JP5948482B1 - 防曇組成物および防曇性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
従って、これら従来技術では、長期間の使用に対して防曇性能を確保することができず、未だ不十分であるのが現状である。
[1]合成樹脂(A)、無機化合物(B)、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体(C)を含有することを特徴とする防曇組成物。
[2]前記共重合体(C)は、該共重合体(C)100質量%に対して、ポリエチレングリコールの含有率が50質量%以上であることを特徴とする[1]に記載の防曇組成物。
[3]前記共重合体(C)のポリプロピレングリコールの重量平均分子量が5000以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の防曇組成物。
[4]前記共重合体(C)の含有量は、合成樹脂(A)と無機化合物(B)の合計100質量部に対して、3質量部以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の防曇組成物。
[5]基材フィルム、及び当該基材フィルムの少なくとも片面側に設けられた[1]〜[4]のいずれか1項に記載の防曇組成物からなる層を備えることを特徴とする防曇性フィルム。
[6]前記基材フィルムがポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする[5]に記載の防曇性フィルム。
[7]農業用途であることを特徴とする[5]または[6]に記載の防曇性フィルム。
を、提供するものである。
本発明に使用するポリエチレングリコール(以下「PEG」とも言う。)とポリプロピレングリコール(以下「PPG」とも言う。)との共重合体(C)(以下単に「共重合体(C)」とも言う。)は、共重合体であれば特に限定されるものではなく、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、多ブロック共重合体、及びこれらの共重合体の2種以上の混合物であってもよい。より安定的に長期の防曇性能を付与できるという点では、PEG−PPG型のジブロック共重合(以下「PEG−PPG共重合」とも言う。)、PEG−PPG−PEG型のトリブロック共重合体(以下「PEG−PPG−PEG共重合体」とも言う。)が好ましく、PEG−PPG−PEG共重合体がより好ましい。
合成樹脂(A)と無機化合物(B)を含む防曇組成物に該共重合体(C)を含有させることで、合成樹脂(A)と無機化合物(B)が偏在することなく均一に分散した状態を形成しやすくすることができ、優れた防曇性能を付与することが可能となる。
なお、共重合体(C)の含有量は0質量部よりも多ければ特に限定することはないが、0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましい。
本発明に使用する合成樹脂(A)としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、合成樹脂からなる基材フィルムとの相性から、特に、アクリル系樹脂、及び/又はウレタン系樹脂を用いることが好ましく、更に好ましくは後述する(i)親水性アクリル系重合体からなるもの、(ii)疎水性アクリル系樹脂からなるもの、(iii)疎水性アクリル系樹脂と、ポリウレタンエマルジョンからなるもの、が各々の特質を持ち、好ましい。また、(iv)前記樹脂に使用されるモノマーの共重合樹脂についても、好ましく使用することが出来る。(iv)については、例えば、ウレタン変性ポリエステル系ウレタン等を挙げる事が出来る。
本発明に使用する無機化合物の平均粒子径は、0.1nm〜200nmが好ましく、1nm〜100nmがより好ましく、3nm〜80nmが更に好ましい。無機化合物の平均粒子径を0.1nm以上とすることで分散性に優れ、また、200nm以下とすることで被膜の透明性に優れるため好ましい。
なお、本発明の平均粒子径とは、BET法と呼ばれる窒素ガス吸着法により測定される比表面積(m2/g)から常法により平均粒子径として算出される比表面積径のことを言う。
また、防曇組成物の層と基材フィルムの層からなるフィルムの場合は、防曇組成物を水、有機溶媒(2種以上の有機溶媒からなる混合溶媒を含む)又は水と1種以上の有機溶媒との混合溶媒に分散又は溶解し、防曇組成物を含む分散液又は溶液(以下「防曇剤組成物」とも言う。)を調製し、当該防曇剤組成物を基材フィルムの表面に塗布等することにより防曇組成物の層を形成することが好ましい。前記防曇剤組成物は合成樹脂(A)、無機化合物(B)、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体(C)含有するものであるが、この防曇剤組成物中での合成樹脂(A)の分散性をより良好にするため分散液中では溶解物、もしくはエマルジョンとすることが好ましい。また、無機化合物(B)の分散性をより良好にするために、無機化合物を無機質コロイド状物質とすることが好ましい。
また、加熱乾燥には、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法、及び紫外線硬化法等適宜の方法を採用すればよく、乾燥速度、安定性を勘案すれば熱風乾燥法を採用するのが好ましい。
また、これらの樹脂を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
3層インフレーション成形装置として3層ダイに100mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機はチューブ外内層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40mmφ((株)プラ技研製)として、外内層押出し機温度180℃、中間層押出し機温度170℃、ダイス温度180〜190℃、ブロー比2.0〜3.0、引取り速度3〜7m/分、の加工条件で、外層/中間層/内層が30/90/30の厚み比となる、厚さ0.15mmの3層の積層フィルムを作製した。なお、これらのフィルムは、ハウス展張時にチューブの端部を切り開いて使用するため、展開した際に製膜時のチューブ外層が展張時にはハウスの内層(内面)となる。
・低密度ポリエチレン(LDPE):宇部丸善ポリエチレン社製「F022NH」(MFR:0.8g/10分、密度0.922)
