JP6373648B2 - 耐油性ポリスチレン系樹脂シートおよびその成形容器 - Google Patents
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Description
ポリスチレンの耐熱性を高める方法として、スチレン−メタクリル酸共重合体やスチレン−無水マレイン酸共重合体等の耐熱性スチレン樹脂を使用した耐熱性ポリスチレン系樹脂シートが提案されている(特許文献1〜4)。しかし、特許文献1〜4に記載の延伸シートを熱成形して得た容器は、耐熱性以外の物性に劣る場合があった。例えばシート強度が低く割れやすかったり、十分な耐熱性が得られず加熱した際に容器が変形したりする問題があった。
一方、耐油性を高める方法としては、異素材を併用したり、親水性高分子や熱可塑性エマルジョンの塗膜を形成したりする方法が提案されている(特許文献5、6)。しかし、特許文献5、6に記載の方法では、透明性が不十分なうえ、異素材が混入しているために原料のリサイクルが困難であるという問題があった。
すなわち本発明は、
(1)ポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、アセタール化度が5〜40mol%のポリビニルアセタール樹脂の塗膜を形成させてなることを特徴とする耐油性ポリスチレン系樹脂シートに関する。
(2)ポリスチレン系樹脂シートが二軸方向に延伸したシートであって、該シートの延伸倍率が1.5〜5.0倍であり、最大配向緩和応力が0.2〜1.0MPaであることを特徴とする上記(1)に記載の耐油性ポリスチレン系樹脂シートに関する。
(3)ポリスチレン系樹脂が、スチレン系単量体を70〜97質量%含み、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸の少なくともいずれか1成分を3〜15質量%含むものであり、且つ重量平均分子量が15〜40万であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の耐油性ポリスチレン系樹脂シートに関する。
(4)ポリスチレン系樹脂シートの最大配向緩和応力のピーク温度が120〜150℃であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐油性ポリスチレン系樹脂シートに関する。
(5)ポリビニルアセタール樹脂が、平均重合度が500〜4500のポリビニルアルコールにアルデヒドを縮合反応させてアセタール化することにより得られたものであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐油性ポリスチレン系樹脂シートに関する。
(6)ポリビニルアセタール樹脂が、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が70%以上であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の耐油性ポリスチレン系樹脂シートに関する。
(7)ポリビニルアセタール樹脂の塗工量が50〜2000mg/m2であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の耐油性ポリスチレン系樹脂シートに関する。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の耐油性ポリスチレン系樹脂シートを成形してなる容器に関する。
(9)成形してなる容器が蓋材であることを特徴とする上記(8)記載の容器に関する。
本発明の耐油性ポリスチレン系樹脂シートを構成するポリスチレン系樹脂シートは、ポリスチレン系樹脂を二軸延伸することによって得られる。さらに、シートおよび成形品の強度を確保するために、延伸倍率と最大配向緩和応力を適切な範囲に調整することが必要となる。ポリスチレン系樹脂を延伸し分子鎖を配向させると、シートの強度が増す。延伸によって分子鎖を配向させるためには、延伸倍率を高くするだけでなく、適切な温度で延伸することが必要となる。一般的には、樹脂のビカット軟化点+30℃程度の温度で延伸することが好ましい。延伸温度が低すぎると配向がかかり過ぎ、硬く脆くなってしまう。また、延伸温度が高すぎると配向がかからず、耐衝撃性に劣る。延伸倍率と温度を合わせることで、シートの最大配向緩和応力を適切な範囲におさめることができ、十分なシート強度が得られるようになる。
本発明のポリスチレン系樹脂シートは、延伸倍率が1.5〜5.0倍である。延伸倍率が1.5倍より小さい場合、十分な延伸配向効果が得られず、シートの強度が不足する。また、5.0倍より大きい場合、延伸時の寸法変化が大きいため、厚みの制御が難しくなる。延伸倍率は1.8〜4.5倍がより好ましい。
また、本発明のポリスチレン系樹脂には、ブタジエン系ゴムが含まれていてもよい。ブタジエン系ゴムとしては、ハイシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックゴム、部分水添ポリブタジエンゴム等が挙げられる。
本発明の耐油性ポリスチレン系樹脂シートに使用されるポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールにアルデヒドを縮合反応させてアセタール化することにより得ることができるが、そのアセタール化度は5〜40mol%である。好ましくは5〜30mol%、より好ましくは5〜20mol%である。アセタール化度は、例えば13C核磁気共鳴スペクトル法に基づいて測定される。アセタール化度が5mol%より小さいと、耐水性が悪くなり、油だけでなく水分を含む食品が付着した状態で加熱されると塗膜が水分により膨潤、溶解し、耐油性が維持できない。一方、アセタール化度が40mol%よりも大きいと、疎水性が強まるため耐水性は向上するが、防曇性が得られなくなり、得られたシートを容器にした時、包装後に内容物を視認しにくくなるため好ましくない。
ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解させて、13C−NMRスペクトルを測定し、ポリビニルアセタール樹脂におけるエステル化されている水酸基が結合しているメチン基に由来するピーク面積S1、水酸基が結合しているメチン基に由来するピーク面積S2、アルデヒドによりアセタール化された部分のメチン基に由来するピーク面積S3を下記式(1)に代入して、アセタール化度を算出した。
アセタール化度(mol%)=100×(S3)/(S1+S2+S3) ・・・式(1)
[芳香族アルデヒドの割合の測定]
ポリビニルアセタール樹脂において、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合のことを芳香族アルデヒドの割合とする。
芳香族アルデヒドの割合は、ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解させて、13C−NMRスペクトルを測定し、ポリビニルアセタール樹脂におけるベンゼン環が結合しているメチン基に由来するピーク面積S4、アルキル基が結合しているメチン基に由来するピーク面積S5を下記式(2)に代入して算出した。
芳香族アルデヒドの割合(%)=100×(S4)/(S4+S5) ・・・式(2)
[重量平均分子量の測定]
テトラヒドロフランを溶媒としてポリスチレン系樹脂を溶解し、2質量%の溶液を作製し測定サンプルとした。カラムとしてPLgel MIXED−B(Polymer Labolatories社製)を3本直列でつなぎ、移動相としてテトラヒドロフランを使用し、SYSTEM−21Shodex(昭和電工社製)を使って、40℃にて重量平均分子量を測定した。
[シート成膜性の評価]
φ40mmのシート押出し機(田辺プラスチック機械社製)で樹脂を240℃で溶融混練し、T−ダイより押出し、無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、ビカット軟化点+30℃の温度、300mm/minの速度で縦横に延伸してシートを得た。なお、ビカット軟化点は、JISK 7206:1999に準じて、昇温速度50℃/h、荷重50Nの条件で求めることができる。得られたシートの状態を目視にて下記A〜Eの5段階で評価した。
A:透明かつ平滑なシートである
B:平滑だがわずかに不透明なシートである
C:平滑ではない
D:延伸および冷却時に割れや破断が生じる
E:延伸および冷却時に割れや破断が生じシートが得られない
[配向緩和応力の測定]
ASTM D1504に準じて、ポリスチレン系樹脂シートのシート押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)の配向緩和応力を測定した。
[引裂き強度の評価]
JIS K 7128−2:1998に準じて、シート押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)の最大引き裂き荷重を測定した。縦横の平均値を求め、下記A〜Cの3段階で評価した。
A:1500N/cm以上
B:1300N/cm以上、1500N/cm未満
C:1300N/cm未満
[耐折性の評価]
ASTM D2176に準じて、シート押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)の耐折曲げ強さを測定した。縦横の平均値を求め、下記A〜Cの3段階で評価した。
A:10回以上
B:5回以上、10回未満
C:5回未満
[塗工外観の評価]
ポリスチレン系樹脂シートにコーティング液を塗工した後、塗工面の外観を、下記A〜Cの3段階で評価した。
A:塗工面は平滑で透明である
B:不透明さがあるが、シートを通して反対側を視認可能である
C:シートを通して反対側を視認不良である
[防曇性の評価]
(株)脇坂エンジニアリング社製の熱板成形機(HPT−460S)を用いて、ポリスチレン系樹脂シートを、弁当蓋の形状の金型(天面200×150mm、高さ30mm)で成形した。
得られた蓋容器に対応する容器本体に、1cm間隔の格子柄のシート(格子の線の太さは2mm)を貼付け、水300gを入れた後、得られた蓋容器をかぶせ、出力1500Wの電子レンジで1分間加熱した。加熱後に蓋容器を通した格子柄の見えやすさを、目視にて下記A〜Dの4段階で評価した。
A:格子柄がはっきり見える
B:わずかに格子柄が揺らいで見える
C:格子柄の揺らぎが多く、ぎらつく
D:全体的に曇った状態で、格子柄がはっきり見えない
[熱変形率の評価]
防曇性の評価にて成形した弁当蓋の容器の縦、横の寸法を測定し、110℃に設定したオーブンに30分間入れた。オーブン加熱後の容器の縦、横の寸法を測定し、縦、横それぞれについて、加熱前の寸法に対する、加熱前後での寸法差の割合を求め、熱変形率とした。縦、横の熱変形率のうち大きい方の値により、熱変形率を下記A〜Cの3段階で評価した。
A:変形率が2%未満
B:変形率が2%以上〜5%未満
C:変形率が5%以上
[電子レンジ使用適性の評価]
防曇性の評価にて成形した弁当容器を使い、蓋の内側中央に2×2cmでマヨネーズ(キューピー(株)製)を付けた。容器本体に水300gを入れ、蓋容器をかぶせて出力1500Wの電子レンジで1分間加熱した後、マヨネーズ付着部分の様子を目視にて下記A〜Cの3段階で評価した。
