JP2001171052A - 樹脂シートまたはフィルム - Google Patents

樹脂シートまたはフィルム

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JP2001171052A JP36216499A JP36216499A JP2001171052A JP 2001171052 A JP2001171052 A JP 2001171052A JP 36216499 A JP36216499 A JP 36216499A JP 36216499 A JP36216499 A JP 36216499A JP 2001171052 A JP2001171052 A JP 2001171052A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレン系樹脂シート又はフィルムをはじ
めとする樹脂シート又はフィルムの透明性を保持し、べ
たつき、シート又はフィルムのブロッキングを抑え、低
湿度下(20℃、相対湿度約30%以下)での帯電防止
性、特に摩擦帯電防止性能を向上させ、帯電圧の半減期
と摩擦帯電圧防止効果をバランスさせた樹脂シート・フ
ィルムを提供すること。 【解決手段】 脂肪酸アミド(A) :90〜40重量%
と、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロッ
ク共重合体(B) :60〜10重量%よりなる帯電防止コ
ーティング組成物を少なくとも1表面に2〜30mg/
2、(好ましくは、更にシリコーンオイル(C) を1〜
25mg/m2と)を被覆させた樹脂シート又はフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に各種包装容器
(シートを2次成形して得られる)、包装フィルム、封
筒窓張りフィルム等に使用される、帯電防止性に優れ
た、二軸延伸スチレン系樹脂シート又はフィルム等の透
明な樹脂シート・フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックの静電気防止、即ち帯電防
止には、界面活性剤を練り混みまたは、塗布する事が一
般に知られている。例えば、「静電気安全指針 応用編
追補」(労働省産業安全研究所著)には、主な帯電防止
剤用界面活性剤として、N,N−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキル
アミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンの脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレン脂肪酸エステル等のアニオン性、カチ
オン性、両性界面活性剤等が記載されている。
【0003】更に、シート又はフィルムに使用される樹
脂、例えばスチレン系樹脂の帯電防止にも、界面活性剤
の練り込みまたは塗布が種々検討されている。スチレン
系樹脂に帯電防止剤を練り込んだ例として、特開平9−
165570号公報には、脂肪酸ジエタノールアミド、
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのランダ
ム共重合体、スチレン系樹脂、及び金属酸化物よりなる
帯電防止組成物の記載がある。このような組成物を透明
なスチレン系樹脂シート又はフィルムに練り込んだ場
合、シート又はフィルムの透明性を悪化させる傾向にあ
る。このため、透明性を重視する場合は、帯電防止剤の
添加量を減らす必要があり、結果として十分な帯電防止
効果が得られ難くなる。また、その他界面活性剤、例え
ば、上記「静電気安全指針 応用編追補」記載の公知の
界面活性剤を練り込んだ場合も十分な帯電防止効果を得
るためには、シート・フィルムの透明性を犠牲にしなけ
ればならない場合が殆どである。
