JP2019094422A - コーティング剤、並びにこれを用いた積層シートおよび成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂が使用される食品包装容器は、冷蔵庫による保存、電子レンジによる加熱等に基づく温度変化により、水蒸気が水滴として容器表面に付着することがある。そこで、防曇剤を用いて食品包装容器に防曇性を付与することが行われている。従来の防曇剤によれば、得られる防曇剤層について一定の防曇性能等が得られうるが、耐油性が必ずしも十分とはいえない場合があることが判明した。そこで、本発明は、得られるコーティング層(被覆層)が防曇性および耐油性に優れるコーティング剤を提供することを目的とする。【解決手段】 酸価が100〜240である親水性(メタ)アクリル樹脂と、防曇剤と、親水性高分子と、を含む、コーティング剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、コーティング剤、並びにこれを用いた積層シートおよび成形体に関する。
従来、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂は、成形性、安全性、品質保持性等に優れることから、食品包装容器に使用されている。食品包装容器は、冷蔵庫による保存、電子レンジによる加熱等に基づく温度変化により、水蒸気が水滴として容器表面に付着することがある。この場合、食品包装容器の内容物(食品)が視認できなくなる、付着した水滴の落下による食品の劣化が生じる等が起こりうることから、防曇剤を用いて食品包装容器に防曇性を付与することが行われている。
例えば、特許文献1には、ショ糖脂肪酸エステルとアクリル系ポリマーを含有することを特徴とする防曇剤に係る発明が記載されている。
特許文献1に係る発明によれば、外観を損なうことなしに優れた防曇性を付与できることが記載されている。
なお、特許文献1には、アクリル系ポリマーは、防曇剤層の強度を向上させ、ショ糖脂肪酸エステルの高温加熱後の防曇性を持続させ、熱成形時の防曇剤層の延伸性を改善することが記載されている。
特開2003−253241号公報
特許文献1に記載の防曇剤によれば、得られる防曇剤層について一定の防曇性能等が得られうる。しかしながら、耐油性が必ずしも十分とはいえない場合があることが判明した。
そこで、本発明は、得られるコーティング層(被覆層)が防曇性および耐油性に優れるコーティング剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、所定の親水性(メタ)アクリル樹脂に、所定の成分を組み合わせることで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、酸価が100〜240である親水性(メタ)アクリル樹脂と、防曇剤と、親水性高分子と、を含む、コーティング剤に関する。
本発明によれば、得られるコーティング層(被覆層)が防曇性および耐油性に優れるコーティング剤が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<コーティング剤>
本発明に係るコーティング剤は、酸価が100〜240である親水性(メタ)アクリル樹脂と、防曇剤と、親水性高分子と、を含む。その他、必要に応じて、水および/または溶剤、添加剤をさらに含んでいてもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、メタクリルおよび/またはアクリルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。さらに、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルおよび/またはアクリロイルを意味する。
(親水性(メタ)アクリル樹脂)
親水性(メタ)アクリル樹脂は、防曇性、耐油性を付与する機能等を有する。より詳細には、親水性(メタ)アクリル樹脂は、親水性であることから吸水性を示し、防曇性能を有する。また、親水性(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル構造を有することから、耐油性を有する。
なお、本明細書において、「親水性」とは、対象とする樹脂等が、20℃の同量の水に溶解し均一な液体であることを意味する。
一実施形態において、親水性(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル系単量体、必要に応じて他の単量体を重合してなる。
前記(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シリル基を有する(メタ)アクリル系単量体、イソシアナート基を有する(メタ)アクリル系単量体等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを用いることが好ましい。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸、((メタ)アクリロイルオキシ)酢酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、コハク酸1−[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]、フタル酸1−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸水素2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル、およびこれらのラクトン変性物等の不飽和モノカルボン酸;不飽和ジカルボン酸(マレイン酸等)、酸無水酸(無水コハク酸、無水マレイン酸等)と、水酸基含有多官能(メタ)アクリレート(ペンタエリスリトールトリアクリレート)とを反応させて得られるカルボキシ基含有多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、酸価の調整が容易である等の観点から、メタクリル酸、(アクリロイルオキシ)酢酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸3−カルボキシプロピルを用いることが好ましく、メタクリル酸を用いることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、特に制限されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
シリル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
イソシアナート基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、特に制限されないが、(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチルのフェノールまたはメチルエチルケトオキシム付加物等が挙げられる。
また、前記他の単量体としては、特に制限されないが、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ニトリル基含有エチレン性不飽和単量体、芳香族環を有するビニル化合物、メチロールアミド基またはそのアルコキシ化物含有重合性単量体、シリル基含有重合性単量体、オキサゾリン基含有重合性単量体、アミド基含有重合性単量体、カルボニル基含有重合性単量体、その他の化合物等が挙げられる。
前記ビニルエステル類としては、特に制限されないが、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。
前記ビニルエーテル類としては、特に制限されないが、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
前記ニトリル基含有エチレン性不飽和単量体としては、特に制限されないが、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
前記芳香族環を有するビニル化合物としては、特に制限されないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等が挙げられる。
前記メチロールアミド基またはそのアルコキシ化物含有重合性単量体としては、N−メチロールメタアクリルアミド、N−イソプロポキシメチルメタアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタアクリルアミド、N−イソブトキシメチルメタアクリルアミド等が挙げられる。
前記シリル基含有重合性単量体としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびその塩酸塩等が挙げられる。
前記オキサゾリン基含有重合性単量体としては、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
前記アミド基含有重合性単量体としては、特に制限されないが、メタアクリルアミド、N−モノアルキルメタアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタアクリルアミド等が挙げられる。
前記カルボニル基含有重合性単量体としては、アクロレイン、ジアセトンメタアクリルアミド等が挙げられる。
前記その他の化合物としては、特に制限されないが、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
なお、上述の(メタ)アクリル系単量体、他の単量体は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一実施形態において、親水性(メタ)アクリル樹脂は、耐熱性、耐油性の付与が容易である観点から、モノマー単位として(メタ)アクリル酸エステル系単量体を含むことが好ましく、モノマー単位としてメタクリル酸メチルを含むことがより好ましい。
