JP5596999B2 - 農業用フィルム - Google Patents

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Description

本発明はフィルムやシートに加工した場合に、紫外線遮蔽性に優れつつもブリードアウト等による光線透過性及び防曇性の低下が抑制された農業用フィルムに関し、特にフィルム厚が薄い場合でも良好な耐ブリードアウト特性を示す上、長期間使用した場合でも紫外線吸収能が消失しにくい、ハウス内環境において病害菌やカビの繁殖抑制、害虫防除性及び内張資材の劣化防止性等にも優れた農業用フィルムに関するものである。
農業用ハウスは年々大型化しており、ハウスをフィルムで覆うためのフィルム展張作業は多くの人手を要するようになってきている。その一方で、農業従事者の数は年々減少すると共に高齢化が進行しており、毎年の展張作業に人手を確保することは容易ではない状況にある。この様な状況に鑑み、ハウスに展張するフィルムは展張作業が容易で極力張り替えまでの使用期間の長いフィルム、言いかえれば、2年以上の長寿命を有し、長期間にわたり当初性能を保持できる高性能な農業用フィルムの開発が求められている。
こうした被覆資材のなかでも、ポリオレフィン系樹脂を主体とした農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムは、密度が塩化ビニル樹脂より小さいために軽く、焼却しても有毒ガスの発生が少なく、可塑剤を添加する必要が無いために、可塑剤のブリードアウトによる硬化の問題も無く、更にインフレーション成型法により幅継ぎの為の接着加工を必要としない広幅フィルムが安価に提供できることなどから盛んに利用されるようになってきている。
一方、以前より農業用フィルムに紫外線吸収剤を少量添加して紫外線の一部分をカットし、農業用フィルムの紫外線劣化を防止する方法が知られているが、今日、更に紫外線領域(300nm〜380nm)全般の紫外線を実質完全にカットする紫外線カットフィルムを作成し、ハウス内環境における病害菌やカビの繁殖抑制、害虫防除性をすることにより減農薬栽培を行なう試みがなされてきている。
農業用フィルムには、長期展張タイプと、短〜中期展張タイプがあり、作物の栽培形態やハウスの構造、各地域での最適栽培方法等により、使用方法に合わせて選択されている。
全フィルム厚みが0.15mm未満である比較的薄い農業用フィルム(主に短〜中期展張で使用される)において、紫外線を完全にカットするためには、フィルム中に紫外線吸収剤を高濃度で含有する必要がある。しかし、紫外線吸収剤を高濃度添加すると、紫外線吸収剤のブリードアウトにより、フィルムの失透や防曇性の低下を招くケースがあった。
一方、ブリードアウトしないギリギリの量の紫外線吸収剤を入れた場合は、紫外線吸収剤自体の失効により、初期の紫外線カット性を長期間維持することが出来ず、問題となっていた。また、展張初期又は経時後に、実際に紫外線遮蔽効果が期待できる波長域の一部が透過してしまうフィルムが多く、その改良が期待されていた。
ポリオレフィン系樹脂を主体とした農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムなどに配合される紫外線吸収剤としては、従来はニッケル系化合物が中心であったが、近年、ベンゾフェノン型、ベンゾトリアゾール型、トリアジン型等の紫外線吸収剤が開発され、種々の用途へ展開されている。
これら紫外線吸収剤は各々、その構造特有の吸収波長域を有しており、またその構造、分子量等により、基材樹脂との相溶性が異なる。農業用ポリオレフィン系フィルムにおいても、紫外線の吸収域を広くして、かつ紫外線吸収能の保持性を向上させる為に様々な試みがなされてきており、特に紫外線の吸収域から、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤が多く使用されてきた。
ところが、最近、ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の一部(ベンゾトリアゾール骨格を有しつつ、特定の置換基を有する化合物)において、生物濃縮性及び有毒性について指摘されており、第一種特定化学物質や第一種監視化学物質に指定される等しているため、特に屋外使用での工業製品については適用が問題になってきており、このような環境への影響がある紫外線吸収剤を使用しない製品の開発が求められてきている。
環境への影響に関しては、化合物の置換基の種類によって、程度が異なることが判明しているが、構造相関が取れておらず、具体的にどのような構造の紫外線吸収剤を用いた場合に、農業用フィルムとして好適に使用できるか未だはっきりしていない。
このような中で、環境影響性を低減させたベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤の検討が行われ、環境影響性がなく紫外線遮蔽性に優れる代替品(例えば、チバ・スペシャリティーケミカルズ社製TINUVIN326)が提案されてはいるが、このものは耐ブリードアウト性の点で劣っているため単独で使用することは困難である。また、このものと特定の紫外線吸収剤とを組み合わせて使用することが提案され、紫外線遮蔽性及び耐ブリードアウト性が良好であることが報告されている(特許文献1)。しかしながら、紫外線遮蔽性の持続や耐ブリードアウト性において更なる向上が求められている。
特開2009−159838号公報
従って、本発明は、紫外線遮蔽性に優れつつも耐ブリードアウト性に優れた農業用フィルム、特にフィルム厚が薄い場合でも良好な耐ブリードアウト特性を示す上、長期間使用した場合でも紫外線吸収能が消失しにくい農業用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、下記の特定の構造を有する紫外線吸収剤を使用した場合に、300nm〜380nmの紫外線を有効に遮蔽することができ、長期間使用した場合でも紫外線吸収能が消失しにくく、かつ耐ブリードアウト性にも優れた農業用フィルムを提供できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記式(1)又は(2)に記載のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を含有することを特徴とする農業用フィルム、という構成を採用する。
Figure 0005596999
(2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4,6−ジ(tert−ペンチル)フェノール)
Figure 0005596999
(式中、Rは、直鎖又は分岐C1〜C8アルキル基、好ましくはメチル基である。)
