JP2006249245A - 脂肪族ポリエステル組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、生分解性の特性を維持しつつ、剛性、耐熱性や色相に優れた脂肪族ポリエステル組成物を提供する。
【解決手段】
脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを含有してなる脂肪族ポリエステル組成物であって、脂肪族ポリエステル繊維(B)が、下記条件式(I)を満たすものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物
を製造する。
(数1)
〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕≧30℃ (I)
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル組成物及びその製造方法に関する。詳しくは、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを含む生分解性脂肪族ポリエステル組成物及びその製造する方法に関する。
現代社会において、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材など幅広い用途で、紙、プラスチック、アルミ箔等が用いられている。特にプラスチックは強度、耐水性、成形性、透明性、コスト等において優れており、袋や容器として、多くの用途で使用されている。現在これらの用途に使用されているプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等がある。しかしながら、上記プラスチックからなる成形品は、自然環境下においては生分解又は加水分解しないか、又は分解速度が極めて遅いために、使用後埋設処理された場合は土中に残存したり、投棄された場合は景観を損ねたりすることがある。また、焼却処理された場合でも、有害なガスを発生したり、焼却炉を傷めたりするなどの問題がある。
そこで上述の問題を解決する手段として、生分解性を有する材料についての研究が数多くなされてきた。生分解性材料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペートといった脂肪族ポリエステル樹脂やポリブチレンアジペートテレフタレートといった芳香族−脂肪族共重合ポリエステル系樹脂が挙げられる。しかし、生分解性樹脂のみでは耐久性や剛性や耐熱性が低下したり、剛性は高くても衝撃強度が低い等、物性のバランスが悪く、現行のプラスチックの代用としては不十分である。一方、生分解性を有する複数種の材料をブレンドまたは共重合させることにより、生分解性の特性を維持しつつ、高耐熱性、高耐久性、高剛性、耐衝撃性の特性も兼ね備えるような組成物が開示されている。例えば、天然繊維と生分解性ポリエステルをブレンドした組成物が開示されている(特許文献1参照)。また、硬く剛性の高い生分解性ポリエステルと、柔軟で剛性の低い生分解性ポリエステルをブレンドした組成物について開示されている(特許文献2参照)。
特開2000−160034号公報 特開平9−272789号公報
本発明者らの検討によれば、脂肪族ポリエステル樹脂に天然繊維をブレンドすることにより生分解性は向上するが、天然繊維の表面処理化の煩雑さ、ブレンドすることの困難さ、成形物の着色などの問題点があった。一方、特許文献2に開示してある繊維化されていない生分解性ポリエステル樹脂を2種以上ブレンドする方法については、着色は改善されるが、主成分となるポリエステルの性質を改善するために第2成分のポリマーを大量に加えなければならず、そのために主成分の特性が失われてしまう等の問題点があった。また、高融点の材料をブレンドしても、ガラス転移温度で軟化してしまうため、熱変形温度が低く耐熱性が得られなかった。
そこで、本発明は、生分解性の特性を維持しつつ、剛性、耐熱性や色相に優れた脂肪族ポリエステル組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、脂肪族ポリエステルに繊維化され、且つ特定の物性を有する脂肪族ポリエステル樹脂をブレンドすることによって、生分解性の特性を維持しつつ、剛性、耐熱性や色相に優れた脂肪族ポリエステル組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第1の要旨は、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを含有してなる脂肪族ポリエステル組成物であって、脂肪族ポリエステル繊維(B)が、下記条件式(I)を満たすものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物、に存する。
(数1)
〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕≧30℃ (I)
本発明の第2の要旨は、脂肪族ポリエステル繊維(B)が、直径100ミクロン以下であり、且つアスペクト比10以上である上記記載の脂肪族ポリエステル組成物、に存する。
本発明の第3の要旨は、脂肪族ポリエステル繊維(B)の主成分がポリ乳酸である、上記記載の脂肪族ポリエステル組成物、に存する。
本発明の第4の要旨は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを、脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度以下の温度で混練することを特徴とする、脂肪族ポリエステル組成物の製造方法、に存する。
本発明によれば、生分解性の特性を維持しつつ、剛性、耐熱性や色相に優れた脂肪族ポリエステル組成物が提供される。
以下、本発明につき詳細に説明する。
<脂肪族ポリエステル樹脂(A)>
脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする。好ましくは、脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、下記式(1)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに下記式(2)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