親水性(メタ)アクリル樹脂の酸価は、100〜240であり、好ましくは110〜240であり、より好ましくは110〜230であり、さらに好ましくは150〜210である。親水性(メタ)アクリル樹脂の酸価が100未満であると、高い耐油性を得ることができない。一方、親水性(メタ)アクリル樹脂の酸価が240超であると、親水性が過度に高くなり十分な防曇性が得られず、また、十分な付着性を確保することができない。なお、本明細書において、「酸価」とは、中和前の共重合体1g中に含有する酸基を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を意味し、JIS K0070:1996に準拠して測定された値を採用するものとする。
親水性(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、85〜125℃であることがさらに好ましく、90〜110℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が70℃以上であると、高い耐油性が得られうることから好ましい。なお、本明細書において、「ガラス転移温度(Tg)」の値は、下記Foxの式で計算した温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算した数値を意味する。
Figure 2019094422
上記式中、W1、W2、W3、W4は各種成分の質量分率(質量%)を意味する。また、Tg1、Tg2、Tg3、Tg4は各種成分のホモポリマーのガラス転移温度(K)を意味する。
親水性(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000であることが好ましく、積層体としての耐熱耐油性および樹脂生産性の観点から10,000〜120,000であることがより好ましい。なお、本明細書において、「重量平均分子量(Mw)」の値は、以下の方法により測定された値を採用するものとする。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN SuperHZL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL SuperHZM−M×4
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
親水性(メタ)アクリル樹脂の含有率は、親水性(メタ)アクリル樹脂、防曇剤、および親水性高分子の総質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、25〜70質量%であることがさらに好ましく、30〜60質量%であることが特に好ましい。親水性(メタ)アクリル樹脂の含有率が10質量%以上であると、高い耐油性が得られうることから好ましい。なお、親水性(メタ)アクリル樹脂の含有率が70%以下であると、防曇剤、親水性高分子の含有率が相対的に増加し、高い防曇性が得られうることから好ましい。
親水性(メタ)アクリル樹脂の親水性、酸価、ガラス転移温度(Tg)、分子量は、使用する単量体の種類、使用量を制御することで調整できる。例えば、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体の使用量を増やすと、得られる親水性(メタ)アクリル樹脂の親水性は高くなる傾向がある。また、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体の使用量を増やすと、得られる親水性(メタ)アクリル樹脂の親水性、酸価は高くなる傾向がある。
上述の親水性(メタ)アクリル樹脂は、特に制限されず、公知の溶液重合法、乳化重合法等のラジカル重合によって合成することができる。
一実施形態において、溶液重合法により親水性(メタ)アクリル樹脂を合成する場合、単量体と重合開始剤とを、溶剤の存在下、ラジカル重合させる方法が挙げられる。
前記単量体としては、上述したものが用いられうる。
前記重合開始剤としては、特に制限されないが、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)等のアゾ化合物が挙げられる。また、重合開始剤として市販品を使用してもよく、例えば、ナイパーBMT−K40(m−トルオイルパーオキサイドとベンゾイルパーオキサイドの混合物、日油株式会社製)、ABN−E(2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、株式会社日本ファインケム製)等が挙げられる。なお、上述の重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記溶剤としては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、単量体として、カルボキシ基を有する単量体(カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体等)を用いる場合、反応後に中和剤により中和することが好ましい。
前記中和剤としては、特に制限されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩類;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン等のアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアミノアルコール類;モルホリン等の有機アミン類;アンモニア等が挙げられる。これらの中和剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、中和したときの中和率は、40〜100%であることが好ましく、60〜100%であることがより好ましい。
溶液重合法における反応温度は、40〜160℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。
なお、反応後、必要に応じて、水の添加による水溶化、溶剤の脱溶剤等を行うことができる。
また、別の一実施形態において、乳化重合法により親水性(メタ)アクリル樹脂を合成する場合、単量体と、重合開始剤と、水性媒体中、乳化剤の存在下で重合させる方法が挙げられる。
前記単量体および重合開始剤としては、上述したものが用いられうる。
前記水性媒体としては、水が挙げられる。この際、アルコール類等の溶剤をさらに含んでいてもよい。
前記乳化剤としては、一般的な乳化重合法に使用できるものであれば特に制限されず、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤が用いられうる。
アニオン性乳化剤としては、特に制限されないが、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、ジアルキルサクシネートスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、特に制限されないが、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、特に制限されないが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル等が挙げられる。
上述の乳化剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化重合法は、単量体および重合開始剤の混合液を連続滴下または分割滴下することにより行われる。この際、乳化剤は、前記混合液に含まれていてもよい。一例としては、加熱撹拌された水性媒体(水および必要に応じてアルコール等の溶剤を含む)中に、別途調製した混合液(単量体、ラジカル重合開始剤、乳化剤、および水を含む)を連続滴下または分割して滴下して、重合させる方法が挙げられる。
乳化重合法における反応温度は、40〜90℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。
(防曇剤)
防曇剤は、得られる被覆層(コーティング層)のぬれ性を向上させることで防曇性を付与する機能を有する。
防曇剤としては、ノニオン性防曇剤、両性防曇剤等が挙げられる。
前記ノニオン性防曇剤としては、特に制限されないが、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。これらのうち、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
前記ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と、置換または非置換の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸とのエステルである。
ショ糖はスクロースとも呼ばれ、グルコースおよびフルクトースからなる二糖であり、8つのヒドロキシ基を有している。本形態に係るショ糖脂肪酸エステルは、前記ヒドロキシ基の1つ以上が前記脂肪酸とエステル結合を形成した構造を有している。2以上のヒドロキシ基が脂肪酸とエステル結合を形成する場合には、それぞれのヒドロキシ基に結合する脂肪酸は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
脂肪酸は、特に限定されず、置換または非置換の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸である。具体的な脂肪酸としては、特に制限されないが、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸;α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
