JP4741953B2 - ポリオレフィン系農業用多層フィルム - Google Patents

ポリオレフィン系農業用多層フィルム Download PDF

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Description

本発明はフィルムをハウスに展張した直後にハウス外側に面したフィルム表面に結露が生じることによる透光性低下を抑制し、光量不足による栽培性の低下を防止する農業用ポリオレフィン系多層フィルムに関するものである。
近年、農業用作物を半促成又は抑制栽培して、その市場性、生産性を高めるため、農業用塩化ビニルフィルム(以下、農ビという)やポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂を主体とした農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム(以下、農ポリ、農酢ビという)などの農業用被覆材による被覆下に有用植物を栽培する、いわゆるハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われている。なかでも、ポリオレフィン系樹脂を主体とした農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムは、密度が塩化ビニル樹脂より小さいために軽く、焼却しても有毒ガスの発生が少なく、更にインフレーション成型法により幅継ぎの為の接着加工を必要としない広幅フィルムが安価に提供できることなどから盛んに利用されるようになってきており、従来使用されてきた農ビを代替する形で使用されるようになってきている。
ポリオレフィン系農業用フィルムのなかでも、ハウス内側フィルム表面を防曇コートするタイプは長期間の防曇性付与が可能であり、現在盛んに研究が進められている。この様な防曇剤練り込みタイプから防曇剤コートタイプへの移行が進む中で、従来、防曇剤練り込みタイプのフィルムでは発生しなかったハウス外側表面の結露による透光性不良が問題になるケースがあった。特に防曇剤コートタイプのポリオレフィン系農業用フィルムでは展張初期にポリオレフィン系樹脂が持つ撥水性により、ハウス外面が結露し、ハウス内に差し込む光が少なくなることによる栽培性の低下が問題となっていた。
フィルム表面の撥水性による透光性不良は、経時と共にフィルム表面に塵・埃等の汚れが付くことにより緩和されるが、冬期に展張された場合などは展張からの期間が短い状態でハウス内に光が必要な時期に透光性を確保することが出来ず、実用上問題になるケースがあった。
更に、この様な防曇剤練り込みタイプから防曇剤コートタイプへの移行により、今迄問題にならなかった加工時に静電気が帯電することによる作業性の低下が問題になっており、その解決が望まれていた。
この様な展張直後のポリオレフィン系農業用フィルムのハウス外側面の撥水性及び帯電防止性を変えるべく様々な研究がなされてきたが、単純に通常の防曇剤や帯電防止剤等界面活性剤成分を添加するだけではフィルム同士のべた付きが問題になる等、実用上満足出来る物ではなかった。上記経緯により、農業用ポリオレフィン系フィルムの更なる結露防止性及び帯電防止性改良が要求されており、良好な結露防止性及び耐電防止性を与えうる添加剤の具体的な組み合わせ方法が求められていた。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、基体フィルムの少なくとも外層に界面活性剤成分(特にフッ素系界面活性剤)及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分を含み、基体フィルムの内層側表面に、合成樹脂バインダー及び/又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を設けたことを特徴とするポリオレフィン系農業用多層フィルムにおいて、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。本発明においては、特に、界面活性剤成分及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分が基体フィルムの外層に含まれることが好ましい。
[発明の実施の形態]
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における農業用多層フィルムは、界面活性剤が基体フィルムの外層に含まれることを特徴とする。ここで、基体フィルムとは、防曇性塗膜等が形成される前のポリオレフィン系多層フィルム、所謂基材フィルムをいい、少なくとも2層で構成されている。本発明において基体フィルムは、好ましくは、外層、中間層、内層の三層で構成されるが、それ以上の層を含んでもよい。本発明においては、農業用多層フィルムをハウスに展張した際に、ハウス外側に面している層を外層といい、ハウス内側に面している層を内層という。
本発明においては、界面活性剤は、公知の種々の非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を始めとする、多価アルコールと高級脂肪酸類とから成る多価アルコール部分エステル系のもの、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が好適である。このような防曇剤の具体例としては、例えば非イオン系界面活性剤、例えばソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンとアルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステルなどのソルビタン系界面活性剤やグリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノパルミテート・モノステアレート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレートあるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等などのグリセリン系界面活性剤やポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテルなどのポリエチレングリコール系界面活性剤やその他トリメチロールプロパンモノステアレートなどのトリメチロールプロパン系界面活性剤やペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどのペンタエリスリトール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物;ソルビタン/グリセリンの縮合物と脂肪酸とのエステル、ソルビタン/アルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステル;ジグリセリンジオレートナトリウムラウリルサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルアミン塩酸塩、ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩、トリエチルセチルアンモニウムイオダイド、オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩、ドデシルピリジニウム塩などやそれらの異性体を含むものなどを挙げることができる。
本発明における農業用多層フィルムは特にフッ素系界面活性剤を用いたときに展張直後の撥水性抑制に効果が高い。フッ素系界面活性剤の具体例としては、通常の界面活性剤の疎水基のCに結合したHの代わりにその一部または全部をFで置換した界面活性剤で、特にパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を含有する界面活性剤である。以上の各種添加剤は、それぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物としては、例えば、アニオン系含フッ素界面活性剤、カチオン系含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン系含フッ素界面活性剤、含フッ素オリゴマーなどがあげられる。
上記界面活性剤成分の含有量は、基体フィルムの外層中の熱可塑性樹脂100重量%に対し、好ましくは0.001〜5重量%、更に好ましくは0.01〜3重量%である。該含フッ素界面活性剤成分の含有量が0.001重量%未満では撥水性抑制効果がほとんど発揮されず、5重量%を超えても効果が飽和されるため好ましくない。
上記界面活性剤成分は基体フィルム外層中に含有されていることで効果を発揮する。例えば中間層に添加したものをブリードアウト(移行及び析出)させて、基体フィルムの外層に実質上含有させても同様の効果を発揮する為、製造時に添加したのがどの層であったかに関わらず、結果としてフィルムの外層に上記界面活性剤が上記量含有されていれば良い。
