JP2018139560A - 農業用生分解性フィルム - Google Patents

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奈月 横尾
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Abstract

【課題】栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能や、雑草が生えることを防止するために十分な伸度を有し、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とし、特に栽培中期において十分な伸度を持つ生分解特性を有する生分解性フィルムを提供すること。【解決手段】主たる繰り返し単位がジカルボン酸単位およびジオール単位である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)とを少なくとも含有する生分解性樹脂組成物からなる農業用生分解性フィルムであって、生分解性樹脂組成物は、ジルコニウム化合物を0.26〜100ppm含有することを特徴とする農業用生分解性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、農業用に使用するのに適した、優れた生分解性を有する生分解性フィルムに関する。
昨今の廃棄物問題等を解決する手段の一つとして、生分解性を有する材料を用いた研究が数多くなされてきている。生分解性材料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペートといった脂肪族ポリエステル系樹脂やポリブチレンアジペートテレフタレートといった脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂が挙げられ、種々検討が行なわれている。
しかしながら、生分解性フィルムをインフレーション成形機でフィルム化する場合、強度がありかつ柔軟性に優れたフィルムを実用的に製造することができなかった。これまでは、生分解性を有する低融点ポリマー、例えばアジピン酸とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールからなるジオール成分とを縮合してなる脂肪族−芳香族ポリエステルを他官能イソシアネートで高分子化した脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂やコハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸とを直接脱水重縮合してなる脂肪族ポリエステル系樹脂、1、4−ブタンジオール等のポリオールとコハク酸、アジピン酸のようなジカルボン酸との重縮合反応により得られる脂肪族ポリエステル系樹脂に比較的高融点である樹脂、例えばポリ乳酸系樹脂をブレンドすることにより柔軟性と強度を持たせることが行われていた。しかし組成中にポリ乳酸をブレンドしても相溶性に欠けるために期待したほどの効果がなかった。
このような中、生分解性組成物の相溶性を高めることにより、柔軟性を損なうことなく、機械的強度を向上させた生分解性フィルムとして、アジピン酸とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールからなるジオール成分とを縮合してなる脂肪族−芳香族ポリエステルを他官能イソシアネートで高分子化した脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂とコハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸とを直接脱水重縮合してなる脂肪族ポリエステル系樹脂、さらに生分解性を有する芳香族ポリエステル系樹脂をインフレーション加工機によりフィルム化したものが提案されている(特許文献1)。
ところで、生分解性フィルムを農業用などの用途に適用する場合には、栽培作物がある程度育つまでは、地温を所定温度に保持すると共に雑草が生えるのを防止するためにフィルムが破れないように十分な伸度が必要とされ、一方、作物の刈り取りが終了し、次期作物の栽培が始まる頃には、前の期で使用したフィルムは、ある程度まで土中で分解していることが必要である。なかでも、特に作物の成長が著しい栽培中期においてフィルムが破れないことが重要である。
しかしながら、このような農業用フィルムとしての使用に耐え得る伸度を有し、かつ、適正な期間で生分解する特性を兼ね備えたものは未だ実用化に至っていない。
特開2009−227882号公報
本発明は、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能を有すると共に雑草が生えることを防止するために十分な伸度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とし、特に栽培中期において十分な伸度を有する生分解性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討したところ、主たる繰り返し単位がジカルボン酸単位およびジオール単位である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)とを少なくとも含有する生分解性樹脂組成物からなる生分解性フィルムにおいて、生分解性樹脂組成物におけるジルコニウム化合物の含有量を0.26〜100ppmとすることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、
[1]主たる繰り返し単位がジカルボン酸単位およびジオール単位である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)とを少なくとも含有する生分解性樹脂組成物からなる農業用生分解性フィルムであって、
前記生分解性樹脂組成物は、ジルコニウム化合物を0.26〜100ppm含有することを特徴とする農業用生分解性フィルム。
[2]前記生分解性樹脂組成物における前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)の配合比率が(A):(B)=80:20〜10:90(質量比)であることを特徴とする[1]に記載の農業用生分解性フィルム。
[3]前記ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分がバイオマス資源から誘導されたコハク酸を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の農業用生分解性フィルム。