Figure 2006249245
(上記式(1),(2)中、R1は2価の脂肪族炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基
を、R2は直接結合、2価の脂肪族炭化水素基、又は2価の脂環式炭化水素基を表す。)
式(1)のジオール単位を与えるジオール成分(a−1)は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(2)のカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分(a−2)は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、中でもコハク酸、アジピン酸が好ましい。
なお、上記ジオール成分(a−1)、ジカルボン酸成分(a−2)は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
また、異なる2種以上の脂肪族ポリエステル樹脂(A)をブレンドして用いることもできる。具体的には、(a−1)が1,4−ブタンジオール、(a−2)がコハク酸である脂肪族ポリエステル樹脂(A−1)と、(a−1)が1,4−ブタンジオール、(a−2)がコハク酸とアジピン酸である脂肪族ポリエステル樹脂(A−2)のブレンドが挙げられる。
本発明で用いる脂肪族ポリエステル樹脂(A)には、更に脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。
脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。又は、これらの低級アルキルエステル、分子内エステルであってもよい。また、これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、又はラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体、又は水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸成分は単独でも、2種以上の混合物としても使用することができる。
この脂肪族オキシカルボン酸成分の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
また本発明の脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、3官能以上の、脂肪族及び/又は脂環式多価アルコール、脂肪族及び/又は脂環式多価カルボン酸或いはその無水物、又は脂肪族多価オキシカルボン酸を共重合成分として含有すると、得られる脂肪族ポリエステルの溶融粘度を高めることができ好ましい。この場合、3官能の脂肪族又は脂環式多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン又はその無水物が挙げられ、4官能の脂肪族又は脂環式多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトールが挙げられる。3官能の脂肪族又は脂環式多価カルボン酸或いはその無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸又はその無水物が挙げられ、4官能の脂肪族又は脂環式多価カルボン酸或いはその無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸又はその無水物が挙げられる。また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)2個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプと、(ii)1個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体的には(i)のタイプのリンゴ酸が挙げられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシ
ル基を同一分子中に共有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸や酒石酸が挙げられる。これらの3官能以上の成分は1種単独で使用することも2種以上混合して使用することもできる。
このような3官能以上の成分の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
また、脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点の下限は、通常、80℃以上あり、好ましくは、90℃以上である。また上限は140℃以下であり、好ましくは130℃以下である。高すぎると、脂肪族ポリエステル系繊維(B)とのブレンド条件及びブレンド材料の成形条件が狭くなる傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向にある。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂(A)を得るためのジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原料の種類により好ましい範囲は異なるが、ジカルボン酸成分1モルに対するジオール成分の量は、通常、下限が通常0.8モル以上、好ましくは0.9モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下である。
