JP6393125B2 - スチレン系二軸延伸シ−トを用いた嵌合容器 - Google Patents

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本発明は、周縁部に被嵌合部を有する容器本体とこの容器本体の被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を有する蓋体とで構成され、蓋体および本体材料としてアクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トを用いることで、油接触かつ加熱条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスにすぐれた電子レンジ向け液漏れ防止包装用容器として使用できる嵌合容器に関する。
従来から、ス−パ−マ−ケット、コンビニエンスストア、デパ−ト、弁当店等の店舗において、食料品や加工食品等を販売する際に使用される容器として、合成樹脂シ−トからなる蓋と容器本体とが嵌合して構成されている包装用容器が用いられている。
包装用容器の内部には、例えば、煮物、漬物等、様々な食品が収容される。収容される食品には、煮汁、漬け汁あるいは食品原料自体に含まれる水分等、液体を含むものが多種存在する。店舗においては、販売促進の為、傾斜のついたショ−ケ−スにて販売する事もあるが、このような液体を含む食品を密封性の低い容器に入れたまま、傾斜のついたショ−ケ−スの棚に置くと、包装用容器の内部から収容された食品に含まれる液体が漏れでるという問題が有る。
また、消費者が購入後、持ち帰る際にその食品を収容した包装用容器が傾き、包装用容器の内部から収容された食品に含まれる液体が漏れ出るという問題があることから、例えば、特許文献1、2、3のような嵌合部の形状設計精度向上や形状保持のための検討が行われている。それらに用いられている蓋材にはポリプロピレンもしくはポリスチレンの二軸延伸シ−トやポリプロピレンや非晶質ポリエチレンテレフタレ−トの未延伸シ−トが用いられている。しかし、実際に該容器を電子レンジ加熱した場合は、ポリプロピレンでは変形が著しく、ポリスチレンは耐熱・耐油性が低いため蓋材と本体の隙間に滞留したソ−スやタレなどの液体が、電子レンジのマイクロ波により局所的に発熱し嵌合部が変形するなど、いずれも形状保持に適切な素材とは言えない。
更に、二軸延伸ポリスチレン樹脂シ−トについては、透明性に優れ、剛性が高いため、食品包装容器分野で幅広く使用されているが、耐油性が低く、油を付着させ長時間保管するとシ−ト表面の白化現象が見られるため、耐油性向上ポリスチレン系延伸シ−トが求められてきた。
そのため、樹脂改質による二軸延伸ポリスチレン樹脂シ−トへの耐油性付与に関する検討が行われてきた。例えば、特許文献4ではスチレン系共重合体がアクリル酸、メタクリル酸、または無水マレイン酸のいずれか一成分を4〜20重量%含むスチレンとの共重合体を主体としてなるスチレン系二軸延伸シ−トにより、100℃以上の実用耐熱性とその温度の食物油に接しても白化現象を起こさない旨が示されている
しかしながら、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸モノマ−を共重合させることにより、溶融混練時に酸の脱水反応による架橋反応を起こしやすく、ゲルが発生し、シ−トの外観不良を起こす。また、各モノマ−は耐熱性を向上させる反面、樹脂が脆くなるという欠点があり、食品容器として実用するためには配向緩和応力を高く設計しなければならない。そのため、高配向の延伸シ−トは油や熱に対する収縮が大きく、白化を増長させる。また、高配向になればなるほど容器成形が困難となる。
また、特許文献5、6、7では、表層にビカット軟化点が低い樹脂を用いた多層共押出を行い、中芯層に適した延伸温度にて二軸延伸を行うことにより、表層のみ配向緩和応力を低下させたシ−トを作製することによる耐油性向上手法が示されている。
さらに、特許文献8、9では、ポリスチレン二軸延伸シ−トの食品接触面に、ポリプロピレンやアクリル樹脂、非晶質ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂のような耐油性樹脂からなるフィルムをラミネ−トすることにより、油とポリスチレンシ−トが直接接触させない耐油性向上方法が示されている。
しかしながら、フィルムのラミネ−トによる材料費や加工費などのコストアップや、フィルムが非相溶ポリマ−のため透明品へのリサイクルが不可能となる。更に熱成型時には、軟化点の異なる樹脂を同一温度で成形することとなるため、外観不良や成形歪が残るなどの課題がある。
そこで、特許文献10ではポリスチレンよりも耐油性の高い樹脂であるアクリロニトリルホモポリマ−およびアクリロニトリル成分を90質量%以上含んだコポリマ−から得られるシ−トによる耐油性向上が示されている。
しかしながら、ポリスチレン樹脂と比較し樹脂強度が高いため熱成型が難しいことや、DMSO溶剤に溶解し、キャストフィルムを作製後、水槽にてDMSO溶剤を水に置換し、水ゲルフィルムとすることでシ−ト化を行うなど、非常に複雑な製膜工程であるため生産性が低いことや、残存溶剤や樹脂の吸水などの管理が難しく、シ−ト物性が変動しやすい。
特開2003−252357 特開2014−144796 特開平9−323743 特開昭62−25031 特開2005−35208 特開2005−349591 特開2007−277428 特許4217591号 特許4812072号 特開昭59−106922