[4]前記ジオール単位を与えるジオール成分がバイオマス資源から誘導された1,4−ブタンジオールを含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
[5]前記生分解性樹脂組成物100質量部に対し、紫外線吸収剤を0.05〜1.0質量部含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
に存する。
本発明により、展張してから栽培中期において、機械の成形方向(MD)の引張破断伸度が栽培初期に有している引張破断伸度から大きく劣ることを抑制し、所定のレベルを保持する生分解性フィルムを提供することができる。
従って、本発明により、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能を有すると共に雑草が生えることを防止するために必要な十分な伸度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とし、特に栽培中期において、十分に高い伸度を有する生分解性フィルムを提供することが可能となる。
生分解性樹脂組成物
本発明で使用する生分解性樹脂組成物は、主たる繰り返し単位がジカルボン酸単位およびジオール単位である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)とを少なくとも含有し、ジルコニウム化合物を0.26〜100ppm含有するものである。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)
本発明に使用する脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)とジカルボン酸単位としてアジピン酸を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)の少なくとも一方を含有するものからなる。
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の構成成分である脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)および/または脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステルを構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。
脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)および/または脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、例えば下記式(1)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位、並びに、下記式(2)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジカルボン酸単位からなるものである。
−O−R−O− (1)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。)
−OC−R−CO− (2)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。)
なお、上記式(1)、式(2)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基」とは、2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下「鎖状脂肪族および/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
本発明に使用できる脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)または脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、上記式(1)のジオール単位として、1,4-ブタンジオール単位を必須成分として含むものである。1,4-ブタンジオール単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)または脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、30〜60モル%、特に40〜50モル%であるのが好ましい。
1,4-ブタンジオール単位以外のジオール単位としては特に限定されないが、炭素数3〜10個の脂肪族ジオール単位が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール単位が特に好ましい。具体的には1,3-プロパンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール等が挙げられる。前記脂肪族ジオール単位を与えるジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
なお、1,4-ブタンジオール単位は、石油由来資源から誘導されたものでも良く、バイオマス資源から誘導されたものであっても良いが、近年の環境問題から二酸化炭素の使用量を抑制することが可能であるという観点から、バイオマス資源から誘導されたものである方が好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)および脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、更に、ジカルボン酸単位としてコハク酸単位を必須成分として含むものである。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)はジカルボン酸単位としてアジピン酸を必須成分として含み、アジピン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0.5〜20モル%であるのが好ましく、1〜15モル%であるのが更に好ましい。なお、脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、アジピン酸単位を実質的に含まない。
