JP3852864B2 - 防曇性スチレン系樹脂シートの製造方法 - Google Patents

防曇性スチレン系樹脂シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に熱板接触加熱真空圧空成型法により熱成型され、食品包装用容器を始め、その他各種包装容器として使用される防曇性スチレン系樹脂シートロールおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系樹脂シートに防曇剤とシリコーンオイルとを被覆し、防曇性を付与すると共に滑り性、離型性等を改良することは、特開昭53−115781号公報、特公昭61−36864公報、特公昭63−62538号公報、特開平5−287097号公報等に記載され公知である。
【0003】
これら方法は、スチレン系樹脂シートに防曇性と滑り性、離型性を付与するためにショ糖脂肪酸エステルを主成分とする防曇剤とシリコーンオイルとの混合物が使用され、混合液を片面に塗布している。例えば、特開昭53−115781号公報には、非ブロッキング性と防曇性を同時に改良する目的で、コロナ放電処理により表面張力を40〜55ダイン/cmに調整し、防曇剤とシリコーンオイルとを均一に付着させる方法が提案されている。又、特公昭61−36864公報には、防曇性と離型性の他に帯電防止性を改良する目的で、コロナ放電処理によりシート表面の表面張力を50〜60ダイン/cmに調整した後、ショ糖脂肪酸エステル、シリコーンオイル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドとの混合液を塗布する方法が提案されている。更に特公昭63−62538号公報、特開平5−287097号公報には、持続防曇性を改良し、且つ熱成型時、特に深絞り成型時に防曇膜(ショ糖脂肪酸エステル塗布膜)と離型膜(シリコーンエマルジョン塗布膜)の切断を防ぎ成型品での防曇生向上を目的に、ショ糖脂肪酸エステル、親水性高分子及びシリコーンエマルジョンの混合液をスチレン系樹脂シートに塗布する方法が提案されている。
【0004】
このような方法でコーティング処理されたシートは、通常ロール状に巻き取られた後、熱成型され成型容器として食品包装用を始め各種の容器として多量に使用されている。スチレン系樹脂シート、特に二軸延伸シートの熱成型方法は、熱板接触加熱真空圧空成型法(以下、熱板圧空成型と記す)と呼ばれる方法が一般に採用されている。ほとんどの熱成型法では、空間に張られたシートを輻射加熱等非接触で加熱するが、この方法は、シートを金型側からの圧空圧と熱板側からの真空圧により熱板に密着させ加熱し、直後に熱板側からの圧空圧と金型側からの真空圧により加熱されたシートを金型に押つけ成型する方法である。この際、シートの防曇処理面は、成型容器の内側つまり熱板接触側にするのが一般的である。
【0005】
上述の従来発明は、主に熱板圧空成型法で容器に成型されるスチレン系樹脂シートに防曇性と離型性を付与するためになされたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ポリスチレン系樹脂シート、特に二軸延伸ポリスチレン系シートは、他素材のシートと比較して高い透明性と光沢、腰強さ(剛性)を大きな特徴として食品包装容器用途を始め各種包装材料に汎用的に使用されている。しかしながら、従来の防曇剤とシリコーンオイルとを混合して、シート表面に塗布したポリスチレン系樹脂シートは、シート段階では透明性、光沢に優れるものの、熱板圧空成型後の成型容器においては、白化模様発生による透明性の低下や、外観不良(以下、この現象を成型白化と記す)がしばしば発生し、特徴である透明性、光沢が低下する欠点がある。
【0007】
本発明は、このような成型白化現象を生起しないスチレン系樹脂シートロール、およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討した結果、スチレン系樹脂シートの熱板圧空成型時の成型白化が、成型加熱時のスチレン系樹脂シート熱板接触面表面とシリコーンオイルとの相互作用によって発生しやすくなることを見出だし、この知見に基づきさらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
スチレン系樹脂シートを成形後、濡れ係数45〜65ダイン/cmにコロナ処理した一方のシート面に防曇剤水溶液又はシリコーンエマルジョンを塗布して乾燥させ、次に、同様に濡れ係数45〜65ダイン/cmにコロナ処理したもう一方のシート面に、裏面に防曇剤が塗布されている場合はシリコーンエマルジョンを、シリコーンオイルが塗布されている場合は防曇剤水溶液を塗布し、十分に乾燥させ、その後巻き張力10〜40kg/mの条件でロール状にいったん巻き取ることを特徴とする防曇性スチレン系樹脂シートの製造方法、
に関する。
【0017】