本発明は、周縁部に被嵌合部を有する容器本体とこの容器本体の被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を有する蓋体とで構成され、蓋体および本体材料としてアクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トを用いることで、油接触かつ加熱条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスにすぐれた、電子レンジ向け液漏れ防止包装用容器として使用できる嵌合容器を提供する事を課題とする。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)周縁部に被嵌合部を有する容器本体とこの容器本体の被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を有する蓋体とで構成され、容器本体および蓋体がアクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トを成形して成る嵌合容器。
(2)蓋に突出して設けられた第1嵌合部と容器本体に突出して設けられた第2嵌合部のいずれか一方の嵌合部が他方の嵌合部の内側へ嵌入することにより閉塞状態となる容器であって、前記 第1嵌合部、第2嵌合部には、縦断面において逆テ−パ−状の内周側壁面及び外周側壁面が形成されており、第1嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角が 4〜8°、かつ相対応する第2嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角が第1嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角よりも0.5〜2°小さいことを特徴とする(1)に記載の嵌合容器。
(3)アクリロニトリル成分を10〜40重量部含有し、重量平均分子量が10〜25万であって、多分散度が2.0〜2.5であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を用いた二軸延伸シ−トからなる(1)または(2)に記載の嵌合容器。
(4)二軸延伸の面倍率が4〜10倍であって、最大配向緩和応力が0.2〜0.6MPaであって、MD方向の最大配向緩和応力(a)とTD方向の最大配向緩和応力(b)との差の絶対値が0.3MPa以下であることを特徴とする二軸延伸シ−トを用いた(1)〜(3)のいずれかに記載の嵌合容器。
(5)硫黄含有量が100〜300ppmであって、揮発性物質が200〜2000ppmである(1)〜(4)のいずれかに記載の嵌合容器。
(6)二軸延伸シ−トの少なくとも一方の面に防曇剤を塗布し、表面の水接触角を5〜15°とした二軸延伸シ−トを用いた(1)〜(5)のいずれかに記載の嵌合容器。
(7)二軸延伸シ−トの防曇剤塗布面が内容物接触面となる(6)に記載の嵌合容器。
本発明により、周縁部に被嵌合部を有する容器本体とこの容器本体の被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を有する蓋体とで構成され、蓋体および本体材料としてアクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トを用いることで、油接触かつ加熱条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスにすぐれた、電子レンジ向け液漏れ防止包装用容器として使用できる嵌合容器が提供される。
本発明の実施形態に係る嵌合容器を模式的に示す斜視図であり、(A)は蓋を模式的に示す斜視図、(B)は容器本体を模式的に示す斜視図、(C)は蓋と容器本体とを嵌合した嵌合容器を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る嵌合容器における蓋を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る嵌合容器における容器本体を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態に係る嵌合容器を模式的に示す断面図である。
以下に本発明を説明する。
本発明における嵌合容器の形状は、容器と本体とが分離されており、周縁部に被嵌合部を有する容器本体と、該容器本体の被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を有する蓋体とで構成される。更に嵌合部は、蓋体の嵌合部の内壁と本体の嵌合部の内壁が接触している構造である。
本発明の嵌合容器10の形態について、図1〜図4を参照して説明する。図1(A)は、第1実施形態に係る嵌合容器10における蓋11、図1(B)は嵌合容器10における容器本体12、図1(C)は蓋11と容器本体12とを嵌合した状態の嵌合容器10を模式的に示す斜視図である。図2は、図1(A)のA−A線断面を模式的に示す蓋11の断面図、図3は、図1(B)のB−B線断面を模式的に示す容器本体12の断面図、図4は、図1(C)のC−C線断面を模式的に示す嵌合容器10の断面図である。
図1(A)〜(C)に示すように、嵌合容器10は、平面視略長方形状に形成された蓋11及び容器本体12を備えて構成されている。容器本体12は、食品(図示せず)を置く底面12aと対向する側の一面が開口しており、その開口している一面を蓋11が覆うことで、食品を収容可能な嵌合容器10の内部空間が形成される。 なお、本発明において述べる「食品」とは、料理済みの食品に限らず、加工前の食品原料や加工途中の段階の食品等が広く包含され、狭く限定されない。
