JPWO2014010625A1 - 農業用多層フィルム - Google Patents

農業用多層フィルム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2014010625A1
JPWO2014010625A1 JP2014524837A JP2014524837A JPWO2014010625A1 JP WO2014010625 A1 JPWO2014010625 A1 JP WO2014010625A1 JP 2014524837 A JP2014524837 A JP 2014524837A JP 2014524837 A JP2014524837 A JP 2014524837A JP WO2014010625 A1 JPWO2014010625 A1 JP WO2014010625A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
polyolefin
multilayer film
agricultural
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014524837A
Other languages
English (en)
Inventor
拓野 市村
拓野 市村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Plastics Inc
Original Assignee
Mitsubishi Plastics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Plastics Inc filed Critical Mitsubishi Plastics Inc
Publication of JPWO2014010625A1 publication Critical patent/JPWO2014010625A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01GHORTICULTURE; CULTIVATION OF VEGETABLES, FLOWERS, RICE, FRUIT, VINES, HOPS OR SEAWEED; FORESTRY; WATERING
    • A01G13/00Protecting plants
    • A01G13/02Protective coverings for plants; Coverings for the ground; Devices for laying-out or removing coverings
    • A01G13/0256Ground coverings
    • A01G13/0268Mats or sheets, e.g. nets or fabrics
    • A01G13/0275Films

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Soil Sciences (AREA)
  • Greenhouses (AREA)