本発明における農業用フィルムは平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分が基体フィルムの外層に含まれることを特徴とする。平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分としては、例えば無機系微粒子と有機系微粒子が上げられる。無機系微粒子としては、構成元素成分としてSi,Mg,Al,Li,Caの内から選ばれる少なくとも一つを含有する無機フィラーを使用することが出来る。中でも通常アンチブロッキング剤として使用することが出来る珪藻土、天然シリカ、合成シリカ、タルク、マイカ、ゼオライト等を好適に使用することが出来る。有機系微粒子としては、例えば熱可塑性樹脂を主成分としてなるポリマービーズを使用することが出来る。中でもアクリレート、メタクリレート、スチレン、ナイロンの重合体及び/又はこれら共重合体を好適に使用することが出来る。本発明においては、微粒子成分の平均粒子径は、好ましくは1.0〜30μm、更に好ましくは1.0〜20μmである。平均粒子径が1.0μmより小さいと口開き性が十分でなく、30μmより大きいと多層フィルムの透光性が低下する。尚、本発明においては、微粒子成分の平均粒子径はレーザー回折法を用いて好適に測定される。
これら微粒子成分は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、上記無機微粒子の含有量は、基体フィルム外層中の熱可塑性樹脂100重量%に対し、0.001〜2重量%、好ましくは0.01〜1重量%、更に好ましくは0.1〜0.5重量%である。該無機フィラーの使用量が0.001重量%未満ではフィルム同士がべたつき実用上問題が生じる。2重量%を超えると透明性低下の面で好ましくない。
本発明のポリオレフィン系農業用フィルムは、前記ポリオレフィン系基体フィルムの最内層に接して合成樹脂バインダー及び/又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を形成することを特徴としている。この際、防曇性塗膜に接するフィルムに多量の防曇剤が含まれると、不均一なフィルム表面への防曇剤の噴き出しにより、防曇性塗膜を形成する際に支障がでる場合がある。但し、あらかじめ各層の基体樹脂に各種添加剤を濃縮配合したマスターバッチとして用いる場合に混練時の粘着防止剤として、あるいは、防曇性塗膜を形成する際の表面改質剤として本発明の目的を損なわない範囲で少量を用いることができる。
また、本発明の農業用フィルムは、防曇性塗膜及びそれ以外の塗膜を形成することが出来る。例えば防曇性塗膜を内層側表面に、防塵性塗膜を外層側表面に形成しても良い。その場合、本発明の効果である塗膜密着性の向上効果が防塵塗膜に対しても得られる場合がある。
本発明における防曇性塗膜としては、無機質コロイドゾル及び/又は熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂を主成分とする組成物等が挙げられる。好ましくは無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とした防曇性塗膜や無機コロイド物質とアクリル系樹脂を主成分とする防曇性塗膜を用いることができる。又、バインダー樹脂は添加しなくても良く、コロイダルシリカやコロイダルアルミナ等の無機物を積層しても良い。
本発明で用いる無機質コロイドゾルは、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に塗布することにより、フィルム表面に親水性を付与する機能を果たすものである。無機質コロイドゾルとしては、シリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性ゾルが挙げられる。中でも好ましく用いられるのは、シリカゾルとアルミナゾルで、これらは、単独で用いても併用しても良い。
無機質コロイドゾルとしては、その平均粒子径が5〜100nmの範囲で選ぶのが好ましく、また、この範囲であれば、平均粒子径の異なる2種以上のコロイドゾルを組み合わせて用いても良い。平均粒子径が大きすぎると被膜が白く失透することがあり、また、平均粒子径が小さすぎると、無機質コロイドゾルの安定性に欠けることがあるため好ましくない。
無機質コロイドゾルは、その配合量をバインダー樹脂組成物の固形分重量の合計に対して、固形分としての重量比で0.2以上5以下、好ましくは0.5以上4以下にするのが好ましい。すなわち、配合量が少なすぎる場合は、十分な防曇効果が発揮できないことがあり、一方、配合量が多すぎる場合は、防曇効果が配合量に比例して向上しにくいばかりでなく、塗布後に形成される被膜が白濁化してフィルムの光線透過率を低下させる現象があらわれ、また、被膜が粗雑で脆弱になることがあり、好ましくない。
バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、本願発明のポリオレフィン系基材フィルムとの相性から、特に、アクリル系樹脂、及び/又はウレタン系樹脂を用いることが好ましく、更に好ましくは後述する(a)親水性アクリル系重合体からなるもの、(c)疎水性アクリル系樹脂からなるもの、(e)疎水性アクリル系樹脂と、ポリウレタンエマルジョンからなるもの、が各々の特質を持ち、好ましい。
アクリル系樹脂としては、(a)親水性アクリル系重合体からなるもの、(b)一分子内に疎水性分子鎖ブロックと親水性分子鎖ブロックとを含むブロック共重合体からなるもの、(c)疎水性アクリル系樹脂からなるものが挙げられるが、特に(a)が、初期の防曇濡れが早い点で本願発明の基材フィルムとの相性に優れており好ましく、一方(c)については、本願発明の基材フィルムとの相性に優れており好ましい。
(a)の親水性アクリル系重合体としては、水酸基含有ビニル単量体成分を主成分(好ましくは60重量%〜99.9重量%、更に好ましくは65重量%〜95重量%とし)、酸基含有ビニル単量体成分を0.1〜30重量%含有する共重合体、その部分中和物または完全中和物が挙げられる。水酸基含有ビニル単量体成分としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類があげられ、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等があげられる。これらは単独重合体であってもよく、これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類を主成分とし、これらと共重合しうる他の単量体との共重合体であってもよい。
これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類と共重合しうる酸基含有単量体としては、カルボン酸類、スルホン酸類、ホスホン酸類が挙げられ、特に好ましくは、カルボン酸に属する(メタ)アクリル酸である。
その他の共重合体成分としては、たとえばスチレン、ビニルテルエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酸化ビニル、(メタ)アクリル酸エステル類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン等があげられる。
本発明において用いることができる無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とする防曇塗膜として、例えば、特公昭63−45432号、特公昭63−45717号、特公昭64−2158号、特許第3094296号等に示されている化合物を挙げることができる。
(c)の疎水性アクリル系樹脂としては、少なくとも合計60重量%のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体、またはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物及び0〜40重量%の共重合しうるα、β−エチレン性不飽和単量体とを、通常の重合条件に従って、例えば乳化剤の存在下に、水系媒質中で乳化重合させて得られる水分散性の重合体または共重合体を挙げることができる。
疎水性アクリル系樹脂の製造に用いられるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類としては、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n−プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステル、アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸デシルエステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸−n−プロピルエステル、メタクリル酸イソプロピルエステル、メタクリル酸−n−ブチルエステル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸デシルエステル等が挙げられ、一般には、アルキル基の炭素数が1〜20個のアクリル酸アルキルエステル及び/又はアルキル基の炭素数が1〜20個のメタクリル酸アルキルエステルが使用される。アルケニルベンゼン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