本発明のシートロールは、シートロールを巻き戻した時に片面はスチレン系樹脂の上に防曇剤が5〜50mg/m2被覆され、更にその上にシリコーンオイルが0〜24mg/m2被覆されている(以下、この面を防曇面と記す)こと、つまり本発明のシートロールの防曇面は、巻き戻したときに、スチレン系樹脂とシリコーンオイルとが直接接触しないように両者の間に防曇剤を介在させ、かつ転写量を制御している(マスキング膜としている)のが特徴である。こうして、本発明のシートロールは、巻き戻した時片面は樹脂表面から順に防曇剤、更にその上にシリコーンオイルにより被覆されており、反対面は実質的にシリコーンオイルのみにより被覆されている。この構成により、スチレン系樹脂とシリコーンオイルとの直接接触による相互作用を防ぎ、本発明の目的とする、スチレン系樹脂シートの透明性、光沢を高いレベルで保持した成型容器(成型白化が生じにくい容器)の供給を可能にしている。一方、従来公知のシートは、防曇剤とシリコーンオイルが混在してスチレン系樹脂上に被覆させている。つまり従来公知のシートは、シリコーンオイルとスチレン系樹脂が直接接触しているため、防曇剤、シリコーンオイルそれぞれの被覆量がたとえ本発明のシートと一致していてもスチレン系樹脂とシリコーンオイルとの相互作用により、熱板圧空成型法で得た熱成型品は白化が発生しやすい欠点がある。
【0018】
例えば、実施例1のシートロールおよび比較例1のシートロールを成型せずにシートのまま実施例で行っている成型白化評価法と同様の方法で線数値評価を行った場合、両シートとも最大線数値は、平均180と同等であった。しかしながら熱板圧空成型後の容器の最大線数値は、実施例1のシートロールからの成型容器が、平均110に対し、比較例1のシートロールからの成型容器では、平均50の値を示すものであった。この結果からも、上述の従来シートの欠点と、本発明の効果が明らかである。
【0019】
そして本発明のシートロールは、例えばシートの片面にコロナ処理をした後に防曇剤を塗布しその反対面には、シリコーンオイルを塗布し、ロール状にシートを巻き取った後のシリコーンオイルの防曇剤面上への転写を制御することによって得られる。これは、シートロール樹脂表面をコロナ処理して親水性にすることにより防曇剤の反対面への転写を防止し、且つシートロール樹脂表面を防曇剤で均一に被覆することを可能にした。
【0020】
本発明のシートロールは、2段乾燥という概念を取り入れ、ロール状に巻き取る前に十分乾燥すること、及びシート表面のコロナ処理と組み合わせることによりシリコーンオイルの転写量をコントロールするとともに、両面非対象転写を精度良く均一にコントロールすることにより達成される。
【0021】
次に本発明のシートロールについて説明する。
【0022】
本発明のシートロールの片面(防曇面)を直接覆う防曇剤の被覆量は、5〜50mg/m2である。防曇剤の被覆量が5mg/m2未満では、十分な防曇効果が得られず、又シリコーンオイルのマスキング膜としての厚みが不十分で、シリコーンオイルの一部が直接スチレン系樹脂と接触し成型時の白化を引き起こす恐れのある領域である。又、50mg/m2を越えて防曇剤を被覆した場合、防曇性の向上は認められず、更に、シート、熱成型品のべたつき、ブロッキング、防曇剤の過剰被覆によるシートの透明性悪化が発生する領域である。又、特にシートロールが、絞り比(成型品の深さ/成型品の開口部短辺長又は直径)0.2以上の熱成型品に使用される場合は、成型後の防曇持続性を維持する観点から好ましくは10mg/m2以上被覆し、又、シートのリサイクルポリマーの色調を悪化させない(黄色化防止)観点から防曇剤被覆量を好ましくは30mg/m2以下にする。
【0023】
巻き戻したシートの表裏合計のシリコーンオイル被覆量は、1〜50mg/m2である。この下限未満では、例えば、シリコーンオイルを片面に塗布し、転写により本発明のシートロールを得ようとしても、シリコーンオイルが転写しない又は均一に転写し難く、シート熱成型時に金型あるいは熱板とシートとの離型性が悪くなる領域でもある。又上限を越えた場合、シートのブロッキングや、シート、熱成型品のべたつきが感じられ商品性が低下する。更にスタックのないシート熱成型品の離型性を改良する観点からは、シリコーンオイル被覆量を合計5mg/m2以上にするのが好ましく、又シリコーンオイルの成型機熱板や金型への転写による汚染を最小に防ぐ観点からは、シリコーンオイル被覆量を合計20mg/m2以下にするのが好ましい。
【0024】
又、防曇剤塗布面上のシリコーンオイル被覆量Amg/m2と、反対面上のシリコーンオイル被覆量Bmg/m2との比率A/(A+B)は、0〜0.48であり、好ましくは、0.05〜0.48であり、より好ましくは0.1〜0.35の範囲である。
【0025】
本発明において防曇剤の上に被覆されるシリコーンオイルは、上述の関係を満たす領域で0〜24mg/m2の範囲である。しかし、このシリコーンオイル被覆量が0.05mg/m2未満の場合は、シートを熱板圧空成型する際にシートが熱板に粘着しやすく、シート表面が荒らされ、得られた熱成型品の外観が悪化することがあるので、0.05mg/m2以上とするのが好ましく、又シリコーンオイルが24mg/m2をこえて被覆されている場合は、シリコーンオイル膜が厚すぎ、防曇性の低下を引き起こす領域であり、更に防曇剤によるシート表面のマスキング効果が不十分となり、熱板圧空成型時の熱板接触圧によりシートとシリコーンオイルの一部が接触し、成型白化が発生することがあるので、24mg/m2以下とするのが好ましい。更にシートの熱成型品どうしの剥離性を改良し、かつシリコーンオイルの成型機熱板への転写による熱板汚染を防ぐ観点からは、シリコーンオイル被覆量を0.1〜17.5mg/m2にするのがより好ましく、さらに好ましくは0.25〜10mg/m2である。