また、本発明において、上記の特定のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤に加えて下記式(3)で表されるトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を更に含有させることにより、長期間使用した場合における紫外線吸収能の消失を更に抑制することが可能となることに加えて、着色防止や紫外線カット持続性を高いレベルで付与することが可能となる。
Figure 0005596999
(式中、R1〜R5は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
本発明の農業用フィルムは、紫外線遮蔽性に優れつつもブリードアウト等による光線透過性及び防曇性の低下を抑制することができることから農業用フィルムとして好適に用いることができる。また、本発明のフィルムは、透明でも、梨地でも、半梨地でもよく、ハウス、トンネル、マルチング用、袋掛用等の農業用ポリオレフィン系フィルム(いわゆる農ポリ等)の用途に好適に使用することができる。
ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤添加フィルムの耐堅牢性試験後の光線透過特性(総フォルム厚み:150μm) ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤添加フィルムの耐堅牢性試験後の光線透過特性(総フィルム厚み:100μm) ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤及びトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤併用フィルムの耐堅牢性試験後の光線透過特性(総フィルム厚み:150μm)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における農業用フィルムとは公知の合成樹脂を基材樹脂として使用した農業用フィルムであり、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、メタロセン触媒を用いて合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂などからなるフィルムを用いることができる。本発明においては、特にポリオレフィン系樹脂を用いた多層フィルムで好適に効果を発揮する。
本発明に係るポリオレフィン系農業用フィルムとしては、少なくとも外層、中間層、内層を有する3層以上の積層構造を有するフィルムが好適に使用できる。ここで、外層とは、ハウスなどに展張した際に外側となる層をいい、内層とは、ハウス展張時に内側となる層をいい、中間層とは、その外層と内層に挟まれた層をいう。以下、外層と内層を合わせて表面層と称する場合もある。また、本発明の効果を損なわない範囲で、内層と中間層の間、外層と中間層の間に、更に樹脂層を積層したり、外層や中間層、内層など自体を2層で構成して、4層以上の多層フィルムとする態様も、本願発明の範囲に含まれる。その場合の中間層は、外層と内層以外(表面層以外)の層ということになる。
本発明における外層/中間層/内層の、層厚み比は特に限定されないが、たとえば、1/1/1〜1/5/1、好ましくは、1/2/1から1/3/1の層比で形成される。
なお、本発明で言う、外層、中間層、内層とは、農業用フィルムとして機能する樹脂主成分に他の成分を添加した樹脂組成物から構成される層を意味する。従って、後述するように、内層の内側に防曇特性を意図して薄く塗布する塗布型防曇塗膜や、外層の外側に、別途の目的で形成する場合の他の塗膜は、内層、外層の概念からは外して考えるものとする。
ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体などがあげられ、例えば高密度、低密度または直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、密度が0.890〜0.935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体および酢酸ビニル含有量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が、透明性や耐候性および価格の点から農業用フィルムとして好ましい。
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。
これは、通常、メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体である。
本発明のポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分として使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体は、好ましくは以下の物性を示すものである。
メルトフローレート(MFR)
JIS−K7210により測定されたMFRが0.01〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の値を示すものである。該MFRがこの範囲より大きいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。また、該MFRがこの範囲より小さすぎると成形時の樹脂圧力が増大し、成形機に負荷がかかるため、生産量を減少させて圧力の増大を抑制しなければならず、実用性に乏しい。
密度
JIS−K7112により測定された密度が0.880〜0.930g/cm3、好ましくは0.880〜0.920g/cm3の値を示すものである。該密度がこの範囲より大きいと透明性が悪化する。また、密度がこの範囲より小さいと、フィルム表面のべたつきによりブロッキングが生じ実用性に乏しくなる。
分子量分布
ゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5〜3.5、好ましくは1.5〜3.0の値を示すものである。該分子量分布がこの範囲より大きいと機械的強度が低下し好ましくない。該分子量分布がこの範囲より小さいと成形時にフィルムが蛇行し安定しない。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、酢酸ビニル含有量が3〜25重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは5〜20重量%の範囲である。酢酸ビニル含有量がこの範囲より小さいと、得られるフィルムが硬くなりハウスへの展張時にシワや弛みが出来やすく、防曇性に悪影響が出るため実用性に乏しく、また、酢酸ビニル含有量がこの範囲より大きいと、樹脂の融点が低いためハウス展張時に夏場の高温下でフィルムが弛み、風でばたつきハウス構造体との擦れ等により破れが生じやすくなるため実用性に乏しい。
本発明における農業用フィルムは、下記式(1)又は(2)に記載のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を含有することにより優れた紫外線吸収特性を得ることができる。
