JP4870037B2 - 生分解性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、生分解性樹脂組成物に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの石油を原料とする汎用樹脂は、軽量であることや良好な加工性、物性、及び耐久性等の性質から、日用雑貨、家電製品、自動車部品、建築材料あるいは食品包装などの様々な分野に使用されている。しかしながらこれらの樹脂製品は、役目を終えて廃棄する段階で良好な耐久性が欠点となり、自然界における分解性に劣るため、生態系に影響を及ぼす可能性がある。
このような問題を解決するために、熱可塑性樹脂で生分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸及び乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル及びそれらのユニットを含むコポリマー等の生分解性ポリエステル樹脂が開発されている。
これらの生分解性ポリマーは、土壌、海水中、あるいは動物の体内などに置かれた場合、自然に生息する微生物の産出する酵素の働きによって、数週間で分解が始まり、約1年から数年の間に消滅する。さらに分解物は、人体に無害な乳酸、二酸化炭素、水などになる。脂肪族ポリエステルの中でもポリ乳酸系樹脂は、トウモロコシ、芋などからとれる糖分から、発酵法によりL−乳酸が大量に作られ安価になってきたこと、原料が自然農作物なので総酸化炭素排出量が極めて少ない、また得られたポリマーの性能として剛性が強く透明性が良いという特徴があるので、現在その利用が期待され、フラットヤーン、ネット、園芸資材、育苗用ポット等の農業土木資材分野、窓付き封筒、買い物袋、コンポストバッグ、文具、雑貨等に使用されている。しかしポリ乳酸の場合、脆く、硬く、可撓性に欠ける特性のためにいずれも硬質成形品分野に限られ、フィルムなどに成形した場合は、柔軟性が不足したり、折り曲げたとき白化などの問題があり、軟質又は半硬質分野に使用されていないのが現状である。軟質、半硬質分野に応用する技術として可塑剤を添加する方法が種々提案されている。例えばアセチルクエン酸トリブチル、ジグリセリンテトラアセテート等の可塑剤を添加する技術が開示されている。これら可塑剤をポリ乳酸に添加し、押出成形等でフィルム又はシートを成形した場合、良好な柔軟性が得られるが、そのポリマーが非晶状態であるためにガラス転移点付近の温度変化による柔軟性の変化が著しく(感温性)、また高温時の耐熱性が不足しているため、季節によって物性が著しく変化し、高温環境下での使用が不可能となる問題があった。この問題を解決するためにタルク等(特許文献1)の結晶核剤を添加することによって、ポリ乳酸を結晶化させ、耐熱性等を改善する方法が提案されている。しかしながら成形後の熱処理による結晶化速度が不足し、かつシート、フィルムの透明性を低下させる問題があった。
また、特許文献2には、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸アミドなどの透明核剤を含有する脂肪族ポリエステル組成物を成形し、成形時又は成形後に熱処理することを特徴とする、透明性及び結晶性を併有する脂肪族ポリエステル成形体の製造方法が開示されている。しかしながら、柔軟性を有し、結晶化速度が良好で、更に透明性に優れる脂肪族ポリエステル成形体は得られていない。
更に、特許文献3には、特定の構造を有するアミド系化合物、可塑剤、乳酸系ポリマーを含有する乳酸系ポリマー組成物及びその成形体の製造方法が開示されているが、その乳酸系ポリマー組成物の結晶化速度は十分なものではない。
特許第3410075号公報 特許第3411168号公報 国際公開第2003/042302号パンフレット
本発明の課題は、結晶化速度が良好で、感温性及び耐熱性に優れる生分解性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、生分解性樹脂、可塑剤及び結晶核剤を含有し、結晶核剤が分子中にエステル基、水酸基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種の基を2つ以上有する脂肪族化合物であり、下記(i)、(ii)及び(iii)に示す条件を満足する生分解性樹脂組成物を提供する。
(i)60℃、36時間又は60時間熱処理後の厚さ0.5mmにおけるヘイズ値が20%以下
(ii)温度25℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)が1×108〜2×109Pa
(iii)温度60℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)が1×107〜1×109Pa
尚、(i)の条件にある60℃、36時間又は60時間の熱処理は、結晶化を完結させるのに十分な処理条件であり、実際に処理後の透明性が一定の値に到達し、それ以上の熱処理を継続しても透明性が変化しないため、該条件での熱処理は、透明性における保存安定性の指標となる。また、(ii)の25℃における貯蔵弾性率の範囲は、軟質樹脂組成物として使用する場合に良好な柔軟性を有することを示している。(iii)の60℃における貯蔵弾性率の範囲は、結晶化によって感温性および耐熱性が実用レベルまで向上させることができたことを示している。よって、(i)〜(iii)の条件をすべて満足する本発明の生分解性樹脂組成物は、先に挙げた課題を解決したことを表している。
本発明の生分解性樹脂組成物は、結晶化速度が良好で、感温性及び耐熱性に優れ、さらに透明生分解性樹脂に応用した場合は優れた透明性を維持することができる。
[生分解性樹脂]
本発明で使用される生分解性樹脂としては、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性を有するポリエステル樹脂が好ましい。
本発明で使用される生分解性樹脂は、自然界において微生物が関与して低分子化合物に分解される生分解性を有していればよく、特に限定されるものではない。例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族芳香族コポリエステル;デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等の天然高分子と上記の脂肪族ポリエステルあるいは脂肪族芳香族コポリエステルとの混合物等が挙げられる。
生分解性樹脂としては、本発明の効果をより顕著に発揮する観点から、透明生分解性樹脂が好ましい。本発明において、透明生分解性樹脂とは、厚さ0.5mmにおけるヘイズ値が20%以下である生分解性樹脂をいい、ポリ乳酸樹脂、ポリグリコール酸等が挙げられる。
尚、生分解性樹脂のヘイズ値は、JIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(ヘイズメーター)を用いて測定した値である。
これらのなかで加工性、経済性、大量に入手でき、かつ物性の点からポリ乳酸樹脂がさらに好ましい。ここで、ポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位20〜100モル%とそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものである。これらのポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。但し、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