【0026】
又、防曇面の反対面は、実質的にシリコーンオイルのみにより被覆されており、シリコーンオイル被覆量は、上述の関係を満たす領域で0.52〜50mg/m2の範囲である。シリコーンオイルが0.52mg/m2未満では、熱成型時にシートと成型金型との離型性が低下する領域である、又上限を越えるとべとつきが感じられる領域であるばかりでなく、金型汚れが激しくなり、成型品の透明性が低下する。更にシートの熱成型品どうしの剥離性を改良し、かつシリコーンオイルの金型への転写による金型汚染を最小に防ぐ観点からは、シリコーンオイル被覆量を0.75〜37.5mg/m2にするのが好ましく、より好ましくは2.5〜20mg/m2である。ここで、「実質的にシリコーンオイルのみにより被覆されている」とは、シリコーンオイルとシリコーンエマルジョンに由来する乳化剤以外のものが、後述する分析方法で定量されないレベルであることをいう(防曇剤は、定量限界外である)。このように本発明においては、シートロールを巻き戻したときに、シリコーンオイルの被覆量を両面非対象とし、防曇面側のシリコーンオイル被覆量は、熱板表面とシートの離型性に必要な被覆量を確保し、且つ反対面には金型との離型性あるいは成形品輸送時の積み重ねをした後の使用時における1つ1つ取り出す際の剥離性や滑り性に必要な被覆量を確保したものである。
【0027】
本発明のシートは、例えば、後述する方法によりシートの片面に防曇剤、その反対面にシリコーンオイルを被覆し、巻き張力10〜40kg/mでロール状に巻取、シリコーンオイルを反対面に塗布した防曇剤膜上に転写させることで得られる。この場合、シリコーンオイルの防曇面への転写量は時間と共に変化していき、転写量が平衡になるには23℃で5日間以上必要である。したがって、本発明のシートのシリコーンオイル被覆量は、シートロールを23℃で5日以上のエージングを行った後ロールを巻き戻して測定するのが好ましい。
【0028】
尚、シリコーンオイル被覆量の定量分析は、蛍光X線分析法、FTIR分析法(ATR)等によって行える。又、防曇剤被覆量の定量分析は、シート・フィルムを洗浄し、洗液を集め、重量法、ガスクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法等で行う方法や、FTIR分析法(ATR法)等で行える。
【0029】
本発明において使用される防曇剤とは、ノニオン系の界面活性剤であり、例えばショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などから選ばれる界面活性剤の1種又は混合物でHLBが11〜17のものである。HLBが11未満では、防曇剤の水溶性、分散性、濡れ性が悪化し、均一な防曇剤膜の形勢が難くなる領域である。又HLBが17を越えた場合、防曇剤が水に流されやすいため持続防曇性が低下してしまう領域である。これらの内、食品包装用途に多用されているポリスチレン系樹脂シートの防曇剤としては、食品添加物として認可されているショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、中でも、脂肪酸成分としてラウリル酸を50モル%以上含むショ糖脂肪酸エステル、および該ショ糖脂肪酸エステル(99〜50重量%)と、ポリグリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステル(1〜50重量%)との混合物が製品安全性と防曇性のバランスに優れ且つシリコーンオイルのマスキング効果にも優れるので特に好ましい(ポリグリセリン脂肪酸エステルが100重量%又は50重量%より多く混合させた場合は、マスキング効果がやや低下し、成型白化防止効果が劣る傾向である)。
【0030】
又、本発明において使用されるシリコーンオイルとは、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の有機ポリシロキサンであり、特に製品安全上及び経済性よりジメチルポリシロキサンが好ましい。シリコーンオイルの粘度は、100〜100000CSのものが好ましく、この上限はシリコーンオイルをエマルジョンで使用した場合、エマルジョンの安定性を確保するためであり、下限はシートの滑り性、熱板とシートとの剥離性を改良するために必要なレベルである。更に熱成型品どうしの離型性を改良し、且つシリコーンオイルによる金型汚れを防ぐためには、500〜50000CSの粘度のシリコーンオイルを用いるのが好ましく、更に好ましくは1000〜20000CSである。これらシリコーンオイルは、取扱い易さ、コーティングのし易さの観点から、公知のシリコーンエマルジョンを用いるのが良い。
【0031】
次に本発明のスチレン系樹脂シートロールの製造方法を図1により説明する。図1は、オフラインによる本発明の製造方法例の略図であるが、シートの成膜ラインにコーティング装置一式を組み込みオンランイコーティングで製造しても構わない。図1中、1はシートロール原反、2はスチレン系樹脂シート、3、4はコロナ処理機、5、7はコーター、6、8は1段目の乾燥機、9は2段目の乾燥機、10はコーティング後のシートロールを表す。
