JP6926466B2 - 樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物および成形体に関する。
スチレン系樹脂から得られるシート等の成形体は、透明性や剛性に優れるため、食品包装用容器等の用途に用いられている。近年、スチレン系樹脂から得られる成形体は、例えば、食品包装容器の用途においては、電子レンジの高出力化、液状食品など包装される食品の多様化等の観点から、より高い耐熱性が求められている。
一般に、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、ポリスチレンよりも耐熱性に優れることが知られており、得られる成形体は、耐熱性を要する食品包装容器等の用途に好適に適用される。しかしながら、一方で、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、ポリスチレンよりも脆いことが知られており、例えばシート成形時に破断する等の問題が生じうる。
そこで、従来、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の脆性を改善する方法が検討されている。例えば、特許文献1には、重量平均分子量が14万〜40万であり、(メタ)アクリル酸系単量体単位の含有量が2.0〜15.0質量%のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体とシリコーンゴムパウダーからなり、シリコーンゴムパウダーの含有量が0.02〜5.0質量%であることを特徴とするスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体組成物に係る発明が記載されている。特許文献1には、前記スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体組成物は、シリコーンゴムパウダーを含むことで、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の脆さを改良できる旨が記載されている。
なお、特許文献1には、シリコーンゴムパウダーは、ビニル基含有ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させて硬化させたものであることが記載されている。また、シリコーンゴムパウダーの形状は球状であることが好ましいことが記載されている。
特開2012−162637号公報
特許文献1に記載の発明によれば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の脆性が改良されうる。
しかしながら、シリコーンゴムパウダーは、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体との屈折率差が大きく、得られる成形体の透明性が低下する場合があることが判明した。
そこで本発明は、得られる成形体が高い強度および高い透明性を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を行った。その結果、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体に所定の無機粒子を併用することで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含む、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体と、アスペクト比が3以上である無機粒子と、を含む、樹脂組成物に関する。
本発明によれば、得られる成形体が高い強度および高い透明性を有する樹脂組成物が提供される。
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を連続塊状重合するための簡略装置図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<樹脂組成物>
樹脂組成物は、スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含む、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体と、アスペクト比が3以上である無機粒子と、を含む。これにより、得られる成形体は、高い強度および高い透明性を有する。
[スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体]
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含む。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリル」とは、メタクリルおよび/またはアクリルを意味する。さらに、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルおよび/またはアクリロイルを意味する。
(スチレン系モノマー)
スチレン系モノマーとしては、特に制限されないが、スチレン、スチレン誘導体が挙げられる。
前記スチレン誘導体としては、特に制限されないが、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;アセチルスチレン等のアルキルカルボニルスチレン;アセトキシスチレン等のアルキルカルボニルオキシスチレン;1−エトキシエトキシスチレン等の(ポリ)アルキルエーテルスチレン;ニトロスチレン等が挙げられる。
上述のスチレン系モノマーのうち、スチレンを用いることが好ましい。なお、上述のスチレン系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
((メタ)アクリル酸)
