JP6776386B2 - 二軸延伸シート及び成形品 - Google Patents

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本発明は、二軸延伸シート及び成形品に関する。
従来、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパ−ト、弁当店等の店舗において、食料品や加工食品等を販売する際に使用される容器として、合成樹脂シ−トからなる蓋と容器本体とが嵌合して構成されている包装容器が用いられている。
二軸延伸ポリスチレンシートは、透明性に優れ、剛性が高いため、食品包装容器分野で幅広く使用されているが、油が付着した状態で長時間保管するとシ−ト表面の白化現象が見られるため、耐油性を向上させた二軸延伸ポリスチレンシートが求められてきた(例えば特許文献1,2)。
また、特許文献1,2に記載されているように、二軸延伸ポリスチレンシートには、耐油性に加えて、機械的強度、耐衝撃性、耐熱性、耐油性、透明性、熱成形性等の様々な特性も求められている。
特開平10−7817号公報 特開2001−105489号公報
本発明は、耐油性、色相、外観(例えば塗工外観)及び保管安定性(例えば保管後の外観、防曇性)のすべてにおいてバランス良く優れた二軸延伸シート及び成形品を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す二軸延伸シート及び成形品を提供する。
(1) アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含み、アクリロニトリル/スチレンの質量比が16/84〜32/68である共重合体を含有する樹脂組成物を二軸延伸してなる二軸延伸樹脂層と、二軸延伸樹脂層の少なくとも一方の表面を被覆する被覆層であって、(A)ショ糖ラウリン酸エステル、及び(B)エステル部分の炭素数が16以上かつ不飽和度が1以下であり、HLBが12以上であるショ糖脂肪酸エステルを含有する被覆層と、を備える二軸延伸シート。
(2) (A)ショ糖ラウリン酸エステル/(B)ショ糖脂肪酸エステルの質量比が75/25〜95/5である、(1)に記載の二軸延伸シート。
(3) 被覆層の単位面積当たりの質量が20〜80mg/mである、(1)又は(2)に記載の二軸延伸シート。
(4) 少なくとも一方の表面にシリコーンを含有する表面層を更に備え、表面層の単位面積当たりの質量が3〜30mg/mである、(1)〜(3)のいずれかに記載の二軸延伸シート。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の二軸延伸シートを成形した成形品。
(6) 食品包装容器又は食品包装容器の蓋材である、(5)に記載の成形品。
(7) 食品が油脂を含む食品である、(6)に記載の成形品。
(8) 電子レンジ加熱用の食品包装容器又は食品包装容器の蓋材である、(5)〜(7)のいずれかに記載の成形品。
本発明によれば、耐油性、色相、外観(例えば塗工外観)及び保管安定性(例えば保管後の外観、防曇性)のすべてにおいてバランス良く優れた二軸延伸シート及び成形品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る二軸延伸シートは、二軸延伸樹脂層と、二軸延伸樹脂層の少なくとも一方の表面を被覆する被覆層と、を備える。
二軸延伸樹脂層は、アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含み、アクリロニトリル/スチレンの質量比が16/84〜32/68であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する樹脂組成物を二軸延伸してなっている。
アクリロニトリル−スチレン共重合体を構成するアクリロニトリル系モノマー単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の単位を挙げることができるが、好ましくはアクリロニトリル単位である。これらのアクリロニトリル系モノマー単位は、単独でもよく2種以上であってもよい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体を構成するスチレン系モノマー単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等の単位を挙げることができるが、好ましくはスチレン単位である。これらのスチレン系モノマー単位は、単独でもよく2種以上であってもよい。
アクリロニトリル系モノマー単位とスチレン系モノマー単位との質量比(アクリロニトリル/スチレン)は、耐油性及び色相に優れる観点から、16/84〜32/68である。当該質量比は、好ましくは18/82〜30/70、より好ましくは20/80〜28/72、更に好ましくは22/78〜27/73である。当該質量比が上記の下限値以上であると、耐油性の点で更に優れ、かつ耐熱性の点でも優れる。当該質量比が上記の上限値以下であると、色相の点で更に優れる。