【0032】
本発明のシートロールの製法は、シート成形(成膜)後、コロナ処理機3、4により濡れ係数45〜65ダイン/cmにコロナ処理後、コーター5で防曇剤水溶液又はシリコーンエマルジョンを塗布して乾燥機6により1段乾燥し、更にコーター7で防曇剤水溶液又はシリコーンエマルジョン(反対面と異なるもの)を塗布し乾燥機8と9により十分に乾燥した後に巻き取り機で巻き張力10〜40kg/mの条件で巻き取り樹脂シートロール10とするものである。又図1中のコロナ処理機4−1を、4−2の位置に変更し、片面をコロナ処理し、コーティングが終了後にその反対面にコロナ処理を行いコーティングしても良い。この製造方法の中で、特にコロナ処理と乾燥方法が重要であり、本発明の特徴でもある。
【0033】
本発明の製造方法において、防曇剤水溶液、シリコーンエマルジョン塗布後の乾燥は、後にロール巻き取り時に防曇剤上にシリコーンオイルの一部が転写される場合に均一に転写されるように十分に行われなければならない。水分の乾燥が不十分となる場合にはシリコーンオイルの転写が不均一となる結果、所期のスチレン系樹脂シートロールを得ることができない。
【0034】
そのため、本発明の製造方法で採用する乾燥方法は、たとえば片面をコーティング後、乾燥機6により通常に乾燥(1段乾燥)し、次に反対面にコーティングし、コーティング面を乾燥機8により通常に乾燥(1段乾燥)した後に、再度乾燥機9を通す2段乾燥により十分に乾燥する。この様な2段乾燥を行うことにより防曇剤やシリコーンエマルジョン中の乳化剤等にとり込まれた水分がより完全に乾燥され、防曇剤、シリコーンオイル塗布面の乾燥レベルが向上し、かつ均一に乾燥される。この結果シリコーンオイルの防曇面への転写量の均一性をコントロールすることが可能になり、防曇剤上に実質的均一な転写シリコーン膜が形成される。一方、従来から行われている一般公知の乾燥方法(二段乾燥を行わない場合)では、乾燥が十分ではなく、この場合にはシリコーンオイルの転写に不均一が発生し、本発明のシートロールを安定して得ることは困難である(例えば、表3中の実施例6と比較例7の差)。
【0035】
コーティング後のシートの乾燥条件は、コート液の塗布量、シート生産速度等によって大きく異なり一概に規定できないが、通常、コーティング剤の溶媒 (水)が蒸発する程度に乾燥するには、100〜130℃の温風乾燥機中を5〜20秒程度通すのが一般である。本発明においても乾燥機6、8で通常に水が蒸発する条件を選定し、更に乾燥機6又は8と同等の条件で乾燥機9により2段乾燥するのが良い。なお図1では、乾燥機8と9は、分離されたものになっているが、乾燥機6の2倍以上の長さを持つ1台の乾燥機で1段乾燥と2段乾燥を行う事も可能である。乾燥機の種類にはとくに制限がないが、温風乾燥機を用いるのが一般的である。
【0036】
又、コロナ処理は、シートの表面張力がISO 8296に準処して測定した濡れ係数で45〜65ダイン/cm(mN/m)になるよう調整し、実施する。濡れ係数が45ダイン/cm未満は、防曇剤水溶液およびシリコーンエマルジョンが均一に被覆されず塗りむらが生じ、防曇性や離型性が不均一となる。表面張力が65ダインを越えた場合はブロッキングが発生しやすく、更に低温低湿度の環境下ではシート製造時およびシート成型時に静電気が発生しやすくなる。又シリコーンオイルは、防曇面へ転写させるため、とくに均一に被覆させる必要があり且つ防曇剤より濡れ性が悪いため、シリコーンエマルジョン塗布面は50〜65ダイン/cmにするのが特に好ましい。コロナ処理は、処理液のコーティング前に行えば良く、特に制限はない。
【0037】
防曇剤、シリコーンオイルのコーティング方法には特に制限はなく、一般公知の方法、例えばスプレーコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ナイフコーター等で行うことができる。この際、防曇剤水溶液の濃度は、0.05%〜5%程度が適当であり、ウエットで1〜10g/m2程度塗布するが適当である。又シリコーンエマルジョンも、シリコーンオイル濃度として0.01〜4%になるよう水で希釈し同様にウエットで1〜10g/m2程度防曇面の反対面に塗布するのが適当である。又、コーティング時の防曇剤の泡立ちを防ぐ目的で、防曇剤と共に消泡剤としてHLBが1〜8の界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等、特に好ましくは食品添加物であるソルビタン脂肪酸エステル類を防曇剤100重量部に対し、5〜30重量部添加しても良い。
【0038】
又コーティングの順番にはとくに制限がなく、例えば、先に防曇剤を塗布後乾燥し、反対面にシリコーンエマルジョンを塗布し、2段乾燥する方法や、シリコーンエマルジョンを先に塗布し乾燥後、反対面に防曇剤を塗布し同様に、2段乾燥する方法などいずれでも良い。
【0039】