(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。
これらのうち、耐熱性の観点から、メタクリル酸を用いることが好ましい。なお、メタクリル酸およびアクリル酸は、単独で用いても、両者を併用して用いてもよい。
(多分岐状マクロモノマー)
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、多分岐状マクロモノマーをモノマー単位として含んでいてもよい。多分岐状マクロモノマーをモノマー単位として含むことにより、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を高分子量化することができ、得られる成形体の機械的強度が向上しうる。なお、本明細書において、「多分岐状マクロモノマー」とは、分岐構造を有し、かつ、2以上の重合性官能基を含む高分子量モノマーを意味する。また、前記「高分子量モノマー」とは、重合平均分子量が、1000以上、好ましくは1000〜15000、より好ましくは3000〜8000であるモノマーを意味する。
この際、本明細書において、「重合平均分子量」の値は、原則として、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値を採用するものとする。なお、前記ゲル浸透クロマトグラフィの測定条件は以下の通りである。すなわち、高速GPCであるHLC−8220(東ソー株式会社製)、カラム(TSK−GELGMHXL×2)を使用し、サンプル5mgを10gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液200mLを装置に注入し、流量:1mL/分(THF)、恒温槽温度:40℃、示差屈折(RI)検出器にて測定する。この際、標準物質はポリスチレンである。
ただし、多分岐状マクロモノマーをモノマー単位として含むスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体に限り、重量平均分子量は、多角度光散乱検出器(MALS)を用いたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)、すなわちGPC−MALS法により測定された値を採用するものとする。なお、GPC−MALS法の測定条件は以下の通りである。すなわち、GPCであるShodex(登録商標)HPLC(昭和電工株式会社製)、カラム(Shodex(登録商標)KF−806L×2、昭和電工株式会社製)を使用し、サンプル0.0050mgを10gのTHFに溶解した溶液1.5mLを装置に注入し、流量:1.0mL/分(THF)、恒温槽温度:40℃、MALSであるDAWN EOS(Wyatt社製)および示差屈折(RI)検出器Shodex(登録商標)RI−101(昭和電工株式会社製)にて測定し、解析ソフトとしてはASTRA(Wyatt社製)を使用する。この際、標準物質はポリスチレンである。なお、多分岐状マクロモノマーをモノマー単位として含むスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をGPC−MALS法により測定すると、得られるクロマトグラフは、低分子量側のピークP1と、高分子量側のピークP2とが観測される。前記ピークP1は線状の樹脂および低分岐度の樹脂が含まれていると推測され、前記ピークP2は多分岐状の高分岐度の樹脂が含まれていると推測される。
多分岐状マクロモノマーとしては、特に制限されないが、前駆体マクロモノマーと、モノ重合性官能基含有化合物との第1の反応生成物、ポリ重合性官能基含有化合物とモノ重合性官能基含有化合物との第2の反応生成物が挙げられる。この際、「重合性官能基」としては、特に制限されず、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられる。
第1の反応生成物
第1の反応生成物は、前駆体マクロモノマーと、モノ重合性官能基含有化合物との反応生成物である。
前記前駆体マクロモノマーとしては、特に制限されないが、2以上の第1の官能基と1以上の第2の官能基とを有する化合物が自己重合することにより得られる第1の化合物、1以上の第1の官能基を有する化合物に対して反応により2以上の第1の官能基を生じさせる化合物を繰り返し反応することにより得られる第2の化合物が挙げられる。この際、第1の官能基および第2の官能基は、一方が求核性官能基(電子求引性基のα炭素原子に結合する水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基等)であり、もう一方が求電子性官能基(ハロゲン化メチル基、ハロゲン化アシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ基等)である。好ましい一実施形態においては、第1の官能基は求核性官能基であり、第2の官能基は求電子性官能基である。
第1の化合物
第1の化合物は、2以上の第1の官能基と1以上の第2の官能基とを有する化合物が自己重合することにより得られる化合物である。
前記2以上の第1の官能基と1以上の第2の官能基とを有する化合物としては、例えば、以下の構造式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006926466
上記式(1)中、Aは、特に制限されず、アルカン、シクロアルカン、アルケン、シクロアルケン、アルキン、シクロアルキン、芳香族化合物、エーテル、チオエーテル、およびこれらの組み合わせである。
また、XおよびYは、一方が第1の官能基であり、もう一方が第2の官能基である。この際、XおよびYは、Aが有する水素原子に置換される。
そして、nおよびmは、XおよびYの一方が第1の官能基であり、もう一方が第2の官能基であるため、一方が2以上の整数であり、もう一方が1以上の整数である。
