JPWO2014064983A1 - 脂肪族ポリエステル系樹脂組成物および生分解性フィルム - Google Patents

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Abstract

次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とするため、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)及び脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)を含み、両者の配合比率が(A):(B)=1:1〜4:1(重量比)である脂肪族ポリエステル系樹脂組成物であって、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)とジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)とからなり、これらの配合比率が(a1):(a2)=1:9〜9:1(重量比)である、該脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を提供する。

Description

本発明は、生分解性に優れた脂肪族ポリエステル系樹脂組成物、およびこれを用いた生分解性フィルムに関する。
昨今の廃棄物問題等を解決する手段の一つとして、生分解性を有する材料を用いた研究が数多くなされてきている。生分解性材料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペートといった脂肪族ポリエステル系樹脂やポリブチレンアジペートテレフタレートといった芳香族−脂肪族共重合ポリエステル系樹脂が挙げられ、種々検討が行なわれている。
しかしながら、生分解性フィルムをインフレーション成形機でフィルム化する場合、強度がありかつ柔軟性に優れたフィルムを実用的に製造することができなかった。これまでは、生分解性を有する低融点ポリマー、例えばアジピン酸とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールからなるジオール成分とを縮合してなる脂肪族芳香族ポリエステルを多官能イソシアネートで高分子化した脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂や、コハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸とを直接脱水重縮合してなる脂肪族ポリエステル系樹脂、或いは1、4−ブタンジオール等のポリオールとコハク酸、アジピン酸のようなジカルボン酸との重縮合反応により得られる脂肪族ポリエステル系樹脂に、比較的高融点である樹脂、例えばポリ乳酸系樹脂をブレンドすることにより柔軟性と強度を持たせることが行われていた。しかし組成中にポリ乳酸をブレンドしても相溶性に欠けるために期待したほどの効果がなかった。
このような中、生分解性組成物の相溶性を高めることにより、柔軟性を損なうことなく、機械的強度を向上させた生分解性フィルムとして、アジピン酸とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールからなるジオール成分とを縮合してなる脂肪族芳香族ポリエステルを多官能イソシアネートで高分子化した脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、及びコハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸とを直接脱水重縮合してなる脂肪族ポリエステル系樹脂、さらに生分解性を有する芳香族ポリエステル系樹脂とをインフレーション加工機によりフィルム化したものが提案されている(特許文献1)。
ところで、生分解性フィルムを農業用などの用途に適用する場合には、栽培作物がある程度育つまでは、地温を所定温度に保持すると共に雑草が生えるのを防止するためにフィルムが破れないように十分な強度が必要とされ、一方、作物の刈り取りが終了し、次期作物の栽培が始まる頃には、前の期で使用したフィルムは、ある程度まで土中で分解していることが必要である。しかしながら、このような農業用フィルムとしての使用に耐え得る強度を有し、かつ、適正な期間で生分解する特性を兼ね備えたものは未だ実用化に至っていない。
特開2009−227882号公報
本発明は、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能を有すると共に雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する脂肪族ポリエステル系樹脂組成物、及び生分解性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討したところ、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂とジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂とからなる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、及び脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)を特定の比率で含む脂肪族ポリエステル系樹脂組成物及びこれを用いた生分解性フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、
(1)脂肪族ポリエステル系樹脂(A)及び脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)を含み、両者の配合比率が(A):(B)=1:1〜4:1(重量比)である脂肪族ポリエステル系樹脂組成物であって、
前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)とジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)とからなり、これらの配合比率が(a1):(a2)=1:9〜9:1(重量比)である、該脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
(2)前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)の合計重量部(100重量部)に対し、乳酸系ポリエステル系樹脂(C)を3〜20重量部含有する、(1)に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
(3)脂肪族ポリエステル系樹脂組成物100重量部に対し、無機充填材を0.05〜1.0重量部含む、(1)または(2)に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物からなる生分解性フィルムであって、耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸び率が、耐候性試験機に暴露する前の引張破断伸び率に対して40%以上保持していることを特徴とする、該生分解性フィルム。
