JP4133189B2 - 保護層転写媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばインクジェット印刷や昇華印刷等の印刷法によって得た印刷に耐擦過性、耐候性、耐水性等を付与するとともに、光沢性をも付与することができる保護層転写媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット印刷によって得た印刷は、多くの場合、耐擦過性、耐候性、および耐水性が十分でなく、また昇華印刷によって得た印刷は耐候性が十分でない場合が多い。また、インクジェット印刷において高精細でかつ耐水性等が改善された印刷をするためには、その表面にインク受容層を形成した専用紙を用いる場合が多いが、これら専用紙の、インク受容層の多くは表面がつや消しであって光沢を有する印刷が得られない。
【0003】
また、いわゆるプリント倶楽部(登録商標)などの、昇華印刷によって形成した画像に光沢を付与することも求められている。
そこで、インクジェット印刷や昇華印刷等の印刷法によって得た印刷に耐擦過性、耐候性、耐水性等を付与するとともに、光沢性を付与するため、印刷上に、透明な樹脂の薄層からなる転写性保護層を熱転写などして、印刷を、当該転写性保護層で覆うことが提案された(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された、上記転写性保護層を備えた保護層転写媒体は、樹脂のフィルムからなる支持基材の片面に、離型層を介して転写性保護層を積層するとともに、反対面に、耐熱スリップ層を形成したものである。
また転写性保護層は、支持基材の片面に積層した主保護層と、この主保護層の、積層側と反対側の表面に積層した感熱接着層とを含む積層構造に形成する。
また耐熱スリップ層は、サーマルヘッドを用いて、上記保護層転写媒体のうち転写性保護層を、印刷後の紙などの表面に熱転写させる際に、支持基材とサーマルヘッドとの間に介在して、支持基材がヘッドに熱融着するのを防止したり、通常は長尺帯状に形成され、ロール状に巻き込んだ形で供給される保護層転写媒体がブロッキングするのを防止したりするとともに、保護層転写媒体の滑りをよくするために、シリコーン樹脂などで形成する。
【0005】
また、保護層転写媒体と類似した構成を有する、熱転写リボンなどの熱転写記録媒体においては、支持基材の、サーマルヘッドと接触する側の表面に、粒状シリカと結着樹脂とを含む接着剤を塗布して層を形成することが提案されている(例えば特許文献2参照)。
かかる層は、層中に分散した粒状シリカに基づく凹凸を有しており、サーマルヘッドの表面にチリ、ゴミ、ホコリ等が付着した際にこれを除去するためのクリーニング層として機能する。このため、サーマルヘッドの表面に上記チリ等が堆積して熱伝導不良を起こすことで、熱転写記録時に転写不良が発生するのを防止することができる。
【0006】
また特許文献3には、上記クリーニング層の改良として、製膜性に優れた樹脂からなる幹ポリマーに、反応性シリコーンとビニル単量体との共重合体からなる枝ポリマーをグラフトさせた変性共重合体を結着樹脂として用いることによって、クリーニング層の膜強度を向上することが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−153677号公報(第0005欄、第0006欄、第0009欄、図1)
【特許文献2】
特開昭62−32019号公報(第2頁右下欄第2行〜同欄第8行)
【特許文献3】
特開平9−99655号公報(第0008欄〜第0011欄)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
保護層転写媒体においても、熱転写記録媒体と同様に、サーマルヘッドの表面にチリ等が付着した際にこれを除去するためのクリーニング層を設けることが好ましい。
しかし特許文献2の構成では、既に特許文献3においても開示されているように、クリーニング層の膜強度が不十分であって、当該クリーニング層を形成する結着樹脂や粒状シリカが熱転写時に掻き落とされて、逆にサーマルヘッドの表面にチリ等として付着、蓄積されるという問題がある。
【0009】
しかも保護層転写媒体は熱転写記録媒体と違って、インクジェット印刷や昇華印刷等による印刷面を全て面状に覆って保護すべく、常に全ベタ転写、つまりサーマルヘッドの全ての熱素子にエネルギーを付与して、点や線ではなく面で熱転写される。このため、サーマルヘッドからクリーニング層に加えられる熱的あるいは機械的な負荷が熱転写記録媒体の場合と比べて大きいため、たとえ膜強度を高めた特許文献3のクリーニング層であっても、当該クリーニング層を形成する結着樹脂や粒状シリカが熱転写時に掻き落とされて、逆にサーマルヘッドの表面にチリ等として付着、蓄積されるという問題を完全に解決することはできなかった。
【0010】
この発明の目的は、クリーニング層が熱転写時に掻き落とされて、サーマルヘッドの表面にチリ等として付着、蓄積される問題を生じるおそれがなく、しかもサーマルヘッドにチリ等が付着した際にはこれを確実に除去することができる、新規な保護層転写媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、支持基材と、当該支持基材上にはく離可能に積層した転写性保護層とを備え、上記支持基材を、ともにポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂のフィルムからなる第1層と第2層とを含む積層構造に形成し、かつ第1層を形成する樹脂中に粒子を分散させることで、当該第1層の、第2層との積層側と反対側の表面を、その表面粗さが、算術平均粗さRaで表して0.2〜1.0μmである粗面に形成するとともに、第2層の、第1層との積層側と反対側の表面を、照射角20°における光沢度が50°以上である平滑面に形成し、転写性保護層を、上記第2層の平滑面上に積層したことを特徴とする保護層転写媒体である。
【0012】
請求項1の構成では、支持基材を形成する第1層中に粒子を分散させることで、当該第1層の、第2層との積層側と反対側の表面を粗面(凹凸面)として、それ自体にクリーニング層としての機能を付与している。