Abstract

【解決課題】フィルムをハウスに展張した直後にハウス外側のフィルム表面に結露が生じることによる透光性低下を抑制して光量不足による栽培性の低下を防止するとともに、フィルム加工時の静電気による作業性の低下を防止する農業用ポリオレフィン系多層フィルムの提供。【解決手段】基材フィルムの少なくとも外層にフッ素系界面活性剤成分及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分を含み、基材フィルムの内層側表面に、合成樹脂バインダー及び無機質コロイドゾル、又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を設けたことを特徴とする農業用ポリオレフィン系多層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明はフィルムをハウスに展張した直後にハウス外側のフィルム表面に結露が生じることによる透光性低下を抑制して光量不足による栽培性の低下を防止するとともに、フィルム加工時の静電気による作業性の低下を防止する農業用ポリオレフィン系多層フィルムに関するものである。
近年、農業用作物を半促成又は抑制栽培して、その市場性、生産性を高めるため、農業用塩化ビニルフィルム(以下、農ビという)やポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリオレフィン系樹脂を主体とした農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム(以下、農ポリ、農酢ビという)などの農業用被覆材による被覆下に有用植物を栽培する、いわゆるハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われている。なかでも、ポリオレフィン系樹脂を主体とした農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムは、密度が塩化ビニル樹脂より小さいために軽く、焼却しても有毒ガスの発生が少なく、更にインフレーション成型法により幅継ぎの為の接着加工を必要としない広幅フィルムが安価に提供できることなどから盛んに利用されるようになってきており、従来使用されてきた農ビを代替する形で使用されるようになってきている。
農業用ポリオレフィン系フィルムのなかでも、ハウス内側フィルム表面を防曇コートするタイプは長期間の防曇性付与が可能であり、現在盛んに研究が進められている。この様な防曇剤練り込みタイプから防曇剤コートタイプへの移行が進む中で、従来、防曇剤練り込みタイプのフィルムでは発生しなかったハウス外側表面の結露による透光性不良が問題になるケースがあった。特に防曇剤コートタイプの農業用ポリオレフィン系フィルムでは展張初期にポリオレフィン系樹脂が持つ撥水性により、ハウス外面が結露し、ハウス内に差し込む光が少なくなることによる栽培性の低下が問題となっていた。
フィルム表面の撥水性による透光性不良は、経時と共にフィルム表面に塵・埃等の汚れが付くことにより緩和されるが、冬期に展張された場合などは展張からの期間が短い状態でハウス内に光が必要な時期に透光性を確保することが出来ず、実用上問題になるケースがあった。
更に、この様な防曇剤練り込みタイプから防曇剤コートタイプへの移行により、今迄問題にならなかった加工時に静電気が帯電することによる作業性の低下が問題になっており、その解決が望まれていた。
一方で、近年、農業用フィルムに使用される添加剤の一部について、生物濃縮性(環境残存性)及び有毒性を有する又は有する可能性があることが指摘されている。農業用フィルム資材は、特に屋外で使用されるため、そのような添加剤を使用することが問題になってきており、環境調和型の農業用資材を適用する観点から、環境負荷のある添加剤を使用しない製品の開発が求められてきている。
この様な展張直後の農業用ポリオレフィン系フィルムのハウス外側面の撥水性及び帯電防止性を変えるべく様々な研究がなされてきたが、単純に通常の防曇剤や帯電防止剤等界面活性剤成分を添加するだけではフィルム同士のべた付きが問題になる等、実用上満足出来る物ではなかった。上記経緯により、農業用ポリオレフィン系フィルムの更なる結露防止性及び帯電防止性改良が要求されており、良好な結露防止性及び耐電防止性を与えうる添加剤の具体的な組み合わせ方法が求められていた。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、基材フィルムの少なくとも外層にフッ素系界面活性剤成分及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分を含み、基材フィルムの内層側表面に、合成樹脂バインダー及び/又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を設けたことを特徴とする農業用ポリオレフィン系多層フィルムにおいて、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
また、更に、フッ素系界面活性剤成分として特定の種類のものを用いることにより、環境への影響のない農業用ポリオレフィン系多層フィルムを提供できることを知見した。
即ち、本発明は、
(1)少なくとも外層、中間層及び内層を有し、ポリオレフィン系樹脂を含有してなる基材フィルムの少なくとも外層にフッ素系界面活性剤成分及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分を含み、基材フィルムの内層側表面に、合成樹脂バインダー及び無機質コロイドゾル、又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を設けたことを特徴とする農業用ポリオレフィン系多層フィルム、
(2)フッ素系界面活性剤成分が、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物を含む、(1)に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム、
(3)前記パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物が、炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を有する、(2)に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム、
(4)前記パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物が、炭素数5〜6のパーフルオロアルキル基を有する、(3)に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム、
(5)前記微粒子成分が構成元素成分としてSi,Mg,Al,Li,Caの内から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム、
(6)前記微粒子成分の平均粒子径が5.0μm〜20μmである、(1)〜(5)のいずれか1に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム、
(7)合成樹脂バインダーが、アクリル系樹脂及び/又はウレタン系樹脂であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム、
(8)無機質コロイドゾルがコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム、
(9)基材フィルムの外層及び内層に前記微粒子成分を含む、(1)〜(8)のいずれか1に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム、及び
(10)エチレン(A)と下記式(1)で表される環状アミノビニル化合物(B)との共重合体を基材フィルムの1以上のいずれかの層に含有することを特徴とする、(1)〜(9)のいずれか1に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム
Figure 2014010625
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
を、提供するものである。
本発明により、展張直後でのハウス外側面に生じる結露による透光性低下を抑制し、ハウス内の光量不足による栽培性低下を招くことなく使用でき、且つ加工所での帯電防止性能に優れる農業用ポリオレフィン系多層フィルムを提供することができる。
また、フッ素系界面活性剤成分として特定の種類のものを用いることにより、環境への影響のない農業用ポリオレフィン系多層フィルムを提供することができる。
また、本発明の農業用フィルムは、透明でも、梨地でも、半梨地でもよく、ハウス、トンネル、マルチング用、袋掛用等の農業用フィルム(いわゆる農PO)の用途に好適に使用することができる。
[発明の実施の形態]
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における農業用ポリオレフィン系多層フィルム(以下「本発明の農業用フィルム」ともいう。)は、界面活性剤が基材フィルムの外層に含まれることを特徴とする。ここで、基材フィルムとは、防曇性塗膜等が形成される前のポリオレフィン系多層フィルムをいい、少なくとも2層で構成されている。本発明において基材フィルムは、好ましくは、外層、中間層、内層の三層で構成されるが、それ以上の層を含んでもよい。本発明においては、農業用多層フィルムをハウスに展張した際に、ハウス外側に面している層を外層といい、ハウス内側に面している層を内層という。
本発明においては、本発明者らは、特にフッ素系界面活性剤成分を用いたときに展張直後の撥水性抑制に効果が高いことを見出した。フッ素系界面活性剤の具体例としては、通常の界面活性剤の疎水基のCに結合したHの代わりにその一部または全部をFで置換した界面活性剤で、特にパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を含有する界面活性剤である。このようなフッ素系界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物としては、例えば、アニオン系含フッ素界面活性剤、カチオン系含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン系含フッ素界面活性剤、含フッ素オリゴマーなどがあげられる。本発明においては、フッ素系界面活性剤成分が、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物を含むことが特に好ましい。
本発明においては、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物は、炭素数が好ましくは5〜10、更に好ましくは炭素数が5〜8のパーフルオロアルキル基(C11−〜C17−基)を有する。
一方、各種フッ素系製品には副生物としてPFOA(パーフルオロオクタン酸;C15COOH)が残存し、PFOAは、環境残存性があり、生体に摂取された場合、生体からの排出が遅いことから、蓄積する可能性を有している。しかしながら、炭素数が5〜6のパーフルオロアルキル基(C11−〜C13−基)を有するパーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物はPFOAを含有しない。したがって、当該パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物を用いると、環境残存性が低いため、土壌などに残存することがなく環境的にも優れ、かつ、展張直後の撥水性抑制効果も高いのでとりわけ好ましい。
上記フッ素系界面活性剤成分の含有量は、基材フィルムの外層中のポリオレフィン系樹脂100重量%に対し、好ましくは0.001〜5.0重量%、更に好ましくは0.01〜3.0重量%である。該含フッ素系界面活性剤成分の含有量が0.001重量%未満では撥水性抑制効果がほとんど発揮されず、5.0重量%を超えても効果が飽和されるため好ましくない。
上記フッ素系界面活性剤成分は基材フィルム外層中に含有されていることで効果を発揮する。例えば中間層に添加したものをブリードアウト(移行及び析出)させて、基材フィルムの外層に実質上含有させても同様の効果を発揮する為、製造時に添加したのがどの層であったかに関わらず、結果としてフィルムの外層に上記界面活性剤が上記量含有されていれば良い。
また、本発明においては、フッ素系界面活性剤成分は、他の界面活性剤と併用して使用することもできる。
フッ素系界面活性剤成分と併用することができる他の界面活性剤としては、公知の種々の非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を始めとする、多価アルコールと高級脂肪酸類とから成る多価アルコール部分エステル系のもの、シリコーン系界面活性剤が好適である。このような界面活性剤の具体例としては、例えば非イオン系界面活性剤、例えば、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステルのアルキレンオキシド付加物、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステルのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンアルキレンオキシド付加物及びソルビタンモノパルミチン酸エステル(ここで、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステルには、モノエステル、ジエステル、トリエステル、及びそれらの混合物が含まれる。)などのソルビタン系界面活性剤やグリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノパルミテート・モノステアレート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレートあるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等などのグリセリン系界面活性剤やポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテルなどのポリエチレングリコール系界面活性剤やその他トリメチロールプロパンモノステアレートなどのトリメチロールプロパン系界面活性剤やペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどのペンタエリスリトール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物;ソルビタン/グリセリンの縮合物と脂肪酸とのエステル、ソルビタン/アルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステル;ジグリセリンジオレートナトリウムラウリルサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルアミン塩酸塩、ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩、トリエチルセチルアンモニウムイオダイド、オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩、ドデシルピリジニウム塩などやそれらの異性体を含むものなどを挙げることができる。
