JP2022112759A - 離型性樹脂シートおよび成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な離型性を現し、長期間ロール形態で保管してもシート表面に塗布ムラが発生し難い樹脂シートを提供する。【解決手段】少なくとも片面に離型層を有する樹脂シートであって、前記離型層が、シリコーン化合物、多糖類、及び非イオン性界面活性剤を含み、前記シリコーン化合物に対する前記多糖類の質量含有比率が、0.05以上0.35以下であり、前記シリコーン化合物、前記多糖類、及び前記非イオン性界面活性剤の合計を100質量%とする場合に、前記非イオン性界面活性剤の含有率が10質量%以上25質量%以下であることを特徴とする離型性樹脂シート。【選択図】なし

Description

本発明は、離型性樹脂シートおよび成型品に関する。
スチレン系樹脂シートは、従来から食品包装用透明容器の容器本体や蓋材などの包装体等に広く用いられている。
スチレン系樹脂シートは長尺のロール形態で製品とされ、包装体等に成形する際にはロールからシートを巻き出して、熱成形機により賦形される。その際、スチレン系樹脂シートの離型性が悪いと、ロールからの巻き出し時、および熱成形機の金型から成形品を外す時、成形品を多数積み重ねて容器形状に打ち抜きした後の成形品の単離時において、シートや成形品同士がブロッキング(固着)する、金型から成形品が外れ難く成形品が損傷するといった不具合が生じる。
そのため、シート表面に被膜層を形成して上記不具合を解消する技術が開発されてきた。
例えば、特許文献1では、表面処理剤により、フィルムに高い防曇性と耐ブロッキング性を付与する目的で、ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に、ショ糖脂肪酸エステルと、シリコーンエマルジョンと、多糖類及び/又は親水性高分子(但し、ポリビニルアルコールを除く)とを含む被覆層が形成されているフィルム(請求項5)が開示され、具体的にはショ糖脂肪酸エステルを10~50mg/m、固形分としてシリコーンエマルジョンを10~100mg/m、多糖類を5~100mg/mの割合で含む被覆層が形成されているフィルム(請求項6)が示されている。
しかしながら、この開示技術は、当該被覆層で防曇性と耐ブロッキング性の両者を付与する目的であり、成分の含有量は、防曇性、耐ブロッキング性および塗膜の強度などを考慮して適当に選択する(段落[0065])ものであり、ブロッキング防止性をより向上させるためには他方の面を例えばシリコーンエマルジョンで処理してもよい(段落[0070])という技術であり、当該被覆層では高い離型性は得られなかった。
また、特許文献2では、一方の面に防曇剤層が形成され、他方の面に離型剤層が形成された防曇性樹脂シートとして、離型剤層が(R1)シリコーンオイル又は/及びその変性物を45~95重量%と、(R2)親水性アクリル系重合体を55~5重量%とを含有する技術が開示されている。
しかしながら、この開示技術では、アクリル系重合体の乾燥被膜は硬質であるため、スチレン系樹脂シートを長尺のロール形態で数か月間保管すると、シリコーンオイルとアクリル系重合体とが混和した状態は維持できず、シリコーンオイルが凝集しシート表面に塗布ムラが現れ易いという問題点があった。
また、特許文献3では、塗布性に優れ、均一な表面外観を有する被覆層を基材層の一方の面に形成する被覆シート(請求項11)における被覆層を形成する表面処理剤として、界面活性剤(a)、親水性高分子(b)およびシリコーン化合物(c)からなる群より選択された少なくとも1種の水性成膜成分(A)と、多価金属イオン(B)とを含む水性表面処理剤(請求項1)が開示され、水性表面処理剤が離型性表面処理剤である場合、水性成膜成分(A)はシリコーン化合物(c)を必須成分として含み、さらに界面活性剤(a)(特にアニオン性界面活性剤(a2))を含んでいてもよい(段落[0075])という技術が開示されている。
しかしながら、この開示技術では、スチレン系樹脂シートを長尺のロール形態で数か月間保管すると、シート表面にシリコーンオイルの凝集を要因とする塗布ムラが生じる不具合があった。
特開平5-287097号公報 特開2006-51690号公報 特開2016-102205号公報
本発明の課題は、上記実情を鑑み、良好な離型性を現し、長期間ロール形態で保管してもシート表面に塗布ムラが発生し難い樹脂シートを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂シートの少なくとも片面に、特定の成分を特定の組成にて含む離型層を形成することにより、上記課題を解決可能であることを見出し、以下の本発明を完成した。
第1の本発明は、少なくとも片面に離型層を有する樹脂シートであって、前記離型層が、シリコーン化合物、多糖類、及び非イオン性界面活性剤を含み、前記シリコーン化合物に対する前記多糖類の質量含有比率が、0.05以上0.35以下であり、前記シリコーン化合物、前記多糖類、及び前記非イオン性界面活性剤の合計を100質量%とする場合に、前記非イオン性界面活性剤の含有率が10質量%以上25質量%以下であることを特徴とする離型性樹脂シートである。