【0004】そのため、透明なシート又はフィルム用
途、特にスチレン系樹脂シート又はフィルムでは、界面
活性剤を塗布し、帯電防止剤を付与するのが一般的であ
る。透明なスチレン系樹脂シート又はフィルムに界面活
性剤を塗布し、帯電防止性を付与する技術としては、例
えば、界面活性剤としてショ糖脂肪酸エステルとヤシ油
脂肪酸ジエタノールアミドを塗布する(特公昭61−3
6864号公報)、ショ糖脂肪酸エステル、ヒドロキシ
エチルセルロースおよびソルビトールを塗布する(特開
平8−157639号公報)などが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記、特公昭61−3
6864号公報又は特開平8−157639号公報記載
の界面活性剤を塗布したシート又はフィルムにおいて
は、20℃で相対湿度約50%以上の場合、表面固有抵
抗値の低下や帯電圧の半減期の減少などの効果が現れは
じめる。しかし、相対湿度が約30%以下の場合、表面
固有抵抗値や帯電圧の半減期等で測定される帯電防止性
は著しく低下する傾向にある。これを補うため、塗布量
を増やした場合に、べたつきやシート又はフィルムの透
明性悪化等が発生し、シート又はフィルムの実用性が低
下する。更に、低湿度下では、表面固有抵抗値や半減期
で測定される帯電防止性能の低下に加え、摩擦帯電量が
大きくなるため、スチレン系樹脂シート・フィルム使用
時(例えば、シートの2次成形時、フィルムを封筒窓張
り機で使用時等)に高電圧の静電気が発生しやすい(高
い帯電圧を示す)傾向にある。
【0006】この傾向は、スチレン系樹脂シート又はフ
ィルムに限らず、一般の樹脂シート又はフィルムについ
ても同様である。このため、シート又はフィルム使用時
に、静電気発生による各種トラブルが完全に解消されて
いないのが現状である。また、上述の一般公知の界面活
性剤を使用した場合も同じであり、更に使用する界面活
性剤の種類によっては、シート又はフィルムのべたつ
き、シート又はフィルムを巻き取ったロールでのブロッ
キング、塗布剤による白化(シート・フィルムの透明性
悪化)等を発生させることもある。このように、スチレ
ン系樹脂シート又はフィルムに代表される透明な樹脂シ
ート又はフィルムに公知の界面活性剤を塗布した場合、
低湿度下(20℃、相対湿度約30%以下)では、帯電
圧の半減期と摩擦帯電防止性能とがバランスした、満足
のいく帯電防止性が得られ難いのが現状である。
【0007】本発明は、スチレン系樹脂シート又はフィ
ルムをはじめとする樹脂シート又はフィルムの透明性を
保持し、べたつきやシート又はフィルムのブロッキング
を抑え、低湿度下(20℃、相対湿度約30%以下)で
の帯電防止性、特に摩擦帯電防止性能を向上させ、帯電
圧の半減期と摩擦帯電圧防止効果をバランスさせた樹脂
シート又はフィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
種々検討した結果、樹脂シート又はフィルムの表面に特
定の複合帯電防止組成物を被覆することにより、低湿度
下での摩擦帯電防止性を向上させと共に、帯電圧半減期
と摩擦帯電圧防止効果をバランスさせ得ることを見出
し、本発明を完成させる至った。上記目的を達成するた
めに、本発明では、以下の〜を採用した。 脂肪酸アミド(A) :90〜40重量%と、ポリオキ
シエチレンとポリオキシプロピレンよるなるブロック共
重合体(B) :10〜60重量%よりなる帯電防止コーテ
ィング組成物が、樹脂シートまたはフィルムの少なくと
も1表面に、2〜30mg/m2被覆された樹脂シート
またはフィルムを提供する。また、 脂肪酸アミド(A) :90〜40重量%とポリオキシ
エチレンとポリオキシプロピレンよるなるブロック共重
合体(B) :10〜60重量%よりなる帯電防止コーティ
ング組成物と、シリコーンオイル(C) とを混合した組成
物が、樹脂シートまたはフィルムの少なくとも1表面
