JP3988335B2 - 防曇剤組成物及び農業用樹脂フィルム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ガラス、合成樹脂材料よりなる各種製品の表面に防曇性を付与し、特に防曇性の発現速さ、及び防曇性を長期間にわたって持続しうる防曇剤組成物及び農業用樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、種々の熱可塑性樹脂が工業的に製造され、広い分野に使用されている。これら熱可塑性樹脂より製造された成形品の多くは、その表面が疎水性であるため、成形品を使用する温度、湿度等の条件によっては、成形品の表面に曇りを生じ、種々の不都合をきたしている。例えば、合成樹脂製レンズを使用しているゴーグル、安全眼鏡等では、曇りのため視界がきかなくなったり、食品包装用フイルムでは、曇りのために内容物が見えにくくなる。また、温室に用いられる農業用フイルムでは、曇りのために太陽光線の透過が悪くなり、植物の生育を遅くしたり曇りの微細水滴が集合して生じた水滴が栽培植物に落下することにより、幼芽が害をうけたり、病害の発生の原因となったりする。
【0003】
このような不都合を解消するためには、熱可塑性樹脂成形品の表面に防曇性を付与すればよいことが知られている。熱可塑性樹脂成形品の表面に防曇性を付与するには、熱可塑性樹脂に界面活性剤のような親水性物質を練り込んで成形品とする方法、又は成形品とした後に、その表面に、例えば、シリカまたはアルミナと界面活性剤との混合物を塗布する方法が各種提案されている。しかしながら、前者の方法では、熱可塑性樹脂に練り込んだ親水性物質が成形品の表面にふきだして配位し、成形品に防曇性を付与し、防曇性を発現する迄の時間は短いものの、水によって流失し易く、短期間のうちに防曇性が消失する。他方、後者の方法においても熱可塑性樹脂との密着性に乏しいため、形成塗膜は、時間の経過とともに脱落し、いずれの方法を採用しても防曇性の発現速さと防曇効果の持続性の両立が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような欠点を解消するために、ガラス転移温度35〜80℃の範囲にある疎水性アクリル系樹脂と無機質コロイドゾルとからなる防曇剤組成物に関する発明を、特開昭62−246984号として提案したが、今回、ポリウレタン水性組成物を特定量添加することにより、熱可塑性樹脂成形品表面への密着性も優れ、防曇性を発現するまでの時間が短く、かつ長期にわたって成形品の防曇性を持続しうることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明の要旨とするところは、(a)ガラス転移温度が35〜80℃の範囲にある疎水性アクリル系樹脂の水分散液、(b)ポリウレタン水性組成物、(c)無機質コロイドゾルの3成分を必須成分とし、且つ、成分(b)の配合量が、固形分重量比で成分(a)に対して0.01以上、1以下で、成分(c)の配合量が、固形分重量比で成分(a)と成分(b)の合計に対して0.5以上、5以下である防曇剤組成物、及び塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂又はポリエチレンテレフタレート系樹脂から選ばれる樹脂を主樹脂とするフィルムの少なくとも片面に、該防曇剤組成物を塗布してなる農業用樹脂フィルムに存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の防曇剤組成物の成分(a)である疎水性アクリル系樹脂樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類または(メタ)アクリル酸アルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との混合物を少なくとも60重量%、及びこれらと共重合可能なα,β−エチレン性不飽和単量体0〜40重量%を重合して得られたガラス転移温度が35〜80℃の範囲にある疎水性アクリル系樹脂である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とは、アクリル酸のまたはメタクリル酸のアルキルエステル類であり、具体的には例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル等があげられ、一般には、アルキル基の炭素数が1〜20個のアクリル酸アルキルエステル及び/又はアルキル基の炭素数が1〜20個のメタクリル酸アルキルエステルが使用され、これらは混合して使用してもよい。
