JP2014517864A - デンプン−ポリマー−油組成物、その製造及び使用方法 - Google Patents
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Abstract
熱可塑性デンプン、熱可塑性ポリマー、及び油、ワックス、又はこれらの組み合わせを含み、油、ワックス、又は組み合わせが、熱可塑性ポリマー全体に分散される組成物が開示される。これら組成物の製造方法も開示される。
Description
本発明は、熱可塑性デンプン、熱可塑性ポリマー、及び油、ワックス、又はこれらの組み合わせの均質混加物を含む組成物に関する。本発明はまた、これらの組成物を製造する方法にも関する。
熱可塑性ポリマーは、様々な用途で用いられている。しかしながら、ポリプロピレン及びポリエチレンなどの熱可塑性ポリマーは、他のポリマー種と比較して、特に、例えば繊維の形成に関して更なる課題をもたらす。これは、繊維の製造における材料及び加工要件が、別の形状、例えばフィルムの製造におけるものよりもはるかに厳密であるからである。繊維製造では、他のポリマー加工方法に対して、ポリマーのメルトフロー特性における、材料の物理的特性及びレオロジー特性に対する要件がより厳しい。また、局部的な剪断/伸張速度及び剪断速度は、他のプロセスよりも繊維製造においてはるかに高く、極細繊維の紡糸においては、小さな欠陥、わずかな不整合性、又は溶解物への不相溶性が、商業的に実現可能なプロセスにおいて許容できない。更に、高分子量熱可塑性ポリマーは、容易に、又は効率的に細繊維に紡糸することができない。これらの入手可能性と潜在的な強度改良性を考慮すると、このような高分子量ポリマーを容易にかつ効率的に紡糸する方法の提供が望ましい。
ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性が最も高いポリマーは、再生不可能な化石系資源(例えば、石油、天然ガス、及び石炭)から得られるモノマー(例えば、それぞれエチレン、プロピレン、及びテレフタル酸)由来である。したがって、これらの資源の価格及び入手可能性が、最終的にはこれらのポリマーの価格に大きく影響する。これら資源の価格が世界的に上昇しているため、これらポリマーから製造される材料価格も上昇している。更に、多くの消費者は、単に石油化学製品を原料とする製品の購入に嫌悪感を示す。場合によって消費者は、再生不可能な化石系資源から製造される、再生不可能な化石系資源である製品の購入をためらう。他の消費者は、石油化学物質に由来する製品について「非天然」である又は環境に優しくないものであるとして嫌悪感を有している場合もある。
熱可塑性ポリマー及び熱可塑性デンプンは、多くの場合、下流物品の製造においてこれらポリマー消費の低減に寄与する可能性がある添加剤(例えば、油、顔料、有機染料、香料など)と不相溶性である、つまり混和性が低い。これまでの技術では、これらポリマーを使用する一般物品の製造における、再生不可能な化石系資源由来の熱可塑性ポリマー量を低減させる方法は、事実上取り組まれていなかった。したがって、この欠点に対して取り組むことが望ましい。既存の技術では、気泡構造を形成するための微量成分としてポリプロピレンを用いて、ポリプロピレンを添加剤と組み合わせている。この気泡構造は、後から除去される、つまり構造体が形成された後に抽出される再生可能材料を含むことが目的である。米国特許第3,093,612号では、ポリプロピレンと様々な脂肪酸を組み合わせ、脂肪酸が除去されるものについて記載している。学術論文である、J.Apply.Polym.Sci 82(1)pp.169〜177(2001)では、熱誘導相分離におけるポリプロピレンに対する希釈剤の使用で、低ポリマー濃度ながらも開放型の大きな気泡構造を作製し、その後希釈剤が最終構造体から除去される使用方法が開示される。学術論文である、J.Apply.Polym.Sci 105(4)pp.2000〜2007(2007)では、ジブチルフタレートと大豆油混合物、微量成分のポリプロピレンを用いて、熱誘導相分離により微多孔性膜が作製されている。希釈剤は最終構造体から除去される。学術論文である、Journal of Membrane Science 108(1〜2)pp.25〜36(1995)では、大豆油とポリプロピレン混合物を用い、微量成分のポリプロピレンを加えて、所望の膜構造の作製のために熱誘導相分離を使用して、中空繊維微多孔性膜が作製されている。希釈剤は最終構造体から除去される。これら全ての場合において、記載したように、希釈剤を除去して最終構造体が作製される。希釈剤が除去される前のこれらの構造体は、孔径が>10μmである、非常に開放型の微多孔性構造体を作製するために、過量の希釈剤を含み油状である。
J.Apply.Polym.Sci 82(1)pp.169〜177(2001)
J.Apply.Polym.Sci 105(4)pp.2000〜2007(2007)
Journal of Membrane Science 108(1〜2)pp.25〜36(1995)
したがって、高分子量及び/若しくは低濃度の再生不可能資源系材料の使用、並びに/又は更なる添加剤、例えば香料及び染料の混合を可能にする、熱可塑性デンプン及び熱可塑性ポリマーの組成物に対するニーズがある。更なるニーズは、再生可能材料を送達するために最終製品中に存在する添加剤を残す、並びに、最終構造体中に更なる添加剤、例えば染料及び香料などの添加を可能にもできる、組成物についてである。
一態様では、本発明は、熱可塑性デンプン(TPS)、熱可塑性ポリマー、及び組成物の総重量に基づいて約5重量%〜約40重量%で存在する、油、ワックス、又はこれらの組み合わせの均質混加物を含む組成物を目的とする。組成物は、そのまま用いるため、又は後に、例えば繊維製造に使用するための保管用として製造される、ペレット状であってよい。所望により、最終使用可能形態、例えば繊維、フィルム、及び成形物品に、組成物を更に加工してよい。
熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、これらのコポリマー、又はこれらの組み合わせを含んでよい。熱可塑性ポリマーはポリプロピレンを含んでよく、5g/10分超、又は10g/10分超のメルトフローインデックスを有してよい。熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(terepthalate)、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましい熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンを含む。ポリプロピレンは、約20kDa〜約400kDaの重量平均分子量を有してよい。熱可塑性ポリマーは、組成物の総重量に基づいて、約20重量%〜約90重量%、約30重量%〜約70重量%の量で組成物中に存在してよい。熱可塑性ポリマーは、バイオポリエチレン又はバイオポリプロピレンなどの再生可能バイオ系供給原料源由来であってよく、及び/又は使用済み製品などの再生源であってよい。
油、ワックス、又はこれらの組み合わせは、組成物の総重量に基づいて、約5重量%〜約40重量%、約8重量%〜約30重量%、又は約10重量%〜約20重量%の量で組成物中に存在してよい。油、ワックス、又はこれらの組み合わせは、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル型脂肪酸、エポキシ化脂質、マレエート化脂質、水素添加脂質、脂質由来のアルキド樹脂、スクロースポリエステル、又はこれらの組み合わせからなる群から選択することができる、脂質を含んでよい。ワックスは、水素添加植物油、部分水素添加植物油、エポキシ化植物油、マレエート化植物油からなる群から選択することができる。かかる植物油の特定例として、大豆油、トウモロコシ油、キャノーラ油、及びパーム核油が挙げられる。油、ワックス、又はこれらの組み合わせは、鉱油又はワックス、例えば直鎖状アルカン、分枝状アルカン、又はこれらの組み合わせを含んでよい。油、ワックス、又はこれらの組み合わせは、大豆油、エポキシ化大豆油、マレエート化大豆油、トウモロコシ油、綿実油、キャノーラ油、牛脂、ヒマシ油、ココヤシ油、ココヤシ種子油、トウモロコシ胚芽油、魚油、亜麻仁油、オリーブ油、オイチシカ油、パーム核油、パーム油、パーム種子油、ピーナッツ油、菜種油、ベニバナ油、マッコウクジラ油、ヒマワリ種子油、トール油、桐油、鯨油、トリステアリン、トリオレイン、トリパルミチン、1,2−ジパルミトオレイン、1,3−ジパルミトオレイン、1−パルミト−3−ステアロ−2−オレイン、1−パルミト−2−ステアロ−3−オレイン、2−パルミト−1−ステアロ−3−オレイン、トリリノレイン、1,2−ジパルミトリノレイン、1−パルミト−ジリノレイン、1−ステアロ−ジリノレイン、1,2−ジアセトパルミチン、1,2−ジステアロ−オレイン、1,3−ジステアロ−オレイン、トリミリスチン、トリラウリン、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ラウロレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
油、ワックス、又はこれらの組み合わせは、熱可塑性デンプン及び熱可塑性ポリマーに分散し、油、ワックス、又は組み合わせが、熱可塑性ポリマー中で、10μm未満、5μm未満、1μm未満、又は500nm未満の液滴直径を有するようにしてよい。油、ワックス、又は組み合わせは、再生可能材料であってよい。
熱可塑性デンプン(TPS)は、デンプン又はデンプン誘導体、及び可塑剤を含んでよい。熱可塑性デンプンは、組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約80重量%、又は約20重量%〜約40重量%の量で組成物中に存在してよい。
