JP3411168B2 - 脂肪族ポリエステル成形体の製造方法及びそれにより製造された成形体 - Google Patents

脂肪族ポリエステル成形体の製造方法及びそれにより製造された成形体

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JP3411168B2
JP3411168B2 JP34190596A JP34190596A JP3411168B2 JP 3411168 B2 JP3411168 B2 JP 3411168B2 JP 34190596 A JP34190596 A JP 34190596A JP 34190596 A JP34190596 A JP 34190596A JP 3411168 B2 JP3411168 B2 JP 3411168B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族ポリエステ
ルと肪族族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂
肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる
40〜300℃の融点を有する化合物群から選択された
少なくとも一種である透明核剤を含有し、透明性と結晶
性を併有する成形体を製造する方法、並びに、それによ
り製造された成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、汎用プラスチックは使用後廃棄す
る際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解さ
れないために、埋設処理しても、半永久的に地中に残留
し、また投棄されたプラスチック類により、景観が損な
われ海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こ
っている。これに対し、熱可塑性で分解性を有するポリ
マーとして、ポリ乳酸のようなポリヒドロキシカルボン
酸や、ポリブチレンサクシネートのような脂肪族多価ア
ルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族
ポリエステル等が開発されてきた。これらのポリマー
は、動物の体内で数カ月から1年以内に100%分解
し、また、土壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下
では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅し、さ
らに分解生成物は、人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水
になるという特性を有していることから、医療用材料や
汎用樹脂の代替物として注目をあびつつある。
【0003】一方、近年、エレクトロニクス、メカトロ
ニクス、オプトエレクトロニクス、レーザー(光通信、
CD、CD−ROM、CD−R、LD、DVD、光磁気
記録等も含む。)、液晶、光学、オフィスオートメーシ
ョン(OA)、ファクトリーオートメーション等の分野
における技術開発の飛躍的進展に伴い、透明なプラスチ
ックフィルムの需要が増し、その用途も飛躍的に拡大し
つつある。その用途の具体例としては、例えば、オーバ
ーへッドプロジェクター用フィルム、製版用フィルム、
トレーシングフィルム、食品ラッピングフィルム、農業
用フィルム等の用途が挙げられる。高機能な用途の具体
例としては、例えば、透明導電性フィルム(例えば、コ
ンピューター入力用画面タッチパネル等)、熱線反射フ
ィルム、液晶ディスプレー用フィルム、液晶ディスプレ
ー用偏光フィルム、PCB(プリント回路基盤)等が挙
げられる。
【0004】従来これらの用途に、ガラス、アクリル
(ポリメチルメタクリレート、PMMA)、ポリカーボ
ネート(PC)等の可撓性(フレキシビリティー)の低
い硬質なフィルムが使用されてきたが、最近は、これら
の用途においても、可撓性、成形容易性、耐熱性等に優
れた透明フィルムでの代替が必要とされる傾向にある。
このような代替需要の一部には、ポリエチレンテレフタ
ーレート(PET)フィルムで応じることが可能であ
る。しかしながら、例えば、分解性が要求されるような
用途には、PETでは問題となる場合がある。このよう
な背景から、透明フィルムの技術分野においては、透明
性/耐熱性(結晶性)/分解性を併有する透明フィルム
の果たす意義は大きいことが予想される。
【0005】ところで、分解性、熱可塑性ポリマーであ
るポリ乳酸や乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸及
び/又は脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸
のコポリマー等の脂肪族ポリエステルの成形体(例え
ば、3次元的形状を有するボ卜ル等の成形品、2次元的
形状を有する未延伸のフィルムやシート、1次元的形状
を有する未延伸のフィラメントや糸)は、通常、成形直
後は、非晶性であり、光を散乱する原因となる光の波長
と同程度以上の大きさの結晶が殆ど存在しないので透明
である。しかしながら、この透明な成形体は、通常、非
晶性であるがゆえに、耐熱性に劣る。例えば、非晶性ポ
リ乳酸容器は、透明性に優れているが耐熱性が低く、熱
湯又は電子レンジを使用することができず、用途が限定
されていた。このため、耐熱性を向上させるために、成
形加工時に結晶化温度付近に保持した金型内に充填する
か、又は成形後に非晶性の成形品を熱処理(アニール)
する等の熱処理して、結晶化度をあげると、通常、光を
散乱する原因となる光の波長と同程度以上の大きさの結
晶(例えば、球晶)が急速に成長して、結晶を可視光の
波長以上の大きさまで成長せしめ、成形体は不透明とな
ってしまう。
