JP2016158962A - スチレン系二軸延伸シートを用いた電子レンジ加熱用容器および調理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、剛性、実用強度、耐熱性、油接触条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスにすぐれており、特に電子レンジで調理し得るに十分な耐熱性を必要とする食品容器用途に好適に用いることのできる電子レンジ加熱用容器および該容器を用いた調理方法を提供することを課題とする。【解決手段】アクリロニトリル成分を10〜40質量%含有したアクリロニトリル−スチレン共重合体を用いた二軸延伸シートを用いて、容器の最大配向緩和応力温度が110℃から130℃となり、耐折強さ(FE)が1.0〜3.0となり、容器の天面厚み(a)と成型前シートの平均厚み(b)の比(a)/(b)が0.6〜1.0となり、凸部の最小曲率半径が2〜10mmとなる電子レンジ加熱用容器および該容器を用いた調理方法。【選択図】なし
Description
本発明は、透明性、剛性、実用強度、耐熱性、油接触条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスにすぐれており、特に電子レンジで調理し得るに十分な耐熱性を必要とする食品容器用途に好適に用いることのできる電子レンジ加熱用容器および該容器を用いた調理方法に関するものである。
二軸延伸ポリスチレン樹脂シートは透明性に優れ、剛性が高いことから熱成形されて、食品包装容器分野で幅広く使用されている。しかしながら、ポリスチレンの樹脂はオレフィン系樹脂と比較し耐油性が低く、歪がかかることにより、さらに耐油性が低下する。例えば、ポリスチレン樹脂二軸延伸シートに油を付着させ、その状態が長時間維持されるとシート表面が白化をおこす。また、油の種類によってはシートが割れることもある。
一方、コンビニエンスストアでの弁当の販売の増加や、家庭への電子レンジの普及に伴い、電子レンジでの加熱に対応し得る耐熱性容器の需要が大幅に増加している。従来、電子レンジ加熱に耐え得るものとしてポリプロピレン系樹脂製やポリプロピレン系樹脂にフィラーを混合したものを成形した容器が主に使用されているが、容器が不透明であり、さらに容器の腰強度が低く、ポリプロピレン系樹脂にフィラーを混合したものは、使用済みの容器を焼却処理した際にフィラーが残渣として残るため、環境対応面での課題が存在している。
そのため、ポリスチレン系シートは透明性、剛性、耐熱性を兼ね備えた食品包装用容器に好適なシートであると言え、電子レンジ加熱に耐えるべく、耐熱性、耐油性について改善が求められてきた。
耐油性の課題を解決すべく、特許文献1では、スチレン系樹脂とオレフィン系樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂組成物を用いたシートを成形した容器が提案されている。
また、特許文献2では、表層にビカット軟化点が低い樹脂を用いた多層共押出を行い、中芯層に適した延伸温度にて二軸延伸を行うことにより、表層のみ配向緩和応力を低下させたシートを作製することによる耐油性向上手法が示されている。
さらに、特許文献3では、ポリスチレン二軸延伸シートの食品接触面に、ポリプロピレンやアクリル樹脂、非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂のような耐油性樹脂からなるフィルムをラミネートすることにより、油とポリスチレンシートが直接接触させない耐油性向上方法が示されている。
しかしながら、耐熱性が改善されていないため、油分の高い食品、例えば唐揚や天ぷらを入れて電子レンジ加熱した場合、耐熱性が不足している為に容器の顕著な変形が見られることや、油分が基材シートに浸漬して溶解し、容器に穴が開いてしまうなどの問題があった。
そこで、特許文献4ではポリスチレンよりも耐油性の高い樹脂であるアクリロニトリルホモポリマーおよびアクリロニトリル成分を90質量%以上含んだコポリマーから得られるシートによる耐熱性、耐油性向上が示されている。
しかしながら、ポリスチレン樹脂と比較し樹脂強度が高いため熱成型が難しいことや、DMSO溶剤に溶解し、キャストフィルムを作製後、水槽にてDMSO溶剤を水に置換し、水ゲルフィルムとすることでシート化を行うなど、非常に複雑な製膜工程であるため生産性が低いことや、残存溶剤や樹脂の吸水などの管理が難しく、シート物性が変動しやすい。
また、樹脂改質による二軸延伸ポリスチレン樹脂シートへの耐油性付与に関する検討が行われてきた。例えば、特許文献5ではスチレン系共重合体がアクリル酸、メタクリル酸、または無水マレイン酸のいずれか一成分を4〜20重量%含むスチレンとの共重合体を主体としてなるスチレン系二軸延伸シートにより、100℃以上の実用耐熱性とその温度の食物油に接しても白化現象を起こさない旨が示されている