市販されている生分解性樹脂としては、例えば、デュポン社製、商品名バイオマックス;BASF社製、商品名Ecoflex;EastmanChemicals社製、商品名EasterBio;昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ;日本合成化学工業(株)製、商品名マタービー;島津製作所(株)製、商品名ラクティ;三井化学(株)製、商品名レイシア;日本触媒(株)製、商品名ルナーレ;チッソ(株)製、商品名ノボン;カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、商品名Nature works等が挙げられる。
これらの中では、好ましくはポリ乳酸樹脂(例えば三井化学(株)製、商品名レイシア;カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、商品名Nature works)が挙げられる。
[結晶核剤]
本発明に用いられる結晶核剤は、結晶化速度と耐熱性、感温性、さらには透明性の観点から、結晶核剤分子中にエステル基、水酸基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種の基を2つ以上有する脂肪族化合物であり、水酸基を1つ以上有し、エステル基又はアミド基を1つ以上有する脂肪族化合物が好ましく、水酸基を2つ以上有し、エステル基又はアミド基を1つ以上有する脂肪族化合物がより好ましく、水酸基を2つ以上有し、エステル基又はアミド基を2つ以上有する脂肪族化合物が特に好ましい。結晶核剤の融点は、65℃以上が好ましく、70℃〜[生分解性樹脂の融点(Tm)+50℃]の範囲が更に好ましく、80℃〜(生分解性樹脂のTm+20℃)の範囲が特に好ましい。具体的には、70〜220℃が好ましく、80〜190℃がより好ましい。本発明の効果が向上する理由は定かではないが、上記の官能基を2つ以上有すると、生分解性樹脂との相互作用が良好となり、相溶性が向上する結果、樹脂中で微分散することによるものと考えられ、恐らく、水酸基を1つ以上、好ましくは2つ以上有することにより生分解性樹脂への分散性が良好となり、エステル基又はアミド基を1つ以上、好ましくは2つ以上有することにより生分解性樹脂への相溶性が良好となるものと考えられる。結晶核剤の融点は熱処理温度より高く、樹脂組成物の混練温度以下であると、混練時に結晶核剤が溶解することによってその分散性が向上し、熱処理温度より高いと結晶核生成の安定化や熱処理温度が上げられるため、結晶化速度向上の観点でも好ましい。また、上記好ましい結晶核剤は、樹脂溶融状態から冷却過程で速やかに微細な結晶を多数析出することによって、透明性、結晶化速度向上の観点でも好ましい。
本発明に用いられる結晶核剤は、下記に定義される生分解性樹脂組成物の冷結晶化温度(Tcc)を65℃以下、又は溶融結晶化温度(Tmc)を100℃以上となしうる化合物を含有することが好ましい。
<冷結晶化温度(Tcc)>
生分解性樹脂100重量部に対し、可塑剤としてポリオキシエチレン(エチレンオキサイド平均付加モル数6)グリセリントリアセテート(以下POE(6)グリセリントリアセテートと略記する)15重量部及び結晶核剤1重量部を生分解性樹脂の融点(Tm)以上で混合し、それを冷却して非晶状態(すなわち広角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下になる条件)で得られる生分解性樹脂組成物を、室温から8℃/分の昇温条件で示差走査型熱量計にて測定したときの冷結晶化ピーク温度を冷結晶化温度(Tcc)と定義する。
<溶融結晶化温度(Tmc)>
生分解性樹脂100重量部に対し、可塑剤としてPOE(6)グリセリントリアセテート15重量部及び結晶核剤1重量部を生分解性樹脂の融点(Tm)以上で混合して得られる生分解性樹脂組成物を、溶融状態から5℃/分の降温条件で示差走査型熱量計にて測定したときの溶融結晶化ピーク温度を溶融結晶化温度(Tmc)と定義する。
冷結晶化温度(Tcc)及び溶融結晶化温度(Tmc)の測定に用いられる生分解性樹脂としては、L−乳酸純度95%以上のポリ乳酸樹脂が好ましく、L体高純度品である結晶グレードのもの、特に三井化学(株)製LACEA H−400(融点Tm=166℃、MFR=3(190℃、2.16kg))を使用するのが好ましい。Tmは、JIS−K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる値である。
冷結晶化温度(Tcc)及び溶融結晶化温度(Tmc)の測定に用いられる可塑剤は、合成例1で合成したPOE(6)グリセリントリアセテートを使用する。
冷結晶化温度(Tcc)及び溶融結晶化温度(Tmc)の具体的測定法は、ポリ乳酸樹脂(例えば三井化学(株)製、LACEA H−400)100重量部、POE(6)グリセリントリアセテート15重量部、結晶核剤1重量部からなる組成物を、180℃のラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて10分間混練し、180℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成する。プレス成形の際には成形するシートが非晶状態(すなわち広角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下になる条件)で冷却を行う。そのシートを細かく切断してアルミニウムパンに15mg秤取り、示差走査熱量測定(DSC)装置を使用し、室温から8℃/分の昇温速度で200℃まで測定する。その際冷結晶化の発熱ピークが観測されるのでそのピーク温度を冷結晶化温度(Tcc)とする。また次に、200℃から5℃/分の降温速度で室温まで測定する。その際、溶融結晶化の発熱ピークが観測されるのでそのピーク温度を溶融結晶化温度(Tmc)とする。
本発明で定義する冷結晶化温度(Tcc)を65℃以下となしうる化合物は、可塑剤を含有する生分解性樹脂に添加した場合、成形後の非晶状態(すなわち広角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下になる条件)から熱処理による結晶化に至るまでに多くの微小結晶核と結晶成長界面(表面積)を形成する能力を有すると考えられ、熱処理を行った際、その多くの微小結晶核と結晶成長界面(表面積)が結晶化促進と結晶の微細化に働く結果、本発明の効果が発揮されると考えられる。
そこで本発明者は、無機化合物や有機化合物を含めた結晶核剤の性能を表すパラメータとして上記で規定する冷結晶化温度(Tcc)と結晶化速度及び微結晶化との間に明確な相関があることを見出した。さらに冷結晶化温度(Tcc)が65℃以下、好ましくは63℃以下の場合、可塑剤含有生分解性樹脂組成物の結晶化速度が著しく向上するため、加工性の向上、コストダウン、感温性、耐熱性の向上が達成でき、さらに結晶を微細化できるため 、ポリ乳酸などの透明生分解性樹脂の場合は、優れた透明性を維持できる。
また、可塑剤含有生分解性樹脂組成物をポリマーの溶融状態から冷却時に結晶化する際、結晶核剤の性能を表すパラメータとして上記で規定する溶融結晶化温度(Tmc)と結晶化速度との間に明確な相関があることを見いだし、Tmcが100℃以上、好ましくは105℃以上の結晶核剤を添加した場合、可塑剤含有樹脂組成物の結晶化速度が著しく向上するため、加工性の向上、コストダウン、感温性、耐熱性の向上が達成でき、さらに射出成形品においては耐衝撃性も著しく向上させることができる。