可塑剤は、ポリオールを含んでよい。想到される特定のポリオールとして、マンニトール、ソルビトール、グリセリン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。可塑剤は、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジグリコール、プロピレンジグリコール、エチレントリグリコール、プロピレントリグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセロールエトキシレート、トリデシルアジペート、イソデシルベンゾエート、トリブチルシトレート、トリブチルホスフェート、ジメチルセバセート、尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ソルビトールアセテート、ペンタエリスリトールアセテート、エチレンビスホルムアミド、ソルビトールジアセテート、ソルビトールモノエトキシレート、ソルビトールジエトキシレート、ソルビトールヘキサエトキシレート、ソルビトールジプロポキシレート、アミノソルビトール、トリヒドロキシメチルアミノメタン、グルコース/PEG、エチレンオキシドのグルコースとの反応生成物、トリメチロールプロパンモノエトキシレート、マンニトールモノアセテート、マンニトールモノエトキシレート、ブチルグルコシド、グルコースモノエトキシレート、α−メチルグルコシド、カルボキシメチルソルビトールナトリウム塩、乳酸ナトリウム、ポリグリセロールモノエトキシレート、エリスリトール(erythriol)、アラビトール、アドニトール、キシリトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール、アリトール、マルチトール(malitol)、ホルムアミド(formaide)、N−メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルキルアミド、2〜10個の反復単位を有するポリグリセロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
デンプン又はデンプン誘導体は、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチル化デンプン、デンプンホスフェート、デンプンアセテート、カチオンデンプン、(2−ヒドロキシ−3−トリメチル(アンモニウムプロピル)デンプンクロライド、酸、塩基、又は酵素加水分解により化工されたデンプン、酸化により化工されたデンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
本明細書に開示される組成物は、添加剤を更に含んでよい。添加剤は、油溶性又は油分散性であってよい。添加剤の例として、香料、染料、顔料、界面活性剤、ナノ粒子、成核剤、清澄剤、抗菌剤、帯電防止剤、充填剤、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
別の態様では、本明細書で開示される組成物の製造方法が提供され、本方法は、a)溶融状態の熱可塑性ポリマーを、こちらも溶融状態であるワックスと混合し、混加物を形成する工程と、b)この混加物を、熱可塑性ポリマーの凝固温度、又はそれ以下の温度まで10秒以下で冷却し、組成物を形成する工程と、を含む。組成物の製造方法は、a)熱可塑性ポリマーを融解し、溶融熱可塑性ポリマーを形成する工程と、b)溶融熱可塑性ポリマー及びワックスを混合し、混加物を形成する工程と、c)混加物を、熱可塑性ポリマーの凝固温度、又はそれ以下の温度まで10秒以下で冷却する工程と、を含んでよい。混合工程は、10s-1超、又は約30〜約100s-1の剪断速度であってよい。混加物を、10秒以下で、50℃以下の温度まで冷却してよい。組成物をペレット状にしてよい。混加物の冷却後、又は混加物の冷却前若しくは同時に、ペレット化を行ってよい。押出機、例えば単軸又は2軸押出機を用いて、組成物を製造してよい。あるいは、組成物の製造方法は、a)熱可塑性ポリマーを融解し、溶融熱可塑性ポリマーを形成する工程と、b)溶融熱可塑性ポリマー及びワックスを混合し、混加物を形成する工程と、c)溶融混合物を押出成形し、冷却すると凝固する最終構造体、例えばフィラメント又は繊維を形成する工程と、を含んでよい。
本明細書に開示される組成物は、熱可塑性デンプン、熱可塑性ポリマー、及び油、ワックス又はこれらの組み合わせの均質混加物を含む。用語「均質混加物」は、油又はワックスが、熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプン内に分散されている、油又はワックス、熱可塑性デンプン、及び熱可塑性ポリマーの物理的関係を意味する。熱可塑性ポリマー内の油又はワックスの液滴直径は、熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプン内の油又はワックスの分散レベルを示すパラメータである。液滴直径が小さいと、熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプン内の油又はワックスの分散度が高く、液滴直径が大きいと、熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプン内の油又はワックスの分散度が低い。油、ワックス、又はその両方は、熱可塑性ポリマーと結合するが、本明細書に開示されるように、組成物の形成中にTPS及び熱可塑性ポリマーの両方に混合される。本明細書で使用するとき、用語「混加物」は、本発明の均質混加物を意味し、標準的な材料の混合物といったより一般的な意味の「混加物」ではない。
熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプン中の油又はワックスの液滴直径は、10μm未満であり、5μm未満、1μm未満、又は500nm未満であってよい。熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプン中に分散される油及び/又はワックスの、その他想到される液滴直径として、9.5μm未満、9μm未満、8.5μm未満、8μm未満、7.5μm未満、7μm未満、6.5μm未満、6μm未満、5.5μm未満、4.5μm未満、4μm未満、3.5μm未満、3μm未満、2.5μm未満、2μm未満、1.5μm未満、900nm未満、800nm未満、700nm未満、600nm未満、400nm未満、300nm未満、及び200nm未満が挙げられる。
油又はワックスの液滴直径は、油及び/又はワックスを組成物から除去した後に、熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプン中の空隙寸法を測定することにより、間接的に走査電子顕微鏡(SEM)で測定できる。油又はワックスの除去は、油又はワックスとSEM撮像技術が不適合であることから、典型的にはSEM撮像に先だって行われる。このように、SEM撮像によって測定された空隙は、組成物中の油又はワックスの液滴直径に相関する。
熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプン内への油又はワックスの分散を達成する1つの代表的方法は、溶融状態の熱可塑性ポリマー、溶融状態の熱可塑性デンプン、並びに油及び/又はワックス(これも溶融状態である)を混合することによる。熱可塑性ポリマー及び熱可塑性デンプンをそれぞれ融解し(例えば、凝固温度を超える温度に曝す)、溶融熱可塑性ポリマー及び溶融熱可塑性デンプンを得て、油又はワックスと混合する。熱可塑性ポリマー及び熱可塑性デンプンの一方若しくは両方が、油若しくはワックスの添加前に融解されてよく、又は、一方若しくは両方が、油若しくはワックスの存在下で融解されてよい。
熱可塑性ポリマー、熱可塑性デンプン、及び油又はワックスは、例えば、10s-1超の剪断速度で混合できる。その他想到される剪断速度として、10超、約15〜約1000、又は最大500s-1が挙げられる。本明細書に開示されるように、混合時の剪断速度が大きいと、組成物中の油又はワックスの分散度が高くなる。したがって、組成物形成中に特定の剪断速度を選択することにより、分散度を制御できる。
必要な剪断速度を提供し、本明細書で開示される組成物を得ることが可能な任意の機械的手段を用いて、油又はワックス、並びに、溶融熱可塑性ポリマー及び溶融熱可塑性デンプンを混合できる。機械的手段の非限定例として、Haakeバッチミキサーなどのミキサー、及び押出機(例えば、単軸又は2軸押出機)が挙げられる。
次に、溶融熱可塑性ポリマー、溶融熱可塑性デンプン、及び油又はワックスの混合物を、熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプンの凝固温度を下回る温度まで(従来の熱可塑性ポリマー結晶化によって、又はポリマーのガラス転移温度以下を通過させることによって)、急速に(例えば10秒未満で)冷却する。混加物は、200℃未満、150℃未満、100℃未満、75℃未満、50℃未満、40℃未満、30℃未満、20℃未満、15℃未満、10℃未満まで、又は約0℃〜約30℃、約0℃〜約20℃、又は約0℃〜約10℃の温度まで冷却してよい。例えば、低温の液体(例えば、混合物が冷却される温度又はそれ以下の液体)又は気体中に、混合物を置いてよい。液体は、周囲温度又は制御された温度の水であってよい。気体は、周囲空気又は温度及び湿度が制御された空気であってよい。混加物を急速に冷却するものであれば、任意の急冷用媒体を使用してよい。混加物組成に応じて、水を含む混合物(例えば塩化ナトリウム)と共に、油、アルコール、及びケトンなどの追加の液体を急冷に用いてよい。二酸化炭素及び窒素、又は大気温度及び大気圧の空気において天然に存在する任意のその他成分など、追加の気体を用いてよい。
所望により、組成物はペレット状である。組成物ペレットは、混合物の冷却に先立ち、冷却と同時に、又は冷却後に形成され得る。ペレットは、ストランドカットによって、つまり水中ペレット化によって形成できる。ストランドカットでは、組成物を急速に冷やし(通常は、10秒より大幅に短い時間で)、次に小片に切断する。水中ペレット化では、混合物を小片に切断し、同時に又はその直後に、混合物を急速に冷却して凝固する低温の液体の存在下に置き、ペレット化組成物を形成する。このようなペレット化法は、当業者には周知である。ペレットの形態は、円形又は円筒形であってよく、好ましくはその寸法は10mmを超えず、より好ましくは5mm未満であり、又はその寸法は2mmを超えない。
あるいは、溶融状態で混合し、直接、例えば繊維状に形成する間に、混加物(混加物及び混合物、又は本明細書では同じ意味で使用される)を使用することができる。他の好適な形状は、フィルム及び成形物品である。
熱可塑性デンプン
本明細書で使用するとき、「熱可塑性デンプン」又は「TPS」は、天然デンプン、又は、1種以上の可塑剤による処理によって熱可塑性になっているデンプン誘導体を意味する。熱可塑性デンプン組成物は周知であり、いくつかの特許、例えば、米国特許第5,280,055号、同第5,314,934号、同第5,362,777号、同第5,844,023号、同第6,214,907号、同第6,242,102号、同第6,096,809号、同第6,218,321号、同第6,235,815号、同第6,235,816号、及び同第6,231,970号に開示されており、それぞれを参考として本明細書に組み込む。
