JP2014158465A - 農業用フィルム - Google Patents
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Abstract
日中の日射を十分に取り入れることができ、かつ日が落ちた後の保温性にも優れる農業用フィルムを提供すること。
【解決手段】
400nmから700nmの波長領域における全光線透過率の平均値が80%以上であり、5μmから25μmの赤外線波長領域に吸収能を有し、無機化合物を2〜25重量%含む農業用フィルム。
【選択図】なし
Description
これら従来技術のフィルムは、主として日射を受けていない夜間等においてハウス内部の温度を保持することを特徴としている。しかしながら、栽培作物の育成には、日射を受けていないときの保温性も重要であるが、同時に日中、日射を受けることにより地温を上昇させることが、作物の育成により重要であることもわかってきた。
(1)400nmから700nmの波長領域における全光線透過率の平均値が80%以上であり、5μmから25μmの赤外線波長領域に吸収能を有し、無機化合物を2〜25重量%含む農業用フィルム、
(2)5μmから25μmの波長領域の赤外線透過率の平均値が55%以下である、(1)に記載の農業用フィルム、
(3)前記無機化合物の平均粒径が50nm〜8μmである、(1)又は(2)に記載の農業用フィルム、
(4)樹脂成分として生分解性樹脂を含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の農業用フィルム、及び
(5)前記生分解性樹脂は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)の少なくとも一種を含有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の農業用フィルム
に存する。
また、上限はとくに限定することは無く、後述する日が落ちた後、土からの熱放射を軽減する性能に影響がない程度でれば400nmから700nmの波長領域における全光線透過率は高いほど好ましい。
5μmから25μmの波長領域の赤外線透過率の平均値を上記範囲とすることで、日が落ちた後、土からの熱放射をより軽減させることができ、地温の温度低下をより抑制することができる。
また、下限はとくに限定することは無く、上述した、日中、地温を上昇させるのに必要な波長の光をより十分に透過させる性能に影響がない程度であれば、5μmから25μmの波長領域の赤外線透過率は低いほど好ましい。
農業用フィルム中の無機化合物の含有量を2重量%より多くすることにより、赤外線の透過率が上がって保温効果が低下することを抑制することができ、また25重量%より少なくすることで、可視光線の透過率が下がって、太陽光線による地温の上昇効果が低下することを抑制することができる。
粒子径の平均が、上記より小さいと十分な保温性が得られなくなるおそれがあり、上記より大きいと分散性が悪くなったり、光線透過率が低下するおそれがある。
尚、本願明細書において、平均粒径とは、粒度分布において積算(累積)百分率で表される積算値が50%となる粒子径の値を意味する。
たとえばハイドロタルサイトは、天然に産出する粘土鉱物の一種であり、正に帯電した基本層と、負に帯電した中間層からなる層状の無機化合物で、マグネシウムとアルミニウムの含水塩基性炭酸塩であり、化学名をマグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレートと言い、下記の一般式で表される。
[Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O]
この範囲とすることで、地温を上昇させるのに必要な波長の光はより十分に透過し、夜間、温められた土からの熱放射をより軽減することができ、さらに農業用フィルムとしての使用期間の点からもより好ましい。
特に農業用フィルムなどに使用する場合、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能や、雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度までに分解を進行させることができる。
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステルを構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であることをいう。
−O−R1−O− (1)
(式中、R1は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のR1が含まれていてもよい。)
−OC−R2−CO− (2)
(式中、R2は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のR2が含まれていてもよい。)
なお、上記式(1)、式(2)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基」とは、2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下「鎖状脂肪族および/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
1,4ブタンジオール単位以外のジオール単位としては特に限定されないが、炭素数3〜10個の脂肪族ジオール単位が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール単位が特に好ましい。具体的には1,3−プロパンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール等が挙げられる。前記脂肪族ジオール単位を与えるジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
更に、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位として、アジピン酸単位を含んでいても良い。アジピン酸単位は、脂肪族ポリエステル(A)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0.5〜20モル%であるのが好ましく、更に1〜15モル%であるのが好ましい。