上記の中でも、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステルのアルキレンオキシド付加物、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステルのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンアルキレンオキシド付加物及びソルビタンモノパルミチン酸エステルなどのソルビタン系界面活性剤が好ましい。付加するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが好ましい。
本発明においては、ソルビタン系防曇剤の中でも、ソルビタンパルミチン酸エステル0.5モルプロピレンオキシド付加物、ポリオキシプロピレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン・モノステアリン酸エステル0.5モルプロピレンオキシド付加物、ソルビタンモノパルミチン酸エステルが特に好ましい。
上記他の界面活性剤を基材フィルム外層中に含有することで、フッ素系界面活性剤成分と相乗効果を発揮することができる。この場合、例えば中間層に添加したものをブリードアウト(移行及び析出)させて、基材フィルムの外層に実質上含有させても同様の効果を発揮する為、製造時に添加したのがどの層であったかに関わらず、結果としてフィルムの外層に上記他の界面活性剤が含有されていれば良い。
本発明の農業用フィルムは、平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分が基材フィルムの少なくとも外層に含まれることを特徴とする。平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分としては、例えば無機系微粒子と有機系微粒子が上げられる。無機系微粒子としては、構成元素成分としてSi,Mg,Al,Li,Caの内から選ばれる少なくとも一つを含有する無機フィラーを使用することが出来る。中でも通常アンチブロッキング剤として使用することが出来る珪藻土、天然シリカ、合成シリカ、タルク、マイカ、ゼオライト等を好適に使用することが出来る。有機系微粒子としては、例えば熱可塑性樹脂を主成分としてなるポリマービーズを使用することが出来る。中でもアクリレート、メタクリレート、スチレン、ナイロンの重合体及び/又はこれら共重合体を好適に使用することが出来る。本発明においては、微粒子成分の平均粒子径は、好ましくは1.0〜30μm、更に好ましくは1.0〜20μmである、特に好ましくは5.0〜20μmである。平均粒子径が1.0μmより小さいと口開き性が十分でなく、30μmより大きいと多層フィルムの透光性が低下する。尚、本発明においては、微粒子成分の平均粒子径はレーザー回折法を用いて好適に測定される。これら微粒子成分は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の一つの好ましい実施形態においては、微粒子成分は基材フィルムの外層及び内層に含まれる。
無機微粒子の含有量は、基材フィルム外層中のポリオレフィン系樹脂100重量%に対し、0.001〜2.0重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%、更に好ましくは0.1〜0.5重量%である。該無機フィラーの使用量が0.001重量%未満ではフィルム同士がべたつき実用上問題が生じる。2重量%を超えると透明性低下の面で好ましくない。
また、無機微粒子の基材フィルムの内層中における含有量は、当該層中のポリオレフィン系樹脂100重量%に対して、0.001〜4.0重量%、好ましくは0.01〜2.0重量%、更に好ましくは0.1〜1.0重量%である。
本発明の農業用フィルムは、前記ポリオレフィン系基材フィルムの最内層に接して合成樹脂バインダー及び無機質コロイドゾル、又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を形成することを特徴としている。この際、防曇性塗膜に接するフィルムに多量の防曇剤が含まれると、不均一なフィルム表面への防曇剤の噴き出しにより、防曇性塗膜を形成する際に支障がでる場合がある。但し、あらかじめ各層の基材樹脂に各種添加剤を濃縮配合したマスターバッチとして用いる場合に混練時の粘着防止剤として、あるいは、防曇性塗膜を形成する際の表面改質剤として本発明の目的を損なわない範囲で少量を用いることができる。
また、本発明の農業用フィルムは、防曇性塗膜及びそれ以外の塗膜を形成することが出来る。例えば防曇性塗膜を内層側表面に、防塵性塗膜を外層側表面に形成しても良い。その場合、本発明の効果である塗膜密着性の向上効果が防塵塗膜に対しても得られる場合がある。
本発明における防曇性塗膜としては、無機質コロイドゾル及び/又は熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂を主成分とする組成物等が挙げられる。好ましくは無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とした防曇性塗膜や無機コロイド物質とアクリル系樹脂を主成分とする防曇性塗膜を用いることができる。又、バインダー樹脂は添加しなくても良く、コロイダルシリカやコロイダルアルミナ等の無機物を積層しても良い。
本発明で用いる無機質コロイドゾルは、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に塗布することにより、フィルム表面に親水性を付与する機能を果たすものである。無機質コロイドゾルとしては、シリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性ゾルが挙げられる。中でも好ましく用いられるのは、シリカゾルとアルミナゾルで、これらは、単独で用いても併用しても良い。
無機質コロイドゾルとしては、その平均粒子径が5〜100nmの範囲で選ぶのが好ましく、また、この範囲であれば、平均粒子径の異なる2種以上のコロイドゾルを組み合わせて用いても良い。平均粒子径が大きすぎると被膜が白く失透することがあり、また、平均粒子径が小さすぎると、無機質コロイドゾルの安定性に欠けることがあるため好ましくない。
無機質コロイドゾルは、その配合量をバインダー樹脂組成物の固形分重量の合計に対して、固形分としての重量比で0.2以上5以下、好ましくは0.5以上4以下にするのが好ましい。すなわち、配合量が少なすぎる場合は、十分な防曇効果が発揮できないことがあり、一方、配合量が多すぎる場合は、防曇効果が配合量に比例して向上しにくいばかりでなく、塗布後に形成される被膜が白濁化してフィルムの光線透過率を低下させる現象があらわれ、また、被膜が粗雑で脆弱になることがあり、好ましくない。
バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、本願発明のポリオレフィン系基材フィルムとの相性から、特に、アクリル系樹脂、及び/又はウレタン系樹脂を用いることが好ましく、更に好ましくは後述する(a)親水性アクリル系重合体からなるもの、(c)疎水性アクリル系樹脂からなるもの、(e)疎水性アクリル系樹脂と、ポリウレタンエマルジョンからなるもの、が各々の特質を持ち、好ましい。
アクリル系樹脂としては、(a)親水性アクリル系重合体からなるもの、(b)一分子内に疎水性分子鎖ブロックと親水性分子鎖ブロックとを含むブロック共重合体からなるもの、(c)疎水性アクリル系樹脂からなるものが挙げられるが、特に(a)が、初期の防曇濡れが早い点で本願発明の基材フィルムとの相性に優れており好ましく、一方(c)については、本願発明の基材フィルムとの相性に優れており好ましい。
(a)の親水性アクリル系重合体としては、水酸基含有ビニル単量体成分を主成分(好ましくは60重量%〜99.9重量%、更に好ましくは65重量%〜95重量%とし)、酸基含有ビニル単量体成分を0.1〜30重量%含有する共重合体、その部分中和物または完全中和物が挙げられる。水酸基含有ビニル単量体成分としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類があげられ、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられるが、これらに限定されない。これらは単独重合体であってもよく、これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類を主成分とし、これらと共重合しうる他の単量体との共重合体であってもよい。
これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類と共重合しうる酸基含有単量体としては、カルボン酸類、スルホン酸類、ホスホン酸類が挙げられ、特に好ましくは、カルボン酸に属する(メタ)アクリル酸である。
その他の共重合体成分としては、たとえばスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酸化ビニル、(メタ)アクリル酸エステル類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン等があげられる。
(c)の疎水性アクリル系樹脂としては、少なくとも合計60重量%のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体、またはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物及び0〜40重量%の共重合しうるα、β−エチレン性不飽和単量体とを、通常の重合条件に従って、例えば乳化剤の存在下に、水系媒質中で乳化重合させて得られる水分散性の重合体または共重合体を挙げることができる。
疎水性アクリル系樹脂の製造に用いられるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類としては、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n−プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステル等が挙げられ、一般には、アルキル基の炭素数が1〜20個のアクリル酸アルキルエステル及び/又はアルキル基の炭素数が1〜20個のメタクリル酸アルキルエステルが使用される。アルケニルベンゼン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
疎水性アクリル系樹脂を得るために用いるα、β−エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα、β−エチレン性不飽和カルボン酸類;エチレンスルホン酸等のα、β−エチレン性不飽和スルホン酸類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸;α、β−エチレン性不飽和ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチル等の水酸基含有ビニル単量体;アクリロニトリル類;アクリルアマイド類;アクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。これら単量体は、単独で用いても、または2種以上の併用でもよく、0〜40重量%の範囲で使用するのが好ましい。使用量が多すぎると、防曇性能を低下させることがあり、好ましくない。
アクリル系樹脂は、公知の乳化剤、例えば陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤の中から選ばれる1種もしくは2種以上の存在下、水系媒質中で、乳化重合させる方法、反応性乳化剤を用いて重合させる方法、乳化剤を含有せずオリゴソープ理論に基づいて重合させる方法等によって得ることができる。
アクリル系樹脂の製造に好ましく用いられる重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらは、単量体の仕込み合計量に対して0.1〜10重量%の範囲で使用することができる。
疎水性アクリル系樹脂は、特に、ガラス転移温度が35〜80℃のものを用いるのが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な分散状態をとりやすく、高すぎる場合、透明性のある均一な塗膜を得るのが困難となりやすい。
本発明に用いる疎水性アクリル系樹脂は水系エマルジョンとして用いるのが好ましい。各単量体を水系媒質中での重合によって得られた水系エマルジョンをそのまま使用しても良く、更にこのものに液状分散媒を加えて希釈したものでもよく、また上記のような重合によって生じた重合体を分別採取し、これを液状分散媒に再分散させて水系エマルジョンとしたものでもよい。