本明細書で使用するとき、「熱可塑性デンプン」又は「TPS」は、天然デンプン、又は、1種以上の可塑剤による処理によって熱可塑性になっているデンプン誘導体を意味する。熱可塑性デンプン組成物は周知であり、いくつかの特許、例えば、米国特許第5,280,055号、同第5,314,934号、同第5,362,777号、同第5,844,023号、同第6,214,907号、同第6,242,102号、同第6,096,809号、同第6,218,321号、同第6,235,815号、同第6,235,816号、及び同第6,231,970号に開示されており、それぞれを参考として本明細書に組み込む。
デンプン:開示される組成物で使用するデンプンは、構造分解化デンプンである。用語「熱可塑性デンプン」は、可塑剤によって構造分解したデンプンを指す。
天然デンプンは、通常は粒状構造を有するため、熱可塑性材料のように溶融加工し得る前には、構造分解化が必要である。ゼラチン化、例えば、デンプンを構造分解するプロセスにおいて、可塑剤として作用する溶媒の存在下で、デンプンを構造分解化できる。溶媒及びデンプン混合物を、典型的には加圧条件下で加熱し、剪断して、ゼラチン化プロセスを促進する。また、化学剤又は酵素剤を用いて、デンプンの構造分解化、酸化、又は誘導体化を行ってもよい。一般にデンプンは、デンプンを水に溶解することによって構造分解される。任意の残存する構造未分解デンプンの粒径が、押出プロセス、例えば、繊維紡糸プロセスに影響しないとき、完全に構造分解されたデンプンが得られる。任意の残存する構造未分解デンプンの粒径は、30μm未満、好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満、又は5μm未満である。残留物の粒径は、最終配合物を薄いフィルム(50μm以下)に押し付け、そのフィルムを交差偏光下で光学顕微鏡に置くことにより、判定できる。交差偏光下では、構造未分解デンプンを示すマルタ十字の印を観察できる。これら粒子の平均寸法が目標範囲を超える場合、構造分解デンプンが正しく調製されていない。
好適な天然起源のデンプンとして、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、小麦デンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、米デンプン、大豆デンプン、アロールートデンプン、ワラビデンプン、ハスデンプン、キャッサバ(cassaya)デンプン、ワキシートウモロコシデンプン、高アミローストウモロコシデンプン、及び市販のアミロース粉末を挙げることができるが、これらに限定されない。デンプンの配合物も用いてよい。全てのデンプンは本明細書において有用であるが、本発明は農業起源由来の天然デンプンで最も一般的に実施され、これは豊富な供給源であり、容易に補充可能であり、かつ安価であるという利点を提供する。天然起源のデンプン、特にトウモロコシデンプン、小麦デンプン、及びワキシートウモロコシデンプンは、その経済性と入手可能性から、最適な好ましいデンプンポリマーである。
化工デンプンも用いてよい。化工デンプンは、生来の分子量の特徴が変えられた(すなわち、デンプンの分子量は変えられているが、他の変更は必ずしもなされていない)、非置換又は置換デンプンとして定義される。化工デンプンが所望される場合、デンプンの化学修飾としては、典型的には、分子量及び分子量分布を低下させるための、酸又はアルカリ加水分解、及び酸化的鎖切断が挙げられる。天然で未化工のデンプンは一般に、非常に高い平均分子量及び広い分子量分布を有する(例えば、天然トウモロコシデンプンは、最高約60,000,000グラム/モル(g/mol)の平均分子量を有する)。デンプンの平均分子量を、酸還元、酸化還元、酵素的還元、加水分解(酸又はアルカリ触媒による)、物理的/機械的分解(例えば、加工装置の熱機械的エネルギー入力による)、又はこれらの組み合わせによって、本発明で所望される範囲に低下することができる。熱機械法及び酸化法は、インサイチュで実行されるときに更なる利点を提供する。デンプン及び分子量低減法の厳密な化学的性質は、平均分子量が許容可能な範囲内にある限り重要ではない。
溶解物に添加されるデンプン又はデンプン配合物の数平均分子量の範囲は、約3,000g/mol〜約20,000,000g/mol、好ましくは約10,000g/mol〜約10,000,000g/mol、好ましくは約15,000〜約5,000,000g/mol、より好ましくは約20,000g/mol〜約3,000,000g/molであってよい。別の実施形態では、平均分子量は上記範囲内ではないが、約1,000,000以下、又は約700,000以下である。
置換デンプンを使用できる。置換デンプンが所望される場合、デンプンの化学修飾として、典型的には、エーテル化及びエステル化が挙げられる。置換デンプンは、熱可塑性ポリマー及び可塑剤とのより良好な相溶性、つまり混和性に必要とされ得る。あるいは、化工及び置換デンプンを用いて、ゼラチン化プロセスを増やすことによって、構造分解プロセスを促進できる。しかしながら、この工程は、分解率の減少とバランスを取らなければならない。化学的に置換されたデンプンの置換度は、約0.01〜3.0である。置換度が低い0.01〜0.06が好ましい場合がある。
組成物中のデンプン重量は、デンプンと、デンプン中に自然に存在する結合水含量と、を含む。用語「結合水」は、デンプンを他の構成成分と混合して本発明の組成物を製造する前に、デンプン中に自然に存在することが見出された水を意味する。用語「遊離水」は、本発明の組成物の製造において添加される水を意味する。当業者は、構成成分が組成物中に混合されると、もはや元の水と区別がつかなくなることを知っているであろう。デンプンは、典型的には、デンプンの約5%〜16重量%の結合水含量を有する。追加の遊離水は、極性溶媒又は可塑剤として組み込むことができ、デンプン重量に含まれないことは周知である。
可塑剤:本発明に可塑剤を用いて、デンプンを構造分解化して、デンプンを流動可能にできる、すなわち、熱可塑性デンプンを生成できる。同じ可塑剤を用いて、溶解物の加工性を増してもよく、又は2種類の別の可塑剤を用いてもよい。可塑剤は、最終製品の可撓性も増加させることができ、これは、可塑剤による組成物のガラス転移温度の低下によるものと考えられる。可塑剤は、可塑剤が組成物の性質を効果的に改変できるように、好ましくは、開示される組成物のポリマー構成成分と実質的に相溶性でなくてはならない。本明細書で使用するとき、「実質的に相溶性である」という用語は、可塑剤が、組成物の軟化及び/又は融解温度を超える温度に加熱されたとき、デンプンと実質的に均質な混合物を形成可能であることを意味する。
熱可塑性ポリマーに対する追加の可塑剤又は希釈剤が存在し、ポリマーの融解温度を低下させ、熱可塑性デンプン配合物との全体的な相溶性を改善することが可能である。更に、ポリマーの融解温度を抑える可塑剤又は希釈剤が存在する場合、より高い融解温度を有する熱可塑性ポリマーを使用してよい。可塑剤は、典型的には、約100,000g/mol未満の分子量を有し、好ましくは、1つ以上の化学種が、別の可塑剤、デンプン、ポリマー、若しくはこれらの組み合わせと相溶性がある、ブロック又はランダムコポリマー又はターポリマーであってよい。
有用なヒドロキシル可塑剤の非限定例として、グルコース、スクロース、フルクトース、ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、キシロース、マルトース、ラクトース、マンノース、エリトロース、グリセロール、及びペンタエリスリトールなどの糖類、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、及びソルビトールなどの糖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサントリオールなどのポリオール、及びその他同種のもの、これらのポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。また、ポロキサマー(poloxomers)及びポロキサミンも、ヒドロキシル可塑剤として本明細書で有用である。本明細書に用いるのに更に好適であるのは、尿素及び尿素誘導体を含むヒドロキシル基、ソルビタンなどの糖アルコール無水物、ゼラチンなどの動物タンパク質、ヒマワリタンパク質、大豆タンパク質、綿実タンパク質などの植物タンパク質、及びこれらの混合物を有さない、水素結合形成有機化合物である。その他の好適な可塑剤は、生分解性である、フタレートエステル、ジメチル及びジエチルサクシネート並びに関連エステル、グリセロールトリアセテート、グリセロールモノ及びジアセテート、グリセロールモノ、ジ、及びトリプロピオネート、並びにブタノアートである。エチレンアクリル酸、エチレンマレイン酸、ブタジエンアクリル酸、ブタジエンマレイン酸、プロピレンアクリル酸、プロピレンマレイン酸、及びその他炭化水素塩基の酸などの、脂肪族酸。全ての可塑剤は、単独又はそれらの混合物中で用いてよい。
好ましい可塑剤として、グリセリン、マンニトール、及びソルビトールが挙げられ、ソルビトールが最も好ましい。可塑剤の量は、分子量、デンプン量、及び可塑剤のデンプンに対する親和性に依存する。一般に、可塑剤の量は、デンプンの分子量が増加すると増える。
熱可塑性デンプンは、組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約80重量%、約10重量%〜約60重量%、又は約20重量%〜約40重量%の重量パーセントで、本明細書に開示される組成物中に存在してよい。熱可塑性デンプンの特に想到される量として、組成物の総重量に基づいて、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、約65重量%、約66重量%、約67重量%、約68重量%、約69重量%、約70重量%、約71重量%、約72重量%、約73重量%、約74重量%、約75重量%、約76重量%、約77重量%、約78重量%、約79重量%、及び約80重量%が挙げられる。
熱可塑性ポリマー
開示される組成物で用いられるとき、熱可塑性ポリマーは、融解し、その後冷却されると結晶化、つまり硬化するが、更に加熱すると再融解し得るポリマーである。本明細書で用いられる好適な熱可塑性ポリマーは、約60℃〜約300℃、約80℃〜約250℃、又は100℃〜215℃の融解温度(凝固温度とも称される)を有し、好ましい範囲は100℃〜180℃である。