また、脂肪族ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は、通常、下限が通常 1万以上、好ましくは3万以上であり、上限が通常50万以下、好ましくは30万以下である。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂(A)は、公知の方法で製造することができる。例えば、溶媒の存在下または不存在下で、上記のジカルボン酸成分(a−2)とジオール成分(a−1)、更に脂肪族オキシカルボン酸単位や3官能以上の成分を導入する場合には、それらの成分も含めたジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行う方法によって製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う方法が好ましい。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下に行うのが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く1族〜14族金属元素を含む化合物が挙げられる。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩又はβ−ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
これらの中では、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムを含む金属化合物、並びにそれらの混合物が好ましく、その中でも、特に、チタン化合物及びゲルマニウム化合物が好ましい。また、触媒は、重合時に溶融或いは溶解した状態であると重合速度が高くなる理由から、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物が好ましい。
これらの重合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒添加量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常5ppm以上、好ましくは10ppm以上であり、上限値が通常30000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは250ppm以下、特に好ましくは130ppm以下である。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなくポリマーの熱安定性が低くなるのに対し、逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの分解が誘発されやすくなる。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、常圧が好ましい。
反応時間は、下限が通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは、4時間以下である。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.01×103Pa以上、好ましくは0.01×1
3Pa以上であり、上限が通常1.4×103Pa以下、好ましくは0.4×103Pa
以下の真空度下として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
本発明において脂肪族ポリエステル樹脂(A)を製造する反応装置としては、公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。例えば、同一又は異なる反応装置を用いて、溶融重合のエステル化及び/又はエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行い、減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した攪拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には凝縮器を結合し、該凝縮器にて重縮合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマーを回収する方法が好んで用いられる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂(A)の製造工程の途中、又は製造された脂肪族ポリエステル樹脂(A)には、その特性が損なわれない範囲において各種の添加剤、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤あるいは着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加してもよい。着色顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フタロシアイン系、アンスラキノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ系などの有機顔料等を使用することができる。また、炭酸カルシウムやシリカなどの改質剤も使用することができる。
<脂肪族ポリエステル繊維(B)>
脂肪族ポリエステル繊維(B)は、脂肪族ポリエステル樹脂(B')を融解紡糸した後
、延伸して得られる。
(1)脂肪族ポリエステル樹脂(B')
脂肪族ポリエステル繊維(B)に用いられる脂肪族ポリエステル樹脂(B’)は、公知の脂肪族ポリエステル樹脂を用いることができ、好ましくは、脂肪族オキシカルボン酸単位を主成分とするもの、脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位と脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位とを主成分とするものである。より好ましくは下記式(3)で表される脂肪族オキシカルボン酸単位を主成分とするもの、下記式(4)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位と下記式(5)で表される脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位とを主成分とするものである。ここでいう主成分とは、下記式(3)に該当する成分、(4)と(5)との合計に該当する成分が、脂肪族ポリエステル樹脂(B’)の全重量に対して、通常50重量%以上、好ましくは、55重量%以上、より好ましくは、60重量%以上含まれているものである。
Figure 2006249245