Figure 0005596999
(2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4,6−ジ(tert−ペンチル)フェノール)
Figure 0005596999
(式中、Rは、直鎖又は分岐C1〜C8アルキル基、好ましくはメチル基である。)
本発明における農業用フィルムは、上記のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を使用することにより、300nm〜380nmの紫外線を実質的に完全に遮蔽することができる(実質的に完全に遮蔽:未使用の農業用フィルムの状態で300〜380nmにおいて1nmごとに測定した全光線透過率の平均値が2%未満)。
本発明における農業用フィルムは、上記一般式(1)又は(2)に記載のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤に加えて、下記一般式(3)に記載のトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を含有することにより、フィルムとして良好な紫外線吸収能を付与できるばかりでなく、トリアリールトリアジン型紫外線吸収剤が有する良好な堅牢性(強い紫外線に対して耐える性能)から、着色防止や紫外線カット持続性を高いレベルで付与することが可能となる。
Figure 0005596999
(式中、R1〜R5は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
特に、前記式(3)におけるR1がヘキシル基であり、R2〜R5が水素原子である場合や、前記式(3)におけるR1がオクチル基であり、R2〜R5がメチル基である場合に、性能とコストのバランスが取れる為に好ましい。
本発明における農業用フィルムは、求める効果に影響を与えない範囲で、公知の紫外線吸収剤を併用することが出来る。これらの紫外線吸収剤は、一種又は二種以上を本発明の効果を妨げない範囲で、本願に係る紫外線吸収剤に併用して用いることが出来る。また、酸化亜鉛、酸化セリウム等の金属酸化物を始めとする無機酸化物系紫外線吸収剤を併用することも出来る。
他に併用可能な紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’.5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類等があげられる。
本発明の農業用フィルム中の、紫外線吸収剤の含有量は、各々、全フィルム(積層フィルムの場合は各層の合計)に対し5重量%未満、好ましくは0.1〜3重量%、更に好ましくは0.2〜1.5重量%である。含有量が上記範囲未満では紫外線遮蔽効果が低く、上記範囲を超えるとコスト的に不利になる上に一般的な農業用フィルムに適応した場合、ブリードアウトによる白化等で問題がある。これらの含有量は、樹脂の種類及び紫外線吸収剤の種類の選択で決まる値となる。
本発明においては、一般式(1)又は(2)に記載のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤は、これを含有する農業用フィルムにおいて、300nm〜380nmの領域の紫外線を実質的に完全に遮蔽する量以上添加されることが好ましい。実質的に完全に遮蔽するとは、未使用の農業用フィルムの状態で、300〜380nmにおいて1nmごとに全光線透過率を測定したときに、各波長における透過率の平均値が、2%未満になるということである。更に、上記透過率の平均値が1%以下であると好ましく、紫外線遮蔽による効果を得られやすい。
本発明の農業用フィルムは、単層であっても多層であってもよい。本発明の農業用フィルムが多層フィルムである場合は、一般式(1)又は(2)に記載のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤をいずれの層に含有してもよい。また、本発明においては、一般式(3)に記載のトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤や他の紫外線吸収剤を添加する場合は、これら紫外線吸収剤を多層フィルムのいずれの層に含有させてもよい。本発明においては、特に、特開2003−61483記載のように、中間層の単位体積当たりの樹脂組成物に対する紫外線吸収剤(2種以上の場合はそれらの合計)含有率(重量%)をX、内層中の単位体積当たりの紫外線吸収剤含有率(重量%)をY、外層中の単位体積当たりの紫外線吸収剤含有率(重量%)をZとしたとき、X>Y、かつX>Zである多層フィルムにすると、長期にわたり紫外線吸収能を保持できる効果が顕著であるため好ましい。例えば、多層フィルムの表面層以外(ハウス内層、ハウス外層以外:中間層とする)に紫外線吸収剤を添加する方法もある。
ここで、Y及びZはY=Zであっても、異なっていてもよい。また、特に好ましい態様としては、Y=Z=0である場合が挙げられる。
具体的には、中間層中の樹脂組成物に対する紫外線吸収剤含有率であるXとしては、0.1〜3.0重量%、好ましくは0.15〜2.0重量%、更に好ましくは0.2〜1.0重量%の範囲が挙げられる。YおよびZとしては、0〜2.0重量%、好ましくは0または、0.001〜0.5重量%の範囲が挙げられる。
更に本発明の好ましい態様としては、少なくとも外層、中間層、内層を有する3層以上の積層構造を有する農業用ポリオレフィン系多層フィルムであって、外層および内層(表面層)には紫外線吸収剤を配合せず、中間層に紫外線吸収剤を配合してなることを特徴とする農業用ポリオレフィン系多層フィルムが挙げられる。
本発明の農業用フィルムには赤外線吸収剤(保温剤)を含有させることが出来る。特にポリオレフィン系多層フィルムには、少なくとも3層以上を有する多層フィルムの少なくとも一層にその構成成分としてSi,Al,Mg,Ca,Liから選ばれた少なくとも1つの原子を含有する無機化合物を含有させることで、良好な保温性を付与することが出来る。添加量の目安としては、フィルム全層中に換算した場合で3%程度以上含有させた場合に良好な赤外線吸収効果(保温性)を付与することが出来る。使用できる無機化合物として、例えば赤外線吸収剤(保温剤)や充填剤として公知のものを挙げることが出来る。この様な無機化合物の添加量が少ない場合、保温性を付与することが出来ず、過剰な場合、透明性を阻害する為、農業用フィルムとしての必要な性能を具備することが難しい。
赤外線吸収剤(保温剤)は、赤外線吸収能を有する無機微粒子であり、これらは一種又は二種以上で組み合わせて用いることができる。用いることの出来る無機微粒子は特に制限はないが、成分:Si,Al,Mg,Ca,Li から選ばれた少なくとも1つの原子を含有する無機化合物である。例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類化合物、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩化合物、複数種アニオンを含有する金属複合水酸化物塩等が挙げられる。これらは結晶水を脱水したものであってもよい。