図1に示す嵌合容器10は平面視長方形状で例示したが、嵌合容器10の平面視形状は、平面視正方形状、平面視三角形状、平面視多角形状、平面視円形状等とすることもでき、平面視形状は特に限定されない。 また、嵌合容器10の高さ(深さ)方向の観点でみた形状も特に限定されず、例えば、図1で例示したような皿状のほか、箱状、椀状、カップ状、筒状等とすることができる。
次に、蓋11及び容器本体12のそれぞれに突出して設けられた嵌合部111、121について説明する。 蓋11の周縁には、嵌合容器10における蓋11側(上方)に突出して設けられた嵌合部(第1嵌合部111)が周設されている。また、容器本体12の周縁にも第1嵌合部111と対向する位置に、蓋11側(上方)に突出して設けられた嵌合部(第2嵌合部121)が周設されている。
図2に示すように、蓋11の第1嵌合部111は、基端面112から立ち上がり、上方にいくに従って、幅広になるフランジ側面に逆テ−パ−を形成させている。そのため、第1嵌合部111は、蓋11の外周側に位置する逆テ−パ−状の側壁面(以下、「外周側壁面」という)114と、蓋11の内周側に位置する逆テ−パ−状の側壁面(以下、「内周側壁面」という)115とを有して形成されている。
また、図3に示すように、本体の第2嵌合部121は、基端面122から立ち上がり、上方にいくに従って、幅広になるフランジ側面に逆テ−パ−を形成させており、蓋と同様に、外周側壁面124及び、内周側壁面125も、逆テ−パ−状になる。 そして、図4に示すように、液漏れ防止容器10は、第1嵌合部111の内側へ第2嵌合部121が嵌入することにより、蓋11と容器本体12とが嵌合し、閉塞状態とされる
かかる構成により、第2嵌合部121が第1嵌合部111に嵌入する際に、蓋及び本体
の相対する側壁部が擦り合わさり、液を漏れにくくするともに、蓋を開け閉めする際の抵
抗となる。本発明において、「突出方向」とは、第1嵌合部及び第2嵌合部が突出してい
る方向をいい、嵌合容器の容器本体の底面側を水平に置いた際の鉛直方向をいう。
次に、嵌合部の詳細設定について説明する。蓋11に形成した第1嵌合部111の内周
側壁面115、及び外周側壁面114は、逆テ−パ−形状で有り鉛直方向とのテ−パ−角
θ1,θ2は、4〜8°が好適である。テ−パ−角θ1,θ2が4°よりも小さいと、液
漏れ防止効果が低くなり、テ−パ−角θ1,θ2が8°を超えると、蓋を容易に閉めるこ
とが難しくなる。
本体12に形成した第2嵌合部121の内周側壁面125、及び外周側壁面124のテ−
パ−角θ3,θ4は、蓋11に形成した第1嵌合部111の内周側壁面115及び外周側
壁面114のテ−パ−角θ1,θ2よりも0.5〜2°小さい事が望ましい。第1嵌合部
111側壁面のテ−パ−角θ1,θ2を第2嵌合部121のテ−パ−角θ3,θ4よりも
大きくする事で第1嵌合部111、と第2嵌合部121の接触面積が小さくなり、面接触
ではなく線接触となり、第1嵌合部111と第2嵌合部121の接触する力を強めても、
蓋の開け閉めの抵抗が適度な範囲で留まり、液漏れしにくい構造となる。テ−パ−角θ3
,θ4がテ−パ−角θ1,θ2と比較して0.5°よりも小さいと、第1嵌合部111と
第2嵌合部121とが面接触的になり、密封性の効果が低下する。また、テ−パ−角θ3
,θ4がテ−パ−角θ1,θ2と比較して2°を超えて大きいと、第1嵌合部111と第
2嵌合部121を嵌め合わせる際の抵抗が大きくなりすぎて、蓋が嵌めにくくなる。第1
嵌合部111及び第2嵌合部121の内周側壁面115,125及び外周側壁面114,
124のテ−パ−角θ1〜θ4は、2〜7.5°が好ましい。容器の生産時の離型性及び
液漏れ防止性の観点から、テ−パ−角θ1およびθ2の範囲は、5〜7°がより好ましく
、テ−パ−角θ3およびθ4の範囲は、4〜6°の範囲がより好ましい。
本発明に使用される嵌合容器の蓋材および本体の素材としてはアクリロニトリル系単量体単位10〜40質量%、スチレン単量体単位60〜90質量%のアクリロニトリル−スチレン共重合体が用いられ、好ましくはアクリロニトリル系単量体単位18〜32質量%である。アクリロニトリル系単量体単位が40質量%を越えると色相、外観、シ−ト製膜性、容器成形性が劣るものとなり、アクリロニトリル系単量体単位10質量%未満であると耐油性、外観、強度に劣るものとなる。
アクリロニトリル系単量体単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の単位を挙げることができるが、好ましくはアクリロニトリル単位である。これらのアクリロニトリル系単量体単位は、単独でも良いが2種以上であってもよい。
スチレン系単量体単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等の単位を挙げることができるが、好ましくはスチレン単位である。これらのスチレン系単量体単位は、単独でもよいが二種以上であってもよい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体には、必要に応じて共重合可能なビニル系単量体単位、例えばアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、メチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、ブチルメタクリレ−ト、2−エチルヘキシルメタクリレ−ト、ジシクロペンタニルメタクリレ−ト、イソボルニルメタクリレ−ト等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレ−ト、エチルアクリレ−ト、n−ブチルアクリレ−ト、2−メチルヘキシルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレ−ト、デシルアクリレ−ト等の単位を、スチレン系単量体単位とアクリロニトリル系単量体単位の合計100質量部に対して10質量部未満であれば含有した共重合体であってもよい。
