JP7090523B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
(1) ポリヒドロキシアルカノエートと、式:H2N-OC-R1-CO-NH2(R1は2価の炭化水素基を示す)で表されるジアミド化合物とを含む樹脂組成物。
(2) R1が、炭素数が偶数のアルキレン基を示す、前記(1)に記載の樹脂組成物。
(3) ジアミド化合物がスクシンアミド又はアジポアミドである、前記(1)に記載の樹脂組成物。
(4) ポリヒドロキシアルカノエートがポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)である、前記(1)~(3)のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(5) ジアミド化合物の含有量が、ポリヒドロキシアルカノエート100重量部に対して0.05~20重量部である、前記(1)~(4)のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
(6) 前記(1)~(5)の何れか1つに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
(7) ポリヒドロキシアルカノエートに対し、式:H2N-OC-R1-CO-NH2(R1は2価の炭化水素基を示す)で表されるジアミド化合物を配合することを特徴とする、ポリヒドロキシアルカノエートの固化促進方法。
本発明は、ポリヒドロキシアルカノエートと、特定のジアミド化合物とを含む、ポリエステル樹脂組成物に関する。ポリヒドロキシアルカノエートとしては、少なくとも3-ヒドロキシアルカン酸単位を含むポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)が好ましい。以下では、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)をP3HAと略する場合がある。
本発明で用いられるP3HAとは、モノマー単位として3-ヒドロキシアルカン酸単位を含有するポリエステルであり、特に、式:[-CHR-CH2-CO-O-](式中、RはCnH2n+1で表される直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示し、nは1以上15以下の整数である。)で示される繰り返し単位を含むポリエステルが好ましい。該ポリエステルは単独重合体であってよいし、前記繰り返し単位を2種類以上含む共重合体であってもよい。このような共重合体は、単独重合体と比較して融点が低くなり得るために、溶融時の温度を低くすることができ、高温による樹脂の分解を抑制できるため好ましい。
本発明の樹脂組成物は、特定のジアミド化合物を含有する。当該ジアミド化合物は、ポリヒドロキシアルカノエートに対する結晶核剤または固化促進剤として作用し得る。前記ジアミド化合物は、式:H2N-OC-R1-CO-NH2で表される化合物である。
前記式中、R1は、2価の炭化水素基を示す。当該炭化水素基は、炭素数1~20であることが好ましく、炭素数1~10であることがより好ましく、炭素数2~6であることがさらに好ましい。前記炭化水素基は、飽和の炭化水素基、不飽和の炭化水素基のいずれであってもよいが、飽和の炭化水素基であることが好ましい。また、前記炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基、脂環式基のいずれであってもよいが、脂肪族基であることが好ましい。さらに、前記脂肪族基は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよいが、直鎖状であることがより好ましい。特に、前記炭化水素基は、炭素数が偶数のアルキレン基であることが好ましく、具体的には、-(CH2)2-基、-(CH2)4-基、-(CH2)6-基、-(CH2)8-基が好ましい。
前記ジアミド化合物の具体例としては、特に限定されないが、マロン酸ジアミド、スクシンアミド(コハク酸ジアミド)、グルタル酸ジアミド、アジポアミド(アジピン酸ジアミド)、ピメリン酸ジアミド、スベリン酸アミド、アゼライン酸ジアミド、セバシン酸ジアミド、フタル酸ジアミド、イソフタル酸ジアミド、テレフタル酸ジアミド等を挙げることができる。なかでも、スクシンアミド、アジポアミドが好ましく、スクシンアミドが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ポリヒドロキシアルカノエートと前記ジアミド化合物を必須成分として含有するものであるが、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の添加剤を適宜含有してもよい。そのような添加剤としては特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤、染料や顔料などの着色剤、無機系または有機系粒子、可塑剤、滑剤、離型剤、撥水剤、無機充填剤、帯電防止剤、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤等が挙げられる。各添加剤の含有量は、その目的に応じて適宜決定することができる。また、添加剤は1種類のみを配合してもよいし、2種類以上を配合してもよい。
本発明の樹脂組成物には、汎用プラスチックやポリ乳酸系樹脂等に対して用いられている増粘剤または結晶核剤を添加剤として配合することができる。そのような増粘剤または結晶核剤としては特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、ケイ酸塩、亜鉛華、ハイサイトクレー、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、石英粉、ケイ藻土、ドロマイト粉、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、窒化ホウ素、塩化アンモニウム、架橋高分子ポリスチレン、ロジン系金属塩や、ガラス繊維、ウィスカー、炭素繊維等の無機繊維や、人毛、羊毛、竹繊維、パルプ繊維の有機繊維等が挙げられる。