(上記式(3),(4),(5)中、R1、R2、R3は直接結合、2価の脂肪族炭化水素
基又は2価の脂環式炭化水素基を表す。)
例えば、上記式(3)のオキシカルボン酸単位を与えるオキシカルボン酸成分は、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸が挙げられ、これらの中でも乳酸が好ましい。
上記式(4)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
上記式(5)のカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂(B')の数平均分子量は、通常、下限が通常5万以上
、好ましくは8万以上であり、上限が通常100万以下、好ましくは50万以下である。数平均分子量が小さすぎる場合には繊維の強度物性が低下する傾向があり、大きすぎる場合には溶融粘度が高くなりすぎ、溶融紡糸が困難になる場合がある。
さらに、上述の脂肪族ポリエステルに脂肪族ポリエステル繊維(B)の成形性を妨げない範囲で、他の成分を共重合(ブロック共重合、グラフト共重合、または/及びランダム共重合等)又は/及び混合させてもよい。例えば、芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。
また、脂肪族ポリエステル繊維(B)の成形性を妨げない範囲で、タルク、マイカ、ウィスカー、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルカリまたはアミンシリケ−ト、酸化チタン等の無機物質を混合してもよく、また混合物の種類は1種でも複数種でも良い。更に、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加してもよい。
上述に記載の成分の脂肪族ポリエステル(B')への添加時期は、エステル化反応後か
ら溶融紡糸前までの任意の時点でよい。これらの添加量は脂肪族ポリエステル(B')に
対して通常、上限が10重量%以下、下限が0.05重量%以上であり、好ましくは上限が5重量%以下、下限が0.1重量%以上である。
本発明で用いられる脂肪族ポリエステル樹脂(B')の合成方法は、オキシカルボン酸
成分、ジオール成分及び/又はジカルボン酸成分を適宜選択し、公知の合成方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、脂肪族ポリエステル樹脂(B')の合成は、通
常エステル化反応とそれに続く重合反応によって行われる。エステル化反応は、温度120℃〜290℃、好ましくは150℃〜290℃、反応時間1時間以上、好ましくは1〜10時間、不活性乾燥ガス雰囲気下で、常圧で行えばよい。それに続く重合反応は、温度150℃〜300℃、好ましくは180℃〜300℃、反応時間1時間以上、好ましくは2〜15時間、圧力は常圧より徐々に減圧にし、最終的に10mmHg以下、好ましくは1mmHg以下で行えばよい。上述の工程はそれぞれバッチ方式で行ってもよく、また連続的に行ってもよく、反応装置は公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。また必要に応じて溶融重合の後に固相重合を行ってもよい。
合成された脂肪族ポリエステル樹脂(B‘)の中でも、生分解性が高く且つ融点や耐熱性の高いグリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのような脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重合体が好ましく、より好ましくは、ポリ乳酸である。
以下に、一例としてポリ乳酸の合成方法について記載する。
ポリ乳酸の合成方法は、特に限定されるものではなく、通常、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料として一旦環状2量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う2段階のラクチド法や、L−乳酸および/またはD−乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が用いられる。
具体的には、ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマー中に含有される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸斑の原因となるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中に含有される環状2量体の含有量を0.5重量%以下とすることが望ましい。直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の観点からはより好適である。
ポリ乳酸の数平均分子量は、通常、上限は100万以下、下限は5万以上、好ましくは、上限は50万以下、下限は8万以上であり、より好ましくは、上限は30万以下、下限は10万以上である。数平均分子量が小さすぎる場合には繊維の強度物性が低下する傾向がある。また大きすぎる場合には溶融粘度が高くなりすぎ、溶融紡糸が困難になる場合がある。
ポリ乳酸中のL−乳酸のD−乳酸に対するモル比は90/10以上が好ましく、より好ましくは95/5以上である。D−乳酸のモル比が高くなると、耐熱性、弾性率が低下する傾向がある。
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸の他にエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。
共重合成分は、ポリ乳酸に対して、通常、下限が0wt%以上、上限は50wt%以下であり、好ましくは、下限は0.1wt%以上、上限は30wt%以下である。
(2)脂肪族ポリエステル繊維(B)の製造方法
脂肪族ポリエステル繊維(B)は、脂肪族ポリエステル樹脂(B')を溶融紡糸し、延
伸することによって得られる。溶融紡糸の方法は公知の方法を用いればよく、特に限定されない。通常、溶融紡糸の後、熱延伸または冷延伸し繊維とする方法が用いられるため、その方法について記述する。
溶融紡糸を行う温度は、脂肪族ポリエステル樹脂(B')の分子量に応じて適宜決めれ
