JP6701607B2 - 積層シート及びこれを用いる成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、スチレン系樹脂シートを用いた積層シートに関するものであり、詳しくは、防曇性、耐油性、及び二次成形時や成形体とした際に被覆層の剥がれを効果的に抑制した積層シート及びこれから得られる成形体に関するものである。
ポリスチレンから得られるシートは、透明性や剛性が優れているため、主に食品包装用容器として使用されている。しかし、このポリスチレンから得られるシート製の容器は一般的な食品包装容器としては適しているものの、コンビニエンスストア等における、高出力の電子レンジで加熱する用途においては、その耐熱耐油性、防曇性が不足することがあり、改良が必要とされている。
耐油性を改善する手段として、例えば、スチレン系樹脂シートに、特定の最低造膜温度を有する熱可塑性エマルジョンを塗布する方法が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、耐油性については一定の効果を挙げているが、食品包装容器において求められる防曇性については考慮されていない。更に長期間の使用によって、熱可塑性エマルジョンからなる被覆層に亀裂が入ったり、はがれが生じたりする等の問題も発生することがあった。
一方、スチレン系樹脂シートへの防曇性の付与のために、特定の防曇剤の使用が有効であることが示されている(例えば、特許文献2参照)。防曇剤は一般に、疎水性であるスチレン系樹脂シート表面を親水性に変え、内容物からの水蒸気をシート表面で水滴化させず薄い水膜とすることで曇りを防止するものであることから、スチレン系樹脂表面にその他の樹脂等からなる被覆層が形成されていると、その防曇機能が十分に発揮されない虞がある。また、耐油効果は、僅かな撥油性に頼っていることから、持続性が無く不十分なものであった。
特開2007−277428号公報 特開2003−119451号公報
これらの事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、防曇性を損なわずに耐熱耐油性を向上させ、且つ二次成形時や成形体とした際に被覆層の剥がれを効果的に抑制された、食品包装容器として好適に用いることができるスチレン系樹脂シートを含有する積層シート及びこれを用いて得られる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、防曇作用を有する化合物と特定のアクリル系樹脂を含み、溶剤組成を調整してなるコート剤を用いることで、スチレン系樹脂シートに防曇性と耐熱耐油性とをバランスよく兼備させることができる被覆層を形成できること、且つその被覆層がスチレン系樹脂シートに対して付着性が良好であり、容易にはがれ等が生じないことにより、食品包装材として好適に用いることができる積層シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、スチレン系樹脂シート(A)の少なくとも片面に、酸価が100〜240の親水性アクリル樹脂(b1)と防曇剤(b2)とを含み、且つ非水溶性溶剤含有率が5質量%未満のコート剤(B)の被覆層を有することを特徴とする積層シート及びその成形体を提供するものである。
本発明の積層シートは、加熱時の耐油性と防曇性とを兼備する被覆層を有する。このため、スチレン系樹脂シートが本来有する透明性を損なわずに、成形体の耐油性、防曇性が向上し、且つその被覆層が経時によってはがれることがなく、二次成形可能で、食品用途等の包装材として好適に用いることができる。
以下に本発明の積層シートについて詳細に説明する。
<スチレン系樹脂シート(A)>
本発明で用いるスチレン系樹脂シート(A)は、スチレン系モノマー、及びこれと共重合可能な単量体とを重合させてなるスチレン系樹脂をシート状に成形したものであり、その厚みや成形方法等には特に限定されるものではない。
前記スチレン系モノマーとしては、例えば以下の物が挙げられる。スチレン及びその誘導体;例えばスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン、更にニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等があり、これを単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、該スチレン系モノマーと共に、スチレン系モノマーと共重合可能な化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどのエステル誘導体などのビニルモノマー、更にはメタアクリル酸、無水マレイン酸、マレイミド、核置換マレイミドなどを組み合わせて用いてもよい。特に耐熱性を向上させたい場合には、メタアクリル酸を用いることが好ましく、単量体成分中、メタアクリル酸を2〜10質量%の範囲で含有することが好ましい。
また、スチレン系樹脂においては、上記の他に、ブタジエン系ゴム成分を重合時に添加してグラフトさせた、いわゆる耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)を単独あるいは混合して用いてなるものをシート状に成形加工したものであっても良い。
更にまた、前記スチレン系モノマー、及びその他の単量体に加え、複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーを共重合させることにより得られる多分岐状共重合体を含むスチレン系樹脂を用いてシート状に成形加工したものであってもよい。あるいは、この多分岐状共重合体を、前記で記載した共重合体と混合してなるものであってもよい。このような多分岐構造を含むスチレン系シートを用いると、耐油性をより向上させることが容易となる。
前述の複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーを併用する場合は、スチレン系樹脂をより高分子量化することが可能であり、得られる成形体の機械的強度を向上させることができる。この結果として、樹脂組成物から得られるシート及びその二次成形体の薄肉化も可能となる。
本発明に使用されるスチレン系樹脂は、複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーを使用しない場合、GPCにより求められる重量平均分子量は、10〜40万の範囲であることが好ましく、前記多分岐状マクロモノマーを併用する場合には、GPC−MALLS法により求められる重量平均分子量が15万〜75万であることが好ましく、更に、生産性、加工性の観点から、20万〜60万の範囲であることがより好ましい。スチレン系樹脂は、単独のものであっても、複数の共重合体の混合物であってもよく、混合物の場合は、その混合物としての分子量が前述の範囲のものであることが好ましい。
<多分岐状マクロモノマー>
前述の、本発明で使用することができる複数の分岐を有し、且つ複数の重合性二重結合を有する多分岐状マクロモノマーとしては、ゲル物発生を抑制し、流動性を確保する観点から、多分岐状マクロモノマーの重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000〜15,000、より好ましくは3,000〜8,000の範囲のものを用いる。