構造式(1)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0006926466
上記化合物は、求電子性基であるシアノ基のα炭素原子に結合する水素原子、すなわち求核性官能基を2つ有し、ブロモメチル基、すなわち求電子性官能基を1つ有する化合物である。このため、一実施形態において、上記化合物が自己重合することにより得られる化合物は、以下の通りとなる。
Figure 0006926466
なお、上記化学式においては、破線は繰り返し構造によりさらに分岐しうることを示している。この際、場合により、すべてのα炭素原子に結合する水素原子がブロモメチル基と反応せず、未反応のα炭素原子に結合する水素原子が残存することがある。よって、α炭素原子に結合する水素原子は末端に存する構成単位に結合するものに限られない。
第2の化合物
第2の化合物は、1以上の第1の官能基を有する化合物に対して反応により2以上の第1の官能基を生じさせる化合物を繰り返し反応することにより得られる化合物である。
前記1以上の第1の官能基を有する化合物としては、特に制限されないが、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール等の(ポリ)アルコール;(ポリ)アミン;(ポリ)チオール;アルカノールアミン等が挙げられる。
前記反応により2以上の第1の官能基を生じさせる化合物としては、特に制限されないが、1以上の第2の官能基および2以上の第1の官能基を有する化合物、1以上の第1の官能基を有する環状エーテル化合物等が挙げられる。
1以上の第2の官能基および2以上の第1の官能基を有する化合物としては、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、α,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸等が挙げられる。
1以上の第1の官能基を有する環状エーテル化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン等が挙げられる。
一実施形態において、1以上の第1の官能基を有する化合物であるペンタエリスリトールに対し、1以上の第2の官能基および2以上の第1の官能基を有する化合物(反応により2以上の第1の官能基を生じさせる化合物の1つ)であるα,α−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を繰り返し反応することにより得られる化合物として得られる化合物は、以下の通りとなる。
Figure 0006926466
なお、上記化学式においては、破線は繰り返し構造によりさらに分岐しうることを示している。この際、場合により、すべてのヒドロキシ基がカルボン酸と反応せず、未反応のヒドロキシ基が残存することがある。よって、ヒドロキシ基は末端に存する構成単位に結合するものに限られない。
上述の前駆体マクロモノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノ重合性官能基含有化合物としては、特に制限されず、(メタ)アクリル酸、スチレン、ハロゲン化メチルスチレン等が挙げられる。
これらのモノ重合性官能基含有化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記モノ重合性官能基含有化合物は、主に前駆体マクロモノマーが有する官能基(求核性官能基等)と反応することで、重合性官能基を導入させることができる。
なお、前駆体マクロモノマーがモノ重合性官能基含有化合物と反応した後に官能基が残存する場合には、当該残存した官能基は必要に応じてキャッピング剤によりキャッピングしてもよい。
当該キャッピング剤としては、特に制限されないが、無水酢酸、塩化アシル等のアシル化剤;ハロゲン化アルキル等のアルキル化剤等が挙げられる。
これらのキャッピング剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2の反応生成物
第2の反応生成物は、ポリ重合性官能基含有化合物とモノ重合性官能基含有化合物との反応生成物である。
前記ポリ重合性官能基含有化合物は、重合性官能基を2以上有する化合物である。具体例としては、特に制限されないが、ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリ重合性官能基含有化合物を有する化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリ重合性官能基含有化合物の使用量は、全単量体モノマーに対して、10〜90モル%であることが好ましく、30〜90モル%であることがより好ましい。
前記モノ重合性官能基含有化合物は、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。
モノ重合性官能基含有化合物は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノ重合性官能基含有化合物の使用量は、全単量体モノマーに対して、10〜90モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることがより好ましい。
なお、第2の反応生成物は、カチオン重合、ラジカル重合等の反応により合成することができる。
また、第2の反応生成物は、フェノキシ(メタ)アクリレート等を用いて残存する重合性官能基を変性させることができる。
上述した多分岐状マクロモノマーは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(他のモノマー)
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸、および多分岐状マクロモノマー以外の他のモノマーをモノマー単位として含んでいてもよい。
