JPH11181262A - 乳酸系ポリマー組成物及びその成型品 - Google Patents

乳酸系ポリマー組成物及びその成型品

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JPH11181262A
JPH11181262A JP35793797A JP35793797A JPH11181262A JP H11181262 A JPH11181262 A JP H11181262A JP 35793797 A JP35793797 A JP 35793797A JP 35793797 A JP35793797 A JP 35793797A JP H11181262 A JPH11181262 A JP H11181262A
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lactic acid
based polymer
acid
polymer composition
plasticizer
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Yasumasa Horibe
泰正 堀部
Jiro Ishihara
二郎 石原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、十分な熱安定性をもち、かつ柔軟
で透明な乳酸系ポリマー組成物を提供する。 【解決手段】 本発明は、下式で示されるエーテルエス
テル系可塑剤を含む乳酸系ポリマー組成物と、その成形
品に関するものである。 R(OR´)nOOC−R”−COO(R´O)mR (Rはアルキル基を示し、R´はアルキレン基を示し、
R”は2価の有機基を示し、mおよびnは各々独立に1
〜500を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ乳酸を主成分
としエーテルエステル系可塑剤成分を含む生分解性樹脂
組成物に関する。本発明の組成物は耐衝撃性に優れ、そ
の配合比率により所望の強度あるいは柔軟性を制御で
き、さらに透明性が有り、包装材料や各種成型品などの
軟質材料に利用できる。
【0002】
【従来技術】近年、自然保護の観点から、自然環境中で
分解する生分解性樹脂、及びその成型品が求められ、脂
肪族ポリエステルなどの自然分解性樹脂の研究が活発に
行われている。特に乳酸系ポリマーは、その剛直な分子
構造の為に耐衝撃性に劣り脆いという欠点があり、これ
ら乳酸系ポリマーの改良が望まれている。一般的に、柔
軟性と透明性を有する樹脂成形物を製造するには、可塑
剤やエラストマー等を樹脂に添加する方法が用いられて
いる。
【0003】米国特許3736646 号と米国特許3982543 号
に可塑剤として揮発性溶剤を用いることが開示されてい
る。しかし揮発性の為、製品が経時変化してしまい物性
が変化し、効果がなくなる恐れがある。また医療・ 食品
用途においては安全性も危惧される。
【0004】米国特許5076983 号には、可塑剤としてヒ
ドロキシカルボン酸の環状2量体、直鎖2量体、直鎖状
オリゴマーを含むポリヒドロキシカルボン酸フィルムが
開示されており、米国特許5180765 号には可塑剤として
乳酸モノマー、ラクチド、直鎖状乳酸オリゴマーを含む
ポリ乳酸が開示されている。この系は添加物の成分が主
成分と同一の為、相溶性は非常に良い。しかし、これら
の添加物は、その性状から容易に加水分解が起き、その
分解物がポリマーの劣化を促進する。従って経時安定性
が悪い。
【0005】特開平6-306264号公報には、可塑剤として
環状乳酸オリゴマーを含むポリ乳酸が開示されている。
この系も、添加物の成分が主成分と同一の為、相溶性が
非常に良く、さらに加水分解も起きにくい。しかも、特
開平7-173266号公報から、環状2量体( ラクチド) の分
解温度が185 ℃と加工温度近辺であることが分かるよう
に、添加する環状体は分解が起き、よって耐熱性が不安
定で、さらに製品に加工する際、添加物が昇華飛散する
為製造工程での装置への付着汚染が起き、かつポリマー
中から添加物が消失することによって物性が変化する
為、製品安定性が良くない。
【0006】また、特開平8-199052号公報、特開平8-19
9053号公報、特開平8-283557号公報等にはポリエチレン
グリコール等のエーテル結合含有グリコールを用いた
(ポリ)エステル系可塑剤を用いることが提案されてい
るが、これらの可塑剤を用いた場合には成形直後の透明
性は比較的良好であるが、経時的に物性が低下してしま
うため、満足できるものではなかった。
【0007】以上からも分かるように、生分解樹脂とし
てのポリ乳酸に、安定して添加される可塑剤は見つかっ
ていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、使用
条件下で十分な熱安定性をもち、かつ柔軟で透明な乳酸
を主成分とする乳酸系ポリマー組成物を提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決する為
に、本発明者等は鋭意検討の結果、特定のエーテルエス
テル系可塑剤を含んだ乳酸系ポリマーが柔軟性を持ち、
かつ透明で、十分な熱安定性を持つことを見出し、本発
明を完成した。
【0010】即ち、本発明は、下式で示されるエーテル
エステル系可塑剤を含む乳酸系ポリマー組成物と、その
成形品に関するものである。 R(OR´)nOOC−R”−COO(R´O)mR (Rはアルキル基を示し、R´はアルキレン基を示し、
R”は2価の有機基を示し、mおよびnは各々独立に1
〜500を示す。) 本発明において乳酸系ポリマーとは、ポリ乳酸ホモポリ
マーの他、乳酸コポリマー、ブレンドポリマーをも含む
ものである。
【0011】乳酸系ポリマーの重量平均分子量は、一般
に5 〜50万である。また、乳酸系ポリマーにおけるL−
乳酸単位、D−乳酸単位の構成モル比L/Dは、100 /
0 〜0 /100 のいずれであっても良いが、高い融点を得
るにはL乳酸あるいはD乳酸いずれかの単位を75モル%
以上、更に高い融点を得るにはL乳酸あるいはD乳酸の
いずれかの単位を90モル%以上含む事が好ましい。
【0012】乳酸コポリマーは、乳酸モノマー又はラク
チドと共重合可能な他の成分とが共重合されたものであ
る。このような他の成分としては、2個以上のエステル
結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコー
ル、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、及びこれら種
々の構成成分より成る各種ポリエステル、各種ポリエー
テル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
【0013】ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸等が挙げられる。
【0014】多価アルコールの例としては、ビスフェノ
ールにエチレンオキサイドを付加反応させたものなどの
芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オ
クタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロ
ールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多
価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等のエーテルグリコール等が挙げられる。ヒド
ロキシカルボン酸の例としては、グリコール酸、ヒドロ
キシブチルカルボン酸、その他特開平6-184417号公報に
記載されているもの等が挙げられる。
【0015】ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプ
ロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロ
ピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブ
チロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等
が挙げられる。
【0016】乳酸系ポリマーは、従来公知の方法で合成
させたものである。即ち、特開平7-33861 号公報、特開
昭59-96123号公報、高分子討論会予稿集44巻3198-3199
頁に記載のような乳酸モノマーからの直接脱水縮合、ま
たは乳酸環状2 量体ラクチドの開環重合によって合成す
ることが出来る。
【0017】直接脱水縮合を行う場合、L−乳酸、D−
乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物のいずれの乳酸
を用いても良い。又、開環重合を行う場合においても、
L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、又はこ
れらの混合物のいずれのラクチドを用いても良い。
【0018】ラクチドの合成、精製及び重合操作は、例
えば米国特許4057537 号明細書、公開欧州特許出願第26
1572号明細書、Polymer Bulletin, 14, 491-495(1985)
及びMakromol Chem., 187, 1611-1628(1986) 等の文献
に様々に記載されている。