コハク酸単位以外のジカルボン酸単位としては特に限定されないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸単位が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸単位が特に好ましい。具体的には、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
また、ジカルボン酸単位は、石油由来資源から誘導されたものでも良く、バイオマス資源から誘導されたものであっても良いが、バイオマス資源から誘導されたジカルボン酸単位とする原料を使用したフィルムの方が、本発明に規定する量のジルコニウム化合物を含むことで、栽培中期における引張破断伸度の低下を抑制する効果についてより高い結果が得られていることから、バイオマス資源から誘導されたものである方が好ましい。
更に、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)および脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)は、脂肪族オキシカルボン酸単位を含有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルコールもしくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液の何れであってもよい。これらの中で特に好ましいのは、乳酸またはグリコール酸である。これらの脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
脂肪族オキシカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(a1)または脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましく、特に0.01〜10モル%であるのが好ましい。
このような脂肪族ポリエステル系樹脂の具体例としては、PTT MCC Biochem社「Bio PBS」、三菱化学社「GSPla」などが挙げられる。
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル(a1)と、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル(a2)の少なくともどちらか一方を含んでいればよく、両方を含んでも良い。脂肪族ポリエステル(a1)及び脂肪族ポリエステル(a2)を含む場合、両方の配合比率(a1):(a2)(質量比)は、好ましくは0:100〜90:10、より好ましくは0:100〜85:15、更に好ましくは0:100〜70:30の範囲である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を上記の範囲の配合比率とすることにより、フィルムの成形性を安定に保つことができ、フィルムの耐候性、生分解性等の性能バランスをより良好にすることができる。脂肪族ポリエステル系樹脂(A)をこのような構成とすることにより、特に、農業用フィルムなどに使用する場合、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能や、雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることができる。
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ジルコニウム化合物を0.05ppm以上含有していることが好ましく、0.10ppm以上含有していることがより好ましく、0.20ppm以上含有していることが更に好ましく、0.25ppm以上含有していることが特に好ましい。また、ジルコニウム化合物の含有量の上限は、100ppm以下とすることが好ましく、50ppm以下とすることがより好ましく、20ppm以下とすることが更に好ましく、10ppm以下とすることが特に好ましく、1ppm以下とすることがとりわけ好ましい。ジルコニウム化合物の含有量を上記の範囲とすることで、フィルムの耐候性、生分解性等の性能バランスをより良好にすることができる。脂肪族ポリエステル系樹脂(A)をこのような構成とすることにより、特に、農業用フィルムなどに使用する場合、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能や、雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることができる。
本発明に使用できるジルコニウム化合物は、特に限定することなく一般的に入手できるジルコニウム化合物を使用することができる。例えば、ハロゲン化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシド、ジハロゲン化ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、シュウ酸ジルコニウムアンモニウム、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、酸化ジルコニウムやジルコニウムと珪素を含む複合酸化物等が挙げられ、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
また、本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、鉄化合物を0.18ppm以上含有していることが好ましく、0.20ppm以上含有していることがより好ましい。また、鉄化合物の含有量の上限は、50ppm以下とすることが好ましく、20ppm以下とすることがより好ましく、10ppm以下とすることが更に好ましく、1ppm以下とすることがとりわけ好ましい。鉄化合物の含有量を上記の範囲とすることで、フィルムの成形性を安定に保つことができ、フィルムの耐候性、生分解性等の性能バランスをより良好にすることができる。脂肪族ポリエステル系樹脂(A)をこのような構成とすることにより、特に、農業用フィルムなどに使用する場合、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能や、雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることができる。
本発明に使用できる鉄化合物は、特に限定することなく一般的に入手できる鉄化合物を使用することができる。たとえば、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)、オクチル酸鉄(II)、ナフテン酸鉄、炭酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、酸化鉄(II)等の鉄化合物等が挙げられる。
脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)
本発明において用いられる脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)は、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位とを含み、芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5〜60モル%である。
本発明における脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)は、具体的には、例えば、下記式(3)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、および、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
−O−R−O− (3)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R−CO− (4)
(式中、Rは直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R−CO− (5)
(式中、Rは2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
式(3)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2〜10のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(4)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸またはアジピン酸が好ましい。
式(5)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分および芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、またはこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)を構成する全構成成分中、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましい。
本発明における脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、好ましくは0.1〜100g/10分であり、更に好ましくは0.1〜50g/10分であり、特に好ましくは0.1〜30g/10分である。
このような脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)の具体例としては、BASF社「Ecoflex」、S−EnPol社「EnPol」などが挙げられる。
生分解性樹脂組成物の配合
本発明の生分解性樹脂組成物においては、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)の配合比率(A):(B)(質量比)は、好ましくは80:20〜10:90であり、より好ましくは、70:30〜15:85である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)を上記の配合比率とすることで、フィルムの成形性が悪くなったり、栽培終了時の劣化が不十分となることを抑制することができる。
本発明の生分解性樹脂組成物は、ジルコニウム化合物を0.27ppm以上含有していることが好ましく、0.28ppm以上含有していることがより好ましく、0.29ppm以上含有していることが更に好ましい。また、ジルコニウム化合物の含有量の上限は、100ppm以下とすることが好ましく、50ppm以下とすることがより好ましく、20ppm以下とすることが更に好ましく、10ppm以下とすることが特に好ましく、1ppm以下とすることがとりわけ好ましい。ジルコニウム化合物の含有量を上記の範囲とすることで、農業用生分解性フィルムに求められる性能の一つである、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの栽培中期において、フィルムの伸度が落ちることを抑制することが可能となる。
また、本発明の生分解性樹脂組成物は、鉄化合物を0.25ppm以上含有していることが好ましく、0.27ppm以上含有していることがより好ましく、0.32ppm以上含有していることが更に好ましい。また、鉄化合物の含有量の上限は、50ppm以下とすることが好ましく、20ppm以下とすることがより好ましく、10ppm以下とすることが更に好ましく、1ppm以下とすることが特に好ましい。鉄化合物の含有量を上記の範囲とすることで、農業用生分解性フィルムに求められる性能の一つである、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの栽培中期において、フィルムの伸度が落ちることを抑制することが可能となる。
従来の技術では、鉄化合物は生分解性樹脂の分解を促進する添加剤として知られていたが、本発明に規定する含有量を添加することにより、異なる効果を奏することが可能となる。
紫外線吸収剤(C)
本発明の生分解性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有することが好ましく、前記生分解樹脂組成物100質量部に対して、紫外線吸収剤を0.05〜1.0質量部含有することが好ましい。紫外線吸収剤の含有量を上記の範囲とすることで、栽培期間における紫外線による劣化を抑制することができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤の中で、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル6−(tert-ブチル)フェノール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールが挙げられる。