しかしながら、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸モノマーを共重合させた樹脂は強度が低く耐折性に劣るため、容器成型工程での割れが発生し、異物混入の原因となる。更に、耐折性向上のために高配向とする必要があるが、高配向とすることにより、容器成型時に歪がかかりやすく、電子レンジ加熱後の変形が大きいため使用できない。
本発明は、透明性、剛性、実用強度、耐熱性、油接触条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスにすぐれており、特に電子レンジで調理し得るに十分な耐熱性を必要とする食品容器用途に好適に用いることのできる電子レンジ加熱用容器に関するものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)アクリロニトリル成分を10〜40質量%含有したアクリロニトリル−スチレン共重合体からなる二軸延伸シートを用いた電子レンジ加熱用容器。
(2)容器天面の加熱収縮率が3〜9倍であって、最大配向緩和応力が0.2〜0.8MPaであって、最大配向緩和応力温度が110℃から130℃である(1)に記載の電子レンジ加熱用容器。
(3)容器のJIS P 8115で規定する耐折強さ(FE)が1.0〜3.0であることを特徴とする(1)または(2)に記載の電子レンジ加熱用容器。
(4)容器の天面厚み(a)[単位:mm]と成型前シートの平均厚み(b)[単位:mm]の比(a)/(b)が0.6〜1.0であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電子レンジ加熱用容器。
(5)容器の凸部の最小曲率半径が2〜10mmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電子レンジ加熱用容器。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の容器に食品を充填し、電子レンジにて加熱調理を行う加熱調理方法。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の容器に水を充填し、電子レンジにて加熱調理を行う加熱調理方法。
(1)アクリロニトリル成分を10〜40質量%含有したアクリロニトリル−スチレン共重合体からなる二軸延伸シートを用いた電子レンジ加熱用容器。
(2)容器天面の加熱収縮率が3〜9倍であって、最大配向緩和応力が0.2〜0.8MPaであって、最大配向緩和応力温度が110℃から130℃である(1)に記載の電子レンジ加熱用容器。
(3)容器のJIS P 8115で規定する耐折強さ(FE)が1.0〜3.0であることを特徴とする(1)または(2)に記載の電子レンジ加熱用容器。
(4)容器の天面厚み(a)[単位:mm]と成型前シートの平均厚み(b)[単位:mm]の比(a)/(b)が0.6〜1.0であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電子レンジ加熱用容器。
(5)容器の凸部の最小曲率半径が2〜10mmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電子レンジ加熱用容器。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の容器に食品を充填し、電子レンジにて加熱調理を行う加熱調理方法。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の容器に水を充填し、電子レンジにて加熱調理を行う加熱調理方法。
本発明により、透明性、剛性、実用強度、耐熱性、油接触条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスにすぐれており、特に電子レンジで調理し得るに十分な耐熱性を必要とする食品容器用途に好適に用いることのできる電子レンジ加熱用容器および該容器を用いた調理方法が提供される。
本発明で用いるアクリロニトリル−スチレン共重合体は、アクリロニトリル系単量体とスチレン系単量体とを重合させることにより得られる。重合方法は特に限定しないが、臭気低減のため塊状連続重合が好ましい。また、アクリロニトリル系単量体単位10〜40質量%であり、好ましくはアクリロニトリル系単量体単位18〜32質量%である。アクリロニトリル系単量体単位が40質量%を越えると色相、外観、シート製膜性が劣るものとなり、アクリロニトリル系単量体単位10質量%未満であると耐油性、外観、強度に劣るものとなる。
アクリロニトリル系単量体単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の単位を挙げることができるが、好ましくはアクリロニトリル単位である。これらのアクリロニトリル系単量体単位は、単独でも良いが2種以上であってもよい。