アクリロニトリル−スチレン共重合体には、必要に応じて公知の補強ゴム、例えばブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等が含まれていても差し支えないが、補強ゴムは、スチレン系単量体単位とアクリロニトリル系単量体単位の合計100質量部に対して10質量部未満であることが好ましい。ゴム成分が3質量%以上含有すると、透明性が低下し好ましくない。
アクリロニトリル−スチレン共重合体は、アクリロニトリル系単量体とスチレン系単量体とを重合させることにより得られる。重合方法は特に限定しないが、臭気低減のため塊状連続重合が好ましい。
塊状連続重合法としては公知の例が採用できるが、エチルベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤をスチレン系単量体とアクリロニトリル系単量体の合計100質量部に対して10〜40質量部%添加して重合させると、さらに好ましい。
重合時には、t−ブチルパ−オキシベンゾエ−ト、t−ブチルパ−オキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパ−オキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパ−オキシイソプロピルモノカ−ボネ−ト、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパ−オキシ)ブチレ−ト等の公知の有機過酸化物を添加しても差し支えなく、また、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の公知の分子量調整剤を添加しても差し支えない。
重合温度は、好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは100〜160℃である。
アクリロニトリル−スチレン共重合体のSEC法で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量は、10万〜25万であることが好ましく、15〜20万であることがさらに好ましい。重量平均分子量が10万未満であると樹脂の強度低下により、シ−ト強度や耐折性が低下する。また25万以上では粘度上昇のためシ−ト製膜性や容器成形性の低下が見られる。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)は2.0〜3.0が好ましく、2.1〜2.5であることがさらに好ましい。多分散度が2.0未満では重合方法や設備変更が必要となり、樹脂の生産性が低下する。また、2.5以上では低分子量成分増加による強度低下や高分子量成分増加による粘度上昇のために加工性や耐油性が低下する。
なお、SEC測定は、以下のような条件で実施した。
装 置:昭和電工社製Shodex「SYSTEM−21」
カラム:PLgel MIXED−B
温 度;40℃
溶 媒:テトラヒドロフラン
流 量:1.0ml/分
検 出:RI
濃 度:0.2質量%
注入量:100μl
検量線:標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用い、溶離時間と溶出量との関係を分子量と変換して各種平均分子量を求めた。
本発明で用いるアクリロニトリル−スチレン共重合体には、紫外線吸収剤、光安定剤、および酸化防止剤を単独または併用して使用することができる。
紫外線吸収剤としては、2−(5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾ−ル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロ・フタルイミドメチル)−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾ−ル−2−イル)フェノ−ル〕等のベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収剤、2−エトキシ−2’−エチル蓚酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチル蓚酸ビスアニリド及び2−エトキシ−4’−イソデシルフェニル蓚酸ビスアニリド等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルサリシレ−ト、p−t−ブチルフェニルサリシレ−ト、p−オクチルフェニルサリシレ−ト等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレ−ト、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレ−ト等のシアノアクリレ−ト系紫外線吸収剤、ルチル型酸化チタン、アナタ−ゼ型酸化チタン、並びにアルミナ、シリカ、シランカップリング剤及びチタン系カップリング剤等の表面処理剤で処理された酸化チタン等の酸化チタン系紫外線安定剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔〔6,(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕及び1−〔2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等がある。