に存する。
本発明により、成形性、衝撃強度に優れるとともに、耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸度が所定のレベルを保持する生分解性フィルムを提供することができる。従って、本発明により、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能を有すると共に雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する生分解性フィルムを提供することが可能となる。
本発明の1つの実施形態は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)及び脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)を含み、両者の配合比率が(A):(B)=1:1〜4:1(重量比)である脂肪族ポリエステル系樹脂組成物であって、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)とジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)からなり、これらの配合比率が(a1):(a2)=1:9〜9:1(重量比)である、該脂肪族ポリエステル系樹脂組成物である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)とジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)からなる。
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の構成成分である脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステルを構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。
脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)を具体的に示すと、例えば下記式(1)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位、並びに、下記式(2)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジカルボン酸単位からなるものである。
−O−R−O− (1)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。)
−OC−R−CO− (2)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。)
なお、上記式(1)、式(2)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基」とは、2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下「鎖状脂肪族および/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、上記式(1)のジオール単位として、1,4ブタンジオール単位を必須成分として含むものである。1,4ブタンジオール単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)又は脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、30〜60モル%、特に40〜50モル%であるのが好ましい。
1,4ブタンジオール単位以外のジオール単位としては特に限定されないが、炭素数3〜10個の脂肪族ジオール単位が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール単位が特に好ましい。具体的には1,3−プロパンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール等が挙げられる。前記脂肪族ジオール単位を与えるジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、更に、ジカルボン酸単位としてコハク酸単位を必須成分として含むものである。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)はジカルボン酸単位としてアジピン酸を必須成分として含み、アジピン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0.5〜20モル%であるのが好ましく、1〜15モル%であるのが更に好ましい。なお、脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、アジピン酸単位を実質的に含まない。
コハク酸単位、アジピン酸単位以外のジカルボン酸単位としては特に限定されないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸単位が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸単位が特に好ましい。具体的には、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
更に、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、脂肪族オキシカルボン酸単位を含有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルコールもしくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液の何れであってもよい。これらの中で特に好ましいのは、乳酸またはグリコール酸である。これらの脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
脂肪族オキシカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)又は脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましく、特に0.01〜10モル%であるのが好ましい。
このような脂肪族ポリエステル系樹脂の具体例としては、三菱化学社製「GSPla」、昭和電工社製「ビオノーレ」などが挙げられる。
