でシートの外観に差異がない
×:シートの表面に防曇処理剤が裏移りし、不均一に白っぽい部分が形成される。
プレス後の分離したシートについて、防曇性樹脂シートの初期特性における高温防曇性(i)の評価と同様に操作を行い、下記の基準にて、高温防曇性を評価し、5枚のシートの平均値を算出した。
5:フォントサイズ5の「防曇性」の文字が読み取れる
4:フォントサイズ10の「防曇性」の文字が読み取れる
3:フォントサイズ14の「防曇性」の文字が読み取れる
2:フォントサイズ18の「防曇性」の文字が読み取れる
1:文字が判別できない。
Claims (13)
- 樹脂シートの少なくとも一方の面に、防曇性表面処理剤が乾燥後の塗布量15〜80mg/m 2 で塗布されて防曇層が形成された防曇性樹脂シートであって、
前記防曇性表面処理剤が、脂肪酸アミド(但し、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドを除く)(A)と、親水性高分子(但し、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体を除く)(B)とで構成されており、
親水性高分子(B)が、ビニルピロリドン系重合体、ビニルアルコール系重合体及び天然高分子多糖類から選択された少なくとも一種であり、
脂肪酸アミド(A)と親水性高分子(B)との割合(重量比)が、脂肪酸アミド(A)/親水性高分子(B)=25/75〜50/50である防曇性樹脂シート。 - 脂肪酸アミド(A)が、C8−30脂肪酸とアミンとのアミドである請求項1記載の防曇性樹脂シート。
- 脂肪酸アミド(A)が、C8−26脂肪酸とモノ又はジアルカノールアミンとのアミドである請求項1又は2記載の防曇性樹脂シート。
- 防曇性表面処理剤が、さらにシリコーンオイルを含有する請求項1〜3のいずれかの項に記載の防曇性樹脂シート。
- 防曇性表面処理剤が、多価アルコール及び多価アルコール脂肪酸エステルを、総量で、脂肪酸アミド(A)及び親水性高分子(B)の総量100重量部に対して、0〜30重量部含有する請求項1〜4のいずれかの項に記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートがコロナ放電処理されており、コロナ放電処理面に防曇層が形成されている請求項1〜5のいずれかの項に記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートの一方の面に防曇層が形成され、他方の面に離型層が形成されている請求項1〜6のいずれかの項に記載の防曇性樹脂シート。
- 離型層が、少なくともオキシエチレン単位を有するエーテル系親水性高分子、及びシリコーンオイルから選択された少なくとも一種で構成されている請求項7記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートがスチレン系樹脂シートである請求項1〜8のいずれかの項に記載の防曇性樹脂シート。
- 樹脂シートの少なくとも一方の面に、請求項1記載の防曇性表面処理剤を塗布する防曇性樹脂シートの製造方法。
- 樹脂シートに請求項1記載の防曇性表面処理剤を塗布した後、ロール状に巻き取る請求項10記載の防曇性樹脂シートの製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかの項に記載の防曇性樹脂シートで形成された容器。
- 樹脂製容器の少なくとも一部の表面に請求項1記載の防曇性表面処理剤で構成された防曇層が形成されている容器。
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