しかも、かかる第1層は自己保持性、すなわち単層でも十分に自立して取り扱える強度を有する、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂のフィルムからなり、従来構造の、自己保持性を有しないクリーニング層に比べて著しく高強度であるため、熱転写時に掻き落とされるおそれが殆どない。
さらに、上記の樹脂からなるフィルムは高強度である上、温度、湿度に対する寸法安定性が良好である。また、上記の樹脂は熱成形性に優れるため、例えば押出成形によって製造したフィルムは厚みムラの少ない均一な厚みを有するとともに、表面平滑性に優れたものとなる。また粒子を分散させたフィルムは、粒子の形状を忠実に再現した凹凸を有するものとなる。
したがって請求項1の構成では、第1層および第2層をそれぞれ上記の樹脂にて形成することで、その強度や寸法安定性にすぐれた支持基材を得ることができる。また第1層の粗面を、分散した粒子の形状に忠実な、したがって表面粗さが精密にされたものとすることができる上、第2層の平滑面を、表面光沢度に優れたものとすることもできる。
【0013】
したがって請求項1の構成によれば、従来構造のクリーニング層を必要としないので、当該クリーニング層が熱転写時に掻き落とされて、サーマルヘッドの表面にチリ等として付着、蓄積されるといった問題を生じることなしに、当該サーマルヘッドにチリ等が付着した際にはこれを確実に除去することが可能となる。
なお第1層の、第2層との積層側と反対側に形成した粗面の表面粗さを、算術平均粗さRaで表して0.2〜1.0μmとしているのは、算術平均粗さRaが0.2μm未満では、当該粗面の凹凸が小さすぎて、良好なクリーニング性を付与することができないためである。
【0014】
また算術平均粗さRaが1.0μmを超える場合には、粗面による研削機能が強くなりすぎて、例えばサーマルヘッドの、各熱素子の表面に形成した表面保護層を早期に摩滅させてサーマルヘッドの寿命を縮めてしまうためである。また、算術平均粗さRaが1.0μmを超える場合には、支持基材の、サーマルヘッドとの密着性が低下して、感熱接着層への熱伝導が不十分となる結果、転写性保護層の熱転写性が低下するためである。
【0015】
また第2層の、第1層との積層側と反対側に形成した平滑面の、照射角20°における光沢度を50°以上としているのは、光沢度が50°未満では、かかる平滑面に塗布液を塗布し、乾燥、固化させるなどして形成するため平滑面の表面形状がそのまま反映される転写性保護層の表面の、表面平滑性が低下して、当該転写性保護層によって印刷を覆った際に、印刷の光沢性を向上できないためである。
【0016】
請求項2記載の発明は、転写性保護層を、第2層の平滑面上に積層した主保護層と、この主保護層の、積層側と反対側の表面に積層した、ガラス転移温度が5〜50℃、水酸基価または酸価が70〜350mgKOH/gである、アクリル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂にて形成した感熱接着層とを含む積層構造としたことを特徴とする請求項1記載の保護層転写媒体である。
【0017】
請求項2の構成によれば、転写性保護層を、上記のように主に印刷の保護と光沢の付与とを担う主保護層と、熱転写性と熱転写後の接着強度の向上とを担う感熱接着層との積層構造としているため、単層で形成した場合に比べてこれらの特性を向上することができる。
また、上記の樹脂はいずれも、透明性や熱接着性に優れている。したがって感熱接着層を上記の樹脂にて形成することで、その透明性や熱接着性を著しく向上することができる。
【0018】
なお、感熱接着層を形成する樹脂のガラス転移温度を5〜50℃としているのは、ガラス転移温度が5℃未満では、感熱接着層の溶融温度が低くなりすぎて、ブロッキング等を発生しやすくなるおそれがあるためである。またガラス転移温度が50℃を超えた場合には、転写性保護層の、印刷表面に対する接着力が不足するおそれがあるためである。
また、感熱接着層を形成する樹脂の水酸基価または酸価を70〜350mgKOH/gとしているのは、一般に市販されているインクジェット印刷用のインクの殆どが水性である上、前述したインクジェット印刷用の専用紙のインク受容層が、水性のインクに対応した親水性樹脂を含んでいるため、これらの表面に対する接着性を向上させるとともに、十分な耐水性を確保するためである。
【0019】
すなわち、水酸基価または酸価が70mgKOH/g未満では、上述した親水性の下地に対する熱転写性や接着性が不十分になるおそれがある。また水酸基価または酸価が350mgKOH/gを超える場合には感熱接着層の、ひいては転写性保護層の耐水性が低下するおそれがある。
請求項3記載の発明は、主保護層を、ガラス転移温度が70℃以上で、かつ分子量が5万〜25万である、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、およびセルロース系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂にて形成したことを特徴とする請求項2記載の保護層転写媒体である。
【0020】
上記の樹脂は何れも、透明性や表面の光沢性に優れた薄層を形成し得るものである。したがって請求項3の構成では、主保護層を上記の樹脂にて形成することで、その透明性や表面の光沢性を著しく向上することができる。
なお、主保護層を形成する樹脂のガラス転移温度を70℃以上としているのは、ガラス転移温度が70℃未満では、例えばサーマルヘッドで熱転写する際に、支持基材側からの熱ダメージにより、主保護層の、当該サーマルヘッド表面に配置された熱素子と接触した部分のみが局部的に軟化し、膨張したり変形したりする結果、主保護層が不均一に変形して表面の光沢性が低下したり、透明性が低下したりするおそれがあるためである。
【0021】
また樹脂の分子量を5万〜25万としているのは、分子量が2万未満では主保護層のガラス転移温度が上記の範囲を下回って上記の問題を生じたり、あるいは主保護層の強度が低下して、当該主保護層による、印刷を保護する効果が不十分になったりするおそれがあるためである。また、分子量が25万を超えた場合には、例えば熱転写開始時や終了時などにおける転写性保護層のキレが悪くなってその境界部分、つまり転写性保護層の端の部分が不規則に破断されたり、それによって発生した転写性保護層の切れ端が、サーマルヘッドの表面にチリ等として付着、蓄積されたりするおそれがあるためである。
【0022】