スチレン系単量体単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等の単位を挙げることができるが、好ましくはスチレン単位である。これらのスチレン系単量体単位は、単独でもよいが二種以上であってもよい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体には、必要に応じて共重合可能なビニル系単量体単位、例えばアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート等の単量体単位を、スチレン系単量体単位とアクリロニトリル系単量体単位の合計100質量部に対して10質量部未満であれば含有してもよい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体には、必要に応じて公知の補強ゴム、例えばブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等が含まれていても差し支えないが、補強ゴムは、スチレン系単量体単位とアクリロニトリル系単量体単位の合計100質量部に対して10質量部未満であることが好ましい。ゴム成分が3質量%以上含有すると、透明性が低下し好ましくない。
塊状連続重合法としては公知の例が採用できるが、エチルベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤をスチレン系単量体とアクリロニトリル系単量体の合計100質量部に対して10〜40質量部%添加して重合させると、さらに好ましい。
重合時には、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の有機過酸化物を添加しても差し支えなく、また、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の公知の分子量調整剤を添加しても差し支えない。重合温度は、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは100〜160℃である。
アクリロニトリル−スチレン共重合体の重量平均分子量は、SEC法で測定されるポリスチレン換算値として10万〜25万であることが好ましく、15〜20万であることがさらに好ましい。重量平均分子量が10万未満であると樹脂の強度低下により、シート強度や耐折性が低下する。また25万以上では粘度上昇のためシート製膜性や容器成形性の低下が見られる。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)は2.0〜3.0が好ましく、2.1〜2.5であることがさらに好ましい。多分散度が2.0未満では重合方法や設備変更が必要となり、樹脂の生産性が低下する。また、2.5以上では低分子量成分増加による強度低下や高分子量成分増加による粘度上昇のために加工性や耐油性が低下する。
なおSEC測定は以下の条件で実施し、検量線作成には標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用いた。
装 置:昭和電工社製Shodex「SYSTEM−21」
カラム:PLgel MIXED−B
温 度;40℃
溶 媒:テトラヒドロフラン
流 量:1.0ml/分
検 出:RI
濃 度:0.2質量%
注入量:100μl
なおSEC測定は以下の条件で実施し、検量線作成には標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用いた。
装 置:昭和電工社製Shodex「SYSTEM−21」
カラム:PLgel MIXED−B
温 度;40℃
溶 媒:テトラヒドロフラン
流 量:1.0ml/分
検 出:RI
濃 度:0.2質量%
注入量:100μl
本発明で用いるアクリロニトリル―スチレン共重合体には、紫外線吸収剤、光安定剤、および酸化防止剤を単独または併用して使用することができる。
紫外線吸収剤としては、2−(5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロ・フタルイミドメチル)−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エトキシ−2’−エチル蓚酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチル蓚酸ビスアニリド及び2−エトキシ−4’−イソデシルフェニル蓚酸ビスアニリド等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、並びにアルミナ、シリカ、シランカップリング剤及びチタン系カップリング剤等の表面処理剤で処理された酸化チタン等の酸化チタン系紫外線安定剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔〔6,(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕及び1−〔2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等がある。