一方、(d)ウレタン系樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンの水性組成物、エマルジョンが挙げられるが、防曇性塗膜の基材ポリオレフィン系樹脂フィルムとの密着性、耐水性及び耐傷付き性の点でポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンが好ましく、更なる防曇性塗膜の耐水性、耐傷付き性向上並びに防曇性を発現するまでの時間及び防曇持続性の点でシラノール基を含有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンがより好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シラノール基を含有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンとは分子内に少なくとも1個のシラノール基を含有するポリウレタン樹脂と、硬化触媒として強塩基性第3級アミンとを含有してなり、具体的には水相中にシラノール基含有ポリウレタン樹脂及び前記強塩基性第3級アミンが溶解しているもの、又は微粒子状に分散しているコロイド分散系のもの(エマルジョン)をいう。
ポリウレタン水性組成物は、その配合量を固形分重量比で疎水性アクリル系樹脂に対して0.01以上、2以下、更に好ましくは0.01以上1以下にすることが好ましい。0.01に満たないときには耐傷付き性の向上が見られにくく、また、防曇性を発現するまでの時間が長く、十分な防曇効果が発揮しにくい。また、多すぎるときは、耐傷付き性が配合量に比例して向上しにくいばかりでなく、塗布後に形成される塗膜が白濁化し光線透過率を低下させやすく、また、コスト面でも不利であり好ましくない。
本発明の防曇性塗膜を形成するための防曇剤組成物を調製するときに、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子界面活性剤等の界面活性剤を添加することができる。このような界面活性剤は以下のものを使用することができる。
陰イオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ジアルキルホスフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンサルフェート塩等が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、エタノールアミン類;ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩;ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩等のアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリエチレングリコールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエステル類;ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベンゾエート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート等のジグリセリン脂肪酸エステル類;グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル類;ペンタエリスリトールモノステアレート等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル類;ジペンタエリスリトールモノパルミテート等のジペンタエリスリトール脂肪酸エステル類;ソルビタンモノパルミテート・ハーフアジペート、ジグリセリンモノステアレート・ハーフグルタミン酸エステル等のソルビタン及びジグリセリン脂肪酸・2塩基酸エステル類;またはこれらとアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオンオキサイド等の縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシプロピレンソルビタンモノステアレート等;ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類;シュガーエステル類等が挙げられる。
高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、セルロースエーテル類等が挙げられる。
界面活性剤の添加は、バインダー樹脂と無機質コロイドゾルとを容易にかつ速やかに均一に分散することができ、また無機質コロイドゾルと併用することにより、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に親水性を付与する機能を果たす。界面活性剤の添加量は、樹脂の固形分100重量部に対し0.1〜50重量部の範囲で選ぶと良い。界面活性剤の添加量が少なすぎると、樹脂及び無機質コロイドゾルが十分に分散するのに時間がかかり、また、無機質コロイドゾルとの併用での防曇効果を十分に発揮しえず、一方界面活性剤の添加量が多すぎると塗布後に形成される被膜表面へのブリードアウト現象により被膜の透明性が低下し、顕著な場合は被膜の耐ブロッキング性の悪化や被膜の耐水性低下を引き起こす場合がある。
本発明の防曇塗膜を形成するための防曇剤組成物を調製するときに、架橋剤を添加することができる。架橋剤は、特にアクリル系樹脂同士を架橋させ、被膜の耐水性を向上させる効果がある。架橋剤としては、フェノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、アジリジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネート化合物類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が挙げられるが、特にアミン化合物類、アジリジン化合物類、エポキシ化合物類が好ましく使用できる。
本発明に使用される防曇剤組成物には、必要に応じて、液状分散媒を配合することができる。かかる液状分散媒としては、水を含む親水性ないし水混合性溶媒がふくまれ、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、等の1価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が挙げられる。これら液状分散媒は単独で用いても併用しても良い。
本発明で調製される防曇剤組成物には、更に必要に応じて、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、増粘剤、顔料、顔料分散剤等の慣用の添加剤を混合することができる。また、アクリル系樹脂以外のバインダー成分として、たとえばポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系の水分散性ウレタン樹脂などを混合していてもよい。
基材フィルムの表面に防曇性塗膜を形成するには、一般に防曇性組成物の溶液または分散液をそれぞれドクターブレードコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロッドコート法、バーコート法、ナイフコート法、ハケ塗り法等それ自体公知の塗布方法を採用し、塗布後乾燥すればよい。塗布後の乾燥方法は、自然乾燥及び強制乾燥のいずれの方法を採用してもよく、強制乾燥方法を採用する場合、通常50〜250℃、好ましくは70〜200℃の温度範囲で乾燥すればよい。加熱乾燥には、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法、及び紫外線硬化法等適宜方法を採用すればよく、乾燥速度、安定性を勘案すれば熱風乾燥法を採用するのが有利である。
本発明において、フィルムの内層側表面に形成させる塗膜の厚さは、基材フィルムの1/10以下を目安に選択するとよいが、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。被膜の厚さが基材フィルムの1/10より大であると、基材フィルムと被膜とでは屈曲性に差があるため、被膜が基材フィルムから剥離する等の現象がおこりやすく、また、被膜に亀裂が生じて基材フィルムの強度を低下させるという現象が生起し、好ましくない。
また、基材フィルムと塗膜組成物に由来する塗膜との接着性が充分でない場合には、基材フィルムに表面処理を施しておいてもよい。本発明の多層フィルムの表面に施す処理の方法としては、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、ナトリウム処理、サンドブラスト処理等の方法が挙げられる。コロナ放電処理法は、針状あるいはナイフエッジ電極と対極間で放電を行わせ、その間に試料を入れて処理を行い、フィルム表面にアルデヒド、酸、アルコールパーオキサイド、ケトン、エーテル等の酸素を含む官能基を生成させる処理である。スパッタエッチング処理は、低気圧グロー放電を行っている電極間に試料を入れ、グロー放電によって生じた正イオンの衝撃によりフィルム上に多数の微細な突起を形成するものである。サンドブラスト処理は、フィルム面に微細な砂を吹きつけて、表面上に多数の微細な凹凸を形成するものである。これら表面処理の中では、塗布層との密着性、作業性、安全性、コスト等の点から、コロナ放電処理が好適である。
本発明に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体などがあげられ、例えば高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.910〜0.935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性および価格の点から農業用フィルムとして好ましい。また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。
これは、通常、メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体であり、例えば下記の(A法)(特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号等)や(B法)(特開平6−9724号、特開平6−136195号、特開平6−136196号等)により得られる。
フィルムの良好な初期透明性及び透明持続性が得られる点では上記(A)法、(B)法に拘泥されることなく、メタロセン化合物を用いて重合されたポリオレフィン系樹脂、即ち、メタロセンポリエチレンを用いることが出来る。
これらメタロセンポリエチレンを始めとするポリエチレン樹脂は、温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fractionation)、MFR、密度、分子量分布、その他各種物性の測定によって分類される。温度上昇溶離分別(Temperature Rising Elution Fractionation:TREF)による溶出曲線の測定は、「Journal of Applied Polymer Science.Vol 126,4,217−4,231(1981)」、「高分子討論会予稿集2P1C09(昭和63年)」等の文献に記載されている原理に基づいて実施される。
本発明のポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分として使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、JIS−K7210により測定されたMFRが0.01〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の値を示す。該MFRがこの範囲より大きいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。また、該MFRがこの範囲より小さすぎると成形時の樹脂圧力が増大し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧力の増大を抑制しなければならず、実用性に乏しい。 また、本発明のポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分として使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、JIS−K7112により測定された密度が0.880〜0.930g/cm、好ましくは0.880〜0.920g/cmの値を示す。該密度がこの範囲より大きいと透明性が悪化する。また、密度がこの範囲より小さいと、フィルム表面のべたつきによりブロッキングが生じ実用性に乏しくなる。 また、本発明のポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分として使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.0の値を示す。該分子量分布がこの範囲より大きいと機械的強度が低下し好ましくない。該分子量分布がこの範囲より小さいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、酢酸ビニル含有量が10〜25重量%の範囲であり、好ましくは12〜20重量%の範囲である。酢酸ビニル含有量がこの範囲より小さいと、得られるフィルムが硬くなりハウスへの展張時にシワや弛みが出来やすく、防曇性に悪影響が出るため実用性に乏しく、また、酢酸ビニル含有量がこの範囲より大きいと、樹脂の融点が低いためハウス展張時に夏場の高温下でフィルムが弛み、風でばたつきハウス構造体との擦れ等により破れが生じやすくなるため実用性に乏しい。
本発明はエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体を用いることにより長期耐候性、耐ブリードアウト性に優れ、且つ表面の撥水性が抑制された結露による透光性の低下を招きにくい農業用フィルムを得ることが出来る。前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、一般的農業用フィルムに用いられるヒンダードアミン系耐候剤と比較して、格段に長期耐候性を向上させる光安定剤としての効果を奏する。