請求項4記載の発明は、第1層を形成する樹脂中に分散させる粒子を球状粒子としたことを特徴とする請求項1記載の保護層転写媒体である。
第1層を形成する樹脂中に分散させる粒子が針状や尖端部を有する不定形粒状などであったりすると、例えば長尺帯状の保護層転写媒体をサーマルヘッドに接触させながら送る際に、当該粒子がサーマルヘッドの表面に引っかかって、保護層転写媒体のスムースな送りを妨げて、保護層転写媒体の、サーマルヘッドへの熱融着を生じたり、サーマルヘッド表面に配置した熱素子の表面保護層を傷つけて、サーマルヘッドの寿命を縮めたりするおそれがある。
【0023】
これに対し、第1層を形成する樹脂中に分散させる粒子を球状粒子にすると、サーマルヘッドのクリーニング性を維持しつつ、当該サーマルヘッドに対する滑りを向上することができるため、上記の問題が発生するのを防止することができる。
請求項5記載の発明は、第1層を形成する樹脂中に分散させる粒子を、モース硬さ7.0以上の球状粒子としたことを特徴とする請求項1記載の保護層転写媒体である。
【0024】
球状粒子のモース硬さが7.0未満では、サーマルヘッドの表面にチリ等が付着した際にこれを効率的に除去する効果、すなわちクリーニング性が不十分になるおそれがある。また、かかる軟らかい粒子を用いた場合には、熱転写時の圧力によって粒子が押しつぶされて微粉が発生し、それがチリ等としてサーマルヘッドの表面に堆積したり、粒子が押しつぶされて平滑になった第2層がサーマルヘッドに熱融着したりするおそれがある。
【0025】
請求項6記載の発明は、第1層と第2層とを、共押出法によって積層形成したことを特徴とする請求項1記載の保護層転写媒体である。
請求項6の構成では、上記のように第1層と第2層とを、共押出法によって一度に積層形成できるため、その生産性を向上して、保護層転写媒体の製造コストを著しく低下させることができる。
請求項7記載の発明は、インクジェット印刷用の専用紙の、親水性樹脂を含むインク受容層に、水性のインクジェット印刷用のインクを用いて形成した印刷上に転写性保護層を転写して、前記印刷を、転写した転写性保護層で覆うために用いる請求項1記載の保護総転写媒体である。
請求項7の構成によれば、インクジェット印刷によって得た印刷に、前記転写性保護層によって、耐擦過性、耐候性、耐水性を付与するとともに、光沢性をも付与することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明を説明する。
この発明の保護層転写媒体は、前記のように支持基材と、当該支持基材の表面にはく離可能に積層した転写性保護層とを備えている。
【0027】
〈支持基材〉
上記のうち支持基材は、ともに自己保持性を有する、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂のフィルムからなる第1層と第2層とを含む積層構造に形成する。
【0028】
この理由は先に述べたとおりである。
(第1層)
第1層は、当該第1層を形成する樹脂中に粒子を分散させることで、第2層との積層側と反対側の表面を粗面に形成する。これにより、第1層の粗面にクリーニング層としての機能を付与して、従来構造のクリーニング層を省略することができるため、当該クリーニング層が熱転写時に掻き落とされて、サーマルヘッドの表面にチリ等として付着、蓄積されるといった問題を生じることなしに、サーマルヘッドにチリ等が付着した際にはこれを確実に除去することが可能となる。
【0029】
また、例えば保護層転写媒体を長尺帯状に形成してロール状に巻き込んだ際には、上下の保護層転写媒体が粗面を挟んで接するため、この両者が密着しすぎることがない。したがって減反の巻きが安定する、保護層転写媒体を安定供給できる、ブロッキングを発生しにくくできる、といった利点もある。
粗面の表面粗さは、算術平均粗さRaで表して0.2〜1.0μmに限定する。この理由は先に述べたとおりである。
【0030】
なお、粗面によるクリーニング性をさらに向上することを考慮すると、当該粗面の算術平均粗さRaは、上記の範囲内でも特に0.3μm以上であるのが好ましい。
また、例えばサーマルヘッドの、各熱素子の表面に形成した表面保護層を早期に摩滅させてサーマルヘッドの寿命を縮めるのを防止することを考慮する、粗面の算術平均粗さRaは、上記の範囲内でも特に0.6μm以下であるのが好ましい。
【0031】
なお後述するように、第1層の粗面上には、熱転写時に、支持基材とサーマルヘッドとの間に介在して、支持基材がヘッドに熱融着するのを防止したり、通常は長尺帯状に形成され、ロール状に巻き込んだ形で供給される保護層転写媒体がブロッキングするのを防止したりするとともに、保護層転写媒体の滑りをよくするために、従来同様に、シリコーン樹脂などからなる耐熱スリップ層を形成するのが好ましい。
【0032】
この場合、この発明では、耐熱スリップ層を形成した状態での、粗面の算術平均粗さRaを0.2〜1.0μmに限定することとする。したがって、下地としての第1層の粗面の、生の表面粗さを、耐熱スリップ層を形成後の算術平均粗さRaを見越して調整する必要がある。
粗面を形成すべく第1層に分散させる粒子としては、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレイ、カオリン、タルク等の無機材料からなる粒子を挙げることができる。
【0033】
なお粒子は、そのモース硬さが7.0以上、特に8.0以上であるのが好ましい。モース硬さが7.0未満では、サーマルヘッドの表面にチリ等が付着した際にこれを効率的に除去する効果、すなわちクリーニング性が不十分になるおそれがある。また、かかる軟らかい粒子を用いた場合には、熱転写時の熱や圧力によって粒子が押しつぶされて微粉が発生し、それがチリ等としてサーマルヘッドの表面に堆積したり、粒子が押しつぶされて平滑になった第2層がサーマルヘッドに熱融着したりするおそれがある。
【0034】
また粒子としては、前述したように球状の粒子が好ましい。ここで言う球状とは、粒子を電子顕微鏡で観察した際に、その長径と短径の比が1:1〜1.5:1である粒子の占める割合が80%以上である状態を指す。
さらに粒子の平均粒径は、0.05〜10μmであるのが好ましい。粒子の平均粒径が0.05μm未満では、第1層の粗面の算術平均粗さRaが0.2μm未満になって、粗面に十分なクリーニング性を付与できないおそれがある。また粒子の平均粒径が10μmを超えた場合には、第1層の粗面の算術平均粗さRaが1.0μmを超えて、例えばサーマルヘッドの、各熱素子の表面に形成した表面保護層を早期に摩滅させてサーマルヘッドの寿命を縮めるおそれがある。