第1の本発明において、前記多糖類がカルボキシメチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであることが好ましい。
第1の本発明において、前記樹脂シートがポリスチレン系樹脂からなることが好ましい。
また、前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン-メタクリル酸共重合体であることが好ましい。
第1の本発明において、樹脂シートが二軸延伸シートであることが好ましい。
第2の本発明は、第1の本発明の離型性樹脂シートを用いてなる成形品である。
本発明によれば、良好な離型性を現し、長期間ロール形態で保管してもシート表面に塗布ムラが発生し難い離型性樹脂シートを得ることができる。そのため、離型性樹脂シートおよび該シートを用いてなる成形品の生産性が良く、シートの長期保管が可能となり、樹脂シートの廃棄を低減できる。
本発明の離型性樹脂シート(以下、本発明のシートと称する)は、樹脂シートの少なくとも一方の面に離型層を有する。
なお、断り書きを設けない限り「△~△△」の表記は、「△以上△△以下」を意味し、好ましくは「△超△未満」を意味する。
<離型性樹脂シート>
本発明の離型性樹脂シートは、樹脂シートの少なくとも片面に離型層を有する。
(離型層)
離型層は、シリコーン化合物、多糖類、及び非イオン性界面活性剤を含む。
・シリコーン化合物
離型層にシリコーン化合物を含むことにより、本発明のシートは離型性を発現できる。シリコーン化合物としては、種々の形態のものを使用できるが、離型層を水性液の塗布乾燥により被膜形成する利便性の点から、シリコーンオイルを水中分散させたエマルジョンが好ましい。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン等のアルキルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のアリールポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のアルキルアリールポリシロキサン等が挙げられる。これらの中で、離型性及び経済性等の点から、アルキルポリシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサンがより好ましい。
また、上記シリコーンオイルの変性物も使用でき、上記シリコーンオイルのアルキル基、或いはアリール基等に代えて、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、或いはフッ素原子含有アルキル基等が導入されたシリコーンオイルが挙げられる。具体的には、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。中でも、安全性及び離型層形成時の塗布液における溶解性等の点から、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく、オキシエチレン、オキシプロピレン等の炭素数2~4のオキシアルキレンのポリマーであるポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサンがより好ましく、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性ジメチルポリシロキサンが更に好ましい。
シリコーンオイル及びその変性物は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて使用しもよい。
シリコーンオイル及びその変性物は、25℃での粘度が10~100,000mm/sが好ましく、50~50,000mm/sがより好ましく、100~30,000mm/sが更に好ましい。
・多糖類
離型層に多糖類を含むことにより、シリコーン化合物を離型層中で良好に分散し続けることを可能にするので、本発明のシートが良好な離型性を発現すると共に、シートを長期間ロール形態で保管しても塗布ムラが発生し難くすることができる。
多糖類としては、単糖類がグリコシド結合によって繋がった化合物であればよく、例えば、澱粉、セルロース等が挙げられ、それらの誘導体でもよい。中でも、離型層を形成する塗布液の安定性の点で、セルロースが好ましい。多糖類は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
澱粉誘導体としては、澱粉の水酸基を官能基置換したものであり、中でも食品用途に使用できるものが好ましく、例えば、アセチル化アジミン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸化架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、澱粉グルコール酸ナトリウムが挙げられる。
セルロース誘導体としては、セルロースのヒドロキシ基にエーテル結合或いはエステル結合で置換基を導入したものであり、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどが挙げられ、中でも食品用途に使用できるメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。これらは単独で使用してもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。