当該他のモノマーとしては、特に制限されないが、(メタ)アクリロニトリル等のアクリロニトリル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル;無水マレイン酸、マレイミド等の環状化合物等が挙げられる。
これらの他のモノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(共重合体)
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の重合平均分子量は、15万〜40万であることが好ましく、20万〜30万であることがより好ましい。スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の重量平均分子量が15万以上であると、得られる成形体の強度が高くなることから好ましい。一方、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の重量平均分子量が40万以下であると、溶融時に好適な流動性が得られうるため、成形加工性が良好となることから好ましい。
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体において、(メタ)アクリル酸に対するスチレン系モノマーの質量比(スチレン系モノマー/(メタ)アクリル酸)は、99.9/0.1〜75.0/25.0であることが好ましく、98.0/2.0〜85.0/15.0であることがより好ましい。前記質量比が99.9/0.1以上であると、得られる成形体の耐熱性が高くなりうることから好ましい、一方、前記質量比が75.0/25.0以下であると、得られる成形体の脆性低下が抑制されうることから好ましい。
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が多分岐状マクロモノマーを含む場合、多分岐状マクロモノマーの含有量は、重合性モノマーの全質量に対して、100〜3000ppmであることが好ましく、200〜2000ppmであることがより好ましい。多分岐状マクロモノマーの含有量が100ppm以上であると、多分岐化により溶融粘度が低下することから好ましい。一方、多分岐状マクロモノマーが3000ppm以下であると、架橋反応進行によるゲル状物質の生成を抑制できることから好ましい。なお、本明細書において、「重合性モノマー」とは、重合性の官能基(不飽和基等)を有し、共重合反応を行うことでスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の構成要素となるものを意味する。具体的には、原則として、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸、多分岐状マクロモノマー、および他のモノマー等がこれに該当し、後述する重合開始剤(重合性官能基を有さない)等については重合性モノマーには含まれない。
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が他のモノマーを含む場合、他のモノマーの含有量は、重合性モノマーの全質量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。
(共重合体の製造方法)
スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。一実施形態おいて、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は、スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル酸を共重合する工程(1)と、前記工程(1)で得られる反応物を脱揮する工程(2)とを含む。
工程(1)
工程(1)は、スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル酸を共重合する工程である。この際、多分岐状マクロモノマー、他のモノマーを併用してもよい。
前記スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸、多分岐状マクロモノマー、他のモノマーは、上述したものが用いられうることからここでは説明を省略する。
有機溶剤
共重合により得られる反応物の粘性を低下させる等の目的で、有機溶剤を添加して共重合を行ってもよい。
前記有機溶剤としては、特に制限されないが、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらのうち、トルエンを用いることが好ましい。なお、これらの有機溶剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤の添加量としては、使用される重合性モノマーの合計100質量部に対して、5〜20質量部であることが好ましく、10〜15質量部であることがより好ましい。有機溶剤の添加量が5質量部以上であると、共重合により得られる反応物の粘性が低くなることから好ましい。一方、有機溶剤の添加量が20質量部以下であると、共重合により得られる反応物の粘性が過度に低くならず、脱揮を効率よく行うことができることから好ましい。
なお、有機溶剤は、場合により、後述する樹脂組成物に含まれることがある。
ラジカル重合開始剤