本発明の結晶核剤は、結晶化速度と耐熱性、感温性、さらには透明性の観点から、その溶解度パラメータ(SP値、(MPa)1/2)が、(生分解性樹脂のSP値−2)〜(生分解性樹脂のSP値+1)の範囲が好ましく、(生分解性樹脂のSP値−1.8)〜(生分解性樹脂のSP値+0.8)の範囲がさらに好ましく、(生分解性樹脂のSP値−1.6)〜(生分解性樹脂のSP値+0.6)の範囲が特に好ましく、(生分解性樹脂のSP値−1.4)〜(生分解性樹脂のSP値+0.4)の範囲が最も好ましい。理由としては、樹脂のSP値に近いことにより、本発明の結晶核剤が混練時に微分散することにより、多くの微小結晶核と結晶成長界面(表面積)の形成に関与するものと考えられる。
本発明の結晶核剤としては、脂肪族エステル、脂肪族アミド、脂肪酸金属塩等が挙げられ、脂肪族エステルとしては、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド等の脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド等のヒドロキシ脂肪酸エステル;脂肪族アミドとしては12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド等のヒドロキシ脂肪酸モノアミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド等の脂肪族ビスアミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のヒドロキシ脂肪酸ビスアミド;脂肪酸金属塩としては、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等のヒドロキシ脂肪酸金属塩等が挙げられる。結晶化速度と耐熱性、感温性、さらには透明性の観点から、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミドが好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、エチレビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミドがより好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドがさらに好ましく、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドが特に好ましい。
本発明の結晶核剤をポリ乳酸樹脂等の透明生分解性樹脂に添加する場合、優れた透明性を維持することができる。
本発明の結晶核剤は可塑剤を含有する生分解性樹脂に添加した場合、成形後の非晶状態(すなわち広角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下になる条件)から熱処理による結晶化に至るまでに多くの微小結晶核と結晶成長界面(表面積)を形成する能力を有すると考えられるため、非晶状態から昇温した場合、微小結晶核生成数が増加するほど測定される冷結晶化エンタルピーが減少すると考えられる。その結果、結晶融解エンタルピーと冷結晶化エンタルピーの絶対値との差が大きくなると考えられる。8℃/分で室温からTm+20℃までDSCで昇温測定した際の結晶融解エンタルピーΔHmと冷結晶化エンタルピーΔHccの絶対値の差(|ΔHm|−|ΔHcc|)が、25J/g以上が好ましく、28J/g以上がさらに好ましい。
[可塑剤]
本発明に用いられる可塑剤は特に限定されず、一般の生分解性樹脂に用いられる可塑剤の他、以下の(1)〜(12)に示すものが挙げられる。
(1)下記(a)成分と(b)成分とのエステル
(a)一般式(I)
Figure 0004870037
(式中、X1は水素原子、水酸基、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子を示し、d及びeはそれぞれ1以上の整数で、d+e=5である。fは0〜3の整数を示す。d個のX1は同一でも異なっていてもよい。)
で表されるヒドロキシ芳香族カルボン酸、1分子中に1個以上の水酸基及びカルボキシル基を有するヒドロキシ縮合多環式芳香族カルボン酸、ヒドロキシ脂環族カルボン酸又はこれらカルボン酸の無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(b)脂肪族アルコール、脂環族アルコール、芳香族アルコール、フェノール及びアルキルフェノールから選択されるヒドロキシ化合物、あるいはこれらヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、アルキレンオキサイド平均付加モル数0より大きく30以下)から選ばれる少なくとも1種。
(2)下記(c)成分と(d)成分とのエステル
(c)一般式(II)
Figure 0004870037
(式中、X2は水素原子、メチル基又はハロゲン原子を示し、g及びhはそれぞれ1以上の整数で、g+h=6である。g個のX2は同一でも異なっていてもよい。)
で表される芳香族カルボン酸、1分子中に1個以上のカルボキシル基を有する縮合多環式芳香族カルボン酸、脂環族カルボン酸又はこれらカルボン酸の無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(d)脂肪族モノアルコール、脂環族モノアルコール、芳香族モノアルコール、フェノール及びアルキルフェノールから選択されるモノヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、アルキレンオキサイド平均付加モル数1〜30)から選ばれる少なくとも1種。
(3)芳香族スルホンアミドのN−アルキル化物(アルキル基の炭素数1〜22)
(4)下記(e)成分と(f)成分とのエステル
(e)一般式(III)
Figure 0004870037
(式中、X3は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子、iは1〜5の整数を示し、i個のX3は同一でも異なっていてもよい。)
で表される芳香族モノカルボン酸、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖脂肪族モノカルボン酸、縮合多環式芳香族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸あるいはこれらモノカルボン酸の低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)から選ばれる少なくとも1種。
(f)一般式(IV)
Figure 0004870037
(式中、Y及びZは炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を示し、同一でも異なっていてもよい。)
で表される脂肪族2価アルコール、1分子中に3個以上の水酸基を有する炭素数3〜30の多価アルコール、1分子中に2個の水酸基あるいはメチロール基を有する脂環族ジオールから選択されるヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド平均付加モル数0より大きく10以下)から選ばれる少なくとも1種。
(5)脂肪族ジカルボン酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルエステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、又は脂肪族多価アルコールと安息香酸とのエステル