コーティング剤を塗布したシートは、乾燥後、巻き張力10〜40kg/mで巻取りシートロールとする。巻き張力が10kg/m未満は、シートの巻きずれが発生しやすくシートロールが竹の子状になったり、シートロール輸送時に傷が発生しやすい領域である。又巻き張力が40kg/mを越えると紙菅つぶれや、ゲージバンドが強く発生しやすくなり、巻き戻し時の波打ちも生じやすい領域である。更に好ましくは、上記の方法でシートを巻き取り、1〜3日間エージング後、シートロールをシート状に巻き戻し、再度巻き張力10〜40kg/mでロール状に巻取る方法がよい。シートロールの巻き芯部と巻き表部では、シリコーンオイルの転写速度に差があるが、巻き返し(ロール上に巻き取ったシートロールを一度シート状に巻き戻し、再度ロール上に巻き取ること)を行うことで、シートロール全体のシリコーンオイルの転写を短時間で平衡にさせる事が可能である。
【0040】
又、本発明のスチレン系樹脂シートロールに使用されるスチレン系樹脂とは、スチレン、アルキルスチレン類、ハロゲン化スチレン類等から選ばれるスチレン系単量体のホモポリマー及びこれらのコポリマー、及び共役ジエン(ブタジエン、イソプレン等)、スチレン―共役ジエン共重合体等のゴム成分と上記スチレン系単量体とのブロック、ランダム、グラフトコポリマー、更に上記スチレン系単量体とその他の単量体とのコポリマー及びこれらのゴムグラフト共重合体である。又、これらスチレン系樹脂に鉱物油、テルペン類、石油樹脂等の可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
【0041】
これらの内好ましい樹脂は、スチレンのホモポリマー(GPPS)、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブチル(メタ)アリレート共重合体等のスチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体類及びこれらとGPPSとのブレンド物、スチレン−共役ジエンブロック共重合体(SBBC)、SBBCとGPPSやスチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体類とのブレンド物等である。
【0042】
本発明のスチレン系樹脂シートロールに使用されるシート原反は、上記のスチレン系樹脂からなる単層シート、又は上記のスチレン系樹脂を1層以上含む公知の多層シートでも良い。多層シートとしては、例えば、GPPS(表層)/GPPS+SBBC(内層)、スチレン−メタクリル酸共重合体等の耐熱スチレン系共重合体類(表層)/GPPS(内層)、GPPS(表層)/スチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体類(内層)、高分子量GPPS(表層)/中〜低分子量GPPS(内層)、GPPS+SBBC(表層)/GPPS(内層)、GPPS(表層)/可塑化GPPS(内層)等の層の組み合わせによる2層、3層、又は4層以上の公知のシートが使用できる。又シート原反は、無延伸であっても、1又は2軸に延伸されたものでも良く、シート・フィルムの目的とする物性性能により適時選択すれば良い。延伸は、公知のバブル法、テンター法等で行えば良く特に制限はない。又無延伸シートの製造も公知の方法で行えば良く制限はない。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を説明する。
【0044】
実施例
実施例・比較例におけるシート・フィルムの性能評価は、以下の規準に従って行った(特に断りがない限り「○」以上が本発明の合格レベルである)。
【0045】
(1)成型白化
熱板圧空成型法により80mm×130mm×15mmの天部が平らな蓋を成型し(シートの防曇面が熱板接触面になるようシートをセット。製造例1のシートは、加熱温度132℃、加熱時間1.2秒、成型サイクル6秒で成型。製造例2のシートは、加熱温度108℃、加熱時間2.2秒、成型サイクル8秒で成型)、成型白化以外の汚れ、傷がない成型品の中から無作為に選定した10枚の成型品の天部を切り出し、重ねて周辺部をテープで固定したものを試験片とした。次にテーブル上に印刷学会出版部発行の線数メーターを置きその上10cmのところに試験片をおき、試験片上20cmのところから目視により見分けられる最大線数を測定(5人のモニターにより各n=4、計20サンプルを試験)、平均値(一の位を四捨五入)より成型白化を評価した。値が少ないほど成型白化が激しい。
【0046】
(2)成型性(シートと熱板の粘着、シートと金型の離型性、金型汚れ)
成型白化測定法と同様の方法で容器を成型した。得られた成型品の外観評価よりシートと熱板との粘着(成型品防曇面の表面あれ、粘着痕の発生)、シートと金型との離型性(離型時の音の発生、離型不良による傷の発生)、金型汚れ(成型品の非防曇面に汚れ、凹痕が発生するまでのショット数)を以下の基準で評価した。
【0047】
・シートと熱板との粘着
◎:防曇面に表面あれ、粘着痕なし
×:防曇面にあれ、粘着痕発生
・シートと金型との離型性
◎:離型時に音の発生がなく、成型品に傷もない
○:離型時にやや大きな音が発生するが、成型品に傷はない
×:離型時に大きな音が発生または、成型品に傷が発生
・金型汚れ
◎:2000ショット以上金型汚れなし
○:1500〜1999ショットで金型汚れ発生
△:1000〜1499ショットで金型汚れ発生
×:999ショット以下で金型汚れ発生
(3)防曇性