多分岐状マクロモノマーにおける分岐構造としては、特に制限はないが、電子吸引基と、該電子吸引基に結合する結合手以外の3つの結合手すべてが炭素原子に結合している4級炭素原子によって枝分かれしているもの、及びエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有する構造単位の繰り返しによって分岐構造を形成するものが好ましい。
前記多分岐状マクロモノマーが前述の4級炭素によって分岐構造を形成するものである場合、前記電子吸引基含有量としては、多分岐状マクロモノマー1g当たり2.5×10−4mmol〜5.0×10−1mmolの範囲であることが好ましく、更に好ましくは5.0×10−4mmol〜5.0×10−2mmolの範囲である。
前記多分岐状マクロモノマーには1分子あたり2個以上の重合性二重結合を有していることを必須とする。前記重合性二重結合の含有量としては、該マクロモノマー1g当たり0.1〜5.5mmolの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.5mmolの範囲である。また、前記重合性二重結合は多分岐状マクロモノマーの先端部に存在することが好ましい。
本発明において使用できる多分岐状マクロモノマーとしては、エステル結合、エーテル結合又はアミド結合を有する構造単位を繰り返すことによって形成する分岐構造と、分岐末端に1分子中2個以上の重合性二重結合とを有する多分岐状マクロモノマーを挙げることができる。
エステル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーは、分子鎖を形成するエステル結合のカルボニル基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子である多分岐状ポリエステルポリオールに、ビニル基またはイソプロペニル基などの重合性二重結合を導入したものを好ましい態様として挙げることができる。多分岐状ポリエステルポリオールに重合性二重結合を導入するには、エステル化反応や付加反応によって行なうことができる。
前記多分岐状ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部にあらかじめエーテル結合やその他の結合によって置換基が導入されていてもよいし、また、そのヒドロキシ基の一部が酸化反応やその他の反応で変性されていてもよい。また、多分岐状ポリエステルポリオールは、そのヒドロキシ基の一部が、あらかじめエステル化されていてもよい。
前記多分岐状マクロモノマーとしては、例えばヒドロキシ基を1個以上有する化合物に、カルボキシ基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子であり、且つヒドロキシ基を2個以上有するモノカルボン酸を反応させて多分岐状のポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシ基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物などを反応させて得られるものが挙げられる。尚、エステル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状ポリマーについては、タマリア(Tamalia)氏等による「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.29」p138〜177(1990)に記載されている。
前記ヒドロキシ基を1個以上有する化合物としては、a)脂肪族ジオール、脂環式ジオール、又は芳香族ジオール、b)トリオール、c)テトラオール、d)ソルビトール及びマンニトール等の糖アルコール、e)アンヒドロエンネア−ヘプチトール又はジペンタエリトリトール、f)α−メチルグリコシド等のα−アルキルグルコシド、g)エタノール、ヘキサノールなどの一官能性アルコール、h)重量平均分子量が多くとも8,000であるアルキレンオキシド或いはその誘導体と、上記a)〜g)のいずれかから選択された1種以上の化合物中のヒドロキシ基とを反応させることにより生成されたヒドロキシ基含有ポリマーなどを挙げることができる。
前記a)肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラヒドロフラン、ジメチロールプロパン、ネオペンチルプロパン、2−プロピル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、1,3−ジオキサン−5,5−ジメタノール;1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。前記b)トリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセロール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。前記c)テトラオールとしては、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジトリメチロールエタンなどを挙げることができる。
前記カルボキシル基に隣接する炭素原子が4級の炭素原子であり、且つヒドロキシ基を2個以上有するモノカルボン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α,α−トリス(ヒドロキシメチル)酢酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸などがあげられる。前記モノカルボン酸を使用することにより、エステル分解反応が抑制され、多分岐状ポリエステルポリオールを形成することができる。
また、前記多分岐状ポリエステルポリオールを製造する際に、触媒を使用するのが好ましく、前記触媒としては、例えば、ジアルキルスズオキシド、ハロゲン化ジアルキルスズ、ジアルキルスズビスカルボキシレート、あるいはスタノキサンなどの有機錫化合物、テトラブチルチタネートなどのチタネート、ルイス酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸などが挙げられる。
エーテル結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基や環状エーテル化合物が1個以上有する化合物に、ヒドロキシ基を1個以上有する環状エーテル化合物を反応させることにより多分岐状のポリマーとし、次いで該ポリマーの末端基であるヒドロキシ基にアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和酸、イソシアネート基含有アクリル系化合物、4−クロロメチルスチレンなどのハロゲン化メチルスチレンを反応させて得られるものが挙げられる。また、該多分岐状ポリマーの製法としては、Williamsonのエーテル合成法に基づいて、ヒドロキシ基を1個以上有する化合物と、2個以上のヒドロキシ基とハロゲン原子、−OSO2OCH3又は−OSO2CH3を含有する化合物とを反応する方法も有用である。