本発明のエチレン(A)及び環状アミノビニル化合物(B)との共重合体(以下、「エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体」という)はエチレン(A)と前記式(1)の化合物の共重合体を使用することができる。前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、多量添加することによりフィルムのポリオレフィン系フィルムの表面性(水滴接触角等)を変えることができ、本発明の目的に好適に使用することが出来る。
更に、基材フィルムの1以上のいずれかの層にエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体含有させると、基材フィルムに防曇性塗膜などを形成した場合に塗膜密着性を向上することができることから、好ましい。
Figure 2014010625
上記式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。好ましくは、R1及びR2はそれぞれメチル基であり、R3は水素原子である。
式(1)で表されるビニル化合物(B)は、公知の方法、例えば特公昭47−8539号、特開昭48−65180号公報等に記載された方法にて合成することができる。
式(1)で表されるビニル化合物(B)の代表例としては、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等を挙げることができる。
前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体の好ましいものとしては、そのエチレン(A)と環状アミノビニル化合物(B)との和に対する該(B)の割合が0.0005〜0.85モル%、より好ましくは0.001〜0.55モル%であるものが挙げられる。すなわち、本共重合体の好ましいものは、側鎖にヒンダードアミン基を有するビニルモノマー(環状アミノビニル化合物(B))の含有量が少ない割に高い光安定性を有するものである。環状アミノビニル化合物(B)の濃度は0.0005モル%で充分に光安定化効果を発揮し、一方、0.85モル%を超えると実質的に不経済となる傾向にある。
また、前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、該共重合体中に(B)が2個以上連続せず、孤立して存在する割合が(B)の総量に対して83%以上、好ましくは90%以上であるものが好ましい。
環状アミノビニル化合物(B)の存在確認は、特開平4−80215号公報に記載されている通り、次のようにして行われる。13C−NMR(例えば日本電子製JNM−GSX270 Spectrometer)にて、公知の方法(例えば、化学同人発行「機器分析のてびき(1)」53〜56頁(1985)参照)に従い、文献記載のポリアクリル酸エチル(朝倉書店発行「高分子分析ハンドブック」969頁(1985)参照)及びエチレン−アクリル酸ヒドロキシエチル共重合体(Eur.Poly.J.25巻、4号、411〜418頁(1989)参照)の化学シフトを用いて、TMS基準における32.9ppmのピークを孤立したビニルモノマー(B)の分岐点からα位にあるメチレン基によるものとし、35.7ppmのピークを連続した二つのビニルモノマー(B)の分岐点に挟まれたメチレン基によるものと帰属した。これら二つのシグナルを用いて、エチレン(A)とビニルモノマー(B)との共重合体においてビニルモノマー(B)が孤立して存在する割合を、下記計算式によって算出することができる。
Figure 2014010625
上記により見積もった側鎖にヒンダードアミン基を有するビニルモノマーが2個以上連続せず、孤立して存在する割合が、共重合体中のビニルモノマー(B)の総量に対して83%以上であることが好ましい。側鎖にヒンダードアミン基を有するビニルモノマーが2個以上連続せず、孤立して存在する割合が83%未満であると、側鎖にヒンダードアミン基を有するビニルモノマーの含量が少ない割に高い光安定性を有するという特徴が発揮されない場合がある。
前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体のMFR(JIS−K6760(190℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値)は、0.1〜200g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分、より好ましくは1〜5g/10分である。MFRが上記範囲未満では、ポリオレフィン系樹脂とのなじみが悪く、ブレンドした場合、フィッシュアイやブツなどフィルム用途での可視欠点の原因となる。一方、MFRが上記範囲を超えると、分子量が大きい共重合体といえども拡散透失によるブリード、ブルーム現象が生起したり、ポリオレフィン系樹脂とブレンドした場合、得られる樹脂組成物の強度低下の原因となる。
さらに、前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、GPCを用い、単分散ポリスチレンにて検量線を作成し決定した。重量平均分子量と数平均分子量との比をもって表示されるMw/Mn(Q値)は3〜120の範囲にあることが望ましい。特に好ましい範囲は5〜20である。
本発明の農業用ポリオレフィン系多層フィルム中における前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体の含有量は、全層中のポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。この含有量が上記範囲未満では耐候性が劣るので好ましくなく、上記範囲を超えると経済性の点で好ましくない。
使用可能な市販のエチレン・環状アミノビニル共重合体としては、ノバテック LD・XJ100H(日本ポリケム(株)製)等が挙げられる。
本発明において用いられる前記エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、コスト的な観点から、必ずしも多層フィルムの全層に含有されている必要はなく、少なくとも1層含有されていればよい。また、本発明においては、少なくとも内層にエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体を含有させることが好ましい。これにより、防曇性塗膜の密着性を有効に向上させることができる。
また、このエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、通常用いられる一種又は二種以上のヒンダードアミン系耐候剤と組み合わせて用いることができる。更に、エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体を含有しない層に対して、通常用いられる一種又は二種以上のヒンダードアミン系耐候剤を用いることもできる。エチレン・環状アミノビニル化合物共重合体は、もちろん全層に含有させてもよいが、例えば内層と外層(ハウス外面)に含有させ、その他の層には農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光安定剤を含有させることもできる。また、同一の層にエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体と農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光安定剤を含有させることもできる。その場合は全層にエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体を用いる場合よりコスト的に有利になる。
また、本発明の農業用ポリオレフィン系多層フィルム中には、通常農業用フィルムに使用される各種添加剤を併用することができる。それらの添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、耐候剤、ヒンダードアミン化合物、赤外線吸収剤、保温剤、充てん剤、金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩、ハイドロタルサイト化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、多価アルコール、ハロゲン酸素酸塩、硫黄系、フェノール系およびホスファイト系などの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、などがあげられる。
使用可能なヒンダードアミン化合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物などがあげられる。
使用可能な市販のヒンダードアミン系化合物を例示すれば、TINUVIN770、TINUVIN780、TINUVIN144、TINUVIN622LD、TINUVIN NOR 371、CHIMASSORB119FL、CHIMASSORB944(以上、チバガイギー社製)、サノールLS−765(三共(株)製)、MARK LA−63、MARK LA−68、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−57、LA−900、LA−81、NO−Alkyl−1(以上、ADEKA社製)、UV−3346、UV−3529、UV−3581、UV−3853(以上、サイテック社製)、ホスタビンN20、ホスタビンN24、ホスタビンN30、ホスタビン845、ホスタビンNOW、サンデュボアPR−31、ナイロスタッブS−EED(以上、クラリアント・ジャパン社製)、UVINUL5050H(以上、BASFジャパン社製)等が挙げられる。これらのピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物は、一種又は二種以上で用いられる。
上記ヒンダードアミン化合物の含有量は、全層中のポリオレフィン系樹脂100重量%に対して、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。該含有量が0.001重量%未満では十分な効果が得られず、5重量%よりも多くても効果の向上がみられないばかりか、フィルムの物性を低下させるなどの悪影響を与える。
本発明においては。基材フィルムの1以上のいずれの層にヒンダードアミン系光安定剤を含有することができる。通常、ヒンダードアミン化合物などの添加剤を各層に添加するときは、当該添加剤のマスターバッチを調製してこれをベース樹脂とともに混練して添加されるが、フッ素系界面活性剤を添加するとマスターバッチが着色する傾向にある。しかしながら、ヒンダードアミン化合物を添加すると、フッ素系界面活性剤によるマスターバッチの着色が抑制されるという利点もある。
上記紫外線吸収剤として、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’.5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール等のトリアジン類等があげられる。これらの紫外線吸収剤は、一種又は二種以上で用いられる。
紫外線吸収剤の含有量は、前記ポリオレフィン系樹脂100重量%に対し好ましくは0.001重量%より多く2重量%未満、更に好ましくは0.01〜1重量%である。含有量が上記範囲未満では耐候性改良効果が低く、上記範囲を超えると、ブリードアウトによる透明性低下等問題がある。
本発明の農業用フィルムは、赤外線吸収剤を添加することにより、良好な保温性を付与することが出来る。赤外線吸収剤は、保温剤として有効なMg、Ca、Al、Si及びLiの少なくとも1つの原子を含有する無機化合物(無機酸化物、無機水酸化物、ハイドロタルサイト類等)を使用できる。
なかでも、下記の式(2)で表されるハイドロタルサイト類赤外線吸収剤を用いた場合に、安価で成形性良好なフィルムを得ることが出来る。
Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO(2)
なかでも、下記の式(3)で表される赤外線吸収剤を用いた場合に、安価で成形性良好なフィルムを得ることが出来る。
[Al(Li(1−x)・M(x+y))(OH)6+y(An2(1+x)/n・mHO(3)(式中、MはMg及び/又はZnで、Aはn価のアニオン、mは0又は正の数、x及びyは0≦x<1、0≦y≦0.5の範囲である。)
上記式(3)で表される赤外線吸収剤(保温剤)の入手方法は特に限定されず、市販のものを使用することができ、例えば、DHT4A、SYHT−3(協和化学(株)製)、HT−P(堺化学(株)製)、オプティマ(戸田工業(株)製)やミズカラック(水澤化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明に係る赤外線吸収剤(保温剤)は、赤外線吸収能を有する無機微粒子であり、これらは一種又は二種以上で組み合わせて用いることができる。用いることの出来る無機微粒子は特に制限はないが、成分:Si,Al,Mg,Caから選ばれた少なくとも1つの原子を含有する無機化合物を用いることが出来る。例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類化合物等が挙げられる。これらは結晶水を脱水したものであってもよい。
上記無機微粒子は天然物であってもよく、また合成品であってもよい。また、上記無機微粒子は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることなく使用することが可能である。
上記無機微粒子の含有量は、全層中のポリオレフィン系樹脂100重量%に対し好ましくは0.1重量%より多く15重量%未満、更に好ましくは1〜12重量%である。含有量が上記範囲未満では保温性改良効果が低く、上記範囲を超えると透明性低下等問題がある。
上記の金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩を構成する金属種としては、Li,Na,K,Ca,Ba,Mg,Sr,Zn,Cd,Sn,Cs,Al,有機Snがあげられ、有機酸としては、カルボン酸、有機リン酸類またはフェノール類があげられる。
