JP2002264280A - 農業用フィルム - Google Patents

農業用フィルム

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JP2002264280A
JP2002264280A JP2001062826A JP2001062826A JP2002264280A JP 2002264280 A JP2002264280 A JP 2002264280A JP 2001062826 A JP2001062826 A JP 2001062826A JP 2001062826 A JP2001062826 A JP 2001062826A JP 2002264280 A JP2002264280 A JP 2002264280A
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film
agricultural film
hindered amine
ethylene
agricultural
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JP2001062826A
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Takuya Ichimura
拓野 市村
Shunichi Onishi
俊一 大西
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Mitsubishi Chemical MKV Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐候性、耐農薬性、保温性、耐久性に優れ、長
期間使用可能な農業用フィルムを提供する。 【解決手段】エチレンと環状アミノビニル化合物とを共
重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエ
チレン系共重合体(A)を含有する層を少なくとも1層
と式(I) [Mg1-xAlx(OH)2x+[(A)y1(B)y2・m
2O]x- (I)(式中、Aは珪素系、リン系及び硼素系酸素酸イ
オンの少なくとも一種のアニオンを示し、且つその一部
及び/又は全部が珪素系、リン系及び硼素系多量体酸素
酸イオンの少なくとも一種のアニオンであることを示
し、Bは、A以外のアニオンの少なくとも一種のアニオ
ンを示し、x、y1、y2及びmはそれぞれ下記条件を
満足する。0<x≦0.5、0<y1、0<y2、0≦
m<2)で示される複合水酸化物塩(B)を含有する層
を少なくとも1層有する農業用フィルム(なお、(A)
と(B)が同一の層中に含有することを妨げない)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は農業用フィルムに関
し、さらに詳しくは、耐候性、耐農薬性、保温性、耐久
性に優れ、長期間使用可能な農業用フィルムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、農業用作物を半促成又は抑制栽培
して、その市場性、生産性を高めるため、農業用塩化ビ
ニルフィルム(以下、農ビという)やポリエチレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、及びポリオレフィン系樹
脂を主体とした農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム
(以下、農ポリ、農酢ビという)などの農業用被覆材に
よる被覆下に有用植物を栽培する、いわゆるハウス栽培
やトンネル栽培が盛んに行われている。
【0003】さて、この様な農業用ハウスは年々大型化
しており、ハウスをフィルムで覆うためのフィルム展張
作業は多くの人手を要するようになってきている。その
一方で、農業従事者の数は年々減少すると共に高齢化が
進行しており、毎年の展張作業に人手を確保することは
容易ではない状況にある。この様な状況に鑑み、ハウス
に展張するフィルムは展張作業が容易で極力張り替えま
での使用期間の長いフィルム、言いかえれば、2年以上
の長寿命を有し、長期間にわたり当初性能を保持できる
高性能な農業用フィルムの開発が求められている。この
様な要求に対して、フィルムが具備し、長期間保持すべ
き性能としては、その用途に応じて、例えば赤外線吸収
能(保温性)、透明性、耐農薬性、耐候性などの様々な
性能が要求される。従来より、これらの性能を成型品に
付与するため、赤外線吸収能を有する金属複合水酸化物
塩や各種耐候剤を始めとした、様々な粒子あるいは添加
剤などを含有する樹脂組成物が提案されている。
【0004】これら農業用フィルム中に赤外線吸収剤を
分散させた樹脂組成物は広く用いられており、従来、上
記農業用フィルムには、赤外線吸収剤として有効な無機
酸化物、無機水酸化物等、例えば、酸化マグネシウム、
酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化
リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水
酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニ
ウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウ
ム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カ
ルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナト
リウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウ
ム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、
ハイドロタルサイト類化合物等が挙げられる。これらの
内でも、樹脂中での分散性、透明性および保温性の点か
らハイドロタルサイト類化合物、及びその焼成物等が多
く用いられていた。
【0005】しかしながら、このような粒子含有樹脂組
成物から得られる成形品は透明性が低いレベルにある
か、使用時、例えば酸性雨や農薬に曝露される条件で透
明性不良を発生するなど、透明性を要求される農業用フ
ィルムなどの用途には満足に使用し得るものではなかっ
た。一方、これら農業用フィルムに添加される耐候性改
良を目的とした添加剤のうち代表的なものとしてヒンダ
ードアミン系の耐候剤が挙げられる。既に、ヒンダード
アミン系耐候剤は、例えば、特開昭59−86645号
公報や特開平2−167350号公報)に開示されてい
るように、少量の添加でポリオレフィン系樹脂の耐候性
が著しく向上すると共に、その効果が長期間保たれ、ポ
リオレフィン系樹脂フィルムの光沢や色調の変化が著し
く抑制されることから好ましく使用されている。
【0006】これに対し更なる効果の持続性を目的とし
てヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体
及びハイドロタルサイト類を添加した農業用フィルム
(例えば特開平5−112725号公報及び特開平5−
124161号公報等)が考案されている。このヒンダ
ードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体は、その
製造方法、分子構造から通常のヒンダードアミン系耐候
剤とは明確に区別される(例えば特許第2695971
号公報及び特許第2695975号公報)。しかしなが
ら、このエチレン系共重合体は樹脂との相溶性は高く、
その添加による耐候性改良効果は認められるものの、高
コストである為、添加量を増やすことが難しい等の問題
がある。添加量が低い場合、化合物総重量に占めるヒン
ダードアミン基の割合が、通常のヒンダードアミン系耐
候剤と比較して低いため、耐候性改良効果が低く、必ず
しも一般的に用いられているとはいえなかった。又、特
開平5−112725号公報及び特開平5−12416
1号公報記載のハイドロタルサイト類化合物を使用した
場合、農薬や酸性雨等に暴露された環境下での透明性不
良などを伴う場合があり、耐農薬性、耐候性を含めて性