A:変化なし
B:白化あり
C:穴あきあり
メタクリル酸含有量が10.0質量%のスチレン−メタクリル酸共重合体(重量平均分子量20万)をφ40mmのシート押出し機(田辺プラスチック機械社製)に供給し280℃で溶融混練し、T−ダイより押出し無延伸シートを得た。得られた無延伸シートを、二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、ビカット軟化点+30℃の温度にて、300mm/minの速度で縦、横方向にそれぞれ2.5倍延伸した後、厚みが0.3mmのポリスチレン系樹脂シートを得た。得られたシートの最大配向緩和応力は縦横ともに0.6MPa、最大配向緩和応力のピーク温度は131℃であった。
得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得た。
得られた耐油性ポリスチレン系樹脂シートについて、成膜性、引裂き強度、耐折性、塗工外観、防曇性、熱変形率、電子レンジ使用適性を評価した。
ポリスチレン系樹脂の特性値およびシート物性、コーティング液、耐油性ポリスチレン系樹脂シートの性能評価については、表1に記載した。
[実施例2]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度5モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例3]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度40モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例4]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度500、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例5]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度4500、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例6]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合70%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例7]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、50mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例8]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、2000mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例9]
実施例1において、延伸倍率を縦、横方向にそれぞれ1.5倍とし、最大配向緩和応力は縦横ともに0.2MPaのポリスチレン系樹脂シートが得られた。それ以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例10]
実施例1において、延伸倍率を縦、横方向にそれぞれ5.0倍とし、最大配向緩和応力は縦横ともに1.0MPaのポリスチレン系樹脂シートが得られた。それ以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例11]
実施例1において、スチレン−メタクリル酸共重合体の重量平均分子量が15万であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例12]
実施例1において、スチレン−メタクリル酸共重合体の重量平均分子量が40万であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例13]
実施例1において、メタクリル酸含有量が3.0質量%であり、得られたシートの最大配向緩和応力のピーク温度が117℃であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例14]
実施例1において、メタクリル酸含有量が15.0質量%であり、得られたシートの最大配向緩和応力のピーク温度が141℃であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例15]
実施例1において、メタクリル酸含有量が11.0質量%、メタクリル酸メチル含有量が5.0質量%であり、得られたシートの最大配向緩和応力のピーク温度が132℃であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例16]
実施例1において、メタクリル酸含有量が14.0質量%、メタクリル酸メチル含有量が15.0質量%であり、得られたシートの最大配向緩和応力のピーク温度が142℃であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[実施例17]
実施例1において、無水マレイン酸含有量が10.0質量%であり、得られたシートの最大配向緩和応力のピーク温度が133℃であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例1]