脂肪酸は置換基を有していてもよく、このような置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル等の炭素原子数1〜10のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、メチルシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロデシル基等の炭素原子数3〜10のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基等の炭素原子数2〜10のアルケニル基;プロパルギル基、ブチニル基等の炭素原子数2〜10のアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等の炭素原子数1〜10のアルキルオキシ基;アセチル基、エチルカルボニル基等の炭素原子数2〜10のアルキルカルボニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、クロロフェニル基等の炭素原子数6〜10のアリール基;ベンジル基等の炭素原子数7〜10のアラルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;ニトロ基等が挙げられる。これらの置換基は単独で有していても、2種以上を組み合せて有していてもよい。
上述のうち、脂肪酸は、飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素原子数8〜40の飽和脂肪酸であることがより好ましく、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸であることがさらに好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸であることが特に好ましい。
具体的なショ糖脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルは、合成したものを用いてもよいし、市販品を使用してもよい。ショ糖脂肪酸エステルを合成する場合には、公知の方法が適宜採用されうる。例えば、ショ糖脂肪酸エステルは、酸触媒下、ショ糖と脂肪酸とを脱水縮合反応させることにより合成することができる。また、ショ糖脂肪酸エステルの市販品としては、特に制限されないが、リョートーシュガーエステル L−1695(商品名;三菱化学フーズ社製 ショ糖ラウリン酸エステル)、DKエステル L−160(商品名;第一工業製薬社製 ショ糖ラウリン酸エステル)、DKエステル M−160(商品名;第一工業製薬社製 ショ糖ミリスチン酸エステル)、リョートーシュガーエステル P−1670(商品名;三菱化学フーズ社製 ショ糖パルミチン酸エステル)、リョートーシュガーエステル S−1670(商品名;三菱化学フーズ社製 ショ糖ステアリン酸エステル)、リョートーシュガーエステル O−1570(商品名;三菱化学フーズ社製 ショ糖オレイン酸エステル)やショ糖脂肪酸エステルを含有する製剤であるリケマールA(商品名;理研ビタミン社製 ショ糖ラウリン酸エステルを41質量%含有する水溶液)等が挙げられる。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと、上述の脂肪酸とのエステルである。
ポリグリセリンは、2以上のグリセリンが重合したものである。ポリグリセリンは、グリセリンの重合度により有するヒドロキシ基の数が異なる。例えば、ジグリセリンの場合にはヒドロキシ基を4つ有し、トリグリセリンの場合にはヒドロキシ基を5つ有し、ヘキサグリセリンの場合には8つ有する。なお、ポリグリセリンの重合度は、2〜6であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、2〜3(ジグリセリン、トリグリセリン)であることがさらに好ましい。
本形態に係るポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンが有するヒドロキシ基の1つ以上が前記脂肪酸とエステル結合を形成した構造を有している。2以上のヒドロキシ基が脂肪酸とエステル結合を形成する場合には、それぞれのヒドロキシ基に結合する脂肪酸は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
脂肪酸については、上述と同様であるから、ここでは説明を省略する。
具体的なポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンモノラレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノオレート、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンミリステート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンモノラウレート、トリグリセリンモノミリステート、トリグリセリンモノオレート、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリンステアレート、テトラグリセリンミリステート、デカグリセリンラウレート等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、合成したものを用いてもよいし、市販品を使用してもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを合成する場合には、公知の方法が適宜採用されうる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品としては、特に制限されないが、リケマールL−71−D(商品名;理研ビタミン社製:ジグリセリンラウレート)、ポエムDL−100(商品名;理研ビタミン社製:ジグリセリンモノラウレート)、ポエムDM−100(商品名;理研ビタミン社製:ジグリセリンモノミリステート)、ポエムDO−100V(商品名;理研ビタミン社製:ジグリセリンモノオレート)、ポエムTRL−100(商品名;理研ビタミン株式会社製:トリグリセリンラウレート)、リョートーポリグリエステルL−70D(商品名;三菱化学フーズ社製 デカグリセリンラウレート)、リョートーポリグリエステルM−7D(商品名;三菱化学フーズ社製 デカグリセリンミリステート)SYグリスターML−750(商品名;阪本薬品工業社製 デカグリセリンモノラウレート)、SYグリスターML−500(商品名;阪本薬品工業社製 ヘキサグリセリンモノラウレート)MCA―150(商品名;阪本薬品工業社製 ジグリセリンモノカプレート)等が挙げられる。
前記ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンと、上述の脂肪酸とのエステルである。
ソルビタンとは、ソルビトール(グルシトール)の脱水反応により得られる化合物である。具体的な構造としては、1,4−アンヒドロソルビトール、1,5−アンヒドロソルビトール、2,5−アンヒドロソルビトール、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール等が挙げられる。ソルビタンは構造により有するヒドロキシ基の数が異なる。例えば、1,4−アンヒドロソルビトールはヒドロキシ基を4つ有し、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトールはヒドロキシ基を2つ有する。本形態に係るソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンが有するヒドロキシ基の1つ以上が前記脂肪酸とエステル結合を形成した構造を有している。2以上のヒドロキシ基が脂肪酸とエステル結合を形成する場合には、それぞれのヒドロキシ基に結合する脂肪酸は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
脂肪酸については、上述と同様であるから、ここでは説明を省略する。
具体的なソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート等が挙げられる。
また、前記両性防曇剤としては、特に制限されないが、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン類:コカミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドプロピルベタイン類;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のアルキルイミダゾール類;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸類;ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシド等のアミンオキシド類が挙げられる。
上述の防曇剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
防曇剤のHLBは、5〜20であることが好ましく、7〜18であることがより好ましく、8〜16であることがさらに好ましい。防曇剤のHLBが5以上であると、高い防曇性が得られうることから好ましい。一方、防曇剤のHLBが20以下であると、高い防曇持続性が得られうることから好ましい。なお、本明細書において「HLB」の値は、グリフィン法によって測定された値を採用するものとする。
防曇剤の含有率は、親水性(メタ)アクリル樹脂、防曇剤、および親水性高分子の総質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。防曇剤の含有率が5質量%以上であると、高い防曇性が得られうることから好ましい。なお、防曇剤の含有率が50質量%以下であると、耐油性の低下が抑制または防止できることから好ましい。