セルロース誘導体の官能基の置換度は、特に制限はないが、水への溶解性向上の点から、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのメトキシ基は15~40%が好ましく、20~35%がより好ましい。また、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートのヒドロキシプロポキシ基は2~20%が好ましく、3~15%がより好ましい。カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は0.3~3.0%が好ましく、0.5~2.0%がより好ましい。
セルロース誘導体の粘度の大小は、分子量の大小と相関し、例えば2%水溶液の20℃における動粘度は2~10000mm/sが好ましく、10~5000mm/sがより好ましく、20~2000mm/sが更に好ましい。
・非イオン性界面活性剤
離型層に含む非イオン性界面活性剤としては、樹脂シート表面の濡れ性を改良できるものであればよく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等が挙げられ、良好な濡れ性を発現する点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及び脂肪酸アルカノールアミドがより好ましい。これらの界面活性剤は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
イオン性界面活性剤では、塗布時の濡れ性は良好であっても、数か月間の保管では樹脂シート表面との親和性が弱まり、シリコーン化合物の凝集を誘引し塗布ムラを生じさせてしまうところ、非イオン性界面活性剤では、塗布時から長期間にわたり樹脂シート表面との親和性や、シリコーン化合物と多糖類の分散性を安定に保持し易い。その観点で、非イオン性界面活性剤の分子量100~1000程度が好ましく、200以上がより好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの有する水酸基の一部が脂肪酸とエステル結合している化合物であればよい。エステル結合の位置と数の制限はないが、良好な濡れ性を発現する点から、ポリグリセリンの重縮合度は2~20が好ましく、2~15がより好ましく、2~12が更に好ましい。脂肪酸の炭素数は8~22が好ましく、10~20がより好ましく、12~18が更に好ましい。脂肪酸は、飽和、不飽和を問わず、また、単独であっても混合物であってもよい。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンの有する水酸基の一部が脂肪酸とエステル結合している化合物であればよい。エステル結合の位置と数の制限はないが、良好な濡れ性を発現する点から、脂肪酸の炭素数は8~22が好ましく、10~20がより好ましく、12~18が更に好ましい。脂肪酸は、飽和、不飽和を問わず、また、単独であっても混合物であってもよい。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖の有する水酸基の一部が脂肪酸とエステル結合している化合物であればよい。エステル結合の位置と数の制限はないが、良好な濡れ性を発現する点から、脂肪酸の炭素数は8~22が好ましく、10~20がより好ましく、12~18が更に好ましい。脂肪酸としては、飽和、不飽和を問わず、また、単独であっても混合物であってもよい。
ショ糖脂肪酸エステルのモノエステルとジ・トリ・ポリエステルとの含有比率は(0~90):(10~100)が好ましく、(1~70):(30~99)がより好ましく、(10~50):(50~90)が更に好ましい。
脂肪酸アルカノールアミドとしては、脂肪酸とモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン等のアルキルアルコールアミンとの縮合生成物であればよい。良好な濡れ性を発現する点から、炭素数が10~18の脂肪酸単独又は該脂肪酸を主成分とする混合脂肪酸とジエタノールアミンとの縮合生成物である脂肪酸ジエタノールアミドが好ましく、その脂肪酸としては、飽和、不飽和を問わない。また、脂肪酸ジエタノールアミドには、一般に、脂肪酸1モルとジエタノールアミン1モルとの縮合生成物である1:1型と、脂肪酸1モルとジエタノールアミン2モルとの縮合生成物である1:2型とがあるが、本発明においては、それぞれの単独物であっても混合物であってもよい。
・組成比
離型層の構成成分の固形分組成比は、シリコーン化合物に対する多糖類の質量含有比率が、0.05以上0.35以下である。下限は0.08以上が好ましく、0.10以上がより好ましい。上限は0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましい。含有比率が0.05以上であると、多糖類中でシリコーン化合物が十分分散し、多糖類のシリコーン化合物の保持性が良好となり、本発明のシートを長期間ロール形態で保管してもシート表面にシリコーン化合物の凝集が原因の塗布ムラが発生し難くなる。質量含有比率が0.35以下であると、シリコーン化合物による離型性が良好に発現できる。