ばよいが、脂肪族ポリエステル樹脂(B')の分解による分子量低下を防ぐためには、な
るべく低い温度であることがよく、具体的には、通常は下限が120℃以上、上限が300℃以下であり、好ましくは、下限が130℃以上、上限が260℃以下である。溶融紡糸の工程では、通常、ノズルから脂肪族ポリエステルを押し出して紡糸するが、ノズルの形状、糸の断面の形状、サイズ等は特に限定されない。また、中空繊維用のノズルを用いて中空繊維としてもよい。
溶融紡糸時のドラフト(=紡糸速度/吐出線速度)は、未延伸繊維の結晶性、配向度の向上と糸切れの現象を考慮すると、通常下限が50以上、上限が200以下の範囲であることが好ましい。
このようにして溶融紡糸の工程で得られた脂肪族ポリエステル繊維(B)の結晶性を上げるために、通常冷延伸あるいは熱延伸を行う。延伸倍率は下限が4倍以上、上限が10倍以下であることが好ましい。延伸倍率が小さすぎる場合には繊維の配向及び結晶化度が充分でなく十分な強度、高融点が得られない傾向がある。また、延伸倍率が大きすぎると、繊維の切れ等が発生し製造効率上好ましくない。
延伸方法は、公知の任意の方法を用いればよく、特に限定されない。一段方式でも多段方式でもよく多段延伸方式で延伸する場合は、段ごとに延伸温度、変形速度、延伸倍率を変えて延伸してもよい。
延伸温度は、脂肪族ポリエステル繊維(B)のTg(ガラス転移点)以上、脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度以下であることが好ましい。また、さらに繊維の結晶化度を上げるため、延伸後に延伸温度より高い温度で熱処理を行ってもよい。熱処理は定長で行ってもよく、また繊維の長さを90%以上に保ち緩和させた状態で行ってもよい。
延伸後、繊維を所定長に切断する。
脂肪族ポリエステル繊維(B)を切断する長さは、通常下限が0.5mm以上、上限が30mm以下であり、好ましくは、下限が1mm以上、上限が20mm以下である。短すぎると、剛性、耐熱性等が低下する傾向があり、長すぎると、外観が悪化する傾向がある。
なお、繊維の断面形状については丸断面の他、扁平、中空、三角、5葉あるいは8葉などの多葉断面などの異形断面のいずれでも差し支えない。
(3)脂肪族ポリエステル繊維(B)の物性
脂肪族ポリエステル繊維(B)の直径は、通常、上限が100ミクロン以下、下限が0.03ミクロン以上であり、好ましくは、上限が50ミクロン以下、下限が0.05ミクロン以上であり、最も好ましくは、上限が30ミクロン以下、下限が0.1ミクロン以上である。直径が小さすぎると、繊維の取り扱いが難しくなる傾向があり、大きすぎると、剛性、耐熱性などの期待される物性が発現しない傾向がある。
脂肪族ポリエステル繊維(B)のアスペクト比は、通常、上限が100000以下であり、下限が10以上であり、好ましくは、上限が80000以下、下限が10以上である。最も好ましくは、上限が50000以下、下限20以上である。この比が低すぎると、剛性、耐熱性などの期待していた物性が発現しない傾向があり、高すぎると、外観不良の原因になる傾向がある。ここでいうアスペクト比とは、繊維の長さと直径の比、すなわち、繊維の長さ/繊維の直径の値である。
脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度は、下記式(I)を満たすものである

(数1)
〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕≧30℃ (I)
好ましくは、〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕の値が、通常上限が150℃以下、より好ましくは、上限が120℃以下、下限が40℃以上である。ここでいう融解開始温度とは示差走査熱量計による融解開始温度測定方法によって得られた溶融開始の温度を示す。
具体的には、上記式(I)を満たす脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度は、140℃以上であることが好ましく、より好ましくは150℃以上のものであり、さらに好ましくは160℃以上である。一方、脂肪族ポリエステル繊維の融解開始温度が低すぎると、脂肪族ポリエステル樹脂(A)との混合や成形が困難になる傾向がある。
<脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)のブレンド方法>
上述で合成された脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とをブレンド(混練)することにより、脂肪族ポリエステル組成物が得られる。
脂肪族ポリエステル組成物における脂肪族ポリエステル樹脂(A)に対する脂肪族ポリエステル繊維(B)の混合比率(重量比)は、脂肪族ポリエステル樹脂(A)/脂肪族ポリエステル繊維(B)が、5/95以上40/60以下であることが好ましく、90/10以上50/50以下であることがより好ましく、最も好ましくは、85/15以上60/40以下である。
脂肪族ポリエステル繊維(B)の含有量が少なすぎると、脂肪族ポリエステル繊維(B)の添加による剛性及び耐熱性の向上が不十分となる傾向にあり、脂肪族ポリエステル繊維(B)の含有量が多すぎると、脂肪族ポリエステル繊維(B)の添加効果の物性の向上が得られない場合があり、却って成形性等が低下する傾向にある。
また、本発明の脂肪族ポリエステル組成物には、公知慣用の酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、金属石鹸類、滑剤、界面活性剤、着色剤、発泡剤等を添加することもできる。本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、脂肪族ポリエステル組成物に対して、0.01〜10重量%が好ましい。
添加物は、任意の形態で配合できる。例えば、固体で配合してもよいし、溶剤に溶解した溶液として、あるいは、溶剤に分散させたスラリーとして配合してもよい。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)の混練方法は特に制限されず、脂肪族ポリエステル樹脂(A)中に脂肪族ポリエステル繊維(B)を溶融させることなく分散せしめることが可能な方法であればよい。
脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)を混練する温度は、脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度以下である。具体的には、混練によるせん断発熱を考慮した上で、脂肪族ポリエステル繊維(B)が溶融せず脂肪族ポリエステル樹脂(A)は溶融する温度を適宜選択し、それを混練する温度とする。
混練する時間は、特に限定されず、脂肪族ポリエステル樹脂(A)中に脂肪族ポリエステル繊維(B)が均一に分散している状態になればよく、混練樹脂量と種類やその他の混練条件によって適宜決めればよい。
混練装置は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等が挙げられるが、押出機等を用いてポリマーを溶融させながら混練する方法を用いることもできる。
混練する際の回転数は、通常、上限が250rpm以下、下限が30rpm以上であるが、回転数が速すぎるとせん断発熱により樹脂の温度が著しく上昇し、脂肪族ポリエステル繊維(B)が溶融する恐れがあり、回転数が遅すぎると混合が進まない傾向があるため、好ましくは上限が200rpm以下、下限が35rpm以上、より好ましくは上限が150rpm以下、下限が40rpm以上である。
なお、得られる脂肪族ポリエステル組成物は、樹脂成分中に脂肪族ポリエステル樹脂(A)中に脂肪族ポリエステル繊維(B)を溶融させることなく分散している状態にある組成物である。また特性としては、生分解性を有し、且つ適度な柔軟性と剛性と耐熱性及び好色調を有するものである。
脂肪族ポリエステル組成物をプレス成形することにより得られたシートの曲げ弾性率は、通常、上限が2500Mpa以下、下限が800Mpa以上、好ましくは、上限が2200Mpa以下、下限が1000Mpa以上である。曲げ弾性率が高すぎると、衝撃強度が低下し脆くなる傾向があり、低すぎると、コシがなくなり成形品の形状保持が困難になる傾向がある。
また、脂肪族ポリエステル組成物をプレス成形することにより得られたシートのヒートサグ試験による100℃における熱たわみ量は、通常、上限が 10mm以下で、より好ましくは8mm以下である。熱たわみ量が小さいほど成形品の熱変形量が小さくなり、耐熱性が高くなる傾向にある。
混練して得られた脂肪族ポリエステル組成物の成形方法は、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形方法と同様な方法をいずれも適用することができる。具体的には、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等を採用することができる。
<脂肪族ポリエステル組成物の用途>
このようにして得られた脂肪族ポリエステル組成物は、フィルム、ラミネートフィルム、シート、板、延伸シート、多孔性フィルム、合成紙、ブローボトル、発泡体などの各種成形品に利用可能である。
以下に本発明の実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
<繊維の直径>
脂肪族ポリエステル繊維(B)数本をスライドガラス上に載せ、光学顕微鏡用オイルを上から一滴垂らした上にカバーガラスを載せ空気が抜けるよう軽く加圧し観察検体とした。偏光顕微鏡で400倍あるいは200倍の対物レンズを用い検体中の繊維に焦点を合わせ、ポラロイドカメラにより写真撮影した。同倍率、同条件で撮影したスケール(最小目盛り10ミクロン)の目盛り長さより、繊維の平均的直径を算出した。
<アスペクト比>
繊維の直径と繊維の切断長から、以下の式により求めた。
アスペクト比=繊維の切断長(mm)/繊維の直径(mm)
<曲げ弾性率>
プレス成形により得られたシートから曲げ試験片(長さ60mm、幅8mm、厚さ2.0mm)を切り出し、24時間以上状態調節(23℃、50RH%)した後、JIS K7203に規定される曲げ弾性率の測定方法に準じて前記曲げ試験片の曲げ弾性率を測定した。
<ヒートサグ試験>
プレス成形により得られたシートからヒートサグ試験片(長さ125mm、幅10mm、厚み2.0mm)を切り出し、24時間以上状態調節(23℃、50RH%)したのち、JIS K7195規定されるヒートサグ測定方法に準じ、オーバーハング量100mm、100℃、1時間保持後の熱たわみ量を測定した。
<脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度>
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7を用いて測定した。乾燥させた繊維10mgを切り出しアルミニウム製固体用標準パンに封入した。ブランクには空のパンを用いた。窒素雰囲気下、室温から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。このとき示差走査熱量曲線の平坦領域の接線と、主吸熱ピークの立ち上がり温度と吸熱ピーク温度の中点温度における接線との交点温度を融解開始温度とした。
<脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点>
パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7を用いて、乾燥させた試料10mgを切り出しアルミニウム製固体用標準パンに封入した。ブランクには空のパンを用いた。窒素雰囲気下200℃に5分間保持し、10℃/分で0℃まで降温させた後1分間保持し、続いて10℃/分で200℃まで昇温させた。このときの示差走査熱量曲線の主吸熱ピーク温度を融点とした。
合成例1
L−ラクチド2000gに開環重合触媒としてオクチル酸錫0.02gを加え、190〜200℃で約27時間、窒素ガス雰囲気下で溶融攪拌し、反応を進行させた後、1〜3torrまで減圧し、ポリマー中に残存するL−ラクチドを除去し、重量平均分子量189,000のポリL−乳酸を得た。
実施例1
合成例1で得られたポリL−乳酸を190℃で紡糸ドラフト100にて溶融紡糸し、未延伸繊維を得た。次に、未延伸繊維を120℃で7倍に延伸し、次いで130℃で1時間