(6)下記(g)成分と(h)成分とのエステル
(g)一般式(V)
Figure 0004870037
(式中、jは2〜6の整数を示す。)
で表される繰り返し構造単位(以下構造単位(V)という)を含み、両末端が水酸基であるポリカーボネートジオール。
(h)一般式(VI)
Figure 0004870037
(式中、X4は水素原子、水酸基、炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子を示し、kは1〜5の整数を示し、k個のX4は同一でも異なっていてもよい。)
で表される芳香族モノカルボン酸、縮合多環式芳香族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、1分子中に1個以上の水酸基を有するヒドロキシ縮合多環式芳香族モノカルボン酸、ヒドロキシ脂環族モノカルボン酸又はこれらカルボン酸の無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(7)下記(i)成分と(j)成分とのエステル
(i)シアノ基を少なくとも1個有するカルボン酸又はこれらカルボン酸の無水物あるいは炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(j)脂肪族アルコール、脂環族アルコール、芳香族アルコール、フェノール及びアルキルフェノールから選択されるヒドロキシ化合物、あるいはこれらヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、アルキレンオキサイドの平均付加モル数0より大きく30以下)から選ばれる少なくとも1種。
(8)下記(k)成分と(l)成分とのエステル
(k)1分子中に3つ以上の水酸基を有する炭素数3以上の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種。
(l)炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖脂肪酸あるいはその炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種。
(9)下記(m)成分と、(n)成分とを、アセタール化反応又はトランスアセタール化反応させて得られる環状アセタール。
(m)3価以上の多価アルコールの少なくとも1種。
(n)一般式(VII)で表されるカルボニル化合物、及びこのカルボニル化合物と炭素数1〜6の低級アルコールとから得られるアセタールからなる群から選ばれる少なくとも1種。
Figure 0004870037
(式中、R1及びR2は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜21の直鎖、分岐鎖もしくは環状アルキル基を示し、R1とR2は一緒になって炭素数2〜24のアルキレン基を形成してもよい。)。
(10) 一般式(VIII)で表される化合物。
11O(AO)n12 (VIII)
[式中、R11は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、又は炭素数7〜18のアルキルフェニル基、R12は炭素数2〜15のアシル基、アルキル基もしくはアルケニル基であり、かつR11とR12の合計炭素数は4〜18である。Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す1〜20の数であり、n個のAは同一でも異なっていてもよい。]
(11) 3価以上の脂肪族多価カルボン酸、3価以上の芳香族多価カルボン酸、縮合多環式芳香族カルボン酸、及び脂環族カルボン酸、又はそれらの無水物あるいはそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の酸成分と、1価又は2価のアルコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種のアルコール成分とのエステル。
(12) 一般式(IX)で表される化合物。
B−[O(EO)s−R132 (IX)
(式中、Bは炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖の2価アルコールから2個の水酸基を除いた残基、R13は炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアシル基を示し、2個のR13は同一でも異なっていても良い。EOはオキシエチレン基、sはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、3≦2s≦20の数である。)
このような本発明に用いられる可塑剤の中では、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル等のヒドロキシ安息香酸エステル、グリセリンのエチレンオキサイド付加物の酢酸エステル等の多価アルコールエステル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル、マレイン酸ジ−n−ブチル等のマレイン酸エステル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、リン酸トリクレジル等のアルキルリン酸エステル、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、トリメリット酸トリオクチル等のトリカルボン酸エステル、1,3,6−ヘキサトリカルボン酸とブチルジグリコールとのエステル等の多価カルボン酸のアルキルエーテルエステル、アセチル化ポリオキシエチレンヘキシルエーテル等のアセチル化ポリオキシエチレンアルキル(アルキル基の炭素数2〜15)エーテル、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜20のポリエチレングリコールジアセテート、ポリオキシエチレン1,4−ブタンジオールエーテルジアセテート等が挙げられる。生分解性樹脂の柔軟性、透明性に優れる観点から、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル等のヒドロキシ安息香酸エステル、グリセリンのエチレンオキサイド付加物の酢酸エステル、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜20のポリエチレングリコールジアセテート等の多価アルコールエステル、フタル酸ジエチル等のフタル酸エステル、アセチル化モノグリセライド、ジグリセリンテトラアセテート等の(ポリ)グリセリンエステル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、リン酸トリクレジル等のアルキルリン酸エステル、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、1,3,6−ヘキサトリカルボン酸とブチルジグリコールとのエステル等の多価カルボン酸のアルキルエーテルエステルが好ましい。柔軟性、透明性、結晶化速度に優れる観点から、グリセリンのエチレンオキサイド付加物の酢酸エステル等の多価アルコールエステル、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜10のポリエチレングリコールジアセテート、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、1,3,6−ヘキサトリカルボン酸とブチルジグリコールとのエステル等の多価カルボン酸のアルキルエーテルエステルがより好ましい。柔軟性、透明性、結晶化速度及び耐ブリード性に優れる観点から、グリセリンのエチレンオキサイド3から6モル付加物の酢酸エステル、エチレンオキサイドの付加モル数が5〜10のポリエチレングリコールジアセテート、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステルがさらに好ましい。柔軟性、透明性、結晶化速度、耐ブリード性、優れた生分解性および耐刺激臭の観点から、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステルが特に好ましい。