本発明の生分解性樹脂組成物は、更に耐光剤を含有することもできる。本発明に使用できる耐光剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2−ビス(3−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エタン、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、ポリ〔1−オキシエチレン(2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ピペリジル)オキシスクシニル〕、ポリ〔2−(1,1,4−トリメチルブチルイミノ)−4,6−トリアジンジイル−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物及びそのN−メチル化合物、コハク酸と1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。
乳酸系ポリエステル系樹脂
本発明の生分解性樹脂組成物は、乳酸系ポリエステル系樹脂を更に含有することもできる。
本発明に使用できる乳酸系ポリエステル系樹脂としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはそれらの混合物、ラクチドなどのホモポリマーまたはコポリマーなどが使用できる。乳酸系ポリエステル系樹脂は、これらの原料から直接脱水縮合またはラクチドの開環重合などによって製造することができるが、製法は特に限定されない。また、乳酸系ポリエステル系樹脂の性質を損なわない程度に、乳酸以外の他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸等を共重合してもかまわない。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂の具体例としては、Nature Works社「Ingeo Biopolymer」、浙江海正生物材料社「REVODE」などが挙げられる。
また、乳酸系ポリエステル系樹脂の種類は特に限定されることはないが、非結晶性の乳酸系ポリエステル系樹脂の方が好ましい。
非結晶の乳酸系ポリエステル系樹脂を使用することで、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)に対して、乳酸系ポリエステル系樹脂の分散性が良好となり、より均一な性能を有することができる。
また、結晶性の乳酸系ポリエステル系樹脂は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)と比較して融点が高いため、これら(A)、(B)及び乳酸系ポリエステル系樹脂を混合した組成物について、良好な成形条件の範囲が狭くなる傾向にあるが、非結晶の乳酸系ポリエステル系樹脂を使用することにより、(A)、(B)及び乳酸系ポリエステル系樹脂を混合した組成物について、良好な成形条件の範囲をより広くすることが可能となる。
無機充填剤
本発明の好ましい態様においては、生分解性樹脂組成物は無機充填剤を含有し、生分解性樹脂組成物100質量部に対し、無機充填材の含有量を0.1質量部以上とすることが好ましく、1.0質量部以上とすることがより好ましく、1.5質量部以上とすることが更に好ましく、2.0質量部以上とすることが特に好ましい。また、無機充填材の含有量の上限は20.0質量部以下とすることが好ましく、15.0質量部以下とすることがより好ましく、10.0質量部以下とすることが更に好ましく、5.0質量部以下とすることが特に好ましい。無機充填材を上記のように含有させることで、生分解性樹脂組成物を適度な粘度とすることができ、より良好な成形性を得ることが可能となる。
無機充填材としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム及び珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム並びに硫酸バリウム等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
その他の成分
本発明の生分解性樹脂組成物には、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散剤や各種界面活性剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤は配合した方が好ましい。
スリップ剤としては、炭素数6〜30の不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アマイド、または不飽和脂肪酸ビスアマイドが挙げられ、エルカ酸アマイド、エルカ酸ビスアマイドが好ましい。
アンチブロッキング剤としては、炭素数6〜30の飽和脂肪酸アマイド、または飽和脂肪酸ビスアマイド(例えばステアリン酸アマイド、ステアリン酸ビスアマイド)、メチロールアマイド、エタノールアマイド、天然シリカ、合成シリカ、合成ゼオライト、タルク等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン等通常農業用マルチフィルムに使用される着色剤が使用できる。着色剤としては、そのまま使用してもよいし、マスターバッチとして添加してもよい。
酸化防止剤としては、BHT、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオンアミド、n−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤及びこれらの2種以上の混合物などが例示できる。
分散剤としては、モンタンワックス等のエステル系ワックスが挙げられる。
また、本発明の生分解性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の生分解性樹脂および天然物、例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末またはこれらの混合物を配合することができる。
生分解性フィルム
本発明の農業用生分解性フィルム(以下単に「生分解性フィルム」とも言う。)は、屋外展張試験において60日間展張試験した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸度において、展張試験する前の引張破断伸度に対する伸び残率が、本発明に規定する量のジルコニウム化合物を含まない生分解性フィルムの伸び残率に対して10%以上、向上している。
よって、屋外での栽培作業において栽培している期間においては必要な強度を有することができる。
ここで、屋外展張試験とは、屋外に展張する実暴露試験のことを言い、本発明の生分解性フィルムと、本発明の生分解性フィルムと同様の組成を有するものの本発明で規定する量のジルコニウム化合物を含まない生分解性フィルムを同じ条件で試験し対比する方法である。