上記赤外線吸収剤(保温剤)として用いる無機微粒子は天然物であってもよく、また合成品であってもよい。また、上記無機微粒子は、その結晶構造、結晶粒子径などに制限されることなく使用することが可能である。
また、上記赤外線吸収剤(保温剤)として用いる無機微粒子は、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックスなどで被覆したものも使用できる。
上記赤外線吸収剤(保温剤)として用いる無機微粒子は、単独または2種以上組み合わせて使用することが出来る。その平均粒子径は好ましくは、0.05〜15μm、より好ましくは0.1〜10μmの範囲である。無機微粒子の平均粒子径が上記範囲より小さいと、樹脂中での分散性が劣りブツ(無機物の2次凝集物)が生成してフィルム外観が悪化すると共に、樹脂との混練時の粉立ちが激しくハンドリング性が劣る。逆に、無機微粒子の平均粒子径が上記範囲より大きいと、透明性で劣ったり押出し機ブレーカースクリーン部で目詰まりが生じ、生産性が悪化する。
上記赤外線吸収剤(保温剤)の使用量は、フィルム全層中に、3〜30重量部、より好ましくは3〜20重量部、更に好ましくは3〜15重量部である。3重量部未満では、充分に赤外線を吸収することはできず、30重量部を超える範囲では農業用フィルムとしての透明性及び機械的強度が劣る上、コスト的に不利である。
また、充てん剤としては、フィルムのベタツキを抑制するために、あるいは保温性をさらに高めるために、例えばシリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、マイカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、導電性酸化亜鉛、リン酸リチウムなどが用いられる。これらの充てん剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の農業用フィルム、特に農業用ポリオレフィン系多層フィルムにおいては、耐候剤としてヒンダードアミン化合物を多層フィルム中の少なくとも1層に添加することが出来る。また、このヒンダードアミン化合物は、一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。ヒンダードアミン化合物は、もちろん全層に同じ種類を含有させてもよいが、例えば最内層と最外層(ハウス外面)にブリードアウトしにくい高分子量タイプを含有させ、その他の層には農業用として通常配合されるヒンダードアミン化合物を含有させることもできる。また、これら高分子量ヒンダードアミン化合物は、エチレンやその他モノマーとの共重合タイプ(例えばエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体)でも構わないし、ポリエチレンを始めとするポリマーにグラフト付加させたものでも構わない。その場合、例えば同一の層にエチレン・環状アミノビニル化合物共重合体と農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光安定剤を含有させることもできる。
使用可能な農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光耐候剤は、公知のピペリジンン環含有ヒンダードアミン化合物を使用することが出来る。上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物のピペリジン環の数が2個未満では十分な耐候性が得られにくく、また、分子量が500未満では揮発しやすくなり、長期の耐候性を得ることが難しい可能性がある。また、上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物のピペリジン環の数は2〜50個であることが好ましく、また、分子量は750以上であることが好ましい。
上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物などがあげられる。使用可能な市販のヒンダードアミン系化合物を例示すれば、TINUVIN770、TINUVIN780、TINUVIN144、TINUVIN622LD、TINUVIN NOR 371FF、CHIMASSORB119FL、CHIMASSORB944(以上、チバ社製)、サノールLS−765(三共(株)製)、MARK LA−63、MARK LA−68、MARK LA−68、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−57、LA−900(以上、旭電化(株)製)、UV−3346、UV−3529、UV−3581、UV−3853(以上、サイテック社製)、ホスタビンN20、ホスタビンN24、ホスタビンN30、ホスタビン845、サンデュボアPR−31、ナイロスタッブS−EED(以上、クラリアント・ジャパン社製)、UVINUL5050H(以上、BASFジャパン社製)、XJ100H(日本ポリエチレン(株))等が挙げられる。これらのピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物は、一種又は二種以上で用いられる。
また、本発明の農業用フィルム中には、通常合成樹脂に使用される各種添加剤を併用することができる。それらの添加剤としては、例えば、金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩、ハイドロタルサイト系化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、多価アルコール、ハロゲン酸素酸塩、硫黄系、フェノール系およびホスファイト系などの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤などがあげられる。
上記の金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩を構成する金属種としては、Li,Na,K,Ca,Ba,Mg,Sr,Zn,Cd,Sn,Cs,Al,有機Snがあげられ、有機酸としては、カルボン酸、有機リン酸類またはフェノール類があげられ、該カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ネオデカン酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n−プロピル安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p−第三オクチルサリチル酸等の一価カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オキシフタル酸、クロルフタル酸等の二価のカルボン酸あるいはこれらのモノエステル又はモノアマイド化合物、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸等の三価又は四価カルボン酸のジ又はトリエステル化合物などがあげられ、また該有機リン酸類としては、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステルなどがあげられ、また該フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、メチルプロピルフェノール、メチル第三オクチルフェノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、第三ブチルフェノール、n−ブチルフェノール、ジイソブチルフェノール、イソアミルフェノール、ジアミルフェノール、イソヘキシルフェノール、オクチルフェノール、イソオクチルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、第三オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、第三ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノールフェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなどがあげられる。
上記防曇剤については特に制限はないが、公知の種々の非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を始めとする、多価アルコールと高級脂肪酸類とから成る多価アルコール部分エステル系のものが好適である。このような防曇剤の具体例としては、例えば非イオン系界面活性剤、例えばソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンとアルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステルなどのソルビタン系界面活性剤やグリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノパルミテート・モノステアレート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレートあるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等などのグリセリン系界面活性剤やポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテルなどのポリエチレングリコール系界面活性剤やその他トリメチロールプロパンモノステアレートなどのトリメチロールプロパン系界面活性剤やペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどのペンタエリスリトール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物;ソルビタン/グリセリンの縮合物と脂肪酸とのエステル、ソルビタン/アルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステル;ジグリセリンジオレートナトリウムラウリルサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルアミン塩酸塩、ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩、トリエチルセチルアンモニウムイオダイド、オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩、ドデシルピリジニウム塩などやそれらの異性体を含むものなどを挙げることができる。
上記防霧剤としては、例えばフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤の具体例としては、通常の界面活性剤の疎水基のCに結合したHの代わりにその一部または全部をFで置換した界面活性剤で、特にパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を含有する界面活性剤である。以上の各種添加剤は、それぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物としては、例えば、アニオン系含フッ素界面活性剤、カチオン系含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン系含フッ素界面活性剤、含フッ素オリゴマーなどがあげられる。
上記パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、好ましくは0.001〜10重量部、更に好ましくは0.01〜5重量部である。該含フッ素化合物の使用量が0.001重量部未満では防霧性効果がほとんど発揮されず、10重量部を超えても効果が飽和されるため好ましくない。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール) 、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール) 、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル) フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5. 5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、n−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等があげられる。
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類があげられる。
上記ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)ビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ (ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(C 12-15 混合アルキル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール) ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)( オクチル) ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等があげられる。