コハク酸単位、アジピン酸単位以外のジカルボン酸単位としては特に限定されないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸単位が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸単位が特に好ましい。具体的には、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0〜20モル%であるのが好ましく、特に0〜10モル%であるのが好ましい。
このような脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の具体例としては、三菱化学社製「GSPla」、昭和電工社製「ビオノーレ」などが挙げられる。
本発明において用いられる脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)は、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位とを含むものであり、芳香族ジカルボン酸単位の含有量が、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5〜60モル%であるものである。
−O−R3−O− (3)
(式中、R3は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R4−CO− (4)
(式中、R4は直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R5−CO− (5)
(式中、R5は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
このような脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)の具体例としては、BASFジャパン社製「Ecoflex」、S−EnPol社製「EnPol PBG」などが挙げられる。
本発明の農業用フィルムには、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散剤や各種界面活性剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤は配合した方が好ましい。
一方、金属原子としては、周期表の1A、2A、2B及び3B族の原子が好ましい。好ましい例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛などが挙げられる。
<その他の成分>
また、本発明の農業用フィルムには、本発明の効果を阻害しない範囲で他の生分解性樹脂および天然物、例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末またはこれらの混合物を配合することができる。
本発明の農業用フィルムを構成する樹脂組成物の混練方法としては、一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混練機に供給して溶融混練することができる。
構成する樹脂組成物からフィルムを成形加工する方法は、押出機を用いてTダイにて押出ししたフィルムをキャストロールで冷却固化する押出成形や、インフレーション成形機により成形する方法が適している。
ハイドロタルサイト、タルクおよび水酸化マグネシウムについては、事前に2軸の押出し機を用いて溶融混練してマスターバッチを作製し、各々表1に記載されている配合により、ペレット状態でドライブレンドし、モダン社製のインフレーション成形機を用いて、150℃設定で、18μm厚のフィルムを成形した。但し、比較例1については、190℃設定で成形した。
(1)400〜700nmの光線透過率(単位:%)
島津製作所社製分光光度計(UV−2450形)を用いて、フィルムの200〜700nmに於ける全光線透過率を測定した。算出方法は、波長が400以上700nm以下の波長について、1nm毎に測定値を読み取り、読み取った数値の平均を算出し、400〜700nmの全光線透過率とした。
(2)5〜25μmの赤外線透過率(単位:%)
日立製作所製赤外分光光度計(270−30形)を用いて、フィルムの2.5〜25μmに於ける赤外線透過率を測定し、得られたチャートから5μm以上25μm以下の波長について、1μm毎の透過率を読み取り、読み取った数値の平均を算出し、5〜25μmの波長領域の赤外線透過率とした。
(3)地温測定結果(単位:℃)
各フィルムを愛知県愛西市の試験圃場に展張して、2013年12月13日から15日までの3日間、フィルム被覆下10cm土中の温度を連続で測定を行い、午前9時における温度と午後3時における温度について3日間の平均値を測定値とした。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A):三菱化学社製「GSPla」
脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B−1):BASFジャパン社製「Ecoflex」
脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B−2):S−EnPol社製「EnPol PBG」
ポリエチレン(C):日本ポリエチレン社製「ノバテックLL UA425」
ハイドロタルサイト:協和化学工業社製「DHT−4A」(平均粒子径:0.45μm)
タルク:日本ミストロン社製「MISTRON850JS」(平均粒子径:5.0μm)
水酸化マグネシウム:堺化学工業社製「MGZ−3」(平均粒子径:0.1μm)
Claims (5)
- 400nmから700nmの波長領域における全光線透過率の平均値が80%以上であり、5μmから25μmの赤外線波長領域に吸収能を有し、無機化合物を2〜25重量%含む農業用フィルム。
- 5μmから25μmの波長領域の赤外線透過率の平均値が55%以下である、請求項1に記載の農業用フィルム。
- 前記無機化合物の平均粒径が50nm〜8μmである、請求項1又は2に記載の農業用フィルム。
- 樹脂成分として生分解性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
- 前記生分解性樹脂は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)の少なくとも一種を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業用フィルム。
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