酸化防止剤としては、トリエチレングリコ−ル−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチルテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)及び1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノ−ル系酸化防止剤、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジオクチル−3,3’−チオジプロピオネ−ト等の硫黄系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、(トリデシル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、ジノニルフェニルオクチルホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)1,4−フェニレン−ジ−ホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン等の燐系酸化防止剤が挙げられる。
さらに本発明で用いるアクリロニトリル−スチレン共重合体には、用途に応じて滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、鉱油等の添加剤、ガラス繊維、カ−ボン繊維およびアラミド繊維等の補強繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウムなどの充填剤を、本発明の嵌合容器の性能を損なわない範囲で配合してもよい。
本発明で用いる二軸延伸シ−トの製造方法としては、前アクリロニトリル−スチレン共重合体を押出機により溶融混練してダイ(特にTダイ)から押し出し、次いで、二軸方向に逐次又は同時で延伸する製造方法である。二軸延伸シ−トの厚みは特に限定されないが、通常0.05mm以上0.6mm未満、好ましくは0.1mm以上0.5mm未満である。
本発明で用いる二軸延伸シ−トの、MD(Machine Direction;シ−ト流れ方向)延伸倍率をA、TD(Transverse Direction;シ−ト流れ方向に垂直な方向)延伸倍率をBとした時、A×Bで示される面倍率が、4〜10倍であることが好ましい。尚、係る面倍率において、MD延伸倍率及びTD延伸倍率は、いずれも1.5〜3.5倍が好ましい。A,B,A×Bのいずれかが上記範囲外の場合、シ−トに厚さムラが生じ、該シ−トを熱板成形して得られる容器において、座屈強度が低下する恐れがあり、好ましくない。尚、より好ましくは、面倍率が4〜8倍で、MD延伸倍率及びTD延伸倍率がそれぞれ2.0〜3.0倍である。
本発明において延伸倍率とは、二軸延伸シ−トの試験片が加熱前後で変化する割合であり、具体的には、次式すなわち、延伸倍率=Y/Z、単位[倍]によって算出される値を意味する。この式において、Yは、加熱前に二軸延伸シ−トの試験片に対して、MDおよびTDに描いた直線の長さ[mm]を示し、Zは、JIS K7206に準拠して測定したシ−トのビカット軟化点温度より30℃高い温度のオ−ブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さ[mm]を示す。
また、本発明で用いる二軸延伸シ−トは、MD方向の最大配向緩和応力をa、TD方向の最大配向緩和応力をbとした時、a,bがそれぞれ0.2MPa〜0.6MPaであり、|a−b|が0.3MPa以下であり、好ましくは、a,bが0.3MPa〜0.5MPaで|a−b|が0.15MPa以下である。a,bが0.2MPa以下の場合、シ−ト強度が低下し、耐折性が劣る。また0.6MPa以上では収縮力が高くなるため、油付着時の白化が起こりやすくなる、成形性が低下するなど好ましくない。|a−b|が0.3MPa以上となると、MD、TD方向の収縮力が異なるため成形性不良や成形品の歪みによる嵌合不良が発生しやすくなり好ましくない。
本発明で用いる二軸延伸シ−トには、連鎖移動剤や酸化防止剤由来の硫黄化合物が含有されているが、この硫黄成分の含有量は100〜300ppmであることが好ましい。100ppm以下では連鎖移動剤や酸化防止剤の使用量が制限され、所望の分子量となる共重合体が得られない。また300ppm以上であると、熱成形時に硫黄化合物由来の臭気が発生し、作業環境を低下させる。
シ−トの揮発性物質の含有量は200〜2000ppmであることが好ましい。200ppmとするには重合時の脱揮工程の温度もしくは調整時間を変更する必要があるが、樹脂の分解や変色などが起こるため高温とするのは好ましくなく、調整時間延長は生産性を大幅に低下させる必要があるため好ましくない。また2000ppmを超えると硫黄分と同様、熱成形時に臭気が発生するなど、作業環境を低下させる。
アクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トは、シ−ト化の為に溶融混練時あるいは原料製造時に、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、発泡剤、発泡核剤、無機フィラ−、帯電防止剤等公知の添加剤を含有することができる。
また、食品と接触するシ−ト表面を親水性である防曇剤を塗工することで耐油性を高めることが出来る。
