JP5596999B2 - 農業用フィルム - Google Patents
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Description
本発明における農業用フィルムとは公知の合成樹脂を基材樹脂として使用した農業用フィルムであり、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、メタロセン触媒を用いて合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂などからなるフィルムを用いることができる。本発明においては、特にポリオレフィン系樹脂を用いた多層フィルムで好適に効果を発揮する。
本発明に係るポリオレフィン系農業用フィルムとしては、少なくとも外層、中間層、内層を有する3層以上の積層構造を有するフィルムが好適に使用できる。ここで、外層とは、ハウスなどに展張した際に外側となる層をいい、内層とは、ハウス展張時に内側となる層をいい、中間層とは、その外層と内層に挟まれた層をいう。以下、外層と内層を合わせて表面層と称する場合もある。また、本発明の効果を損なわない範囲で、内層と中間層の間、外層と中間層の間に、更に樹脂層を積層したり、外層や中間層、内層など自体を2層で構成して、4層以上の多層フィルムとする態様も、本願発明の範囲に含まれる。その場合の中間層は、外層と内層以外(表面層以外)の層ということになる。
本発明における外層/中間層/内層の、層厚み比は特に限定されないが、たとえば、1/1/1〜1/5/1、好ましくは、1/2/1から1/3/1の層比で形成される。
なお、本発明で言う、外層、中間層、内層とは、農業用フィルムとして機能する樹脂主成分に他の成分を添加した樹脂組成物から構成される層を意味する。従って、後述するように、内層の内側に防曇特性を意図して薄く塗布する塗布型防曇塗膜や、外層の外側に、別途の目的で形成する場合の他の塗膜は、内層、外層の概念からは外して考えるものとする。
ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体などがあげられ、例えば高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.890〜0.935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性および価格の点から農業用フィルムとして好ましい。
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。
メルトフローレート(MFR)
JIS−K7210により測定されたMFRが0.01〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の値を示すものである。該MFRがこの範囲より大きいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。また、該MFRがこの範囲より小さすぎると成形時の樹脂圧力が増大し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧力の増大を抑制しなければならず、実用性に乏しい。
JIS−K7112により測定された密度が0.880〜0.930g/cm3、好ましくは0.880〜0.920g/cm3の値を示すものである。該密度がこの範囲より大きいと透明性が悪化する。また、密度がこの範囲より小さいと、フィルム表面のべたつきによりブロッキングが生じ実用性に乏しくなる。
ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.0の値を示すものである。該分子量分布がこの範囲より大きいと機械的強度が低下し好ましくない。該分子量分布がこの範囲より小さいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。
ここで、Y及びZはY=Zであっても、異なっていてもよい。また、特に好ましい態様としては、Y=Z=0である場合が挙げられる。
具体的には、中間層中の樹脂組成物に対する紫外線吸収剤含有率であるXとしては、0.1〜3.0重量%、好ましくは0.15〜2.0重量%、更に好ましくは0.2〜1.0重量%の範囲が挙げられる。YおよびZとしては、0〜2.0重量%、好ましくは0または、0.001〜0.5重量%の範囲が挙げられる。
更に本発明の好ましい態様としては、少なくとも外層、中間層、内層を有する3層以上の積層構造を有する農業用ポリオレフィン系多層フィルムであって、外層および内層(表面層)には紫外線吸収剤を配合せず、中間層に紫外線吸収剤を配合してなることを特徴とする農業用ポリオレフィン系多層フィルムが挙げられる。
アクリル系樹脂として好ましく用いられる1つの例としては、少なくとも合計60重量%のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体、またはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物及び0〜40重量%の共重合しうるα、β−エチレン性不飽和単量体とを、通常の重合条件に従って、例えば乳化剤の存在下に、水系媒質中で乳化重合させて得られる水分散性の重合体または共重合体である疎水性アクリル系樹脂を挙げることができる。
本発明で用いるアクリル系樹脂は、疎水性アクリル系樹脂であることが好ましく、即ち、上記のようなアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル類、又は、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物を、少なくとも計60重量%を含有すること、好ましくは80重量%以上含有することが好ましい。60重量%に満たないときは、形成被膜の耐水性が十分でないために、防曇持続性能を発揮しえないことがあり好ましくない。
本発明のアクリル系樹脂は、特に、ガラス転移温度が35〜80℃のものを用いるのが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な分散状態をとりやすく、高すぎる場合、透明性のある均一な被膜を得るのが困難となりやすい。
本発明における防塵性塗膜としては既に公知の農業用フィルムに用いることができる防塵性塗膜を適用することが出来る。好ましくはアクリル系樹脂を主成分とした防塵性塗膜やアクリル系樹脂及びエチレン−アクリル共重合体を主成分とする防塵性塗膜を用いることができる。防塵性塗膜を塗工する場合には基材に対して、防曇性塗膜形成時と同様のコロナ処理等の前処理をすることができる。
3層インフレーション成形装置として3層ダイに100mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機はチューブ外内層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40mmφ((株)プラ技研製)として、外内層押出し機温度180℃、中間層押し出し機温度170℃、ダイス温度180〜190℃、ブロー比2.0〜3.0、引取り速度3〜7m/分、厚さ0.15mm及び0.10mmにて表1〜表5に示した成分からなる3層の積層フィルムを得た。なお、これらのフィルムは、ハウス展張時にチューブの端部を切り開いて使用するため、展開した際に製膜時のチューブ外層が展張時にはハウスの内層(内面)となる。