・メタロセンPE(Me−PE):日本ポリエチレン社製カーネル「KF270」(MFR:2g/10分、密度0.907)
・エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA1):(酢酸ビニル含有量5重量%、MFR2g/10分)
・エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA2):(酢酸ビニル含有量15重量%、MFR2g/10分)
・紫外線吸収剤A:サイテック社製「トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤UV1164」
・合成ハイドロタルサイトA:協和化学社製「DHT4A」
・光安定剤A:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤 「chimassorb944」
・エチレン・環状アミノビニル共重合体:日本ポリエチレン社製「ノバテックLD・XJ100H」(MFR=3g/10分、密度=0.931g/cm3、 融点=111℃)
内層:LDPE(10質量部)、Me−PE(90質量部)、エチレン・環状アミノビニル共重合体(6質量部)
中間層:LDPE(2質量部)、EVA1(98質量部)、合成ハイドロタルサイトA(6質量部)、紫外線吸収剤A(0.06質量部)、光安定剤A(0.4質量部)
外層:LDPE(10質量部)、EVA2(90質量部)、エチレン・環状アミノビニル共重合体(6質量部)
得られた基材フィルムのハウス内層側にあたる表面(外層)を、放電電圧120V、放電電流4.7A、ラインスピード10m/minでコロナ放電処理を行った。濡れ指数は、46dyn/cmとした(JIS−K6768)。
分散媒として水とイソプロピルアルコールを用いて、合成樹脂(A)、無機化合物(B)、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体(C)を表1、2のように配合し、固形分濃度10質量%、水:イソプロピルアルコール=60:40(質量比)となるよう調整し、分散液を調製した。
<合成樹脂(A)>
合成樹脂(A):日本NSC(株)製「A−612」(疎水性アクリル系樹脂)
<無機化合物(B)>
無機質コロイドゾル(B):日産化学工業(株)製「スノーテックス20L」(コロイダルシリカ)
<ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体(C)>
トリブロック共重合体(C−1):(株)ADEKA製「プルロニックF−88」(共重合体の重量平均分子量:10800、PPGの重量平均分子量:2250、PEG含有率:80質量%)
トリブロック共重合体(C−2):(株)ADEKA製「プルロニックF−108(共重合体の重量平均分子量:15500、PPGの重量平均分子量:3250、PEG含有率:80質量%)
トリブロック共重合体(C−3):(株)ADEKA製「プルロニックF−68」(共重合体の重量平均分子量:8350、PPGの重量平均分子量:1750、PEG含有率:80質量%)
トリブロック共重合体(C−4):(株)ADEKA製「プルロニックP−85」(共重合体の重量平均分子量:4600、PPGの重量平均分子量:2250、PEG含有率:50質量%)
ジブロック共重合体(C−5):三洋化成工業(株)製「ニューポールPE−68」(共重合体の重量平均分子量:8000、PPGの重量平均分子量:1750、PEG含有率:80質量%)
<ポリエチレングリコール(D)>
ポリエチレングリコール(D−1):ナカライテスク(株)製「PEG#6000」
ポリエチレングリコール(D−2):ナカライテスク(株)製「PEG#20000」
<ポリプロピレングリコール(E)>
ポリプロピレングリコール(E−1):キシダ化学(株)製「PPG400」
ポリプロピレングリコール(E−2):キシダ化学(株)製「PPG2000」
ポリプロピレングリコール(E−3):キシダ化学(株)製「PPG4000」
(1)の基材フィルムを(2)の方法で表面処理し、(3)の防曇組成物の分散液をそれぞれ#8バーコーターを用いて塗布した。塗布したフィルムを80℃のオーブン中に1分間保持して、液状分散媒を揮発させ防曇組成物の層を形成した。
水を入れた水槽の上部に、得られた各サンプルの防曇組成物の層を形成した表面を水槽内部側に配置し、外気温23℃、水槽内水温50℃に設定し、1ヶ月養生した後、防曇性の評価を行った。
<評価方法>
水を入れた水槽の上部に、防曇組成物の層側を水槽内部に向けて地表水平面に対して10度の角度で配置し、外気温を12℃、水槽内気温を22℃に保持し、水滴が流れ始める迄の時間を測定した結果を表1、表2に示す。
また、得られた結果の評価は以下の基準で実施した。
◎:水滴が流れ始める迄の時間が180分以下。
○:水滴が流れ始める迄の時間が180分より長く240分以下。
×:水滴が流れ始める迄の時間が240分より長いもの。
Claims (6)
- 合成樹脂(A)、無機化合物(B)、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体(C)を含有し、合成樹脂(A)は疎水性アクリル系樹脂であり、無機化合物(B)はシリカ及び/又はアルミナであり、前記共重合体(C)は、該共重合体(C)100質量%に対して、ポリエチレングリコールの含有率が50質量%以上であることを特徴とする防曇組成物。
- 前記共重合体(C)のポリプロピレングリコールの重量平均分子量が5000以下であることを特徴とする請求項1に記載の防曇組成物。
- 前記共重合体(C)の含有量は、合成樹脂(A)と無機化合物(B)の合計100質量部に対して、3質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の防曇組成物。
- 基材フィルム、及び当該基材フィルムの少なくとも片面側に設けられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の防曇組成物からなる層を備えることを特徴とする防曇性フィルム。
- 前記基材フィルムがポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の防曇性フィルム。
- 農業用途であることを特徴とする請求項4または5に記載の防曇性フィルム。
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