開示される組成物で用いられるとき、熱可塑性ポリマーは、融解し、その後冷却されると結晶化、つまり硬化するが、更に加熱すると再融解し得るポリマーである。本明細書で用いられる好適な熱可塑性ポリマーは、約60℃〜約300℃、約80℃〜約250℃、又は100℃〜215℃の融解温度(凝固温度とも称される)を有し、好ましい範囲は100℃〜180℃である。
熱可塑性ポリマーの分子量は、ポリマー分子間の絡み合いを可能にするうえで十分に高いが、溶融紡糸を可能にするには十分低い。油を組成物中に添加すると、油を含まない組成物と比較して、高分子量熱可塑性ポリマーを含有する組成物を加工できる。したがって、好適な熱可塑性ポリマーは、約1000kDa以下、約5kDa〜約800kDa、約10kDa〜約700kDa、又は約20kDa〜約400kDaの重量平均分子量を有してよい。
熱可塑性ポリマーは、再生可能資源由来、又は化石鉱物及び油由来であってよい。例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン製造で用いられるバイオ産生エチレン及びプロピレンモノマーなどの、再生可能資源由来の熱可塑性ポリマーはバイオ系である。これらの材料特性は、熱可塑性ポリマー中に炭素14が存在すること以外は、同等の化石系製品と本質的に同じである。再生可能熱可塑性ポリマー及び化石系熱可塑性ポリマーは、コスト及び入手可能性に応じて、本発明において任意の比率で組み合わせてよい。再生熱可塑性ポリマーも、単独で、又は再生可能及び/若しくは化石由来熱可塑性ポリマーと組み合わせて使用してよい。再生熱可塑性ポリマーを、混合に先だって前処理し、任意の不必要な汚染物質を除去してよく、又は、混合及び押出プロセス中に使用してよく、並びに単純に混加物中に残してもよい。これら汚染物質として、微量の他のポリマー、パルプ、顔料、無機化合物、有機化合物、及び典型的に加工したポリマー組成物中に存在するその他添加剤を挙げてよい。汚染物質は、例えば、繊維紡糸プロセス中の紡糸の中断要因となるなど、混加物の最終性能特性にマイナスの影響を与えてはならない。
好適な熱可塑性ポリマーとしては通常は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、これらのコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。ポリマーは、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリヒドロキシアルカノエート系ポリマーシステム、コポリマー、及びこれらの組み合わせであってよい。
しかしながら、より具体的には、熱可塑性ポリマーとして、好ましくは、ポリエチレン又はこれらのコポリマー、例えば、低密度、高密度、直鎖状低密度、若しくは超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、又はこれらのコポリマー、アタクチックポリプロピレンなどを含むポリオレフィン;アイソタクチックポリプロピレン、メタロセンアイソタクチックポリプロピレン、ポリブチレン又はこれらのコポリマー;ポリアミド又はこれらのコポリマー、例えばナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66;ポリエステル又はこれらのコポリマー、例えばマレイン無水物ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、オレフィンカルボン酸コポリマー、例えばエチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/マレイン酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、又はこれらの組み合わせ;ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びこれらのコポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート)などが挙げられる。その他のポリマーの非限定例として、ポリカーボネート、ポリビニルアセテート、ポリ(オキシメチレン)、スチレンコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン/メチルメタクリレートコポリマー、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレンアクリル酸、ポリオレフィンカルボン酸コポリマー、ポリエステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
しかしながら、より具体的には、熱可塑性ポリマーとして好ましくは、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン密度が0.90グラム/立方センチメートル〜0.97グラム/立方センチメートル、最も好ましくは0.92〜0.95グラム/立方センチメートルの範囲であるような、低密度、高密度、直鎖状低密度、若しくは超低密度ポリエチレンなどのポリエチレン又はこれらのコポリマーが挙げられる。ポリエチレンの密度は、分枝の数及び種類で決定され、重合技術及びコモノマーの種類に依存する。アタクチックポリプロピレンを含むポリプロピレン及び/又はポリプロピレンコポリマー、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、及びこれらの組み合わせも使用できる。ポリプロピレンコポリマー、特にエチレンを使用して、融解温度を低下させ、特性を向上させてよい。これらのポリプロピレンポリマーは、メタロセン及びチーグラー・ナッタ触媒系を用いて生成できる。これらのポリプロピレン及びポリエチレン組成物を組み合わせて、最終用途特性を最適化し得る。ポリブチレンも有用なポリオレフィンである。
また、生分解性熱可塑性ポリマーも本明細書に用いるのに想到される。生分解性材料は、生分解性材料を土に埋めたとき、又はその他の方法で微生物と接触させたとき(微生物の増殖を促す環境条件下での接触を含む)、かび類、真菌類、及び細菌類などの微生物によって同化されやすい。好適な生分解性ポリマーとして、好気性若しくは嫌気性消化手順を用いる、又は太陽光、雨、水分、風、温度などといった環境要素への曝露に基づいて環境分解される、これら生分解性材料も挙げられる。生分解性熱可塑性ポリマーは、単独で、又は生分解性若しくは非生分解性ポリマーの組み合わせとして使用できる。生分解性ポリマーとして、脂肪族構成要素を含むポリエステルが挙げられる。ポリエステルの中には、脂肪族構成要素及びポリ(ヒドロキシカルボン)酸を含むエステル重縮合体がある。エステル重縮合体として、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートコアジペートなどの二塩基酸/ジオール脂肪族ポリエステル、ブチレンジオール、アジピン酸、及びテレフタル酸から製造されるターポリマーなどの脂肪族/芳香族ポリエステルが挙げられる。ポリ(ヒドロキシカルボン)酸として、乳酸系ホモポリマー及びコポリマー、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、又は他のポリヒドロキシアルカノエートホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。このようなポリヒドロキシアルカノエートとして、PHBとより長鎖長のモノマー、例えばC6〜C12及びそれ以上のポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanaotes)のコポリマー、例えば米国再発行特許第36,548号及び米国特許第5,990,271号に開示されるものが挙げられる。
好適な市販のポリ乳酸の例は、Cargill Dow製のNATUREWORKS及びMitsui Chemical製のLACEAである。好適な市販の二塩基酸/ジオール脂肪族ポリエステルの例は、Showa High Polymer Company,Ltd.(Tokyo,Japan)からBIONOLLE 1000及びBIONOLLE 3000として販売されている、ポリブチレンサクシネート/アジペートコポリマーである。好適な市販の脂肪族/芳香族コポリエステルの例は、Eastman ChemicalからEASTAR BIOコポリエステルとして、又はBASFからECOFLEXとして販売されている、ポリ(テトラメチレンアジペート−コ−テレフタレート)である。
好適な市販のポリプロピレン又はポリプロピレンコポリマーの非限定例として、Basell Profax PH−835(メルトフローレートが35の、Lyondell−Basellのチーグラー・ナッタアイソタクチックポリプロピレン)、Basell Metocene MF−650W(メルトフローレートが500の、Lyondell−Basellのメタロセンアイソタクチックポリプロピレン)、Polybond 3200(メルトフローレートが250の、Cromptonのマレイン無水物ポリプロピレンコポリマー)、Exxon Achieve 3854(メルトフローレートが25の、Exxon−Mobil Chemicalのメタロセンアイソタクチックポリプロピレン)Mosten NB425(メルトフローレートが25の、Unipetrolのチーグラー・ナッタアイソタクチックポリプロピレン)、Danimer 27510(Danimer Scientific LLCのポリヒドロキシアルカノエートポリプロピレン)、Dow Aspun 6811A(メルトインデックスが27の、Dow Chemicalのポリエチレンポリプロピレンコポリマー)、及びEastman 9921(Eastman Chemicalのポリエステルテレフタル酸ホモポリマー、公称固有粘度0.81)が挙げられる。
熱可塑性ポリマー構成成分は、上記単一のポリマー種、又は上記2つ以上の熱可塑性ポリマーの配合物であってよい。
ポリマーがポリプロピレンである場合、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンの測定に用いられるASTM D−1238によって測定するとき、0.5g/10分超のメルトフローインデックスを有してよい。その他想到されるメルトフローインデックスとして、5g/10分超、10g/10分超、又は約5g/10分〜約50g/10分が挙げられる。
油及びワックス