[生分解性樹脂組成物]
本発明の生分解性樹脂組成物は、上記(i)、(ii)及び(iii)に示す条件を満足するものであり、(i)の60℃、36時間又は60時間熱処理後の厚さ0.5mmにおけるヘイズ値は、15%以下が好ましく、10%以下が更に好ましい。(ii)の温度25℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は、1×108〜1.5×109Paが好ましい。(iii)の温度60℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は、2×107〜1×109Paが好ましい。なお、ここで生分解性樹脂組成物のヘイズ値及び貯蔵弾性率(E’)は、実施例に記載された測定方法により測定される値である。
本発明の生分解性樹脂組成物として、透明性の高い生分解性樹脂を使用する場合は、上記本発明の効果に加えて、更に透明性の優れる生分解性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の生分解性樹脂組成物における生分解性樹脂、可塑剤、結晶核剤の好ましい組合せとしては、結晶化速度、感温性、耐熱性、透明性を向上する観点から、生分解性樹脂はポリ乳酸樹脂が好ましく、可塑剤は、ポリオキシエチレンメチルエーテルコハク酸ジエステル(より好ましくは、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化物)、ポリオキシエチレンメチルエーテルアジピン酸ジエステル(アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化物)、グリセリンのエチレンオキサイド付加物の酢酸エステル(より好ましくは、POE(6)グリセリントリアセテート)、エチレンオキサイド付加モル数が3〜10のポリエチレングリコールジアセテート(より好ましくはエチレンオキサイド付加モル数が5〜10のポリエチレングリコールジアセテート)、結晶核剤は、水酸基を2つ以上有し、エステル基又はアミド基を2つ以上有する脂肪族化合物(より好ましくは、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド及びヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドから選ばれる少なくとも1種)が好ましく、特に、生分解性樹脂がポリ乳酸、可塑剤がコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化物、結晶核剤がエチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド及びヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
生分解性樹脂、特にポリ乳酸樹脂に上記可塑剤、および結晶核剤を単独で添加しても、本発明の効果が得られず、課題を解決できない。ポリマーの結晶化はポリマー結晶核の生成、ポリマーセグメントの拡散による2段階で進行する。結晶化速度向上の観点から、上記の結晶核剤は樹脂溶融状態では溶解し分散性を高め、冷却時には瞬時に多数の微細な結晶核剤の結晶を生成し、その結果ポリマー結晶核生成を促し、かつ結晶核数を増やす効果が著しい。しかしポリマーの結晶核が生成しても、ポリマーセグメントの拡散速度が遅いとトータルの結晶化速度は満足のいくレベルではない。このポリマーの拡散速度を向上させるためには温度を上げれば良いが、逆にポリマーの結晶核が不安定になるため好ましくない。そこで上記可塑剤はポリマーの結晶成長速度を向上させる効果が著しく高いため、50〜85℃の低温でも十分な結晶化速度が得られる。この効果は上記結晶核剤と可塑剤を組み合わせて初めて実現できる。また本発明の十分な結晶化速度と耐衝撃性を得るために、可塑剤の添加量は、生分解性樹脂100重量部に対し、7重量部以上が好ましく、耐衝撃性の観点からも7重量部以上が好ましい。
一方、透明性維持の観点からも上記の結晶核剤と可塑剤の組み合わせが好ましい。透明性を向上させるためには、多数のポリマー結晶核から均一に結晶成長をさせると微結晶化し、透明性が高くなるが、多数の結晶を生成できる上記結晶核剤が好ましい。また、前述と同様に高温で結晶化させるとポリマー結晶核が不安定になるため、ポリマーの結晶成長速度を向上させる効果が著しく高い上記可塑剤を、生分解性樹脂100重量部に対し7重量部以上添加し、50〜85℃の低温で結晶化させることが透明性維持の観点でも好ましい。
本発明の生分解性樹脂組成物は、可塑剤及び結晶核剤を含有し、可塑剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、7〜70重量部が好ましく、10〜70重量部より好ましく、10〜50重量部がさらに好ましく、15〜45重量部が特に好ましい。結晶核剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜5重量部が更に好ましく、0.5〜3重量部が特に好ましい。
上記にそれぞれの好ましい値等を示したが、樹脂組成物の用途および加工方法によって、好ましい組み合わせがある。射出成形品として使用する場合、本発明の生分解性樹脂組成物は、上記(ii)の温度25℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は、1×109〜2.0×109Paが好ましく、1.5×109〜2×109Paがさらに好ましい。(iii)の温度60℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は、1×108〜1×109Paが好ましく、2×108〜1×109Paがさらに好ましい。また、ポリプロピレン並みの柔軟性を有するシートやフィルムとして使用する場合、本発明の生分解性樹脂組成物は、上記(ii)の温度25℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は、1×109〜2.0×109Paが好ましく、1.2×109〜1.8×109Paがさらに好ましい。(iii)の温度60℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は、1×108〜1×109Paが好ましく、2×108〜1×109Paがさらに好ましい。
上記2例の用途において、可塑剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、7〜30重量部が好ましく、10〜25重量部がさらに好ましく、10〜20重量部が特に好ましい。