シリコーン化合物、多糖類、及び非イオン性界面活性剤の合計を100質量%とする場合、非イオン性界面活性剤の含有率は10質量%以上25質量%以下が好ましく、15質量%以上20質量%以下がより好ましい。
係る含有率範囲において、離型層を形成する塗布液が樹脂シート表面に濡れ性良く塗工でき、シリコーン化合物と多糖類の機能が十分発揮しやすい。
背景技術の特許文献1では、ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に、ショ糖脂肪酸エステルを10~50mg/m、さらに好ましくは15~30mg/m、シリコーンエマルジョンを固形分として10~100mg/m、さらに好ましくは20~50mg/m、多糖類を5~100mg/m、さらに好ましくは5~30mg/mの割合で含む被覆層が形成されているフィルム(請求項6、段落[0065])が示されているが、この開示技術は、一方の面の被覆層で防曇性と耐ブロッキング性の両方を付与するためのものであり、ブロッキング防止性をより向上させるためには、例えば他方の面をシリコーンエマルジョンで処理する(段落[0070])必要があった。
本発明は、シリコーンエマルジョンを安易に用いては、塗布ムラが発生すること、シリコーンエマルジョンに加え、界面活性剤や、多糖類を含む水性高分子を適当量用いるだけでは、シートをロール状態で室温下所定期間保管後における、ロール巻き出し時、熱成形金型から成形品を外す時、成形品を多数積み重ね容器形状に打ち抜き後の成形品を単離する時の何れか1つ以上の工程で、シートや成形品同士のブロッキング(固着)が生じてしまう、金型から成形品が外れ難くなってしまうという、塗布性や離型性が不十分な問題点について追及し、長期間塗布ムラが発生せず、全ての工程で高い離型性を達成するためには、シリコーン化合物と特定のバインダー成分との相互関係、界面活性剤の作用効果、特定の成分組成比が必要であることを見出したものである。
(その他の成分)
離型層は、離型層の表面に微細な凹凸を形成させることにより、樹脂シートの他方の面との転写を抑制したり、金型からの離型性や成形品同士の剥離性を向上させたりすることができ、そのためには有機質及び/又は無機質微粒子を含有することができる。
有機質微粒子としては、例えば、ポリスチレン系微粒子、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリプロピレン系微粒子、ポリアミド系微粒子、ポリエステル系微粒子、ポリビニルアルコール系微粒子、エポキシ樹脂系微粒子、シリコーン系微粒子、フッ素樹脂系微粒子等が挙げられる。無機質微粒子としては、例えば、シリカ系微粒子、アルミナ系微粒子、シリカ・アルミナ系微粒子、チタニア系微粒子、ジルコニア系微粒子、クレー系微粒子等が挙げられる。
中でも、良好な転写抑制性、離型性、及び剥離性の発現とシートリサイクル性の点から、有機質微粒子が好ましく、ポリスチレン系微粒子、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系微粒子、及びシリコーン系微粒子がより好ましい。
これらの微粒子は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
有機質及び/又は無機質微粒子の形状は、球状であっても不定形状であってもよい。平均粒径は0.1~30μmが好ましく、0.5~25μmがより好ましく、1~20μmが更に好ましい。平均粒径が0.1μm以上では、微粒子の凝集によるフィッシュアイが発生し難く、平均粒径が30μm以下であるとシート外観が良好となる。
また、離型層は、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、粘度調節剤、消泡剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤、及び顔料、染料等の着色剤等を添加してもよい。
(層厚)
樹脂シート表面に形成する離型層の層厚は、1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが更に好ましい。1nm以上であると、金型からの離型性及び成形品同士の剥離性が良好となり、100nm以下であると、樹脂シートの他方の面への転写、及びそれに伴うシート外観の白化を抑制できる。
層厚は、単位面積当たりの樹脂シートについて離型層を洗浄して洗液を集め、質量法、ガスクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法等で測定することができる。また、層厚既知の樹脂シートを標準サンプルとして赤外線吸収分光分析(全反射法)により検量線を作成しておき、層厚未知の樹脂シートの測定値を対比する方法で簡便に層厚を得ることができる。
(防曇層)
本発明のシートは、一方の面に離型層を形成し、他方の面に防曇層を形成してもよい。
防曇層を形成することにより、食品等の水分を含む収容物用の包装体に用いた場合に、シートが曇りにくいので収容物の視認性が良好となり、好ましい。