熱処理した後に2mm長さにカットし、脂肪族ポリエステル繊維(B)とした。脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度を測定したところ、160℃であった。また繊維直径は約5μmであり、アスペクト比は約400であった。また、脂肪族ポリエステル樹脂(A)としてポリブチレンサクシネート(三菱化学社製、AZ91T)を用いた。脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点を測定したところ、111℃であった。続いて脂肪族ポリエステル樹脂(A):脂肪族ポリエステル繊維(B)=70:30の重量比で、ラボプラストミル(東洋精機社製)により135℃、50rpmにおいて10分間混練した。その後平均5ミリ径の樹脂塊に粉砕し、脂肪族ポリエステル組成物とした。
得られた脂肪族ポリエステル組成物を2mm厚スペーサーにつめ、150℃、10kgw/cm2の加圧下において5分間保ち、その後水冷プレスにより冷却しプレスシートに
成形した。得られた脂肪族ポリエステルシートから曲げ試験用として長さ60mm、幅8mm、厚さ2.0mmおよびヒートサグ試験用として長さ125mm、幅10mm、厚さ2.0mmを切り出し、曲げ試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
実施例2
実施例1で得られた脂肪族ポリエステル繊維(B)と、ポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル(三菱化学社製、AZ91T):脂肪族ポリエステル繊維(B)=90:10の重量比で、ラボプラストミルにより135℃、50rpm、10分間混練し、その後粉砕し、脂肪族ポリエステル組成物とした。実施例1と同様にプレス成形し脂肪族ポリエステルシートを得た。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
実施例3
バイオマックス(デュポン社製、R2024)を脂肪族ポリエステル樹脂(B‘)として使用した。
240℃で紡糸ドラフト100にて溶融紡糸し、未延伸繊維を得た。次に、未延伸繊維を140℃で7倍に延伸し、次いで150℃で1時間熱処理した後に1.5mm長さにカ
ットし、脂肪族ポリエステル繊維(B)とした。得られた脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度を測定したところ、182℃であった。偏光顕微鏡での観察結果より、繊維直径は約7μmであり、アスペクト比は約210であった。実施例1と同じく脂肪族ポリエステル樹脂(A)はポリブチレンサクシネート(三菱化学社製、AZ91T)を用いた。脂肪族ポリエステル樹脂(A):脂肪族ポリエステル繊維(B)=70:30の重量比で、ラボプラストミルにより150℃、50rpmにおいて10分間混練した。その後実施例1と同様に粉砕し、シート成形した。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
比較例1
ポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル(三菱化学社製、AZ91T):綿繊維(長谷川綿行社、繊維径12〜38μ、20mm長さにカットして使用、アスペクト比約500〜1600)=70:30の重量比で、ラボプラストミルにより135℃、50rpm、10分間混練した。その後粉砕し、比較用材料とした。実施例1と同様にプレス成形しシートを得た。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
比較例2
ポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル(三菱化学社製、AZ91T):ポリ乳酸(実施例1で繊維化する前のものをそのまま用いた)=70:30の重量比で、ラボプラストミルにより200℃、50rpm、10分間混練した。その後粉砕し、プレス温度を200℃に変更した以外は実施例1と同様にプレス成形しシートを得た。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
比較例3
ポリブチレンサクシネート系脂肪族ポリエステル(三菱化学社製、AZ91T)100%の材料をラボプラストミルにより135℃、50rpm、10分間溶融混練した。その後粉砕し、実施例1と同様にプレス成形しシートを得た。得られたシートについて、実施例1と同様に曲げ弾性率試験、100℃でのヒートサグ試験、目視によるサンプルの均一性及び色測定を行った。
以上の実施例及び比較例の結果を表1に示した。
Figure 2006249245

Claims (4)

  1. 脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位を必須成分とする脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを含有してなる脂肪族ポリエステル組成物であって、脂肪族ポリエステル繊維(B)が、下記条件式(I)を満たすものであることを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物

    (数1)
    〔脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度(℃)〕−〔脂肪族ポリエステル樹脂(A)の融点(℃)〕≧30℃ (I)
  2. 脂肪族ポリエステル繊維(B)が、直径100ミクロン以下であり、且つアスペクト比10以上である、請求項1に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
  3. 脂肪族ポリエステル繊維(B)の主成分がポリ乳酸である、請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル組成物。
  4. 脂肪族ポリエステル樹脂(A)と脂肪族ポリエステル繊維(B)とを、脂肪族ポリエステル繊維(B)の融解開始温度以下の温度で混練することを特徴とする、脂肪族ポリエステル組成物の製造方法。
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