実施例1において、メタクリル酸含有量が2.0質量%であり、得られたシートの最大配向緩和応力のピーク温度が115℃であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例2]
実施例1において、メタクリル酸含有量が18.0質量%の樹脂を用いて縦、横方向にそれぞれ1.5倍延伸しシートを得ようとしたが、延伸、冷却時に割れや破断が生じ、シートが得られなかった。
[比較例3]
実施例1において、スチレン−メタクリル酸共重合体の重量平均分子量が13万であること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例4]
実施例1において、メタクリル酸含有量が6.0質量%、スチレン−メタクリル酸共重合体の重量平均分子量が45万である樹脂を用いて縦、横方向にそれぞれ2.5倍延伸しシートを得ようとしたが、シートの平滑性が得られなかった。
[比較例5]
実施例1において、延伸倍率を縦、横方向にそれぞれ1.2倍とし、最大配向緩和応力は縦横ともに0.1MPaであるシートが得られたが、割れ・破断が生じやすかった。かろうじて得られたシートに実施例1と同様にして塗工を行い、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例6]
実施例1において、延伸倍率を縦、横方向にそれぞれ6.0倍とし、最大配向緩和応力は縦横ともに1.2MPaであること以外は実施例1と同様にして、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例7]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度300、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例8]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度5000、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例9]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度3モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例10]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度45モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例11]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合65%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例12]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、30mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例13]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアセタール(重合度2000、アセタール化度9モル%、芳香族アルデヒドの割合100%)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、3000mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
[比較例14]
実施例1と同様にして得られたポリスチレン系樹脂シートの片方の面に、ポリビニルアルコール(重合度1700、完全ケン化)を、4.0質量%の濃度でバーコーターにて塗工し、90℃で乾燥して、300mg/m2の塗膜を形成し、耐油性ポリスチレン系樹脂シートを得て、評価した。
Claims (3)
- 二軸方向に延伸したポリスチレン系樹脂シートの少なくとも片方の面に、アセタール化度が5〜40mol%のポリビニルアセタール樹脂の塗膜を形成させてなる耐油性ポリスチレン系樹脂シートであり、
前記ポリスチレン系樹脂シートの延伸倍率が1.5〜5.0倍、最大配向緩和応力が0.2〜1.0MPaであり、
前記ポリスチレン系樹脂シートを構成するポリスチレン系樹脂が、スチレン系単量体を70〜97質量%、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸の少なくともいずれか1成分を3〜15質量%含む単量体の重合体であり、
前記ポリスチレン系樹脂の重量平均分子量が15〜40万であり、
前記ポリスチレン系樹脂シートの最大配向緩和応力のピーク温度が120〜150℃であり、
前記ポリビニルアセタール樹脂が、平均重合度500〜4500のポリビニルアルコールにアルデヒドを縮合反応させてアセタール化することにより得られたものであり、
前記ポリビニルアセタール樹脂において、アセタール化された全構成単位のうち、芳香族アルデヒドによってアセタール化された構成単位の割合が70%以上であり、
前記ポリビニルアセタール樹脂の塗工量が50〜2000mg/m 2 である、耐油性ポリスチレン系樹脂シート。 - 請求項1に記載の耐油性ポリスチレン系樹脂シートを成形してなる容器。
- 成形してなる容器が蓋材であることを特徴とする請求項2記載の容器。
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