【0019】この重合反応に用いる触媒は、特に限定さ
れるものではないが、公知の乳酸重合用触媒を用いる事
が出来る。例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル
酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジス
テアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸ス
ズ、β−ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等のスズ系化
合物、粉末スズ、酸化スズ;亜鉛末、ハロゲン化亜鉛、
酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物;テトラプロピルチタネー
ト等のチタン系化合物;ジルコニウムイソプロポキシド
等のジルコニウム系化合物;三酸化アンチモン等のアン
チモン系化合物;酸化ビスマス等のビスマス系化合物;
酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド等の
アルミニウム系化合物等を挙げることができる。
【0020】これらの中でも、スズ又はスズ化合物から
なる触媒が活性の点から特に好ましい。これらの触媒の
使用量は、例えば開環重合を行う場合、ラクチドに対し
て0.001 〜5重量%程度である。
【0021】重合反応は、上記触媒の存在下、触媒種に
よって異なるが、通常100 〜220 ℃の温度で行う事がで
きる。また、特開平7-247345号公報に記載のような2段
階重合を行う事も好ましい。
【0022】乳酸/ ヒドロキシカルボン酸共重合体の製
造方法としては、例えば特開平6-306264号公報に記載さ
れており、その公報には、乳酸とヒドロキシカルボン酸
を直接脱水重縮合するか、乳酸環状2量体( ラクチド)
とヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば
グリコール酸の2量体であるグリコライド等の共重合可
能なモノマーを適宜用いて開環重合する方法で開示され
ている。
【0023】乳酸/ ジオールジカルボン酸共重合体の製
造方法としては、例えば特開平7-173266号公報に記載さ
れており、その公報には、開環重合触媒の存在下で乳酸
環状2量体と種々の構成割合からなる脂肪族ジカルボン
酸成分及びジオール成分からなるポリエステルポリマー
とを反応させるという方法で開示されている。
【0024】前記式で示されるエーテルエステル系可塑
剤は、両末端がエーテルアルコールで封鎖されたジエス
テル構造を有することを特徴とするものである。結合基
R”は両末端にカルボキシル基を有する有機基であれば
特に制限を受けず、ジカルボン酸から2個のカルボキシ
ル基を除いた残基、あるいは、ジカルボン酸、グリコー
ル酸、ヒドロキシカルボン酸またはラクトン類、炭酸等
から形成される分子鎖中にエステル結合、カーボネート
結合、エーテル結合等を有する有機基等があげられる。
これらの中でも、ポリ乳酸系ポリマーに対する相溶性、
可塑化効率等の観点からジカルボン酸から2個のカルボ
キシル基を除いた残基であることが好ましい。
【0025】上記ジカルボン酸としては、例えば、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、ドデカンニ酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ジ
グリコール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル
酸等の脂肪族、芳香族または脂環族のジカルボン酸があ
げられる。
【0026】上記グリコール酸としては、例えば、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロピ
レングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2
−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、
1,4−ブチレングリコール、3−メチルペンタンジオ
ール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノール
A、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等があ
げられる。
【0027】上記ヒドロキシカルボン酸またはラクトン
類としては、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリ
ド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β,
γまたはδ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バ
レロラクトンなどのラクトン類およびこれらのラクトン
類から得られるヒドロキシカルボン酸があげられる。
【0028】また、Rで表されるアルキル基としては、
例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブ
チル、第ニブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、
ヘキシル、へプチル、オクチル、イソオクチル、2−エ
チルへキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等の炭
素原子数1〜20のものがあげられる。
【0029】また、R´で表されるアルキレン基として
は、例えば、エチレン、1,2−プロピレン、1,2−
ブチレン、1,4−ブチレン等の炭素原子数2〜8のも
のがあげられる。また、nおよびmは各々独立に1〜5
00を示すが、大きすぎると熱安定性が低下する傾向が
あるので、各々1〜100が好ましく、特に1〜20が
好ましい。
【0030】また、前記式で表されるエーテルエステル
系可塑剤の分子量は特に制限はないが、あまりにも高分
子量のものは相溶性に劣ったり、熱安定性が不十分とな
るので、一般には分子量250〜30000、更には2
50〜10000、特に300〜5000のものが好ま
しい。
【0031】従って、本発明で用いられる前記式で表さ
れるエーテルエステル系可塑剤の具体例としては、下記
に示すものがあげられる。
【0032】
【式】
本発明における乳酸系ポリマー組成物の柔軟性は、エー
テルエステル系可塑剤の添加量で制御でき、その添加量
は、乳酸系ポリマー100 重量部に対して、1〜300 重量
部が好ましい。1重量部未満の場合は、添加の効果が不
十分となる場合があり、また300 重量部を越えると乳酸
系ポリマー組成物にブリードが生じ、経時変化の原因と
なる為好ましくない。更に好ましくは5重量部以上〜15
0 重量部未満、更に好ましくは10重量部以上〜100 重量
部以下含むポリ乳酸が、一般的な使用条件下で、熱安定
性、柔軟性及び透明性において十分な性質を示す。特に
柔軟性を求める用途には、30〜100 重量部が好ましく、
耐衝撃性を求める用途には10〜30重量部が好ましい。
【0033】乳酸系ポリマーにエーテルエステル系可塑
剤を配合する方法は、特に制限されるものではなく、従
来公知の方法で作成でき、例えば、1軸または複数軸の
攪拌機が設置された縦形反応容器または横形反応容器、
1軸または複数軸の掻き取り羽が配設された横形反応
機、又、1軸または複数軸のニーダーや、1軸または複
数軸の押出機等の反応装置を単独で用いて混練すればよ
く、または複数基を直列または並列に接続して用いても
よい。この混合混練は、通常120 〜220 ℃程度の温度で
行われる。
【0034】またラクチド、乳酸モノマー、乳酸オリゴ
マー及びその他の共重合成分から始まる種々の重合反応
工程の段階から可塑剤を添加してもよい。
【0035】本発明で作成される可塑剤を含む乳酸系ポ
リマー組成物は、生分解性も良好で、使用後や製造工程
上からの廃棄物減量に役立つ。特に、コンポスト中での
分解性に優れており、3〜6ヶ月で外形が保たないまで
分解できる。本発明の乳酸系ポリマー組成物は、一般の
プラスチックと同様の押出成形、射出成形、真空成形、
圧空成形等の成形に応用できるため、各種成形品を容易
に得ることが出来る。
【0036】用途としては、シート・フィルム等に成形
してごみ袋などの包装材料、または軟質チューブ等の軟
質塩ビ材料利用分野の代替え品として用いることが出来
るが、これらに限定されない。
【0037】更に、本発明の乳酸系ポリマー組成物に
は、副次的にそれ以外の可塑剤や添加物を加えて色々な
改質を行う事が出来る。添加剤の例としては、熱安定
剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色
剤、各種フィラー、帯電防止剤、離型剤、香料、滑剤、
難燃剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、核形成剤等、その他
の類似のものが挙げられる。
【0038】本発明において、柔軟性は、島津製作所製
『動的粘弾性分析装置(DVA-300) 』を用いて、動的粘弾
性の温度依存性に関する試験(JIS K 7198A法) での動
的貯蔵弾性率(E')を昇温速度5℃/min 、ひずみ10Hzで
測定し、その25℃における値で確認した。
【0039】JIS K 7198A 法での動的貯蔵弾性率(E')