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル(a1)と、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル(a2)とからなり、両者の配合比率(重量比)は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは1:6〜6:1、更に好ましくは1:4〜4:1の範囲である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)としてこのように2種類の脂肪族ポリエステル系樹脂を用い、特定の範囲の配合比率とすることにより、フィルムの成形性を安定に保つことができ、フィルムの耐候性、生分解性等の性能バランスをより良好にすることができる。脂肪族ポリエステル系樹脂(A)をこのような構成とすることにより、特に、農業用フィルムなどに使用する場合、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能や、雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることができる。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)
本発明において用いられる脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)は、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位とを含み、芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5〜60モル%である。
本発明における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)は、具体的には、例えば、下記式(3)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、および、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
−O−R−O− (3)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R−CO− (4)
(式中、Rは直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R−CO− (5)
(式中、Rは2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
式(3)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2〜10のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(4)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸またはアジピン酸が好ましい。
式(5)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分および芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、またはこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)を構成する全構成成分中、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましい。
本発明における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、好ましくは0.1〜100g/10分であり、更に好ましくは0.1〜50g/10分であり、特に好ましくは0.1〜30g/10分である。
このような脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)の具体例としては、BASF社製「Ecoflex」、S−EnPol社製「EnPol」などが挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)の配合比率(A):(B)(重量比)は、好ましくは1:1〜4:1であり、より好ましくは1:1〜3.8:1であり、更に好ましくは1:1〜2:1である。
配合比率(A):(B)が1:1を超えて脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)を配合した場合は、フィルムの成形性が悪くなったり、栽培終了時の劣化が不十分で、機械での処理時にフィルムが巻き付く恐れがある。また、配合比率4:1を超えて脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を配合した場合には、柔軟性に欠けた硬いフィルムとなる恐れがある。
乳酸系ポリエステル系樹脂(C)
本発明の好ましい態様においては、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)の合計重量部(100重量部)に対し、乳酸系ポリエステル系樹脂(C)を好ましくは3〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部、更に好ましくは5〜10重量部含有する。乳酸系ポリエステル系樹脂(C)の含有量が3〜20重量部の範囲を外れると、生分解するまでの期間が長くなったり、柔軟性に乏しくなるおそれがある。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)と乳酸系ポリエステル系樹脂(C)を一定の量配合し、かつ上記の生分解度を有することにより、栽培が終了した後、次期作物の栽培が始まる前には、栽培を開始する作業において、事実上支障がない程度まで分解している性能を有する。
本発明においては、乳酸系ポリエステル系樹脂(C)として、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはそれらの混合物、ラクチドなどのホモポリマーまたはコポリマーなどが使用できる。乳酸系ポリエステル系樹脂(C)は、これらの原料から直接脱水縮合またはラクチドの開環重合などによって製造することができるが、製法は特に限定されない。また、乳酸系ポリエステル系樹脂の性質を損なわない程度に、乳酸以外の他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸等を共重合してもかまわない。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂の具体例としては、Nature Works社製「Ingeo Biopolymer」、浙江海正生物材料社製「REVODE」などが挙げられる。
また、乳酸系ポリエステル系樹脂(C)は特に限定されることはないが、非結晶性の乳酸系ポリエステル系樹脂の方が好ましい。
非結晶の乳酸系ポリエステル系樹脂を使用することで、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)に対して、乳酸系ポリエステル系樹脂(C)の分散性が良好となり、より均一な性能を有することができる。
また、結晶性の乳酸系ポリエステル系樹脂(C)は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)と比較して融点が高いため、これら(A)、(B)及び(C)の樹脂を混合した組成物について、良好な成形条件の範囲が狭くなる傾向にあるが、非結晶の乳酸系ポリエステル系樹脂(C)を使用することにより、(A)、(B)及び(C)の樹脂を混合した組成物について、良好な成形条件の範囲をより広くすることが可能となる。