ヒドロキシ基を1個以上有する化合物としては、前記で挙げたものを何れも使用することができ、ヒドロキシ基を1個以上有する環状エーテル化合物としては、例えば、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。Williamsonのエーテル合成法に於いて使用されるヒドロキシ基を1個以上有する化合物としても、前記したものでよいが、芳香環に結合したヒドロキシ基を2個以上有する芳香族化合物が好ましい。前記化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、1,4−キシリレンジメタノール、1−フェニル−1,2−エタンジオールなどが挙げられる。また、2個以上のヒドロキシ基とハロゲン原子、−OSO2OCH3又は−OSO2CH3を含有する化合物としては、例えば、5−(ブロモメチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−エチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。なお、上記多分岐状のポリマーを製造する際には、通常触媒を使用することが好ましく、前記触媒としては、例えば、BF3ジエチルエーテル、FSO3H、ClSO3H、HClO4などを挙げることができる。
また、アミド結合を有する構造単位を繰り返して分岐構造を形成した多分岐状マクロモノマーとしては、例えば、分子中に窒素原子を介してアミド結合を繰り返し構造に有するものがあり、Dentoritech社製のゼネレーション2.0(PAMAMデントリマー)が代表的なものである。
<多分岐状マクロモノマーとスチレン系モノマーとの重合方法>
前記多分岐状マクロモノマーとスチレン系モノマー、必要に応じて併用されるその他の単量体類を共重合させると、多分岐状の樹脂と、重合条件により同時に生成する線状の樹脂及び低分岐樹脂との混合物である樹脂混合物が得られる。この時、前述の多分岐状マクロモノマーをこれ以外の単量体の総量に対して好ましくは50ppm〜1%、より好ましくは100ppm〜3000ppm(質量基準)の比率で用いることにより、多分岐状の樹脂の生成が容易であり、本発明に使用されるスチレン系樹脂の作製を安易にする。
<スチレン系樹脂の製造方法>
スチレン系モノマー単独、又はこれと共重合可能な単量体との共重合体を得るための重合反応、更に前述の多分岐状マクロモノマーを併用してスチレン系樹脂シート(A)の原料とする樹脂(組成物)を製造する方法としては、種々の汎用されているスチレン系モノマーの重合方法を応用することができる。重合方式には特に限定はないが、塊状重合、懸濁重合、あるいは溶液重合が好ましい。中でも生産効率の点で特に連続塊状重合が好ましく、例えば一個以上の攪拌式反応器と可動部分の無い複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器を組み込んだ連続塊状重合を行うことにより、優れた樹脂を得ることができる。重合開始剤を使用せずに熱重合させることもできるが、種々のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合に必要な懸濁剤や乳化剤などのような重合助剤は、通常のポリスチレンの製造に使用されるものを使用できる。
重合反応での反応物の粘性を低下させるために、反応系に有機溶剤を添加してもよく、その有機溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。特に多分岐状マクロモノマーの添加量を多くしたい場合には、ゲル化を抑制する観点からも有機溶剤を使用することが好ましい。これにより、先に示した多分岐状マクロモノマーを併用する場合、その添加量を飛躍的に増量させ分岐構造を多く導入することができ、且つ、ゲル化が生じにくくなる。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ジシナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシイシプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、N,N’−アゾビスイソブチルニトリル、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
更に、得られる樹脂(組成物)の分子量が過度に大きくなりすぎないように連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも連鎖移動基を複数有する多官能連鎖移動剤でも使用できる。単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール中のヒドロキシ基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したもの等が挙げられる。
また、得られる樹脂(組成物)のゲル発生抑制のために、長鎖アルコールやポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル等も使用することが可能である。
また、得られる樹脂組成物及びシートの物性を損なわない範囲で、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、染料、可塑剤等も使用することが可能である。
<重合工程・脱揮工程>
重合工程では、スチレン系モノマー、その他併用されるモノマーあるいは多分岐状マクロモノマーを単量体として用い、これらを共重合させることによって、スチレン系樹脂シート(A)の材料となるスチレン系樹脂(組成物)を得ることができる。重合装置の反応容器については特に限定されるものではない。重合工程の後に、未反応モノマーや溶剤分を揮発するための、好ましくは減圧下状態に調整した脱揮槽を通過させる。その後ペレット化され、本発明で用いるスチレン系樹脂シート(A)の材料となるスチレン系樹脂を得ることができる。
本発明で用いるスチレン系樹脂シート(A)の材料となるスチレン系樹脂は、前述のように製造してなるものを用いることができるが、市販されている種々のスチレン系樹脂を用いてもよい。これらの中でも、入手が容易である点、及び本発明の効果が容易に発現される観点より、ポリスチレン、スチレン−メタアクリルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、または多分岐状ポリスチレンを用いることが好ましい。
<無延伸シート>
無延伸シートは、上記で得られたスチレン系樹脂(組成物)のペレットを押出機で溶融押出後、T−ダイによりシート状に溶融押出した後、冷却ロール等により冷却し作製できる。冷却温度としては、70〜90℃が好ましい。
<二軸延伸シート>