アクリロニトリル−スチレン共重合体は、必要に応じて共重合可能なその他のビニル系モノマー単位を含んでいてもよい。その他のビニル系モノマー単位としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート等のアクリル酸エステルなどの単位が挙げられる。その他のビニル系モノマー単位の含有量は、例えば、スチレン系モノマー単位とアクリロニトリル系モノマー単位の合計100質量部に対して10質量部未満であってよい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体は、アクリロニトリル系モノマーとスチレン系モノマーとを重合させることにより得られる。重合方法は特に限定しないが、臭気低減のため塊状連続重合が好ましい。
塊状連続重合法としては公知の例が採用できるが、エチルベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤をスチレン系モノマーとアクリロニトリル系モノマーの合計100質量部に対して10〜40質量部添加して重合させると、さらに好ましい。
重合時には、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の有機過酸化物を添加しても差し支えなく、また、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の公知の分子量調整剤を添加しても差し支えない。
重合温度は、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは100〜160℃である。
アクリロニトリル−スチレン共重合体のSEC法で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量は、特に限定されないが、10万〜25万であることが好ましく、15〜20万であることがさらに好ましい。重量平均分子量が10万未満であると樹脂の強度低下により、シート強度や耐折性が低下する。また25万以上では粘度上昇のためシート製膜性や容器成形性の低下が見られる。
なお、SEC測定は、以下のような条件で実施する。
装置:昭和電工社製Shodex「SYSTEM−21」
カラム:PLgelMIXED−B
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/分
検出:RI
濃度:0.2質量%
注入量:100μl
検量線:標準ポリスチレン(PolymerLaboratories製)を用い、溶離時間と溶出量との関係を分子量と変換して各種平均分子量を求める。
アクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する樹脂組成物におけるアクリロニトリル−スチレン共重合体の含有量は、樹脂組成物全量基準で、好ましくは98.5〜99.9質量%、より好ましくは99.0〜99.9質量%、更に好ましくは99.3〜99.7質量%であってもよい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する樹脂組成物は、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(HIPS)を更に含有していてもよい。ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の含有量は、樹脂組成物全量基準で0.1〜3.0質量%であることが好ましい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する樹脂組成物は、紫外線吸収剤、光安定剤、及び酸化防止剤から選ばれる添加剤の1種又は2種以上を更に含有していてもよい。
紫外線吸収剤としては、2−(5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロ・フタルイミドメチル)−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エトキシ−2’−エチル蓚酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチル蓚酸ビスアニリド及び2−エトキシ−4’−イソデシルフェニル蓚酸ビスアニリド等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、並びにアルミナ、シリカ、シランカップリング剤及びチタン系カップリング剤等の表面処理剤で処理された酸化チタン等の酸化チタン系紫外線安定剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6,(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等がある。
酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクチル−3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルージートリデシル)ホスファイト、(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルオクチルホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)1,4−フェニレンージーホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン等の燐系酸化防止剤が挙げられる。
アクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する樹脂組成物は、用途に応じて滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、鉱油等の添加剤、ガラス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維等の補強繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウムなどの充填剤を、二軸延伸樹脂層の性能を損なわない範囲で更に含有していてもよい。
上述した添加剤、充填剤等の任意成分の含有量は、樹脂組成物全量基準で、例えば1質量%以下である。
二軸延伸樹脂層の製造方法としては、アクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する樹脂組成物を押出機により溶融混練してダイ(特にTダイ)から押し出し、次いで、二軸方向に逐次又は同時で延伸する製造方法が挙げられる。二軸延伸樹脂層の厚みは、特に限定されないが、通常0.05mm以上0.6mm未満、好ましくは0.1mm以上0.5mm未満である。
二軸延伸樹脂層の製造においては、樹脂組成物の溶融混練時に、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、発泡剤、発泡核剤、無機フィラー、帯電防止剤等公知の添加剤を樹脂組成物に更に添加してもよい。
被覆層は、二軸延伸樹脂層の少なくとも一方の表面を被覆している。被覆層は、二軸延伸樹脂層の表面の全部を被覆していてもよく、一部を被覆していてもよい。被覆層は、(A)ショ糖ラウリン酸エステル、及び(B)エステル部分の炭素数が16以上かつ不飽和度が1以下であり、HLBが12以上であるショ糖脂肪酸エステルを含有する。
(A)ショ糖ラウリン酸のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は、好ましくは13以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは15以上である。
(B)ショ糖脂肪酸エステルにおけるエステル部分(エステルを構成する脂肪酸)の炭素数は、保管安定性に優れる観点から、16以上であり、好ましくは18以上である。(B)ショ糖脂肪酸エステルにおけるエステル部分の不飽和度は、保管安定性(例えば保管後の外観、防曇性)に優れる観点から、1以下であり、好ましくは0である。
(B)ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、外観(例えば、被覆層を塗工により形成した場合の外観(塗工外観)に優れる観点から、12以上であり、好ましくは13以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは15以上である。
(B)ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、イソオレイン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
(A)ショ糖ラウリン酸エステル/(B)ショ糖脂肪酸エステルの質量比は、好ましくは75/25〜95/5、より好ましくは77/23〜93/7、更に好ましくは78/22〜92/8である。当該質量比が上記の下限値以上であると、外観(例えば塗工外観)点で更に優れる。当該質量比が上記の上限値以下であると、保管安定性(例えば保管後の外観、防曇性)の点で更に優れる。
(A)ショ糖ラウリン酸エステルの含有量は、被覆層全量基準で例えば35〜95質量%であってよい。(B)ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、被覆層全量基準で例えば2〜25質量%であってよい。
二軸延伸シートに存在する被覆層の単位面積当たりの質量は、好ましくは20〜80mg/m、より好ましくは30〜70mg/m、更に好ましくは25〜75mg/mである。当該質量が上記の下限値以上であると、防曇性の点で更に優れる。当該質量が上記の上限値以下であると、外観(例えば塗工外観、保管後の外観)の点で更に優れる。
被覆層は、例えば、(A)ショ糖ラウリン酸エステル及び(B)ショ糖脂肪酸エステルを溶媒に溶解させた溶液を二軸延伸樹脂層の少なくとも一方の表面に塗工することにより形成される。溶媒としては、水、アルコール等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。溶媒としては、取扱い上は水が好ましい。この場合、(A)ショ糖ラウリン酸エステル及び(B)ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、溶液全量基準で例えば0.01〜10質量%であってよい。溶液を塗工する方法は、特に限定されることはなく、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアロールコーター等を用いて塗工する方法が挙げられる。また、被覆層は、噴霧、浸漬等によって形成されてもよい。
二軸延伸シートは、少なくとも一方の表面にシリコーンを含有する表面層を更に備えていてもよい。表面層は、二軸延伸樹脂層の表面に直接設けられてもよく、又は被覆層等を介して二軸延伸樹脂層上に設けられてもよい。