開示される組成物中で使用されるとき、油又はワックスは、脂質、鉱油(又はワックス)、又はこれらの組み合わせである。油は、室温で液体の(例えば、25℃以下の融点を有する)化合物を称するのに用いられ、一方ワックスは、室温で固体の(例えば、25℃超の融点を有する)化合物を称するのに用いられる。ワックスは、組成物中で一番体積が高いポリマー構成成分の融解温度より低い融点を有していてもよい。これ以降、用語、ワックスは、温度に応じて、固体の結晶状態又は溶融状態のいずれかである構成成分を指す場合がある。ワックスは、熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプンが固体である温度において固体であってよい。例えば、ポリプロピレンは、ワックスの融解温度を超え得る90℃において半結晶固体である。
開示される組成物中で使用されるとき、油又はワックスは、脂質、鉱油(又はワックス)、又はこれらの組み合わせである。油は、室温で液体の(例えば、25℃以下の融点を有する)化合物を称するのに用いられ、一方ワックスは、室温で固体の(例えば、25℃超の融点を有する)化合物を称するのに用いられる。ワックスは、組成物中で一番体積が高いポリマー構成成分の融解温度より低い融点を有していてもよい。これ以降、用語、ワックスは、温度に応じて、固体の結晶状態又は溶融状態のいずれかである構成成分を指す場合がある。ワックスは、熱可塑性ポリマー及び/又は熱可塑性デンプンが固体である温度において固体であってよい。例えば、ポリプロピレンは、ワックスの融解温度を超え得る90℃において半結晶固体である。
開示される組成物で用いられるとき、ワックスは、脂質、ミネラルワックス、又はこれらの組み合わせであり、このとき脂質、ミネラルワックス、又はこれらの組み合わせは、25℃超の融点を有する。より好ましくは35℃超の融点であり、更により好ましくは45℃超であり、最も好ましくは50℃超である。ワックスは、組成物中の熱可塑性ポリマーの融解温度より低い融点を有していてもよい。用語「ワックス」及び「油」は、25℃又はその付近における構成成分の結晶化度によって区別される(deferentiated)。全ての場合、「ワックス」は、熱可塑性ポリマーより低い、好ましくは(preferreably)100℃未満、最も好ましくは80℃未満の最大融解温度を有する。ワックスは脂質であってよい。脂質は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル型脂肪酸、エポキシ化脂質、マレエート化脂質、水素添加脂質、脂質由来のアルキド樹脂、スクロースポリエステル、又はこれらの組み合わせであってよい。ミネラルワックスは、直鎖状アルカン、分枝状アルカン、又はこれらの組み合わせであってよい。ワックスは、未化工状態では室温において外見上液体であった、部分的に若しくは完全に水素添加された物質、又はこれらの組み合わせ及び混合物であってよい。温度がワックスの融解温度を超えると、液体油である。溶融状態にあるとき、ワックスを「油」と称することができる。用語「ワックス」及び「油」は、25℃で測定するときのみ、意味を有する。ワックスは25℃で固体であり、一方油は25℃で固体ではない。その他25℃超においては、同じ意味で用いられる。
脂質は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル型脂肪酸、エポキシ化脂質、マレエート化脂質、水素添加脂質、脂質由来のアルキド樹脂、スクロースポリエステル、又はこれらの組み合わせであってよい。鉱油又はワックスは、直鎖状アルカン、分枝状アルカン、又はこれらの組み合わせであってよい。ワックスは、未化工状態では室温において外見上液体であった、部分的に若しくは完全に水素添加された物質、又はこれらの組み合わせ及び混合物であってよい。
本明細書に開示される組成物で想到される油又はワックスの非限定例として、牛脂、ヒマシ油、ココヤシ油、ココヤシ種子油、トウモロコシ胚芽油、綿実油、魚油、亜麻仁油、オリーブ油、オイチシカ油、パーム核油、パーム油、パーム種子油、ピーナッツ油、菜種油、ベニバナ油、大豆油、マッコウクジラ油、ヒマワリ種子油、トール油、桐油、鯨油、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定のトリグリセリドの非限定例として、例えば、トリステアリン、トリオレイン、トリパルミチン、1,2−ジパルミトオレイン、1,3−ジパルミトオレイン、1−パルミト−3−ステアロ−2−オレイン、1−パルミト−2−ステアロ−3−オレイン、2−パルミト−1−ステアロ−3−オレイン、トリリノレイン、1,2−ジパルミトリノレイン、1−パルミト−ジリノレイン、1−ステアロ−ジリノレイン、1,2−ジアセトパルミチン、1,2−ジステアロ−オレイン、1,3−ジステアロ−オレイン、トリミリスチン、トリラウリン及びこれらの組み合わせなどのトリグリセリドが挙げられる。想到される特定の脂肪酸の非限定例として、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ラウロレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。ワックスは、融解温度に分布がありピーク融解温度が生じ得るため、ワックスの融解温度は、25℃以上のピーク融解温度(>50重量パーセントのワックス構成成分が、25℃で又はそれ以上で融解する点として定義する)を有するとして定義される。融解熱がワックスの重量パーセント割合に換算される場合、この測定を示差走査熱量計(DSC)を用いて行うことができる。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定するとき、ワックスの数平均分子量は、2kDa未満、好ましくは1.5kDa未満、更により好ましくは1.2kDa未満でなくてはならない。
ワックスの量は、重量損失測定法によって測定する。還流フラスコシステムを用いて、1mm以下の最小試料寸法を有する凝固した混合物を、アセトン100gあたり混合物1g(1g or mixture)の割合でアセトンにいれた。還流フラスコに入れる前に、まず混合物を秤量し、次にアセトン及び混合物を60℃まで20時間加熱した。試料を除去して、60分間風乾し、最終重量を測定した。ワックスの重量パーセントの計算式は、次のとおりである。
ワックスの重量%=([初期質量−最終質量]/[初期質量])×100%
ワックスの重量%=([初期質量−最終質量]/[初期質量])×100%
油は、融解温度に分布がありピーク融解温度が生じ得るため、油の融解温度は、25℃以下のピーク融解温度(>50重量パーセントの油構成成分が、25℃で又はそれ以下で融解する点として定義する)を有するとして定義される。融解熱が油の重量パーセント割合に換算される場合、この測定は示差走査熱量計(DSC)を用いて行うことができる。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定するとき、油の数平均分子量は、2kDa未満、好ましくは1.5kDa未満、更により好ましくは1.2kDa未満でなくてはならない。
油の量は、重量損失測定法によって測定する。還流フラスコシステムを用いて、1mm以下の最小試料寸法を有する凝固した混合物を、ヘキサン100gあたり混合物1g(1g or mixture)の割合でヘキサン(又はアセトン)にいれた。還流フラスコに入れる前に、まず混合物を秤量し、次にヘキサン及び混合物を60℃まで20時間加熱した。試料を除去して、60分間風乾し、最終重量を測定した。油の重量パーセントの計算式は、次のとおりである。
油の重量%=([初期質量−最終質量]/[初期質量])×100%
油の重量%=([初期質量−最終質量]/[初期質量])×100%
油又はワックスは、再生可能材料由来(例えば、再生可能資源由来)であってよい。本明細書で使用するとき、「再生可能資源」とは、その消費速度に匹敵する速度(例えば、100年の時間枠内)で自然過程によって生産されるものである。この資源は、自然に、又は農業的手法によって補充され得る。再生可能資源の非限定例としては、植物(例えば、サトウキビ、テンサイ、トウモロコシ、ジャガイモ、柑橘果実、木本植物、リグノセルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、セルロース廃棄物)、動物、魚、細菌、真菌及び林産物が挙げられる。これらの資源は、自然発生、交雑、又は遺伝子組み換えされた生物であることができる。生成に100年超かかる原油、石炭、天然ガス及び泥炭などの天然資源は、再生可能資源とは考えられない。鉱油、石油、及びワセリンは、石炭の副産物不要流と見なされ、再生可能ではないが副産物油と考えられる。
ミネラルワックスの特定例として、パラフィン(ワセリンを含む)、モンタンワックス、並びに分解プロセスで産生するポリオレフィンワックス、優先的にはポリエチレン由来ワックスが挙げられる。ミネラルワックス及び植物由来ワックスを組み合わせてよい。植物系ワックスは、炭素14含量によって区別できる。
本明細書に開示されるように、油又はワックスは、組成物の総重量に基づいて、約5重量%〜約40重量%の重量パーセントで組成物中に存在する。その他想到される油又はワックスの重量%範囲として、組成物の総重量に基づいて、約8重量%〜約30重量%が挙げられ、好ましい範囲は約10重量%〜約30重量%、約10重量%〜約20重量%、又は約12重量%〜約18重量%である。想到される特定の油又はワックスの重量%として、組成物の総重量に基づいて、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、及び約40重量%が挙げられる。
添加剤
本明細書に開示される組成物は、添加剤を更に含んでよい。添加剤を、組成物全体に分散してよく、又は実質的に熱可塑性層の熱可塑性ポリマー部分に、実質的に組成物の油部分に、若しくは実質的に組成物のTPS部分にあってもよい。添加剤が組成物の油部分にある場合、添加剤は油溶性又は油分散性であってよい。アルキド樹脂を組成物に添加してよい。アルキド樹脂は、例えば、ポリオール、ポリ酸、及び/又は無水物を含む。
本明細書に開示される組成物は、添加剤を更に含んでよい。添加剤を、組成物全体に分散してよく、又は実質的に熱可塑性層の熱可塑性ポリマー部分に、実質的に組成物の油部分に、若しくは実質的に組成物のTPS部分にあってもよい。添加剤が組成物の油部分にある場合、添加剤は油溶性又は油分散性であってよい。アルキド樹脂を組成物に添加してよい。アルキド樹脂は、例えば、ポリオール、ポリ酸、及び/又は無水物を含む。