二軸延伸シートは、押出機での溶融押出後、延伸機で縦横ニ軸に延伸することで得られる。例えば、まず、押出機にスチレン系樹脂(組成物)を供給し、T−ダイよりシート状に溶融押出する。その際、延伸前のシートが所定厚みになるようにキャスティングする。その後、二軸延伸可能な温度、例えば110〜145℃にシートを冷却して、縦方向(流れ方向)及び横方向(流れ方向に対するクロス方向)に延伸することで得られる。
延伸方法は、上記スチレン系樹脂(組成物)を溶融押出してシート状にした後、同時ニ軸延伸あるいは逐次ニ軸延伸を行うことができる。逐次ニ軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。特にニ軸延伸スチレン系シートでは、ロールを用いた縦延伸後、テンターを用いた横延伸を行なわれる。テンター法は広幅な製品がとれ、生産性が高いことがメリットである。
ロールを用いた縦延伸方法としては、低速ロールと高速ロールを同方向に回転させて樹脂をフラットに通紙し、延伸する方法と、低速ロールと高速ロールを逆回転させて樹脂をクロスに通紙し、延伸する方法とがあり、1段あるいは多段、フラットあるいはクロスの任意の組み合わせとすることができる。
具体的な延伸条件として、延伸倍率は目的に応じ異なるが、通常面倍率で1.5〜15倍、より好ましくは4〜10倍である。逐次延伸の場合の流れ方向の延伸倍率は1.2〜5倍で、好ましくは1.5〜3.0倍であり、流れ方向に対しそのクロス方向の延伸倍率は1.2〜5倍で、好ましくは1.5〜3.0倍である。同時ニ軸延伸の各方向の延伸倍率は1.5〜5倍である。また、この際の温度条件は、ASTMD−1504に準拠し測定される配向緩和応力が0.2〜2.0MPa、より好ましくは0.4〜1.0MPaとなるように行うのが良い。配向緩和応力が0.2MPa未満では、シートの耐衝撃性が不十分なものとなりやすく、2.0MPaを超える場合、シートが延伸切れを起こし易く、また二次成形性の悪いものとなる可能性があるためである。一方、0.4〜1.0MPaの範囲であると、得られたシートの折り割れ性が良好であるばかりでなく、シートの成形性自体も極めて良好となるのでより好ましい。
また、この際の、例えば、延伸前の原反シートを延伸温度110〜145℃で縦方向に上記の倍率で延伸し、次いで、延伸温度110〜145℃で上記縦方向に対してクロスする横方向に上記倍率で延伸が行われる。
スチレン系樹脂組成物からなるニ軸延伸シートの厚さは、0.1〜1.0mmであることが好ましい。このような二軸延伸シートはその強度の観点より、本発明のスチレン系樹脂シート(A)として用いることが好ましい。
<親水性アクリル樹脂(b1)>
本発明で用いるコート剤(B)は、アクリル系樹脂を樹脂成分とするものであり、親水性であることを必須とする。なお、本発明において親水性とは、水溶性、水分散性のいずれであってもよいことを示す。
前記アクリル系樹脂は、アクリロイル基を有する単量体の重合体であって、酸価が100〜240であり且つ親水性を示すものであれば良く、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基等を有するアクリル系単量体を用いて得られる重合体が挙げられる。また、これらのアクリル系単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で用いてなる共重合体であってもよい。尚、酸価は、中和前の共重合体1g中に含有する酸基を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数で、測定はJISK0070(1996年)に準拠し測定したものである。
前記ヒドロキシ基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水酸基価が高い重合体が得られ、アクリル系樹脂に水溶性を付与しやすく、且つ、防曇剤との相乗効果によって、その持続性を発現しやすい点で、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートを用いることが好ましい。
また、得られるアクリル樹脂の水溶性を付与させ、酸価を規定の範囲に調整するために、カルボキシ基を有するアクリル系単量体を用いることが好ましく、例えば、メタアクリル酸、(アクリロイルオキシ)酢酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸3−カルボキシプロピル、コハク酸1−[2−(アクリロイルオキシ)エチル]、フタル酸1−(2−アクリロイルオキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸水素2−(アクリロイルオキシ)エチル及びこれらのラクトン変性物等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;無水コハク酸や無水マレイン酸等の酸無水酸と、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基含有多官能(メタ)アクリレートモノマーとを反応させて得られるカルボキシ基含有多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらの中でも、得られるアクリル系樹脂に水溶性を容易に付与でき、酸価の調整も容易である観点より、メタアクリル酸、(アクリロイルオキシ)酢酸、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸3−カルボキシプロピルが好ましく、メタアクリル酸が特に好ましい。
前記その他のビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種または2種以上の混合物として用いることができる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びそれらの混合物の何れかを示すものである。
更に一般にラジカル重合反応に用いることができるものであってもよく、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルアニソール、α−ハロスチレン、ビニルナフタリン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等の芳香族環を有するビニル化合物等が挙げられる。これらは、1種または2種以上の混合物として用いることができる。特にスチレン等の芳香族環を有するビニル化合物は、耐黄変性、耐水性等を向上できる事から好ましく用いる事が出来る。
更に、官能基を有するエチレン性不飽和単量体も用いることが可能で、例としては、N−メチロールメタアクリルアミド、N−イソプロポキシメチルメタアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタアクリルアミド、N−イソブトキシメチルメタアクリルアミド等のメチロールアミド基またはそのアルコキシ化物含有重合性単量体;ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩等のシリル基含有重合性単量体;(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシアナートエチルのフェノール或いはメチルエチルケトオキシム付加物等のイソシアナート基及び/またはブロック化イソシアナート基含有重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性単量体;メタアクリルアミド、N−モノアルキルメタアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタアクリルアミド等のアミド基含有重合性単量体;アクロレイン、ジアセトンメタアクリルアミド等のカルボニル基含有重合性単量体等が挙げられる。