酸化防止剤としては、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチルテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクチル−3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルオクチルホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)1,4−フェニレン−ジ−ホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン等の燐系酸化防止剤が挙げられる。
さらに本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、用途に応じて滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、鉱油等の添加剤、ガラス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維等の補強繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウムなどの充填剤を、本発明の熱可塑性樹脂組成物の性能を損なわない範囲で配合してもよい。
本発明で用いる二軸延伸シートの製造方法としては、アクリロニトリル―スチレン共重合体を押出機により溶融混練してダイ(特にTダイ)から押し出し、次いで、二軸方向に逐次又は同時で延伸する製造方法である。二軸延伸シートの厚みは特に限定されないが、通常0.05mm以上0.6mm未満、好ましくは0.1mm以上0.5mm未満である。
本発明で用いる二軸延伸シートの、MD(Machine Direction;シート流れ方向)延伸倍率をA、TD(Transverse Direction;シート流れ方向に垂直な方向)延伸倍率をBとした時、A×Bで示される面倍率が、4〜10倍であることが好ましい。尚、係る面倍率において、MD延伸倍率及びTD延伸倍率は、いずれも1.5〜3.5倍が好ましい。A、B、A×Bのいずれかが上記範囲外の場合、シートに厚さムラが生じ、該シートを熱板成形して得られる容器において、座屈強度が低下する恐れがあり、好ましくない。尚、より好ましくは、面倍率が4〜8倍で、MD延伸倍率及びTD延伸倍率がそれぞれ2.0〜3.0倍である。
本発明において延伸倍率とは、二軸延伸シートの試験片が加熱前後で変化する割合であり、具体的には、次式すなわち、延伸倍率=Y/Z、単位[倍]によって算出される値を意味する。この式において、Yは、加熱前に二軸延伸シートの試験片に対して、MDおよびTDに描いた直線の長さ[mm]を示し、Zは、JIS K7206に準拠して測定したシートのビカット軟化点温度より30℃高い温度のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さ[mm]を示す。
また、本発明で用いる二軸延伸シートは、MD方向の最大配向緩和応力をa、TD方向の最大配向緩和応力をbとした時、a,bがそれぞれ0.2MPa〜0.8MPaであり、|a−b|が0.3MPa以下であり、好ましくは、a,bが0.3MPa〜0.6MPaで|a−b|が0.15MPa以下である。a,bが0.2MPa以下の場合、シート強度が低下し、耐折性が劣る。また0.8MPa以上では収縮力が高くなるため、油付着時の白化が起こりやすくなる、成形性が低下するなど好ましくない。|a−b|が0.3MPa以上となると、MD、TD方向の収縮力が異なるため成形性不良や成形品の歪みが発生しやすくなり好ましくない。
アクリロニトリル―スチレン共重合体二軸延伸シートは、シート化の為に溶融混練時あるいは原料製造時に、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、発泡剤、発泡核剤、無機フィラー、帯電防止剤等公知の添加剤を含有することができる。
また、食品と接触するシート表面を親水性である防曇剤を塗工することで耐油性を高めることが出来る。