疎水性アクリル系樹脂を得るために用いるα、β−エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα、β−エチレン性不飽和カルボン酸類;エチレンスルホン酸等のα、β−エチレン性不飽和スルホン酸類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸;α、β−エチレン性不飽和ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチル等の水酸基含有ビニル単量体;アクリロニトリル類;アクリルアマイド類;アクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。これら単量体は、単独で用いても、または2種以上の併用でもよく、0〜40重量%の範囲で使用するのが好ましい。使用量が多すぎると、防曇性能を低下させることがあり、好ましくない。
アクリル系樹脂は、公知の乳化剤、例えば陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤の中から選ばれる1種もしくは2種以上の存在下、水系媒質中で、乳化重合させる方法、反応性乳化剤を用いて重合させる方法、乳化剤を含有せずオリゴソープ理論に基づいて重合させる方法等によって得ることができる。乳化剤の存在下での重合方法の場合、これら乳化剤は、単量体の仕込み合計量に対し0.1〜10重量%の範囲で使用するのが、重合速度の調整、合成される樹脂の分散安定性の点から好ましい。
アクリル系樹脂の製造に好ましく用いられる重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;アセチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、単量体の仕込み合計量に対して0.1〜10重量%の範囲で使用することができる。
疎水性アクリル系樹脂は、特に、ガラス転移温度が35〜80℃のものを用いるのが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な分散状態をとりやすく、高すぎる場合、透明性のある均一な塗膜を得るのが困難となりやすい。
本発明に用いる疎水性アクリル系樹脂は水系エマルジョンとして用いるのが好ましい。各単量体を水系媒質中での重合によって得られた水系エマルジョンをそのまま使用しても良く、更にこのものに液状分散媒を加えて希釈したものでもよく、また上記のような重合によって生じた重合体を分別採取し、これを液状分散媒に再分散させて水系エマルジョンとしたものでもよい。
一方、(d)ウレタン系樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンの水性組成物、エマルジョンが挙げられるが、防曇被膜の基体ポリオレフィン系樹脂フィルムとの密着性、耐水性及び耐傷付き性の点でポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンが好ましく、更なる防曇被膜の耐水性、耐傷付き性向上並びに防曇性を発現するまでの時間及び防曇持続性の点でシラノール基を含有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンがより好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シラノール基を含有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンとは分子内に少なくとも1個のシラノール基を含有するポリウレタン樹脂と、硬化触媒として強塩基性第3級アミンとを含有してなり、具体的には水相中にシラノール基含有ポリウレタン樹脂及び前記強塩基性第3級アミンが溶解しているもの、又は微粒子状に分散しているコロイド分散系のもの(エマルジョン)をいう。
ポリウレタン水性組成物は、その配合量を固形分重量比で疎水性アクリル系樹脂に対して0.01以上、2以下、更に好ましくは0.01以上1以下にすることが好ましい。0.01に満たないときには耐傷付き性の向上が見られにくく、また、防曇性を発現するまでの時間が長く、十分な防曇効果が発揮しにくい。また、多すぎるときは、耐傷付き性が配合量に比例して向上しにくいばかりでなく、塗布後に形成される塗膜が白濁化し光線透過率を低下させやすく、また、コスト面でも不利であり好ましくない。
本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤組成物を調製するときに、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子界面活性剤等の界面活性剤を添加することができる。
陰イオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ジアルキルホスフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンサルフェート塩等が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、エタノールアミン類;ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩;ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩等のアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリエチレングリコールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエステル類;ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベンゾエート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート等のジグリセリン脂肪酸エステル類;グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル類;ペンタエリスリトールモノステアレート等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル類;ジペンタエリスリトールモノパルミテート等のジペンタエリスリトール脂肪酸エステル類;ソルビタンモノパルミテート・ハーフアジペート、ジグリセリンモノステアレート・ハーフグルタミン酸エステル等のソルビタン及びジグリセリン脂肪酸・2塩基酸エステル類;またはこれらとアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオンオキサイド等の縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシプロピレンソルビタンモノステアレート等;ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類;シュガーエステル類等が挙げられる。
高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、セルロースエーテル類等が挙げられる。
これら界面活性剤の添加は、バインダー樹脂と無機質コロイドゾルとを容易にかつ速やかに均一に分散することができ、また無機質コロイドゾルと併用することにより、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に親水性を付与する機能を果たす。界面活性剤の添加量は、樹脂の固形分100重量部に対し0.1〜50重量部の範囲で選ぶと良い。界面活性剤の添加量が少なすぎると、樹脂及び無機質コロイドゾルが十分に分散するのに時間がかかり、また、無機質コロイドゾルとの併用での防曇効果を十分に発揮しえず、一方界面活性剤の添加量が多すぎると塗布後に形成される被膜表面へのブリードアウト現象により被膜の透明性が低下し、顕著な場合は被膜の耐ブロッキング性の悪化や被膜の耐水性低下を引き起こす場合がある。
本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤組成物を調製するときに、架橋剤を添加することができる。架橋剤は、特にアクリル系樹脂同士を架橋させ、被膜の耐水性を向上させる効果がある。架橋剤としては、フェノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、アジリジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネート化合物類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が挙げられるが、特にアミン化合物類、アジリジン化合物類、エポキシ化合物類が好ましく使用できる。