その他のビニル単量体としては、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、エチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン等を使用することができる。
これらのその他のビニル系単量体を併用する場合、本発明で用いるコート剤(B)としての耐熱耐油性の付与が容易である観点より、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を用いることが好ましく、特に、メタクリル酸メチルを用いることが好ましい。
前記アクリル系樹脂は、前述の単量体、又はその混合物を従来知られている乳化重合法、溶液重合法等のラジカル重合によって合成することができる。
具体的には、溶液重合法の場合、溶剤の存在下、前記単量体と重合開始剤とを、好ましくは40℃〜160℃の温度下で混合、攪拌し、ラジカル重合を進行させる方法が挙げられる。カルボキシ基を有する単量体を用いた場合には、その後、塩基性化合物によりカルボキシ基を中和し、水を添加することによって水溶化することができる。その際、中和率は40〜100%であることが好ましい。また場合に応じて水溶化後に脱溶剤をすることで、含有溶剤量を低減できる。特に、本発明では、非水溶性の溶剤含有率が5質量%未満であることを必須とする観点より、非水溶性の溶剤を用いて合成した際には、アクリル樹脂を得たのちに、溶剤を除去する工程を用いることが好ましい。
尚、本発明における「非水溶性溶剤」とは、1気圧、温度20℃において、溶剤単独に対して、同容量の純水と穏やかにかき混ぜた場合流動が収まった後に当該混合液が均一な外観を維持する事が出来ないことをいう。また、コート剤における非水溶性の溶剤含有率は、重クロロホルム溶媒を用いたH−NMR法にて測定し求めた値である。
乳化重合法の場合は、乳化剤存在下、水性媒体中において前記単量体混合物を乳化分散させ、重合反応させる方法である。具体的には、水又は必要に応じてアルコールのような有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を添加し、40℃〜90の加熱攪拌の下、前記単量体混合物及びラジカル重合開始剤を連続滴下又は分割添加し、重合させる。このとき、乳化剤と水とで単量体混合物を予め乳化させて得られる水分散液又は水溶液を、同様に滴下しても良い。一例としては、水又は必要に応じてアルコールのような有機溶剤を含む水性媒体を40℃〜90に加熱攪拌の下、予め、水と乳化剤と前記単量体の混合物及びラジカル重合開始剤を連続滴下又は分割添加し、重合させる方法などである
前記乳化重合法で使用できる乳化剤としては、一般的な乳化重合法に使用できるものであれば、アニオン性、カチオン性及びノニオン性いずれの乳化剤でも特に制限なく使用することができる。
アニオン性乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、ジアルキルサクシネートスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
前記重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド、商品名「ナイパーBMT−K40」(日油(株)製;m−トルオイルパーオキサイドとベンゾイルパーオキサイドの混合物)等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、商品名「ABN−E」[(株)日本ファインケム製;2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)]等のアゾ系化合物等を使用することができる。
また、前記アクリル系樹脂を製造する際に使用可能な溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等を使用することができる。
中和剤としては、各種塩基化合物を使用する事が出来る。例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのような各種の無機塩基;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソブチルアミン、またはジプロピルアミンのような各種のアルキルアミンなどをはじめ、さらには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような各種のアミノアルコール類、またはモルホリンなどのような各種の有機アミン類;あるいはアンモニアなどが挙げられ、これらを単独又は2種以上併用して使用できる。
本発明のコート剤(B)におけるアクリル樹脂(b1)としては、その重量平均分子量(Mw)が1,000〜200,000の範囲であることが好ましく、積層体としての耐熱耐油性及び樹脂生産性の観点から10,000〜120,000の範囲がより好ましい。
なお、本発明で用いるアクリル樹脂の分子量は、以下の方法により測定した。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8220GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN SuperHZ−L
+東ソー株式会社製 TSK−GEL SuperHZM−M×4
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
また、前記アクリル樹脂(b1)の酸価としては、100〜240の範囲であることを必須とするものであり、特に150〜200の範囲であることが、防曇性、耐油性及び被覆層の剥がれ防止の観点から好ましい。
また、前記アクリル樹脂(b1)のガラス転移温度としては、70℃以上であることが好ましく、特に80℃以上であることが好ましく、付着性がより高くなることから90℃以上が更に好ましい。尚、ガラス転移温度は、下記の計算によって得られる値である。
ガラス転移温度(℃):下記のFoxの式で計算した温度(K)を(℃)に換算した数値。
100/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+W4/Tg4
式中、W1、W2は、各種成分の重量分率(重量%)を示す。
式中、Tg1、Tg2は、各種成分のホモポリマーのガラス転移温度(K)を示す。
この様にして得られるアクリル樹脂の溶液は、これに防曇剤(b2)を添加し均一化することで、本発明のコート剤(B)とすることができる。
<防曇剤(b2)>
本発明では、前述のアクリル樹脂(b1)に、少なくとも1種類以上の防曇剤(b2)を含有させることを特徴とする。