防曇剤としては、非イオン性界面活性剤、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−ト、ソルビタンモノベヘネ−ト、ソルビタンモノモンタネ−トなどのソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤、グリセリンモノラウレ−ト、グリセリンモノパルミテ−ト、グリセリンモノステアレ−ト、ジグリセリンジステアレ−ト、トリグリセリンモノステアレ−ト、テトラグリセリンモノモンタネ−トなどのグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリエチレングリコ−ルモノパルミテ−ト、ポリエチレングリコ−ルモノステアレ−トなどのポリエチレングリコ−ル系界面活性剤、アルキルフェノ−ルのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン/グリセリン縮合物と有機酸とのエステル;ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルアミン、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン化合物、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンジステアレ−ト、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレン(4モル)ステアリルアミンジステアレ−ト、ポリオキシエチレン(8モル)ステアリルアミンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリルアミンモノベヘネ−ト、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルアミンステアレ−ト等のポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(2モル)ステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン化合物の脂肪酸アミド等のアミン系界面活性剤などが挙げられる。が挙げられる。その他に、ポリビニルアルコ−ルおよびその共重合体(例えば、アクリルアミド、ポリビニルピロリドンとの共重合体)、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体(例えば、酢酸ビニルとの共重合体)、セルロ−ス系誘導体(ヒドロキシメチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−ス等)、澱粉誘導体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、キサンタンガム、グリコ−ゲン、キチン、キトサン、アガロ−ス、カラギ−ナン、ヘパリン、ヒアルロン酸、ペクチン、キシログルカン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、水溶性アルキッド樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノ−ル樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸塩、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリオ−ル樹脂、あるいは、これら重合体を化学修飾したもの、などに代表される水溶性高分子などが挙げられる。
防曇剤を二軸延伸シ−トに塗工する方法は特に限定されることはなく、簡便にはロ−ルコ−タ−、ナイフコ−タ−、グラビアロ−ルコ−タ−等を用い塗工する方法が挙げられる。また、噴霧、浸漬等を採用することも出来る。
防曇剤塗工後の水接触角は5〜15°であることが好ましい。5°未満の場合、表面が粘着状態となり、成形時の外観不良やゴミが付着しやすくなるなどの課題がある。また15°以上の場合は親油性が高くなり、保護膜としての効果が得られない。
なお、本発明の嵌合容器を食品包装用途、即ち食品を内容物とする用途に使用する場合、使用される原材料については、食品添加物公定書やポリオレフィン衛生協議会のポジティブリストに登録されているなどの公に衛生性、安定性が認められている材料を用いる事が好ましい。
本発明の嵌合容器を得るには、例えば、市販の一般的な熱板圧空成形機を使用すれば良い。使用する成形機は、熱板にシ−トが圧接している時間や圧空による成形する時間、シ−ト圧接から圧空成形に切り替わるタイムラグ、成形サイクル等が設定できるタイプのものが望ましい。これらの方法は例えば、高分子学会編「プラスチック加工技術ハンドブック」日刊工業新聞社(1995) に記載されている。
以下に使用したアクリロニトリル−スチレン共重合体の実験例を示す。
実験例1{アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS−1)の製造}
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロ−型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。アクリロニトリル10質量%、スチレン90質量%で構成する単量体溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t−ブチルパ−オキシイソプロピルモノカ−ボネ−ト0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存単量体と溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル−スチレン系共重合体(AS−1)を得た。(AS−1)の組成は、表1に記載の通り、アクリロニトリル単位10質量%、スチレン単位90質量%であり、重量平均分子量は150,000、多分散度2.3であった。