能は未だ十分ではない。
【0007】一方、特開平5−112725号公報及び
特開平5−124161号公報記載のハイドロタルサイ
ト類に代わり、透明性の良好な成形品を与え得る粒子含
有樹脂組成物として樹脂の屈折率と概ね等しい屈折率の
塩基性複合水酸化物塩が提案されている(例えばWO0
0/32515号など)。しかしながら、これら粒子の
多くは、通常のヒンダードアミン系耐候剤(例えばWO
00/32515号公報記載のヒンダードアミン系安定
剤)と併用した場合、農薬や酸性雨等に暴露された環境
下での耐候強度を維持することが難しく、工業的に未だ
満足しうるものは得られるとはいえなかった。
【0008】農業用フィルムとして使用する場合におい
ては、硫黄系、リン酸系、ハロゲン系などの酸性物質か
らなる農薬が多く使用され、これが作用して例えばヒン
ダードアミン化合物などはその作用効果が低下し、それ
が原因となって耐候性が低下する。これら樹脂劣化に伴
いフィルムの透明性も悪化するため、これを解決する目
的で、例えば、特開昭63−175072号公報には、
熱可塑性樹脂に光安定剤であるヒンダードアミン系化合
物とハイドロタルサイト類化合物とを配合した、農薬耐
性を付与した農業用フィルムが提案されており、特開平
8−48822号公報には、立体障害アミンおよび金属
酸化物または水酸化物を含有する、耐候性および有害生
物防除剤耐性を有するポリオレフィン(コポリマー)フ
ィルムが提案されており、特開平8−224049号公
報には、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロタルサイ
ト類化合物および紫外線吸収剤を含有し、無機硫黄剤で
土壌または植物を処理する施設園芸ハウス・トンネル栽
培に用いられることを特徴とするポリオレフィン系樹脂
被覆フィルムが提案されているが、未だ満足できる性能
のものは得られていない。
【0009】また、特開平5−179052号公報、特
開平6−248109号公報などには、ハイドロタルサ
イト類似のアルカリ金属−アルミニウム錯体を樹脂用安
定剤とすることが、特開平8−311284号公報に
は、リチウム−マグネシウム−アルミニウム複合水酸化
物塩を含有する、ハロゲン含有樹脂用安定剤が、さら
に、特開平10−219004号公報には、リチウム−
マグネシウム−アルミニウム複合水酸化物塩とヒンダー
ドアミン系化合物による耐農薬性の付与された農業用フ
ィルム含有樹脂用安定剤が提案されているが、これらを
単独にあるいは、具体的に記載された化合物を単純に併
用した場合、農薬や酸性雨等に暴露された環境下での耐
候強度を維持することが難しく、工業的に未だ満足しう
るものは得られるとはいえなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ハウスやトンネルに用いる農業用のフィルムとして
好適に使用することのできるような耐候性、耐農薬性、
保温性、耐久性に優れ、長期間使用可能な農業用被覆材
用熱可塑性樹脂フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
を重ねた結果、エチレンと環状アミノビニル化合物とを
共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有する
エチレン系共重合体(A)を含有する層を少なくとも1
層と式(I)
【0012】
【化3】 [Mg1-xAlx(OH)2x+[(A)y1(B)y2・mH2O]x-(I) (式中、Aは珪素系、リン系及び硼素系酸素酸イオンの
少なくとも一種のアニオンを示し、且つその一部及び/
又は全部が珪素系、リン系及び硼素系多量体酸素酸イオ
ンの少なくとも一種のアニオンであることを示し、B
は、A以外のアニオンの少なくとも一種のアニオンを示
し、x、y及びmはそれぞれ下記条件を満足する。x及
びyは0<x≦0.5、0<y1、0<y2、0≦m<
2)で示される複合水酸化物塩(B)を含有する層を少
なくとも1層有する農業用(多層もしくは単層)フィル
ム(なお、(A)と(B)が同一の層中に含有すること
を妨げない)が上記問題点を解決しうることを見いだし
本発明に至った。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポ
リオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル
系樹脂などがあげられる。上記熱可塑性樹脂の中でも、
ポリオレフィン系樹脂は、光線透過性、耐久性に優れ、
しかも焼却した場合にも有害なガスが発生するおそれが
ないため好ましい。
【0014】本発明におけるポリオレフィン系樹脂とし
ては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィン
を主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィ
ンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合
物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重
合体などがあげられ、、例えば高密度、低密度または直
鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチ
レン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等
が挙げられる。これらのうち、密度が0.910〜0.
935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィ
ン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下の
エチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性およ
び価格の点から農業用フィルムとして好ましい。
【0015】また、本発明において、ポリオレフィン系
樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合
して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使
用することができる。これは、通常、メタロセンポリエ
チレンといわれているものであり、エチレンとブテン−
1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン
などのα−オレフィンとの共重合体であり、例えば特開
昭58ー19309号公報や特開平6−9724号公報
等に記載の種々の公知の製法により得られる。
【0016】本発明のポリオレフィン系樹脂の少なくと
も一成分として使用されるエチレン−α−オレフィン共
重合体は、以下の物性を示すものを用いることが好まし
い。メルトフローレート(MFR) JIS−K7210により測定されたMFRが0.01
〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の
値を示すものである。該MFRがこの範囲より大きいと
成形時にフィルムが蛇行し安定しない。また、該MFR
がこの範囲より小さすぎると成形時の樹脂圧力が増大
し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧
力の増大を抑制しなければならず、実用性に乏しい。
【0017】密度 JIS−K7112により測定された密度が0.880
〜0.930g/cm 3 、好ましくは0.880〜0.
920g/cm3 の値を示すものである。該密度がこの
範囲より大きいと透明性が悪化する。また、密度がこの
範囲より小さいと、フィルム表面のべたつきによりブロ
ッキングが生じ実用性に乏しくなる。
【0018】分子量分布 ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)
によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平
均分子量)は1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.