アミン化合物類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン等の脂環式アミン;4−4’−ジアミノジヘニルメタン、m−フェニレンジアミン等の芳香族アミンが使用される。アジリジン化合物類としては、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス[1−(2−メチル)−アジリジニル]ホスフィンオキシド、ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリホスファトリアジン等が使用される。
エポキシ化合物類としては、ビスフェノールA又はビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応生成物、フェノール(又は置換フェノール)とホルムアルデヒドとの樹脂反応生成物とエピクロルヒドリンの反応により生成されるエポキシ化ノボラック樹脂、エピクロルヒドリン及び脂肪族多価アルコール例えばグリセロール、1,4−ブタンジオール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール又は類似の多価アルコール成分から生成される樹脂状反応生成物及び過酢酸を用いるエポキシ化により得られる樹脂等が使用される。エポキシ化合物類では、さらに三級アミン類や四級アンモニウム塩類を触媒として併用することができる。これら架橋剤は、その添加量がアクリル系樹脂固形分に対して0.1〜30重量%の範囲で使用することができる。
本発明に使用される防曇剤組成物には、必要に応じて、液状分散媒を配合することが
できる。かかる液状分散媒としては、水を含む親水性ないし水混合性溶媒がふくまれ、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、等の1価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が挙げられる。これら液状分散媒は単独で用いても併用しても良い。
本発明で調製される防曇剤組成物には、更に必要に応じて、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、造粘剤、顔料、顔料分散剤等の慣用の添加剤を混合することができる。また、アクリル系樹脂以外のバインダー成分として、たとえばポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系の水分散性ウレタン樹脂などを混合していてもよい。
基体フィルムの表面に防曇性被膜を形成するには、一般に防曇性組成物の溶液または分散液をそれぞれドクターブレードコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロッドコート法、バーコート法、ナイフコート法、ハケ塗り法等それ自体公知の塗布方法を採用し、塗布後乾燥すればよい。塗布後の乾燥方法は、自然乾燥及び強制乾燥のいずれの方法を採用してもよく、強制乾燥方法を採用する場合、通常50〜250℃、好ましくは70〜200℃の温度範囲で乾燥すればよい。加熱乾燥には、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法、及び紫外線硬化法等適宜方法を採用すればよく、乾燥速度、安定性を勘案すれば熱風乾燥法を採用するのが有利である。
本発明において、フィルムの内層側表面に形成させる被膜の厚さは、基体フィルムの1/10以下を目安に選択するとよいが、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。被膜の厚さが基体フィルムの1/10より大であると、基体フィルムと被膜とでは屈曲性に差があるため、被膜が基体フィルムから剥離する等の現象がおこりやすく、また、被膜に亀裂が生じて基体フィルムの強度を低下させるという現象が生起し、好ましくない。
また、基体フィルムと被膜組成物に由来する被膜との接着性が充分でない場合には、基体フィルムに表面処理を施しておいてもよい。本発明の積層フィルムの表面に施す処理の方法としては、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、ナトリウム処理、サンドブラスト処理等の方法が挙げられる。コロナ放電処理法は、針状あるいはナイフエッジ電極と対極間で放電を行わせ、その間に試料を入れて処理を行い、フィルム表面にアルデヒド、酸、アルコールパーオキサイド、ケトン、エーテル等の酸素を含む官能基を生成させる処理である。スパッタエッチング処理は、低気圧グロー放電を行っている電極間に試料を入れ、グロー放電によって生じた正イオンの衝撃によりフィルム上に多数の微細な突起を形成するものである。サンドブラスト処理は、フィルム面に微細な砂を吹きつけて、表面上に多数の微細な凹凸を形成するものである。これら表面処理の中では、塗布層との密着性、作業性、安全性、コスト等の点から、コロナ放電処理が好適である。
本発明に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体などがあげられ、例えば高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.910〜0.935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性および価格の点から農業用フィルムとして好ましい。
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。
これは、通常、メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体であり、例えば下記の(A法)や(B法)により得られる。
(A法)特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公開公報、ヨーロッパ特許出願公開第420436号明細書、米国特許第5055438号明細書及び国際公報WO91/04247号明細書などに記載されている方法、即ちメタロセン触媒、特にメタロセン・アルモキサン触媒、又は、例えば、国際公開公報WO92/01723号明細書等に開示されているような、メタロセン化合物と、メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物からなる触媒、又は、更には、特開平5−295020号、特開平5−295022号などに記載されているような、メタロセン化合物を無機化合物に担持させた触媒などを使用して、主成分のエチレンと従成分の炭素数4〜20のα−オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.880〜0.930g/cm3 となるように共重合させる方法である。この重合方法としては、高圧イオン重合法、溶液法、スラリー法、気相法などを挙げることができる。これらの中では高圧イオン重合法で製造するのが好ましい。
なお、この高圧イオン重合法とは、特開昭56−18607号、特開昭58−25106号の各公報に記載されているが、圧力が100kg/cm以上、好ましくは300〜1500kg/cmで、温度が125℃以上、好ましくは150〜200℃の反応条件下に高圧イオン重合法により製造されるものである。
(B法)特開平6−9724号、特開平6−136195号、特開平6−136196号、特開平6−207057号の各公開公報に記載されているメタロセン触媒成分、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分、微粒子状担体、および必要に応じて有機アルミニウム化合物触媒成分、イオン化イオン性化合物触媒成分を含む、オレフィン重合用触媒の存在下に、気相、またはスラリー状あるいは溶液状の液相で種々の条件でエチレンとα−オレフィン、具体的には炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.900〜0.930g/cmとなるように共重合させる方法。
フィルムの良好な初期透明性及び透明持続性が得られる点では上記(A)法、(B)法に拘泥されることなく、メタロセン化合物を用いて重合されたポリオレフィン系樹脂、即ち、メタロセンポリエチレンを用いることが出来る。
これらメタロセンポリエチレンを始めとするポリエチレン樹脂は、温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fractionation)、MFR、密度、分子量分布、その他各種物性の測定によって分類される。
温度上昇溶離分別(TREF)による溶出曲線の測定
上記温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fractionation:TREF)による溶出曲線の測定は、「Journal of Applied Polymer Science.Vol 126,4,217−4,231(1981)」、「高分子討論会予稿集2P1C09(昭和63年)」等の文献に記載されている原理に基づいて実施される。すなわち、先ず対象とするポリエチレンを溶媒中で一度完全に溶解させる。その後、冷却し、不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させる。かかるポリマー層は結晶し易いものが内側(不活性担体表面に近い側)に形成され、結晶し難いものが外側に形成されてなるものである。次に、温度を連続又は段階的に昇温することにより、先ず、低温度では対象ポリマー中の非晶部分から、すなわち、ポリマーの持つ短鎖分岐の分岐度の多いものから溶出する。溶出温度が上昇すると共に、徐々に分岐度の少ないものが溶出し、ついには分岐の無い直鎖状の部分が溶出して測定は終了する。この各温度での溶出成分の濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフ(溶出曲線)のピークによって、ポリマーの組成分布を測定することができるものである。