本明細書に開示される組成物中に想到される添加剤の種類の非限定例として、香料、染料、顔料、ナノ粒子、帯電防止剤、充填剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書に開示される組成物は、単一の添加剤又は添加剤の混合物を含有してよい。例えば、香料及び着色剤(例えば、顔料及び/又は染料)の両方が、組成物中に存在してよい。存在する場合、添加剤は、約0.05重量%〜約20重量%、又は約0.1重量%〜約10重量%の重量パーセントで存在する。具体的に想到される重量パーセントとして、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、約6.4重量%、約6.5重量%、約6.6重量%、約6.7重量%、約6.8重量%、約6.9重量%、約7重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、約7.4重量%、約7.5重量%、約7.6重量%、約7.7重量%、約7.8重量%、約7.9重量%、約8重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、約8.4重量%、約8.5重量%、約8.6重量%、約8.7重量%、約8.8重量%、約8.9重量%、約9重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、約9.4重量%、約9.5重量%、約9.6重量%、約9.7重量%、約9.8重量%、約9.9重量%、及び約10重量%が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「香料」は、本明細書に開示される組成物から後に放出される任意の発香性材料を示すために用いられる。アルデヒド、ケトン、アルコール及びエステル等の材料を含む広範囲にわたる化学物質が香料として使用するために周知である。より一般的には、様々な化学成分の複雑な混合物を含む天然起源の植物油及び動物油並びに滲出物が、香料としての使用で知られている。本明細書における香料は、組成が比較的単純なものであってもよく、又は天然及び合成の化学成分の高度に洗練された複雑な混合物を含んでもよく、全て任意の所望の香りを提供するように選択される。典型的な香料として、例えば、ビャクダン、シベット、及びパチョリ油などの特殊材料を含有する、ウッディ/アーシーベースを挙げることができる。香料は、ライトフローラル系芳香剤(例えば、バラ抽出物、スミレ抽出物、及びライラック)であってよい。香料は、望ましいフルーティな香り、例えば、ライム、レモン、及びオレンジなどの香りをもたらすように配合することもできる。本発明の組成物及び物品中に送達される香料は、気持ちをリラックス又はリフレッシュさせるなど、アロマテラピー効果のために選択してよい。このように、好ましい、ないしは別の望ましい香りを滲出する任意の材料を、本発明の組成物及び物品中の香料活性物質として用いてよい。
顔料又は染料は、無機物、有機物、又はこれらの組み合わせであってよい。想到される顔料及び染料の特定例として、ピグメントイエロー(C.I.14)、ピグメントレッド(C.I.48:3)、ピグメントブルー(C.I.15:4)、ピグメントブラック(C.I.7)及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の想到される染料として、直接染料、酸性染料、塩基性染料及び様々な溶剤可溶性染料などの水溶性インク着色剤が挙げられる。例として、FD&Cブルー1(C.I.42090:2)、D&Cレッド6(C.I.15850)、D&Cレッド7(C.I.15850:1)、D&Cレッド9(C.I.15585:1)、D&Cレッド21(C.I.45380:2)、D&Cレッド22(C.I.45380:3)、D&Cレッド27(C.I.45410:1)、D&Cレッド28(C.I.45410:2)、D&Cレッド30(C.I.73360)、D&Cレッド33(C.I.17200)、D&Cレッド34(C.I.15880:1)、及びFD&Cイエロー5(C.I.19140:1)、FD&Cイエロー6(C.I.15985:1)、FD&Cイエロー10(C.I.47005:1)、D&Cオレンジ5(C.I.45370:2)、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
想到される充填剤として、例えば、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、及びチタンの酸化物などの無機充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの材料を、安価な充填剤又は加工助剤(processing aides)として添加してよい。添加剤として機能し得る他の無機材料として、ケイ酸マグネシウム水和物、二酸化チタン、炭酸カルシウム、粘土、チョーク、窒化ホウ素、石灰岩、珪藻土、雲母ガラス、石英、及びセラミックスが挙げられる。更に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、リン酸塩などの無機塩が使用できる。
想到される界面活性剤として、例えば、米国特許第3,929,678号及び同第4,259,217号、並びに欧州特許第414 549号、国際公開第93/08876号及び同第93/08874号に開示される界面活性剤などの、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、又はアニオン性及び両性界面活性剤の組み合わせ、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
想到されるナノ粒子として、金属、金属酸化物、炭素同素体、粘土、有機変性粘土、硫酸塩、窒化物、水酸化物、酸化/水酸化物、粒子状非水溶性ポリマー、ケイ酸塩、リン酸塩、及び炭酸塩が挙げられる。例として、二酸化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン(grapheme)、フラーレン、膨張黒鉛、カーボンナノチューブ、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト(betonite)、モンモリロナイト、カオリン、シリカ、アルミノケイ酸塩、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化アンチモン、長石、雲母、ニッケル、銅、鉄、コバルト、鋼、金、銀、白金、アルミニウム、ウォラストナイト、参加アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)、及びこれらの混合物が挙げられる。ナノ粒子は、本明細書に開示される組成物の強度、熱安定性、及び/又は摩耗耐性を高めることができ、並びに、組成物に電気的性質を与えることができる。
追加の想到される添加剤として、熱可塑性ポリマーの成核剤及び清澄剤が挙げられる。ポリプロピレンに好適な特定例は、例えば、安息香酸及び誘導体類(例えば、安息香酸ナトリウム及び安息香酸リチウム)、並びにカオリン、タルク、及び亜鉛グリセロラートである。ジベンジリデン(Dibenzlidene)ソルビトール(DBS)は、使用できる清澄剤の例である。その他使用できる成核剤は、オルガノカルボン酸塩、リン酸ナトリウム、及び金属塩(例えばアルミニウムジベンゾエート)である。成核剤又は清澄剤を、20百万分率(20ppm)〜20,000ppmの範囲、より好ましくは200ppm〜2000ppmの範囲、最も好ましくは1000ppm〜1500ppmの範囲で添加できる。成核剤の添加を利用して、最終混加組成物の引張特性及び衝撃特性を改善できる。
想到される帯電防止剤として、帯電防止効果をもたらすことが知られている布地柔軟剤が挙げられる。例えば、ヨウ素価が20超である、N,N−ジ(タロウオイル(tallowoyl)−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムメチルサルフェートなどの脂肪族アシル基を有する布地柔軟剤などである。
本明細書に開示される組成物の製造プロセス
ポリマー、デンプン、及び油の溶融混合:ポリマー、TPS、並びに油及び/又はワックスを、油及び/又はワックスの存在下でポリマー及びTPSを融解することにより、適宜混合できる。当然のことながら、熱可塑性ポリマー及びTPSが融解するとき、ワックスも溶融状態にある。溶融状態では、ポリマー、TPS、並びに油及び/又はワックスを、ポリマー及び/又はTPS中での油の分散を可能にするよう剪断にかける。溶融状態では、油及び/又はワックス、並びにポリマー及び/又はTPSは、互いに相溶性が顕著に高くなる。
ポリマー、デンプン、及び油の溶融混合:ポリマー、TPS、並びに油及び/又はワックスを、油及び/又はワックスの存在下でポリマー及びTPSを融解することにより、適宜混合できる。当然のことながら、熱可塑性ポリマー及びTPSが融解するとき、ワックスも溶融状態にある。溶融状態では、ポリマー、TPS、並びに油及び/又はワックスを、ポリマー及び/又はTPS中での油の分散を可能にするよう剪断にかける。溶融状態では、油及び/又はワックス、並びにポリマー及び/又はTPSは、互いに相溶性が顕著に高くなる。
熱可塑性ポリマー、TPS、並びに油及び/又はワックスの溶融混合は、様々なプロセスで達成できるが、組成物の好ましい形態を得るには、高剪断を伴うプロセスが好ましい。このプロセスは、従来の熱可塑性ポリマー加工装置を要してよい。一般的なプロセス順序は、熱可塑性ポリマー及びTPSをシステムに加え、熱可塑性ポリマー及びTPSを融解し、続いて油及び/又はワックスを添加する工程を含む。しかしながら、特定の混合システムの特性に応じて、材料を任意の順序で添加することもできる。
開示されるプロセスでは、熱可塑性ポリマー並びに/又は油及び/若しくはワックスとの混合に先立ち、熱可塑性デンプン(TPS)が調製される。米国特許第7,851,391号、同第6,783,854号、及び同第6,818,295号では、TPSの製造プロセスが記載されている。しかしながら、TPSをインラインで製造でき、熱可塑性ポリマー及び油/ワックスを同一の製造プロセス内で混合して、単一工程プロセスで本明細書に開示される組成物を製造できる。例えば、デンプン、デンプン可塑剤、及び熱可塑性ポリマーを、最初に、熱可塑性ポリマーの存在下でTPSが形成される2軸押出機中で混合する。その後、第2の供給口から、油/ワックスをTPS/熱可塑性ポリマー混合物中に導入する。