【0035】
なお粒子の平均粒径は、上記の範囲内でも特に0.1〜8μmであるのが好ましく0.1〜6μmであるのがさらに好ましい。
かかる粒子の好適な例としては、例えば(株)アドマテックス製の高純度合成球状シリカ(型番:SO−C2、SO−C3、SO−C5、SO−E2、SO−E3、SO−E5、何れもモース硬さ7.0)や、あるいは同社製の高純度合成球状アルミナ(型番:AO−500、AO−502、AO−509、AO−800、AO−802、AO−809、何れもモース硬さ8.5)などを挙げることができる。
【0036】
第1層の、粒子の含有割合は、当該第1層を形成する樹脂と粒子との総量に対して0.1〜30重量%であるのが好ましく、0.8〜20重量%であるのがさらに好ましい。
粒子の含有割合が0.1重量%未満では、第1層の粗面の算術平均粗さRaが0.2μm未満になって、粗面に十分なクリーニング性を付与できないおそれがある。また含有割合が30重量%を超えた場合には、第1層の強度が低下して自己保持性が失われる結果、当該第1層を形成する樹脂や粒子が熱転写時に掻き落とされるなどして、サーマルヘッドの表面にチリ等として付着、蓄積されるおそれがある。
【0037】
(第2層)
第2層は、第1層との積層側と反対側の表面を、照射角20°における光沢度が50°以上である平滑面に形成する。この理由も先に述べたとおりである。
なお転写性保護層は、熱転写時の熱によって若干の熱変形、具体的には主保護層表面の波うち等を生じる場合があり、熱変形すると透明性や光沢性が低下するおそれがあるので、これをより確実に防止して、熱転写後の転写性保護層の透明性や光沢性をさらに向上することを考慮すると、上記平滑面の、照射角20°における光沢度は、上記の範囲内でも特に100°以上であるのが好ましい。
【0038】
光沢度の上限は特に限定されない。第2層を形成する樹脂自体の特性や、あるいは第2層の形成方法等に応じて、実現可能な限界値まで含み得るものとする。
(支持基材の作製方法)
上記第1層と第2層とからなる支持基材は、例えば両層のもとになるフィルムを、接着剤を介して積層、接着して製造してもよい。また、一方の層のもとになるフィルムの上に、押出機を用いてフィルム状に押出成形した、他方の層のもとになる溶融フィルムを積層して熱融着させて製造してもよい。
【0039】
ただし両層を、共押出法によって積層形成して支持基材を作製するのが好ましい。
さらに詳しく説明すると、第1層および第2層のもとになる2種類のフィルムを形成する材料をそれぞれ個別の押出機に供給して溶融し、次いで溶融した材料をフィードブロックに供給して合流、積層した後、ダイを通してシート状に押出成形する方法である。
【0040】
この方法を用いるならば、第1層と第2層の熱収縮率の差をなくすことができるため、製造後の熱履歴によるカール等のトラブルを防止することができるし、1層のみの製造工程ではフィルム破断の問題がつきまとうが、これを防止することもできる。
しかも、例えば押出成形後のシートを1軸もしくは2軸延伸することによってさらに薄肉化できるなど、薄肉化の面でも優れている。熱転写の分野では感度上の問題もあることから、支持基材の薄肉化は重要な要素である。
【0041】
さらに、原料樹脂から1工程で積層構造の支持基材を製造できるので、先に述べたように生産性や製造コストの面でも優れている。
しかも、例えば2層のフィルムを接着するための接着剤や、1層のフィルムの上に塗布液をぬれ性よく塗布するためのアンカーコート等を使用しないので、残留溶剤による加工上のトラブルがなく、エージング不要の点でも優れている。
積層した支持基材の厚みは1〜50μmであるのが好ましく、3〜25μmであるのがさらに好ましい。
【0042】
厚みが1μm未満では、支持基材としての強度が不十分になって、熱転写時に破断したりするおそれがある。また50μmを超える場合は、記録の感度が低下するおそれがある。
共押出法による支持基材の製造に際しては、粒子を、第1層を形成する樹脂と単純に混合して押出成形に使用してもよい。
ただし、熱転写時などに外力が加わった際に粒子の脱落をより確実に防止するためには、例えば粒子を、シランカップリング剤などで処理した状態で、第1層を形成する樹脂と混合し、溶融混練した後粉砕した材料などを押出成形に使用するのが好ましい。
【0043】
また、例えばポリエステルの場合は、当該ポリエステルを合成する系に粒子を添加した状態で合成反応を行うことで、ポリエステルと粒子とをより一層、強固に結合した複合材料を形成し、これを押出成形に使用するのがさらに好ましい。
(耐熱スリップ層)
第1層の粗面には、前述したように耐熱スリップ層を形成してもよい。
耐熱スリップ層は、例えばシリコーン系樹脂、フッ素樹脂、硬化性樹脂等の耐熱性に優れた樹脂を含む塗布液を、グラビアコート、ロールコート、リバースグラビアコート、リバースロールコート等の種々の塗布方法によって第1層の粗面上に塗布し、乾燥、固化させ、さらに必要に応じて架橋させることによって形成する。
【0044】
かかる耐熱スリップ層は、従来構造のクリーニング層と違って粒子を含有せず、樹脂成分のみで形成される上、その厚みもクリーニング層より小さい(およそ0.01〜1.0μm程度)ので膜強度が強く、サーマルヘッド等によって掻き落とされることが殆どない。したがって耐熱スリップ層は、サーマルヘッドにチリ等が堆積するのを防止するというこの発明の効果を妨げるものではない。
なお、前記のようにこの発明では、第1層の粗面に耐熱スリップ層を形成する場合は、当該耐熱スリップ層を形成した状態での、粗面の算術平均粗さRaを0.2〜1.0μmに限定することとする。したがって第1層の粗面上に耐熱スリップ層を形成した際に、その算術平均粗さRaが上記の範囲内となるように、塗布厚みを調整することが重要である。
【0045】
(転写性保護層)
第2層の平滑面に積層する転写性保護層は、従来同様の構成とすることができる。
中でも特に、主に印刷の保護と光沢の付与とを担う主保護層と、熱転写性と熱転写後の接着強度の向上とを担う感熱接着層との積層構造とするのが好ましい。