上記充てん剤としては、フィルムのベタツキを抑制するために、あるいは保温性をさらに高めるために、例えばシリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、マイカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、導電性酸化亜鉛、リン酸リチウムなどが用いられる。これらの充てん剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等があげられる。
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類があげられる。
上記ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト等があげられる。
上記着色剤としては例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、アリザリンレーキ、酸化チタン、亜鉛華、群青、パーマネントレッド、キナクリドン、カーボンブラック等を挙げることができる。
本発明の基材フィルムは、上述した成分が組合わされて含有してなり、更に本発明の基材フィルムに含有することができる下記の任意成分を、必要に応じて含有させることができる。任意成分とは、その他安定剤、耐衝撃性改善剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、造核剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、難燃剤、螢光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤などを挙げることができる。
本発明の基材フィルムは、各種添加剤を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、単軸又は二軸押出機、ロールなどの配合機や混練機その他従来から知られている配合機、混合機を使用すればよい。このようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するには、それ自体公知の方法、例えば、溶融押出し成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブロー成型、インフレーション成型、溶融流延法、加圧成型加工、ペースト加工、粉体成型等の方法を好適に使用することができる。
本発明の基材フィルム厚みについては、強度やコストの点で0.01〜1mmの範囲のものが好ましく、0.05〜0.5mmのものがより好ましく、更に好ましくは0.05〜0.2mmである。この範囲未満では強度的に問題があり、この範囲を超えると成形が困難なうえ、展張作業性に問題がある。
また、本発明の農業用ポリオレフィン系多層フィルムは、3層から5層が各層のバランスをとりやすい。3層フィルムを構成する層比としては、成形性や透明性及び強度の点から1/0.5/1〜1/5/1の範囲が好ましく、1/2/1〜1/4/1の範囲がより好ましい。また、外層と内層の比率としては、特に規定されるものではないが、得られるフィルムのカール性から同程度の比率とするのが好ましい。
本発明に係る農業用ポリオレフィン系多層フィルムを、実際に使用するにあたっては、防曇性塗膜の設けられた側をハウス又はトンネルの内側となるようにして展張するのがよい。
本発明の農業用ポリオレフィン系多層フィルムは、展張直後の結露による透光性の低下が抑制された農業用フィルムであり、結露しやすい地域でも好適に使用することが出来る。
更に、通常、ハウス外側に面した層に界面活性剤成分を添加した場合に生じる口開き性の低下を起こすことなく、加工所での帯電も少ないことから非常に扱いやすく、農業用フィルムとして具備すべき性能をバランス良く有している。本発明の農業用フィルムは、透明でも、梨地でも、半梨地でもよく、ハウス、トンネル、マルチング用、袋掛用等の農業用フィルム(いわゆる農ポリ、農サクビ、農PO等)の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。
(1)積層フィルムの調整
3層インフレーション成形装置として3層ダイに100mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機はチューブ外内層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40mmφ((株)プラ技研製)として、外内層押出し機温度180℃、中間層押し出し機温度170℃、ダイス温度180〜190℃、ブロー比2.0〜3.0、引取り速度3〜7m/分、厚さ0.15mmにて表1〜表3に示した成分からなる3層の積層フィルムを得た。なお、これらのフィルムは、ハウス展張時にチューブの端部を切り開いて使用するため、展開した際に製膜時のチューブ外層が展張時にはハウスの内層(内面)となる。
〔配合〕 添加量は各表記載通り。
HP−LDPE:高圧ラジカル法触媒で製造した分岐状ポリエチレン(MFR:1.1g/10分、密度0.920)日本ポリケム製ノバテックLD「YF30」
メタロセンPE:メタロセン触媒で製造したエチレン・αオレフィン共重合体(MFR:2g/10分、密度0.907)日本ポリケム製カーネル「KF270」
EVA1 :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量5重量%、MFR2g/10分)
EVA2 :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%、MFR2g/10分)
フッ素系界面活性剤A:パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物DS−405(パーフルオロアルキル基の炭素数が8)(ダイキン化成品販売(株)製)
フッ素系界面活性剤B:パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物DSN−403N(パーフルオロアルキル基の炭素数が6)(ダイキン化成品販売(株)製)
界面活性剤A:非イオン系界面活性剤 花王(株)製「エレクトロストリッパーTS−EA」
界面活性剤B:ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート
界面活性剤C:ソルビタンパルミチン酸エステル0.5モルプロピレンオキシド付加物
紫外線吸収剤A:サイテック製トリアリールトリアジン系紫外線吸収剤「UV1164」
合成ハイドロタルサイトA:協和化学(株)製「DHT4A」
光安定剤A:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤 「Tinuvin NOR 371 FF」
エチレン・環状アミノビニル共重合体:日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD・XJ100H」MFR=3g/10分(190℃、JIS−K6760) 密度=0.931g/cm(JIS−K6760)環状アミノビニル化合物含量=5.1重量%(0.7モル%)孤立して存在する環状アミノビニル化合物の割合=90モル% 融点=111℃
無機微粒子A:天然シリカ含有の日本ポリエチレン(株)製マスターバッチ「MF20KG」として添加。
無機微粒子B:富士化学工業(株)製「F−30」
上記微粒子成分の平均粒子径は、日機装(株)製「マイクロトラック粒度分布測定装置」を使用してレーザー回折法によるD50の値(粒度加積曲線で重量比50%の粒子の粒径(μm))を用いた。
(2)フィルムの表面処理
得られたチューブ状フィルムの外層表面を、放電電圧120V、放電電流4.7A、ラインスピード10m/minでコロナ放電処理を行い、JIS−K6768による「濡れ指数」を測定、確認した。
(3)防曇性塗膜の形成
下記に示した主成分(シリカゾル及び/又はアルミナゾル)と熱可塑性樹脂と架橋剤及び液状分散媒とを配合して防曇剤組成物を得た。
防曇剤組成物配合は以下の配合とした。
無機質コロイドゾル(コロイダルシリカ) 4.0
熱可塑性樹脂(サンモールSW−131:疎水性バインダー樹脂) 3.0
架橋剤(T.A.Z.M) 0.1
分散媒(水/エタノール=3/1) 93
(注)無機質コロイドゾルの配合量は、無機質粒子量で示し熱可塑性樹脂の配合
量は重合体固形分量で示す。
コロイダルシリカ:日産化学社製スノーテックス30、平均粒子径15nm
サンモールSW−131:三洋化成社製アクリルエマルジョン
T.A.Z.M:相互薬工社製アジリジン系化合物
(2)で表面処理した基材フィルムの表面に、上記の防曇剤組成物を#5バーコーターを用いて各々塗布した。塗布したフィルムを80℃のオーブン中に1分間保持して、液状分散媒を揮発させ防曇性塗膜を形成した。得られた各フィルムの塗膜の厚みは約1μmであった。
防曇性塗膜を設けたタイプ(フィルム厚100μm)各々について次のような物性測定を行ったが、今回用いた樹脂、添加剤、塗膜以外の組み合わせ、又は今回と異なるフィルム厚みでも、その要旨を変えない限り、同様の効果が得られる。今回用いた各々のサンプルについて次のような試験を行った。実施例及び比較例における各測定法を以下に示す。
(1)水滴接触角測定
各サンプルの水滴接触角を水滴接触角測定器(エルマ製)により測定し、その値を以下の基準で評価した結果を表に示した。
○:水滴接触角が60°より小さい。
△:水滴接触角が60°以上90より小さい。
×:水滴接触角が90°より大きい。
(2)展張初期の水滴付着性試験
三重県松阪市の圃場に構築したパイプハウスにフィルムを2011年10月28日に展張した。当該ハウスに展張されてから5日後の11月2日朝、上記パイプハウス中からハウス外側面に付着した結露水の水滴付着状況を目視で観察した。
ハウス外側に付着した結露による水滴(滴状になっている部分)付着面積の割合
○:70%以下
△:70〜90%
×:90〜100%
(3)帯電圧測定
各サンプルの帯電圧をスタティックオネストネーター(SHISHIDO.Co製)により測定し、初期帯電圧に対する5分後の帯電圧の割合(%)について以下の基準で評価した結果を表に示した。
○:初期帯電圧に対する5分後の帯電圧の割合(%)が20%より低い。
△:初期帯電圧に対する5分後の帯電圧の割合(%)が20〜80%の範囲。
×:初期帯電圧に対する5分後の帯電圧の割合(%)が80%より高い。
(4)口開き性試験結果
各サンプルの口開き性を上記インフレーション成形装置で作成したばかりのフィルムで評価した。
口開き性評価:
方法=チューブ状のフィルムの四隅をハサミで切り開き、2枚のフィルムの片方を持って持ち上げたときの状態を目視で評価
◎:持ち上げる前からフィルム同士が完全に分離している状態
○:特に力を加えなくてもフィルムの同士が自然にはがれる状態
×:フィルム同士がはがれにくく人為的に力を加えないと分離できない状態
(5)PFOA(パーフルオロオクタン酸)含有の有無
使用するフッ素系界面活性剤成分中にPFOA(パーフルオロオクタン酸)が含有されている場合は「有」と表記し、含有されていない場合は「無」と表記した。
〔実施例1、比較例1〜3〕
上記配合により、フィルム厚150μm、層比1/3/1の三層フィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成し、前記方法により水滴接触角測定、展張直後の水滴付着性評価、帯電圧測定、口開き性評価を行なった。その結果を表1に示す。
Figure 2014010625
〔実施例1〜2、比較例4〕
上記配合により、フィルム厚150μm、層比1/3/1の三層フィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成し、前記方法により水滴接触角測定、展張直後の水滴付着性評価、帯電圧測定、口開き性評価行なった。その結果を表2に示す。
Figure 2014010625
〔実施例1、3及び4、比較例5〜6〕
上記配合により、フィルム厚150μm、層比1/3/1の三層フィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成し、前記方法により水滴接触角測定、展張直後の水滴付着性評価、帯電圧測定、口開き性評価行なった。その結果を表3に示す。
Figure 2014010625
〔実施例1及び5〕
上記配合により、フィルム厚150μm、層比1/3/1の三層フィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成し、前記方法により水滴接触角測定、展張直後の水滴付着性評価、帯電圧測定、口開き性評価の結果、及びPFOA含有の有無を表4に示す。
Figure 2014010625
以上の結果から明らかなように、本発明に係るフッ素系界面活性剤成分及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分が少なくとも基材フィルム外層に含まれ、基材フィルムの内層側表面に、合成樹脂バインダー及び/又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を設けたことを特徴とするポリオレフィン系農業用多層フィルムは、展張直後の結露による透光性の低下抑制、帯電圧性、口開き性において著しく優れたものである(実施例1〜4)。
これに対し、本発明に係るフッ素系界面活性剤成分を欠いた場合は、結露による透光性低下の抑制が十分出来ない(比較例1)。また、フッ素系界面活性剤以外の界面活性剤を用いた場合は、結露による透光性低下の抑制効果はあるものの、実施例1及び2と比較例2〜4を対比すると、フッ素系界面活性剤を用いた場合により顕著な抑制効果を有することが分かる。
また、本発明に係る微粒子成分を外層に添加しない場合は、口開き性に劣り使用上問題がある(比較例5)。更に、本発明に係る微粒子成分の粒径範囲を下回った場合には、微粒子成分を欠いた場合と同様に口開き性に劣り使用上問題がある(比較例6)。つまり本発明に係る構成要素を欠いた場合には、農業用フィルムとして具備すべき性能をバランスよく付与されているとは言えない。
更に、炭素数が6のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を用いると、環境影響静がない上に、展張直後の結露による透光性の低下抑制、帯電圧性、口開き性において著しく優れた農業用多層フィルムを提供できることが表4により示される(実施例5)。