防曇層を構成する組成物は、公知の防曇剤組成物を用いることができる。例えば、多価アルコール型非イオン性界面活性剤及び/又は脂肪酸塩が挙げられる。
多価アルコール型非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、 ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル等が挙げられ、これらは2種以上が併用して用いられていてもよい。
中でも、良好な防曇性を発現する点から、構成脂肪酸の70質量%以上が炭素数12~18の飽和及び/又は不飽和脂肪酸であり、且つ、モノエステルを20質量%以上含有するモノ-、ジ-、トリ-、及びポリ-エステルの混合体であるショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及び、構成脂肪酸の70質量%以上が炭素数12~18の飽和及び/又は不飽和脂肪酸であり、且つ、重縮合度が2~20、更には2~12で、モノエステルを20質量%以上含有するモノ-、ジ-、トリ-、及びポリ-エステルの混合体であるポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
脂肪酸塩としては、例えば、牛脂等の動物性油脂由来の脂肪酸塩、椰子油等の植物性油脂由来の脂肪酸塩、合成脂肪酸由来の脂肪酸塩等が挙げられ、中でも、良好な防曇性を発現する点から、構成脂肪酸の70質量%以上が炭素数12~18の飽和及び/又は不飽和脂肪酸のナトリウム塩或いはカリウム塩が好ましい。これらは2種以上が併用して用いられていてもよい。
また、防曇層は、シート表面のベタツキを抑制する目的で、親水性高分子を含有することが好ましい。親水性高分子としては、例えば、親水性アクリル系高分子、粘度平均分子量が5万~800万のポリエチレンオキサイド等が挙げられる。その含有割合は、防曇性の点から、上記の多価アルコール型非イオン性界面活性剤及び/又は脂肪酸塩100質量部に対して900質量部以下が好ましい。
防曇層には、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、粘度調節剤、消泡剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤、及び顔料、染料等の着色剤等を添加してもよい。
防曇層の層厚は、5~300nmが好ましく、10~200nmがより好ましく、15~100nmが更に好ましい。5nm以上であると防曇性が良好になり、300nm以下によって、防曇層と他方の面の離型層との密着によるシート同士のブロッキングが生じ難く、また、離型層との間の転写やそれに伴うシートの白化等が生じ難い。
防曇層の層厚は、離型層の層厚と同様にして測定できる。
(樹脂シート)
本発明の離型性樹脂シートにおける基材である樹脂シートとしては、特に制限はないが、例えば、スチレン系樹脂、アモルファスポリエチレンテレフタレート(A-PET)等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、及びポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂の未延伸シート、一軸或いは二軸延伸シート等が挙げられる。中でも、二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート、未延伸A-PETシートが好ましい。
樹脂シートは、単層シート、異なる組成や異なる樹脂種からなる積層シートであってもよい。
シート総厚は、特に制限はないが、成形品の賦形性、強度、経済性の点から、0.05~2.0mmが好ましく、0.1~1.0mmがより好ましい。
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体(a)(以下、単量体(a)と省略する場合がある。)を主成分としてなる樹脂である。なお、ここでの「主成分」とは、スチレン系樹脂全体を100質量%として、スチレン系単量体(a)を50質量%超含むことを意味する。スチレン系単量体(a)としては、スチレン及びその誘導体が挙げられ、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。中でも、汎用性の観点から、スチレン、α-メチルスチレンを用いることが好ましい。
また、スチレン系樹脂シートの耐熱性を向上させる点などで、スチレン系単量体(a)の他に単量体(a)以外の単量体成分を1種以上含有する共重合体であってよく、共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの共重合体形態であってもよい。また、シートに用いるスチレン系樹脂は、1種類であってもよく2種類以上を混合しても良い。
共重合体に用いられる他の単量体の例としては、単量体(a)と異なる種類のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリルや、ブタジエン、イソプレン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等の共役ジエン系炭化水素、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα-オレフィン等が挙げられる。