本発明のポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分として使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、以下の物性を示すものである。
メルトフローレート(MFR)
JIS−K7210により測定されたMFRが0.01〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の値を示すものである。該MFRがこの範囲より大きいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。また、該MFRがこの範囲より小さすぎると成形時の樹脂圧力が増大し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧力の増大を抑制しなければならず、実用性に乏しい。
密度
JIS−K7112により測定された密度が0.880〜0.930g/cm3 、好ましくは0.880〜0.920g/cm3 の値を示すものである。該密度がこの範囲より大きいと透明性が悪化する。また、密度がこの範囲より小さいと、フィルム表面のべたつきによりブロッキングが生じ実用性に乏しくなる。
分子量分布
ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.0の値を示すものである。該分子量分布がこの範囲より大きいと機械的強度が低下し好ましくない。該分子量分布がこの範囲より小さいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、酢酸ビニル含有量が10〜25重量%の範囲であり、好ましくは12〜20重量%の範囲である。酢酸ビニル含有量がこの範囲より小さいと、得られるフィルムが硬くなりハウスへの展張時にシワや弛みが出来やすく、防曇性に悪影響が出るため実用性に乏しく、また、酢酸ビニル含有量がこの範囲より大きいと、樹脂の融点が低いためハウス展張時に夏場の高温下でフィルムが弛み、風でばたつきハウス構造体との擦れ等により破れが生じやすくなるため実用性に乏しい。
本発明はエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体を用いることにより長期耐候性、耐ブリードアウト性に優れ、且つ表面の撥水性が抑制された結露による透光性の低下を招きにくい農業用フィルムを得ることが出来る。前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、一般的農業用フィルムに用いられるヒンダードアミン系耐候剤と比較して、格段に長期耐候性を向上させる光安定剤としての効果を奏する。
本発明のエチレン(A)及び環状アミノビニル化合物(B)との共重合体(以下、「エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体」という)はエチレン(A)と前記式(1)の化合物の共重合体を使用することができる。前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、多量添加することによりフィルムのポリオレフィン系フィルムの表面性(水滴接触角等)を変えることができ、本発明の目的に好適に使用することが出来る。
Figure 0004741953
上記式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。好ましくは、R1及びR2はそれぞれメチル基であり、R3は水素原子である。
式(2)で表されるビニル化合物(B)は公知であり、公知の方法、例えば特公昭47−8539号、特開昭48−65180号公報等に記載された方法にて合成することができる。
式(2)で表されるビニル化合物(B)の代表例としては、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等を挙げることができる。
前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体の好ましいものとしては、そのエチレン(A)と環状アミノビニル化合物(B)との和に対する該(B)の割合が0.0005〜0.85モル%、より好ましくは0.001〜0.55モル%であるものが挙げられる。すなわち、本共重合体の好ましいものは、側鎖にヒンダードアミン基を有するビニルモノマー(環状アミノビニル化合物(B))の含有量が少ない割に高い光安定性を有するものである。環状アミノビニル化合物(B)の濃度は0.0005モル%で充分に光安定化効果を発揮し、一方、0.85モル%を超えると実質的に不経済となる傾向にある。
また、前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、該共重合体中に(B)が2個以上連続せず、孤立して存在する割合が(B)の総量に対して83%以上、好ましくは90%以上であるものが好ましい。
環状アミノビニル化合物(B)の存在確認は、特開平4−80215号公報に記載されている通り、次のようにして行われる。13C−NMR(例えば日本電子製JNM−GSX270 Spectrometer)にて、公知の方法(例えば、化学同人発行「機器分析のてびき(1)」53〜56頁(1985)参照)に従い、文献記載のポリアクリル酸エチル(朝倉書店発行「高分子分析ハンドブック」969頁(1985)参照)及びエチレン−アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体(Eur.Poly.J.25巻、4号、411〜418頁(1989)参照)の化学シフトを用いて、TMS基準における32.9ppmのピークを孤立したビニルモノマー(B)の分岐点からα位にあるメチレン基によるものとし、35.7ppmのピークを連続した二つのビニルモノマー(B)の分岐点に挟まれたメチレン基によるものと帰属した。これら二つのシグナルを用いて、エチレン(A)とビニルモノマー(B)との共重合体においてビニルモノマー(B)が孤立して存在する割合を、下記計算式によって算出することができる。
Figure 0004741953
上記により見積もった側鎖にヒンダードアミン基を有するビニルモノマーが2個以上連続せず、孤立して存在する割合が、共重合体中のビニルモノマー(B)の総量に対して83%以上であることが好ましい。側鎖にヒンダードアミン基を有するビニルモノマーが2個以上連続せず、孤立して存在する割合が83%未満であると、側鎖にヒンダードアミン基を有するビニルモノマーの含量が少ない割に高い光安定性を有するという特徴が発揮されない場合がある。
前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体のMFR(JIS−K6760(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値)は、0.1〜200g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、より好ましくは1〜5g/10分である。MFRが上記範囲未満では、ポリオレフィン系樹脂とのなじみが悪く、ブレンドした場合、フィッシュアイやブツなどフィルム用途での可視欠点の原因となる。一方、MFRが上記範囲を超えると、分子量が大きい共重合体といえども拡散透失によるブリード、ブルーム現象が生起したり、ポリオレフィン系樹脂とブレンドした場合、得られる樹脂組成物の強度低下の原因となる。
さらに、前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、GPCを用い、単分散ポリスチレンにて検量線を作成し決定した。重量平均分子量と数平均分子量との比をもって表示されるMw/Mn(Q値)は3〜120の範囲にあることが望ましい。特に好ましい範囲は5〜20である。
前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、所要単量体を共重合条件に付すことによって製造されるが、高圧法低密度ポリエチレン製造装置での製造が可能である。通常はラジカル重合で製造され、使用される触媒は遊離基発生開始剤、例えばジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、アゾ化合物等が有用である。重合装置はエチレンの高圧ラジカル重合法で一般的に用いられている連続攪拌式槽型反応器又は連続式管型反応器等を使用することができる。重合圧力は1000〜5000kg/cm程度、重合温度は100〜400℃程度である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中における前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し2〜10重量部、好ましくは2〜6重量部である。この含有量が上記範囲未満では耐候性が劣るので好ましくなく、上記範囲を超えると経済性の点で好ましくない。