各実施例又は比較例では、P3HAとして、PHBH:ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)を使用した。このPHBHは、PHBH生産菌を培養した後、菌体から樹脂成分を回収して得たもので、HH率:PHBH中の3-ヒドロキシヘキサノエートのモル分率(mol%)は11mol%、Mwは67.2万である。なお、PHBH生産菌としては、Alcaligenes eutrophusに、Aeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32(J.Bacteriol.,179,4821(1997))を使用した。
PHBHの重量平均分子量Mwは、GPC測定により求めた。GPC装置はLC-10Aシステム(島津製作所製)を使用し、カラムはGPCK-806M(昭和電工製)を使用し、カラム温度は40℃とした。対象物質3mgをクロロホルム2mlに溶解したものを、10μl注入して、ポリスチレン換算によりMwを求めた。
スクシンアミド:R1が1,2-エチレン基(-(CH2)2-)を示すジアミド化合物、東京化成工業社より購入したものを使用。
アジポアミド:R1が1,4-ブチレン基(-(CH2)4-)を示すジアミド化合物、東京化成工業社より購入したものを使用。
ペンタエリスリトール:商品名:ペンタリット、広栄化学工業株式会社品より購入したものを使用。
固化試験は次のように実施した。DSM社製小型混練機XPloreシリーズMC5を用いた。PHBH樹脂粉末4.5gに対して所定部数の添加剤を加えた配合物を、設定温度180℃、スクリュー回転数100rpm、混練時間3分で溶融混練した後、溶融した樹脂を約55℃の温浴に投入し、溶融樹脂が固化するのに要した時間を測定した。結晶化が早いほど固化時間が短くなるので、固化時間の数字が小さいほど固化特性が優れていることを意味する。固化特性に優れていることは、成形加工の際に溶融樹脂を迅速に固化させることができ、成形体を優れた生産性で製造できる(即ち、成形加工性に優れる)ことを意味する。同じ手順で固化時間の測定を3回行い、その平均値を表1に示した。
PHBH100重量部に対し、添加剤1重量部、並びに、ジアミド化合物以外の脂肪酸アミドとしてベヘン酸アミド0.5重量部及びエルカ酸アミド0.5重量部を含むPHBH樹脂粉末(1kg)を、東芝機械社製の二軸混錬押出機TEM-26SSを用いて150℃にて溶融加工を行い、樹脂ペレットを得た。この樹脂ペレットを、神藤金属工業所社製圧縮成形機NSF-50を用いて160℃にて再度溶融加工を行い、厚さ約100μmのプレスシートを得た。このプレスシートを120℃のオーブン内に2時間静置し、室温まで冷却した後、シート表面を目視観察することによりブリードアウトの有無を判定した。シート表面に粉状の物質が観察された場合は、ブリードアウト有りと判定し、観察されなかった場合は、ブリードアウト無しと判定した。
PHBH100重量部に対して添加剤としてスクシンアミド1重量部をドライブレンドして粉体の混合物を得た。この粉体混合物を用いて上述の固化試験を行なった。同様に、添加剤としてスクシンアミドを用いて上述のブリードアウト試験を行なった。
スクシンアミドの代わりにアジポアミドを用いた以外は実施例1と同様にして、固化試験及びブリードアウト試験を行なった。
アジポアミドの配合量を1.25重量部に変更した以外は実施例2と同様にして、固化試験を行なった。
スクシンアミドを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、固化試験及びブリードアウト試験を行なった。
スクシンアミドの代わりにペンタエリスリトールを用いた以外は実施例1と同様にして、固化試験及びブリードアウト試験を行なった。
昇華性試験は次のように実施した。重量を予め計測したスクシンアミド、アジポアミド、又はペンタエリスリトールを内径50mm、高さ10mmのガラスシャーレに入れ、フタをせずに、ヤマト科学社製定温乾燥機DVS602を用いて170℃にて24時間加熱処理した。処理後の各サンプルの重量を計測して重量減少率を算出した。結果、スクシンアミドの重量減少率は4.5%、アジポアミドは3.5%、ペンタエリスリトールは25.6%であった。
以上で得た結果を次の表1に示す。
Claims (7)
- ポリヒドロキシアルカノエートと、式:H2N-OC-R1-CO-NH2(R1は2価の炭化水素基を示す)で表されるジアミド化合物とを含む樹脂組成物。
- R1が、炭素数が偶数のアルキレン基を示す、請求項1に記載の樹脂組成物。
- ジアミド化合物がスクシンアミド又はアジポアミドである、請求項1に記載の樹脂組成物。
- ポリヒドロキシアルカノエートがポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- ジアミド化合物の含有量が、ポリヒドロキシアルカノエート100重量部に対して0.05~20重量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~5の何れか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
- ポリヒドロキシアルカノエートに対し、式:H2N-OC-R1-CO-NH2(R1は2価の炭化水素基を示す)で表されるジアミド化合物を配合することを特徴とする、ポリヒドロキシアルカノエートの固化促進方法。
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