共重合にはラジカル重合開始剤を使用することができる。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限されないが、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン等のペルオキシケタール類;クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類;ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類;ベンゾイルペルオキシド、ジシナモイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレート、t−ブチルペルオキシプロピルモノカーボネート等のペルオキシエステル類;N,N’−アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。これらのうち、ペルオキシエステル類を用いることが好ましく、t−ブチルペルオキシベンゾエートを用いることがより好ましい。なお、これらのラジカル重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤の添加量は、使用されるモノマーの総質量に対して、50〜500ppmであることが好ましく、100〜300ppmであることがより好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量が50ppm以上であると、共重合が好適に進行することから好ましい。一方、ラジカル重合開始剤の添加量が500ppm以下であると、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が必要以上に低分子量化しないことから好ましい。
なお、ラジカル重合開始剤は、場合により、後述する樹脂組成物に含まれることがある。
連鎖移動剤
共重合には連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤を使用することで、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の分子量を制御することができる。
連鎖移動剤は、特に制限されず、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤であっても、連鎖移動基を2以上有する多官能連鎖移動剤であってもよい。
前記単官能連鎖移動剤としては、α―メチルスチレンダイマー、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。
前記多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール中のヒドロキシ基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したもの等が挙げられる。
連鎖移動剤の添加量は、使用されるモノマーの総質量に対して、300〜1500ppmであることが好ましく、500〜1000ppmであることがより好ましい。連鎖移動剤の添加量が300ppm以上であると、共重合が好適に進行することから好ましい。一方、連鎖移動剤の添加量が1500ppm以下であると、樹脂組成物が必要以上に低分子量化しないことから好ましい。
なお、連鎖移動剤は、場合により、後述する樹脂組成物に含まれることがある。
ゲル化防止剤
共重合にはゲル化防止剤を使用することができる。ゲル化防止剤を使用することで、ゲル状物質の生成を防止または抑制することができる。
前記ゲル化防止剤としては、特に制限されないが、カプリルアルコール、2−エチルヘキサノール、ペラルゴンアルコール、カプリンアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、エライドリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、アラキジルアルコール等の長鎖アルコール;ポリオキシエチレンカプリルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルケニルエーテル等が挙げられる。
上述のゲル化防止剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゲル化防止剤の添加量は、使用されるモノマーの総質量に対して、0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。ゲル化防止剤の添加量が0.01質量%以上であると、ゲル状物質の生成を防止または抑制できることから好ましい。一方、連鎖移動剤の添加量が1.0質量%以下であると、得られる成形体の耐熱性に優れることから好ましい。
共重合
共重合の方法としては、特に制限されないが、塊状重合、溶液重合、懸濁重合等が挙げられる。これらのうち、製造コストの観点から塊状重合であることが好ましい。
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る共重合の方法について説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を連続塊状重合するための簡略装置図である。連続塊状重合装置は、撹拌式反応器(I)、反応器(4)、(5)、および(6)が製造ラインから並列に配置された循環重合ライン(II)、並びに反応器(7)、(8)、および(9)が製造ラインから直列に配置された非循環重合ライン(III)を有する。この際、ポンプ(1)により撹拌式反応器(I)に、ポンプ(2)により循環重合ライン(II)に、ポンプ(10)により非循環重合ライン(III)にそれぞれ導入される。また、循環重合ライン(II)はポンプ(3)により循環される。スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸等はポンプ(1)から撹拌式反応器(I)に導入され、各反応器において共重合反応が進行する。なお、必要に応じて、撹拌式反応器(I)と循環重合ライン(II)との間、循環式重合ライン(II)と非循環式重合ライン(III)との間からスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸等のモノマーや溶剤等を添加することもできる。