に、下記(i) 、(ii)の条件を満たす様に被覆された点に
も特徴を有する。また、 (i) (A) 、(B) 成分よりなる帯電防止コーティング組成
物の被覆量が2〜30mg/m2。 (ii)シリコーンオイル(C) の被覆量が1〜25mg/m
2。 上記脂肪族アミド(A) が、C8〜C18の脂肪酸と
ジエタノールアミンとの縮合生成物である点にも特徴を
有する。また、 上記樹脂シートまたはフィルムが、二軸延伸スチレ
ン系樹脂シートまたはフィルムである点にも特徴を有す
る。
【0009】以下、本発明の樹脂シート又はフィルムに
ついて詳細に説明する。本発明は、樹脂シート又はフィ
ルムに特定量被覆された、脂肪族アミド(A) とポリオキ
シエチレンとポリオキシプロピレンよるなるブロック共
重合体(B) とを特定の割合で混合した帯電防止コーティ
ング組成物の作用・効果により、樹脂シート又はフィル
ムの透明性の悪化、べたつきの発生、滑り性の低下等の
副作用がなく、従来技術では得られなかった低湿度下
(20℃相対湿度30%以下)での帯電防止性(帯電圧
半減期と、低い摩擦帯電圧)を付与したシート及びフィ
ルムを提供するものである。
【0010】本発明に使用する脂肪酸アミド(A) とは、
C8〜C18の脂肪酸とジエタノールアミン、モノエタ
ノールアミン、イソプロパノールアミンなどのアルキル
アルコールアミンとの縮合生成物である脂肪酸アルカノ
ールアミド;C8〜C22の脂肪酸アミドの酸化エチレ
ン付加反応;或いはC8〜C22の脂肪酸アミドとポリ
オキシエチレンとの脱水反応より得られるポリオキシエ
チレン脂肪酸アミド及びこれらを主成分(50重量%以
上)とする混合物である。これらの内、シート又はフィ
ルムの透明性と滑性の観点から、好ましくはC8〜C1
8の脂肪酸単独または、該脂肪酸を主成分(50重量%
以上)とする混合物とジエタノールアミンとの縮合生成
物(脂肪酸ジエタノールアミド)であり、より好ましく
は、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸単独または
これらを主成分(50重量%以上)とする混合物(例え
ば、ヤシ油脂肪酸)の脂肪酸1モルとジエタノールアミ
ン2モルとの縮合生成物であり、一般に2:1型の脂肪
酸ジエタノールアミドと称されているものである。これ
ら脂肪酸アミド(A) を後述のブロック共重合体(B) と混
合して使用することにより、帯電圧の半減期や表面固有
抵抗で表される帯電防止性と低湿度下でも摩擦帯電し難
い性能をシート又はフィルムに付与することが可能にな
る。
【0011】また、本発明に使用するポリオキシエチレ
ンとポリオキシプロピレンよるなるブロック共重合体
(B)とは、ポリオキシエチレン鎖が10〜90重量
%、好ましくは40〜85重量%とポリオキシプロピレ
ン鎖が90〜10重量%、好ましくは60〜15重量%
とからなる、重量平均分子量が1000〜20000、
好ましくは2000〜16000のブロック共重合体で
ある。好ましくは、ポリオキシエチレンブロック−ポリ
オキシプロピレンブロック−ポリオキシエチレンブロッ
クの3元ブロックよりなるブロック共重合体である。ポ
リオキシエチレン鎖とポリプロピレンオキサイド鎖の混
合比率および重量平均分子量は、本発明のシート又はフ
ィルムで目的とする帯電防止性を得るために必要な範囲
である。このようなブロック共重合体(B) を上述の脂肪
酸アミド(A) と混合して使用することにより、透明性、
滑り性の悪化やべたつきの発生なく、低湿度下でも摩擦
帯電圧を低下させ、帯電防止性を付与することが可能に
なる。
【0012】本発明のシート又はフィルムは、上記脂肪
酸アミド(A) 成分を90〜40重量%とブロック共重合
体(B) 成分10〜60重量%よりなる帯電防止コーティ
ング組成物を樹脂シート又はフィルムに被覆させること
で得られる。脂肪酸アミド(A) 成分の混合量を90重量
%以下にすることにより、特に低湿度条件下(20℃、