上記2例の用途において、本発明の生分解性樹脂としては、本発明の効果を顕著に発揮する観点から、透明生分解性樹脂が好ましく、ポリ乳酸樹脂がさらに好ましい。その中でも結晶化速度、物性の観点からL−乳酸高純度品である結晶グレードのもの、特に三井化学(株)製、LACEA H−400、LACEA H−100、LACEA H−440が好ましく、L−乳酸純度95%以上のポリ乳酸樹脂、特に三井化学(株)製、LACEA H−400、LACEA H−100がさらに好ましい。
ポリエチレンや軟質ポリ塩化ビニル(樹脂100重量部に対し可塑剤としてジオクチルフタレート40〜70重量部を含有)並みの柔軟性を有するシートやフィルムとして使用する場合、本発明の生分解性樹脂組成物は、上記(ii)の温度25℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は、1×108〜1×109Paが好ましく、2×108〜1×109Paがさらに好ましい。(iii)の温度60℃、振動数50Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は、1×107〜1×108Paが好ましく、2×107〜1×108Paがさらに好ましい。
上記用途において、可塑剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、15〜50重量部が好ましく、20〜40重量部がさらに好ましく、20〜30重量部が特に好ましい。
上記の用途において、本発明の生分解性樹脂としては、本発明の効果を顕著に発揮する観点から、透明生分解性樹脂が好ましく、ポリ乳酸樹脂がさらに好ましい。その中でも物性の観点からL−乳酸高純度品である結晶グレードのものとL−乳酸低純度品である非晶性グレードのものとの配合が好ましく、特にL−乳酸純度95%以上の結晶グレードとして三井化学(株)製、LACEA H−400、LACEA H−100、非晶性グレードとしてL−乳酸純度90%以下の三井化学(株)製、LACEA H−280のブレンドが好ましい。また三井化学(株)製LACEA H−440を単体で用いても、非晶性グレードとをブレンドしても良い。また(L−乳酸純度95%以上の結晶グレード)/(L−乳酸純度90%以下の非晶性グレード)の配合比率は、結晶化速度の観点から95/5〜20/80(質量比)が好ましく、90/10〜20/80がさらに好ましく、80/20〜25/75が特に好ましく、75/25〜25/75が最も好ましい。
また本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂のガラス転移点(Tg1)と、生分解性樹脂組成物のガラス転移点(Tg2)との差[Tg1−Tg2]が10〜80℃の範囲が好ましく、15〜70℃の範囲が更に好ましく、20〜60℃の範囲が特に好ましい。
本発明の生分解性樹脂組成物の結晶化度は、生分解性樹脂の種類、可塑剤の有無などによって異なるので一概には決定することができないが、本発明の効果を発現する観点から、好ましくは5〜50%であり、より好ましくは10〜40%である。尚、ここで本発明の生分解性樹脂組成物の結晶化度は、実施例に記載された測定法により測定される値である。
本発明の生分解性樹脂組成物は、上記の本発明の結晶核剤、可塑剤以外に、加水分解抑制剤、酸化防止剤、又は滑剤等の他の成分を含有することができる。加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、ジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミド等のモノカルボジイミドと有機ジイソシアネートとの反応により得られたポリカルボジイミド化合物等が挙げられる。加水分解抑制剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部が更に好ましい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール又はフォスファイト系の酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部が更に好ましい。滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス類、ステアリン酸等の脂肪酸類、グリセロールエステル等の脂肪酸エステル類、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸類、モンタン酸ワックス等のエステルワックス類、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の芳香環を有するアニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアルキレンオキサイド付加部分を有するアニオン型界面活性剤等が挙げられる。これら滑剤の含有量は、生分解性樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部が更に好ましい。
本発明の生分解性樹脂組成物は、上記以外の他の成分として、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤等を、本発明の目的達成を妨げない範囲で含有することができる。
本発明の生分解性樹脂組成物は、加工性が良好で、例えば130〜200℃等の低温で加工することができるため、可塑剤の分解が起こり難い利点もあり、フィルムやシートに成形して、各種用途に用いることができる。
[生分解性樹脂組成物の製造法]
本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂、可塑剤、及び本発明の結晶核剤を、該生分解性樹脂の融点(Tm)以上で混合する工程(1)と、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上Tm未満の温度で熱処理する工程(2)とを有する製造法により製造することができる。
また、工程(1)を経た後、冷却して非晶状態(すなわち高角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下となる条件)とした後、工程(2)を行う方法や、工程(1)を経た後、冷却して直ちに工程(2)を行う方法が好ましく、本発明の結晶化速度向上効果発現の観点から、工程(1)を経た後、冷却して直ちに工程(2)を行う方法がより好ましい。
本発明の生分解性樹脂組成物の製造法における、工程(1)の具体例としては、通常の方法によって行う事ができ、例えば、押出し機等を用いて生分解性樹脂を溶融させながら、本発明の結晶核剤、及び可塑剤を混合する方法等が挙げられる。工程(1)の温度は、本発明の結晶核剤、可塑剤の分散性の観点から、生分解性樹脂の融点(Tm)以上であり、好ましくはTm〜Tm+100℃の範囲であり、より好ましくはTm〜Tm+50℃の範囲である。例えば、生分解性樹脂がポリ乳酸樹脂の場合は、好ましくは170〜240℃であり、より好ましくは170〜220℃である。
本発明の組成物の製造法における、工程(2)の具体例としては、通常の方法によって行う事ができ、例えば、押出し機等により押し出された生分解性樹脂組成物を熱処理する方法や射出成形機等により生分解性樹脂組成物を金型に充填し、生分解性樹脂組成物を熱処理する方法等が挙げられる。工程(2)の温度は、結晶化速度向上の観点から、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上Tm未満であり、好ましくはTg〜Tg+100℃の範囲であり、より好ましくはTg+10〜Tg+80℃の範囲であり、特に好ましくはTg+20〜Tg+70℃の範囲である。例えば、生分解性樹脂がポリ乳酸樹脂である生分解性樹脂組成物の場合は、50〜120℃が好ましく、50〜100℃が更に好ましく、50〜85℃が特に好ましい。