また、屋外展張試験を実施する期間は、季節を問わず実施することができる。
また、生分解性フィルムの厚さは、5μm〜50μmが好ましく、5μm〜40μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。生分解性フィルムの厚さが5μm以下になるとフィルムの成形が不安定になり、展張作業等に使用するときに強度が不十分になるおそれがある。また、フィルム厚さが50μmより厚くなると、栽培終了時や土中での分解が不十分になるおそれがある。
本発明の生分解性フィルムを構成する生分解性樹脂組成物の混練方法は、樹脂組成物の混練方法として一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混練機に供給して溶融混練することができる。
生分解性樹脂組成物からフィルムを成形加工する方法は、押出機を用いてTダイにて押出ししたフィルムをキャストロールで冷却固化する押出成形や、インフレーション成形機により成形する方法が適している。
以下本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[評価方法]
(1)屋外展張試験方法
インフレーション成形機を用いて成形したフィルム、幅100cm、長さ2.5mのサンプルを三重県の試験圃場に展張し、展張から60日、110日経過したサンプルを採取した。
(2)屋外展張時期
実施例1および比較例1については、2016年2月より展張試験を開始し、
実施例2および比較例2については、2016年7月より展張試験を開始し、実施例3および比較例3については、2016年9月より試験展張を開始した。
(3)伸び残率の測定方法
機械の成形方向(MD)で引張試験(JIS K6781準拠、引張速度:500mm/min)を行い、各サンプルが破断した時の伸びを測定する。展張試験後の伸び残率は、下記式にて算出する。
各実施例のフィルムについて得られた伸び残率を、本発明で規定する量のジルコニウム化合物を含有せず、樹脂成分は同様の配合である比較例のフィルムについての伸び残率を100として、比率を算出した結果を表1に示す。即ち、実施例1については比較例1を基準とし、実施例2については比較例2を基準とし、実施例3については比較例3を基準として、伸び残率が上昇する程度を示した。
伸び残率(%)=(屋外展張試験後の伸び率)/(初期伸び率)×100

(4)金属原子含有量の測定方法
金属原子含有量の測定は、誘導結合プラズマ質量分析計「ICP−MS」を使用し、ICP質量分析法により測定した。測定条件は、試料5gを強酸で分解し、乾燥した後、硝酸1mlで希釈し、純水で100mlに定容し、金属原子含有量を決定した。
[使用原料]
a1−1:脂肪族ポリエステル(PTT MCC Biochem社「Bio PBS FD92PB(バイオ由来ジカルボン酸)」(鉄化合物:0.21ppm、ジルコニウム化合物:0.3ppm))
a1−2:脂肪族ポリエステル(三菱化学社「GSPla FD99WN」(鉄化合物:0.16ppm))
a2−1:脂肪族ポリエステル(PTT MCC Biochem社「Bio PBS FZ91PB(バイオ由来ジカルボン酸)」(鉄化合物:0.39ppm、ジルコニウム化合物:0.3ppm))
a2−2:脂肪族ポリエステル(三菱化学社「GSPla FZ91PN」(鉄化合物:0.14ppm))
B:脂肪族−芳香族ポリエステル(BASF社 商品名「エコフレックス」(鉄化合物:0.35ppm、ジルコニウム化合物:0.3ppm))
紫外線吸収剤:BASFジャパン社「Tinuvin 326」
[実施例1〜3、比較例1〜3]
紫外線吸収剤については、事前に脂肪族ポリエステルと一定量で混合したものを二軸の押出し機を用いて溶融混練してマスターバッチを作製し、各々表1に記載されている配合により、ペレット状態でドライブレンドし、シリンダおよびダイス温度は脂肪族ポリエステルの溶融温度+40℃に設定し、モダン社製のインフレーション成形機を用いて、厚さ18μmフィルムを成形した。
得られたフィルムを上記の試験方法により評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2018139560
表1より、本発明の生分解性フィルムは、屋外に60日展張した後の伸び残率が、従来の生分解性フィルムよりも良好な伸び残率を有している。更に、栽培が終了する期間である110日間が経過後は、比較例と同等またはそれ以上に引張破断伸度が低くなる結果を得た。
従って、本発明により、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの栽培中期においては、地温の保温機能を有すると共に雑草が生えることを防止するために必要な十分な伸度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する生分解性フィルムを提供することが可能となる。

Claims (5)

  1. 主たる繰り返し単位がジカルボン酸単位およびジオール単位である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)とを少なくとも含有する生分解性樹脂組成物からなる農業用生分解性フィルムであって、
    前記生分解性樹脂組成物は、ジルコニウム化合物を0.26〜100ppm含有することを特徴とする農業用生分解性フィルム。
  2. 前記生分解性樹脂組成物における前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(B)の配合比率が(A):(B)=80:20〜10:90(質量比)であることを特徴とする請求項1に記載の農業用生分解性フィルム。
  3. 前記ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分がバイオマス資源から誘導されたコハク酸を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の農業用生分解性フィルム。
  4. 前記ジオール単位を与えるジオール成分がバイオマス資源から誘導された1,4−ブタンジオールを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
  5. 前記生分解性樹脂組成物100質量部に対し、紫外線吸収剤を0.05〜1.0質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
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