相対湿度約30%)で、摩擦帯電圧防止効果(摩擦によ
る静電気発生量を押さえる効果)が得られる。また、脂
肪酸アミド(A) 成分の量を40重量%以上にすることに
より、帯電圧の半減期で測定される帯電防止性能を付与
することが可能になる。(A) 成分と(B) 成分の混合比の
範囲が上記範囲をはずれた場合は、摩擦帯電防止効果と
帯電圧の半減期で測定される帯電防止性能とをバランス
させるのが困難になる領域であり、透明性の悪化や滑り
性の低下が発生する場合もある。摩擦帯電圧低下効果
と、帯電圧の半減期で測定される帯電防止性能をより低
湿度(20℃、相対湿度20%程度)でバランスさせる
ためには、脂肪酸アミド(A) 成分を75〜55重量%、
ブロック共重合体(B) 成分を25〜45重量%にするの
がより好ましい。
【0013】脂肪酸アミド(A) とブロック共重合体(B)
よりなる帯電防止コーティング組成物の樹脂シート又は
フィルムへの被覆量は、樹脂シート又はフィルムの少な
くとも1表面に2〜30mg/m2である。コーティン
グ量の範囲は、一般的に、樹脂シート又はフィルムの透
明性の悪化、べたつき、ロールへ巻いた時にブロッキン
グが発生などの問題を抑え(上限の限定)、目的とする
帯電防止性能を得る(下限の限定)ことが可能になる領
域である。さらに、摩擦帯電圧低下効果と、帯電圧の半
減期で測定される帯電防止性能をより低湿度(20℃、
相対湿度20%程度)でバランスさせる観点からは、被
覆量を3〜30mg/m2にするのがより好ましい。更
に、本発明の樹脂シート又はフィルムを2次成形し容器
等に使用する場合は、成形時の成形機と樹脂シート又は
フィルムとの摩擦による静電気発生防止と2次成形機の
金型、熱板等の汚れ(シート又はフィルムに被覆された
コーティング物の熱板、金型への転写により発生する)
防止の観点から、被覆量を3〜20mg/m2にするの
が更に好ましい。
【0014】脂肪酸アミド(A) とブロック共重合体(B)
との混合組成物が被覆された本発明の樹脂シート又はフ
ィルムは、透明性悪化、べたつきの発生等の副作用を抑
え、摩擦帯電圧を低下させる効果が大きいことに特徴が
ある。このため、低湿度条件下での樹脂シート又はフィ
ルムの使用、例えば、2次成形機、包装機、封筒窓張り
機等での実用時に発生する静電気量を少なくすることが
可能であり、帯電圧の半減期が多少長め(120〜30
0秒程度)でも静電気発生(帯電圧)の絶対レベルが低
く実用上問題になることは少ない特徴がある。
【0015】一方、樹脂シート又はフィルムでのべたつ
きや、透明性の悪化がないレベルで、本発明で使用する
(A) 、(B) 成分を単独で使用した場合や(比較例3,4
参照)、その他の界面活性剤を使用した場合(比較例5
〜7参照)は、摩擦帯電圧が大きくなる傾向にある。こ
のため、これら本発明で使用する以外の界面活性剤を被
覆した樹脂シート又はフィルムは、例えば帯電圧の半減
期が本発明の樹脂シート又はフィルムに近いレベルにあ
っても、2次成形機、包装機、封筒窓張り機等での実用
時に、各種機械と樹脂シート又はフィルムとの摩擦によ
り発生、蓄積する静電気量は大きな差になる場合が多
い。本発明の樹脂シート又はフィルムの大きな効果は、
このように摩擦帯電を低く抑えたことにより発現してい
る。
【0016】これら帯電防止コーティング組成物は、そ
の他のコーティング剤、例えば、防曇剤(ショ糖脂肪酸
エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、これらの混
合物など)、シリコーンオイル、滑剤、粘度調整剤(メ
チルセルロース、カルボメトキシセルロース、ガゼイ
ン、アルギン酸塩、ポリアクリル酸塩等)や;その他の
界面活性剤等と混合して、樹脂シート又はフィルムに被
覆させることも可能である。
【0017】これらの内、(A) 、(B) 成分よりなる帯電
防止コーティング組成物とシリコーンオイル(C) とを混