(親水性高分子)
親水性高分子は、親水性(メタ)アクリル樹脂および防曇剤と併用することで、高い耐油性および防曇性を付与する機能を有する。
なお、本明細書において、「親水性高分子」とは、酸価が100以上の親水性(メタ)アクリル樹脂を除く、水溶性の高分子のことを意味する。また、「高分子」とは、1種以上のモノマー単位のシーケンス(配列)より特徴付けられる分子から構成され、少なくとも3つ以上のモノマー単位を含む分子が過半数を占めるものを意味する。
一実施形態において、親水性高分子としては、親水性単量体、必要に応じて他の単量体を重合してなる重合体;天然高分子またはその誘導体を含む。
前記親水性単量体としては、特に制限されないが、カルボキシ基含有単量体、ヒドロキシ基含有単量体、スルホ基(−SOH)含有単量体、塩基性窒素原子含有単量体、ビニルエーテル単量体、高分子が親水性を示す単量体等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有単量体としては、特に制限されないが、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、これらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩)等が挙げられる。
前記ヒドロキシ基含有単量体としては、特に制限されないが、ビニルアルコール等が挙げられる。
前記スルホ基含有単量体としては、特に制限されないが、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、これらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩)等が挙げられる。
前記塩基性窒素原子含有単量体としては、特に制限されないが、ビニルピロリドン等が挙げられる。
前記ビニルエーテル単量体としては、特に制限されないが、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
前記高分子が親水性を示す単量体としては、特に制限されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール等が挙げられる。
上述の親水性単量体は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の単量体としては、特に制限されないが、不飽和基含有エステル類、不飽和基含有アミド類、芳香族環を有する不飽和基含有化合物、その他の化合物等が挙げられる。
前記不飽和基含有エステル類としては、特に制限されないが、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、ビニルステアレート、バーサチック酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル等が挙げられる。
前記不飽和基含有アミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、ビニルホルムアミド、ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
前記芳香族環を有する不飽和基含有化合物としては、特に制限されないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ビニルイミダゾール等が挙げられる。
前記その他の単量体としては、エチレン、ビニルカルバゾール、グリコールジアリルエーテル等が挙げられる。
上述のその他の化合物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の親水性単量体由来構造を含むことで、得られる高分子は親水性高分子となりうる。
前記天然高分子またはその誘導体としては、特に制限されないが、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロース;アルギン酸;ペクチン;デンプン;ヒアルロン酸;コンドロイチン硫酸ナトリウム;コンドロイチンヘパリン;寒天;アラビアゴム;デキストリン等が挙げられる。
上述のうち、親水性高分子は、ポリビニルアルコール系重合体、ポリビニルピロリドン系重合体、および天然高分子またはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、基材との付着性が向上する観点から、ポリビニルアルコール系重合体および/またはポリビニルピロリドン系重合体を含むことがより好ましい。
前記ビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコールを重合してなる重合体である。この際、ビニルアルコールとともに他の親水性単量体、他の単量体を併用して共重合体としてもよい。
具体的なビニルアルコール系共重合体としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、ポリビニルアルコール(PVA)を用いることが好ましい。
前記ビニルピロリドン系重合体は、ビニルピロリドンを重合してなる重合体である。この際、ビニルピロリドンとともに他の親水性単量体、他の単量体を併用して共重合体としてもよい。
具体的なビニルピロリドン系共重合体としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体等が挙げられる。これらのうち、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸共重合体を用いることが好ましく、ポリビニルピロリドン(PVP)を用いることがより好ましい。
前記天然高分子またはその誘導体としては、上述したものが用いられうる。これらのうち、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースを用いることが好ましく、ヒドロキシアルキルセルロースを用いることがより好ましく、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロースを用いることがさらに好ましい。
上述の親水性高分子は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
親水性高分子のガラス転移温度(Tg)は、50〜250℃であることが好ましく、60〜240℃であることがより好ましく、さらに好ましくは65〜230℃であることがさらに好ましい。
また、親水性高分子の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜5,000,000であることが好ましく、5,000〜3,000,000であることがより好ましく、10,000〜2,500,000であることがさらに好ましい。
親水性高分子の含有率は、親水性(メタ)アクリル樹脂、防曇剤、および親水性高分子の総質量に対して、10〜80質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。親水性高分子の含有率が10質量%以上であると、高い防曇持続性が得られうることから好ましい。一方、親水性高分子の含有率が80質量%以下であると、耐油性の低下が防止または抑制できることから好ましい。
(水および/または溶剤)
コーティング剤は、必要に応じて、水および/または溶剤を含んでいてもよい。
前記溶剤としては、特に制限されないが、水溶性溶剤、非水溶性溶媒が挙げられる。なお、本明細書において、「水溶性溶剤」とは、1気圧、20℃において、溶剤と、同容量の純水とを穏やかに撹拌し、流動が収まった後に混合液が均一な外観を有するものを意味する。他方、「非水性溶剤」とは、1気圧、20℃において、溶剤と、同容量の純水とを穏やかに撹拌し、流動が収まった後に混合液が均一な外観を維持することができないものを意味する。
前記水溶性溶剤としては、特に制限されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
前記非水溶性溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。
これらの溶剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(添加剤)
コーティング剤は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、特に制限されないが、防曇補助剤、スリップ剤(ポリジメチルシロキサンを主体成分とするシリコーンエマルジョン液等)、帯電防止剤、酸化防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの添加剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<積層シート>
本発明の一形態によれば、積層シートが提供される。前記積層シートは、基材と、前記基材の少なくとも片面に上述のコーティング剤の被覆層と、を有する。
(基材)
基材としては、特に制限されないが、スチレン系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、ポリアミド系樹脂シート、ポリ塩化ビニル系樹脂シート、これらの積層体等が挙げられる。これらのうち、スチレン系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、またはこれらの積層体を用いることが好ましく、スチレン系樹脂シートを用いることがさらに好ましい。
基材のぬれ係数は、35mN/m以上であることが好ましく、40mN/m以上であることがより好ましく、45〜70mN/mであることがさらに好ましい。基材のぬれ係数が35mN/m以上であると、コーティング剤を均一に塗布することができることから好ましい。なお、本明細書において、「ぬれ係数」の値は、JIS K 6786:1985の方法により測定された値を採用するものとする。