尚、生分解性樹脂の融点(Tm)は、JIS−K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる値である。また、生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定における損失弾性率(E'')のピーク温度より求められる値であり、その値は、実施例に記載された動的粘弾性の測定法より測定される値である。
実施例及び比較例で用いた結晶核剤の冷結晶化温度、溶融結晶化温度、SP値及び融点を表1に示す。尚、結晶核剤の冷結晶化温度(Tcc)及び溶融結晶化温度(Tmc)は、以下の方法で測定した。
<冷結晶化温度(Tcc)及び溶融結晶化温度(Tmc)の測定方法>
ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、LACEA H−400、SP値21.5、Tm166℃、Tg62℃)100重量部、可塑剤(合成例1で合成したPOE(6)グリセリントリアセテート)15重量部、結晶核剤1重量部からなる組成物を、180℃のラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)にて10分間混練し、180℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。プレス成形の際には成形するシートが非晶状態(すなわち広角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下になる条件)で冷却を行った。そのシートを細かく切断してアルミニウムパンに15mg秤取り、示差走査熱量測定(DSC)装置を使用し、室温から8℃/分の昇温速度で200℃まで測定する。その際冷結晶化の発熱ピークが観測されるのでそのピーク温度を冷結晶化温度(Tcc)とした。また次に、200℃から5℃/分の降温速度で室温まで測定する。その際、溶融結晶化の発熱ピークが観測されるのでそのピーク温度を溶融結晶化温度(Tmc)とした。
Figure 0004870037
*1 トリパルミチン:パルミチン酸トリグリセライド(和光純薬工業 試薬)
*2 ステアリン酸モノアミド:花王製 脂肪酸アマイドS
*3 ゲルオールMD:下記式(X)で表されるビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール
Figure 0004870037
*4 タルク:日本タルク製SG−2000(平均粒径D50 1.0μm)
合成例1:可塑剤の合成例
オートクレーブに花王(株)製化粧品用濃グリセリン1モルに対しエチレンオキサイド6モルのモル比で規定量仕込み、1モル%のKOHを触媒として反応圧力0.3MPaの定圧付加し、圧力が一定になるまで150℃で反応した後、80℃まで冷却し、触媒未中和の生成物を得た。この生成物に触媒の吸着剤としてキョーワード600Sを触媒重量の8倍添加し、窒素微加圧下で80℃、1時間吸着処理をおこなった。さらに処理後の液をNo.2のろ紙にラジオライト#900をプレコートしたヌッツェで吸着剤を濾過し、グリセリンエチレンオキサイド6モル付加物(以下POE(6)グリセリンという)を得た。これを四つ口フラスコに仕込み、105℃に昇温して300rpmで攪拌し、無水酢酸をPOE(6)グリセリン1モルに対し3.6モルの比率で規定量を約1時間で滴下し反応させた。滴下後110℃で2時間熟成し、さらに120℃で1時間熟成した。熟成後、減圧下で未反応の無水酢酸及び副生の酢酸をトッピングし、さらにスチーミングして、POE(6)グリセリントリアセテートを得た。
合成例2:可塑剤の合成例
攪拌機、温度計、滴下漏斗を備えた1LフラスコにPEG300(関東化学(株)製、平均分子量300)200gを仕込み、110℃で無水酢酸204gを1時間かけて滴下し、さらに120℃で2時間熟成した。反応終了後100℃/2.5kPaで未反応の無水酢酸と副生した酢酸を留去させ、さらに100℃/1.3kPaでスチーミングを行い、目的とする可塑剤(ポリエチレングリコールジアセテート、エチレンオキサイドの平均総付加モル数6.4)を得た。
実施例1〜5、比較例1〜6
生分解性樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、LACEA H−280、SP値21.5、Tm140℃、Tg60℃)100重量部、可塑剤として、POE(6)グリセリントリアセテート25重量部、表2に示す種類と量の結晶核剤からなる生分解性樹脂組成物(Tg11℃)を、180℃のラボプラストミルにて10分間混練し、180℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。
得られたテストピースの透明性を下記の方法で測定した。また、得られたテストピースを60℃に管理したオーブンに3時間または36時間静置して熱処理を行った。熱処理したテストピースについて下記の方法で柔軟性・感温性・耐熱性、透明性、耐ブリード性、及び結晶化度を評価した。これらの結果を表2に示す。
<透明性>
熱処理前及び熱処理後のテストピースについて、JIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(ヘイズメーター)を用い、テストピースのヘイズ値を測定した。数字の小さい方が透明性良好であることを示す。
<柔軟性・感温性・耐熱性>
熱処理後のテストピースについて、JIS−K7198に基づいて、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御製 DVA-200)にて、周波数50Hz、昇温速度2℃/minにおいて−20℃から80℃の温度領域における貯蔵弾性率(E’)の温度依存性、ならびに0℃、25℃および60℃における貯蔵弾性率(E’)を測定した。
<耐ブリード性>
熱処理後のテストピース(縦100mm×横100mm×厚さ0.5mm)について、40℃の恒温室に1週間放置し、その表面における可塑剤のブリードの有無を肉眼で観察した。
<結晶化度>
熱処理後のテストピースについて、テストピースを広角X線回折測定装置(理学電機製 RINT2500VPC,光源CuKα,管電圧40kV,管電流120mA)を使用し、2θ=5〜50°の範囲の非晶及び結晶のピーク面積を解析して結晶化度を求めた。
Figure 0004870037
実施例6〜8、比較例7〜8
生分解性樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、LACEA H−280/LACEA H−400=75/25(重量比)のブレンド品、SP値21.5、Tm165℃、Tg62℃)100重量部、可塑剤として、POE(6)グリセリントリアセテート25重量部、表3に示す種類と量の結晶核剤からなる生分解性樹脂組成物(Tg14℃)を、180℃のラボプラストミルにて10分間混練し、180℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。
得られたテストピースの透明性を実施例1と同様の方法で測定した。また、得られたテストピースを60℃に管理したオーブンに4分または36時間静置して熱処理を行った。熱処理したテストピースについて、実施例1と同様の方法で柔軟性・感温性・耐熱性、透明性、耐ブリード性、及び結晶化度を評価した。これらの結果を表3に示す。
Figure 0004870037
実施例9〜11、比較例9〜10