合して樹脂シート又はフィルムに被覆した場合、滑性が
向上し、摩擦帯電が更に低下する傾向にあり好ましい場
合が多い。特に、(A) 、(B) 成分よりなる帯電防止コー
ティング組成物を、2次成形より容器に成形される樹脂
シート又はフィルムに被覆する場合、2次成形に用いる
成形機金型との離型性や、成形容器同士の剥離性を向上
させる効果も付与できより好ましい。
【0018】本発明に使用するシリコーンオイル(C)
は、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサ
ン、フェニルメチルポリシロキサンが好ましく、特に食
品包装容器に使用する場合は、安全性と経済性の観点よ
りジメチルポリシロキサンが好ましい。シリコーンオイ
ル(C) の粘度は、シート・フィルムへの離型性付与とべ
たつき防止の観点より100〜100000cpのもの
を用いるのが好ましく、より好ましくは、300〜20
000cpである。これらシリコーンオイル(C) は、公
知の方法で乳化させたシリコーンエマルジョンを用い、
(A) 、(B) 成分よりなる帯電防止コーティング組成物と
混合して、水溶液として樹脂シート又はフィルムに被覆
させるのが好ましい。
【0019】上記(A) 、(B) 成分よりなる帯電防止コー
ティング組成物とシリコーンオイル(C) との混合組成物
は、樹脂シート又はフィルムへの被覆量が、少なくとも
1表面に(A) 、(B) 成分よりなる帯電防止コーティング
組成物が2〜30mg/m2、好ましくは3〜20mg
/m2;シリコーンオイル(C) が1〜25mg/m2、好
ましくは5〜20mg/m2になる様に混合するのが好
ましい。(A) 、(B) 成分よりなる帯電防止コーティング
組成物の混合量は、上述のごとく帯電防止性能と透明性
の悪化、べたつき等の樹脂シート又はフィルム物性とか
ら定められるものである。また、シリコーンオイル(C)
の混合量の下限はシリコーンオイル(C) による滑性改良
効果が発現しはじめる量であり、上限はシリコーンオイ
ル(C) による樹脂シート又はフィルムのべたつきや、シ
リコーンエマルジョン中の乳化剤の影響による白化を防
ぐための量である。
【0020】更に、(A) 、(B) 成分よりなる帯電防止コ
ーティング組成物とシリコーンオイル(C) との混合物を
熱板圧空成形法で2次成形される二軸延伸スチレン系樹
脂シートに被覆させる場合は、成形機からの離型効果、
成形品の剥離効果と成形機の熱板、金型の汚れを防ぐ観
点よりシリコーンオイル被覆量を4〜18mg/m2
調整するのがより好ましい。本発明の樹脂シート又はフ
ィルムは、表裏両面、または1表面に(A) +(B) 成分の
帯電防止剤組成物、または更にシリコーンオイル(C) を
追加した混合組成物が被覆したものである。
【0021】1表面に(A) +(B) 成分の帯電防止剤組成
物または更にシリコーンオイル(C)を追加した混合組成
物が被覆した樹脂シート又はフィルムの場合、その反対
表面は; :シリコーンオイル(シリコーンエマルジ
ョン)を被覆させる。 :防曇剤(ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂
肪酸エステル、これらの混合物など)を被覆させる。 :シリコーンオイル(シリコーンエマルジョン)と防
曇剤の混合物を被覆させる。 :異なる組成の(A) +(B) 帯電防止組成物を被覆させ
る。 :その他公知の界面活性剤、塗布剤等を被覆させる。 :コロナ処理をする(塗布剤は被覆の有無は問わな
い)。 :何も処理しない等、特に制限はない。 本発明の樹脂シート又はフィルムを容器に2次成形し使
用する場合は、上記、の形態が好ましい。の形態
の場合に防曇剤を4〜40mg/m2被覆するのが好ま
しく、の形態の場合は、シリコーンオイルの被覆量が
1〜25mg/m2、防曇剤の被覆量が4〜40mg/
2になるように調整して被覆するのが好ましい。