防曇剤としては、非イオン性界面活性剤、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノモンタネートなどのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、トリグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノモンタネートなどのグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレートなどのポリエチレングリコール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリン縮合物と有機酸とのエステル;ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルアミン、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン化合物、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンジステアレート、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミンジステアレート、ポリオキシエチレン(8モル)ステアリルアミンモノステアレート、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノベヘネート、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルアミンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の脂肪酸アミド等のアミン系界面活性剤などが挙げられる。が挙げられる。その他に、ポリビニルアルコールおよびその共重合体(例えば、アクリルアミド、ポリビニルピロリドンとの共重合体)、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体(例えば、酢酸ビニルとの共重合体)、セルロース系誘導体(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、澱粉誘導体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、キサンタンガム、グリコーゲン、キチン、キトサン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン、キシログルカン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、水溶性アルキッド樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸塩、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリオール樹脂、あるいは、これら重合体を化学修飾したもの、などに代表される水溶性高分子などが挙げられる。
防曇剤を二軸延伸シートに塗工する方法は特に限定されることはなく、簡便にはロールコーター、ナイフコーター、グラビアロールコーター等を用い塗工する方法が挙げられる。また、噴霧、浸漬等を採用することも出来る。
なお、本発明の電子レンジ加熱用容器は食品包装用途として使用するため、使用される原材料について、食品添加物公定書やポリオレフィン衛生協議会のポジティブリストに登録されているなどの公に衛生性、安定性が認められている材料が好ましい。
本発明の電子レンジ加熱用容器とは、食材を電子レンジにて加熱調理する際に用いる容器である。容器は本体と蓋を含む意味であり、本体と蓋がヒンジ部を介してつながっている容器やそれぞれ別々となっている容器で合っても良い。また、本体および蓋をそれぞれ別の素材の本体および蓋と組み合わせても良い。
本発明の電子レンジ加熱容器は、特に油分の多い食品の電子レンジ加熱用容器として好適である。
アクリロニトリル―スチレン共重合体二軸延伸シートから成形品を得るには、市販の一般的な熱板圧空成形機を使用すれば良い。使用する成形機は熱板にシートが圧接している時間や圧空による成形する時間、シート圧接から圧空成形に切り替わるタイムラグ、成形サイクル等が設定できるタイプのものが望ましい。これらの方法は例えば、高分子学会編「プラスチック加工技術ハンドブック」日刊工業新聞社(1995) に記載されている。
本発明の電子レンジ加熱用容器の最大配向緩和応力は0.2MPa〜0.8MPaであり、好ましくは、0.3MPa〜0.6MPaである。0.2MPa以下の場合、シート強度が低下し、耐折性が劣る。また0.8MPa以上では収縮力が高くなるため、油付着時の白化が起こりやすくなる、成形性が低下するなど好ましくない。
本発明の電子レンジ加熱用容器の最大配向緩和応力温度は110℃〜130℃が好ましく、115℃〜125℃が更に好ましい。110℃以下では、からあげやてんぷら、コロッケなどの油分の多い食材を電子レンジ加熱した際に、食材が容器付着している場所の温度に耐えきれず容器の変形、穴あきをおこす。また、130℃以上となる容器とするには高分子量化や架橋を行うため、電子レンジ容器としては使用可能であるが、再生材とした場合に未溶融物が発生するなど、リサイクル性に劣る。