とは、物理的にその組成物や成型品の剛性( 硬さ、柔ら
かさ) を表しており、25℃での温度における動的貯蔵
弾性率(E')の値を比較して、ポリ乳酸よりその値が小さ
ければ、柔軟性が良くなった(可塑化された)と判断で
きる。本発明の乳酸系ポリマー組成物は、JIS K 7198A
法での動的貯蔵弾性率が、25℃の温度において109
a以下である。
【0040】本発明の乳酸系ポリマー組成物及び成型品
の製造方法は、一般のプラスチックと同様の射出成形、
真空成形、圧空成形等の成形に応用できるため、棒、ビ
ン、容器等の各種成形品を容易に得ることが出来る。
【0041】本発明及び以下の実施例において、重合体
の重量平均分子量(Mw)は島津製作所製HPLCを用いて、GP
C 分析によるポリスチレン換算値、L-乳酸、D-乳酸構成
比の分析は、島津製作所製HPLCを用いて分析した。動的
貯蔵弾性率の測定は、動的粘弾性の温度依存性に関する
試験(JIS K 7198A法) に準じて行った。透明性につい
ては、目視にて判断した。また評価の段階において島津
製作所製DSC(示差走査熱量計,DSC-50)を用いて其々のガ
ラス転移点、結晶化点、融点を参考にした。
【0042】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具
体的に説明する。 (実施例1〜14および比較例1〜3)ポリ乳酸(株式
会社島津製作所製「ラクティ」、分子量18万、D−乳
酸/L−乳酸=3/97、以下PLAと称する)100
重量部に対し、表1に示した可塑剤を所定量混合し、1
80℃のニ軸混練押出機で5分間溶融混合し、口金から
ストランド状に押し出し、水冷後、切断して可塑剤を含
む乳酸系ポリマー組成物のチップを得た。
【0043】得られたチップを80℃で真空乾燥し、絶
乾状態とした後、金型温度を25℃に保って射出成形に
よって厚さ1mmの名刺大プレートを製作した。
【0044】この名刺大のプレートから、10mm×5
0mmの短冊状の試験片を切り出し、成形直後および5
日間室温放置後の試験片について動的粘弾性の温度依存
性に関する試験(JIS K 7198A法)での動的
貯蔵弾性率(Pa)を測定し、また、試験片の透明性を
目視によって判定した。これらの結果を表1に示す。
【0045】
【表1】 表の結果から明らかなように、本発明の特定のエーテル
エステル系可塑剤を配合した場合は、成形直後の透明性
が良好で弾性率が小さいばかりでなく、5日間放置後に
おいても透明性が良好で、また、弾性率の増大も小さ
く、良好な物性を維持しているのに対し、エーテル結合
を持たないジオクチルアジぺートまたはエーテルエステ
ル系可塑剤であっても本発明の可塑剤とは異なるエーテ
ルグリコールの脂肪酸エステルを用いた場合は、成形直
後の透明性は良好で、弾性率も比較的小さいが、5日間
放置後においては結晶化が促進されて白濁し、また、弾
性率も上昇してしまうため、実用上は全く不満足なもの
しか得られない。
【0046】
【発明の効果】乳酸系ポリマーに対し、末端基としてエ
ーテルアルコールを用いた特定のエーテルエステル系可
塑剤を添加することによって、経時安定性に優れた、柔
軟で透明な乳酸系ポリマー組成物が得られる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式で示されるエーテルエステル系可塑
    剤を含む乳酸系ポリマー組成物。 R(OR´)nOOC−R”−COO(R´O)mR (Rはアルキル基を示し、R´はアルキレン基を示し、
    R”は2価の有機基を示し、mおよびnは各々独立に1
    〜500を示す。)
  2. 【請求項2】 R”がアルキレン基であるエーテルエス
    テル系可塑剤を含む請求項1記載の乳酸系ポリマー組成
    物。
  3. 【請求項3】 エーテルエステル系可塑剤の分子量が2
    50〜30000である請求項1または2記載の乳酸系
    ポリマー組成物。
  4. 【請求項4】 重量平均分子量が10万以上の乳酸系ポリ
    マーを用いた請求項1〜3記載の乳酸系ポリマー組成
    物。
  5. 【請求項5】 乳酸系ポリマー100重量部に対してエ
    ーテルエステル系可塑剤を1〜300重量部含む請求項
    1〜4記載の乳酸系ポリマー組成物。
  6. 【請求項6】 JIS K 7198A法で測定した動的貯蔵
    弾性率が、25℃の温度において109 Pa以下である請
    求項1〜5記載の乳酸系ポリマー組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の乳酸系ポリマー組成
    物からなる成型品。
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