また主保護層は、ガラス転移温度が70℃以上で、かつ分子量が5万〜25万である、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、およびセルロース系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂にて形成するのが好ましい。
【0046】
さらに感熱接着層は、ガラス転移温度が5〜50℃、水酸基価または酸価が70〜350mgKOH/gである、アクリル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂にて形成するのが好ましい。
これらの理由も先に述べたとおりである。
なお、主保護層を形成する樹脂のガラス転移温度は、熱転写時の熱ダメージに対する耐性を向上することを考慮すると、上記の範囲内でも特に100℃以上であるのが好ましい。またガラス転移温度の上限は特に限定されず、上述した樹脂において実用化が可能な限界値まで含み得るものとする。
【0047】
主保護層は、当該層を形成する上記の樹脂等を含む塗布液を、グラビアコート、ロールコート、リバースグラビアコート、リバースロールコート等の種々の塗布方法によって第2層の平滑面上に塗布したのち乾燥、固化させることによって形成する。
また感熱接着層は、当該層を形成する上記の樹脂等を含む塗布液を、同様の塗布方法によって、先に形成した主保護層の上に塗布したのち乾燥、固化させることによって形成する。
【0048】
主保護層は樹脂層であって凝集力が強いため、熱転写時には、第1層との界面で良好にはく離して熱転写される。したがって、第1層の表面である平滑面に接触していた熱転写後の主保護層の表面には、第1層の平滑面の表面形状がそのまま反映される。それゆえ第1層の平滑面の光沢度を前記の範囲に規定することによって、主保護層の表面を平滑面として、印刷に良好な光沢性を付与することができる。
【0049】
【実施例】
以下にこの発明を、樹脂の製造例、実施例、比較例に基づいて説明する。
製造例1(ポリエステルA)
ジメチルテレフタレート100重量部と、エチレングリコール60重量部と、酢酸マグネシウム4水塩0.09重量部とを反応器にとり、反応開始温度を180℃として、反応器を閉じた状態で加熱して昇温を開始するとともに、反応によって発生したメタノールを留去することでエステル交換反応を行った。そして反応開始から4時間を要して230℃に昇温した時点で加熱を停止して、実質的にエステル交換反応を終了した。
【0050】
次に、球状シリカ粒子〔(株)アドマテックス製のSO−C3、平均粒径0.8〜1.2μm〕2.0重量部を適量のエチレングリコールと混合したエチレングリコールスラリーを反応系に添加し、さらにエチルアシッドフォスフェート0.04重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を添加した後、反応器を閉じ、100分間かけて温度を280℃まで上昇させるとともに、圧力を199.5Paまで減圧し、以後も徐々に圧力を減じながら、最終的に39.9Paまで減圧した。
【0051】
そしてこの状態で4時間、維持した後、系内を常圧に戻してポリエステルAを得た。
得られたポリエステルAにおける、球状シリカ粒子の含有割合は2.0重量%であった。
製造例2(ポリエステルB)
球状シリカ粒子を含むエチレングリコールスラリーを反応系に添加しなかったこと以外は製造例1と同様にしてポリエステルBを得た。
【0052】
得られたポリエステルBにおける、球状シリカ粒子の含有割合は0重量%であった。
製造例3(ポリエステルC)
ポリエステルA 80重量部と、ポリエステルB 20重量部とを配合し、ドライブレンドしてポリエステルCを得た。
得られたポリエステルCにおける、球状シリカ粒子の含有割合は1.6重量%であった。
【0053】
製造例4(ポリエステルD)〜製造例8(ポリエステルH)
ポリエステルAとポリエステルBとを、表1に示す重量部で配合したこと以外は製造例3と同様にしてポリエステルD〜ポリエステルHを得た。
得られたポリエステルD〜ポリエステルHにおける、球状シリカ粒子の含有割合は、表1に示すとおりであった。
【0054】
【表1】
【0055】
製造例9(ポリエステルI)
球状シリカ粒子を含むエチレングリコールスラリーに代えて、球状アルミナ粒子〔(株)アドマテックス製のAO−502、平均粒径0.4〜0.7μm〕2.0重量部を適量のエチレングリコールと混合したエチレングリコールスラリーを反応系に添加したこと以外は製造例1と同様にしてポリエステルIaを得た。
そしてこのポリエステルIa 80重量部と、ポリエステルB 20重量部とを配合し、ドライブレンドしてポリエステルIを得た。
【0056】
得られたポリエステルIにおける、球状アルミナ粒子の含有割合は1.6重量%であった。
製造例10(ポリエステルJ)
球状シリカ粒子を含むエチレングリコールスラリーに代えて、不定形粒状のシリカ粒子〔富士シリシア化学(株)製、平均粒径2.7μm〕2.0重量部を適量のエチレングリコールと混合したエチレングリコールスラリーを反応系に添加したこと以外は製造例1と同様にしてポリエステルJaを得た。
【0057】
そしてこのポリエステルJa 80重量部と、ポリエステルB 20重量部とを配合し、ドライブレンドしてポリエステルJを得た。
得られたポリエステルJにおける、シリカ粒子の含有割合は1.6重量%であった。
製造例11(ポリエステルK)
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル100重量部と、エチレングリコール60重量部と、酢酸カルシウム1水塩0.1重量部とを反応器にとり、反応開始温度を180℃として、反応器を閉じた状態で加熱して昇温を開始するとともに、反応によって発生したメタノールを留去することでエステル交換反応を行った。そして反応開始から4時間を要して230℃に昇温した時点で加熱を停止して、実質的にエステル交換反応を終了した。
【0058】
次に反応系に、リン酸0.04重量部を添加した後、球状シリカ粒子〔(株)アドマテックス製のSO−C3、平均粒径0.8〜1.2μm〕0.8重量部と、三酸化アンチモン0.04重量部とを添加した後、反応器を閉じ、120分間かけて温度を290℃まで上昇させるとともに、圧力を39.9Paまで減圧した。
そしてこの状態で4時間、維持したのち加熱を停止し、窒素加圧下で反応器外へ吐出させてポリエステルKを得た。
【0059】