容器の最大配向緩和応力および最大配向緩和応力温度の求め方は、まず、容器天面平坦部より20mm×150mmの試験片を得、その試験片の両端を固定した状態で、90℃のオイルバスに浸漬した後、速度2℃/分にてオイルバスを150℃まで昇温し、荷重が最大となった時の応力値および温度から算出した。その時の応力値を最大配向緩和応力とし、その時の温度を最大配向緩和応力温度とした。
本発明の電子レンジ加熱用容器の耐折強さ(FE)は0.7〜3.0が好ましい。0.7以下の場合は、嵌合蓋の開閉時などに嵌合部が割れてしまう。また、3.0以上となるとシート強度が高すぎ、容器成型が困難となる。
耐折強さ(FE)は、JIS P 8115に準じて、MIT耐折度試験機(BE−201 テスター産業)にて荷重1.0kgfを用い、往復折り曲げ回数(N)を測定し、式1により求めた。
FE=log10N ・・・ 式1
FE=log10N ・・・ 式1
容器の天面厚み(a)[単位:mm]と成型前シートの平均厚み(b)[単位:mm]の比(a)/(b)は、0.6〜1.0が好ましい。0.6以下の場合は電子レンジ加熱後に容器変形を起こすため実用性が低い。また、1.0以上ではシート元のシート厚みより厚いため、延伸シートの収縮が起こっている状態となり、厚みが一定では無くなり、電子レンジ加熱後の容器変形が起こる。
容器の天面厚み(a)[単位:mm]は、容器の天面平滑部をマイクロメータや超音波測定器などの厚み測定装置で5箇所以上測定した値の平均値を用い、成型前シートの平均厚み(b)[単位:mm]は、容器質量[単位:g]、比重[単位:g/cm3]、容器を上部から見た際の投影面積[単位:cm2]を用いて、式2より求めた。
平均厚み(b)= 容器質量 ÷ 容器比重 ÷ 投影面積 × 10 ・・・ 式2
平均厚み(b)= 容器質量 ÷ 容器比重 ÷ 投影面積 × 10 ・・・ 式2
また、該容器には強度補強や形状保持のため複数の凸部が存在しても良い。その凸部の最小曲率半径は2〜10mmとなることが好ましい。2mm以下では割れが発生し、10mm以上は形状保持が難しく容器がゆがんでしまう。
<アクリロニトリル−スチレン共重合体の製造例>
[アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS−1)の製造]
容積20Lの完全混合型撹拌槽である第一反応器と容積40Lの撹拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。アクリロニトリル10質量%、スチレン90質量%で構成する単量体溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存単量体と溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル−スチレン系共重合体(AS−1)を得た。(AS−1)の組成は、表1に記載の通り、アクリロニトリル単位10質量%、スチレン単位90質量%であり、重量平均分子量は150,000であった。
[アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS−1)の製造]
容積20Lの完全混合型撹拌槽である第一反応器と容積40Lの撹拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。アクリロニトリル10質量%、スチレン90質量%で構成する単量体溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存単量体と溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル−スチレン系共重合体(AS−1)を得た。(AS−1)の組成は、表1に記載の通り、アクリロニトリル単位10質量%、スチレン単位90質量%であり、重量平均分子量は150,000であった。
[アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS−2)〜(AS−7)の製造]
実験例1の各種原料仕込み量を調整し、表1に記載のアクリロニトリル−スチレン樹脂(AS−2)〜(AS−7)を得た。
実験例1の各種原料仕込み量を調整し、表1に記載のアクリロニトリル−スチレン樹脂(AS−2)〜(AS−7)を得た。
<実施例1>
[二軸延伸シートの製造]
アクリロニトリル−スチレン共重合体(a)をシート押出機(Tダイ幅500mm、φ40mmのエキストルーダー(田辺プラスチック機械社製))を用い、押出温度230℃で、厚さ1.2mmの未延伸シートを得た。このシートをバッチ式二軸延伸機(東洋精機社製)にて、140℃に予熱し、歪み速度0.1/secでMD方向2.4倍、TD方向2.4倍(面倍率5.8倍)に延伸し、厚さ0.23mmの二軸延伸シートを得た。