HP−LDPE:高圧ラジカル法触媒で製造した分岐状ポリエチレン(MFR:1.1g/10分、密度0.920)日本ポリケム製ノバテックLD「YF30」
メタロセンPE:メタロセン触媒で製造したエチレン・αオレフィン共重合体(MFR:2g/10分、密度0.907)日本ポリケム製カーネル「KF270」
EVA(1) :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%、MFR2g/10分)
キマソーブ944:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤
エチレン・環状アミノビニル共重合体:日本ポリケム(株)製「ノバテックLD・XJ100H」MFR=3g/10分(190℃、JIS−K6760)密度=0.931g/cm3(JIS−K6760)
ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤A:シプロ化成株式会社製SB704CL
(2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4,6−ジ(tert−ペンチル)フェノール)
(メチル2−[2−ヒドロキシ−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート)
2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール
2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール
2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール
得られたチューブ状フィルムの外層表面を、放電電圧120V、放電電流4.7A、ラインスピード10m/minでコロナ放電処理を行い、JIS−K6768による「濡れ指数」を測定し、その値を確認した。
防曇剤組成物配合は以下の配合とした。
無機質コロイドゾル(コロイダルシリカ) 4.0
熱可塑性樹脂(サンモールSW−131) 3.0
架橋剤(T.A.Z.M) 0.1
分散媒(水/エタノール=3/1) 93
(注)無機質コロイドゾルの配合量は、無機質粒子量で示し熱可塑性樹脂の配合量は重合体固形分量で示す。
コロイダルシリカ:日産化学社製スノーテックス30、平均粒子径15nm
サンモールSW−131:三洋化成社製アクリルエマルジョン
T.A.Z.M:相互薬工社製アジリジン系化合物
(2)で表面処理した基体フィルムの表面に、上記の防曇剤組成物を#5バーコーターを用いて各々塗布した。塗布したフィルムを80℃のオーブン中に1分間保持して、液状分散媒を揮発させ防曇性塗膜を形成した。得られた各フィルムの塗膜の厚みは約1μmであった。
3層インフレーション成形により得られた積層フィルム(ハウス内層側表面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)を分光光度計(日立製作所製、U3500型)により測定し、各波長におけるその値を示した。 全光線透過率は、初期及び耐堅牢性試験後の試料について行った。耐堅牢性試験は次の条件で行った。
(a)60℃、湿度70%の条件下、295〜780nmの波長分布の光を80mW/cm2の照射強度で5時間
(b)30℃、98%(シャワーによる水噴霧あり)の条件下、照射無しで1時間のサイクルで、各記載の時間、負荷試験を実施した
(1)の方法で測定した1nmごとの透過率を平均して算出した。
(2)の方法で算出した初期の透過率を下記の基準で分類した。
○・・300〜380nmにおける透過率平均値(%)が2%未満
×・・300〜380nmにおける透過率平均値(%)が2%以上
3層インフレーション成形により得られた積層フィルム(ハウス内層側表面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)について、フィルム製膜後3ヶ月後の試料について噴出し性を目視により評価し、その差異を下記の基準で分類した。
○・・フィルムの表面に粉状の噴出しが認められない。
×・・フィルムの表面の粉状の噴出しが認められる。
耐候性試験機(The Q−PANEL COMPANY製)にフィルム試料を暴露した。耐候性試験開始から1050時間経過後に試料を取り出しフィルムの縦方向(樹脂流れ方向)の破断点強度を引張り試験(JIS−K6732準拠)により測定した。
本願に係るベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を含有する総フィルム厚み150μmの三層フィルムを、表1及び2に記載した配合により作製し、前記方法により紫外線カット性能、耐ブリードアウト性及び耐候性試験後の物性の評価を行った。その結果を表2に示す。ここで、比較例1は、環境影響性がなく紫外線遮蔽性に優れるとされるベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤(TINUVIN326)を配合した三層フィルムである。また、これらフィルムの耐堅牢性試験後(140時間後)の光線透過特性を図1に示す。
本願に係るベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を含有する総フィルム厚み100μmの三層フィルムを、表3及び4に記載した配合により作製し、前記方法により紫外線カット性能及び耐ブリードアウト性の評価を行った。その結果を表4に示す。ここで、比較例2は、環境影響性がなく紫外線遮蔽性に優れるとされるベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤(TINUVIN326)を配合した三層フィルムである。これらフィルムの耐堅牢性試験後(66時間後)の光線透過特性を図2に示す。
本願に係るベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤とトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を含有する総フィルム厚み150μmの三層フィルムを、表1及び5に記載した配合により作製し、前記方法により紫外線カット性能、耐ブリードアウト性及び耐候性試験後の物性の評価を行った。その結果を表5に示す。ここで、比較例3として、TINUVIN326と環境影響性のある従来型のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤(TINUVIN327)の組合わせとトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を配合した三層フィルムを用いた。これらフィルムの負荷試験後(330時間後)の光線透過特性を図3に示す。
Claims (3)
- 前記式(3)におけるR1がヘキシル基であり、R2〜R5が水素原子である、請求項1に記載の農業用フィルム。
- 前記式(3)におけるR1がオクチル基であり、R2〜R5がメチル基である、請求項1に記載の農業用フィルム。
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