実験例2〜22{アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS−2〜22)の製造}
実験例1の各種原料仕込み量を調整し、表1に記載のアクリロニトリル−スチレン樹脂(AS−2〜22)を得た。
<実施例1>
アクリロニトリル−スチレン共重合体(a)をシ−ト押出機(Tダイ幅500mm、φ40mmのエキストル−ダ−(田辺プラスチック機械社製))を用い、押出温度230℃で、厚さ1.2mmの未延伸シ−トを得た。このシ−トをバッチ式二軸延伸機(東洋精機 )にて、140℃に予熱し、歪み速度0.1/secでMD方向2.4倍、TD方向2.4倍(面倍率5.8倍)に延伸し、厚さ0.21mmの二軸延伸シ−トを得た。
更に、バ−コ−タ−にて1%ショ糖ラウリン酸エステル(リケマ−ルA(第一工業製薬株式会社製)を5g/m2塗工し、105℃のオ−ブンにて1分間乾燥させた。乾燥後の塗工表面の水接触角は10度であった。
この延伸シ−トの硫黄含有量は100ppm、揮発性物質含有量は1000ppmであった。
得られたシ−トにつき、以下の方法にて物性測定、評価を行った。結果は表2に記載した。
〔延伸倍率〕
二軸延伸シ−トの試験片に対して、MDおよびTDに100mmの直線Yを引き、JIS K7206に準拠して測定したシ−トのビカット軟化点温度より30℃高い温度のオ−ブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さZ[mm]を測定し、次式すなわち、延伸倍率=Y/Z、単位[倍]によって算出した。
〔最大配向緩和応力〕
二軸延伸シ−トから20mm×200mm×0.2mmの試験片を得た。その試験片の両端を固定し、130℃のオイルバスに浸漬した後、荷重が最大となった時の応力値を算出した。その時のMD方向の応力値を最大配向緩和応力aとし、TD方向の応力値を最大緩和応力bとし、|a−b|を求めた。
〔硫黄含有量〕
ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)にて測定した。
〔揮発性物質含有量〕
二軸延伸シ−トを破砕し、その約0.5gを精秤し、テトラヒドロフラン50mlに溶解し、ジエチルベンゼン標準液1mlを加え、テトラヒドロフランで薄めて20mlに定容し、ガスクロマトグラフにて測定した。
〔水接触角〕
JIS R3257に準じて、接触角計DM−701(協和界面化学)にて、試験液に蒸留水を用い、滴下量2μL、滴下後から30秒後の接触角を測定した。
〔シ−ト製膜性〕
二軸延伸シ−トをMD方向及びTD方向に50mm間隔で格子状にした時の交点25点についてマイクロゲ−ジを用いて厚さを測定し、平均厚さとその標準偏差σを算出し、厚さについては数値で、厚さムラについては標準偏差σを下記基準で評価し、製膜性の評価とした。
○:σが0.03mm未満
△:σが0.03mm以上、0.07mm未満
×:σが0.07mm以上
〔シ−ト強度〕
JIS K−6251に準拠し、二軸延伸シ−トを1号型テストピ−ス形状にカットし、島津製作所AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて測定し、評価した。
○: 60MPa以下
△: 40〜60MPa
×: 40MPa以上
〔耐折性〕
ASTM D2176に準じて、シ−ト押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)の耐折曲げ強さを測定した。縦横の平均値を求め評価した。
○:10回以上
△:5回以上、10回未満
×:5回未満
〔透明性〕
JIS K−7361−1に準じ、ヘ−ズメ−タ−NDH5000(日本電色社)により測定した。測定には上記にて作製した二軸延伸シ−ト0.21mm厚を用いた。
○:1.0%未満
△:1.0〜2.0%
×:2.0%以上
〔色相〕
厚さ0.21mmの延伸シ−トを10枚重ね、分光測色計CM−2500d(コニカミノルタ)のSCI測定(正反射光込み)より得られたb値を評価した。
○:3以下
△:3〜5
×:5以上
〔成形性〕
熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング製)にて、熱板温度140℃、加熱時間2.0秒の条件で、実施形態で述べた嵌合容器(図1〜4参照)の形状と同様の形状である容器蓋および本体を成形し外観を評価した。
蓋の寸法は、長さ 150mm×幅 110mm×高さ 20mm、第1嵌合部の高さ(基端面112から先端面113までの鉛直方向の長さ)5mm、先端面113の仮想点(先端面113と内周側壁面及び外周側壁面との交点)の幅 4.7mmとした。本体の寸法は、長さ 150mm×幅 110mm×高さ 20mm、第2嵌合部の高さ(基端面122から先端面123までの鉛直方向の長さ)5.5mm、先端面123の仮想点(先端面123と内周側壁面及び外周側壁面との交点)の幅5.1mmとした。
○:良好
△:軽微な白化、軽微なレインドロップ、
×:著しい白化、著しいレインドロップ、形状不良、嵌合不良(製品化できない)
〔容器成型時の臭気〕
熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジニアリング製)にて、熱板温度135℃、加熱時間2.0秒の条件で容器蓋を10枚成形した後の熱板成型機周辺の雰囲気の臭いを官能評価した。