本発明において用いられる前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、コスト的な観点から、必ずしも多層フィルムの全層に含有されている必要はなく、少なくとも1層含有されていればよい。また、このエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、通常用いられる一種又は二種以上のヒンダードアミン系耐候剤と組み合わせて用いることができる。更に、エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体を含有しない層に対して、通常用いられる一種又は二種以上のヒンダードアミン系耐候剤を用いることもできる。エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、もちろん全層に含有させてもよいが、例えば内層と外層(ハウス外面)に含有させ、その他の層には農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光安定剤を含有させることもできる。また、同一の層にエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体と農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光安定剤を含有させることもできる。その場合は全層にエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体を用いる場合よりコスト的に有利になる。
また、本発明の熱可塑性樹脂フィルム中には、通常合成樹脂に使用される各種添加剤を併用することができる。それらの添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、耐候剤、ヒンダードアミン化合物、赤外線吸収剤、保温剤、充てん剤、金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩、ハイドロタルサイト化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、多価アルコール、ハロゲン酸素酸塩、硫黄系、フェノール系およびホスファイト系などの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、などがあげられる。
使用可能なヒンダードアミン化合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物などがあげられる。
使用可能な市販のヒンダードアミン系化合物を例示すれば、TINUVIN770、TINUVIN780、TINUVIN144、TINUVIN622LD、TINUVIN NOR 371、CHIMASSORB119FL、CHIMASSORB944(以上、チバガイギー社製)、サノールLS−765(三共(株)製)、MARK LA−63、MARK LA−68、MARK LA−68、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−57、LA−900(以上、旭電化(株)製)、UV−3346、UV−3529、UV−3581、UV−3853(以上、サイテック社製)等が挙げられる。これらのピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物は、一種又は二種以上で用いられる。
上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100重量%に対して、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。該含有量が0.001重量%未満では十分な効果が得られず、5重量%よりも多くても効果の向上がみられないばかりか、フィルムの物性を低下させるなどの悪影響を与える。
本発明において用いられる前記ヒンダードアミン化合物は、コスト的な観点から、例えば多層フィルムに使用される場合、必ずしも多層フィルムの全層に含有されている必要はなく、少なくとも1層含有されていればよい。例えば多層フィルムの場合、塗膜に対する影響は、塗膜に接している層に添加された添加剤以外にも、他の層から移行、転写された添加剤からも及ぶことから、添加層は全層又は内外層が好ましいが、内層のみ、中間層のみ、外層のみ又はその任意の組み合わせでも構わない。
上記紫外線吸収剤として、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’.5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール等のトリアジン類等があげられる。これらの紫外線吸収剤は、一種又は二種以上で用いられる。
紫外線吸収剤の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量%に対し好ましくは0.001重量%より多く2重量%未満、更に好ましくは0.01〜1重量%である。含有量が上記範囲未満では耐候性改良効果が低く、上記範囲を超えると、ブリードアウトによる透明性低下等問題がある。
本発明において用いられる紫外線吸収剤は、コスト的な観点から、例えば多層フィルムに使用される場合、必ずしも多層フィルムの全層に含有されている必要はなく、少なくとも1層含有されていればよい。また、紫外線吸収剤は、通常用いられる一種又は二種以上のその他の紫外線吸収剤と組み合わせて用いることができる。
本発明における農業用フィルムは、赤外線吸収剤を添加することにより、良好な保温性を付与することが出来る。赤外線吸収剤は、保温剤として有効なMg、Ca、Al、Si及びLiの少なくとも1つの原子を含有する無機化合物(無機酸化物、無機水酸化物、ハイドロタルサイト類等)を使用できる。
なかでも、下記の式(3)で表されるハイドロタルサイト類赤外線吸収剤を用いた場合に、安価で成形性良好なフィルムを得ることが出来る。
Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO(3)
なかでも、下記の式(3)で表される赤外線吸収剤を用いた場合に、安価で成形性良好なフィルムを得ることが出来る。
[Al(Li(1−x)・M(x+y))(OH)6+y(An2(1+x)/n・mHO(4)(式中、MはMg及び/又はZnで、Aはn価のアニオン、mは0又は正の数、x及びyは0≦x<1、0≦y≦0.5の範囲である。)
上記式(4)で表される赤外線吸収剤(保温剤)の入手方法は特に限定されず、市販のものを使用することができ、例えば、DHT4A(協和化学(株)製)、HT−P(堺化学(株)製)、オプティマ(戸田工業(株)製)やミズカラック(水澤化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明に係る赤外線吸収剤(保温剤)は、赤外線吸収能を有する無機微粒子であり、これらは一種又は二種以上で組み合わせて用いることができる。用いることの出来る無機微粒子は特に制限はないが、成分:Si,Al,Mg,Caから選ばれた少なくとも1つの原子を含有する無機化合物を用いることが出来る。例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類化合物、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩化合物、複数種アニオンを含有する金属複合水酸化物塩等が挙げられる。これらは結晶水を脱水したものであってもよい。
上記無機微粒子は天然物であってもよく、また合成品であってもよい。また、上記無機微粒子は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることなく使用することが可能である。
また、上記無機微粒子は、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックスなどで被覆したものも使用できる。
上記無機微粒子は、単独または2種以上組み合わせて使用することが出来る。その平均粒子径は好ましくは、0.05〜15μm、より好ましくは0.1〜10μmの範囲である。無機微粒子の平均粒子径が上記範囲より小さいと、樹脂中での分散性が劣りブツ(無機物の2次凝集物)が生成してフィルム外観が悪化すると共に、樹脂との混練時の粉立ちが激しくハンドリング性が劣る。逆に、無機微粒子の平均粒子径が上記範囲より大きいと、透明性が劣ったり、押出し機ブレーカースクリーン部で目詰まりが生じ、生産性が悪化する。
上記無機微粒子の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量%に対し好ましくは0.1重量%より多く15重量%未満、更に好ましくは1〜12重量%である。含有量が上記範囲未満では保温性改良効果が低く、上記範囲を超えると透明性低下等問題がある。