更に、バーコーターにて1%ショ糖ラウリン酸エステル(リケマールA(第一工業製薬株式会社製)を5g/m2塗工し、105℃のオーブンにて1分間乾燥させた。
[二軸延伸シートの製造]
アクリロニトリル−スチレン共重合体(a)をシート押出機(Tダイ幅500mm、φ40mmのエキストルーダー(田辺プラスチック機械社製))を用い、押出温度230℃で、厚さ1.2mmの未延伸シートを得た。このシートをバッチ式二軸延伸機(東洋精機社製)にて、140℃に予熱し、歪み速度0.1/secでMD方向2.4倍、TD方向2.4倍(面倍率5.8倍)に延伸し、厚さ0.23mmの二軸延伸シートを得た。
更に、バーコーターにて1%ショ糖ラウリン酸エステル(リケマールA(第一工業製薬株式会社製)を5g/m2塗工し、105℃のオーブンにて1分間乾燥させた。
[電子レンジ加熱用容器の成形]
得られた二軸延伸シートより、熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング社製)にて、嵌合フードパック(本体部寸法 縦175×横130×深さ22mm、蓋部寸法 縦175×横130×高さ32mm)を成形した。
得られた成形容器について、以下の方法にて物性測定、評価を行った。結果は表2に記載した。
得られた二軸延伸シートより、熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング社製)にて、嵌合フードパック(本体部寸法 縦175×横130×深さ22mm、蓋部寸法 縦175×横130×高さ32mm)を成形した。
得られた成形容器について、以下の方法にて物性測定、評価を行った。結果は表2に記載した。
〔成形性〕
熱板温度135℃、加熱時間2.0秒の条件で成形した容器の外観および成形品の蓋を閉めた際の嵌合状態を評価した。
○:良好
△:軽微な白化、軽微なレインドロップ、
×:著しい白化、著しいレインドロップ、形状不良、嵌合不良(ずれ、はずれ、ゆがみ)
(製品化できない)
熱板温度135℃、加熱時間2.0秒の条件で成形した容器の外観および成形品の蓋を閉めた際の嵌合状態を評価した。
○:良好
△:軽微な白化、軽微なレインドロップ、
×:著しい白化、著しいレインドロップ、形状不良、嵌合不良(ずれ、はずれ、ゆがみ)
(製品化できない)
〔容器強度〕
JIS K 6251に準拠し、容器天面を1号型テストピース形状にカットしたシートを、島津製作所AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて測定し、評価した。
○: 60MPa以下
△: 40〜60MPa
×: 40MPa以上
JIS K 6251に準拠し、容器天面を1号型テストピース形状にカットしたシートを、島津製作所AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて測定し、評価した。
○: 60MPa以下
△: 40〜60MPa
×: 40MPa以上
〔透明性〕
JIS K 7361−1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社製)により測定した。測定には上記にて作製した二軸延伸シート0.21mm厚を用いた。
○:1.0%未満
△:1.0〜2.0%
×:2.0%以上
JIS K 7361−1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社製)により測定した。測定には上記にて作製した二軸延伸シート0.21mm厚を用いた。
○:1.0%未満
△:1.0〜2.0%
×:2.0%以上
〔色相〕
厚さ0.21mmの延伸シートを10枚重ね、分光測色計CM−2500d(コニカミノルタ社製)のSCI測定(正反射光込み)より得られたb値を評価した。
○:3以下
△:3〜5
×:5以上
厚さ0.21mmの延伸シートを10枚重ね、分光測色計CM−2500d(コニカミノルタ社製)のSCI測定(正反射光込み)より得られたb値を評価した。
○:3以下
△:3〜5
×:5以上
〔リサイクル性〕
まず、成形容器を粉砕し、シリンダー温度240℃、ダイス温度240℃の40mm単軸押出機にて押出を行い、ペレット状の再生樹脂とした。得られたペレット1粒をプレパラートに挟んだものを10枚準備し、それぞれ270℃にて加熱し、樹脂を溶融させ、プレパラート上から圧力を掛け、樹脂を1cm径に広がるまで押す。冷却後にプレパラートから樹脂を外し、デジタルマイクロスコープ(KH−8700 ハイロックス製)にて、粒状未溶融物の有無を確認する。
○:10枚とも未溶融物無し
△:10枚中 未溶融物1〜2枚
×:10枚中 未溶融物3枚以上
まず、成形容器を粉砕し、シリンダー温度240℃、ダイス温度240℃の40mm単軸押出機にて押出を行い、ペレット状の再生樹脂とした。得られたペレット1粒をプレパラートに挟んだものを10枚準備し、それぞれ270℃にて加熱し、樹脂を溶融させ、プレパラート上から圧力を掛け、樹脂を1cm径に広がるまで押す。冷却後にプレパラートから樹脂を外し、デジタルマイクロスコープ(KH−8700 ハイロックス製)にて、粒状未溶融物の有無を確認する。