上記着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、アリザリンレーキ、酸化チタン、亜鉛華、群青、パーマネントレッド、キナクリドン、カーボンブラック等を挙げることができる。
アンチブロッキング剤としては、珪藻土、合成シリカ、タルク、マイカ、ゼオライト等が挙げられる。これらアンチブロッキング剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、通常0.01〜0.5重量%の範囲が好ましい。
本発明の農業用フィルムには、上述した成分を組合わせて含有させることができ、更に通常の熱可塑性樹脂フィルムに含有させることができる下記の任意成分を、必要に応じて含有させることができる。任意成分とは、その他安定剤、耐衝撃性改善剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、造核剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、難燃剤、螢光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤などを挙げることができる。
本発明の農業用フィルムに各種添加剤を配合するには、各々必要な量を秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、単軸又は二軸押出機、ロールなどの配合機や混練機その他従来から知られている配合機、混合機を使用すればよい。このようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するには、それ自体公知の方法、例えば、溶融押出し成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブロー成型、インフレーション成型、溶融流延法、加圧成型加工、ペースト加工、粉体成型等の方法を好適に使用することができる。
本発明の農業用フィルムの厚みについては、本発明の効果を得る目的において特に厚みの制約は無いが、フィルム厚みを上げ(紫外線吸収剤濃度を下げ)る事により、ブリードアウトによる影響を低減する事が出来る。特に、強度やコストの点で0.03以上1.0mm未満の範囲のものが好ましく、0.05以上0.75mm以下のものがより好ましく、更に0.05以上0.5mm以下のものが好ましい。この範囲未満では強度的に問題があり、この範囲を超えると厚みにより成形性が困難な上、展張も困難になる。
本発明において基材層に防曇性被膜を形成することができ、ポリオレフィン系樹脂を用いる場合、前記ポリオレフィン系基材の最内層に接して防曇性被膜を形成することができる。本発明における防曇塗膜としては既に公知の農業用フィルムに用いることができる防曇塗膜を適用することが出来る。好ましくは無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とした防曇塗膜や無機コロイド物質とアクリル系樹脂を主成分とする防曇塗膜を用いることができる。
本発明において用いることができる無機コロイド物質と親水性有機化合物を主成分とする防曇塗膜として、例えば、特公昭63−45432号、特公昭63−45717号、特公昭64−2158号、特許第3094296号等に示されている化合物を挙げることができる。
また、無機コロイド物質及び/又は合成樹脂バインダー等を使用した公知の塗膜を、積層して形成することも出来る。
本発明においてはアクリル系樹脂及び無機質コロイドゾルを主成分とする防曇性被膜も好適に用いることができる。
アクリル系樹脂として好ましく用いられる1つの例としては、少なくとも合計60重量%のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体、またはアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物及び0〜40重量%の共重合しうるα、β−エチレン性不飽和単量体とを、通常の重合条件に従って、例えば乳化剤の存在下に、水系媒質中で乳化重合させて得られる水分散性の重合体または共重合体である疎水性アクリル系樹脂を挙げることができる。
本発明で用いるアクリル系樹脂は、疎水性アクリル系樹脂であることが好ましく、即ち、上記のようなアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル類、又は、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物を、少なくとも計60重量%を含有すること、好ましくは80重量%以上含有することが好ましい。60重量%に満たないときは、形成被膜の耐水性が十分でないために、防曇持続性能を発揮しえないことがあり好ましくない。
本発明のアクリル系樹脂は、特に、ガラス転移温度が35〜80℃のものを用いるのが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な分散状態をとりやすく、高すぎる場合、透明性のある均一な被膜を得るのが困難となりやすい。
本発明において、基材フィルムの表面に形成させる被膜の厚さは、基材フィルムの1/10以下を目安に選択するとよいが、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。被膜の厚さが基材フィルムの1/10より大であると、基材フィルムと被膜とでは屈曲性に差があるため、被膜が基材フィルムから剥離する等の現象がおこりやすく、また、被膜に亀裂が生じて基材フィルムの強度を低下させるという現象が生起し、好ましくない。
また、基材フィルムと被膜組成物に由来する被膜との接着性が充分でない場合には、基材フィルムに表面処理を施しておいてもよい。本発明の積層フィルムの表面に施す処理の方法としては、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、ナトリウム処理、サンドブラスト処理等の方法が挙げられる。コロナ放電処理法は、針状あるいはナイフエッジ電極と対極間で放電を行わせ、その間に試料を入れて処理を行い、フィルム表面にアルデヒド、酸、アルコールパーオキサイド、ケトン、エーテル等の酸素を含む官能基を生成させる処理である。スパッタエッチング処理は、低気圧グロー放電を行っている電極間に試料を入れ、グロー放電によって生じた正イオンの衝撃によりフィルム上に多数の微細な突起を形成するものである。サンドブラスト処理は、フィルム面に微細な砂を吹きつけて、表面上に多数の微細な凹凸を形成するものである。これら表面処理の中では、塗布層との密着性、作業性、安全性、コスト等の点から、コロナ放電処理が好適である。