【0022】本発明の帯電防止組成物を被覆した樹脂シ
ート又はフィルムの製造方法には特に制限がなく、例え
ば、適当な濃度に調整した(A) +(B) 成分からなる帯電
防止剤組成物の水溶液或いは、適当な濃度に調整した
(A) +(B) 成分からなる帯電防止剤組成物とシリコーン
オイル(C) (好ましくはシリコーンエマルジョン)との
混合組成物をスクィーズロールコーター、エアーナイフ
コーター、ナイフコーター、スプレーコーター、グラビ
アロールコーター、ハンドコーター等公知の方法でシー
ト・フィルムの少なくとも1表面に塗布した後、乾燥す
る方法で行える。乾燥については特に制限はないが、熱
風乾燥機を用いるのが一般的である。特に被覆膜の均一
性を向上させる観点からは、樹脂シート又はフィルムを
コロナ処理した後に、上記方法で帯電防止組成物等を塗
布するのが好ましい。例えば、スチレン系樹脂シート又
はフィルムに塗布する場合は、樹脂シート又はフィルム
の表面を水との接触角が75〜40゜、好ましくは70
〜45°になるようにコロナ処理を施した後、上記の方
法等で帯電防止組成物を塗布すると、被覆膜が均一にな
り好ましい場合が多い。水との接触角の上限は、被覆膜
の均一性を向上させるための値であり、接触角の下限
は、シートをロール状に巻いた場合にブロッキングを防
ぐための値である。
【0023】<定量分析>上述のように製造した樹脂シ
ート又はフィルムに被覆された(A) +(B) 成分からなる
帯電防止剤組成物及びシリコーンオイル(C) の定量は、
被覆量既知の樹脂シート又はフィルムより検量線を作成
し、IR分析(ATR法)する方法や、適当な溶剤で被
覆物を樹脂シート又はフィルムから洗浄、回収した後、
カムクロマトグラフィー、GPC等で分離分析する方法
で実施できる。スチレン系樹脂シート又はフィルムの場
合は、シリコーンオイル(C) をIR分析(ATR法)に
よりシリコーンオイルの特性吸収(1263cm-1)か
ら分析し、(A) +(B) 成分からなる帯電防止剤組成物
は、樹脂シート又はフィルムをメタノールまたはエタノ
ールで洗浄し、洗浄液を回収後、カラムクロマトグラフ
ィーで分離分析するのがよい。また、被覆物の混合比が
既知の場合は、いずれか1成分の定量分析を実施し、計
算で求めることも可能である。
【0024】本発明の帯電防止剤組成物を被覆した樹脂
シート又はフィルムの基材シート又はフィルムを構成す
る樹脂は、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等、一般
に、シートを二次成形して得られる各種包装容器、包装
フィルム、封筒窓張りフィルム等に使用されている透明
樹脂素材の範囲で特に制限はないが、透明性及び剛性の
観点よりスチレン系樹脂シート又はフィルムが好まし
い。スチレン系樹脂シート又はフィルムは無延伸であっ
ても、一軸あるいは二軸延伸されたものでも良く、又、
公知のスチレン系樹脂による多層シートでも良く、目的
とする物性性能により適時選択すればよいが、透明性、
剛性と強度とのバランスの観点より特に好ましくは、二
軸延伸スチレン系樹脂シート・フィルムである。延伸は
公知のテンター法、バブル法等で行えば良く特に制限は
ない。
【0025】スチレン系樹脂シート又はフィルムにおい
て使用されるスチレン系樹脂とは、一般用ポリスチレン
(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ス
チレン−共役ジエン(ブタジエン、イソプレン等)共重
合体、スチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重
合体等のスチレンを50重量%以上含む樹脂及びそれら
の混合物である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しな
い。 (実施例1〜3)市販のポリスチレン二軸延伸シート