単軸押出機:単軸押出機は、溶融ポリマーの押出に最も多く用いられる、典型的なプロセスユニットである。単軸押出機は、典型的には、バレル内に単独のシャフトを備え、このシャフト及びバレルが、特定のスクリュー要素(例えば、形状及びすきま)を伴うように設計されて、剪断特性を調節する。単軸押出機の典型的なRPM範囲は、約10〜約120である。単軸押出機の設計は、供給部、圧縮部、及び計量部からなる。供給部では、極めて間隙容積が高いフライトを用いてポリマーを加熱して圧縮部内に供給するが、ここで融解が完了し、完全に融解したポリマーが剪断される。圧縮部では、フライト間の間隙容積が減少する。計量部では、フライト間の間隙容積が低いものを用いて、ポリマーを高剪断にかける。この作業のため、汎用単軸デザインが用いられた。このユニットでは、組成物の構成成分が所望の区域に導入され、続いて標的ゾーン内で温度に曝され剪断される場所で、連続状態又は定常状態の種のプロセスが達成される。このプロセスは、単軸プロセス中の各区域の接点の物理的性質が、時間に応じて一定であるため、定常状態プロセスであると考えることができる。これによって、ゾーンごとの温度及び剪断力の調節(スクリュー要素及び/若しくはバレルのデザイン、又はスクリュー速度によって剪断力を変更できる)を可能にすることで、混合プロセスの最適化できる。
単軸押出機から出る混合組成物は、次に、液体冷却媒体(多くの場合、水)中に溶解物を押出すことによってペレット化でき、その後ポリマーストランドを小片に切断できる。ポリマー加工で使用される溶融ポリマーのペレット化プロセスには、基本の2種類、ストランドカット及び水中ペレット化がある。ストランドカットでは、液体媒体中で組成物を急速に(通常は、10秒より大幅に短く)冷やし、次に小片に切断する。水中ペレット化プロセスでは、溶融ポリマーを小片に切断し、続いて同時に又はその直後に、ポリマーを急速に冷やして結晶化する低温の液体の存在下に置く。これらの方法は周知であり、ポリマー加工業で用いられている。
押出機から出てくるポリマーストランドを、ほとんどの場合、1℃〜50℃の温度範囲(例えば、通常は25℃の室温付近)を有する水浴中に急速に入れる。混合組成物の別の最終用途では、所望の構造へ更に加工する、例えば繊維紡糸又は射出成形を行う。単軸押出プロセスは、混合度を高く、冷却速度を早くすることができる。また、単軸押出機を用いて、ペレット化組成物を、繊維及び射出成形物品に更に加工することもできる。例えば、繊維単軸押出機は、標準的な汎用スクリュー特性を有し、長さと直径の比が30:1の37mmシステムであってよい。
例えば、繊維単軸押出機は、標準的な汎用スクリュー特性を有し、長さと直径の比が30:1の37mmシステムである。単軸押出機の場合、既に製造されたTPS及び熱可塑性ポリマーを油/ワックスと組み合わせることができ、又は既に製造されたTPSを予め熱可塑性ポリマー内に分散している油/ワックスと組み合わせてもよい。前者の場合では、既に製造しているTPS処方物を溶解し、単軸押出機内に油/ワックス添加剤を直接注入し、その直後に繊維紡糸するか、又は最終用途製品とする。混入は、単軸押出機内で直接実現した。後者の場合では、ベースとなるTPS処方物の作製後、例えば、ポリプロピレンなどの熱可塑性ポリマーに添加する工程と同様に、第2の工程で油/ワックスをTPSに添加する。
2軸押出機:2軸押出機は、高強度混合が必要とされる場合に、溶融ポリマーの押出に最も多く用いられる典型的なユニットである。2軸押出機は、2本のシャフトと、外側バレルと、を備える。2軸押出機の典型的なRPM範囲は、約10〜約1200である。2本のシャフトは、同方向又は逆方向に回転でき、精密な許容範囲、高強度混合を可能にする。この種のユニットでは、組成物の構成成分がスクリューに沿って所望の区域に導入され、標的ゾーン内で高温に曝され剪断される場所で、連続状態又は定常状態の種のプロセスが達成される。このプロセスは、単軸プロセス中の各区域の接点の物理的性質が、時間に応じて一定であるため、定常状態プロセスであると考えることができる。これによって、ゾーンごとの温度及び剪断力の調節(スクリュー要素及び/又はバレルのデザインによって剪断力を変更できる)を可能にすることで、混合プロセスを最適化できる。
2軸押出機の末端部の混合組成物は、次に、液体冷却媒体(多くの場合、水)中に溶解物を押出すことによってペレット化でき、その後ポリマーストランドを小片に切断できる。ポリマー加工で使用される溶融ポリマーのペレット化プロセスには、基本の2種類、ストランドカット及び水中ペレット化がある。ストランドカットでは、液体媒体中で組成物を急速に(通常は、10秒より大幅に短く)冷やし、次に小片に切断する。水中ペレット化プロセスでは、溶融ポリマーを小片に切断し、続いて同時に又はその直後に、ポリマーを急速に冷やして結晶化する低温の液体の存在下に置く。混合組成物の別の最終用途では、所望の構造へ更に加工する、例えば繊維紡糸又は射出成形を行う。
Baker Perkins CT−25(25mmの同方向に回転する長さと直径の比が40:1のシステム)を用いて、3つの異なるスクリュー特性を使用できる。この特殊なCT−25は、温度、並びにダイ温度が制御できる9つのゾーンからなる。また可能であるのは、ゾーン1と2(区域A)、ゾーン2と3(区域B)、ゾーン4と5(区域C)、及びゾーン6と7(区域D)の間に位置する、4つの液体注入部位である。
液体注入区域は直接加熱されないが、隣接するゾーン温度によって間接的に加熱される。区域A、B、C及びDを用いて、添加剤を注入できる。ゾーン6は、更なる固体分の添加、又はガス抜きに用いられるサイドフィーダーを備えてよい。ゾーン8は、必要に応じて、残留する任意の気体を除去するための真空部を備える。特に記載されない限り、融解したワックスは区域Aで注入される。ワックスを糊タンクで融解し、加熱ホースから2軸内に供給する。糊タンク及び供給ホースの両方が、ワックスの融点を超える温度(例えば、約80℃)まで加熱される。
CT−25中で、運搬及び混合の2種の領域を用いる。運搬領域では、材料を加熱し(必要であればゾーン2に向かうゾーン1内で行われる完全融解を含む)、低度から中程度の剪断力下でバレル長に沿って運搬される。混合部は、剪断力と混合度を劇的に増加させる特殊要素を含む。混合部の長さ及び区域を必要に応じて変更し、必要に応じて剪断力を増加又は低下させてよい。
剪断及び混合には、主に2種類の混合要素を用いる。1つ目は混練ブロックであり、2つ目は熱機械的エネルギー要素である。単純混合スクリューは、全スクリュー長さの10.6%であり、一組の混練ブロックからなる混合要素と、後続の反転要素を用いる。混練要素は、RKB 45/5/12(45°オフセットで右回り前方混練ブロック、全要素長さ12mmで5葉)、続く2つのRKB 45/5/36(45°オフセットで右回り前方混練ブロック、全要素長さ36mmで5葉)、その後2つのRKB 45/5/12、及び反転要素24/12 LH(全要素長さ12mmで左回り反転要素24mmピッチ)である。
単純混合スクリュー混合要素は、ゾーン7に位置される。強力スクリューは、合計4つの追加の混合部からなる。第1部は、RKB45/5/36(ゾーン2に位置する)である単一の要素と、それに続く第2混合ゾーンが位置するゾーン3への運搬要素からなる、一組の混練ブロックである。第2混合ゾーンでは、2つのRKB 45/5/36要素の直後に4つのTME 22.5/12(旋回あたり22.5歯及び全要素長さ12mmの熱機械的要素)があり、その後第3混合領域内への2つの運搬要素がある。ゾーン5内へのゾーン4の末端部に位置する第3混合領域は、3つのRKB 45/5/36及びKB45/5/12 LH(45°オフセットで左回り前方反転ブロック、全要素長さ12mmで5葉)からなる。材料は、ゾーン6を通過して、2つのTME 22.5/12、7つのRKB 45/5/12、続くSE 24/12 LHを備える最終混合領域に運搬される。SE 24/12 LHは、最終混合ゾーンを完全にポリマー及び添加剤で満たすことを可能にする反転要素であり、ここで強力混合が起こる。反転要素は、ある混合領域での滞留時間を制御でき、混合度の主な要因である。
高強度混合スクリューは、3つの混合部からなる。第1混合部は、ゾーン3に位置し、2つのRKB45/5/36と、続く3つのTME 22.5/12、その後の第2混合部内への運搬体である。第2混合部の前に、3つのRSE 16/16(16mmピッチ、全要素長さ16mmでの右回り運搬要素)要素を用いて、第2混合領域への注入を増す。ゾーン5に位置する第2混合領域は、3つのRKB 45/5/36、続くKB 45/5/12 LH、その後の完全反転要素SE 24/12 LHからなる。混合ゾーン前のSE 16/16要素と2つの反転要素の組み合わせにより、剪断力及び混合度が著しく増加する。第3混合ゾーンはゾーン7に位置し、3つのRKB 45/5/12、続く2つのTME 22.5.12、その後の3つ以上のRKB 45/5/12からなる。第3混合ゾーンは、反転要素SE 24/12 LHを備える。
追加のスクリュー要素の種類は反転要素であり、そのスクリュー部位への充填レベルを増加させ、よりよい混合をもたらすことができる。2軸混合は、成熟した分野である。当業者は、適切な混合及び分散について書籍を調べることができる。この種のスクリュー押出機は、当該技術分野においてよく理解されており、概要は、James WhiteによるTwin Screw Extrusion 2E:Technology and Principles(Hansen Publications)にある。混合について特定例を挙げたが、必要な混合度を得るためには、様々な要素構成を用いる多くの異なる組み合わせが可能である。
TPSのインライン製造では、70固形分重量%のソルビトール溶液を用いて、TPSを生じるデンプンの構造分解及び可塑化を行ってよい。サイドフィーダーをゾーン6に取り付け、デンプン及び液体ソルビトールから、大部分の水分を放出できる。次に、熱可塑性ポリマー(例えば、本明細書に記載するポリプロピレン又はその他の熱可塑性ポリマー)を構造分解デンプンに添加してよい。油/ワックスを加熱し、区域C又はDにおいて混合システムに加えてよい。TPS処方物及び油/ワックスが同一プロセスで添加される場合では、混合度を増し、様々なプロセス工程の分離を可能にするには、L:D比がより大きい押出機の使用が好ましい。40:1超の押出機比が想到され、好ましくは最大60:1、及び更に大きいものが考慮される。
組成物の特性
本明細書に開示される組成物は、既知の熱可塑性組成物に勝る利点を提供する、1つ以上の以下の特性を有してよい。これらの利益は、単独で、又は組み合わせて存在してよい。
本明細書に開示される組成物は、既知の熱可塑性組成物に勝る利点を提供する、1つ以上の以下の特性を有してよい。これらの利益は、単独で、又は組み合わせて存在してよい。