アルケニルベンゼン類としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。アルケニルベンゼン類と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類との混合物を用いる場合には、α,β−エチレン性不飽和単量体の使用量によっても異なるが、通常(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の使用割合を10重量%以上とするのがよく、また、疎水性アクリル系樹脂中に占めるアルケニルベンゼン類を70重量%以下の範囲で含有するものがよい。
【0007】
本発明で用いる疎水性アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、またはこれとアルケニルベンゼン類との混合物を、少なくとも60重量%含有するものであって、60重量%に満たないときは形成塗膜の耐水性が充分でなく、防曇持続性能を発揮し得ない。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、またはこれとアルケニルベンゼン類との混合物と共重合可能なα,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸類;エチレンスルホン酸のようなα,β−エチレン性不飽和スルホン酸類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸;α,β−エチレン性不飽和ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチル等の水酸基含有ビニル単量体;アクリロニトリル類;アクリルアマイド類;アクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステル類等がある。これら単量体は、単独で用いても、又は2種以上の併用でもよく、0〜40重量%の範囲で使用できる。40重量%を超えると、防曇性能を低下させるので好ましくない。
【0008】
これら単量体から疎水性アクリル系樹脂を重合する方法としては、従来から知られている種々な乳化剤、例えば陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤の中から選ばれる1種もしくは2種以上の存在下、水系媒質中で、乳化重合させる方法、反応性乳化剤を用いて重合させる方法、乳化剤を含有せずオリゴソープ理論に基づいて重合させる方法等によって得られる。乳化剤の存在下による重合方法の場合、これら乳化剤は、単量体の仕込み合計量に対し0.1〜10重量%の範囲で使用される。この範囲外であると、重合速度の調整が難しく、また合成される樹脂の分散安定性が劣るので好ましくない。
疎水性アクリル系樹脂の製造に当たって用いられる重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、アセチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、単量体の仕込み合計量に対して0.1〜10重量%の範囲で使用される。
【0009】
本発明における疎水性アクリル系樹脂は、そのガラス転移温度(Tg)が35〜80℃の範囲内のものでなければならない。このようなTgのものは、使用する単量体の種類及び使用量(配合量)の選択によって得られる。しかして、使用するアクリル系樹脂のTgが80℃を超えると透明性のある均一な塗膜が得られにくい。また、Tgが35℃に満たないときは、無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な分散状態をとりやすく、又、無機質コロイド粒子の塗布基材に対する固着が充分でないので、時間の経過とともに無機質コロイド粒子が基材表面から脱落・流失するなどして防曇性能を損ねる。
【0010】
本発明の組成物の成分(a)である疎水性アクリル系樹脂の水系エマルジョンは、各単量体を水系媒質中での重合によって得られた水系エマルジョンをそのまま使用しても、更にこのものに液状分散媒を加えて稀釈したものでもよく、また上記のような重合によって生じた重合体を分別採取し、これを液状分散媒に再分散させて水系エマルジョンとしたものでもよい。
本発明の防曇剤組成物の成分(b)であるポリウレタン水性組成物は、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンが用いられるが、防曇被膜の耐水性及び傷付き性の点でポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンが好ましく、更なる防曇被膜の耐水性、傷付き性向上並びに防曇性を発現するまでの時間及び防曇持続性の点でシラノール基を含有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンがより好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0011】