85±1℃にコントロールされた恒温水槽上、水面から40mmのところに、防曇面が水面側になるように絞り比0.1(80mm×130mm×8mm)と絞り比0.3(90mmΦ×27mm)の成型品を置き、3分後(初期防曇性)と1時間後(持続防曇性)の水滴の付着を以下の基準で評価した。絞り比0.1の成型品で○以上の防曇性が最低合格レベル、絞り比0.3の成型品で○以上の防曇性が望ましい。
【0048】
◎:全面に鏡面状の水膜が見られ、全面に渡り透明なガラス状であり内面が完全に透けて見える。
【0049】
○:部分的に連続した水膜が見られ、全体的にはやや「もやもや」しているが水滴はなく内部は良く見える。
【0050】
△:直径10〜20mm程度の大きな水滴が見られ、内部はやや見にくい。
【0051】
×:全体の10%以上の面積に5mm以下程度の小さな水滴が見られ、内部は非常に見にくい。
【0052】
(4)成型品の剥離性
熱板加熱式圧空成型機を用いテストシートからフードパック(パック内面が防曇面)を成型し、25ショット分を重ねて打抜いたものを8組重ね、1分間放置後、フード部を一枚ずつ持ち上げた時の本体部の剥離性を以下の基準で評価した
◎:98%以上の成型品において良好に剥離できる:剥離性良好
○:90%以上の成型品が良好に剥離でき且つ4枚以上重なって持ち上がることはない:実用レベルの剥離性あり
△:80〜90%の成型品は良好に剥離できる、又は90%以上良好であるが4枚以上重なって持ち上がることがある:剥離性に劣る(但し、成型品の形状によっては実用の可能性あり)。
【0053】
×:良好に剥離できる成型品が80%未満:剥離性なし
(5)シートの耐ブロッキング性
A4サイズに切り出したシートを防曇剤塗布面と防曇剤非塗布面とが接するように5枚重ね、60℃で200kg/cm2の加圧下3分間処理した後シートを引き剥がし以下の基準で評価した
◎:抵抗なく引き剥がしが可能で白化もない
○:やや抵抗はあるが白化なく引き剥がし可能
△:引き剥がし可能であるがシートが白化する
×:シートが密着し引き剥がし不可能又はシートが破れる
(6)シリコーン被覆量の定量
FTIRを用いATR法(ATR結晶ZnSe、積算回数16回)によりシート表面の赤外吸収スペクトルを測定、約1263cm~1のシリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン)の吸収とポリスチレンの吸収(約1372と1069cm~1を使用)との比率よりシリコーン被覆量を定量した(濃度既知の標準サンプルより検量線を作成し、定量)。
【0054】
(7)シリコーンオイルの転写均一性
シート防曇面10m2から測定サンプルをランダムに20点切出し、上記FTIR法によりシリコーン被覆量を定量、被覆量(転写量)のばらつきより転写の均一性を以下の基準で評価した。
【0055】
◎:シリコーンオイル被覆量のばらつきが平均に対し±15%以内
○:シリコーンオイル被覆量のばらつきが平均に対し±15〜±30%
×:シリコーンオイル被覆量のばらつきが平均に対し±30%より大きい
(8)防曇剤被覆量の定量
FTIRを用いATR法(ATR結晶ZnSe、積算回数64回)によりシート表面とポリスチレンとの差スペクトルを測定、防曇剤と共に被覆しているシリコーンオイルを内部標準(上記(6)と同様の方法でシリコーンオイルを定量)として、防曇剤のカルボニル基の特性吸収(約1735cm~1:ショ糖脂肪酸エステルの場合)より防曇剤量を定量した。
【0056】
又、防曇剤は以下のものを使用した。
【0057】
B−1:ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸成分としてラウリン酸が68モル%で、モノエステルが30モル%、HLBが15.2
B−2:デカグリセリンラウリン酸エステル、モノエステルが66モル%で、HLBが13.2
B−3:ヘキサグリセリンラウリン酸エステル、モノエステルが62モル%で、HLBが15.4
又、シリコーンオイルは以下のものを用いた。
【0058】
S−1:ジメチルポリシロキサン(粘度が5000cs、有効固形分30重量%のエマルジョン)
S−2:ジメチルポリシロキサン(粘度が1000cs、有効固形分30重量%のエマルジョン)
S−3:ジメチルポリシロキサン(粘度が50000cs、有効固形分30重量%のエマルジョン)
製造例1
ポリスチレンを押出し機に供給し、Tダイより押出し、押出したシートをキャスティング後、130℃に加熱したローラーの速比により3倍に縦延伸した後、オーブン温度135℃のテンターで3倍に横延伸し、厚み0.18mmの二軸延伸シートを得た。
【0059】
製造例2
スチレン−ブチルアクリレート共重合体(スチレン87重量%)とスチレン−ブタジエンブロック共重合体(スチレン70重量%)とを重量比で55/45に混合物し、押出し機に供給し、Tダイより押出し、押出したシートをキャスティングロールで冷却し、厚み0.3mmの無延伸シートを得た。
【0060】
実施例1
