JP3810284B2 - 防曇性スチレン系透明樹脂シート及びその成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートのブロッキング防止、成形品の透明性、防曇効果に優れた防曇性スチレン系透明樹脂シート及びその成形品に関する。更に詳しくは包装材分野等に広く用いられているスチレン系透明樹脂シートに対し、シートのブロッキング防止、成形品の透明性、防曇効果に優れた特性を付与したスチレン系透明樹脂シート及びその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系透明樹脂シートやその成形品は包装、被覆材として広く使用されているが、その表面が疎水性の為に気温や湿度の変化により凝集した水分が微小水滴となり表面に付着する、いわゆる曇りが発生することがある。その曇りにより収納物の見分けが困難となり、商品価値を低下させる原因となる場合が多かった。
【0003】
この問題を解決しようと、特開平5−287097号公報ではショ糖脂肪酸エステルとシリコーンエマルジョンと多糖類及び/又は親水性高分子とを含む表面処理剤で、特開平10−309785号公報ではショ糖脂肪酸エステルとメチルセルロースの混合物を用いることが記載されているがシートのブロッキング防止、成形品の透明性、防曇効果に優れたとは言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような技術状況の基で、シートのブロッキング防止、成形品の透明性、防曇効果に優れたスチレン系透明樹脂シート及びその成形品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構成からなる防曇剤を使用することによって本発明に達したものである。すなわち、本発明は、スチレン系透明樹脂シートをショ糖脂肪酸エステル76〜99.9質量%と未反応ビニルピロリドンの量が1000ppm以下であるポリビニルピロリドン系(共)重合体0.1〜24質量%を含有してなる防曇剤で表面処理して得た防曇性スチレン系透明樹脂シート及びそのシートを用いて得た成形品とすることによって課題を解決したものである。
【0006】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明の防曇剤はショ糖脂肪酸エステルと未反応ビニルピロリドンが1000ppm以下であるポリビニルピロリドン系(共)重合体を必須とする。ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸とのエステルである。ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸などの炭素数6〜30程度の飽和脂肪酸、リンデン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、イソオレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数10〜24程度の不飽和脂肪酸が挙げられ、これら脂肪酸は単独でも併用してもよい。その中でもショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸がラウリン酸であり、ラウリン酸成分としての割合が50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、特に好ましくは65質量%以上であるものが好ましい。ラウリン酸成分としての割合が50質量%以上の場合、表面処理性に優れ、更に防曇効果にも優れる傾向が見られる。なお、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸とは、ショ糖と脂肪酸からエステルを成すが、そのエステル成す前の脂肪酸をここではいう。また、これらショ糖脂肪酸エステルは少なくとも単独でも一種類以上併用使用することもできる。
【0007】
本発明のポリビニルピロリドン系(共)重合体はビニルピロリドン系単量体の重合体、並びにビニルピロリドン系単量体とビニルピロリドン系単量体に共重合可能な単量体との共重合体である。
【0008】
本発明で使用されるビニルピロリドン系単量体としてはビニルピロリドン及びその誘導体であって、好ましくはビニルピロリドンである。これらビニルピロリドン系単量体は少なくとも一種以上併用して使用出来る。
【0009】
本発明で使用されるビニルピロリドン系単量体と共重合可能な単量体としては酢酸ビニル、ビニルイミダゾ−ル、ビニルカプロラクタム等が挙げられる。ビニルピロリドン系単量体及びビニルピロリドン系単量体と共重合可能な単量体との割合は特に制限されることはないが、好ましくはビニルピロリドン系単量体が30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。ビニルピロリドン系単量体が30質量%以上の場合、防曇効果に優れる傾向が見られる。
【0010】
本発明のポリビニルピロリドン系(共)重合体中に存在する未反応ビニルピロリドンの量は1000ppm以下である。好ましくは500ppm以下、更に好ましくは300ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。未反応ビニルピロリドンが1000ppmより多いとシート成形時に金型が汚染され易く、成形品の透明性を低下させる。また、ショ糖脂肪酸エステルとポリビニルピロリドン系(共)重合体からなる本発明の防曇剤組成中の未反応ビニルピロリドンは好ましくは200ppm以下、更に好ましくは100ppm以下である。
【0011】