0の値を示すものである。該分子量分布がこの範囲より
大きいと機械的強度が低下し好ましくない。該分子量分
布がこの範囲より小さいと成形時にフィルムが蛇行し安
定しない。
【0019】本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル
共重合樹脂は、酢酸ビニル含有量が10〜25重量%の
範囲であり、好ましくは12〜20重量%の範囲であ
る。酢酸ビニル含有量がこの範囲より小さいと、得られ
るフィルムが硬くなりハウスへの展張時にシワや弛みが
出来やすく、防曇性に悪影響が出るため実用性に乏し
く、また、酢酸ビニル含有量がこの範囲より大きいと、
樹脂の融点が低いためハウス展張時に夏場の高温下でフ
ィルムが弛み、風でばたつきハウス構造体との擦れ等に
より破れが生じやすくなるため実用性に乏しい。
【0020】本発明には、上記熱可塑性樹脂として、塩
化ビニル系樹脂を使用することもできる。この場合、塩
化ビニル系樹脂は透明性、保温性に優れるため好まし
い。本発明には、上記熱可塑性樹脂として、ポリエステ
ル系樹脂を使用することもできる。この場合、ポリエス
テル系樹脂は透明性、耐久性に優れるため好ましい。本
発明における、また上記ポリエステル系樹脂としては、
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエーテルポリエステルなどがあげら
れる。
【0021】本発明における基材となる熱可塑性樹脂フ
ィルムには、ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン
系共重合体を含有することを特徴とする。この共重合体
は、通常時は勿論、農薬や酸性雨に曝露される条件下に
おいて、一般的農業用フィルムに用いられるヒンダード
アミン系耐候剤と比較して、格段に耐候性を向上させる
光安定剤としての効果を奏する。
【0022】本発明に使用するヒンダードアミンを側鎖
に有するエチレン系共重合体とは、エチレンと環状アミ
ノ化合物とを共重合させて得られた共重合体であり、特
にエチレンと環状アミノ化合物との和に対する環状アミ
ノ化合物の割合が1モル%未満、更に好ましくは0.1
〜0.7モル%で、該共重合体のMFRが0.1〜20
0g/10分である共重合体を用いることが好ましい。
【0023】環状アミノビニル化合物は、下記一般式
(III)で示されるものである。
【0024】
【化4】
【0025】(式中、R1 及びR2 は水素原子またはメ
チル基を、R3 は水素原子または炭素数1〜4のアルキ
ル基をそれぞれ示す) 代表例を挙げれば下記の通りである。 4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン 4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタ
メチルピペリジン 4−アクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン 4−アクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン 4−アクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン 4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン 4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペン
タメチルピペリジン 4−メタクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン 4−メタクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン 4−メタクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン 4−クリトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン 4−クリトノイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン これらのヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共
重合体は、高圧ラジカル共重合法によって製造される。
【0026】ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン
系共重合体の添加量は、層を構成する樹脂成分に対し、
環状アミノビニル化合物に基づく構成単位の割合で0.
05〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%である。
0.05%未満では耐候性改良効果が少なく、また5重
量%を越えても増量による耐候性向上効果はほとんど無
く、経済的に不利である。
【0027】本発明において用いられるエチレンと環状
アミノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダー
ドアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体は、コスト
的な観点から、必ずしも多層フィルムの全層に含有され
ている必要はなく、少なくとも1層含有されていればよ
い。また、このヒンダードアミンを側鎖に有するエチレ
ン系共重合体は、通常用いられる一種又は二種以上のヒ
ンダードアミン系耐候剤と組み合わせて用いることがで
きる。更に、ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン
系共重合体を含有しない層に対して、通常用いられる一
種又は二種以上のヒンダードアミン系耐候剤を用いるこ
ともできる。ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン
系共重合体は、もちろん全層に含有させてもよいが、例
えば最内層と最外層(ハウス外面)に含有させ、その他
の層には農業用として通常配合されるヒンダードアミン
系光安定剤を含有させることもできる。また、同一の層
にヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体
と農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光安
定剤を含有させることもできる。その場合は全層にヒン
ダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体を用い
る場合よりコスト的に有利になる。
【0028】併用可能な農業用として通常配合されるヒ
ンダードアミン系光耐候剤は、分子中に前記式(II)で
表されるピペリジン環構造を少なくとも2個以上有しか
つ分子量が500以上のヒンダードアミン化合物(以
下、「ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物」とも
いう)である。ここで、上記ピペリジン環含有ヒンダー
ドアミン化合物のピペリジン環の数が2個未満では十分
な耐候性が得られず、また、分子量が500未満では揮
発しやすくなり、長期の耐候性を得ることができない。
また、上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物の
ピペリジン環の数は2〜50個であることが好ましく、
また、分子量は750以上であることが好ましい。
【0029】上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化
合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペ
ンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−
(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マ
ロネート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデ
シル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(ト
リデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビ
ス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキ
シ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,
10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,
9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカル
ボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウン
デカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス
{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イ
ル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−
(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、
2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリ
アジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、
N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン
縮合物などがあげられる。使用可能な市販のヒンダード
アミン系化合物を例示すれば、TINUVIN770、
TINUVIN780、TINUVIN144、TIN
UVIN622LD、CHIMASSORB119F
L、CHIMASSORB944(以上、チバガイギー
社製)、サノールLS−765(三共(株)製)、MA
RK LA−63、MARK LA−68、MARK
LA−68、MARK LA−62、MARK LA−
67、MARK LA−57(以上、アデカ・アーガス
社製)等が挙げられる。これらのピペリジン環含有ヒン
ダードアミン化合物は、一種又は二種以上で用いられ
る。
【0030】上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化
合物の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、
0.001〜20重量部、好ましくは0.01〜5重量
部である。該含有量が0.001重量部未満では十分な
効果が得られず、20重量部よりも多くても効果の向上
がみられないばかりか、フィルムの物性を低下させるな
どの悪影響を与える。
【0031】本発明に使用される金属複合水酸化物塩
は、下記一般式(I)で代表される。
【0032】
【化5】 [Mg1-xAlx(OH)2x+[(A)y1(B)y2・mH2O]x-(I) 前記一般式(I)中、Aは珪素系、リン系及び硼素系酸
素酸イオンの少なくとも一種のアニオンを示し、且つそ
の一部及び/又は全部が珪素系、リン系及び硼素系多量
体酸素酸イオンの少なくとも一種のアニオンであること
を示し、Bは、A以外のアニオンの少なくとも一種のア
ニオンを示し、x、y1、y2及びmはそれぞれ0<x
≦0.5、0<y1、0<y2、0≦m<2の条件を満
足する。この範囲を満たすことにより効果を発揮し、範
囲外のときは効果が得られにくい。また、上記金属複合
水酸化物塩は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限さ
れることなく使用することが可能である。この金属複合
水酸化物塩は、WO00/32515号に記載の製法に
より得ることができる。
【0033】また、上記金属複合水酸化物塩は、その表
面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アル
カリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金
属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワ
ックス、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性
剤、リン酸エステルまたはカップリング剤の群から選ば
れる1種又は2種以上のコーティング剤などで被覆した
ものも使用できる。コーティング剤の添加量は0.1〜
10重量%であり、好ましくは0.5〜6重量%の範囲
であり、0.1重量%以下では分散性が悪く、10重量
%以上では効果は十分であるが、経済的に不利である。
表面処理は、常法に従って湿式法でも乾式法でも容易に
行うことができる。
【0034】上記金属複合水酸化物塩は、単独または2
種以上組み合わせて使用することが出来る。その平均粒
子径は好ましくは、0.05〜15μm、より好ましく
は0.1〜10μmの範囲である。無機微粒子の平均粒
子径が上記範囲より小さいと、樹脂中での分散性が劣り
ブツ(無機物の2次凝集物)が生成してフィルム外観が
悪化すると共に、樹脂との混練時の粉立ちが激しくハン
ドリング性が劣る。逆に、無機微粒子の平均粒子径が上
記範囲より大きいと、透明性で劣ったり押出し機ブレー
カースクリーン部で目詰まりが生じ、生産性が悪化す
る。
【0035】これら金属複合水酸化物塩の使用量は、樹
脂100重量部に対し、1〜50重量部、より好ましく
は1〜30重量部、更に好ましくは1〜20重量部であ
る。1重量部未満では、充分に赤外線を吸収することは
できず、50重量部を超える範囲では農業用フィルムと
しての透明性及び機械的強度が劣る上、経済的に不利で
ある。これらの金属複合水酸化物塩は、更に赤外線吸収
能を有する無機微粒子と一種又は二種以上で組み合わせ
て用いることができる。組み合わせて用いることの出来
る無機微粒子は例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシ
ウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、
水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミ
ニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カル
シウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リ
チウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カル
シウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、ア
ルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アル
ミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリ
ン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタ
ルサイト類化合物、リチウム・アルミニウム複合水酸化
物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩
化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪
酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水
酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩
化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩
化合物等が挙げられる。これらは結晶水を脱水したもの
であってもよい。
【0036】上記無機微粒子は天然物であってもよく、
また合成品であってもよい。また、上記無機微粒子は、
その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることなく使
用することが可能である。また、上記無機微粒子は、そ
の表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸
アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン
酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまた
はワックスなどで被覆したものも使用できる。
【0037】本発明の熱可塑性樹脂フィルムには、更
に、紫外線吸収剤を含有させることで、透明性の低下、
耐農薬性の低下を抑制し、さらに耐候性向上を図ること