無機充填材
本発明のもう1つの好ましい態様においては、前記脂肪族ポリエステル系樹脂組成物は、無機充填材を含有する。本発明の好ましい態様においては、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物100重量部に対し、無機充填材を好ましくは0.05〜1.0重量部、より好ましくは0.1〜0.9重量部、更に好ましくは0.2〜0.8重量部含む。無機充填材を上記のように含有させることで、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を適度な粘度とすることができ、より良好な成形性を得ることが可能となる。
本発明において使用できる無機充填材としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム及び珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム並びに硫酸バリウム等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
その他の成分
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物には、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散剤や各種界面活性剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤は配合した方が好ましい。
スリップ剤としては、炭素数6〜30の不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイドが挙げられ、エルカ酸アマイド、エルカ酸ビスアマイドが好ましい。
アンチブロッキング剤としては、炭素数6〜30の飽和脂肪酸アマイド、または飽和脂肪酸ビスアマイド(例えばステアリン酸アマイド、ステアリン酸ビスアマイド)、メチロールアマイド、エタノールアマイド、天然シリカ、合成シリカ、合成ゼオライト、タルク等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン等通常使用される着色剤が使用できる。着色剤としては、そのまま使用してもよいし、マスターバッチとして添加してもよい。
耐光剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2−ビス(3−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エタン、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、ポリ〔1−オキシエチレン(2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ピペリジル)オキシスクシニル〕、ポリ〔2−(1,1,4−トリメチルブチルイミノ)−4,6−トリアジンジイル−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物及びそのN−メチル化合物、コハク酸と1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤の中で、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル6−(tert-ブチル)フェノール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールが挙げられる。
酸化防止剤としては、BHT、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオンアミド、n−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤及びこれらの2種以上の混合物などが例示できる。
安定剤としては脂肪酸金属塩が挙げられる。脂肪酸金属塩の脂肪酸成分としてはカルボキシル基を有する通常炭素数が6〜30の鎖状のカルボン酸であり、直鎖状でも分岐状でもよく、また飽和結合のみでも不飽和結合を有していてもよい。脂肪酸の具体例としてはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エイコセン酸、エルシン酸、エライジン酸、トランス11エイコセン酸、トランス13ドコセン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エルカ酸等が挙げられる。
一方、金属原子としては、周期表の1A、2A、2B及び3B族の原子が好ましい。好ましい例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛などが挙げられる。
脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種でもよく2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム及びラウリン酸アルミニウムが好ましい。
分散剤としては、モンタンワックス等のエステル系ワックスが挙げられる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で生分解性樹脂および天然物、例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末またはこれらの混合物を配合することができる。
生分解性フィルム
本発明のもう一つの実施形態は、上記した本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物からなる生分解性フィルムである。
本発明の生分解性フィルムは、耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸度が、耐候性試験機に暴露する前の前記生分解性樹脂フィルムの機械の成形方向(MD)の引張破断伸度に対して40%以上であることが好ましい。これにより、屋外での栽培作業において栽培している期間、3〜6ヶ月程度の間は必要な強度を有することができる。
ここで、耐候性試験機としては、サンシャインウェザーメーター(例えば、スガ試験機社製のサンシャインウェザーメーター)を用いることができる。
また、耐候性試験機での暴露条件としては、JISA1415を用いることができる。
また、本発明の生分解性フィルムは、成形後の初期のパンクチャー衝撃試験での衝撃強度が3.0kg・cm以上であることが好ましい。これにより、屋外での栽培作業において、機械での展張など、栽培初期に行う作業の際に必要な衝撃強度を有することができる。
また、生分解性フィルムの厚さは、5μm〜50μmが好ましく、5μm〜40μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。生分解性フィルムの厚さが5μm以下になるとフィルムの成形が不安定になり、展張作業等に使用するときに強度が不十分になるおそれがある。また、フィルム厚さが50μmより厚くなると、栽培終了時や土中での分解が不十分になるおそれがある。