得られたポリエステルKにおける、球状シリカ粒子の含有割合は0.8重量%であった。
製造例12(ポリエステルL)
球状シリカ粒子の添加量を0.2重量部としたこと以外は製造例11と同様にしてポリエステルLを得た。
得られたポリエステルLにおける、球状シリカ粒子の含有割合は0.2重量%であった。
【0060】
実施例1
(支持基材の作製)
ポリエステルDのチップとポリエステルHのチップをそれぞれ180℃で乾燥後、別個の押出機に供給して、290℃で溶融し、フィードブロックに供給して合流、積層した後、ダイを通してシート状に押出成形した。そして押出成形したシートを、静電印加密着法によって、表面温度を40℃に設定した冷却ロールに密着させた状態で冷却固化して積層未延伸シートを得た。冷却は、第2層となるポリエステルHの層を冷却ロールに密着させて行った。
【0061】
次にこの積層未延伸シートを、85℃で樹脂の流れ方向(縦方向)に4.1倍延伸した後、テンターに導いて、100℃で樹脂の流れ方向と交差する方向(横方向)に4.5倍延伸した。
そして230℃で熱固定したのち冷却して、ポリエステルDからなる厚み2.0μmの第1層と、ポリエステルHからなる厚み4.5μmの第2層とを備えた2層構造の支持基材を作製した。
【0062】
(耐熱スリップ層の形成)
上記支持基材のうち第1層の、第2層との積層側と反対側の表面である粗面に、架橋剤としてポリイソシアネートを添加したアクリル−シリコーングラフト共重合樹脂溶液を塗布(塗布量0.2g/m2)し、乾燥、固化させるとともに架橋させて耐熱スリップ層を形成した。
(転写性保護層の形成)
上記支持基材のうち第2層の、第1層との積層側と反対側の表面である平滑面に、ガラス転移温度105℃、分子量100,000のアクリル樹脂を含む、下記配合の塗布液1を塗布(塗布量1.5g/m2)したのち、乾燥、固化させて主保護層を形成した。
【0063】
塗布液1
(成 分) (重量部)
アクリル樹脂 30
(ガラス転移温度105℃、分子量100,000)
メチルエチルケトン 35
トルエン 35
次にこの主保護層の上に、ガラス転移温度35℃、水酸基価170mgKOH/g、酸化135mgKOH/gのアクリル樹脂を含む、下記配合の塗布液Aを塗布(塗布量1.5g/m2)したのち乾燥、固化させて感熱接着層を形成して、2層構造の転写性保護層を形成した。
【0064】
塗布液A
(成 分) (重量部)
アクリル樹脂 30
(ガラス転移温度35℃、水酸基価170mgKOH/g、酸化135mgKOH/g)
メチルエチルケトン 35
トルエン 35
そしてこれにより、耐熱スリップ層/第1層/第2層/主保護層/感熱接着層の5層構造を有する保護層転写媒体を製造した。
【0065】
比較例1
ポリエステルHを単独で押出成形して単層未延伸シートを得、この未延伸シートを実施例1と同条件で延伸し、熱固定したのち冷却して作製した、厚み6.5μmの単層構造の支持基材を用いたことと、当該支持基材の片面に、耐熱スリップ層に代えて、下記配合の塗布液を塗布(塗布量0.2g/m2)したのち乾燥、固化させるとともに樹脂を架橋させて、従来構造のクリーニング層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、クリーニング層/単層支持基材/主保護層/感熱接着層の4層構造を有する保護層転写媒体を製造した。なお主保護層は、支持基材の、押出後の冷却時に冷却ロールと接触した側の面に形成した。
【0066】
塗布液
(成 分) (重量部)
アクリルシリコングラフト共重合体
23.4
ポリイソシアネート 2.0
球状シリカ粒子 4.6
〔(株)アドマテックス製のSO−C3、平均粒径0.8〜1.2μm〕
メチルエチルケトン 70.0
実施例2〜6、実施例8、比較例2〜4
第1層および第2層を、表2、表3に示すポリエステルを用いて形成したこと以外は実施例1と同様にして、厚み2.0μmの第1層と、厚み4.5μmの第2層とを備えた2層構造の支持基材を作製した。
【0067】
そして、かかる支持基材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、耐熱スリップ層/第1層/第2層/主保護層/感熱接着層の5層構造を有する保護層転写媒体を製造した。
実施例7
ポリエステルKのチップとポリエステルLのチップをそれぞれ180℃で乾燥後、別個の押出機に供給して、290℃で溶融し、フィードブロックに供給して合流、積層した後、ダイを通してシート状に押出成形した。そして押出成形したシートを、静電印加密着法によって、表面温度を40℃に設定した冷却ロールに密着させた状態で冷却固化して積層未延伸シートを得た。冷却は、第2層となるポリエステルLの層を冷却ロールに密着させて行った。
【0068】
次にこの積層未延伸シートを、135℃で樹脂の流れ方向(縦方向)に4.1倍延伸した後、テンターに導いて、135℃で樹脂の流れ方向と交差する方向(横方向)に4.5倍延伸した。
そして230℃で熱固定したのち冷却して、ポリエステルKからなる厚み2.0μmの第1層と、ポリエステルLからなる厚み4.5μmの第2層とを備えた2層構造の支持基材を作製した。
【0069】
そして、かかる支持基材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、耐熱スリップ層/第1層/第2層/主保護層/感熱接着層の5層構造を有する保護層転写媒体を製造した。
上記各実施例、比較例で作製した支持基材、および製造した保護層転写媒体について、下記の各試験を行ってその特性を評価した。
支持基材の算術平均粗さRa測定
実施例、比較例で作製した支持基材のうち第1層の、第2層との積層側と反対側の表面である粗面の、耐熱スリップ層を形成した状態での表面粗さを、表面形状粗さ測定機〔ランクテーラーホブソン社製のタリサーフ76型〕を用いて測定し、測定結果から、日本工業規格JIS B0601−1994に則って算術平均粗さRaを求めた。また比較例1については、クリーニング層表面の表面粗さを、同様にして測定した。
【0070】
支持基材の光沢度測定
実施例、比較例で作製した支持基材のうち第2層の、第1層との積層側と反対側の表面である平滑面の、照射角20°における光沢度を、光沢度計〔DR.ランゲ社(Dr. Bruno Lange GmbH & Co. KG)製のReflekto Meter〕を用いて測定した。また比較例1については、単層構造の支持基材の、クリーニング層を形成した側と反対側の表面の光沢度を、同様にして測定した。