上記の金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩を構成する金属種としては、Li,Na,K,Ca,Ba,Mg,Sr,Zn,Cd,Sn,Cs,Al,有機Snがあげられ、有機酸としては、カルボン酸、有機リン酸類またはフェノール類があげられ、該カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ネオデカン酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n−プロピル安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p−第三オクチルサリチル酸等の一価カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オキシフタル酸、クロルフタル酸等の二価のカルボン酸あるいはこれらのモノエステル又はモノアマイド化合物、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の三価又は四価カルボン酸のジ又はトリエステル化合物などがあげられ、また該有機リン酸類としては、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステルなどがあげられ、また該フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、メチルプロピルフェノール、メチル第三オクチルフェノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、第三ブチルフェノール、n−ブチルフェノール、ジイソブチルフェノール、イソアミルフェノール、ジアミルフェノール、イソヘキシルフェノール、オクチルフェノール、イソオクチルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、第三オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、第三ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノールフェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなどがあげられる。
上記充てん剤としては、フイルムのベタツキを抑制するために、あるいは保温性をさらに高めるために、例えばシリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、マイカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、導電性酸化亜鉛、リン酸リチウムなどが用いられる。これらの充てん剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドルキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、n−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等があげられる。
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類があげられる。
上記ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)(オクチル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等があげられる。
上記着色剤としては例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、アリザリンレーキ、酸化チタン、亜鉛華、群青、パーマネントレッド、キナクリドン、カーボンブラック等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、上述した成分が組合わされて含有してなり、更に本発明の熱可塑性樹脂フィルムに含有することができる下記の任意成分を、必要に応じて含有させることができる。任意成分とは、その他安定剤、耐衝撃性改善剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、造核剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、難燃剤、螢光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤などを挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、各種添加剤を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、単軸又は二軸押出機、ロールなどの配合機や混練機その他従来から知られている配合機、混合機を使用すればよい。このようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するには、それ自体公知の方法、例えば、溶融押出し成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブロー成型、インフレーション成型、溶融流延法、加圧成型加工、ペースト加工、粉体成型等の方法を好適に使用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルム厚みについては、強度やコストの点で0.01〜1mmの範囲のものが好ましく、0.05〜0.5mmのものがより好ましく、更に好ましくは0.05〜0.2mmである。この範囲未満では強度的に問題があり、この範囲を超えると成形が困難なうえ、展張作業性に問題がある。
また、本発明のポリオレフィン系農業用多層フィルムは、3層から5層が各層のバランスをとりやすい。3層フィルムを構成する層比としては、成形性や透明性及び強度の点から1/0.5/1〜1/5/1の範囲が好ましく、1/2/1〜1/4/1の範囲がより好ましい。また、外層と内層の比率としては、特に規定されるものではないが、得られるフィルムのカール性から同程度の比率とするのが好ましい。
本発明に係る農業用熱可塑性樹脂フィルムを、実際に使用するにあたっては、防曇被膜の設けられた側をハウス又はトンネルの内側となるようにして展張するのがよい。
本発明の農業用フィルムは、展張直後の結露による透光性の低下が抑制された農業用フィルムであり、結露しやすい地域でも好適に使用することが出来る。
更に、通常、ハウス外側に面した層に界面活性剤成分を添加した場合に生じる口開き性の低下を起こすことなく、加工所での帯電も少ないことから非常に扱いやすく、農業用フィルムとして具備すべき性能をバランス良く有している。本発明の農業用フィルムは、透明でも、梨地でも、半梨地でもよく、ハウス、トンネル、マルチング用、袋掛用等の農業用フィルム(いわゆる農ポリ、農サクビ、農PO等)の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。
(1)積層フィルムの調整
3層インフレーション成形装置として3層ダイに100mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機はチューブ外内層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40mmφ((株)プラ技研製)として、外内層押出し機温度180℃、中間層押し出し機温度170℃、ダイス温度180〜190℃、ブロー比2.0〜3.0、引取り速度3〜7m/分、厚さ0.15mmにて表−1〜表−3に示した成分からなる3層の積層フィルムを得た。なお、これらのフィルムは、ハウス展張時にチューブの端部を切り開いて使用するため、展開した際に製膜時のチューブ外層が展張時にはハウスの内層(内面)となる。
〔配合〕 添加量は各表記載通り。
HP−LDPE:高圧ラジカル法触媒で製造した分岐状ポリエチレン(MFR:1.1g/10分、密度0.920)日本ポリケム製ノバテックLD「YF30」
メタロセンPE:メタロセン触媒で製造したエチレン・αオレフィン共重合体(MFR:2g/10分、密度0.907)日本ポリケム製カーネル「KF270」
EVA1 :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量5重量%、MFR2g/10分)
EVA2 :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%、MFR2g/10分)
フッ素系界面活性剤A:パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(ダイキン化成品販売(株)製)
界面活性剤A:ソルビタンステアリン酸エステル
界面活性剤B:ポリグリセリンステアリン酸エステル
界面活性剤C:ポリグリセリンオレイン酸エステルアルキルジエタノールアミン
界面活性剤D:ジグリセリンモノステアレート
界面活性剤E:ジグリセリンジステアレート
界面活性剤F:アルキルジエタノールアミン