重合温度としては、110〜170℃であることが好ましく、120〜150℃であることがより好ましい。この際、図1の連続塊状重合のように、反応器を複数設けて共重合の反応を行う場合には、上述の重合温度はそれぞれ同じであってもよいが、異なる条件としてもよい。
工程(2)
工程(2)は、上述の工程(1)で得られる反応物を脱揮する工程である。なお、本明細書において、「脱揮」とは、高温、高真空下で未反応の単量体等の有機揮発分、重合溶剤等を分離することを意味する。この際、前記「高温」とは通常、240〜280℃であり、好ましくは250〜270℃である。また、前記「高真空」とは、通常、10.0kPa以下であり、好ましくは4.0kPa以下である。
一実施形態において、図1のスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を連続塊状重合する簡略装置図においては、ポンプ(10)の後に脱揮槽を設け、当該脱揮槽により、製造過程に生じる未反応モノマーや有機溶剤を脱揮させることができる。そして、脱揮槽に連結する回収機構により脱揮された物質を回収することとなる。
脱揮槽は1つであっても、2つ以上であってもよく、脱揮槽を2以上有する場合には、それぞれの脱揮槽の温度および圧力等の条件は同じであっても、それぞれ異なっていてもよい。
[無機粒子]
無機粒子は、アスペクト比が3以上であり、好ましくは3〜300、より好ましくは5〜100、さらに好ましくは7.5〜80である。アスペクト比が3以上である無機粒子を使用することにより得られる成形体が高い強度および高い透明性を有する。
なお、成形体がシート状である場合、従来のものよりも強度がより高いものとなりうる。より詳細には、一実施形態において、成形体をシート状に成形する場合、アスペクト比が3以上である無機粒子は、シートの延伸工程により同一方向に配置され、結果として、強度が向上する。そして、この効果はシート状の成形体が薄膜(0.5mm以下、好ましくは0.15〜0.30mm)であるほど成形体の物性に大きく寄与し、従来よりもいっそう高い強度が得られうる。なお、本明細書において「アスペクト比」とは、無機粒子の短径に対する長径(長径/短径)の値を意味する。この際、「短径」とは、一次粒子の輪郭線上の2点間の距離のうち最小の長さを意味する。また、「長径」とは、一次粒子の輪郭線上の2点間の距離のうち最大の長さを意味する。そして、「長径」および「短径」の値は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、5視野(倍率5,000〜20,000倍)に観察される任意の粒子各10個の長径または短径を測定し、その平均値として算出される値を採用するものとする。なお、無機粒子が真球状等である場合、すなわち、長径および短径が同一値となる場合、アスペクト比は1となる。
無機粒子の短径としては、特に制限されないが、0.005〜100μmであることが好ましく、0.01〜20μmであることがより好ましい。無機粒子の短径が0.005μm以上であると、脆性改良効果が高いことから好ましい。一方、無機粒子の短径が20μm以下であると、透明性保持の観点から好ましい。
無機粒子の長径としては、特に制限されないが、0.01〜200μmであることが好ましく、0.02〜40μmであることがより好ましい。無機粒子の長径が0.01μm以上であると、脆性改良効果が高いことから好ましい。一方、無機粒子の長径が200μm以下であると、透明性保持の観点から好ましい。
無機粒子としては、特に制限されないが、ハロイサイト、カオリナイト、アンチゴライト、ヘクトライト、マイカ(白雲母、金雲母、鉄雲母等)、タルク等のケイ酸塩鉱物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物等が挙げられる。これらのうち、無機粒子はケイ酸塩鉱物、硫酸塩であることが好ましく、透明性および機械的強度に優れる観点からハロイサイトであることがより好ましい。
なお、無機粒子は市販品を使用してもよく、例えば、Dragonite HP(Applied Minerals社製)等を使用することができる。
無機粒子の形状としては、特に制限されず、楕円状、円柱状、多角柱状、針状、棒状、板状、円板状、薄片状、鱗片状、中空状等が挙げられる。
上述の無機粒子は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物中の無機粒子の含有量は、樹脂組成物の固形分に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.01〜1.0質量%であることがより好ましく、0.05〜0.5質量%であることがさらに好ましい。無機粒子の含有量が0.01質量%以上であると、成形体について高い強度が得られうることから好ましい。
[添加物]
樹脂組成物は添加物を含んでいてもよい。
前記添加物としては、特に制限されないが、ゴム強化芳香族ビニル樹脂(耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂等)、芳香族ビニル熱可塑性エラストマー(スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)樹脂等)等のゴム;高級脂肪酸(ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)、エチレンビスステアリルアミド等の滑剤;流動パラフィン等の可塑剤;酸化防止剤;難燃剤;帯電防止剤;熱安定化剤;紫外線吸収剤;染料;顔料;可塑剤;加工助剤;防曇剤;耐光性向上剤;ブロッキング防止剤;架橋剤等が挙げられる。
これらの添加物は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[製造工程由来成分]
樹脂組成物は、その他、製造工程由来成分を含んでいてもよい。当該製造工程由来成分としては、有機溶剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤、ゲル化防止剤等が挙げられる。