製造例1で試作したシートの片面を濡れ係数が63ダイン/cmになるようにコロナ処理、ついでこの面にシリコーンオイルS−1の96倍希釈水溶液(シリコーンオイル濃度0.3125重量%)をスプレーコーターにより4g/m2(シリコーンオイル12.5mg/m2)塗布させた後、120℃の熱風乾燥機中を8秒通過せた。次に反対面を濡れ係数が58ダイン/cmになるようにコロナ処理、ついでこの面に防曇剤B−1の0.5重量%水溶液をスプレーコーターにより4g/m2(防曇剤20mg/m2)塗布した後、120℃の熱風乾燥機中を8秒通過させその後続けて120℃の熱風乾燥機中を8秒通過(2段乾燥)させた。得られたシートを15〜20kg/mの巻き張力で巻き取り、シートロールを得た。シートロールを23℃で1日エージングした後、シートを巻き返し(巻き返し時の巻き張力15〜20kg/m)さらに同温で4日間エージングした。エージング後、防曇剤の転写は確認でず、またシリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均4.2mg/m2被覆し、シリコーンオイル塗布面には、平均8.3mg/m2被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表1に示す。
【0061】
実施例2〜4
シリコーンコート面のコロナ処理強度を56ダイン/cm、防曇剤コート面のコロナ処理強度を60ダイン/cmとし、防曇剤水溶液の濃度を0.2重量%(防曇剤8mg/m2:実施例2)、0.4重量%(防曇剤16mg/m2:実施例3)、1.0重量%(防曇剤36mg/m2:実施例4)としたほかは実施例1と同様に行い、シートロールを得た。いずれのシートもエージング後防曇剤の転写は確認できず、またシリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均4.3mg/m2被覆し、シリコーンオイル塗布面には、平均8.2mg/m2被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表1に示す。
【0062】
実施例5〜7
シリコーンオイルの希釈倍率を480倍(シリコーンオイル塗布量2.5mg/m2:実施例5)、60倍(シリコーンオイル塗布量20mg/m2:実施例6)、30倍(シリコーンオイル塗布量40mg/m2:実施例7)としたほかは実施例1と同様に行い、シートロールを得た。エージング後防曇剤の転写は確認できず、シリコーンオイルは、実施例5から防曇剤塗布面/シリコーンオイル塗布面の順に平均で0.4/2.1、6.4/13.6、16.8/23.2mg/m2被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表1に示す。
【0063】
実施例8
製造例1で作成したシートの片面を濡れ係数が60ダイン/cmになるようにコロナ処理をした後、半対面も同様に処理した。ついで片面に防曇剤B−1とB−2の80/20(重量比)混合物0.5重量%水溶液をスプレーコーターにより4.8g/m2(防曇剤24mg/m2)塗布した後、110℃の熱風乾燥機中を10秒通過せた。次に防曇剤塗布面の半対面にシリコーンオイルS−2の100倍希釈水溶液(シリコーンオイル濃度0.3%)をスプレーコーターにより3.5g/m2(シリコーンオイル10.5mg/m2)塗布させた後、110℃の熱風乾燥機中を20秒通過させた。得られたシートを20〜25kg/mの巻き張力で巻き取り、シートロールを得た。シートロールを23℃で5日間エージングした。エージング後、防曇剤の転写は確認でず、またシリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均3.7mg/m2転写し、シリコーンオイル塗布面には、平均6.8mg/m2被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表1に示す。
【0064】
実施例9
シート防曇剤塗布面の塗れ係数を54ダイン/cmとし、防曇剤をB−1とB−3の65/35(重量比)混合物とし、シリコーンオイルをS−3とし、シートの巻き張力を15〜20kg/mとしたほかは実施例8と同様に行い、シートロールを得た。エージング後防曇剤の転写は確認できず、シリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均2.9mg/m2転写し、シリコーンオイル塗布面には、平均7.6mg/m2の範囲で被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0003852864
【0066】
比較例1
製造例1で試作したシートの片面を濡れ係数が62ダイン/cmになるようにコロナ処理、ついでこの面に防曇剤B−1の0.5重量%を含むシリコーンオイルS−1の96倍希釈水溶液(シリコーンオイル濃度0.3125重量%)をスプレーコーターにより4g/m2(防曇剤20mg/m2、シリコーンオイル12.5mg/m2)塗布した後、120℃の熱風乾燥機中を8秒通過させた。得られたシートを15〜20kg/mの巻き張力で巻き取り、シートロールを得た。シートロールを23℃で3日間エージングした後、シートを巻き返し(巻き返し時の巻き張力15〜20kg/m)さらに同温で7日間エージングした。エージング後、防曇剤の転写は確認できず、またシリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均6.7mg/m2被覆し、反対面に平均5.8mg/m2転写し被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表2に示す。