が可能となるため好ましい。 紫外線吸収剤としては、
例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレ
ンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル) ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブ
チルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒド
ロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−ク
ロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’
−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’.5’−ジクミルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第
三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の
2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾ
エート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−
ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4
−ジ第三アミルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−
4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5
−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベン
ゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリ
ド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置
換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフ
ェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル
−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシア
ノアクリレート類;2−(4,6−ジフェニル−1,
3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)
オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−
ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イ
ル]−5−(オクチロキシ)フェノール等のトリアジン
類があげられる。これらの紫外線吸収剤は、一種又は二
種以上で用いられる。
【0038】上記紫外線吸収剤の使用量は、熱可塑性樹
脂100重量部に対し、好ましくは0.001〜10重
量部、更に好ましくは0.01〜5重量部であり、単独
で用いても二種類以上を併用してもかまわない。該紫外
線吸収剤の使用量が0.001重量部未満では、耐候性
向上効果を発揮し難く、10重量部を超えると効果の向
上が図れず、着色などの欠点を生じる可能性がある。
【0039】また、本発明の熱可塑性樹脂フィルム中に
は、通常合成樹脂に使用される各種添加剤を併用するこ
とができる。それらの添加剤としては、例えば、金属の
有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩、エ
ポキシ化合物、β−ジケトン化合物、多価アルコール、
ハロゲン酸素酸塩、硫黄系、フェノール系、硫黄系およ
びホスファイト系などの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、
帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、
防霧剤、可塑剤などがあげられる。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、上述し
た成分が組合わされて含有してなり、更に本発明の熱可
塑性樹脂フィルムに含有することができる下記の任意成
分を、必要に応じて含有させることができる。任意成分
とは、その他安定剤、耐衝撃性改善剤、架橋剤、充填
剤、発泡剤、帯電防止剤、造核剤、プレートアウト防止
剤、表面処理剤、難燃剤、螢光剤、防黴剤、殺菌剤、金
属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤などを挙げること
ができる。
【0041】また、本発明の農業用フィルムは、単層構
造フィルムでも多層構造フィルムでもよい。ここで、多
層構造フィルムの場合には、これら成分を全ての層に配
合することもできるし、一部の層にのみ配合することも
できる。さらに、各成分を別々の層に配合することもで
きる。 従って、本願発明のヒンダードアミンを側鎖に
有するエチレン系共重合体(A)と特定の複合水酸化物
塩(B)を同一層中に含有する態様を妨げないものであ
る。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、各種添
加剤を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレン
ダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スー
パーミキサー、単軸又は二軸押出機、ロールなどの配合
機や混練機その他従来から知られている配合機、混合機
を使用すればよい。このようにして得られた樹脂組成物
をフィルム化するには、それ自体公知の方法、例えば、
溶融押出し成形法(Tダイ法、インフレーション法を含
む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブ
ロー成型、インフレーション成型、溶融流延法、加圧成
型加工、ペースト加工、粉体成型等の方法を好適に使用
することができる。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂フィルム厚みについ
ては、強度やコストの点で0.001〜1mmの範囲の
ものが好ましく、0.03〜0.5mmのものがより好
ましい。本発明において基材層にポリオレフィン系樹脂
を用いる場合、前記ポリオレフィン系基材の最内層に接
して防曇性被膜を形成することができる。本発明におけ
る防曇塗膜としては既に公知の農業用フィルムに用いる
ことができる防曇塗膜を適応することが出来る。好まし
くは無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とし
た防曇塗膜や無機コロイド物質とアクリル系樹脂を主成
分とする防曇塗膜を用いることができる。
【0044】本発明において用いることができる無機コ
ロイド物質と親水性有機化合物を主成分とする防曇塗膜
として、例えば、特公昭63−45432号、特公昭6
3−45717号、特公昭64−2158号、特許第3
094296号等に示されている化合物を挙げることが
できる。また、本発明においてはアクリル系樹脂及び無
機質コロイドゾルを主成分とする防曇性被膜も好適に用
いることができる。アクリル系樹脂として好ましく用い
られる1つの例としては、少なくとも合計60重量%の
アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類か
らなる単量体、またはアクリル酸またはメタクリル酸の
アルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体
混合物及び0〜40重量%の共重合しうるα、β−エチ
レン性不飽和単量体とを、通常の重合条件に従って、例
えば乳化剤の存在下に、水系媒質中で乳化重合させて得
られる水分散性の重合体または共重合体である疎水性ア
クリル系樹脂を挙げることができる。
【0045】本発明のアクリル系樹脂は、特に、ガラス
転移温度が35〜80℃のものを用いるのが好ましい。
ガラス転移温度が低すぎると無機質コロイド粒子が数次
凝集して不均一な分散状態をとりやすく、高すぎる場
合、透明性のある均一な被膜を得るのが困難となりやす