この際、前記製造工程由来成分は、製造工程に由来したものに限られるものでなく、意図的に樹脂組成物に添加することもできる。例えば、有機溶剤の添加量を適宜変更することで、樹脂組成物の粘度を適宜調整することができる。
<樹脂組成物の製造方法>
樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を製造後、無機粒子、添加剤等を添加してもよいし、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合前または共重合中に無機粒子、添加剤等を添加してもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
<成形体>
本発明の一形態によれば、成形体が提供される。前記成形体は、上述の樹脂組成物を成形してなる。
成形体は、一次成形体であってもよいし、前記一次成形体をさらに成形した二次成形体であってもよい。
(一次成形体)
一実施形態において、一次成形体は、樹脂組成物をシート状に成形したものである。
シート形状の一次成形体の膜厚は、0.1〜0.5mmであることが好ましく、0.15〜0.30mmであることがより好ましい。一次成形体の膜厚が上記範囲にあると、本発明の効果が好適に発揮されうることから好ましい。
具体的な延伸条件として、延伸倍率は目的に応じ異なるが、通常面倍率で1.5〜15倍、より好ましくは4〜10倍である。逐次延伸の場合の流れ方向の延伸倍率は1.2〜5倍で、好ましくは1.5〜3.0倍であり、流れ方向に対しそのクロス方向の延伸倍率は1.2〜5倍で、好ましくは1.5〜3.0倍である。同時二軸延伸の各方向の延伸倍率は1.5〜5倍である。また、この際の温度条件は、ASTMD−1504に準拠し測定される配向緩和応力が0.2〜2.0MPa、より好ましくは0.4〜1.0MPaとなるように行うのが良い。配向緩和応力が0.2MPa以上であると、高いシートの耐衝撃性が得られやすく、2.0MPa以下であると、シートが延伸切れを防止または抑制し易く、また良好な二次成形性が得られうるためである。0.4〜1.0MPaの範囲であると、得られたシートの折り割れ性が良好であるばかりでなく、シートの成形性自体も極めて良好となるのでより好ましい。
成形体の製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。一実施形態において、成形体は、樹脂組成物を押出機でシート形状に溶融押出しすることにより製造することができる。この際、一次成形体を延伸する場合、延伸方法としては、得られた未延伸シートを、複数のロール群および/または加熱装置を介して加熱条件下、流れ方向(本明細書において、「MD方向」とも称する)に、一段または多段縦延伸する方法が挙げられる。この際、二軸延伸をする場合には、一段延伸フィルムのフィルム流れ方向に直交する方向(本明細書において、「TD方向」とも称する)に、一段または多段横延伸する方法により行うことができる。この際、MD方向への延伸およびTD方向への延伸は、同時に行ってもよいし、逐次に行ってもよい。好ましい一実施形態によれば、MD方向への延伸を行った後にTD方向への延伸を行う。
なお、溶融押出はT−ダイ等により行うことが好ましい。また、延伸はロールまたはテンターにより行うことが好ましい。
溶融押出の温度は、200〜280℃であることが好ましく、220〜260℃であることがより好ましい。
また、延伸の温度は、130〜165℃であることが好ましく、135〜150℃であることがより好ましい。
二次成形体は、上述の一次成形体を真空成形、圧空成形などの熱成形することにより製造することができる。これにより、食品包装用容器等の用途に適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
[実施例1]
(スチレン−メタクリル酸共重合体の製造)
スチレン92部およびメタクリル酸8部をトルエン15部に混合し、次いで、有機過酸化物であるt−ブチルペルオキシベンゾエート、連鎖移動剤であるα−メチルスチレンダイマー、およびゲル化防止剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテルを、スチレンおよびメタクリル酸の合計質量に対して、それぞれ150ppm、1000ppm、および0.2%添加して混合溶液を調製した。
スチレン−メタクリル酸共重合体は、以下のように製造した。すなわち、図1で示される装置図により塊状重合を行い、次いで2つの脱揮槽を直列に連結することで、脱揮された未反応モノマーおよび有機溶剤を回収する。その後、単管を通じてペレタイザーによりストランド化およびペレット化を行いスチレン−メタクリル酸共重合体を得た。より詳細には、ポンプ1により撹拌式反応器に上記混合溶液を供給し、撹拌式反応器(I)は110〜130℃、循環重合ライン(II)および非循環重合ライン(III)はともに120〜160℃とした。また、2つの脱揮槽は240〜280℃とした。
得られたスチレン−メタクリル酸共重合体について、重量平均分子量(Mw)、メルトマスフローレイト(MFR)、およびビカット軟化温度を測定した。
より詳細には、重合平均分子量(Mw)については、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した。この際、測定条件は以下の通りである。すなわち、高速GPCであるHLC−8220(東ソー株式会社製)、カラム(TSK−GELGMHXL×2)を使用し、サンプル5mgを10gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した溶液を装置に注入し、流量:1mL/分(THF)、恒温槽温度:40℃、示差屈折(RI)検出器にて測定した。なお、標準物質はポリスチレンである。