なお、基材は、必要に応じて親水化処理されていてもよい。具体的な親水化処理としては、酸処理、火炎処理、コロナ処理等が挙げられる。基材を親水化処理することで、基材のぬれ係数が高くなりうる。この際、基材の親水化処理は片面のみに行っても、両面に行ってもよい。
スチレン系樹脂シート
前記スチレン系樹脂シートとしては、特に制限されないが、スチレン系モノマー、必要に応じてこれと共重合可能な単量体を重合してなるスチレン系樹脂をシート状に成形したものが挙げられる。
前記スチレン系モノマーとしては、特に制限されないが、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン;アセチルスチレン;メトキシスチレン等が挙げられる。これらのスチレン系モノマーは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記スチレン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、特に制限されないが、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のエステル誘導体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリロニトリル;無水マレイン酸;マレイミド、核置換マレイミド等のマレイミド等が挙げられる。
このうち、耐熱性を向上させる観点から、メタクリル酸を用いることが好ましい。この際、スチレン系モノマー(St)とメタクリル酸(MAA)との質量比(St/MAA)は、99.9/0.1〜80/20であることが好ましく、99.5/0.5〜90/10であることがより好ましく、99/1〜92/8であることがさらに好ましい。スチレン系モノマーとメタクリル酸との質量比が上記範囲であると、基材と被覆層との付着性が向上しうることから好ましい。
また、スチレン系樹脂シートに用いられるスチレン系樹脂としては、スチレン系モノマー、必要に応じてこれと共重合可能な単量体に、ブタジエン系ゴム成分を重合時に添加してグラフトさせた、いわゆる耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が挙げられる。
さらに、スチレン系樹脂シートに用いられるスチレン系樹脂としては、スチレン系モノマー、必要に応じてこれと共重合可能な単量体に、複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマー(以下、単に「多分岐状マクロモノマー」とも称する)を共重合させることにより得られる多分岐状共重合体を含むスチレン系樹脂が挙げられる。多分岐状共重合体を含むスチレン系樹脂は、スチレン系樹脂をより高分子量化することが可能であり、機械的強度を向上させることができる。その結果、スチレン系樹脂シートおよび二次成形体の薄肉化が可能となる。また、耐油性をより向上させることができる。
複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーとしては、ゲル物発生を抑制し、流動性を確保する観点から、多分岐状マクロモノマーの重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜15,000、より好ましくは3,000〜8,000の範囲のものを用いる。
多分岐状マクロモノマーにおける分岐構造としては、特に制限はないが、電子吸引基と、該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している4級炭素原子によって枝分かれしている多分岐状マクロモノマー、エーテル結合、エステル結合、またはアミド結合を有する構造単位の繰り返しによって分岐構造を形成する多分岐状マクロモノマーが好ましい。
前記多分岐状マクロモノマーが前述の4級炭素によって分岐構造を形成するものである場合、前記電子吸引基含有量としては、多分岐状マクロモノマー1g当たり2.5×10−4〜5.0×10−1mmolの範囲であることが好ましく、更に好ましくは5.0×10−4〜5.0×10−2mmolの範囲である。
前記多分岐状マクロモノマーには1分子あたり2個以上の重合性二重結合を有していることを必須とする。前記重合性二重結合の含有量としては、該マクロモノマー1g当たり0.1〜5.5mmolの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5mmolの範囲である。また、前記重合性二重結合は多分岐状マクロモノマーの先端部に存在することが好ましい。
本発明において使用できる多分岐状マクロモノマーとしては、エステル結合、エーテル結合、またはアミド結合を有する構造単位を繰り返すことによって形成する分岐構造と、分岐末端に1分子中2個以上の重合性二重結合とを有する多分岐状マクロモノマーを挙げることができる。
エステル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーは、分子鎖を形成するエステル結合のカルボニル基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子である多分岐状ポリエステルポリオールに、ビニル基またはイソプロペニル基などの重合性二重結合を導入したものを好ましい態様として挙げることができる。多分岐状ポリエステルポリオールに重合性二重結合を導入するには、エステル化反応や付加反応によって行うことができる。
前記多分岐状ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部にあらかじめエーテル結合やその他の結合によって置換基が導入されていてもよいし、また、そのヒドロキシ基の一部が酸化反応やその他の反応で変性されていてもよい。また、多分岐状ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部が、あらかじめエステル化されていてもよい。
前記多分岐状マクロモノマーとしては、例えばヒドロキシ基を1個以上有する化合物に、カルボキシ基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子であり、且つヒドロキシ基を2個以上有するモノカルボン酸を反応させて多分岐状のポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシ基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物などを反応させて得られるものが挙げられる。なお、エステル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状ポリマーについては、タマリア(Tamalia)氏等による「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29」p138〜177(1990)に記載されている。
前記ヒドロキシ基を1個以上有する化合物としては、a)脂肪族ジオール、脂環式ジオール、または芳香族ジオール、b)トリオール、c)テトラオール、d)ソルビトールおよびマンニトール等の糖アルコール、e)アンヒドロエンネア−ヘプチトールまたはジペンタエリトリトール、f)α−メチルグリコシド等のα−アルキルグルコシド、g)エタノール、ヘキサノールなどの一官能性アルコール、h)重量平均分子量が多くとも8,000であるアルキレンオキシド或いはその誘導体と、上記a)〜g)のいずれかから選択された1種以上の化合物中のヒドロキシ基とを反応させることにより生成されたヒドロキシ基含有ポリマーなどを挙げることができる。
前記a)肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラヒドロフラン、ジメチロールプロパン、ネオペンチルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール;1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。前記b)トリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。前記c)テトラオールとしては、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタンなどを挙げることができる。
前記カルボキシル基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子であり、且つヒドロキシ基を2個以上有するモノカルボン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などがあげられる。前記モノカルボン酸を使用することにより、エステル分解反応が抑制され、多分岐状ポリエステルポリオールを形成することができる。
また、前記多分岐状ポリエステルポリオールを製造する際に、触媒を使用するのが好ましく、前記触媒としては、例えば、ジアルキルスズオキシド、ハロゲン化ジアルキルスズ、ジアルキルスズビスカルボキシレート、あるいはスタノキサンなどの有機錫化合物、テトラブチルチタネートなどのチタネート、ルイス酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。
エーテル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基や環状エーテル化合物が1個以上有する化合物に、ヒドロキシ基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応させることにより多分岐状のポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシ基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物、4−クロロメチルスチレンなどのハロゲン化メチルスチレンを反応させて得られるものが挙げられる。また、該多分岐状ポリマーの製法としては、Williamsonのエーテル合成法に基づいて、ヒドロキシ基を1個以上有する化合物と、2個以上のヒドロキシ基とハロゲン原子、−OSOOCHまたは−OSOCHを含有する化合物とを反応する方法も有用である。