生分解性樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、LACEA H−400、SP値21.5、Tm166℃、Tg62℃)100重量部、可塑剤として、POE(6)グリセリントリアセテート15重量部、表4に示す種類と量の結晶核剤からなる生分解性樹脂組成物(Tg33℃)を、180℃のラボプラストミルにて10分間混練し、180℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。
得られたテストピースの透明性を実施例1と同様の方法で測定した。また、得られたテストピースを60℃に管理したオーブンに1分または60時間静置して熱処理を行った。熱処理したテストピースについて、実施例1と同様の方法で柔軟性・感温性・耐熱性、透明性、耐ブリード性、及び結晶化度を評価した。これらの結果を表4に示す。
Figure 0004870037
実施例12〜15、比較例11〜13
生分解性ポリエステル樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、LACEA H−400、SP値21.5、Tm166℃、Tg62℃)100重量部、可塑剤として合成例2で合成したポリエチレングリコール(6.4)ジアセテート(以下可塑剤aという)、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化物(以下可塑剤bという)又はアジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化物(以下可塑剤cという)15重量部、表5に示す種類と量の結晶核剤からなる生分解性樹脂組成物を、180℃のラボプラストミルにて10分間混練し、180℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。
得られたテストピースの透明性を実施例1と同様の方法で測定した。また、得られたテストピースを70℃に管理したオーブンに1分又は60℃に管理したオーブンに60時間静置して熱処理を行った。熱処理したテストピースについて、実施例1と同様の方法で柔軟性、感温性、耐熱性、透明性、耐ブリード性、及び結晶化度を評価した。これらの結果を表5に示す。
Figure 0004870037
実施例16〜20、比較例14〜18
生分解性ポリエステル樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、LACEA H−400、SP値21.5、Tm166℃、Tg62℃)100重量部、可塑剤として合成例1で合成したPOE(6)グリセリントリアセテート(以下可塑剤dという)、可塑剤a、可塑剤bまたはアセチルクエン酸トリブチル(田岡化学工業(株)製、以下可塑剤eという)15重量部、表6に示す種類と量の結晶核剤からなる生分解性樹脂組成物を、180℃のラボプラストミルにて10分間混練し、180℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。
新興セルビック製の手動射出成形機にて、再度テストピースを190℃で溶融し、次いで80℃の金型に射出して結晶化が終了するまで保持し、長さ60mm、厚さ10mm、幅2mmのテストピースを作成した。この時の結晶化が終了するまでの時間を保持時間とした。
また、結晶化終了後のテストピースは金型からの離型性を下記基準で評価し、結晶化度を実施例1と同様の方法で求めた。さらに得られたテストピースはJIS K7110に従って東洋精機製のアイゾット衝撃試験機により耐衝撃性を評価した。これらの結果を表6に示す。
<離型性の評価基準>
○:非常に離れ易い
○〜△:離れ易い
△:若干離れ難い
△〜×:離れ難い
×:離れない
Figure 0004870037
実施例21、比較例19
生分解性ポリエステル樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、LACEA H−400、SP値21.5、Tm166℃、Tg62℃)100重量部、可塑剤として可塑剤d 10重量部、表7に示す種類と量の結晶核剤、及び加水分解抑制剤(カルボジライトLA−1、日清紡績(株)製)0.5重量部からなる生分解性樹脂組成物(Tg42℃)を、180℃のラボプラストミルにて10分間混練し、180℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。
新興セルビック製の手動射出成形機にて、再度テストピースを200℃で溶融し、次いで80℃の金型に射出して結晶化が終了するまで保持し、長さ60mm、厚さ10mm、幅2mmのテストピースを作成した。この時の結晶化が終了するまでの時間を保持時間とした。
また、結晶化終了後のテストピースは金型からの離型性、結晶化度及び耐衝撃性を実施例16〜20と同様に評価した。これらの結果を表7に示す。
Figure 0004870037

Claims (3)

  1. 生分解性樹脂100重量部に対し、可塑剤7〜70重量部及び結晶核剤0.1〜5重量部を含有し、結晶核剤が分子中にエステル基、水酸基及びアミド基から選ばれる少なくとも1種の基を2つ以上有する脂肪族化合物であり、下記(i)、(ii)及び(iii)に示す条件を満足する生分解性樹脂組成物であって、
    生分解性樹脂がポリ乳酸樹脂であり、
    可塑剤が、グリセリンのエチレンオキサイド3から6モル付加物の酢酸エステル、エチレンオキサイドの付加モル数が5〜10のポリエチレングリコールジアセテート、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステルから選ばれるものであり、
    結晶核剤が、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド、エチレンビスカプリル酸アミド及びヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドから選ばれるものである、生分解性樹脂組成物
    (i)60℃、36時間又は60時間熱処理後の厚さ0.5mmにおけるヘイズ値が20%以下
    (ii)昇温速度2℃/minで−20℃から80℃まで加温したときの温度25℃における振動数50Hz貯蔵弾性率(E’)が1×108〜2×109Pa
    (iii)昇温速度2℃/minで−20℃から80℃まで加温したときの温度60℃における振動数50Hz貯蔵弾性率(E’)が1×107〜1×109Pa
  2. 結晶核剤の融点が70℃〜[生分解性樹脂の融点(Tm)+50℃]の範囲である、請求項に記載の生分解性樹脂組成物。
  3. 結晶核剤が、下記に定義される生分解性樹脂組成物の冷結晶化温度(Tcc)を65℃以下となしうる化合物である、請求項1又は2に記載の生分解性樹脂組成物。
    <冷結晶化温度(Tcc)>
    L−乳酸純度95%以上のポリ乳酸樹脂100重量部に対し、可塑剤としてポリオキシエチレン(エチレンオキサイド平均付加モル数6)グリセリントリアセテート15重量部及び結晶核剤1重量部を生分解性樹脂の融点(Tm)以上で混合し、それを冷却して非晶状態(すなわち広角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下になる条件)で得られる生分解性樹脂組成物を、室温から8℃/分の昇温条件で示差走査型熱量計にて測定したときの冷結晶化ピーク温度を冷結晶化温度(Tcc)と定義する。
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