シラノール基を含有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンとは、分子内に少なくとも1個のシラノール基を含有するポリウレタン樹脂と、硬化触媒として強塩基性第3級アミンとを含有してなり、具体的には水相中にシラノール基含有ポリウレタン樹脂及び前記強塩基性第3級アミンが溶解しているもの、又は微粒子状に分散しているコロイド分散系のもの〔エマルジョンをいう。
ポリウレタン水性組成物は、その配合量を固形分重量比で疎水性アクリル系樹脂に対して0.01以上、1以下にすることが必要であり、特に0.03以上0.50以下、更に0.05以上0.30以下が好ましい。少量すぎるときは傷付き性の向上が見られず、また、防曇性を発現するまでの時間が長く、充分な防曇効果が発揮できない。また、多量すぎるときは、傷付き性及び防曇性を発現するまでの時間が配合量に比例して向上しないばかりでなく、塗布後に形成される塗膜が白濁化し光線透過率を低下させ、また、コスト面でも不利であり好ましくない。
【0012】
本発明の防曇剤組成物の成分(c)である無機質コロイドゾルは、疎水性の成形品表面に塗布することにより、成形品表面に親水性を付与する機能を果たすものである。無機質コロイドゾルとしては、例えば、シリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性ゾルがあげられる。中でも好ましいのは、シリカゾルとアルミナゾルである。これらは、単独で用いても併用してもよい。使用する無機質コロイドゾルとしては、その固体平均粒子径が5〜100mμの範囲のものが好ましい。この範囲内にあれば、平均粒子径の異なる2種以上のコロイドゾルを組み合わせて用いてもよい。平均粒子径が100mμを越えると、塗膜が白く失透する傾向がでてくるのみならず、防曇持続性が低下するため好ましくない。また、5mμに満たないときは、無機質コロイドゾルの安定性に欠ける恐れがある。
【0013】
無機質コロイドゾルは、その配合量を固形分重量比で疎水性アクリル系樹脂とポリウレタン水性組成物の合計に対して0.5以上、5以下にすることが必要である。即ち0.5に満たないときは、充分な防曇効果が発揮できない。また、5を越えるときは、防曇効果が配合量に比例して向上しないばかりでなく、塗布後に形成される塗膜が白濁化し光線透過率を低下させ、また、塗膜が粗雑で脆弱になりやすくなるので好ましくない。
【0014】
本発明において用いられる防曇剤組成物には、バインダー成分同士を架橋させる架橋性化合物を併用してもよい。こうすることにより防曇被膜の耐水性を向上させることができる。架橋剤としては、フェノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、アジリジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネート化合物類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が挙げられるが、特にアミン化合物類、アジリジン化合物類、エポキシ化合物類が好適である。これら架橋性化合物は、その添加量がアクリル系樹脂固形分に対して0.1〜30重量%の範囲、特に0.5〜10重量%の範囲が好ましい。
【0015】
しかして、防曇剤組成物は、通常液状で使用される。液状分散媒としては、水を含む親和性ないし水混合性溶媒が含まれ、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が挙げられる。これらは単独で用いても併用してもよいが、用いる防曇剤組成物の分散安定性、フィルム表面に塗布した後の濡れ性、液状分散媒除去の難易及び経済性を勘案して決めるのが好ましい。
【0016】
防曇剤組成物は、疎水性アクリル系樹脂、ポリウレタン水性組成物、及び無機質コロイドゾルの固形分として一般に0.5〜50重量%の濃度で調製され、普通1〜20重量%の濃度で調製し、これを稀釈して使用することが多い。本発明で調製される防曇剤組成物には更に必要に応じて、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、増粘剤、顔料、顔料分散剤等の慣用の添加剤を混合することができる。
本発明に係わる防曇剤組成物は、成形品の表面に塗布し、強制乾燥又は自然乾燥し、液状分散媒を揮散させることで塗膜を形成することによって、成形品表面の防曇性を発現させるものである。強制乾燥する方法としては、熱風乾燥法、赤外線輻射法等が採用できる。強制乾燥するときの加熱温度は、塗布された防曇剤組成物によって決定されるが、50〜250℃、好ましくは60〜200℃の範囲である。
【0017】
本発明の防曇剤組成物を塗布することにより、その特徴が顕著に認められる成形品としては、プラスチック、無機ガラス、透明セラミック、金属、鏡面材料等が挙げられる。これらの中で特に実用価値の大きい例としては、プラスチック成形品、プラスチックフィルム、無機ガラスレンズ、建造物の窓、浴室の窓、自動車又は列車、航空機、船舶などのような乗物の窓等が挙げられるが、特に農業用樹脂フィルムに適用するのが好ましい。