ヒドロキシ基を1個以上有する化合物としては、前記で挙げたものを何れも使用することができ、ヒドロキシ基を1個以上有する環状エーテル化合物としては、例えば、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。Williamsonのエーテル合成法に於いて使用されるヒドロキシ基を1個以上有する化合物としても、前記したものでよいが、芳香環に結合したヒドロキシ基を2個以上有する芳香族化合物が好ましい。前記化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。また、2個以上のヒドロキシ基とハロゲン原子、−OSOOCHまたは−OSOCHを含有する化合物としては、例えば、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。なお、上記多分岐状のポリマーを製造する際には、通常触媒を使用することが好ましく、前記触媒としては、例えば、BFジエチルエーテル、FSOH、ClSOH、HClOなどを挙げることができる。
また、アミド結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、分子中に窒素原子を介してアミド結合を繰り返し構造に有するものがあり、Dentoritech社製のゼネレーション2.0(PAMAMデントリマー)が代表的なものである。
前記多分岐状マクロモノマーとスチレン系モノマー、必要に応じて併用されるその他の単量体類を共重合させると、多分岐状の樹脂と、重合条件により同時に生成する線状の樹脂および低分岐樹脂との混合物である樹脂混合物が得られる。この時、前述の多分岐状マクロモノマーをこれ以外の単量体の総量に対して好ましくは50ppm〜1%、より好ましくは100ppm〜3000ppm(質量基準)の比率で用いることにより、多分岐状の樹脂の生成が容易であり、本発明に使用されるスチレン系樹脂の作製を安易にする。
スチレン系モノマー単独、またはこれと共重合可能な単量体との共重合体を得るための重合反応、更に前述の多分岐状マクロモノマーを併用してスチレン系樹脂シートの原料とする樹脂(組成物)を製造する方法としては、種々の汎用されているスチレン系モノマーの重合方法を応用することができる。重合方式には特に限定はないが、塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合が好ましい。なかでも生産効率の点で特に連続塊状重合が好ましく、例えば一個以上の攪拌式反応器と可動部分の無い複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器を組み込んだ連続塊状重合を行うことにより、優れたスチレン系樹脂を得ることができる。重合開始剤を使用せずに熱重合させることもできるが、種々のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合に必要な懸濁剤や乳化剤などのような重合助剤は、通常のポリスチレンの製造に使用されるものを使用できる。
重合反応での反応物の粘性を低下させるために、反応系に有機溶剤を添加してもよく、その有機溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。特に多分岐状マクロモノマーの添加量を多くしたい場合には、ゲル化を抑制する観点からも有機溶剤を使用することが好ましい。これにより、先に示した多分岐状マクロモノマーを併用する場合、その添加量を飛躍的に増量させ分岐構造を多く導入することができ、かつ、ゲル化が生じにくくなる。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ジシナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイシプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、N,N’−アゾビスイソブチルニトリル、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
更に、得られるスチレン系樹脂の分子量が過度に大きくなりすぎないように連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも連鎖移動基を複数有する多官能連鎖移動剤でも使用できる。単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール中のヒドロキシ基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したもの等が挙げられる。
また、得られるスチレン系樹脂のゲル発生抑制のために、長鎖アルコールやポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル等も使用することが可能である。
重合工程では、スチレン系モノマー、その他併用されるモノマーあるいは多分岐状マクロモノマーを単量体として用い、これらを共重合させることによって、スチレン系樹脂を得ることができる。重合装置の反応容器については特に限定されるものではない。重合工程の後に、未反応モノマーや溶剤分を揮発するための、好ましくは減圧下状態に調整した脱揮槽を通過させる。その後ペレット化され、スチレン系樹脂を得ることができる。
スチレン系樹脂は、前述のように製造してなるものを用いることができるが、市販されている種々のスチレン系樹脂を用いてもよい。これらの中でも、入手が容易である点、および本発明の効果が容易に発現される観点より、ポリスチレン、スチレン−メタアクリルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、または多分岐状ポリスチレンを用いることが好ましい。
なお、スチレン系樹脂には、必要に応じて、添加剤を添加し、スチレン系樹脂組成物としてもよい。この際、使用されうる添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機粒子、滑剤、離型剤、安定化剤、帯電防止剤、顔料等が挙げられる。
上述の方法で合成したスチレン系樹脂(組成物)を用いてスチレン系樹脂シートを合成する。当該スチレン系樹脂シートは、無延伸シートであってもよいし、二軸延伸シートであってもよい。
無延伸シートは、上記で得られたスチレン系樹脂のペレットを押出機で溶融押出後、T−ダイによりシート状に溶融押出した後、冷却ロール等により冷却し作製できる。冷却温度としては、70〜90℃が好ましい。
二軸延伸シートは、押出機での溶融押出後、延伸機で縦横二軸に延伸することで得られる。例えば、まず、押出機にスチレン系樹脂(組成物)を供給し、T−ダイよりシート状に溶融押出する。その際、延伸前のシートが所定厚みになるようにキャスティングする。その後、二軸延伸可能な温度、例えば110〜145℃にシートを冷却して、縦方向(流れ方向)および横方向(流れ方向に対するクロス方向)に延伸することで得られる。
延伸方法は、上記スチレン系樹脂(組成物)を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことができる。逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。特に二軸延伸スチレン系シートでは、ロールを用いた縦延伸後、テンターを用いた横延伸を行なわれる。テンター法は広幅な製品がとれ、生産性が高いことがメリットである。
ロールを用いた縦延伸方法としては、低速ロールと高速ロールを同方向に回転させて樹脂をフラットに通紙し、延伸する方法と、低速ロールと高速ロールを逆回転させて樹脂をクロスに通紙し、延伸する方法とがあり、1段あるいは多段、フラットあるいはクロスの任意の組み合わせとすることができる。
具体的な延伸条件として、延伸倍率は目的に応じ異なるが、通常面倍率で1.5〜15倍、より好ましくは4〜10倍である。逐次延伸の場合の流れ方向の延伸倍率は1.2〜5倍で、好ましくは1.5〜3.0倍であり、流れ方向に対しそのクロス方向の延伸倍率は1.2〜5倍で、好ましくは1.5〜3.0倍である。同時二軸延伸の各方向の延伸倍率は1.5〜5倍である。また、この際の温度条件は、ASTMD−1504に準拠し測定される配向緩和応力が0.2〜2.0MPa、より好ましくは0.4〜1.0MPaとなるように行うのが良い。配向緩和応力が0.2MPa未満では、シートの耐衝撃性が不十分なものとなりやすく、2.0MPaを超える場合、シートが延伸切れを起こし易く、また二次成形性の悪いものとなる可能性があるためである。一方、0.4〜1.0MPaの範囲であると、得られたシートの折り割れ性が良好であるばかりでなく、シートの成形性自体も極めて良好となるのでより好ましい。
また、この際の、例えば、延伸前の原反シートを延伸温度110〜145℃で縦方向に上記の倍率で延伸し、次いで、延伸温度110〜145℃で上記縦方向に対してクロスする横方向に上記倍率で延伸が行われる。
スチレン系樹脂組成物からなる二軸延伸シートの厚さは、0.1〜1.0mmであることが好ましい。このような二軸延伸シートはその強度の観点より、本発明のスチレン系樹脂シートとして用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂シート
前記ポリオレフィン系樹脂シートとしては、特に制限されないが、アルケン、および必要に応じてこれと共重合可能な単量体を重合してなるポリオレフィン系樹脂をシート形状に成形したものが挙げられる。