本発明の防曇剤中のショ糖脂肪酸エステルとポリビニルピロリドン系(共)重合体の割合は、ショ糖脂肪酸エステルが76〜99.9質量%とポリビニルピロリドン系(共)重合体0.1〜24質量%である。好ましくはショ糖脂肪酸エステルが80〜99.5質量%でポリビニルピロリドン系(共)重合体0.5〜20質量%、更に好ましくはショ糖脂肪酸エステルが85〜98質量%でポリビニルピロリドン系(共)重合体2〜15質量%、特に好ましくはショ糖脂肪酸エステルが90〜97質量%でポリビニルピロリドン系(共)重合体3〜10質量%である。ショ糖脂肪酸エステルが76質量%より少ないと防曇効果に劣る。また、ポリビニルピロリドン系(共)重合体が0.1質量%より少ないと防曇効果の持続性に劣り、24質量%より大きいとシートのブロッキング防止に劣る。
【0012】
スチレン系透明樹脂シートの表面を防曇剤で処理する際には、ショ糖脂肪酸エステルとポリビニルピロリドン系(共)重合体を溶媒に溶解した溶液として用いる。溶媒としては水、アルコール等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。取扱い上は水が好ましい。その場合、ショ糖脂肪酸エステルとポリビニルピロリドン系(共)重合体の溶液濃度は特に限定されることはないが0.01〜10質量%が好ましい。
【0013】
本発明の防曇性スチレン系透明樹脂シートに用いるスチレン系透明樹脂シートとは、スチレン系透明樹脂を成形加工して得た防曇剤で処理する前のシートである。スチレン系透明樹脂には、スチレン系単量体の単独重合体、スチレン系単量体の共重合体、スチレン系単量体に共重合可能な単量体を共重合して得た共重合体及びそれらの混合物が挙げられる。
【0014】
上記の(共)重合体に用いられるスチレン系単量体にはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等が挙げられ、また、スチレン系単量体と共重合可能な単量体としてはアクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)等が挙げられる。
【0015】
これらスチレン系単量体の単独重合体又は、スチレン系単量体の共重合体としてはスチレンを重合して得られるGP(一般用)ポリスチレンが好ましい。また、スチレン系単量体に共重合可能な単量体を共重合して得た共重合体としては、メタクリル酸−スチレン共重合体、、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好ましい。
【0016】
また、ブタジエン系ゴム存在下でスチレン系単量体及び/又はスチレン系単量体と共重合可能な単量体を重合して得た重合体を、透明性を損なわない範囲で上記のスチレン系単量体を必須とする(共)重合体に混合して用いることもできる。
ブタジエン系ゴムにはハイシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックゴム、部分水添ポリブタジエンゴム等が挙げられる。更に、スチレン系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、前記で挙げた単量体を用いることができる。
なお、重合に用いる単量体やブタジエン系ゴムは少なくとも1種類以上を用いることができる。これらの透明性を損なわない範囲で混合できる重合体としてはゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が好ましい。
【0017】
スチレン系透明樹脂をシートに加工する方法は特に限定されることはなく、1軸延伸法、2軸延伸法、多軸延伸法、共押出法、積層法等の常法が挙げられる。また、シートを防曇処理するにはシートの表面をコロナ放電処理法、オゾン処理法、プラズマ処理法等で改質したものが好ましい。
【0018】
防曇剤処理液をスチレン系透明樹脂シートに処理する方法は特に限定されることはなく、簡便にはロールコーター、ナイフコーター、グラビアロールコーター等を用い塗布する方法が挙げられる。また、噴霧、浸漬等を採用することも出来る。
【0019】
防曇剤処理した本発明のスチレン系透明樹脂シート表面の防曇剤の固形分は好ましくは0.005〜0.5g/m2、更に好ましくは0.01〜0.45g/m2 、特に好ましくは0.01〜0.4g/m2である。スチレン系透明樹脂シートの防曇剤の固形分が0.005g/m2より少ないと防曇効果に劣る傾向が見られ、また、0.5g/m2より多いとシート表面の塗工ムラが目立ち易く、そのシートを成形した成形品の透明性が低下し易い。
【0020】
本発明の防曇性スチレン系透明樹脂シートとは食料品の包装材或いは被覆材として使用されるので、この防曇性スチレン系透明樹脂シートを通して収納物が確認出来る透明性が必要である。また、この防曇性スチレン系透明樹脂シートの厚みは特に限定されることはなく、一般に100μm〜10mmである。このシートは成形して容器にも用いられる。また、該防曇性スチレン系透明樹脂シートの透明性として好ましくはHaze(ヘーズ)が10以下であり、更に好ましくはHazeが5以下である。
【0021】
本発明の成形品とは防曇性スチレン系透明樹脂シートを圧空成形、真空成形、真空圧空成形等を用いて成形された食料品を包装する蓋容器やフードパックである。
【0022】
【実施例】
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
なお、実施例における物性測定は以下の通り実施した。
(1)未反応ビニルピロリドン量:試料として個体のポリニピロリドン系(共)重合体10gを100mlの純水に溶解し、2gの酢酸ナトリウムと50mlのメタノールを加える。この溶液に0.1Nのヨウ素液をヨウ素の色が無くなるまで滴定し、更に10ml加え、反応が完全に終了するまで約30分放置する(ヨウ素のトータル量をAmlとする)。その後、0.1Nのチオ硫酸ナトリウムで滴定する(チオ硫酸ナトリウム消費量をBmlとする)。尚、指示薬としてデンプン試液を使用する。次式より未反応ビニルピロリドン量を求める。
ビニルピロリドン量(%)={(A−B)×0.555/(試料量(g)}
【0023】