中でも、シートの耐熱性を向上させる観点ではビカット軟化点温度を上げることから、単量体(a)と異なる種類のスチレン系単量体であるα-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、アクリロニトリルを用いることが好ましく、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルを用いることがより好ましく、(メタ)アクリル酸を用いることが特に好ましい。ここで、「単量体(a)と異なる種類のスチレン系単量体」とは、例えば、スチレン系単量体(a)としてスチレンを用いている場合は、該スチレン以外のスチレン系単量体をいい、例えば、α-メチルスチレン、ジメチルスチレン等をいう。
また、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2-クロロエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。中でも、本発明のシートをリサイクル利用して新たにシート成形する時の脱水反応に伴う外観不良抑制や機械強度低下抑制の観点から、共重合体に用いられる他の単量体として、(メタ)アクリル酸メチルを用いることが好ましい。
また、スチレン系樹脂が共重合体である場合、スチレン系単量体(a)と、単量体(a)と異なる種類のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、及びアクリロニトリルの群から選ばれる1種の単量体(b)との二元共重合体や、スチレン系単量体(a)と、単量体(a)と異なる種類のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びアクリロニトリルの群から選ばれる1種の単量体(b)´と、(メタ)アクリル酸エステル単量体(c)との三元共重合体が、スチレン系樹脂シートのビカット軟化点上昇、即ち耐熱性の観点で好ましい。中でも、単量体(b)又は(b)´が(メタ)アクリル酸である二元共重合体又は三元共重合体が好ましい。
前記二元共重合体の共重合組成比は、単量体(a)と(b)の合計を100質量%とした場合、(a):(b)は80~99:1~20質量%が好ましく、85~98:2~15質量%がより好ましく、86~97:3~14質量%がさらに好ましく、90~97:3~10質量%が最も好ましい。
前記三元共重合体の共重合組成比は、単量体(a)と(b)´と(c)との合計を100質量%とした場合、(a):(b)´:(c)は60~98:1~20:1~20質量%が好ましく、67~96:2~18:2~15質量%がより好ましく、74~94:3~16:3~10質量%がさらに好ましく、78~92:4~14:4~8質量%が最も好ましい。
スチレン系単量体(a)の共重合組成比が二元共重合体の場合80質量%以上、三元共重合体の場合60質量%以上であると、他のポリスチレン系樹脂、特に耐衝撃性ポリスチレン系樹脂との相溶性の点で好ましい。つまり、スチレン系樹脂は、耐衝撃性ポリスチレン(ポリブタジエン、または、スチレンとブタジエンとのランダム共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体)を含んでいてもよく、この場合、得られるシートに耐衝撃性を付与することができる。
また、スチレン系単量体(a)の共重合組成比が二元共重合体の場合99質量%以下、三元共重合体の場合98質量%以下であると、シートのビカット軟化点温度が高くなり耐熱性を向上させやすく、単量体(b)、(b)’を1質量%以上含有すると、シートのビカット軟化点温度が高くなり耐熱性を向上させやすい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(c)の含有量が20質量%以下であると、スチレン系樹脂シートをリサイクルに供した場合に吸水が抑制され発泡等が生じ難い。
スチレン系樹脂シートには、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を含有することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
本発明の樹脂シートは、使用目的に応じて、内部潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、加工助剤、溶融粘度改良剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候性安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、核剤、架橋剤、滑材、鉱油、スリップ剤、防曇剤、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤および顔料などを適宜含有してもよい。
樹脂シートは、必要に応じ公知のコロナ放電処理、プラズマ処理、高周波処理等の表面処理を行っても良い。特に、離型層を形成する面は、表面処理を行って表面張力を低下させて塗工すると、シート表面の塗膜はじきが発生せず好ましい。