前記アルケンとしては、特に制限されないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等が挙げられる。これらのアルケンは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記アルケンと共重合可能な単量体としては、特に制限されないが、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の不飽和カルボン酸およびこれらの無水物;フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等の不飽和カルボン酸エステル;(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的なポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂には、必要に応じて、添加剤を添加し、ポリオレフィン系樹脂組成物としてもよい。この際、使用されうる添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機粒子、滑剤、離型剤、安定化剤、帯電防止剤、顔料等が挙げられる。
上述の方法で合成したポリオレフィン系樹脂(組成物)を用いてポリオレフィン系樹脂シートを合成する。当該オレフィン系樹脂シートは、無延伸シートであってもよいし、二軸延伸シートであってもよいが、熱成形が容易である観点から、無延伸シートが好ましく使用される。中でも剛性の高いポリプロピレンシートが熱成形用には好ましく使用される。具体的なポリオレフィン系樹脂シートの製造方法は、公知の技術が適宜採用されうる。
ポリエステル系樹脂シート
前記ポリエステル系樹脂シートとしては、特に制限されないが、ジカルボン酸モノマー、ジオールモノマー、および必要に応じてこれらと共重合可能な単量体を重合してなるポリエステル系樹脂をシート状に成形したものが挙げられる。
前記ジカルボン酸モノマーとしては、特に制限されないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ジオールモノマーとしては、特に制限されないが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらのジオールモノマーは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ジカルボン酸モノマー、ジオールモノマーと共重合可能な単量体としては、特に制限されないが、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボキシ基を3以上有するポリカルボン酸;ペンタエリスリトール等のヒドロキシ基を3以上有するポリオール等が挙げられる。
具体的なポリエステル樹脂としては、特に制限されないが、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエブチレンナフタレート(PBN)等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂には、必要に応じて、添加剤を添加し、ポリエステル系樹脂組成物としてもよい。この際、使用されうる添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機粒子、滑剤、離型剤、安定化剤、帯電防止剤、顔料等が挙げられる。
上述の方法で合成したポリエステル系樹脂(組成物)を用いてポリエステル系樹脂シートを合成する。当該スチレン系樹脂シートは、無延伸シートであってもよいし、二軸延伸シートであってもよい。具体的なポリオレフィン系樹脂シートの製造方法は、公知の技術が適宜採用されうる。
ポリエステル系樹脂シートの形状は特に制限されず、非晶性であっても結晶性であってもよいが、熱成形が容易である観点から、非晶性ポリエステル系樹脂シートであることが好ましく、非晶性ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。
積層基材
上述の基材は積層されていてもよい。例えば、スチレン系樹脂シートが2層以上に積層されていてもよいし、ポリオレフィン系樹脂シートが2層以上に積層されていてもよいし、ポリエステル系樹脂シートが2層以上に積層されていてもよい。また、異なる種類の樹脂シート、例えば、スチレン系樹脂シートおよびポリオレフィン系樹脂シートが2層以上に積層されていてもよい。
基材の膜厚は、0.08〜2mmであることが好ましく、0.1〜1mmであることがより好ましい。基材の膜厚が0.08mm以上であると、成形容器の形状を保つことができることから好ましい、一方、基材の膜厚が2mm以下であると、熱成形できることから好ましい。
(被覆層)
被覆層は、上記基材の少なくとも片面に上述のコーティング剤を用いて形成される。一実施形態において、被覆層は基材の片面に形成される。また、別の一実施形態において、被覆層は基材の両面に形成される。
前記被覆層の乾燥後の質量は、50mg/m以上であることが好ましく、120mg/m以上であることがより好ましく、150〜750mg/mであることがさらに好ましく、175〜600mg/mであることが特に好ましい。被覆層の乾燥後の質量が50mg/m以上であると、高い耐油性が得られうることから好ましい。
<積層シートの製造方法>
積層シートの製造方法は、基材の少なくとも片面に、コーティング剤を塗布し、乾燥させる工程を含む。
塗工方法としては、特に制限されないが、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、ローターダンプニング、アプリケーター方式等が挙げられる。
乾燥温度についても、特に制限されないが、基材のガラス転移温度(Tg)を超えない温度で乾燥させることが好ましい。
また、乾燥時間についても、特に制限されないが、0.1〜30分であることが好ましく、3〜20分であることがより好ましい。
<成形体>
本発明の一形態によれば、上述の積層シートを成形してなる、成形体が提供される。
成形体は、食品包装容器等の容器に使用されうる。特に、本形態に係る成形体は、防曇性および耐油性に優れることから、蓋材に使用することが好ましい。
成形体は、積層シートを直接加熱方式または間接加熱方式による加熱によって成形することで得ることができる。
加熱成形の方法は、特に制限されないが、真空成形機、熱板圧空成形機、真空圧空成形機等が挙げられる。このうち、温度制御が良好であり、短時間加熱が可能であることから、熱板圧空成形機を用いることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例の記載に制限されるものではない。なお、実施例において「部」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」を表す。
<親水性(メタ)アクリル樹脂の合成>
[合成例1]
還流冷却器、撹拌機、および窒素導入管を具備した反応容器に、n−ブタノール250部を仕込んで撹拌を開始し、100℃まで昇温した。ここに窒素気流下で、スチレン60部、メタクリル酸メチル126部、アクリル酸エチル21部、およびメタクリル酸93部からなる単量体混合物と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3部およびn−ブタノール40部からなる反応開始剤混合物とを3時間かけて連続滴下した。100℃で3時間撹拌した後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部およびn−ブタノール10部からなる反応開始剤混合物を2時間かけて連続滴下した。100℃で5時間撹拌した後、80℃に降温し、5%のアンモニア水により中和を行った。次いでイオン交換水を用いて水溶化を行い、溶剤が3%未満になるよう減圧操作により脱溶剤を行い、親水性(メタ)アクリル樹脂を得た。
得られた親水性(メタ)アクリル樹脂の酸価をJIS K0070:1996に準拠して測定したところ、199であった。
また、得られた親水性(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)を下記Foxの式で計算した温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算したところ、101℃であった。
Figure 2019094422
上記式中、W1’、W2’、W3’、W4’は、それぞれスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸の質量分率(質量%)を意味する。また、Tg1’、Tg2’、Tg3’、Tg4’は、それぞれスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸のホモポリマーのガラス転移温度(K)を意味する。
[合成例2]
前記単量体混合物におけるスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸の使用量を、それぞれ60部、174部、15部、51部に変更したことを除いては合成例1と同様の方法で親水性(メタ)アクリル樹脂を合成した。
合成例1と同様の方法で酸価およびガラス転移温度(Tg)を測定、算出したところ、それぞれ109および100℃であった。
[合成例3]
前記単量体混合物におけるスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸の使用量を、それぞれ60部、102部、27部、111部に変更したことを除いては合成例1と同様の方法で親水性(メタ)アクリル樹脂を合成した。
合成例1と同様の方法で酸価およびガラス転移温度(Tg)を測定、算出したところ、それぞれ238および99℃であった。
[合成例4]
前記単量体混合物におけるスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸の使用量を、それぞれ60部、87部、60部、93部に変更したことを除いては合成例1と同様の方法で親水性(メタ)アクリル樹脂を合成した。