(旭化成工業(株)製、商品名:OPSシート#300
0 厚さ0.18mm)を純水との接触角が50から5
5度になるようにコロナ処理を施した後、表1に示す混
合比の脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン
−ポリオキシプロピレン(POE・POP)ブロックポ
リマー(a)、シリコーンエマルジョンからなる水溶液
組成物をスプレーコーター(湿潤被覆量4g/m2)で
被覆し、乾燥処理を行い、帯電防止コーティング組成物
被覆シートを得た。これらの被覆量、物性評価結果を表
3に示す。なお、シートの接触角は、協和界面科学
(株)社製固体表面エナジー解析装置CA−XEを用い
た。
【0027】(実施例4)コーティング液の配合比を表
1(D−1からD−3)にした他は、実施例1と同様に
行い、帯電防止コーティング組成物被覆シートを得た。
これらシートの被覆量及び評価結果を表4に示す。実施
例4は、前記POE−POPブロックポリマー(a) に替
えて平均分子量、エチレンオキサイト(EO)親水基比
率の異なるPOE−POPブロックポリマー (b)〜(d)
を用いた場合である。
【0028】(比較例1)コーティング液の配合比を表
2に示す割合で調合した他は、実施例1と同様に行い、
シートを得た。これらシートの被覆量及び物性評価結果
を表5に示す。比較例1は、脂肪酸アルカノールアミド
とPOE−POPブロックポリマー(a) との組成比にお
いて、実施例1の組成範囲から外れた場合である。 (比較例2〜6)コーティング液の配合比を表2に示す
割合で調合した他は、実施例1と同様に行い、シートを
得た。これらシートの被覆量及び物性評価結果を表6に
示す。比較例2〜4は、脂肪酸アルカノールアミド、P
OE−POPブロックポリマー(a) 、その他界面活性剤
としてポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、
POEノニルフェニルエーテルを単独で配合した場合で
ある。
【0029】(比較例7)コーティング液の配合比を表
2に示す割合で調合した他は、実施例1と同様に行い、
シートを得た。これらシートの被覆量及び物性評価結果
を表7に示す。比較例7は、POE脂肪酸エステル、P
OEノニルフェニルエーテルにPOE−POPブロック
ポリマー(a) を配合した場合である。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】上記の実施例と比較例の結果から明らかな
ように、脂肪酸アルカノールアミド90重量%〜40重
量%とPOE−POPブロックポリマー10重量%〜6
0重量%からなる帯電防止剤において、2mg/m2
30mg/m2被覆されたものは、帯電防止性能、滑り
性、透明性そしてベタツキ性において高度なレベルでバ
ランスされていた。また、POE−POPブロックポリ
マーの種類を替えても、全て前記諸物性は優良であっ
た。
【0039】なお、実施例における被覆量の確認、評価
方法、使用した帯電防止剤及びシリコーンオイルは、以
下の通りである。 (1) 被覆量の確認 FTIRを用いて、ATR法(ATR結晶ZnSe、積
算回数16回)によってシート処理面の赤外線吸収スペ
クトルを測定し、1263cm-1近傍のスチレンのシリ
コーンオイル(ジメチルポリシロキサン)の吸収と13
72cm-1近傍のスチレンの吸収との吸光度比より、シ
リコーンオイル(C) の被覆量を確認した。また、(A) +
(B) 成分からなる帯電防止組成物の被覆量は、シリコー
ンオイル量を基に表1、表2記載の混合組成物の添加比
率より算定した。また、シリコーンオイル(C) を含まな
い帯電防止コーティング組成物被覆樹脂シート又はフィ
ルムについては、処理面をメタノールで洗浄、洗浄液を
回収、乾燥し、その重量より算出した。
【0040】(2) 評価方法 (イ) 摩擦帯電性 JIS L1094に準拠し、摩擦体として、厚さ0.
