JP6393125B2 - スチレン系二軸延伸シ−トを用いた嵌合容器 - Google Patents
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(1)周縁部に被嵌合部を有する容器本体とこの容器本体の被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を有する蓋体とで構成され、容器本体および蓋体がアクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トを成形して成る嵌合容器。
(2)蓋に突出して設けられた第1嵌合部と容器本体に突出して設けられた第2嵌合部のいずれか一方の嵌合部が他方の嵌合部の内側へ嵌入することにより閉塞状態となる容器であって、前記 第1嵌合部、第2嵌合部には、縦断面において逆テ−パ−状の内周側壁面及び外周側壁面が形成されており、第1嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角が 4〜8°、かつ相対応する第2嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角が第1嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角よりも0.5〜2°小さいことを特徴とする(1)に記載の嵌合容器。
(3)アクリロニトリル成分を10〜40重量部含有し、重量平均分子量が10〜25万であって、多分散度が2.0〜2.5であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を用いた二軸延伸シ−トからなる(1)または(2)に記載の嵌合容器。
(4)二軸延伸の面倍率が4〜10倍であって、最大配向緩和応力が0.2〜0.6MPaであって、MD方向の最大配向緩和応力(a)とTD方向の最大配向緩和応力(b)との差の絶対値が0.3MPa以下であることを特徴とする二軸延伸シ−トを用いた(1)〜(3)のいずれかに記載の嵌合容器。
(5)硫黄含有量が100〜300ppmであって、揮発性物質が200〜2000ppmである(1)〜(4)のいずれかに記載の嵌合容器。
(6)二軸延伸シ−トの少なくとも一方の面に防曇剤を塗布し、表面の水接触角を5〜15°とした二軸延伸シ−トを用いた(1)〜(5)のいずれかに記載の嵌合容器。
(7)二軸延伸シ−トの防曇剤塗布面が内容物接触面となる(6)に記載の嵌合容器。
また、図3に示すように、本体の第2嵌合部121は、基端面122から立ち上がり、上方にいくに従って、幅広になるフランジ側面に逆テ−パ−を形成させており、蓋と同様に、外周側壁面124及び、内周側壁面125も、逆テ−パ−状になる。 そして、図4に示すように、液漏れ防止容器10は、第1嵌合部111の内側へ第2嵌合部121が嵌入することにより、蓋11と容器本体12とが嵌合し、閉塞状態とされる
の相対する側壁部が擦り合わさり、液を漏れにくくするともに、蓋を開け閉めする際の抵
抗となる。本発明において、「突出方向」とは、第1嵌合部及び第2嵌合部が突出してい
る方向をいい、嵌合容器の容器本体の底面側を水平に置いた際の鉛直方向をいう。
側壁面115、及び外周側壁面114は、逆テ−パ−形状で有り鉛直方向とのテ−パ−角
θ1,θ2は、4〜8°が好適である。テ−パ−角θ1,θ2が4°よりも小さいと、液
漏れ防止効果が低くなり、テ−パ−角θ1,θ2が8°を超えると、蓋を容易に閉めるこ
とが難しくなる。
本体12に形成した第2嵌合部121の内周側壁面125、及び外周側壁面124のテ−
パ−角θ3,θ4は、蓋11に形成した第1嵌合部111の内周側壁面115及び外周側
壁面114のテ−パ−角θ1,θ2よりも0.5〜2°小さい事が望ましい。第1嵌合部
111側壁面のテ−パ−角θ1,θ2を第2嵌合部121のテ−パ−角θ3,θ4よりも
大きくする事で第1嵌合部111、と第2嵌合部121の接触面積が小さくなり、面接触
ではなく線接触となり、第1嵌合部111と第2嵌合部121の接触する力を強めても、
蓋の開け閉めの抵抗が適度な範囲で留まり、液漏れしにくい構造となる。テ−パ−角θ3
,θ4がテ−パ−角θ1,θ2と比較して0.5°よりも小さいと、第1嵌合部111と
第2嵌合部121とが面接触的になり、密封性の効果が低下する。また、テ−パ−角θ3
,θ4がテ−パ−角θ1,θ2と比較して2°を超えて大きいと、第1嵌合部111と第
2嵌合部121を嵌め合わせる際の抵抗が大きくなりすぎて、蓋が嵌めにくくなる。第1
嵌合部111及び第2嵌合部121の内周側壁面115,125及び外周側壁面114,
124のテ−パ−角θ1〜θ4は、2〜7.5°が好ましい。容器の生産時の離型性及び
液漏れ防止性の観点から、テ−パ−角θ1およびθ2の範囲は、5〜7°がより好ましく
、テ−パ−角θ3およびθ4の範囲は、4〜6°の範囲がより好ましい。
なお、SEC測定は、以下のような条件で実施した。
装 置:昭和電工社製Shodex「SYSTEM−21」
カラム:PLgel MIXED−B
温 度;40℃
溶 媒:テトラヒドロフラン
流 量:1.0ml/分
検 出:RI
濃 度:0.2質量%
注入量:100μl
検量線:標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用い、溶離時間と溶出量との関係を分子量と変換して各種平均分子量を求めた。