前記防曇剤(b2)としては、特に限定されるものではなく、種々の防曇作用を有する化合物を用いることができ、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等のノニオン界面活性剤や、レシチン等の両性界面活性剤等が挙げられ、防曇性の観点より、ショ糖脂肪酸エステル、又はポリグリセリン脂肪酸エステルを単独又は併用して用いることが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と、脂肪酸メチルエステル等のような脂肪酸の低級アルコールエステルとをエステル交換して得られるものが挙げられ、具体的には、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、および、これらの混合物等が挙げられる。また、ショ糖脂肪酸エステルには、モノエステル、ジエステルおよびトリエステルが存在するが、防曇性が良好となることから、ショ糖脂肪酸モノエステルの含有率が50モル%以上で、HLB値が13〜18であるものがより好ましい。市販品を用いることが可能であり、具体的にはリョートーシュガーエステル L−1695(商品名;三菱化学フーズ社製 ショ糖ラウリン酸エステル)、DKエステル L−160(商品名;第一工業製薬社製 ショ糖ラウリン酸エステル)、DKエステル M−160(商品名;第一工業製薬社製 ショ糖ミリスチン酸エステル)、リョートーシュガーエステル P−1670(商品名;三菱化学フーズ社製 ショ糖パルミチン酸エステル)、リョートーシュガーエステル S−1670(商品名;三菱化学フーズ社製 ショ糖ステアリン酸エステル)、リョートーシュガーエステル O−1570(商品名;三菱化学フーズ社製 ショ糖オレイン酸エステル)やショ糖脂肪酸エステルを含有する製剤であるリケマールA(商品名;理研ビタミン社製 ショ糖ラウリン酸エステルを41質量%含有する水溶液)などが挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、例えば脂肪酸にグリシドールを触媒存在下で付加重合する方法、植物油由来のグリセリンを脱水縮合によりポリグリセリンにした後、脂肪酸をエステル結合させる方法等が挙げられる。
本発明に用いられる、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に制限はないが、グリセリンの平均重合度が1〜6、特に2〜4であることが好ましい。なかでもジグリセリン及びトリグリセリンが特に好ましい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、炭素数8〜20の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数10〜16の脂肪酸であり、さらに好ましくは炭素数12〜16の脂肪酸である。また、脂肪酸は飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖いずれであってもよいが、特に直鎖状飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸の具体例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸であるが、特にラウリン酸が好ましい。
本発明に用いられる、グリセリンの平均重合度が1〜6であるポリグリセリン脂肪酸エステルの例を具体的に挙げると、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンモノラレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノオレート、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンミリステート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンモノラウレート、トリグリセリンモノミリステート、トリグリセリンモノオレート、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリンステアレート、テトラグリセリンミリステート、デカグリセリンラウレート等である。これらの中でも特にジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレート、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレートを用いることが好適である。本発明において、上記のうち1種または2種以上を選択して配合することも可能である。
本発明に用いられる、グリセリンの平均重合度が1〜6であるポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、7〜18であることが好ましい。
本発明に用いられる、グリセリンの平均重合度が1〜6であるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、市販品を用いることが可能であり、具体的にはリケマールL−71−D(商品名;理研ビタミン社製:ジグリセリンラウレート)、ポエムDL−100(商品名;理研ビタミン社製:ジグリセリンモノラウレート)、ポエムDM−100(商品名;理研ビタミン社製:ジグリセリンモノミリステート)、ポエムDO−100V(商品名;理研ビタミン社製:ジグリセリンモノオレート)、ポエムTRL−100(商品名;理研ビタミン株式会社製:トリグリセリンラウレート)、リョートーポリグリエステルL−70D(商品名;三菱化学フーズ社製 デカグリセリンラウレート)、リョートーポリグリエステルM−7D(商品名;三菱化学フーズ社製 デカグリセリンミリステート)SYグリスターML−750(商品名;阪本薬品工業社製 デカグリセリンモノラウレート)、SYグリスターML−500(商品名;阪本薬品工業社製 ヘキサグリセリンモノラウレート)MCA―150(商品名;阪本薬品工業社製 ジグリセリンモノカプレート)などが挙げられる。
また、ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート等が挙げられ、単独でも2種以上を併用してもよい。
本発明のコート剤(B)には、本発明の効果を損なわない範囲で、防曇補助剤、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。スリップ剤としては、ポリジメチルシロキサンを主体成分とするシリコーンエマルジョン液等が挙げられる。
前述のアクリル樹脂(b1)の溶液に前述の防曇剤(b2)を予め混合する方法としては特に限定されず、防曇剤(b2)をそのまま添加しても、あるいは、防曇剤(b2)の溶液を調製してから、これとアクリル樹脂の溶液に混合してもよい。
この時、アクリル樹脂(b1)と防曇剤(b2)との使用割合としては、得られる積層シートの表面における耐熱耐油性と防曇性とのバランスに優れる点から、両者の固形分合計質量中、防曇剤(b2)の固形分質量の割合が10〜70質量%の範囲で用いることが好ましく、特に20〜60質量%の範囲であることが好ましい。