離型層の構成成分を含む塗布液は、スプレーコーター、エアーナイフコーター、スクィーズロールコーター、グラビアロールコーター、ナイフコーター等の公知の塗布方法で、樹脂シート表面に塗布し、熱風乾燥法等で乾燥させて離型層を形成できる。
防曇層も、同様な方法で樹脂シート表面に対し表面処理、塗布、乾燥を行って形成することができる。離型層と防曇層の形成順は、限定されない。
<成形品>
ロール状に捲き取られた離型性樹脂シートは、保管後、ロールから巻き出されて、真空成形法、圧空成形法等の熱成形法により、食品包装用透明容器の容器本体や蓋材などの包装体である成形品となる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<原材料>
(樹脂シート)
実施例、比較例に用いた樹脂シートの成分と略号は、次の通りである。
St-MAA;スチレン-メタクリル酸共重合体、メタクリル酸組成比3質量%、ビカット軟化点温度105℃
GPPS;スチレン単独共重合体、ビカット軟化点温度100℃
(離型層)
実施例、比較例に用いた離型層の構成成分、諸物性と略号は、次の通りである。
・シリコーン化合物
シリコーンエマルジョン(固形分としてシリコーン化合物を含む);ジメチルポリシロキサン、25℃における粘度5,000mm/s
・水性高分子(多糖類、その他)
CMC;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エーテル化度1.3%、粘度(2%水溶液の20℃における動粘度)250mm/s
HPMC1;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトキシ基28%、ヒドロキシプロポキシ基10%、粘度(2%水溶液の20℃における動粘度)50mm/s
HPMC2;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトキシ基28%、ヒドロキシプロポキシ基5%、粘度(2%水溶液の20℃における動粘度)400mm/s
PVP;ポリビニルピロリドン、分子量1,400,000
PVA;ポリビニルアルコール、重合度1,500、けん化度88モル%
POE-POP;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン組成比80質量%、平均分子量15,000
PEO;ポリエチレンオキサイド、分子量150,000
・界面活性剤
NS1;非イオン性界面活性剤、ショ糖ラウリン酸エステル、モノエステル組成比30質量%、ジ・トリ・ポリエステル組成比70質量%
AS1;陰イオン性界面活性剤、アルカンスルホン酸ナトリウム、炭素数10~20
AS2;陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン-ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
<実施例1~4、比較例1~8>
表1に示す樹脂種からなる0.25mm厚の単層二軸延伸ポリスチレン系樹脂シートの一方の面にはコロナ処理の有無を表1に示すように選択して施して離型層用水性塗布液をスプレーコーターで塗布し、他方の面にはコロナ処理を施して防曇層用水性塗布液をスプレーコーターで塗布し、両面を熱風乾燥させ、一方の面に離型層を、他方の面に防曇層を形成して、離型性樹脂シートを得た。次いで、離型層を内側に、防曇層を外側にして、長さ1,400mの離型性樹脂シートをロール状に巻き取った。
離型層の固形分組成を表1に示す。
防曇層の固形分組成は、ショ糖脂肪酸エステル30質量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル10質量%、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート30質量%、ポリエチレンオキサイド30質量%である。
離型層と防曇層の層厚は、赤外吸収分光分析装置(全反射法)を使用し、離型層は1260cm-1付近の吸収ピーク強度、防曇層は1730cm-1付近の吸収ピーク強度を用い、それぞれポリスチレンの1940cm-1付近の吸収ピーク強度との比率を算出し、層厚既知のシートから作製した検量線に照らして各層の層厚を求めた。離型層の層厚は10nm、防曇層の層厚は40nmであった。
上記のロールは、離型性樹脂シートの幅方向を水平にした宙吊りで、室温下で3か月間保管した。
その後、ロールから離型性樹脂シートを巻き出して、熱板圧空成形機を用い、熱板温度138℃、成型時間2秒/回、離型圧空なしの条件で、開口部260mm×80mm、深さ60mmの形状に熱成形し、成形品を得た。
<評価>
実施例、比較例で得られた離型性樹脂シート及び成形品について、以下の評価を行い、表1に纏めた。
(外観観察)
以下の(ア)~(ウ)について、離型性樹脂シート又は成形品を黒台紙上に、離型層を上向きにして水平に置き、垂直上方30cmから照明器具を用いて750luxの光を照射し、斜め上方45度から観察し、次の基準で評価した。
(ア)塗布直後の離型性樹脂シートの離型層表面について、◎;塗布ムラ無く高透明、〇;塗布ムラ無し、×;塗布ムラ有り