○:特異的な臭いはしない
△:わずかに異臭を感じる
×:鼻につくほどの臭いを感じる
〔容器嵌合性〕
ポリプロピレン60質量%、タルク40質量%からなる厚さ0.25mmシ−トを真空成型機FVS−500(脇坂エンジニアリング製)にて嵌合部を有する本体容器を成形した後、前成形アクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トからなる蓋を重ねあわせた際の嵌合状態を評価した。
嵌合状態の指標として、蓋を閉めるまでの抵抗を嵌合強度として示した。具体的には、容器の4コ−ナ−のうち1コ−ナ−部を残し、蓋の嵌合部を対応する本体の嵌合部に予め嵌めておき、蓋の閉めずに残した1コ−ナ−を、先端に幅12mm 長さ50mmの治具をつけたプッシュプルゲ−ジにて、蓋を閉めるように鉛直方向に押し込み、プッシュプルゲ−ジが示す、蓋が閉まるまでの最大強度を、嵌合強度とした。
○:適度な抵抗あり。 嵌合強度400〜600cN
△:抵抗が小さい。 嵌合強度200〜400cN
抵抗が大きい。 嵌合強度600〜900cN
×:嵌っていないため蓋がずれる。 嵌合強度200cN未満
閉めにくく、嵌らないもしくは嵌合部が変形する。 嵌合強度900cN以上
〔液漏れ防止性〕
作製した嵌合容器の容器本体に、蓋と本体によって形成される内部空間容積の1/3の水を入れた後、蓋の第1嵌合部と本体の第2嵌合部とを嵌合し、ス−パ−マ−ケットの店舗陳列棚を想定して30度傾斜させた状態で室温(約23℃)にて24時間静置した。24時間静置の間、嵌合容器の内部からの水の漏出時間について以下の評価基準に従って評価した。
○:12時間以上液漏れせず
△:3〜12時間の間に液漏れ
×:3時間未満で液漏れ
〔レンジ耐性〕
嵌合容器本体にめんつゆ50gを入れ、蓋をかぶせ、容器を10°傾けた状態にて500Wの電子レンジで1分間加熱した後の容器形状、外観を目視で評価した。
○:変化なし
△:軽微な白化、軽微な変形あり(液漏れなし)
×:嵌合部の変形による液漏れ有、容器全体が著しく変形、液接触部の白化、穴あきあり。
(製品化できない)
<実施例2〜30>
実施例1と同様の方法で、表2、表3に記載の樹脂、延伸条件にてシ−トを作成し、評価を行った。結果は表2、表3に示した。
<比較例1〜24>
実施例1と同様の方法で、表4、表5に記載の樹脂、延伸条件にてシ−トを作成し、評価を行った。結果は表4、表5に示した。
Figure 0006393125
Figure 0006393125
Figure 0006393125
Figure 0006393125
Figure 0006393125
表に示すように、実施例に示すシ−トは各性能ともに良好であり、バランスのとれたシ−トであるが、比較例に示すシ−トはシ−ト強度、耐折性、耐油性の一部が不十分であり、実用性の低いシ−トである。
本発明の嵌合容器は、油接触かつ加熱条件下での耐白化性、耐薬品性、耐収縮性のバランスに優れており、特に電子レンジ向け液漏れ防止包装用容器として好適である。
10嵌合容器
11 蓋
111 第1嵌合部
112 基端面
113 先端面
114 外周側壁面
115 内周側壁面
θ1 外周側壁面のテ−パ−角
θ2 内周側壁面のテ−パ−角
12 容器本体
121 第2嵌合部
122 基端面
123 先端面
124 外周側壁面
125 内周側壁面
θ3 外周壁面のテ−パ−角
θ4 内周側壁面のテ−パ−角


Claims (7)

  1. 周縁部に被嵌合部を有する容器本体とこの容器本体の被嵌合部に嵌合可能な嵌合部を有する蓋体とで構成され、容器本体および蓋体がアクリロニトリル−スチレン共重合体二軸延伸シ−トを成形して成り、
    前記二軸延伸シ−トのMD方向の最大配向緩和応力をa、TD方向の最大配向緩和応力をbとしたとき、a及びbがそれぞれ0.3MPa〜0.5MPaであり、|a−b|が0.15MPa以下である、嵌合容器。
  2. 蓋に突出して設けられた第1嵌合部と容器本体に突出して設けられた第2嵌合部のいずれか一方の嵌合部が他方の嵌合部の内側へ嵌入することにより閉塞状態となる容器であって、前記 第1嵌合部、第2嵌合部には、縦断面において逆テ−パ−状の内周側壁面及び外周側壁面が形成されており、第1嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角が 4〜8°、かつ相対応する第2嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角が第1嵌合部の内周側壁面及び外周側壁面のテ−パ−角よりも0.5〜2°小さいことを特徴とする請求項1に記載の嵌合容器。
  3. アクリロニトリル成分を10〜40重量部含有し、重量平均分子量が10〜25万であって、多分散度が2.0〜2.5であるアクリロニトリル−スチレン共重合体を用いた二軸延伸シ−トからなる請求項1または2に記載の嵌合容器。
  4. 二軸延伸の面倍率が4〜10倍である前記二軸延伸シ−トを用いた請求項1〜3のいずれか1項に記載の嵌合容器
  5. 硫黄含有量が100〜300ppmであって、揮発性物質が200〜2000ppmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の嵌合容器。
  6. 二軸延伸シ−トの少なくとも一方の面に防曇剤を塗布し、表面の水接触角を5〜15°とした二軸延伸シ−トを用いた請求項1〜5のいずれか1項に記載の嵌合容器。
  7. 二軸延伸シ−トの防曇剤塗布面が内容物接触面となる請求項6に記載の嵌合容器。

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