本発明に係る農業用フィルムを、実際に使用するにあたっては、防曇被膜の設けられた側をハウス又はトンネルの内側となるようにして展張するのがよい。
本発明において基材層にポリオレフィン系樹脂を用いる場合、前記ポリオレフィン系基材の最内層に接して防塵性塗膜を形成することができる。
本発明における防塵性塗膜としては既に公知の農業用フィルムに用いることができる防塵性塗膜を適用することが出来る。好ましくはアクリル系樹脂を主成分とした防塵性塗膜やアクリル系樹脂及びエチレン−アクリル共重合体を主成分とする防塵性塗膜を用いることができる。防塵性塗膜を塗工する場合には基材に対して、防曇性塗膜形成時と同様のコロナ処理等の前処理をすることができる。
このようにして得られた本願発明の農業用フィルムは、300nm〜380nmの紫外線を実質完全に遮蔽することができる。「実質完全に遮蔽」とは、未使用の農業用フィルムの状態で、その光線の透過率が2%未満であることを意味する。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。
(1)積層フィルムの調製
3層インフレーション成形装置として3層ダイに100mmφ((株)プラ工研製)を用い、押出機はチューブ外内層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40mmφ((株)プラ技研製)として、外内層押出し機温度180℃、中間層押し出し機温度170℃、ダイス温度180〜190℃、ブロー比2.0〜3.0、引取り速度3〜7m/分、厚さ0.15mm及び0.10mmにて表1〜表5に示した成分からなる3層の積層フィルムを得た。なお、これらのフィルムは、ハウス展張時にチューブの端部を切り開いて使用するため、展開した際に製膜時のチューブ外層が展張時にはハウスの内層(内面)となる。
〔配合〕添加量は表1〜5に記載の通りである。
HP−LDPE:高圧ラジカル法触媒で製造した分岐状ポリエチレン(MFR:1.1g/10分、密度0.920)日本ポリケム製ノバテックLD「YF30」
メタロセンPE:メタロセン触媒で製造したエチレン・αオレフィン共重合体(MFR:2g/10分、密度0.907)日本ポリケム製カーネル「KF270」
EVA(1) :エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%、MFR2g/10分)
キマソーブ944:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製光安定剤
エチレン・環状アミノビニル共重合体:日本ポリケム(株)製「ノバテックLD・XJ100H」MFR=3g/10分(190℃、JIS−K6760)密度=0.931g/cm(JIS−K6760)
ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤A:シプロ化成株式会社製SB704CL
(2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4,6−ジ(tert−ペンチル)フェノール)
Figure 0005596999
ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤B:シプロ化成株式会社製SB709CAM
(メチル2−[2−ヒドロキシ−5−(2,4,4−トリメチルペンタン−2−イル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキシレート)
Figure 0005596999
ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤C:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製TINUVIN326
2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール
Figure 0005596999
ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤D:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製TINUVIN327
2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール
Figure 0005596999
トリアジン型紫外線吸収剤A:サイテック社製UV−1164
2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール
Figure 0005596999
(2)フィルムの表面処理
得られたチューブ状フィルムの外層表面を、放電電圧120V、放電電流4.7A、ラインスピード10m/minでコロナ放電処理を行い、JIS−K6768による「濡れ指数」を測定し、その値を確認した。
(3)防曇性塗膜の形成(防曇塗膜塗布タイプ)
防曇剤組成物配合は以下の配合とした。
無機質コロイドゾル(コロイダルシリカ) 4.0
熱可塑性樹脂(サンモールSW−131) 3.0
架橋剤(T.A.Z.M) 0.1
分散媒(水/エタノール=3/1) 93
(注)無機質コロイドゾルの配合量は、無機質粒子量で示し熱可塑性樹脂の配合量は重合体固形分量で示す。
コロイダルシリカ:日産化学社製スノーテックス30、平均粒子径15nm
サンモールSW−131:三洋化成社製アクリルエマルジョン
T.A.Z.M:相互薬工社製アジリジン系化合物
(2)で表面処理した基体フィルムの表面に、上記の防曇剤組成物を#5バーコーターを用いて各々塗布した。塗布したフィルムを80℃のオーブン中に1分間保持して、液状分散媒を揮発させ防曇性塗膜を形成した。得られた各フィルムの塗膜の厚みは約1μmであった。
今回、防曇性塗膜を設けたタイプを用いて試験を行ったが、防曇剤を練り混んだタイプでも同様の効果が得られる。また、今回用いた樹脂、添加剤以外の組み合わせ、又は今回と異なるフィルム厚みでも、その要旨を変えない限り、同様の効果が得られる。今回用いた各々のサンプルについて以下のような評価を行った。実施例及び比較例における各評価の測定方法を以下に示す。
(1)全光線透過率
3層インフレーション成形により得られた積層フィルム(ハウス内層側表面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)を分光光度計(日立製作所製、U3500型)により測定し、各波長におけるその値を示した。 全光線透過率は、初期及び耐堅牢性試験後の試料について行った。耐堅牢性試験は次の条件で行った。
(a)60℃、湿度70%の条件下、295〜780nmの波長分布の光を80mW/cmの照射強度で5時間
(b)30℃、98%(シャワーによる水噴霧あり)の条件下、照射無しで1時間のサイクルで、各記載の時間、負荷試験を実施した
(2)全光線透過率の透過率平均値
(1)の方法で測定した1nmごとの透過率を平均して算出した。