表面層に含有されるシリコーンの23℃における粘度は、好ましくは1000〜30000mm/s、より好ましくは5000〜25000mm/sであってよい。シリコーンの粘度をこの範囲にすることにより、保存後のシリコーン転写による防曇性低下を抑制しつつ、より良好な滑性を得ることができる。
二軸延伸シートに存在する表面層の単位面積当たりの質量は、好ましくは3〜30mg/m、より好ましくは4〜25mg/m、更に好ましくは5〜20mg/mである。当該質量が上記の下限値以上であると、滑性の点で優れる。当該質量が上記の上限値以下であると、外観(例えば塗工外観、保管後の外観)の点で更に優れる。
表面層は、例えば、シリコーンを溶媒に溶解させた溶液を二軸延伸樹脂層の少なくとも一方の表面に塗工することにより形成される。溶媒としては、水、アルコール等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。溶媒としては、取扱い上は水が好ましい。この場合、シリコーンの含有量は、溶液全量基準で例えば0.01〜10質量%であってよい。溶液を塗工する方法は、特に限定されることはなく、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアロールコーター等を用いて塗工する方法が挙げられる。また、表面層は、噴霧、浸漬等によって形成されてもよい。
本実施形態に係る二軸延伸シートは、成形加工により包装容器等の成形品に利用可能である。成形品としては、食品包装容器(すなわち食品を内容物とする包装容器)や食品包装容器の蓋材が好適であり、特に当該食品が油脂を含む食品である場合に好適である。また、食品包装容器、食品包装容器の蓋材は、電子レンジ加熱用とすることができる。二軸延伸シートが食品包装容器又は食品包装容器の蓋材に用いられる場合、二軸延伸シートに使用される原材料については、食品添加物公定書やポリオレフィン衛生協議会のポジティブリストに登録されているなどの公に衛生性、安定性が認められている材料を用いることが好ましい。
二軸延伸シートから成形品を得る方法としては、市販の一般的な熱板圧空成形機を使用する方法が挙げられる。使用する成形機は、熱板にシートが圧接している時間や圧空による成形する時間、シート圧接から圧空成形に切り替わるタイムラグ、成形サイクル等が設定できるタイプのものが望ましい。これらの方法は例えば、高分子学会編「プラスチック加工技術ハンドブック」日刊工業新聞社(1995)に記載されている。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。アクリロニトリル12質量%、スチレン88質量%を含有するモノマー溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存モノマーと溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル−スチレン系共重合体を得た。この共重合体の組成(モノマー単位の質量比)は、表1に記載のとおり、アクリロニトリル単位12質量%、スチレン単位88質量%であった。
この共重合体をシート押出機(Tダイ幅500mm、φ40mmのエキストルーダー(田辺プラスチック機械社製))にて押出し、シートを得た。このシートをバッチ式二軸延伸機(東洋精機)にて延伸し、二軸延伸樹脂層を得た。
この二軸延伸樹脂層の表面に、バーコーターにてショ糖ラウリン酸エステル(L−1570、三菱化学フーズ株式会社製)を0.90%、ショ糖ステアリン酸エステル(S−1570、三菱化学フーズ株式会社製)を0.10%含む界面活性剤水溶液を5g/m塗布し、105℃のオーブンにて1分間乾燥させた。得られた被覆層の単位面積あたりの質量は、表1に記載のとおり、50mg/mであった。
また、二軸延伸樹脂層の被覆層が形成された面の裏面に、バーコーターにてシリコーンエマルジョン(SM7025EX、東レ・ダウコーニング株式会社製)の固形分濃度0.2%水溶液を5g/m塗布し、105℃のオーブンにて1分間乾燥させた。得られた表面層の単位面積あたりの質量は10mg/mであった。得られた二軸延伸シートにつき、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
[色相]
厚さ0.21mm二軸延伸シートを10枚重ね、分光測色計CM−2500d(コニカミノルタ)のSCI測定(正反射光込み)より得られたb値を評価した。なお、b値が10未満であれば色相に優れているといえる。
○:5未満
△:5以上10未満
×:10以上
[耐油性]
二軸延伸シートで形成された弁当蓋の中央にサラダ油(日清製油社製)、マヨネーズ(味の素社製)、ココナードML(花王社製)の試験液をしみ込ませたガーゼ10×10mmを貼り付け、60℃オーブンにて24時間静置し、付着部の表面観察を行った。なお、評価が○又は△であれば耐油性に優れているといえる。
○:変化無し
△:わずかに白化あり
×:著しい白化、割れあり
[塗工外観]
二軸延伸シートをJISK−7361−1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)により測定した。測定には実施例にて得られたシートを用いた。
○:ヘーズ1.5%未満
△:ヘーズ1.5%以上3.0%未満
×:ヘーズ3.0%以上
[保管後の外観]