農業用樹脂フィルムとしては、公知の農業用樹脂フィルム、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主樹脂としたフィルムを基体フィルムとし、その少なくとも片面(特にハウス展張時に内面となる側)に、上記本願発明の防曇剤組成物を塗布したものが挙げられる。
【0018】
特にポリオレフィン系樹脂としては、αーオレフィン系の単独重合体、αーオレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、具体的には例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、エチレンーブテン共重合体、エチレンー4ーメチルー1ーペンテン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.88〜0.94の低密度ポリエチレンやエチレンーαーオレフィン共重合体及び酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレンー酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性の点から好ましく挙げられる。
【0019】
また、これらの農業用樹脂フィルムには、必要に応じ、公知の添加剤、例えば可塑剤、滑剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、無機微粒子、界面活性剤等の添加助剤を配合することができる。
本発明の防曇剤組成物を成形品表面に塗布するには、ロールコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法等それ自体公知の如何なる方法によってもよい。
成形品の表面に防曇剤組成物を塗布し、液状分散媒を乾燥、揮散させた後の固形物の付着量は、0.01〜10g/m2 、好ましくは0.1〜5g/m2 の範囲である。成形品表面と、本発明に係わる防曇剤組成物に由来する塗膜との接着性が充分でない場合には、防曇剤組成物を塗布する前に、成形品表面にプラズマ処理を施すとか、又はコロナ放電処理を施す等によって成形品表面を改質するのがよい。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。
【0021】
(1)アクリル系樹脂の調製
樹脂A〜D
四ツ口フラスコにポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量部及び水80重量部を仕込んで窒素ガス気流下に60℃まで加熱し、ここに過硫酸アンモニウム0.5重量部を添加し、さらに表−1に示した各単量体の混合物100重量部を3時間にわたって滴下した。この際の反応温度は60〜70℃の範囲に保持するが、滴下終了後も同温度範囲に2時間保持してから冷却し、アクリル系樹脂の水分散液を製造した。各樹脂のガラス転移温度は、表−1に示すとおりであり、次式により算出した値である。
【0022】
【数1】
1/Tg=( W1 /Tg1)+( W2 /Tg2)・・・ +( Wn /Tgn )
[Tg;疎水性アクリル系樹脂のガラス転移温度( K。 )
Tg1 ,Tg2 ,・・・ Tgn ;各成分1,2・・・ n のホモポリマーのガラス転移温度( K。 )
W1 ,W2 ,・・・ Wn ;各成分1,2・・・ n の重量分率 をそれぞれ示す]
【0023】
(2)防曇剤組成物の調製
上記製造例において得られたアクリル系樹脂水分散液A〜Dに、表−2に示した種類及び量のポリウレタン水性組成物、無機質コロイドゾル及びその他の成分を配合し、各種の防曇剤組成物を調製した。
(3)防曇剤組成物による塗膜の形成
得られた防曇剤組成物を表−3に示した成形品表面にバーコート法によって、乾燥後の塗布量が固形分として0.5g/m2となるように塗布し、80℃の熱風中に1分間滞留させ、溶媒を揮散させた。
得られた成形品に形成された塗膜の性質について、次に記載した方法で各種性質を評価した。
【0024】
(評価方法)
▲1▼透明性
成形品の外観を肉眼で観察した。この評価基準は、次の通りである。
○ …防曇剤組成物を塗布しない成形品と較べて、透明性がほぼ同等のもの。
○×…透明性の低下がやや認められるもの。
△ …透明性の低下がかなり認められるもの。
× …透明性の低下が非常に激しく、実用に耐えないもの。
【0025】
▲2▼密着性
成形品の塗膜を形成した面にセロハンテープを接着し、このセロハンテープを剥した時に、塗膜の剥離状況を肉眼で観察した。評価基準は、次の通りである。○ …塗膜が全く剥離せず、完全に残ったもの。
○×…塗膜の2/3以上が剥離せず残ったもの。
△ …塗膜の2/3以上が剥離したもの。