また、コート剤(B)の不揮発分としては、塗布量の調整が容易である観点より、1〜40質量%の範囲に調整することが好ましい。
<積層シートの製造方法>
本発明の積層シートは、前述のスチレン系樹脂シート(A)の少なくとも片面に前記コート剤(B)を塗布し、乾燥させることで得ることができる。乾燥方法としては特に限定されるものではなく、例えば、樹脂シート(A)の温度がTgを超えない様に制御された乾燥装置を用い0.1〜30分程度の加熱乾燥にてコート剤(B)からなる被覆層を樹脂シート(A)上に形成させることができる。
コート剤(B)の塗布方法としても、特に限定されるものではなく、例えば、スプレーコーター、ロールコーター、グラビアロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、ローターダンプニング、アプリケーター方式等が挙げられる。
コート剤(B)の塗布量としては、本発明の効果が十分に発揮され、且つコスト面での折り合いがつく限りにおいて、種々選択されるものであるが、防曇性と耐油性とのバランスに優れる観点から、80mg/m以上であることが好ましく、被覆層が容易に剥がれない観点から1500mg/m以下であるであることが好ましく、また耐油性と乾燥性の観点から150〜600mg/mの範囲であることが特に好ましく、乾燥性の観点からは150〜400mg/mの範囲であることが好ましい。
また、コート剤(B)の塗布前に、スチレン系樹脂シート(A)の塗布面を予め親水化処理しておくことが好ましい。
前記親水化処理としては、例えば、酸処理、火炎処理、コロナ処理等が挙げられる。これらの親水化処理を施した樹脂シート表面のぬれ係数は、35mN/m以上であることが好ましく、該コート剤(B)を均一に塗布し、十分な効果を得るためには45〜70mN/mの範囲内であることが特に好ましい。ここで、ぬれ係数は、JIS K−6786に記載された方法により測定される値である。
<成形体の製造方法>
前記で得られた積層シートは、これを直接加熱方式または間接加熱方式によって加熱され、成形されて、本発明の成形体とすることができる。加熱成形の方法は、特に限定されるものではなく、真空成形機、熱板圧空成形機、真空圧空成形機等を用いて行うことができるが、温度制御が良好で、短時間加熱が可能なことから、熱板圧空成形機を用いての加熱成形が好適である。
<成形体の使用>
前記で得られた本発明の成形体は、特に食品包装容器として好適に用いることができ、その防曇性、耐油性、それらの持続性、及びスチレン系樹脂シートが本来有する透明性の観点から、蓋材として使用することが最も好ましい。この時、本発明の積層シートにおける被覆層が内容物側になるように成形されていることが好ましい使用方法である。
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。本発明はもとより、これらの実施例の範囲に限定されるべきものではない。以下、「部」「%」は特に断りのない限り、質量基準である。
合成例1:コート剤B1の合成
還流冷却器、撹拌機および窒素導入管を具備した反応容器に、n−ブタノール250部を仕込んで撹拌を開始し、100℃まで昇温した。ここに窒素気流下で、メタクリル酸メチル126部、アクリル酸エチル21部、スチレン60部、メタクリル酸93部からなる単量体混合物と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3部、n−ブタノール40部からなる反応開始剤混合物とを3時間かけて連続滴下した。同温度で3時間撹拌後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部、n−ブタノール10部からなる反応開始剤混合物を2時間かけて連続滴下した。同温度で5時間撹拌後、80℃に降温し、5%安水により中和を行い、続いてイオン交換水を用いて水溶化を行い、溶剤が3%未満になるよう減圧操作により脱溶剤を行った後、酸価199、ガラス転移温度101℃のアクリル樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は1%未満であった。その後、蒸留水により希釈を行い不揮発分10%に調整した。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B1を得た。
合成例2:コート剤B2の合成
メタクリル酸メチル174部、アクリル酸エチル195部、スチレン60部、メタクリル酸51部としたこと以外は合成例1と同様の方法で、不揮発分10%の酸価109、ガラス転移温度100℃のアクリル系樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は1%未満であった。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B2を得た。
合成例3:コート剤B3の合成
メタクリル酸メチル102部、アクリル酸エチル27部、スチレン60部、メタクリル酸111部としたこと以外は合成例1と同様の方法で、不揮発分10%の酸価238、ガラス転移温度99℃のアクリル系樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は1%未満であった。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B3を得た。
合成例4:コート剤B4の合成
メタクリル酸メチル87部、アクリル酸エチル60部、スチレン60部、メタクリル酸93部としたこと以外は合成例1と同様の方法で、不揮発分10%の酸価199、ガラス転移温度78℃のアクリル系樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は1%未満であった。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B4を得た。
合成例5:コート剤B5の合成
メタクリル酸メチル189部、メタクリル酸111部としたこと以外は合成例1と同様の方法で、不揮発分10%の酸価238、ガラス転移温度118℃のアクリル系樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は1%未満であった。更に、ショ糖脂肪酸エステルをアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)のそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B5を得た。
合成例6:コート剤B6の合成
メタクリル酸メチル126部、アクリル酸エチル21部、スチレン60部、メタクリル酸93部としたこと以外は合成例1と同様の方法で、不揮発分10%の酸価199、ガラス転移温度100℃のアクリル系樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は2%であった。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B6を得た。