02mmのステンレステープ(イリエトレーディングコ
ーポレーション(株)社製)を使用し、温度20℃、湿
度20%RHの環境条件においてシート処理面の摩擦帯
電圧を測定し、以下の4段階で示した。 ◎:200V未満、○:400V未満、△:600V未
満、×:600V以上 (ロ) 半減期 JIS L1094に準拠し、温度20℃、湿度20%
RHの環境条件においてシート処理面の帯電圧の半減期
を測定し、以下の4段階で示した。 ◎:120秒未満、○:300秒未満、△:600秒未
満、×:600秒以上 (ハ) 滑り性 JIS K―7125に準拠し、接触面積64mm×1
00mmの鏡面を有したステンレス製滑り片(600
g)を用い、温度23℃、湿度50%RHの環境条件に
おいてシート処理面の動摩擦係数を測定し、以下の4段
階で示した。 ◎:0.15未満、○:0.20未満、△:0.25未
満、×:0.25以上 (ニ) 透明性 ASTM―D1003に準じ、ヘイズを測定し、以下の
4段階で示した。 ◎:1.5%未満、○:2.0%未満、△:2.5%未
満、×:2.5以上 (ホ) ベタツキ性 シート処理面を指で押さえ、引き離したときのベタツキ
感を以下の4段階で示した。 ◎:べたつきを感じない、○:しっとりしている、△:
ややベタツキ感がある、×:べたつく
【0041】(3) 帯電防止剤、シリコーンオイル 脂肪酸アルカノールアミド:ヤシ油脂肪酸とジエタノー
ルアミドとの縮合生成物、製品名スタホームF(1:2
型)(日本油脂(株)社製) POE−PPブロックポリマー(a) :ポリオキシエチレ
ン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、製品名エ
パンU108、平均分子量約15000、EO親水基比
率80wt% (第一工業製薬(株)社製) POE−POPブロックポリマー (b):ポリオキシエチ
レン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、製品名
エパン410、平均分子量約1300、EO親水基比率
10wt% (第一工業製薬(株)社製)
【0042】POE−POPブロックポリマー(c) :ポ
リオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重
合体、製品名エパン450、平均分子量約2400、E
O親水基比率50wt% (第一工業製薬(株)社製) POE−POPブロックポリマー(d) :ポリオキシエチ
レン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、製品名
エパン485、平均分子量約8000、EO親水基比率
85wt% (第一工業製薬(株)社製/) POE脂肪酸エステル:ポリオキシエチレン脂肪酸エス
テル、製品名ノニオンS−60 (日本油脂(株)社
製) POEノニルフェニルエーテル:ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル、製品名ノニオンNS―212
(日本油脂(株)社製) シリコーンオイル(C) :ジメチルポリシロキサン成分が
30重量%のシリコーンエマルジョン、製品名KM78
8、粘度10000sc、(信越化学(株)社製)
【0043】
【発明の効果】本発明の帯電防止コーティング組成物を
被覆させた樹脂シートまたはフィルムは、脂肪酸アミド
とポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック
ポリマーとを併用することを特徴し、単独では実現でき
なかった優れた帯電防止性効果(30%RH以下の低湿
度下においても良好な帯電圧の半減期と摩擦帯電圧低下
効果)がある。このため、各種包装容器、包装フィル
ム、封筒窓張りフィルム等に使用される透明な樹脂シー
ト・フィルムとして好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA15 AB33 AB39 AB52 AB64 BA07 CA07 DA04 4F100 AK01B AK12B AK48A AK48K AK52A AK54A AK54J AL02A AL05A BA02 EJ38B GB15 GB16 JG03 JG03A JK16 JL13 JM01A JN01 YY00A 4J002 CH021 CP032 EP016 FD106 GG01 GG02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸アミド(A) :90〜40重量%
    と、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンよるな
    るブロック共重合体(B) :10〜60重量%よりなる帯
    電防止コーティング組成物が、樹脂シートまたはフィル
    ムの少なくとも1表面に、2〜30mg/m2被覆され
    たことを特徴とする樹脂シートまたはフィルム。
  2. 【請求項2】 脂肪酸アミド(A) :90〜40重量%と
    ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンよるなるブ
    ロック共重合体(B) :10〜60重量%よりなる帯電防
    止コーティング組成物と、シリコーンオイル(C) とを混
    合した組成物が、樹脂シートまたはフィルムの少なくと
    も1表面に、下記、の条件を満たす様に被覆された
    ことを特徴とする、請求項1記載の樹脂シートまたはフ
    ィルム。 :(A) 、(B) 成分よりなる帯電防止コーティング組成
    物の被覆量が2〜30mg/m2。 :シリコーンオイル(C) の被覆量が1〜25mg/m
    2
  3. 【請求項3】 上記脂肪族アミド(A) が、C8〜C22
    の脂肪酸とジエタノールアミンとの縮合生成物であるこ
    とを特徴とする、請求項1又は2記載の樹脂シートまた
    はフィルム。
  4. 【請求項4】 上記樹脂シートまたはフィルムが、二軸
    延伸スチレン系樹脂シートまたはフィルムであることを
    特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂シー
    トまたはフィルム。
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