剪断粘度減少:粘度減少は、プロセス圧が低下する(剪断粘度が下がる)ことによって、より大きいポリマー流速を効率よく可能にでき、又は、ポリマー及び/若しくはTPS分子量の増加(材料強度を改良する)を可能にできることから、プロセス改良となる。油/ワックスが存在しない場合、好適な方法における既存のプロセス条件において、ポリマー流速が大きいポリマー及び/又はTPSの加工は可能ではない。あるいは、油/ワックスが存在すると、様々な構成成分(例えば、TPS構成成分)の分解を低減できる、プロセス温度の低下が可能となり得る。
持続可能な内容物:持続可能な材料を既存のポリマーシステムに含めることは、強く望まれる特性である。自然の成長周期によって毎年交換できる材料は、全体的な環境への影響を低下させることに寄与し、所望される。
着色:ポリマーへの顔料添加は、ポリマーマトリックス中の粒子である高価な無機化合物の使用を伴うことが多い。これらの粒子は、多くの場合大きく、組成物の加工を干渉する場合がある。本明細書に開示される油及び/又はワックスを用いると、熱可塑性ポリマー及び/又はTPS全体にわたる、微細分散(液滴直径で測定するとき)及び一様分布によって、従来のインク混合によるものなどの着色が可能になる。大豆インクは文献で広く使用されており、加工性に影響を及ぼさない。
芳香:油及び/又はワックス、例えばSBO又はHSBOは、ベースの熱可塑性ポリマー及び/又はTPSよりもはるかに優先的に香料を含有できるため、本発明の組成物を用いて、最終用途に有用な香りを含むことができる。多くの香りつきろうそくは、SBO系又はパラフィン系材料を用いて作製されており、最終組成物のポリマー中にこれらを含めることは有用である。
形態:組成物の製造においてもたらされる形態によって効果が送達される。強力混合及び迅速結晶化の組み合わせによって、その形態がもたらされる。強力混合は、用いた混合プロセスによってもたらされ、迅速結晶化は、用いた冷却プロセスによってもたらされる。高強度混合が所望され、迅速結晶化を用いて、微細孔径と比較的一様な孔径分布が保持される。
耐水性:疎水性材料をTPS材料に添加すると、デンプンの耐水性が改善される。
表面の感触:油/ワックスの存在により、組成物の表面特性を変えることができ、多くの場合感触をより柔らかくする。
ポリマー:米国特許第6,783,854号により、全てが試験されていないものの、TPSに相溶性であるポリマーの総合リストが提供される。以下に記載する1種に限定されないが、本ポリマー混合物は以下の基本組成を有する。
30重量%のTPS:70重量%のポリプロピレンと30重量%のTPSの混合物である。TPSは、70%のデンプンと30%のソルビトールである。ポリプロピレンの10重量%は、マレエート化PP、Polybond 3200である。残りのPPは、任意の数の材料であってよいが、本発明の実験で用いられるものは、50重量%のBasell Profax PH−835と50重量%のBasell Metocene MF650Wである。
45重量%のTPS:70重量%のポリプロピレンと30重量%のTPSの混合物である。TPSは、70%のデンプンと30%のソルビトールである。ポリプロピレンの10重量%は、マレエート化PP、Polybond 3200である。残りのPPは、任意の数の材料であってよいが、本発明の実験で用いられるものは、Basell Moplen HP−562Tである。
油/ワックス:用いた特定例は、大豆油(SBO)、水素添加大豆油(HSBO)、部分水素添加大豆油(PHSBO)、エポキシ化大豆油(ESBO)、部分水素添加パーム核油(PKPKO)、色と芳香が添加されたろうそく、及びStandard green Soy Bean Green Ink Pigmentであった。
以下の表で示すように設定したゾーンを有する、Baker Perkins CT−25 Screw 2軸押出機を用いて、組成物を製造した。
実施例3、6、及び26では、CT−25押出機の末端で油のサージングが見られた。実施例3及び6は、適切にペレット化できなかった。実施例17〜20、25、及び27では、押出機のストランド出口におけるブルーミングが、真空によって除かれる。
実施例1〜29によって、油及びワックスをTPSに添加できることが証明される。実施例1〜29では、TPS樹脂を予め混合し、デンプンを構造分解している。必須ではないが、実施例1〜29において、油及びワックスを第2混合工程で添加した。安定組成物(例えば、押出し及び/又はペレット化できる)を用いると、B&P 25mmシステムからストランドを押出し、水浴中5℃で冷却し、ペレッタイザーで中断することなく切断できることが観察された。2軸押出物は、直ちに水浴中に落とされた。
安定的な押出し中、配合物であるストランド(>99重量%、ペレッタイザーを通って作製)から、相当量の油/ワックスは分離されなかった。2軸の末端部において、ポリマー及び油/ワックスを互いに分離することにより、組成物の飽和に着目することができる。組成物中の油/ワックスの飽和点は、プロセス条件と同様に、油/ワックス及びポリマーの組み合わせに基づいて変化し得る。実用的であるのは、添加剤の適切な分散において、混合度及び冷却速度に応じて、油/ワックス及びポリマーが混ざった状態のままで分離しないことである。油/ワックスを多く含むことで押出しが不安定になった特定の実施例は、実施例3及び6であった。
本発明の「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
Claims (10)
- (a)熱可塑性デンプンと、
(b)熱可塑性ポリマーと、
(c)前記組成物の総重量に基づいて、5重量%〜40重量%の量で存在する油、ワックス、又はこれらの組み合わせと、
の均質混加物を含む、組成物。 - 前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、これらのコポリマー、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
- 前記熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
- 前記組成物の総重量に基づいて、8重量%〜30重量%の油、ワックス、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記油、ワックス又はこれらの組み合わせが脂質を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記脂質が、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル型脂肪酸、エポキシ化脂質、マレエート化脂質、水素添加脂質、脂質由来のアルキド樹脂、スクロースポリエステル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の組成物。
- 前記油、ワックス、又はこれらの組み合わせが、大豆油、エポキシ化大豆油、マレエート化大豆油、トウモロコシ油、綿実油、キャノーラ油、牛脂、ヒマシ油、ココヤシ油、ココヤシ種子油、トウモロコシ胚芽油、魚油、亜麻仁油、オリーブ油、オイチシカ油、パーム核油、パーム油、パーム種子油、ピーナッツ油、菜種油、ベニバナ油、マッコウクジラ油、ヒマワリ種子油、トール油、桐油、鯨油、トリステアリン、トリオレイン、トリパルミチン、1,2−ジパルミトオレイン、1,3−ジパルミトオレイン、1−パルミト−3−ステアロ−2−オレイン、1−パルミト−2−ステアロ−3−オレイン、2−パルミト−1−ステアロ−3−オレイン、トリリノレイン、1,2−ジパルミトリノレイン、1−パルミト−ジリノレイン、1−ステアロ−ジリノレイン、1,2−ジアセトパルミチン、1,2−ジステアロ−オレイン、1,3−ジステアロ−オレイン、トリミリスチン、トリラウリン、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ラウロレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記熱可塑性デンプンが、デンプン又はデンプン誘導体、及び可塑剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記可塑剤が、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジグリコール、プロピレンジグリコール、エチレントリグリコール、プロピレントリグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセロールエトキシレート、トリデシルアジペート、イソデシルベンゾエート、トリブチルシトレート、トリブチルホスフェート、ジメチルセバセート、尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ソルビトールアセテート、ペンタエリスリトールアセテート、エチレンビスホルムアミド、ソルビトールジアセテート、ソルビトールモノエトキシレート、ソルビトールジエトキシレート、ソルビトールヘキサエトキシレート、ソルビトールジプロポキシレート、アミノソルビトール、トリヒドロキシメチルアミノメタン、グルコース/PEG、エチレンオキシドのグルコースとの反応生成物、トリメチロールプロパンモノエトキシレート、マンニトールモノアセテート、マンニトールモノエトキシレート、ブチルグルコシド、グルコースモノエトキシレート、α−メチルグルコシド、カルボキシメチルソルビトールナトリウム塩、乳酸ナトリウム、ポリグリセロールモノエトキシレート、エリスリトール、アラビトール、アドニトール、キシリトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール、アリトール、マルチトール(malitol)、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルキルアミド、2〜10個の反復単位を有するポリグリセロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
- 前記デンプン又はデンプン誘導体が、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチル化デンプン、デンプンホスフェート、デンプンアセテート、カチオンデンプン、(2−ヒドロキシ−3−トリメチル(アンモニウムプロピル)デンプンクロライド、酸、塩基、又は酵素加水分解により化工されたデンプン、酸化により化工されたデンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8又は9に記載の組成物。
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