本発明の生分解性フィルムを構成する脂肪族ポリエステル系樹脂組成物の混練方法は、樹脂組成物の混練方法として一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混練機に供給して溶融混練することができる。
脂肪族ポリエステル系樹脂組成物からフィルムを成形加工する方法は、押出機を用いてTダイにて押出ししたフィルムをキャストロールで冷却固化する押出成形や、インフレーション成形機により成形する方法が適している。
以下本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[評価方法]
(1)耐候性試験方法
インフレーション成形機を用いて成形したフィルムを、JISA1415の条件に従って、スガ試験機社製サンシャインウェザーメーターを用いて、ブラックパネル温度を63℃とし、100時間暴露した。
(2)耐候性試験後の伸び残率の測定方法
JISK6781に準拠した方法で、(株)島津製作所製の引張試験機を用いて、機械の成形方向(MD)の引張試験を行い、サンプル破断時の標線間距離から次の計算式により算出した。
破断伸び率(%)=((破断時の標線間距離)−(初期の標線間距離))/(初期の標線間距離))×100
引張試験は、耐候性試験を行う前後に行い、以下の計算式から伸び残率を算出した。
伸び残率(%)=(耐候性試験後の伸び率)/(初期伸び率)×100
<伸び残率の評価基準(100時間暴露後)>
◎:伸び残率が60%以上
○:伸び残率が40%以上60%未満
△:伸び残率が20%以上40%未満
×:伸び残率が20%未満
(3)成形性
インフレーション成形機を用いてフィルムを成形する際、乳酸系ポリエステル(C)を添加しない場合との押出し機の設定温度の差を以下に記す基準で評価した。
◎:20℃未満
○:20℃以上
(4)パンクチャー衝撃強度
インフレーション成形機で成形した各フィルムから、大きさが100mm×100mmの試験片を各フィルムにつき4個作製し、JIS P8134に準拠した、東洋精機社製「パンクチャーテスタ(先端は1インチ丸球面ヘッドを使用)」を使用して、試験片の破壊に要したエネルギーの量(衝撃強度[kg・cm])を目盛板より読み取った。測定した4個の試験片の平均値を求めた。この値を以下に記す基準で判断した。
◎:5.0kg・cm以上
○:3.0−5.0kg・cm
×:3.0kg・cm未満
[使用原料]
脂肪族ポリエステル(脂肪族ポリエステル(a1)):三菱化学社製「GSPla FD99WN」
脂肪族ポリエステル(脂肪族ポリエステル(a2)):三菱化学社製「GSPla FZ91PN」
脂肪族芳香族ポリエステル:BASF社製 商品名「エコフレックス」
乳酸系ポリエステル:Nature Works社 商品名「Ingeo Biopolymer 2003D」、「IngeoBiopolymer 4060D」
無機充填材(タルク):日本ミストロン社「MISTRON850JS」
[実施例1〜6]
無機充填材については、事前に脂肪族ポリエステルと一定量で混合したものを二軸の押出し機を用いて溶融混練してマスターバッチを作製し、各々表1に記載されている配合により、ペレット状態でドライブレンドし、シリンダおよびダイス温度は脂肪族ポリエステルの溶融温度+40℃に設定し、モダン社製のインフレーション成形機を用いて、厚さ18μm(実施例1〜5)、12μm(実施例6)のフィルムを成形した。
得られたフィルムを上記の試験方法及び評価基準により、耐候性試験後の伸び残率及び成形性を評価した。その結果を表1に示す。
また、実施例1〜6の何れも、展張5ヶ月後において機械で処理ができる程度に分解が進んでおり、土中に鋤き込まれた破片についても、次の栽培が開始されるまでに問題のない程度に分解が進むことを確認した。
Figure 2014064983
脂肪族ポリエステル(a1)と脂肪族ポリエステル(a2)の重量比
実施例1:FD99WN(a1)/FZ91PN(a2)=9/1
実施例2:FD99WN(a1)/FZ91PN(a2)=3/7
実施例3:FD99WN(a1)/FZ91PN(a2)=9/1
実施例4:FD99WN(a1)/FZ91PN(a2)=5/5
実施例5:FD99WN(a1)/FZ91PN(a2)=8/2
実施例6:FD99WN(a1)/FZ91PN(a2)=6/4
比較例1:FD99WN(a1)/FZ91PN(a2)=0/0
比較例2:FD99WN(a1)/FZ91PN(a2)=10/0
実施例1〜5および比較例1〜2のフィルム厚みは18μm、実施例6のフィルム厚みは12μmである。
表1より、本発明の生分解性フィルムは、成形性に優れるとともに、耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)で良好な引張破断伸度を有している。従って、本発明により、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能を有すると共に雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する生分解性フィルムを提供することが可能となる。

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステル系樹脂(A)及び脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)を含み、両者の配合比率が(A):(B)=1:1〜4:1(重量比)である脂肪族ポリエステル系樹脂組成物であって、
    前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)とジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)とからなり、これらの配合比率が(a1):(a2)=1:9〜9:1(重量比)である、該脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
  2. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(B)の合計重量部(100重量部)に対し、乳酸系ポリエステル系樹脂(C)を3〜20重量部含有する、請求項1に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
  3. 脂肪族ポリエステル系樹脂組成物100重量部に対し、無機充填材を0.05〜1.0重量部含む、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物からなる生分解性フィルムであって、耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸び率が、耐候性試験機に暴露する前の引張破断伸び率に対して40%以上保持していることを特徴とする、該生分解性フィルム。
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