(3)UVカット性
(2)の方法で算出した初期の透過率を下記の基準で分類した。
○・・300〜380nmにおける透過率平均値(%)が2%未満
×・・300〜380nmにおける透過率平均値(%)が2%以上
(4)耐ブリードアウト性
3層インフレーション成形により得られた積層フィルム(ハウス内層側表面に防曇性塗膜を形成(塗工)後)について、フィルム製膜後3ヶ月後の試料について噴出し性を目視により評価し、その差異を下記の基準で分類した。
○・・フィルムの表面に粉状の噴出しが認められない。
×・・フィルムの表面の粉状の噴出しが認められる。
(5)耐候性試験後の物性
耐候性試験機(The Q−PANEL COMPANY製)にフィルム試料を暴露した。耐候性試験開始から1050時間経過後に試料を取り出しフィルムの縦方向(樹脂流れ方向)の破断点強度を引張り試験(JIS−K6732準拠)により測定した。
〔実施例1、2及び比較例1〕
本願に係るベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を含有する総フィルム厚み150μmの三層フィルムを、表1及び2に記載した配合により作製し、前記方法により紫外線カット性能、耐ブリードアウト性及び耐候性試験後の物性の評価を行った。その結果を表2に示す。ここで、比較例1は、環境影響性がなく紫外線遮蔽性に優れるとされるベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤(TINUVIN326)を配合した三層フィルムである。また、これらフィルムの耐堅牢性試験後(140時間後)の光線透過特性を図1に示す。
表2及び図1から、実施例1及び2は初期の紫外線カット性能、耐ブリードアウト性及び耐候性試験後の物性に優れ、また、耐堅牢性試験後の紫外線カット性能については比較例1よりも優れていることが示される。
Figure 0005596999
Figure 0005596999
〔実施例3,4及び比較例2〕
本願に係るベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を含有する総フィルム厚み100μmの三層フィルムを、表3及び4に記載した配合により作製し、前記方法により紫外線カット性能及び耐ブリードアウト性の評価を行った。その結果を表4に示す。ここで、比較例2は、環境影響性がなく紫外線遮蔽性に優れるとされるベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤(TINUVIN326)を配合した三層フィルムである。これらフィルムの耐堅牢性試験後(66時間後)の光線透過特性を図2に示す。
表4及び図2から、実施例3及び4は初期の紫外線カット性能及び耐ブリードアウト性に優れ、耐堅牢性試験後の紫外線カット性能についても比較例2よりも優れていることが示される。
Figure 0005596999
Figure 0005596999
表2及び表4で示した結果から、本発明の特定のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤は、単独で使用しても、TINUVIN326を使用した場合に対して耐ブリードアウト性に優れ、耐堅牢性試験後の紫外線カット性にも優れることが示される。
〔実施例5、6及び比較例4,5〕
本願に係るベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤とトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を含有する総フィルム厚み150μmの三層フィルムを、表1及び5に記載した配合により作製し、前記方法により紫外線カット性能、耐ブリードアウト性及び耐候性試験後の物性の評価を行った。その結果を表5に示す。ここで、比較例3として、TINUVIN326と環境影響性のある従来型のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤(TINUVIN327)の組合わせとトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を配合した三層フィルムを用いた。これらフィルムの負荷試験後(330時間後)の光線透過特性を図3に示す。
表5及び図3から、実施例5及び6は初期の紫外線カット性能、耐ブリードアウト性及び耐候性試験後の物性に優れることが示される。また、比較例3は、紫外線吸収剤としての特性を具備するが環境影響性のあるTINUVIN327を使用するものであり、耐ブリードアウト性が良好であるが、本発明に係る実施例4及び5は、耐堅牢性試験後の紫外線カット性能において比較例3より優れていることが示される。
Figure 0005596999
以上の結果から明らかなように、本願に係る特定のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を配合したフィルムは、総フィルム厚みが150μmの場合、及び従来は紫外線遮蔽性とブリードアウト性の両立が困難とされてきた総フィルム厚みが100μmの場合についても初期及び負荷試験後で優れた紫外線吸収特性を有することが示された。また、本願に係るベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤とトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を配合した場合には、耐堅牢性試験後の紫外線遮蔽性を更に向上できることが示された。

Claims (3)

  1. 下記式(1)又は(2)に記載のベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を含有し、下記一般式(3)記載のトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を更に含有することを特徴とする農業用フィルム。
    Figure 0005596999
    (2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4,6−ジ(tert−ペンチル)フェノール)
    Figure 0005596999
    (式中、Rは直鎖又は分岐C1〜C8アルキル基である。)
    Figure 0005596999
    (式中、R1〜R5は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
  2. 前記式(3)におけるR1がヘキシル基であり、R2〜R5が水素原子である、請求項に記載の農業用フィルム。
  3. 前記式(3)におけるR1がオクチル基であり、R2〜R5がメチル基である、請求項に記載の農業用フィルム。
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