【0071】
耐ブロッキング性
実施例、比較例で製造した保護層転写媒体を2枚、下側の保護層転写媒体の耐熱スリップ層またはクリーニング層上に、上側の保護層転写媒体の感熱接着層が接するように重ねて、98kPaの圧力をかけて圧接した状態で、温度40℃、相対湿度80%の環境下で96時間、静置した。
そして静置後の2枚の保護層転写媒体を引き剥がした際の状態を調べて、下記の基準で、保護層転写媒体の耐ブロッキング性を評価した。
【0072】
○:全く問題なく引き剥がすことができた。耐ブロッキング性きわめて良好。
△:引き剥がす際に若干の抵抗を感じたが、上側の保護層転写媒体の転写性保護層や、そのうちの感熱接着層などが下側の保護層転写媒体の耐熱スリップ層またはクリーニング層上に移行する現象などは全く生じていなかった。耐ブロッキング性良好。
×:ブロッキングが生じていた。そして無理に引き剥がしたところ、上側の保護層転写媒体の転写性保護層や、そのうちの感熱接着層などが下側の保護層転写媒体の耐熱スリップ層またはクリーニング層上に移行してしまった。耐ブロッキング性不良。
【0073】
実機試験
(インクジェット印刷)
インクジェットプリンタを用いて、キャノン(株)製のプロフェッショナルフォトペーパー(PR-101)に黒ベタの印刷をした。
(熱転写装置の構成)
薄膜ラインサーマルヘッドとプラテンローラ(硬度50°)とを用いて、熱転写速度50mm/秒、ニップ圧力5.88N/cm、サーマルヘッド上の熱素子1ドットあたりの印加エネルギー密度0.1〜0.2mJ/dot、ドット数300dpiの熱転写装置を構成した。
【0074】
(熱転写試験)
実施例、比較例で製造した保護層転写媒体の転写性保護層を、上記黒ベタの印刷上に、上記の熱転写装置を用いて、長さ50kmにわたって連続的に熱転写した。
そして連続熱転写後のサーマルヘッドの表面を目視にて観察して、その汚れ具合から、保護層転写媒体の、第1層の粗面によるクリーニング性を下記の基準で評価した。
【0075】
○:チリ等は全く堆積していなかった。クリーニング性きわめて良好。
△:チリ等が若干堆積していたが、実用上差し支えのないレベルであった。クリーニング性良好。
×:チリ等が堆積しており、これ以上の熱転写は困難であった。クリーニング性不良。
また連続熱転写後のサーマルヘッドの、各熱素子の表面保護層を、実体顕微鏡を用いて観察して、その傷や摩耗の具合から、第1層の粗面によるサーマルヘッドへの影響を、下記の基準で評価した。
【0076】
○:表面保護層には傷や摩耗は見られなかった。影響全くなし。
△:若干の傷や摩耗は見られたが、実用上差し支えのないレベルであった。殆ど影響なし。
×:表面保護層に多数の傷が見られるか、または著しく摩耗していたため、これ以上の熱転写は困難であった。影響あり。
また、前記の連続的な熱転写時に、転写性保護層が支持基材からはく離する音をモニターして、その大小により、下記の基準で、感熱接着層の熱感度に起因する転写性保護層の熱転写性を評価した。
【0077】
○:はく離音は生じなかった。熱転写性きわめて良好。
△:若干のはく離音が生じた。熱転写性良好。
×:大きなはく離音がした。熱転写性不良。
さらに、連続熱転写によって黒ベタの印刷上に熱転写された転写性保護層の状態を目視にて観察して、保護層転写媒体の、サーマルヘッドに対する滑り性を評価した。すなわち滑り性が良好であれば、転写性保護層はシワを生じることなく良好に熱転写されるが、滑り性が悪い場合には、スティッキングによって、転写された転写性保護層にシワを生じるのである。
【0078】
○:全くシワは見られなかった。滑り性きわめて良好。
△:若干のシワが見られたが、実用上は差し支えのないレベルであった。滑り性良好。
×:しわが頻繁に発生するか、もしくは保護層転写媒体の走行不良が発生した。滑り性不良。
(印刷の評価)
実施例、比較例で製造した保護層転写媒体の転写性保護層を、前記黒ベタの印刷の上に、前記の熱転写装置を用いて熱転写した。
【0079】
そして熱転写後の印刷表面の光沢度を、前述した支持基材の光沢度測定と同条件で測定して、その高低により、下記の基準で印刷の光沢性を評価した。
○:光沢度が60%以上であった。光沢性きわめて良好。
△:光沢度が50%以上で、かつ60%未満であった。光沢性良好。
×:光沢度が50%未満であった。光沢性不良。
また熱転写後の印刷の表面を、消しゴム〔(株)トンボ鉛筆のモノ(登録商標)消しゴム〕を用いて、51.25MPaの荷重をかけながら10往復、こすった際の印刷の状態を目視にて観察して、下記の基準で、印刷の耐擦過性を評価した。
【0080】
○:10往復こすっても印刷には全く問題が見られなかった。耐擦過性きわめて良好。
△:6往復目以降、10往復終了までの間に印刷にかすれなどの問題が生じたが、5往復終了までは全く問題が見られなかった。耐擦過性良好。
×:5往復終了までの間に印刷にかすれなどの問題が生じた。耐擦過性不良。
また熱転写後の、転写性保護層の端の部分を目視にて観察して、下記の基準で、転写性保護層のキレの良否を評価した。
【0081】
○:転写性保護層の端の部分はきれいにまっすぐにカットされており、転写性保護層の切れ端(余はく離)なども見られなかった。キレきわめて良好。
△:端の部分が若干、不規則に破断されたり、切れ端が見られたりしたが、実用上は差し支えのないレベルであった。キレ良好。
×:端の部分が不規則に破談されているとともに、大きな切れ端が見られた。キレ不良。
【0082】
また転写性保護層を熱転写する前後の黒ベタ印刷の明度を、日本電色工業(株)製のハンディ型分光色差計NF777を用いて測定した。そして明度の変化ΔL1を求めて、下記の基準で印刷の接着性を評価した。この試験は、接着性が悪いほど、印刷との間に空気が入って白くなるため、明度の変化ΔL1が大きくなることを利用したものである。
○:ΔL1が1.5未満であった。接着性きわめて良好。
【0083】
△:ΔL1が1.5以上、2.0未満であった。接着性良好。
×:ΔL1が2.0以上であった。接着性不良。
さらに転写性保護層を熱転写後の黒ベタ印刷を、温度80℃、相対湿度80%の環境下に1週間、静置する前後の明度を、日本電色工業(株)製のハンディ型分光色差計NF777を用いて測定した。そして明度の変化ΔL2を求めて、下記の基準で印刷の耐水性を評価した。この試験は、印刷上に熱転写した転写性保護層が、耐水性が悪いほど、水を吸って白化するため、明度の変化ΔL2が大きくなることを利用したものである。