(2)シートブロッキング性:縦方向に2.5倍、横方向に2.5倍延伸した0.4mm厚みの2軸延伸スチレン系透明樹脂シートに、防曇剤を塗布した防曇性スチレン系透明樹脂シートと何も塗布して無いスチレン系透明樹脂シートをそれぞれ10cm×10cmの面積で重ね合わせ、10MPaの加重下で24時間放置した後、スチレン系透明樹脂シートを引き剥がした。全10組の組み合わせからその時のシート状態を目視にて評価した。
◎:シートに白化無し
○:シート面積の10%未満に白化が有る
△:シート面積の10〜40%に白化が有る
×:シート面積の40%を超えて白化が有る
【0024】
(3)成形品の透明性:(2)で得た防曇性スチレン系透明樹脂シートを関西自動成型機(株)製の真空圧空成型機PK400を用い、成型温度135℃で天面が平らな蓋容器(200mm長×120mm幅×50mm高)を200ショット成型した。200ショット目の蓋容器の天面のHazeを日本電色工業社製測定機NDH−1001DPにて測定した。
◎:Hazeが2.5%未満
○:Hazeが2.5〜3.5%
△:Hazeが3.5より大きく4.5%以下
×:Hazeが4.5%より大きい
【0025】
(4)防曇効果▲1▼:温度45℃のお湯を張ったPSP(ポリスチレンペーパー)容器の上に(3)で得られた蓋容器をそれぞれ1個を張り付けた後、更に温度5℃の冷蔵庫に30分放置した。その後蓋容器の曇りを目視で評価した。なお、21〜30ショット目の10個の容器を用いて評価した。
◎:曇りが殆ど見られない。
○:曇りが一部で見られる。
△:曇りが半分程度見られる。
×:曇りが大部分で見られる。
(5)防曇効果▲2▼:防曇効果▲1▼を評価後、更に温度5℃の冷蔵庫に60分放置した。その後蓋容器の曇りを目視にて評価した。
◎:曇りが殆ど見られない。
○:曇りが一部で見られる。
△:曇りが半分程度見られる。
×:曇りが大部分で見られる。
【0026】
実施例1
スチレン系透明樹脂シートにシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた。また、防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の70質量%がラウリン酸であるショ糖ラウリン酸エステルで、かつその38質量%水溶液を用い、ポリビニルピロリドン系(共)重合体には未反応ビニルピロリドンが60ppmであるポリビニルピロリドンを用いて、ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニルピロリドンを固形分割合で96質量%と4質量%になるように調整して得た。更にこの防曇剤を1.5質量%水溶液に希釈して、シート表面の防曇剤の固形分が0.06g/m2に塗布したシートを得た。また、そのシートを用い、蓋容器(200mm長×120mm幅×50mm高さ)を成形した。なお、ショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液に第一工業製薬社製DKエステルS−L18A、ポリビニルピロリドンにBASFジャパン社製ルビスコールK17を用いた。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
【0027】
実施例2
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液と、構成する脂肪酸の95質量%がミリスチン酸であるショ糖ミリスチン酸エステルのペレットを用い、またポリビニルピロリドン系(共)重合体には実施例1で用いたポリビニルピロリドンを用いた。ショ糖ラウリン酸エステルとショ糖ミリスチン酸エステルとポリビニルピロリドンの固形分割合をそれぞれ86質量%と6質量%と8質量%になるように調整して得た。この防曇剤を用いた以外は実施例1と同様に行った。なお、ショ糖ミリスチン酸エステルに第一工業製薬社製M−160を用いた。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
【0028】
実施例3
スチレン系透明樹脂シートにシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた。また、防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルの38%質量水溶液を用い、ポリビニルピロリドン系(共)重合体に未反応ビニルピロリドンが40ppmでビニルピロリドンと酢酸ビニルの割合が70質量%と30質量%であるポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を用いた。ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の固形分割合をそれぞれ88質量%と12質量%になるように調整して得た。更にこの防曇剤を0.25質量%水溶液に希釈して、シート表面の防曇剤の固形分が0.01g/m2に塗布したシートを得た。このシートを用いた以外は実施例1と同様に行った。なお、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体にBASFジャパン社製ルビスコールVA64Pを用いた。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
【0029】
実施例4
防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液と構成する脂肪酸の70質量%がステアリン酸であるショ糖ステアリン酸エステルを用い、またポリビニルピロリドン系(共)重合体に実施例1で用いたポリビニルピロリドンと実施例3で用いたポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体を用いた。ショ糖ラウリン酸エステルとショ糖ステアリン酸エステルとポリビニルピロリドンとポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の固形分割合をそれぞれ65質量%と15質量%と10質量%と10質量%になるように調整して得た。この防曇剤を用いた以外は実施例1と同様に行った。なお、防曇剤を成す各成分物質は前記記載の物を用いた。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