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロ−型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。アクリロニトリル10質量%、スチレン90質量%で構成する単量体溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパ−オキシイソプロピルモノカ−ボネ−ト0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存単量体と溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル−スチレン系共重合体(AS−1)を得た。(AS−1)の組成は、表1に記載の通り、アクリロニトリル単位10質量%、スチレン単位90質量%であり、重量平均分子量は150,000、多分散度2.3であった。
実験例1の各種原料仕込み量を調整し、表1に記載のアクリロニトリル−スチレン樹脂(AS−2〜22)を得た。
アクリロニトリル−スチレン共重合体(a)をシ−ト押出機(Tダイ幅500mm、φ40mmのエキストル−ダ−(田辺プラスチック機械社製))を用い、押出温度230℃で、厚さ1.2mmの未延伸シ−トを得た。このシ−トをバッチ式二軸延伸機(東洋精機 )にて、140℃に予熱し、歪み速度0.1/secでMD方向2.4倍、TD方向2.4倍(面倍率5.8倍)に延伸し、厚さ0.21mmの二軸延伸シ−トを得た。
更に、バ−コ−タ−にて1%ショ糖ラウリン酸エステル(リケマ−ルA(第一工業製薬株式会社製)を5g/m2塗工し、105℃のオ−ブンにて1分間乾燥させた。乾燥後の塗工表面の水接触角は10度であった。
この延伸シ−トの硫黄含有量は100ppm、揮発性物質含有量は1000ppmであった。
二軸延伸シ−トの試験片に対して、MDおよびTDに100mmの直線Yを引き、JIS K7206に準拠して測定したシ−トのビカット軟化点温度より30℃高い温度のオ−ブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さZ[mm]を測定し、次式すなわち、延伸倍率=Y/Z、単位[倍]によって算出した。
二軸延伸シ−トから20mm×200mm×0.2mmの試験片を得た。その試験片の両端を固定し、130℃のオイルバスに浸漬した後、荷重が最大となった時の応力値を算出した。その時のMD方向の応力値を最大配向緩和応力aとし、TD方向の応力値を最大緩和応力bとし、|a−b|を求めた。
ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)にて測定した。
二軸延伸シ−トを破砕し、その約0.5gを精秤し、テトラヒドロフラン50mlに溶解し、ジエチルベンゼン標準液1mlを加え、テトラヒドロフランで薄めて20mlに定容し、ガスクロマトグラフにて測定した。
JIS R3257に準じて、接触角計DM−701(協和界面化学)にて、試験液に蒸留水を用い、滴下量2μL、滴下後から30秒後の接触角を測定した。
二軸延伸シ−トをMD方向及びTD方向に50mm間隔で格子状にした時の交点25点についてマイクロゲ−ジを用いて厚さを測定し、平均厚さとその標準偏差σを算出し、厚さについては数値で、厚さムラについては標準偏差σを下記基準で評価し、製膜性の評価とした。
○:σが0.03mm未満
△:σが0.03mm以上、0.07mm未満
×:σが0.07mm以上
JIS K−6251に準拠し、二軸延伸シ−トを1号型テストピ−ス形状にカットし、島津製作所AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて測定し、評価した。
○: 60MPa以下
△: 40〜60MPa
×: 40MPa以上
ASTM D2176に準じて、シ−ト押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)の耐折曲げ強さを測定した。縦横の平均値を求め評価した。
○:10回以上
△:5回以上、10回未満
×:5回未満
JIS K−7361−1に準じ、ヘ−ズメ−タ−NDH5000(日本電色社)により測定した。測定には上記にて作製した二軸延伸シ−ト0.21mm厚を用いた。
○:1.0%未満
△:1.0〜2.0%
×:2.0%以上
厚さ0.21mmの延伸シ−トを10枚重ね、分光測色計CM−2500d(コニカミノルタ)のSCI測定(正反射光込み)より得られたb値を評価した。
○:3以下
△:3〜5
×:5以上
熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング製)にて、熱板温度140℃、加熱時間2.0秒の条件で、実施形態で述べた嵌合容器(図1〜4参照)の形状と同様の形状である容器蓋および本体を成形し外観を評価した。
蓋の寸法は、長さ 150mm×幅 110mm×高さ 20mm、第1嵌合部の高さ(基端面112から先端面113までの鉛直方向の長さ)5mm、先端面113の仮想点(先端面113と内周側壁面及び外周側壁面との交点)の幅 4.7mmとした。本体の寸法は、長さ 150mm×幅 110mm×高さ 20mm、第2嵌合部の高さ(基端面122から先端面123までの鉛直方向の長さ)5.5mm、先端面123の仮想点(先端面123と内周側壁面及び外周側壁面との交点)の幅5.1mmとした。
○:良好
△:軽微な白化、軽微なレインドロップ、
×:著しい白化、著しいレインドロップ、形状不良、嵌合不良(製品化できない)
熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング製)にて、熱板温度135℃、加熱時間2.0秒の条件で容器蓋を10枚成形した後の熱板成型機周辺の雰囲気の臭いを官能評価した。
○:特異的な臭いはしない
△:わずかに異臭を感じる
×:鼻につくほどの臭いを感じる
ポリプロピレン60質量%、タルク40質量%からなる厚さ0.25mmシ−トを真空成型機FVS−500(脇坂エンジニアリング製)にて嵌合部を有する本体容器を成形した後、前成形アクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トからなる蓋を重ねあわせた際の嵌合状態を評価した。
嵌合状態の指標として、蓋を閉めるまでの抵抗を嵌合強度として示した。具体的には、容器の4コ−ナ−のうち1コ−ナ−部を残し、蓋の嵌合部を対応する本体の嵌合部に予め嵌めておき、蓋の閉めずに残した1コ−ナ−を、先端に幅12mm 長さ50mmの治具をつけたプッシュプルゲ−ジにて、蓋を閉めるように鉛直方向に押し込み、プッシュプルゲ−ジが示す、蓋が閉まるまでの最大強度を、嵌合強度とした。
○:適度な抵抗あり。 嵌合強度400〜600cN
△:抵抗が小さい。 嵌合強度200〜400cN
抵抗が大きい。 嵌合強度600〜900cN
×:嵌っていないため蓋がずれる。 嵌合強度200cN未満
閉めにくく、嵌らないもしくは嵌合部が変形する。 嵌合強度900cN以上
作製した嵌合容器の容器本体に、蓋と本体によって形成される内部空間容積の1/3の水を入れた後、蓋の第1嵌合部と本体の第2嵌合部とを嵌合し、ス−パ−マ−ケットの店舗陳列棚を想定して30度傾斜させた状態で室温(約23℃)にて24時間静置した。24時間静置の間、嵌合容器の内部からの水の漏出時間について以下の評価基準に従って評価した。
○:12時間以上液漏れせず
△:3〜12時間の間に液漏れ
×:3時間未満で液漏れ
嵌合容器本体にめんつゆ50gを入れ、蓋をかぶせ、容器を10°傾けた状態にて500Wの電子レンジで1分間加熱した後の容器形状、外観を目視で評価した。
○:変化なし
△:軽微な白化、軽微な変形あり(液漏れなし)
×:嵌合部の変形による液漏れ有、容器全体が著しく変形、液接触部の白化、穴あきあり。
(製品化できない)
実施例1と同様の方法で、表2、表3に記載の樹脂、延伸条件にてシ−トを作成し、評価を行った。結果は表2、表3に示した。
実施例1と同様の方法で、表4、表5に記載の樹脂、延伸条件にてシ−トを作成し、評価を行った。結果は表4、表5に示した。
11 蓋
111 第1嵌合部
112 基端面
113 先端面
114 外周側壁面
115 内周側壁面
θ1 外周側壁面のテ−パ−角
θ2 内周側壁面のテ−パ−角
12 容器本体
121 第2嵌合部
122 基端面
123 先端面
124 外周側壁面
125 内周側壁面
θ3 外周壁面のテ−パ−角
θ4 内周側壁面のテ−パ−角
Claims (7)
- 周縁部に被嵌合部を有する容器本体とこの容器本体の被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を有する蓋体とで構成され、容器本体および蓋体がアクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トを成形して成り、
前記二軸延伸シ−トのMD方向の最大配向緩和応力をa、TD方向の最大配向緩和応力をbとしたとき、a及びbがそれぞれ0.3MPa〜0.5MPaであり、|a−b|が0.15MPa以下である、嵌合容器。 - 蓋に突出して設けられた第1嵌合部と容器本体に突出して設けられた第2嵌合部のいずれか一方の嵌合部が他方の嵌合部の内側へ嵌入することにより閉塞状態となる容器であって、前記 第1嵌合部、第2嵌合部には、縦断面において逆テ−パ−状の内周側壁面及び外周側壁面が形成されており、第1嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角が 4〜8°、かつ相対応する第2嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角が第1嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角よりも0.5〜2°小さいことを特徴とする請求項1に記載の嵌合容器。
- アクリロニトリル成分を10〜40重量部含有し、重量平均分子量が10〜25万であって、多分散度が2.0〜2.5であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を用いた二軸延伸シ−トからなる請求項1または2に記載の嵌合容器。
- 二軸延伸の面倍率が4〜10倍である前記二軸延伸シ−トを用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載の嵌合容器
- 硫黄含有量が100〜300ppmであって、揮発性物質が200〜2000ppmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の嵌合容器。
- 二軸延伸シ−トの少なくとも一方の面に防曇剤を塗布し、表面の水接触角を5〜15°とした二軸延伸シ−トを用いた請求項1〜5のいずれか1項に記載の嵌合容器。
- 二軸延伸シ−トの防曇剤塗布面が内容物接触面となる請求項6に記載の嵌合容器。
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