○:10枚とも未溶融物無し
△:10枚中 未溶融物1〜2枚
×:10枚中 未溶融物3枚以上
〔耐油性〕
熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング社製)にてヒンジ部を有する嵌合フードパックを成形し、サラダ油(日清製油社製)、マヨネーズ(味の素社製)の試験液をしみ込ませたガーゼ10×10mmをヒンジ部に貼り付け、60℃オーブンにて24時間静置し、付着部の表面観察を行った。
○:変化無し
△:わずかに白化あり
×:著しい白化、穴空きあり
熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング社製)にてヒンジ部を有する嵌合フードパックを成形し、サラダ油(日清製油社製)、マヨネーズ(味の素社製)の試験液をしみ込ませたガーゼ10×10mmをヒンジ部に貼り付け、60℃オーブンにて24時間静置し、付着部の表面観察を行った。
○:変化無し
△:わずかに白化あり
×:著しい白化、穴空きあり
〔レンジ耐性〕
嵌合フードパックに冷凍状態のからあげ(やわらかジューシーからあげチキン、ニチレイ社製)を6個入れ、蓋容器をかぶせて、500W電子レンジで1分30秒加熱した後の容器外観を評価した。
○:変化なし
△:容器がわずかに変形
×:白化あり、穴あきあり、容器が著しく変形(製品化できない)
嵌合フードパックに冷凍状態のからあげ(やわらかジューシーからあげチキン、ニチレイ社製)を6個入れ、蓋容器をかぶせて、500W電子レンジで1分30秒加熱した後の容器外観を評価した。
○:変化なし
△:容器がわずかに変形
×:白化あり、穴あきあり、容器が著しく変形(製品化できない)
<実施例2〜20>
実施例1と同様の方法で、表2、表3に記載の樹脂、延伸条件、成形条件にてシートを作製し、評価を行った。結果は表2、表3に示した。
実施例1と同様の方法で、表2、表3に記載の樹脂、延伸条件、成形条件にてシートを作製し、評価を行った。結果は表2、表3に示した。
<比較例1〜12>
実施例1と同様の方法で、表4に記載の樹脂、延伸条件、成形条件にてシートを作製し、評価を行った。結果は表4に示した。
実施例1と同様の方法で、表4に記載の樹脂、延伸条件、成形条件にてシートを作製し、評価を行った。結果は表4に示した。
表に示すように、実施例に示すシートは各性能ともに良好であり、バランスのとれた電子レンジ加熱用容器であるが、比較例に示す容器は強度、耐折性、レンジ耐性の一部が不十分であり、実用性の低い容器である。
本発明の電子レンジ加熱用容器は、透明性、剛性、実用強度、耐熱性、油接触条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスにすぐれており、特に電子レンジで調理し得るに十分な耐熱性を必要とする食品容器用途に好適に用いることができる。
Claims (7)
- アクリロニトリル成分を10〜40質量%含有したアクリロニトリル−スチレン共重合体からなる二軸延伸シートを用いた電子レンジ加熱用容器。
- 容器天面の加熱収縮率が3〜9倍であって、最大配向緩和応力が0.2〜0.8MPaであって、最大配向緩和応力温度が110℃から130℃である請求項1に記載の電子レンジ加熱用容器。
- 容器のJIS P 8115で規定する耐折強さ(FE)が1.0〜3.0であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンジ加熱用容器。
- 容器の天面厚み(a)[単位:mm]と成型前シートの平均厚み(b)[単位:mm]の比(a)/(b)が0.6〜1.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用容器。
- 容器の凸部の最小曲率半径が2〜10mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用容器。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器に食品を充填し、電子レンジにて加熱調理を行う加熱調理方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器に水を充填し、電子レンジにて加熱調理を行う加熱調理方法。
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JP2015041942A JP2016158962A (ja) | 2015-03-04 | 2015-03-04 | スチレン系二軸延伸シートを用いた電子レンジ加熱用容器および調理方法 |
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