【0030】
実施例5
スチレン系透明樹脂シートに2軸延伸メタクリル酸−スチレン共重合体シート(スチレン系透明樹脂はスチレン97質量%とメタクリル酸3質量%)を用いた以外は実施例1と同様に行った。表1に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
【0031】
比較例1
防曇剤としては実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液を用い、ポリビニルピロリドン系(共)重合体に実施例1で用いたポリビニルピロリドンを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニルピロリドンの固形分割合をそれぞれ5質量%と95質量%となるように調整して得た。この防曇剤を用いた以外は実施例1と同様行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。ブロッキング防止、成形品の透明性、防曇効果に劣ることが分かる。
【0032】
比較例2
スチレン系透明樹脂シートにシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた また、防曇剤としては実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液を用い、ポリビニルピロリドン系(共)重合体に未反応ビニルピロリドンが2000ppm、重量平均分子量が120万であるポリビニルピロリドンを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニルピロリドンの固形分割合をそれぞれ67質量%と33質量%となるように調整して得た。更にこの防曇剤を3質量%水溶液に希釈して、シート表面の防曇剤の固形分が0.03g/m2に塗布したシートを得た。このシートを用いた以外は実施例1と同様行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。ブロッキング防止、成形品の透明性、防曇効果に劣ることが分かる。
【0033】
比較例3
防曇剤としては実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液を用い、ポリビニルピロリドン系(共)重合体に未反応ビニルピロリドンが1200ppmであるポリビニルピロリドンを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニルピロリドンの固形分割合をそれぞれ78質量%と22質量%となるように調整して得た。この防曇剤を用いた以外は実施例1と同様行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。成形品の透明性に劣ることが分かる。
【0034】
比較例4
スチレン系透明樹脂シートにシート厚み0.4mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを用いた。また、防曇剤としては実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液とメチルセルロースを用い、固形分割合でそれぞれ75質量%と25質量%となるように調整して得た。更にこの防曇剤を0.5質量%水溶液に希釈して、シート表面の防曇剤の固形分が0.02g/m2に塗布したシートを得た。このシートを用いた以外は実施例1と同様行った。表2に防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。防曇効果に劣ることが分かる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明の防曇性スチレン系透明樹脂シート及びその成形品はシートブロッキング防止、成形品の透明性、及び防曇効果に優れているので食料品の包装等に広く使用でき、非常に有用である。
Claims (7)
- スチレン系透明樹脂シートを、ショ糖脂肪酸エステル76〜99.9質量%と未反応ビニルピロリドンの量が1000ppm以下であるポリビニルピロリドン系(共)重合体0.1〜24質量%とを含有してなる防曇剤で表面処理したことを特徴とする防曇性スチレン系透明樹脂シート。
- ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の50質量%以上がラウリン酸であることを特徴とする請求項1記載の防曇性スチレン系透明樹脂シート。
- ポリビニルピロリドン系(共)重合体を構成する単量体の30質量%以上がポリビニルピロリドン単量体であることを特徴とする請求項1又は2記載の防曇性スチレン系透明樹脂シート。
- スチレン系透明樹脂シートを表面処理した防曇剤量が固形分として0.005g〜0.5g/m2 であることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれか1項記載の防曇性スチレン系透明樹脂シート。
- スチレン系透明樹脂シートとして2軸延伸GPポリスチレンシートを用いることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれか1項記載の防曇性スチレン系透明樹脂シート。
- 請求項1乃至5記載のいずれか1項記載の防曇性スチレン系透明樹脂シートを用いて得られることを特徴とする成形品。
- 成形品が食料品包装容器であることを特徴とする請求項6記載の成形品。
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