また、メルトマスフローレイト(MFR)については、JIS K7210:1999に準拠して測定した。
さらに、ビカット軟化温度については、JIS K7206:1999に準拠して測定した。
その結果、重量平均分子量(Mw)は230000であり、メルトマスフローレイト(MFR)は4.5g/10分であり、ビカット軟化温度は121℃であった。
(樹脂組成物および成形体の製造)
製造したスチレン−メタクリル酸共重合体に、無機粒子としてアスペクト比が10であるDragonite HP(ハロイサイト、短径:0.05μm、長径:0.5μm、形状:中空状、Applied Minerals社製)を、スチレン−メタクリル酸共重合体:無機粒子=97.5:2.5の比率(質量比)で混合し、二軸押出機を用いて250℃で溶融混練を行い、マスターバッチを作製した。次いで、スチレン−メタクリル酸共重合体に、作製したマスターバッチを、スチレン−メタクリル酸共重合体:マスターバッチ=98.0:2.0の比率(質量比)で混合して樹脂組成物を製造した。
そして、得られた樹脂組成物について、単軸押出機(スクリュー径:40mm)を用い、押出温度250℃、ロール温度105℃、引取速度0.7〜0.8m/分の条件で、厚さ1.0mmの未延伸シートを製造した。得られた未延伸シートを10×10cmに切り出し、単発延伸機で二軸延伸を行うことで成形体を製造した。なお、延伸温度は145℃であり、MD方向に2.5倍、TD方向に2.5倍となるように延伸した。なお、二軸延伸シートは、厚さ0.16mmであった。
[実施例2]
無機粒子として、アスペクト比が20である板状硫酸バリウムA(硫酸バリウム、短径:0.5μm、長径:10μm、形状:板状、堺化学工業株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を製造した。
[実施例3]
無機粒子として、アスペクト比が67であるHG−LFP(硫酸バリウム、短径:0.3μm、長径:20μm、形状:板状、堺化学工業株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を製造した。
[実施例4]
無機粒子として、アスペクト比が4であるXZ−3000F−LP(酸化亜鉛、短径:0.075μm、長径:0.3μm、形状:板状、堺化学工業株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を製造した。
[実施例5]
無機粒子として、アスペクト比が200であるミクロマイカMK−300(マイカ、短径:0.1μm、長径:20μm、形状:板状、片倉コープアグリ株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を製造した。
[比較例1]
無機粒子を添加しなかったことを除いては、実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を製造した。
[比較例2]
無機粒子として、アスペクト比が1であるSCS−M5(炭酸カルシウム、粒径:5μm、形状:球状、堺化学工業株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を製造した。
Figure 0006926466
実施例1〜5および比較例1および2で得られた成形体を用いて性能評価を行った。
[耐折強度評価]
成形体(二軸延伸シート)について、MIT耐折疲労試験機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、耐折強度の測定を行った。具体的には、試験速度175cpm、折り曲げ角度135度、荷重1.0kgfとした。なお、破断するまでの往復折り曲げ回数を測定値とした。なお、測定は縦方向(MD方向)および横方向(TD方向)のそれぞれについて行った。得られた結果を下記表2に示す。
[ヘーズ]
成形体(二軸延伸シート)について、JIS K7105:1981に準拠してヘーズ(濁度)を測定した。得られた結果を下記表2に示す。
Figure 0006926466
表2の結果からも明らかなように、実施例1〜5で得られる成形体は、MDの耐折強度の値およびTDの耐折強度の値がいずれも高く、高い強度を有することが分かる。また、実施例1〜5で得られる成形体は、ヘーズの値が低く、高い透明性を有することが分かる。
一方、比較例1で得られる成形体は、無機粒子を含まないことから、高い透明性を有するものの、強度が低いことが分かる。また、比較例2で得られる成形体は、無機粒子を含むため一定の強度が得られるものの、必ずしも高い強度を有するとはいえないものであった。
1、2、3、10 ポンプ、
4、5、6、7、8、9 反応器、
I 撹拌式反応器、
II 循環重合ライン、
III 非循環重合ライン。

Claims (3)

  1. スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル酸をモノマー単位として含む、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体と、
    アスペクト比が3以上である無機粒子と、
    を含む、樹脂組成物であって、
    前記アスペクト比が、無機粒子の短径に対する長径の値であり、
    前記短径及び前記長径が、走査型電子顕微鏡により観察される任意の無機粒子10個の短径及び長径のそれぞれの平均値であり、
    前記無機粒子の含有量が、前記樹脂組成物の全質量に対して、0.01〜1.0質量%であり、
    前記無機粒子が、ハロイサイトを含むものである、樹脂組成物。
  2. 前記無機粒子のアスペクト比が、5〜100である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の樹脂組成物を成形してなる、成形体。
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