二軸延伸シートを巻取、ロールの状態で23℃、6か月静置後、JISK−7361−1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)により測定した。測定には実施例にて得られたシートを用いた。
○:ヘーズ1.5%未満
△:ヘーズ1.5%以上3.0%未満
×:ヘーズ3.0%以上
[保管後の防曇性]
二軸延伸シートを巻取、ロールの状態で23℃、6か月静置後、熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング製)にて、熱板温度135℃、加熱時間2.0秒の条件で、弁当蓋(寸法 縦241×横193×高さ28mm)を成形した。得られた容器の本体に95℃の水を50g入れ、蓋をし、23℃にて静置。10分後の内容物視認性を確認した。なお、評価が○又は△であれば保管後の防曇性に優れているといえる。
○:内容物が鮮明に確認できる。
△:蓋部への露付により内容物が見えにくくなる。
×:蓋部への露付多く、内容物が判別つかない。
<実施例2〜19、比較例1〜5>
各種原料の仕込み量を変更して、表1〜4に記載の組成を有するアクリロニトリル−スチレン系共重合体を得た。また、各共重合体を二軸延伸樹脂層とし、表1に記載の組成を有する被覆層、表面層を形成して二軸延伸シートを得た。各二軸延伸シートについて、実施例1と同様に評価を行った。結果は表1〜4に示す。なお、被覆層に含まれるショ糖脂肪酸エステルの詳細を表5に示す。
Figure 0006776386
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さらに、各実施例及び比較例の二軸延伸シートについて、以下の評価を行った。結果を表6〜8に示す。
[透明性]
JISK−7361−1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)により測定した。測定には色相の評価にて作製した二軸延伸樹脂層0.21mm厚を用いた。
○:1.0%未満
△:1.0%以上2.0%未満
×:2.0%以上
[容器強度]
容器本体に500gの錘を入れ、二軸延伸シートで形成された蓋をした弁当容器を5段重ね、24時間静置後の蓋材の変形状態を確認した。
○:形状変化なし。
△:変形有り。
×:割れ有り。
[耐熱性]
上記成形条件で得られた弁当蓋を110℃に設定した熱風乾燥機に60分間入れた後、容器の変形を目視で観察した。
○:変形なし
△:軽微な変形、外寸変化5%未満
×:大きな変形、外寸変化5%以上
[滑性]
容器天面から切り出したシートの食品接触面と食品非接触面を重ねた状態にて、JISP 8147の紙及び板紙−静及び動摩擦係数の測定方法に準じた方法にて摩擦角(滑り始める角度)を測定した。
○:15°未満
△:15°以上30°未満
×:30°以上
[防曇性]
二軸延伸シートを用いて、6か月静置後、熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング製)にて、熱板温度135℃、加熱時間2.0秒の条件で、弁当蓋(寸法 縦241×横193×高さ28mm)を成形した。得られた容器の本体に95℃の水を50g入れ、蓋をし、23℃にて静置。10分後の内容物視認性を確認した。
○:内容物が鮮明に確認できる。
△:蓋部への露付により内容物が見えにくくなる。
×:蓋部への露付多く、内容物が判別つかない。
Figure 0006776386
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Claims (8)

  1. アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含み、前記アクリロニトリル/前記スチレンの質量比が16/84〜32/68であり、重量平均分子量が15万〜20万である共重合体を含有する樹脂組成物を二軸延伸してなる二軸延伸樹脂層と、
    前記二軸延伸樹脂層の少なくとも一方の表面を被覆する被覆層であって、(A)ショ糖ラウリン酸エステル、及び(B)エステル部分の炭素数が16以上かつ不飽和度が1以下であり、HLBが12以上であるショ糖脂肪酸エステルを含有する被覆層と、を備える二軸延伸シート。
  2. 前記(A)ショ糖ラウリン酸エステル/前記(B)ショ糖脂肪酸エステルの質量比が75/25〜95/5である、請求項1に記載の二軸延伸シート。
  3. 前記被覆層の単位面積当たりの質量が20〜80mg/mである、請求項1又は2に記載の二軸延伸シート。
  4. 少なくとも一方の表面にシリコーンを含有する表面層を更に備え、前記表面層の単位面積当たりの質量が3〜30mg/mである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二軸延伸シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の二軸延伸シートを成形した成形品。
  6. 食品包装容器又は食品包装容器の蓋材である、請求項5に記載の成形品。
  7. 前記食品が油脂を含む食品である、請求項6に記載の成形品。
  8. 電子レンジ加熱用の食品包装容器又は食品包装容器の蓋材である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の成形品。
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