× …塗膜が完全に剥離したもの。
【0026】
▲3▼塗膜の傷付き性
塗膜を形成した面に10cm四方に裁断したスコッチ・ブライト(3M製)を置き、荷重1kg下で引っ張り速度2cm/秒の速さで引っ張り、塗膜面の傷付き状況を肉眼で観察した。この評価基準は、次の通りである。
○ …塗膜表面の傷付き性が認められない
○×…塗膜表面の傷付き性がやや認められるもの
△ …塗膜表面の傷付き性がかなり認められるもの
× …塗膜表面の傷付き性が非常に激しく、実用に耐えないもの
【0027】
▲4▼防曇性
1)条件1
水をいれた水槽の上部に、成形品の塗膜を形成した表面を水槽内部に向けて配置し、外気温を20℃、水槽内気温を50℃に保持し、水槽の上部に成形品を配置してから所定期間経過後の時点で、防曇性の発現速さを肉眼で観察した。この評価基準は、次の通りである。
◎ …水が薄膜状に付着し、水滴が認められない状態。
○ …水が薄膜状に付着しているが、わずかに大粒の水滴が認められる状態。
○×…水が薄膜状に付着しているが、部分的に大粒の水滴の付着が認められる状態。
△ …部分的に細かい水滴の付着が認められる状態。
× …成形品内表面全体に、細かい水滴の付着が認められる状態。
【0028】
2)条件2
条件1で1ヶ月経過した各成形品について、外気温を10℃、水槽内気温を20℃に保持し、所定時間経過時点での防曇性の発現速さを肉眼で観察した。この評価基準は、上記条件1における記号と同じである。
3)条件3
成形品を、戸外の試験圃場に設置した片屋根式ハウス(間口2m、奥行き20m、棟高2m、屋根勾配30度)に、塗膜を設けた面をハウスの内側になるようにして被覆を行い、2月から翌年の7月までの18ヶ月展張試験を行った。展張試験中に、経時的に各成形品の防曇性を肉眼で観察した。この評価基準は、上記条件1における場合と同じである。これらの評価結果を表−3に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表−2の注
*1:水系エマルジョン中の重合体固形物量を示す
*2:無機質粒子量を示す
*3:水/エタノールは3/1の比率の配合物
*4:相互薬品(株)製アジリジン系化合物
*5:武田薬品工業(株)製アニオン性ポリエーテル系ポリウレタンエマルジョン
*6:武田薬品工業(株)製アニオン性ポリエステル系ポリウレタンエマルジョン
*7:武田薬品工業(株)製アニオン性ポリカーボネート系ポリウレタンエマルジョン
*8:武田薬品工業(株)製アニオン性ポリカーボネート系ポリウレタンエマルジョン、シラノール基含有タイプ(強塩基性第3級アミン含有)
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【発明の効果】
本発明の防曇剤組成物は、成形品に適用することにより、防曇性を速く発現し併せて防曇性が長期間にわたって持続することから、防曇剤としての利用価値は極めて大きく、特に農業用樹脂フィルムに適用した場合に好ましい。
Claims (6)
- (a)ガラス転移温度が35〜80℃の範囲にある疎水性アクリル系樹脂の水分散液、(b)ポリウレタン水性組成物、及び(c)無機質コロイドゾルの3成分を必須成分とし、且つ、成分(b)の配合量が、固形分重量比で成分(a)に対して0.01以上、1以下で、成分(c)の配合量が、固形分重量比で成分(a)と成分(b)の合計に対して0.5以上、5以下である防曇剤組成物。
- 成分(b)が、分子内に少なくとも1個のシラノール基を含有するポリウレタン樹脂と、硬化触媒として強塩基性第3級アミンとを含有してなるポリウレタン水性組成物である請求項1記載の防曇剤組成物。
- 成分(b)が、ポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン水性組成物である請求項1又は請求項2記載の防曇剤組成物。
- 成分(C)が、シリカゾル及び/又はアルミナゾルである請求項1ないし請求項3のいずれかの項に記載の防曇剤組成物。
- 請求項1ないし4のいずれかの項に記載の防曇剤組成物に、更に成分(a)の疎水性アクリル系樹脂の架橋剤を配合した防曇剤組成物。
- 塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂又はポリエチレンテレフタレート系樹脂から選ばれる樹脂を主樹脂とするフィルムの少なくとも片面に、(a)ガラス転移温度が35〜80℃の範囲にある疎水性アクリル系樹脂の水分散液、(b)ポリウレタン水性組成物、及び(c)無機質コロイドゾルの3成分を必須成分とし、且つ、成分(b)の配合量が、固形分重量比で成分(a)に対して0.01以上、1以下で、成分(c)の配合量が、固形分重量比で成分(a)と成分(b)の合計に対して0.5以上、5以下である防曇剤組成物を塗布してなる農業用樹脂フィルム。
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