Claims (10)

  1. 少なくとも外層、中間層及び内層を有し、ポリオレフィン系樹脂を含有してなる基材フィルムの少なくとも外層にフッ素系界面活性剤成分及び平均粒子径1.0μm以上の微粒子成分を含み、基材フィルムの内層側表面に、合成樹脂バインダー及び無機質コロイドゾル、又は無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性塗膜層を設けたことを特徴とする農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  2. フッ素系界面活性剤成分が、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物を含む、請求項1に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  3. 前記パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物が、炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を有する、請求項2に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  4. 前記パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物が、炭素数5〜6のパーフルオロアルキル基を有する、請求項3に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  5. 前記微粒子成分が構成元素成分としてSi,Mg,Al,Li,Caの内から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  6. 前記微粒子成分の平均粒子径が5.0μm〜20μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  7. 合成樹脂バインダーが、アクリル系樹脂及び/又はウレタン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  8. 無機質コロイドゾルがコロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  9. 基材フィルムの外層及び内層に前記微粒子成分を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
  10. エチレン(A)と下記式(1)で表される環状アミノビニル化合物(B)との共重合体を基材フィルムの1以上のいずれかの層に含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の農業用ポリオレフィン系多層フィルム。
    Figure 2014010625
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
JP2014524837A 2012-07-13 2013-07-10 農業用多層フィルム Pending JPWO2014010625A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012157637 2012-07-13
JP2012157637 2012-07-13
PCT/JP2013/068859 WO2014010625A1 (ja) 2012-07-13 2013-07-10 農業用多層フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2014010625A1 true JPWO2014010625A1 (ja) 2016-06-23