(イ)ロール形態で室温下3か月間保管した後に、離型性樹脂シートをロールの巻外から10m巻き出した位置の離型性樹脂シートの離型層表面について、◎;オイル状のムラなし、〇;長径5cm以上のオイル状のムラ無し、△;長径5cm以上10cm未満のオイル状のムラ有り、×;直径10cm以上のオイル状のムラ有り
(ウ)ロール形態で室温下3か月間保管した後に熱成形した成形品の中央部の離型層表面について、〇;白化、オイル状のムラとも無し、×;白化及び/又はオイル状のムラ有り
(離型性)
以下の(エ)~(カ)について、次の基準で評価した。
(エ)ロール形態で室温下3か月間保管した後に離型性樹脂シートを巻き出した際に、〇;ブロッキング無し、×;ブロッキング有り
(オ)ロール形態で室温下3か月間保管した後に熱成形し、金型から離型する際に、〇;引っ掛かりなく連続成形可能、×;引っ掛かって連続成形不可能
(カ)熱成形品144枚を水平に積み重ね、その上に荷重5kgfをかけたときの高さ(s)と、1分後に荷重を取り除いた時の高さ(e)について、次式で復元率(単位;%)を算出し、容器同士の剥離性として、〇;復元率20%以上、×;復元率20%未満
復元率={(e)-(s)/(s)}×100
Figure 2022112759000001
実施例1~4は、離型層のシリコーン化合物に対する多糖類の質量含有比率が、0.05以上0.35以下であり、かつ非イオン性界面活性剤の含有率が10質量%以上25質量%以下であり、何れの外観観察評価、離型性評価とも優れていた。
実施例2~4はHPMCを用いており、CMCを用いた実施例1に比べ、水性塗布液中にナトリウムイオンを含まないためシリコーンオイルの分散性が安定していた。中でも実施例2は、樹脂シート表面にコロナ処理を施さず、官能基置換度が高く且つ粘度の低いHPMC1を用い、透明性の高い離型性樹脂シートを得ることができた。
実施例2、4は、実施例3に比べ、官能基置換度が高く且つ粘度の低いHPMC1を用いたため、水への溶解性が特に良く、水性塗布液の粘度も低めで調合が容易であった。
実施例2、3は、実施例4に比べ、樹脂シート表面にコロナ処理を施さずに離型層を形成したことにより、成形品の外側面となる離型層表面に商品用シールを貼った場合に、シールが剥がれにくい利点が得られた。一方、実施例4は、樹脂シート表面にコロナ処理をしているため、水性塗布液の濡れ性が高く塗工性が良好であった。
比較例1は、水性高分子を用いていないためシリコーンオイルの凝集を抑制できず、塗布直後からオイル状の塗布ムラが発生した。
比較例2、3は、水性塗布液においてシリコーンオイルの分散安定性が悪く、塗布直後からシート外観に塗布ムラが発生した。これは、水性高分子として用いたPVP、PVAに起因する水性塗布液の粘性増大によるものと考えられた。
比較例4、5は、3ヶ月保管後のシート外観が悪化した。これは、ポリオキシエチレン成分を配合したことにより、経時と共に水分を内包しやすく、疎水性であるシリコーンオイルの凝集が促進したためと考えられた。また、St-MAA樹脂シートにポリエチレンオキサイド成分の組成比の大きい水性高分子を使用すると、熱板成形時に白化が発生し、この白化は離型層面を水洗しても落ちないものであった。比較例6、7は、陰イオン性界面活性剤を添加したため、経時と共に離型層の吸水が進んで疎水性のシリコーンオイルの凝集が促進され、3か月保管後のシート外観が悪化した。
比較例8は、シリコーン化合物に対する多糖類の質量含有比率が0.35超であり、塗布直後からシート外観が粉吹き状になり白化した。
本発明の離型性樹脂シートは、高い離型性を有し、長期間ロール形態で保管してもシート表面に塗布ムラが発生し難い。そのため、離型性樹脂シートおよび該シートを用いてなる成形品を安定して生産でき不良品ロスが少なく、また、長期保管が可能な点からも樹脂シートの廃棄を低減でき、環境問題にも貢献できる。

Claims (6)

  1. 少なくとも片面に離型層を有する樹脂シートであって、
    前記離型層が、シリコーン化合物、多糖類、及び非イオン性界面活性剤を含み、
    前記シリコーン化合物に対する前記多糖類の質量含有比率が、0.05以上0.35以下であり、
    前記シリコーン化合物、前記多糖類、及び前記非イオン性界面活性剤の合計を100質量%とする場合に、前記非イオン性界面活性剤の含有率が10質量%以上25質量%以下である
    ことを特徴とする離型性樹脂シート。
  2. 前記多糖類がカルボキシメチルセルロース及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項1に記載の離型性樹脂シート。
  3. 前記樹脂シートがポリスチレン系樹脂からなる請求項1又は2に記載の離型性樹脂シート。
  4. 前記ポリスチレン系樹脂が、スチレン-メタクリル酸共重合体である請求項3に記載の離型性樹脂シート。
  5. 樹脂シートが二軸延伸シートである請求項1~4の何れかに記載の離型性樹脂シート。
  6. 請求項1~5の何れかに記載の離型性樹脂シートを用いてなる成形品。
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WO2024029346A1 (ja) * 2022-08-05 2024-02-08 三菱ケミカル株式会社 離型フィルム

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