合成例7:コート剤B7の合成
合成例1において、作製した不揮発分10%のアクリル樹脂水溶液に、ポリグリセリン酸脂肪エステル(理研ビタミン株式会社社製ポエムDO−100V、HLB=7.3)をアクリル樹脂とポリグリセリン酸脂肪エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B7を得た。
合成例8:コート剤B8の合成
メタクリル酸メチル186部、アクリル酸エチル15部、スチレン60部、メタクリル酸39部としたこと以外は合成例1と同様の方法で、不揮発分10%の酸価84、ガラス転移温度99℃のアクリル系樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は1%未満であった。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B8を得た。
合成例9:コート剤B9の合成
メタクリル酸メチル123部、アクリル酸エチル36部、メタクリル酸141部としたこと以外は合成例1と同様の方法で、不揮発分10%の酸価302、ガラス転移温度98℃のアクリル系樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は1%未満であった。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B9を得た。
合成例10:コート剤B10の合成
メタクリル酸メチル117部、アクリル酸エチル150部、アクリル酸33部としたこと以外は合成例1と同様の方法で、不揮発分10%の酸価83、ガラス転移温度26℃のアクリル系樹脂を得た。また、非水溶性溶剤含有量は1%未満であった。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しアクリル系親水性コート剤B10を得た。
合成例11:コート剤B11の合成
減圧操作による脱溶剤を行わず、非水溶性溶媒の残量を10%としたこと以外は、合成例1と同様の方法を用い、不揮発分10%のアクリル系樹脂を得た。その際、非水溶性溶剤含有量は10%であった。更に、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)をアクリル樹脂とショ糖脂肪酸エステルのそれぞれの固形分が2.0%と0.4%になる様に蒸留水で希釈しアクリル系親水性コート剤B11を得た。
合成例12:コート剤B12の合成
合成例1と同様の方法で、不揮発分10%のアクリル系樹脂を得た。更に、固形分が2.4%になる様に蒸留水で希釈しコート剤B12を得た。
合成例13:コート剤B13の作製
ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社社製リケマールA、HLB=15、固形分40%)を固形分が2.4%となる様に蒸留水で希釈しコート剤B13を得た。
合成例14:コート剤B14の作製
ポリグリセリン酸脂肪エステル(理研ビタミン株式会社社製ポエムDO−100V、HLB=7.3)を固形分が2.4%となる様に蒸留水で希釈しコート剤B14を得た。
実施例1〜11、及び比較例1〜10
表1〜3に示すモノマー組成比(MAA:メタクリル酸)を用い、連続塊状重合により共重合体を合成し、押出機にて1000μmの無延伸シートとした後、単発延伸機により縦方向(MD)2倍、横方向(CD)2倍に延伸を施した二軸延伸スチレン系樹脂シートを得た。
得られたシートに、表1〜3で示したコート剤をバーコーターを用いて塗工後、90℃に調節された恒温槽にて30分乾燥させ積層シートを得た。尚、塗工量は乾燥後の質量より求めた。
得られた積層シートを用いて圧空成形機を使用して容器状の成形体を製造した。容器形状は、深さ29mm、開口部80mm×80mm、絞り比0.36である。成形は熱板温度を変え、各シートの最適条件である、レインドロップ不良を起こさず、良好な型再現性となる条件を見つけ実施した。
得られた成形体を用い、以下の評価を行った。(同一手法で得られり成形体を4つ用意し、3つ以上同じ評価となったものは、一つの評価結果、2個ずつで評価が分かれたものは、結果を2個記載している。)
耐油性評価:成形品内側に中鎖脂肪酸油(不二精機株式会社製ホワイトF−1)を塗布し、80℃の恒温槽中に5分放置した直後の外観を目視により確認し評価を行った。評価は白化の発生しなかったものを○、問題のないレベルのごく僅かな白化が見られたものを△、明らかな白化が発生したものを×とした。
防曇性評価:85℃のお湯を入れた容器に、成形品を被せ2分間放置後、容器の曇り性を目し評価した。容器の中がはっきりと認識できるものを○、容器内がやや滲む程度で中を認識できるものを△、容器内の滲みが酷く中が認識出来ないものを×とした。
付着強度評価:防曇性評価後に、コート膜の強度を触診法にて判定を行った。ハガレの発生していないもの○、問題ない程度の部分的ハガレがあるものを△、完全なハガレが認められるものを×とした。
実施例12
DIC株式会社製多分岐ポリスチレンHP−780ANを押出機にて1000μmの無延伸シートとした後、単発延伸機により縦方向(MD)2倍、横方向(CD)2倍に延伸を施した二軸延伸スチレン系樹脂シートを得た。その他は実施例1と同様に積層シートを作製後、同様の評価を実施した。
Figure 0006701607
Figure 0006701607
Figure 0006701607

Claims (9)

  1. スチレン系樹脂シート(A)の少なくとも片面に、酸価が100〜240の親水性アクリル樹脂(b1)と防曇剤(b2)とを含み、且つ非水溶性溶剤含有率が5質量%未満のコート剤(B)の被覆層を有する積層シートであって、
    前記防曇剤(b2)が、糖由来の脂肪酸エステル又はグリセリン由来の脂肪酸エステルであることを特徴とする積層シート。
  2. 前記被覆層が、乾燥後の質量として80mg/m 以上である請求項1記載の積層シート。
  3. 前記親水性アクリル樹脂(b1)の酸価が150〜200の範囲である請求項1又は2記載の積層シート。
  4. 前記親水性アクリル樹脂(b1)のガラス転移温度が80℃以上である請求項1〜3の何れか1項記載の積層シート。
  5. 前記親水性アクリル樹脂(b1)が、少なくともメタクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを含む単量体混合物の共重合体である、請求項1〜4の何れか1項記載の積層シート。
  6. 前記スチレン系樹脂シート(A)が二軸延伸スチレン系樹脂シートである請求項1〜の何れか1項記載の積層体。
  7. 前記スチレン系樹脂シート(A)が、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、または多分岐状ポリスチレンのシートである請求項1〜の何れか1項記載の積層体。
  8. 請求項1〜の何れか1項記載の積層シートを成形してなることを特徴とする成形体。
  9. 前記コート剤(B)の被覆層が内容物側になるように成形され、且つ内容物が食品である請求項記載の成形体。
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