界面活性剤G:非イオン系界面活性剤 花王(株)製「エレクトロストリッパーTS−EA」
界面活性剤H:ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート
紫外線吸収剤A:サイテック製トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤「UV1164」
合成ハイドロタルサイトA:協和化学(株)製「DHT4A」
光安定剤A:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤 「Tinuvin NOR 371 FF」
エチレン・環状アミノビニル共重合体:日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD・XJ100H」MFR=3g/10分(190℃、JIS−K6760) 密度=0.931g/cm(JIS−K6760)環状アミノビニル化合物含量=5.1重量%(0.7モル%)孤立して存在する環状アミノビニル化合物の割合=90モル% 融点=111℃
無機微粒子A:天然シリカ含有の日本ポリエチレン(株)製マスターバッチ「MF20KG」として添加。
無機微粒子B:富士化学工業(株)製「F−30」
上記微粒子成分の平均粒子径は、日機装(株)製「マイクロトラック粒度分布測定装置」を使用してレーザー回折法によるD50の値(粒度加積曲線で重量比50%の粒子の粒径(μm))を用いた。
(2)フィルムの表面処理
得られたチューブ状フィルムの外層表面を、放電電圧120V、放電電流4.7A、ラインスピード10m/minでコロナ放電処理を行い、JIS−K6768による「濡れ指数」を測定、確認した。
(3)防曇性塗膜の形成
下記に示した主成分(シリカゾル及び/又はアルミナゾル)と熱可塑性樹脂と架橋剤及び液状分散媒とを配合して防曇剤組成物を得た。
防曇剤組成物配合は以下の配合とした。
無機質コロイドゾル(コロイダルシリカ) 4.0
熱可塑性樹脂(サンモールSW−131:疎水性バインダー樹脂) 3.0
架橋剤(T.A.Z.M) 0.1
分散媒(水/エタノール=3/1) 93
(注)無機質コロイドゾルの配合量は、無機質粒子量で示し熱可塑性樹脂の配合
量は重合体固形分量で示す。
コロイダルシリカ:日産化学社製スノーテックス30、平均粒子径15nm
サンモールSW−131:三洋化成社製アクリルエマルジョン
T.A.Z.M:相互薬工社製アジリジン系化合物
(2)で表面処理した基体フィルムの表面に、上記の防曇剤組成物を#5バーコーターを用いて各々塗布した。塗布したフィルムを80℃のオーブン中に1分間保持して、液状分散媒を揮発させ防曇性塗膜を形成した。得られた各フィルムの塗膜の厚みは約1μmであった。
防曇性塗膜を設けたタイプ(フィルム厚100μm)各々について次のような物性測定を行ったが、今回用いた樹脂、添加剤、塗膜以外の組み合わせ、又は今回と異なるフィルム厚みでも、その要旨を変えない限り、同様の効果が得られる。今回用いた各々のサンプルについて次のような試験を行った。実施例及び比較例における各測定法を以下に示す。
(1)水滴接触角測定
各サンプルの水滴接触角を水滴接触角測定器(エルマ製)により測定し、その値を示した。
(2)展張初期の水滴付着性試験
三重県松阪市の圃場に構築したパイプハウスにフィルムを平成17年10月28日に展張した。当該ハウスに展張されてから5日後の11月2日朝、上記パイプハウス中からハウス外側面に付着した結露水の水滴付着状況を目視で観察した。
ハウス外側に付着した結露による水滴(滴状になっている部分)付着面積の割合
◎:70%以下
○:70〜90%
×:90〜100%
(3)帯電圧測定
各サンプルの帯電圧をスタティックオネストネーター(SHISHIDO.Co製)により測定し、初期帯電圧に対する5分後の帯電圧の割合(%)を示した。
(4)口開き性試験結果
各サンプルの口開き性を上記インフレーション成形装置で作成したばかりのフィルムで評価した。
口開き性評価:
方法=チューブ状のフィルムの四隅をハサミで切り開き、2枚のフィルムの片方を持って持ち上げたときの状態を目視で評価
◎:持ち上げる前からフィルム同士が完全に分離している状態
○:特に力を加えなくてもフィルムの同士が自然にはがれる状態
×:フィルム同士がはがれにくく人為的に力を加えないと分離できない状態
〔実施例1〜3、比較例1〜5〕
上記配合により、加工法により150μmフィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成した。ここで得られたフィルムを用いて上記条件により各種試験を行なった。
〔実施例1〜5、比較例1〕
上記配合により、フィルム厚150μm、層比1/3/1の三層フィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成し、前記方法により水滴接触角測定、展張直後の水滴付着性評価、帯電圧測定、口開き性評価を行なった。その結果を〔表1〕に示す。
Figure 0004741953
〔比較例2,3、実施例1,6,7,8〕
上記配合により、フィルム厚150μm、層比1/3/1の三層フィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成し、前記方法水滴接触角測定、展張直後の水滴付着性評価、帯電圧測定、口開き性評価行なった。その結果を〔表2〕に示す。
Figure 0004741953
以上の結果から明らかなように、本発明に係る界面活性剤成分及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分が少なくとも基体フィルム外層に含まれ、基体フィルムの内層側表面に、合成樹脂バインダー及び/又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を設けたことを特徴とするポリオレフィン系農業用多層フィルムは、展張直後の結露による透光性の低下抑制、帯電圧性、口開き性において著しく優れたものである(実施例1〜7)。
これに対し、本発明に係る界面活性剤成分を欠いた場合は、結露による透光性低下の抑制が十分出来ない(比較例1)。又、本発明に係る微粒子成分を欠いた場合は、口開き性に劣り使用上問題がある(比較例2)。更に、本発明に係る微粒子成分の粒径範囲を下回った場合には、微粒子成分を欠いた場合と同様に口開き性に劣り使用上問題がある(比較例3)。つまり本発明に係る構成要素を欠いた場合には、農業用フィルムとして具備すべき性能をバランスよく付与されているとは言えない。
[発明の効果]
本発明は、展張直後でのハウス外側面に生じる結露による透光性低下を抑制し、ハウス内の光量不足による栽培性低下を招くことなく使用でき、且つ加工所での帯電防止性能に優れる農業用被覆材用フィルムを提供することにある。
本発明の農業用フィルムは、透明でも、梨地でも、半梨地でもよく、ハウス、トンネル、マルチング用、袋掛用等の農業用フィルム(いわゆる農PO)の用途に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 基体フィルムの少なくとも外層に界面活性剤成分及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分を含み、基体フィルムの内層側表面に、合成樹脂バインダー及び無機質コロイドゾル、又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を設けたことを特徴とするポリオレフィン系農業用多層フィルム。
  2. 界面活性剤成分がフッ素系界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の農業用フィルム。
  3. 平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分が構成元素成分としてSi,Mg,Al,Li,Caの内から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の農業用フィルム。
  4. 合成樹脂バインダーが、アクリル系樹脂及び/又はウレタン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
  5. 無機質コロイドゾルがコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
  6. エチレン(A)と下記式(1)で表される環状アミノビニル化合物(B)との共重合体を基体フィルムの少なくとも外層に含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
    Figure 0004741953


    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
  7. 前記式(1)におけるR1及びR2がそれぞれメチル基であり、R3が水素原子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
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