い。本発明で用いる無機質コロイドゾルは、疎水性のポ
リオレフィン系樹脂フィルム表面に塗布することによ
り、フィルム表面に親水性を付与する機能を果たすもの
である。
【0046】無機質コロイドゾルとしては、シリカ、ア
ルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸
化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロ
イド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散
させた、水性ゾルが挙げられる。中でも好ましく用いら
れるのは、シリカゾルとアルミナゾルで、これらは、単
独で用いても併用しても良い。
【0047】無機質コロイドゾルとしては、その平均粒
子径が5〜100nmの範囲で選ぶのが好ましく、ま
た、この範囲であれば、平均粒子径の異なる2種以上の
コロイドゾルを組み合わせて用いても良い。平均粒子径
が大きすぎると、被膜が白く失透することがあり、ま
た、平均粒子径が小さすぎると、無機質コロイドゾルの
安定性に欠けることがあるため好ましくない。 無機質
コロイドゾルは、その配合量をアクリル系樹脂の固形分
重量に対して、固形分として50〜400重量%にする
のが好ましい。すなわち、配合量が少なすぎる場合は、
十分な防曇効果が発揮できないことがあり、一方、配合
量が多すぎる場合は、防曇効果が配合量に比例して向上
しないばかりでなく、塗布後に形成される被膜が白濁化
してフィルムの光線透過率を低下させる現象があらわ
れ、また、被膜が粗雑で脆弱になることがあり、好まし
くない。
【0048】本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤
組成物を調製するときに、陰イオン系界面活性剤、陽イ
オン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子界面
活性剤等の界面活性剤を添加することができる。これら
界面活性剤の添加は、疎水性アクリル系樹脂と無機質コ
ロイドゾルとを容易にかつ速やかに均一に分散すること
ができ、また無機質コロイドゾルと併用することによ
り、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に親水
性を付与する機能を果たす。界面活性剤の添加量は、ア
クリル系樹脂の固形分100重量部に対し0.1〜50
重量部の範囲で選ぶと良い。界面活性剤の添加量が少な
すぎると、アクリル系樹脂及び無機質コロイドゾルが十
分に分散するのに時間がかかり、また、無機質コロイド
ゾルとの併用での防曇効果を十分に発揮しえず、一方界
面活性剤の添加量が多すぎると塗布後に形成される被膜
表面へのブリードアウト現象により被膜の透明性が低下
し、顕著な場合は被膜の耐ブロッキング性の悪化や被膜
の耐水性低下を引き起こす場合がある。
【0049】本発明の防曇被膜を形成するための防曇剤
組成物を調製するときに、架橋剤を添加することができ
る。架橋剤は、アクリル系樹脂同士を架橋させ、被膜の
耐水性を向上させる効果がある。架橋剤としては、フェ
ノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、アジリ
ジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネート化合物
類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が挙げられる
が、特にアミン化合物類、アジリジン化合物類、エポキ
シ化合物類が好ましく使用できる。これら架橋剤は、そ
の添加量がアクリル系樹脂固形分に対して0.1〜30
重量%の範囲で使用することができる。
【0050】本発明に使用される防曇剤組成物には、必
要に応じて、液状分散媒を配合することができる。かか
る液状分散媒としては、水を含む親水性ないし水混合性
溶媒がふくまれ、水;メチルアルコール、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、等の1価アルコール
類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリ
セリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の
環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類
等が挙げられる。これら液状分散媒は単独で用いても併
用しても良い。防曇剤組成物は、アクリル系樹脂、無機
質コロイドの固形分として一般に0.5〜50重量%の
濃度で調製し、これを希釈して使用することが多い。
【0051】本発明で調製される防曇剤組成物には、更
に必要に応じて、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、造粘剤、
顔料、顔料分散剤等の慣用の添加剤を混合することがで
きる。また、アクリル系樹脂以外のバインダー成分とし
て、たとえばポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポ
リエステル系の水分散性ウレタン樹脂などをアクリル系
樹脂の含有量未満の量範囲で混合していてもよい。
【0052】なお、本発明でいう、アクリル系樹脂被膜
のガラス転移温度は、次式により算出した。
【0053】
【数1】1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+
Wn/Tgn ただし、Tgはアクリル系樹脂のガラス転移温度(絶対
温度)、Tg1、Tg2、…、Tgnは各成分1、2、
…、nのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)、
W1、W2、…、Wnは各成分1、2、…、nの重量分
率をそれぞれ示す。
【0054】基体フィルムの表面に防曇性被膜を形成す
るには、前述の重合にて得られたアクリル系樹脂溶液及
び防曇剤組成物をそれぞれドクターブレードコート法、
ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート
法、ロッドコート法、バーコート法、ナイフコート法、
ハケ塗り法等それ自体公知の塗布方法を採用し、塗布後
乾燥すればよい。塗布後の乾燥方法は、自然乾燥及び強
制乾燥のいずれの方法を採用してもよく、強制乾燥方法
を採用する場合、通常50〜250℃、好ましくは70
〜200℃の温度範囲で乾燥すればよい。加熱乾燥に
は、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法等適宜
方法を採用すればよく、乾燥速度、安定性を勘案すれば
熱風乾燥法を採用するのが有利である。
【0055】本発明において、基体フィルムの表面に形
成させる被膜の厚さは、基体フィルムの1/10以下を
目安に選択するとよいが、必ずしもこの範囲に限定され
るものではない。被膜の厚さが基体フィルムの1/10
より大であると、基体フィルムと被膜とでは屈曲性に差
があるため、被膜が基体フィルムから剥離する等の現象
がおこりやすく、また、被膜に亀裂が生じて基体フィル
ムの強度を低下させるという現象が生起し、好ましくな
い。
【0056】また、基体フィルムと被膜組成物に由来す
る被膜との接着性が充分でない場合には、基体フィルム
に表面処理を施しておいてもよい。本発明の積層フィル
ムの表面に施す処理の方法としては、コロナ放電処理、
スパッタエッチング処理、ナトリウム処理、サンドブラ
スト処理等の方法が挙げられる。コロナ放電処理法は、
針状あるいはナイフエッジ電極と対極間で放電を行わ
せ、その間に試料を入れて処理を行い、フィルム表面に
アルデヒド、酸、アルコールパーオキサイド、ケトン、
エーテル等の酸素を含む官能基を生成させる処理であ
る。スパッタエッチング処理は、低気圧グロー放電を行
っている電極間に試料を入れ、グロー放電によって生じ
た正イオンの衝撃によりフィルム上に多数の微細な突起
を形成するものである。サンドブラスト処理は、フィル
ム面に微細な砂を吹きつけて、表面上に多数の微細な凹
凸を形成するものである。これら表面処理の中では、塗
布層との密着性、作業性、安全性、コスト等の点から、
コロナ放電処理が好適である。
【0057】本発明に係る農業用熱可塑性樹脂フィルム
を、実際に使用するにあたっては、防曇被膜の設けられ
た側をハウス又はトンネルの内側となるようにして展張
するのがよい。本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、透明