Family

ID=49916075

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014524837A Pending JPWO2014010625A1 (ja) 2012-07-13 2013-07-10 農業用多層フィルム

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JPWO2014010625A1 (ja)
KR (1) KR20150035719A (ja)
CN (1) CN103538334A (ja)
WO (1) WO2014010625A1 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016086737A (ja) * 2014-11-05 2016-05-23 シーアイ化成株式会社 オレフィン系農業用フィルム
CN104396644A (zh) * 2014-11-06 2015-03-11 徐智文 一种育果袋及其加工方法
CN106034823A (zh) * 2016-05-31 2016-10-26 浙江科聚特农业科技发展有限公司 一种农业大棚用多层膜
JP6367990B1 (ja) * 2017-02-09 2018-08-01 竹本油脂株式会社 熱可塑性高分子フィルムコーティング用組成物、熱可塑性高分子フィルムコーティング用組成物の製造方法、改質熱可塑性高分子フィルム及び改質熱可塑性高分子フィルムの製造方法
JP2018170976A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 住化積水フィルム株式会社 農業用フィルム
JP6502567B1 (ja) * 2018-10-05 2019-04-17 住友化学株式会社 農業用フィルム及び農園芸用施設
CN109677070B (zh) * 2018-12-26 2022-01-04 东莞市正新包装制品有限公司 Pe地膜
WO2020132923A1 (zh) * 2018-12-26 2020-07-02 东莞正新包装制品有限公司 Pe地膜
KR102047870B1 (ko) 2019-07-30 2019-11-22 (주)비비스 방담성 및 열융착 접착강도가 우수한 비닐 하우스용 단열시트
KR102175506B1 (ko) 2019-10-22 2020-11-09 주식회사 비비스 방담성 및 열융착 접착강도가 우수한 비닐 하우스용 5층 단열시트
KR20220041275A (ko) 2020-09-24 2022-04-01 주식회사 비비스 비닐 하우스용 5층 단열시트
CN114149875A (zh) * 2021-12-06 2022-03-08 广东舒洁环境科技有限公司 一种中性环保清洁剂及其制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011144122A (ja) * 2010-01-13 2011-07-28 Agc Seimi Chemical Co Ltd 含フッ素化合物、含フッ素界面活性剤およびその組成物
JP4741953B2 (ja) * 2006-02-03 2011-08-10 Mkvドリーム株式会社 ポリオレフィン系農業用多層フィルム
JP2012050933A (ja) * 2010-09-01 2012-03-15 Nissan Chem Ind Ltd 界面活性剤

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0948097A (ja) * 1995-08-07 1997-02-18 Mitsubishi Chem Corp 農業用フィルム
CN1532217A (zh) * 2003-03-25 2004-09-29 姜省民 生物降解性木薯淀粉基材料及制品
JP4966614B2 (ja) * 2006-09-14 2012-07-04 Mkvドリーム株式会社 農業用フィルム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4741953B2 (ja) * 2006-02-03 2011-08-10 Mkvドリーム株式会社 ポリオレフィン系農業用多層フィルム
JP2011144122A (ja) * 2010-01-13 2011-07-28 Agc Seimi Chemical Co Ltd 含フッ素化合物、含フッ素界面活性剤およびその組成物
JP2012050933A (ja) * 2010-09-01 2012-03-15 Nissan Chem Ind Ltd 界面活性剤

Also Published As

Publication number Publication date
KR20150035719A (ko) 2015-04-07
CN103538334A (zh) 2014-01-29
WO2014010625A1 (ja) 2014-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2014010625A1 (ja) 農業用多層フィルム
JP6359271B2 (ja) 農業用ポリオレフィン系多層フィルム
JP2014018109A (ja) 農業用多層フィルム
JP4741953B2 (ja) ポリオレフィン系農業用多層フィルム
JPWO2014010626A1 (ja) 農業用多層フィルム
JP2017104072A (ja) 農業用多層フィルム
JP7432630B2 (ja) 農業用ポリオレフィン系多層フィルム
JP2011190293A (ja) 農業用フィルム
JP5756603B2 (ja) 農業用フィルム
JP4966614B2 (ja) 農業用フィルム
JP6769951B2 (ja) 農業用フィルム
JP2009202350A (ja) 農業用フィルム
JP4902193B2 (ja) ポリオレフィン系農業用フィルム
JP7164398B2 (ja) 農業用ポリオレフィン系多層フィルム
JP4902266B2 (ja) 農業用フィルム
JP3707422B2 (ja) ポリオレフィン系農業用フィルム
JP2003199437A (ja) 農業用フィルム
JP6564195B2 (ja) 農業用フィルム
JP3893083B2 (ja) ポリオレフィン系農業用フィルム
JP4742066B2 (ja) 農業用フィルム
JP6998649B2 (ja) 農業用ポリオレフィン系多層フィルム
JP7105552B2 (ja) 農業用ポリオレフィン系多層フィルム
JP5764729B1 (ja) 農業用フィルム
JP2002264280A (ja) 農業用フィルム
JP2005323599A (ja) ポリオレフィン系農業用フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160601

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170329

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170516

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170829