【0067】
比較例2
シリコーンオイルの希釈倍率を20倍(シリコーンオイル塗布量60mg/m2)としたほかは実施例1と同様に行い、シートロールを得た。エージング後防曇剤の転写は確認できず、シリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均27.5mg/m2転写し、シリコーンオイル塗布面には、平均32.5mg/m2被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表2に示す。
【0068】
比較例3
シリコーンオイルの希釈倍率を1200倍(シリコーンオイル塗布量0.875mg/m2)としたほかは、実施例8と同様に行い、シートロールを得た。エージング後防曇剤の転写は確認できず、シリコーンオイルは、防曇剤塗布面への転写は、0.05mg/m2未満で、シリコーンオイル塗布面には、平均0.85mg/m2程度被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表2に示す。
【0069】
比較例4
防曇剤水溶液の濃度を0.075重量%(防曇剤3mg/m2)にしたほかは実施例1と同様に行いシートロールを得た。エージング後防曇剤の転写は確認できず、またシリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均5.0mg/m2被覆し、シリコーンオイル塗布面には、平均7.5mg/m2被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表2に示す。
【0070】
比較例5
防曇剤水溶液の濃度を1.75重量%(防曇剤70mg/m2)にしたほかは実施例1と同様に行いシートロールを得た。塗布した防曇剤の約25%が反対面に転写し、またシリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均6.1mg/m2転写し、シリコーンオイル塗布面には、平均6.4mg/m2被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの物性を評価した結果を表2に示す。なお、このシートは、べたつきが特に激しく商品価値を低下させるものであった。
【0071】
【表2】
Figure 0003852864
【0072】
実施例10、11
シート両面の濡れ係数が54ダイン/cm(実施例10)、48ダイン/cm(実施例11)となるようにコロナ処理したほかは実施例6と同様に行い、シートロールを得た。得られたシートのシリコーンオイルの転写均一性を評価した結果を表3に示す。
【0073】
比較例6
シート両面の塗れ係数が43ダイン/cmとなるようにコロナ処理したほかは実施例6と同様に行い、シートロールを得た。得られたシートのシリコーンオイルの転写均一性を評価した結果を表3に示す。
【0074】
比較例7
防曇剤塗布後に2段乾燥を行わない(1段乾燥のみにした)ほかは実施例6と同様に行い、シートロールを得た。得られたシートのシリコーンオイルの転写均一性を評価した結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
Figure 0003852864
【0076】
実施例12
製造例2で作成したシートを用いたほかは、実施例1と同様に行い、シートロールを得た。得られたシートは、防曇剤の転写は確認でず、またシリコーンオイルは、防曇剤塗布面に平均4.4mg/m2転写し、シリコーンオイル塗布面には、平均8.1mg/m2被覆していることをFTIR(ATR法)により確認した。このシートの成型白化評価結果は、80の線数値を示し、その他評価項目は、実施例1のシートと同等のレベルであった。
【0077】
【発明の効果】
本発明のシートロールは、熱板圧空成型時に成型白化が起こりにくいため、従来シートからの成型品に比較して、透明性に優れる成型品を与え、且つ防曇性と滑り性、離型性に優れる効果がある。このため、食品包装容器を始め、各種包装容器成型用スチレン系樹脂シートロールとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オフラインコーティングによる本発明の製造方法例の略図である。
【符号の説明】
1、シート原反
2、スチレン系樹脂シート
3、4、コロナ処理機
5、7、コーター
6、8、1段目の乾燥機
9、2段目の乾燥機
10、コーティング後のシートロール

Claims (1)

  1. スチレン系樹脂シートを成形後、濡れ係数45〜65ダイン/cmにコロナ処理した一方のシート面に防曇剤水溶液又はシリコーンエマルジョンを塗布して乾燥させ、次に、同様に濡れ係数45〜65ダイン/cmにコロナ処理したもう一方のシート面に、裏面に防曇剤が塗布されている場合はシリコーンエマルジョンを、シリコーンオイルが塗布されている場合は防曇剤水溶液を塗布し、十分に乾燥させ、その後巻き張力10〜40kg/mの条件でロール状にいったん巻き取ることを特徴とする防曇性スチレン系樹脂シートの製造方法。
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