でも、梨地でも、半梨地でもよく、ハウス、トンネル、
マルチング用、袋掛用等の農業用フィルム(いわゆる農
ビ、農ポリ、農サクビ、農PO、硬質フィルム等)の用
途に好適に使用することができる。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例に基づいてさ
らに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の例に限定されるものではない。 (1)積層フィルムの調整(防曇剤練り込みタイプ、防
曇塗膜塗布タイプ共に) 3層インフレーション成形装置として3層ダイに100
mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機はチューブ
外内層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層
を40mmφ((株)プラ技研製)として、外内層押出
し機温度180℃、中間層押し出し機温度170℃、ダ
イス温度180〜190℃、ブロー比2.0〜3.0、
引取り速度3〜7m/分、厚さ0.10〜0.15mm
にて表−2〜表−7に示した成分からなる3層の積層フ
ィルムを得た。なお、これらのフィルムは、ハウス展張
時にチューブの端部を切り開いて使用するため、展開し
た際に製膜時のチューブ外層が展張時にはハウスの内層
(内面)となる。〔配合〕 添加量は各表記載通り。
【0059】HP−LDPE:高圧ラジカル法触媒で製
造した分岐状ポリエチレン(MFR:1.1g/10
分、密度0.920)日本ポリケム製ノバテックLD
「YF30」 メタロセンPE:メタロセン触媒で製造したエチレン・
αオレフィン共重合体(MFR:2g/10分、密度
0.907)日本ポリケム製カーネル「KF270」 EVA :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニ
ル含有量5重量%、MFR2g/10分) EVA :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニ
ル含有量15重量%、MFR2g/10分) キマソーブ944:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
社製光安定剤 UV1164:サイテック社製トリアジン系紫外線吸収
剤 (2)フィルムの表面処理(防曇塗膜塗布タイプ) 得られたチューブ状フィルムの外層表面を、放電電圧1
20V、放電電流4.7A、ラインスピード10m/m
inでコロナ放電処理を行い、JIS−K6768によ
る「濡れ指数」を測定し、その値を表−2〜表−7に示
した。 (3)防曇性塗膜の形成(防曇塗膜塗布タイプ) 表−1に示した主成分(シリカゾル及び/又はアルミナ
ゾル)と熱可塑性樹脂と架橋剤及び液状分散媒とを配合
して防曇剤組成物を得た。
【0060】防曇剤組成物配合は以下の配合とした。 無機質コロイドゾル(コロイダルシリカ) 4.0 熱可塑性樹脂(サンモールSW−131) 3.0 架橋剤(T.A.Z.M) 0.1 分散媒(水/エタノール=3/1) 93 (注)無機質コロイドゾルの配合量は、無機質粒子量で
示し熱可塑性樹脂の配合量は重合体固形分量で示す。 コロイダルシリカ:日産化学社製スノーテックス30、
平均粒子径15nm サンモールSW−131:三洋化成社製アクリルエマル
ジョン T.A.Z.M:相互薬工社製アジリジン系化合物 (2)で表面処理した基体フィルムの表面に、上記の防
曇剤組成物を#5バーコーターを用いて各々塗布した。
塗布したフィルムを80℃のオーブン中に1分間保持し
て、液状分散媒を揮発させ防曇性塗膜を形成した。得ら
れた各フィルムの塗膜の厚みは約1μmであった。
【0061】防曇剤を練り混んだタイプ(フィルム厚1
00μm)、防曇性塗膜を設けたタイプ(フィルム厚1
50μm)各々について次のような物性測定を行った。
実施例及び比較例における各測定法を以下に示す。 透明性 3層インフレーション成形により得られた積層フィルム
の(防曇塗膜を塗布するタイプの場合、ハウス内層側表
面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)、波長555nmに
おける直進光線透過率及び波長325nmにおける全光
線透過率を分光光度計(日立製作所製、U3500型)
により測定し、その値を示した。 曇価(HAZE) 3層インフレーション成形により得られた積層フィルム
の(防曇塗膜を塗布するタイプの場合、ハウス内層側表
面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)、HAZE値(曇
価)をヘイズメーター(東京電色製:TC−H3DP)
により測定し、その値を示した。 透視性(NAS:狭角透過光特性値) 3層インフレーション成形により得られた積層フィルム
の(防曇塗膜を塗布するタイプの場合、ハウス内層側表
面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)、NAS値(狭角透
過光特性値)を視覚透明度試験機(東洋精機製)により
測定し、その値を示した。 初期物性 得られた各積層フィルムの機械的強度をJIS−K67
32の測定法に準拠して、温度23℃におけるフィルム
の流れ方向(タテ)の引張破断強度及び引張破断伸びを
測定し、その数値を示した。 耐農薬試験(白濁) 上記、三重県一志郡の圃場に構築したパイプハウスにフ
ィルムを密閉状態になるように展張した。また、上記パ
イプハウス中で硫黄5gを市販の硫黄薫蒸器(商品名:
新こなでん)で加熱することによって日中8時間燻蒸処
理した。平成12年11月初旬〜平成13年1月初旬の
約2ヶ月に渡り展張、燻蒸処理したフィルムを、耐候性
試験機(The Q−PANEL COMPANY製)
に400時間暴露した。これらフィルムの、波長555
nmにおける直進光線透過率を分光光度計(日立製作所
製、U3500型)により測定し、その値を示した。
(耐農薬性評価)。 耐農薬耐候性(引張伸び) 上記、三重県一志郡の圃場に構築したパイプハウスにフ
ィルムを密閉状態になるように展張した。また、上記パ
イプハウス中で硫黄5gを市販の硫黄薫蒸器(商品名:
新こなでん)で加熱することによって日中8時間燻蒸処
理した。平成12年11月初旬〜平成13年1月初旬の
約2ヶ月に渡り展張、燻蒸処理したフィルムを、耐候性
試験機(The Q−PANEL COMPANY製)
に暴露した。各時間においてこれらフィルムの縦方向
(樹脂流れ方向)の破断点強伸度を引張り試験(JIS
−K6732準拠)により測定し、原点の破断点強伸度
に対する保持残率を算出した。(耐農薬性評価)。 保温性(遠赤外部平均透過率) 遠赤外部平均透過率の測定は、15℃の黒体放射エネル
ギースペクトルを入射エネルギーとし、これに別途赤外
分光器を用いて波長4μm〜25μmの範囲で測定した
フィルムの透過率スペクトルを乗じて得られた透過エネ
ルギースペクトルを乗じて得られた透過エネルギースペ
クトルを積分して透過エネルギーを求め、入射エネルギ
ーで除して透過率とした。透過率の値が小さい程、保温
性に優れる。
【0062】〔実施例1〜6〕上記配合、加工法により
100μmフィルム(防曇剤練り込みタイプ)及び15
0μmフィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成した。こ
こで得られたフィルムを用いて上記条件により各種試験
を行なった。 〔実施例1,2、比較例1,2〕上記配合により、フィ
ルム厚100μm、層比1/3/1の三層フィルム(防
曇剤練り込みタイプ)を作成し、前記方法により初期透
明性、耐農薬試験後の透明性、初期曇価、初期透視性、
保温性、初期物性、耐農薬試験後の物性等の測定を行
い、各フィルムの評価を行なった。その結果を〔表1〕
に示す。ここで比較例に用いたサンプルは下記出願記載
の化合物である。 合成ハイドロタルサイト(特開平5−112725号公
報及び特開平5−124161号公報記載のハイドロタ
ルサイト類化合物) :Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O キマソーブ944(特開昭63−175072号公報及
び特開平10−219004号公報記載のヒンダードア
ミン系化合物) :チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤
【0063】
【表1】
【0064】〔実施例1,3〕前記方法により初期透明
性、耐農薬試験後の透明性、初期曇価、初期透視性、保
温性、初期物性、耐農薬試験後の物性等の測定を行い、