合成例1と同様の方法で酸価およびガラス転移温度(Tg)を測定、算出したところ、それぞれ199および78℃であった。
[合成例5]
前記単量体混合物におけるスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸の使用量を、それぞれ60部、186部、15部、39部に変更したことを除いては合成例1と同様の方法で親水性(メタ)アクリル樹脂を合成した。
合成例1と同様の方法で酸価およびガラス転移温度(Tg)を測定、算出したところ、それぞれ84および99℃であった。
[合成例6]
前記単量体混合物として、メタクリル酸メチル123部、アクリル酸エチル36部、およびメタクリル酸141部からなる単量体混合物を用いたことを除いては合成例1と同様の方法で親水性(メタ)アクリル樹脂を合成した。
合成例1と同様の方法で酸価およびガラス転移温度(Tg)を測定、算出したところ、それぞれ302および98℃であった。
<基材の作製>
[基材1]
スチレン(St)98部およびメタクリル酸(MAA)2部を、連続塊状重合して共重合体(St/MAA=98/2)を合成した。次いで、得られた共重合体を押出機にて1000μmの無延伸シートとした後、単発延伸機により縦方向(MD)2倍、横方向(CD)2倍に延伸を施すことで、スチレン系樹脂シート(基材1、二軸延伸、MD:2倍、CD:2倍)を作製した。
[基材2]
スチレンおよびメタクリル酸の使用量を、それぞれ90部および10部としたことを除いては、基材1と同様の方法でスチレン系樹脂シート(基材2、St/MAA=90/10、二軸延伸、MD:2倍、CD:2倍)を作製した。
[基材3]
スチレンの使用量を100部とし、メタクリル酸を用いなかったことを除いては、基材1と同様の方法で二軸延伸スチレン系樹脂シート(基材3、二軸延伸、MD:2倍、CD:2倍)を作製した。
[基材4]
ポリプロピレンを基材4として用いた。
[基材5]
非晶性ポリエチレンテレフタラートを基材5として用いた。
作製した基材1〜5を下記表1に示す。
Figure 2019094422
<コーティング剤、並びに積層シートおよび成形体の製造>
[実施例1]
(コーティング剤の製造)
合成例1で合成した親水性(メタ)アクリル樹脂と、防曇剤であるショ糖ラウリン酸エステル(モノエステル:72モル%、HLB:15、固形分:40質量%)と、親水性高分子であるポリビニルアルコール(PVA、ケン化度:88mol%、粘度:22mPa・s)との固形分比が表2となるように混合して不揮発分5%のコーティング剤を製造した。
(積層シートおよび成形体の製造)
製造したコーティング剤を、基材1にバーコーターを用いて塗工し、90℃に調節された恒温槽にて30分乾燥させることで基材上に被覆層を形成し、積層シートを得た。なお、乾燥後の質量から塗工量を求めたところ200mg/mであった。
得られた積層シートを用いて圧空成形機を使用して容器状の成形体を製造した。この際、容器形状は、深さ29mm、開口部80mm×80mm、絞り比0.36である。成形は熱板温度を変え、各シートの最適条件である、レインドロップ不良を起こさず、良好な型再現性となる条件を見つけて実施した。
[実施例2]
合成例2で合成した親水性(メタ)アクリル樹脂を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例3]
合成例3で合成した親水性(メタ)アクリル樹脂を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例4]
合成例4で合成した親水性(メタ)アクリル樹脂を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例5]
コーティング剤の塗工量を100mg/mに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例6]
コーティング剤の塗工量を500mg/mに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例7]
基材2を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例8]
基材3を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例9]
基材4を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例10]
基材5を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例11]
合成例1で合成した親水性(メタ)アクリル樹脂、ショ糖ラウリン酸エステル、およびポリビニルアルコール(PVA)を、それぞれ20部、20部、60部使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例12]
ポリビニルアルコール(PVA)に代えて、ポリビニルピロリドン(PVP、分子量:1,200,000)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例13]
ポリビニルアルコール(PVA)に代えて、ヒドロキシエチルセルロース(HEC、置換度:1.5)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[実施例14]
ショ糖ラウリン酸エステルに代えて、ジグリセリンラウリン酸エステル(HLB:9)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[比較例1]
合成例5で合成した親水性(メタ)アクリル樹脂を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
[比較例2]
合成例6で合成した親水性(メタ)アクリル樹脂を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法でコーティング剤、並びに積層シートおよび成形体を製造した。
実施例1〜14および比較例1〜2の組成を下記表2に示す。
Figure 2019094422
[性能評価]
実施例1〜18および比較例1の積層シート、成形体について各種評価を行った。
(耐油性)
成形品内側に中鎖脂肪酸油であるホワイトF−1(不二精機株式会社製)を塗布し、80℃の恒温槽中に5分放置した直後の外観を目視により確認し、以下の基準に従って評価した。得られた結果を下記表3に示す。
◎:全く変化が起こらなかった
○:白化は発生しなかったが、前兆であるスジ模様が僅かに見られた
△:延伸率の高いコーナー部にのみ僅かな白化が見られた
×:全体に白化が発生した
(防曇性)
85℃に保持したウォーターバス上に網を設置し、その上に成形体を被せ2分間放置後、容器の曇り性を目視により確認し、以下の基準に従って評価した。得られた結果を下記表3に示す。
○:網目模様がはっきりと認識できる
×:滲みにより網目模様がはっきりと認識できない
(防曇持続性)
60℃に保持したウォーターバス上に網を設置し、その上に成形体を乗せた。容器の曇り性を目視により確認し、以下の基準に従って評価した。得られた結果を下記表3に示す。
○:36時間超で曇りが発生しなかった
△:24〜36時間で曇りが発生した
×:24時間未満で曇りが発生した
(付着性)
85℃に保持したウォーターバス上に網を設置し、その上に成形体を被せ2分間放置後、被覆層を触診し、以下の基準に従って評価した。得られた結果を下記表3に示す。
○:ハガレが発生していない
△:僅かだが垢状のハガレが発生
×:明らかなハガレが発生認められる
Figure 2019094422
表3の結果から、実施例1〜14のコーティング層(被覆層)は防曇性および耐油性に優れることが分かる。

Claims (9)

  1. 酸価が100〜240である親水性(メタ)アクリル樹脂と、防曇剤と、親水性高分子と、を含む、コーティング剤。
  2. 前記親水性(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が、70℃以上である、請求項1に記載のコーティング剤。
  3. 前記親水性(メタ)アクリル樹脂の含有率が、親水性(メタ)アクリル樹脂、界面活性剤、および親水性高分子の総質量に対して、10質量%以上である、請求項1または2に記載のコーティング剤。
  4. 前記親水性高分子が、ポリビニルアルコール系重合体、ポリビニルピロリドン系重合体、および天然高分子またはその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング剤。
  5. 基材と、
    前記基材の少なくとも片面に請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング剤の被覆層と、
    を有する、積層シート。
  6. 前記基材が、スチレン系樹脂シート、ポリオレフィン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート、またはこれらの積層体である、請求項5に記載の積層シート。
  7. 前記スチレン系樹脂シートが、スチレン系モノマーおよびメタクリル酸を含み、
    前記スチレン系モノマー(St)とメタクリル酸(MAA)との質量比が、99.9/0.1〜80/20である、請求項6に記載の積層シート。
  8. 前記被覆層が、乾燥後の質量として50mg/m以上である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の積層シート。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の積層シートを成形してなる、成形体。
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