【0084】
○:ΔL2が1.5未満であった。耐水性きわめて良好。
△:ΔL2が1.5以上、2.0未満であった。耐水性良好。
×:ΔL2が2.0以上であった。耐水性不良。
以上の結果を表2、表3に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
両表より、単層構造の支持体層の片面に従来構造のクリーニング層を形成した比較例1では、連続熱転写時に当該クリーニング層が掻き落とされてサーマルヘッドの表面にチリ等として付着、蓄積された結果、クリーニング性が不良になってしまった。
また第1層の粗面の算術平均粗さRaが0.2μm未満であった比較例2は、当該粗面によるチリ等を除去する効果が不十分であったため、やはりクリーニング性が不良になってしまった。
【0088】
逆に第1層の粗面の算術平均粗さRaが1.0μmを超えた比較例3は、クリーニング性は良好であったものの、連続熱転写によって、サーマルヘッドの、熱素子の表面保護層を早期に摩滅させてしまうことがわかった。また比較例3は、第1層の粗面が上記のように粗いためサーマルヘッドとの密着性が低下して、感熱接着層の熱感度に起因する転写性保護層の熱転写性も不良になってしまった。
【0089】
さらに第2層の平滑面の光沢度が50°未満であった比較例4は、印刷の光沢性が不良になってしまった。
これに対し実施例1〜8は、熱転写試験の結果、ならびに印刷の光沢度が何れも良好ないしきわめて良好であった。
また各実施例を比較すると、第1層の粗面の算術平均粗さRaを、0.2〜1.0μmの範囲内でも大きくするほどクリーニング性を向上でき、逆に算術平均粗さRaを小さくするほど、サーマルヘッドの熱素子への表面保護層の影響を低減できることがわかった。
【0090】
また第2層の光沢度を、50°以上の範囲内でも高くするほど印刷の光沢性を向上できることもわかった。
さらに第1層に粗面を形成するために分散させる粒子は、不定形状よりも球状とするのが、保護層転写媒体の、サーマルヘッドへの滑り性を向上する上で好ましいこともわかった。
実施例9〜14
主保護層を、表4に示す塗布液2〜7を用いて形成したこと以外は実施例1と同様にして、耐熱スリップ層/第1層/第2層/主保護層/感熱接着層の5層構造を有する保護層転写媒体を製造した。
【0091】
【表4】
【0092】
上記各実施例で作製した支持基材、および製造した保護層転写媒体について、前記の各試験を行ってその特性を評価した。結果を、実施例1の結果と合わせて表5に示す。
【0093】
【表5】
【0094】
表より、主保護層を構成する樹脂のガラス転移温度Tgを、70℃以上の範囲内でも高くするほど印刷の光沢性を向上できること、樹脂の分子量を、5万〜25万の範囲内でも小さくするほど保護層のキレを向上できること、そして樹脂の分子量を、逆に上記の範囲内でも大きくするほど印刷の耐擦過性を向上できることがわかった。
実施例15〜19
感熱接着層を、表6に示す塗布液B〜Fを用いて形成したこと以外は実施例1と同様にして、耐熱スリップ層/第1層/第2層/主保護層/感熱接着層の5層構造を有する保護層転写媒体を製造した。
【0095】
【表6】
【0096】
上記各実施例で作製した支持基材、および製造した保護層転写媒体について、前記の各試験を行ってその特性を評価した。結果を、実施例1の結果と合わせて表7に示す。
【0097】
【表7】
【0098】
表より、感熱接着層を構成する樹脂のガラス転移温度Tgを、5〜50℃の範囲内でも低くするほど、転写性保護層の印刷への接着性を向上できること、逆にガラス転移温度Tgを高くするほど、耐ブロッキング性を向上できること、水酸基価または酸価を、70〜350mgKOH/gの範囲内でも小さくするほど、印刷の耐水性を向上できること、そして逆に大きくするほど、転写性保護層の印刷への接着性を向上できることがわかった。
Claims (7)
- 支持基材と、当該支持基材上にはく離可能に積層した転写性保護層とを備え、上記支持基材を、ともにポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂のフィルムからなる第1層と第2層とを含む積層構造に形成し、かつ第1層を形成する樹脂中に粒子を分散させることで、当該第1層の、第2層との積層側と反対側の表面を、その表面粗さが、算術平均粗さRaで表して0.2〜1.0μmである粗面に形成するとともに、第2層の、第1層との積層側と反対側の表面を、照射角20°における光沢度が50°以上である平滑面に形成し、転写性保護層を、上記第2層の平滑面上に積層したことを特徴とする保護層転写媒体。
- 転写性保護層を、第2層の平滑面上に積層した主保護層と、この主保護層の、積層側と反対側の表面に積層した、ガラス転移温度が5〜50℃、水酸基価または酸価が70〜350mgKOH/gである、アクリル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂にて形成した感熱接着層とを含む積層構造としたことを特徴とする請求項1記載の保護層転写媒体。
- 主保護層を、ガラス転移温度が70℃以上で、かつ分子量が5万〜25万である、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、およびセルロース系樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂にて形成したことを特徴とする請求項2記載の保護層転写媒体。
- 第1層を形成する樹脂中に分散させる粒子を球状粒子としたことを特徴とする請求項1記載の保護層転写媒体。
- 第1層を形成する樹脂中に分散させる粒子を、モース硬さ7.0以上の球状粒子としたことを特徴とする請求項1記載の保護層転写媒体。
- 第1層と第2層とを、共押出法によって積層形成したことを特徴とする請求項1記載の保護層転写媒体。
- インクジェット印刷用の専用紙の、親水性樹脂を含むインク受容層に、水性のインクジェット印刷用のインクを用いて形成した印刷上に転写性保護層を転写して、前記印刷を、転写した転写性保護層で覆うために用いる請求項1記載の保護総転写媒体。
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