各フィルムの評価を行なった。その結果を〔表2〕に示
す。
【0065】
【表2】
【0066】〔実施例4,5、比較例3,4〕上記配合
により、フィルム厚150μm、層比1/3/1の三層
フィルム(防曇塗膜塗布タイプ)を作成し、前記方法に
より初期透明性、耐農薬試験後の透明性、初期曇価、初
期透視性、保温性、初期物性、耐農薬試験後の物性等の
測定を行い、各フィルムの評価を行なった。その結果を
〔表3〕に示す。ここで比較例に用いたサンプルは下記
出願記載の化合物である。 合成ハイドロタルサイト(特開平5−112725号公
報及び特開平5−124161号公報記載のハイドロタ
ルサイト類化合物) :Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O キマソーブ944(特開昭63−175072号公報及
び特開平10−219004号公報記載のヒンダードア
ミン系化合物) :チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤
【0067】
【表3】
【0068】〔実施例4,6〕前記方法により初期透明
性、耐農薬試験後の透明性、初期曇価、初期透視性、保
温性、初期物性、耐農薬試験後の物性等の測定を行い、
各フィルムの評価を行なった。その結果を〔表4〕に示
す。
【0069】
【表4】
【0070】以上の結果から明らかなように、熱可塑性
樹脂フィルム中に、エチレンと環状アミノビニル化合物
とを共重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有
するエチレン系共重合体及び前記一般式(I)で表され
る金属複合水酸化物塩を配合してなる本発明の熱可塑性
樹脂フィルムは、透明性、保温性、耐農薬性等の諸性能
において著しく優れたものである(実施例参照)。
【0071】これに対し、特開平5−112725号公
報及び特開平5−124161号公報記載のハイドロタ
ルサイト類化合物及び本発明に係るエチレンと環状アミ
ノビニル化合物とを共重合させて得られたヒンダードア
ミンを側鎖に有するエチレン系共重合体を添加した場合
(比較例1,3)には、農薬曝露後の物性(引張伸び)
が比較的良好であるものの、透明性、保温性及び農薬曝
露後の光線透過率低下の抑制が不十分である。
【0072】また、特開昭63−175072号公報及
び特開平10−219004号公報記載のヒンダードア
ミン系化合物に本発明に係る前記一般式(I)で表され
る金属複合水酸化物塩を組み合わせた場合(比較例2,
4)には、透明性、保温性及び農薬曝露後の光線透過率
低下の抑制は比較的良好であるものの、農薬曝露後の物
性(引張伸び)が不十分である。
【0073】つまり、本発明の構成要件である、エチレ
ンと環状アミノビニル化合物とを共重合させて得られた
ヒンダードアミンを側鎖に有するエチレン系共重合体及
び前記一般式(I)で表される金属複合水酸化物塩は、
本発明の効果を得るためには必要不可欠であり、そのど
ちらが欠けても透明性、保温性、耐農薬性(強度、透明
性)、透視性の低下防止およびそれらの効果の持続性等
の性能をバランス良く有した農業用フィルムは得られな
い。
【0074】また、本発明の熱可塑性樹脂フィルム中に
紫外線吸収剤を併用することでその耐候性は一層改善さ
れ、耐候性、耐農薬性に優れ、さらに透明性の持続にも
優れたフィルムを作成することができる(実施例3,
6)。
【0075】
【発明の効果】本発明の農業用フィルムは、ハウスやト
ンネルに用いる農業用のフィルムとして好適に使用する
ことのできるような透明性、保温性、耐農薬性、透視性
の低下防止およびそれらの効果の持続性等の諸性能にお
いて優れたものであり、農業用被覆資材としての利用価
値は極めて高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 9/04 C08K 9/04 C08L 23/08 C08L 23/08 101/00 101/00 Fターム(参考) 2B024 DB01 EA01 2B029 EB03 EC02 EC03 EC04 EC09 EC14 EC16 EC18 EC19 EC20 4F071 AA14 AA15 AA81 AB18 AB25 AB26 AB27 AH01 BC01 4F100 AA03A AA03B AA03H AA07A AA07B AA07H AA18A AA18B AA18H AA19A AA19B AA19H AA20H AC10H AH02A AH02B AH02H AH03A AH03B AH03H AH08A AH08B AH08H AJ11A AJ11B AJ11H AK01B AK02A AK02J AK04A AK04J AK06 AK62 AK68 AL01A BA02 BA03 BA04 BA05 BA10A BA10B CA07A CA07B CA18A CA18B CA30A CA30B GB01 JB01 JJ02 JL07 JN01 4J002 BB031 BB051 BB061 BB081 BB102 BB121 BB151 BD031 CF061 CF071 CF101 DE286 FB086 FB226 FB236 FB266 GA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンと環状アミノビニル化合物とを共
    重合させて得られたヒンダードアミンを側鎖に有するエ
    チレン系共重合体(A)を含有する層を少なくとも1層
    と式(I)で示される複合水酸化物塩(B)を含有する
    層を少なくとも1層有する農業用フィルム(なお、
    (A)と(B)が同一の層中に含有することを妨げな
    い)。 【化1】 [Mg1-xAlx(OH)2x+[(A)y1(B)y2・mH2O]x-(I) (式中、Aは珪素系、リン系及び硼素系酸素酸イオンの
    少なくとも一種のアニオンを示し、且つその一部及び/
    又は全部が珪素系、リン系及び硼素系多量体酸素酸イオ
    ンの少なくとも一種のアニオンであることを示し、B
    は、A以外のアニオンの少なくとも一種のアニオンを示
    し、x、y1、y2及びmはそれぞれ下記条件を満足す
    る。0<x≦0.5、0<y1、0<y2、0≦m<
    2)
  2. 【請求項2】上記一般式(I)で表される金属複合水酸
    化物塩において、Aがケイ酸イオンであることを特徴と
    する請求項1記載の農業用フィルム
  3. 【請求項3】上記一般式(I)で表される金属複合水酸
    化物塩において、Aがケイ酸イオン、Bが硫酸イオンで
    あることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム
  4. 【請求項4】請求項1乃至3記載の金属複合水酸化物塩
    が約0.1〜10重量%の脂肪酸、脂肪酸塩、ワックス
    類、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、リ
    ン酸エステルまたはカップリング剤の群から選ばれる1
    種又は2種以上のコーティング剤でコーティングされて
    いることを特徴とする金属複合酸化物塩であることを特
    徴とする農業用フィルム。
  5. 【請求項5】更に、下記式(II)で表されるピペリジ
    ン環構造を少なくとも2個以上有し、かつ分子量が50
    0以上であるヒンダードアミン化合物の少なくとも一種
    含有する層を少なくとも1層有する請求項1乃至4記載
    の農業用フィルム。 【化2】
  6. 【請求項6】更に、紫外線吸収剤の少なくとも1種含有
    する層を少なくとも1層有する請求項1乃至5記載の農
    業用フィルム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007151502A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Nippon Polyethylene Kk 農業用積層フィルム
JP2007312679A (ja) * 2006-05-25 2007-12-06 Sekisui Film Kk ポリオレフィン系農業用フィルム
JP2008278758A (ja) * 2007-05-08 2008-11-20 Mkv Platech Co Ltd 農業用空気膜構造ハウス
JP7104454B1 (ja) 2022-03-11 2022-07-21 株式会社ファーベスト 赤外線放射樹脂組成物

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