【0006】このように、従来の技術によったのでは、
ポリ乳酸や乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸及び
/又は脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸の
コポリマー等の脂肪族ポリエステルの成形体に、透明性
と結晶性を同時に付与することは、あたかも二律背反の
ごとく、困難であった。また、脂肪族ポリエステルにお
いて、例えば、ポリブチレンサクシネート等の結晶性の
脂肪族ポリエステルは、通常、成形直後は結晶性であ
り、耐熱性に優れているが、光を散乱する原因となる光
の波長と同程度以上の大きさの結晶が存在するので不透
明である。このような結晶性の不透明な脂肪族ポリエス
テルの成形体に透明性を付与する技術は今まで知られて
いない。すなわち、従来の技術によったのでは、脂肪族
ポリエステルの成形体に、透明性と結晶性を同時に付与
することは困難であり、さらには脂肪族ポリエステルの
成形体に、透明性と結晶性(耐熱性)を併有するものは
ないのが実情であった。
【0007】一方、汎用樹脂に関する技術分野において
は、透明核剤(透明化結晶核剤)を添加することによ
り、球晶の成長を制御し、成形体に透明性を同時に付与
する技術が知られている。透明核剤は、結晶について、
「大きさ」における過大な成長を抑制する作用、「数」
における増大作用、「結晶化速度」における促進作用等
があるとされている。その具体例としては、例えば、ポ
リプロピレン樹脂にソルビトール誘導体を添加してポリ
プロピレン樹脂成形体に透明性を付与する技術や、ポリ
エチレンテレフタレートの結晶化速度を促進するため、
テレフタル酸とレゾルシンを主な構成単位とする芳香族
ポリエステル微粉末を添加する方法等を挙げることがで
きる。しかしながら、脂肪族ポリエステルに関する技術
分野おいては、透明核剤により、結晶について、「大き
さ」において過大な成長を抑制し、「数」において増大
させ、「結晶化速度」において促進させ、ひいては、成
形体に透明性と結晶性を同時に付与する技術は知られて
いない。
【0008】[透明核剤の作用メカニズム]結晶性樹脂
成形体における透明核剤による透明性発現のメカニズム
は必ずしも明かではない。また、本発明は、特定のメカ
ニズムや仮説に拘束されるものではない。透明核剤を添
加して、結晶性樹脂成形体の透明化を図る場合には、通
常、結晶成長の条件(例えば、結晶化温度、結晶化時間
等)を、適切に設定する必要がある。結晶性樹脂成形体
における透明核剤による透明性発現のメカニズムは、例
えば、以下のようなモデルにより説明することも可能で
ある。
【0009】 透明核剤を添加しない結晶性樹脂成形
体のモデル 透明核剤を添加せずに、樹脂成形体を結晶化した場合に
は、透明核剤を添加した場金と比較して、結晶成長の足
がかりとなる結晶核が少ないので、相対的に少数の球晶
が生成し、結果として、ひとつひとつの球晶の大きさは
相対的に圧倒的に大きなものとなってしまう。すなわ
ち、単位体積当たりについて、透明核剤を添加した場合
と比較すると、同じ結晶化度であっても、大きな結晶が
相対的に少数生成し、結果として、可視光の波長と同程
度以上の大きさの結晶が生成するため、可視光を散乱し
て直進させないため、透明核剤を添加しない結晶性樹脂
成形体は、不透明となってしまう。
【0010】 透明核剤を添加した結晶性樹脂成形体
のモデル 透明核剤を添加して、樹脂成形体を結晶化した場合に
は、透明核剤が結晶成長の足がかかりとなる結晶核とな
るので、透明核剤を添加しない場合と比較して、相対的
に圧倒的多数の結晶が生成し、結果として、ひとつひと
つの結晶の大きさは、相対的に圧倒的に小さなものとす
ることができる。すなわち、単位体積当たりについて、
透明核剤を添加しない場合と比較すると、同じ結晶化度
であっても、小さな結晶が相対的に圧倒的多数生成し、
結果として、可視光の波長よりもかなり小さな大きさの
結晶が生成するため、可視光を散乱せずに直進させるた
め、透明核剤を添加した結晶性樹脂成形体を、透明とす
ることができる。
【0011】[脂肪族ポリエステルの添加剤]脂肪族ポ
リエステルに添加剤を添加する技術分野おいては、例え
ば、以下のような技術が知られている。
【0012】特開平6−299054号には、ポリ乳酸
又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーを主成
分とする熱可塑性ポリマー組成物からなるペレット10
0重量部に、高級脂肪酸のビスアミド(例;エチレンビ
スステアリン酸アミド)及び高級脂肪酸の金属塩(例;
ステアリン酸カルシウム)0.001〜0.05重量部
を添加することにより、軟化したぺレットに、耐ブロッ
キング性又は滑り性を付与する技術が開示されている。
ここで、0.001〜0.05重量部という数値限定
は、最適な耐ブロッキング性又は滑り性を発現させると
いう点で、臨界的意義がある。すなわち、0.05重量
部を超えると、ペレット同士のスリップを生じ、成形性
が著しく低下する。この発明と本発明は、以下の2点で
対照をなす。 (1) この発明は、ペレットに添加剤(滑剤又は耐ブロッ
キング剤)を添加しペレットの表面に付着させ、その効
果は成形時のペレットが固体状態から溶融する時に発揮
されるのに対して、本発明は、重合体成分に添加剤(透
明核剤)を均一に溶融混合し、その効果は溶融状態から
固化結晶化する時、あるいは固化した後に結晶化する時
に発揮されるものである。 (2) この発明は、ペレットに添加剤(滑剤又は耐ブロッ
キング剤)を相対的に少量(0.05重量部以下)添加
するのに対して、本発明は、重合体成分に添加剤(透明
核剤)を相対的に多量(通常1%)添加する。 (3) この発明は、非晶性の成形体を得る方法であるのに
対し、本発明は、結晶性の成形体を得る方法である。
【0013】特開平8−27363号には、ポリ乳酸又
は乳酸とヒドロキシカルボン酸のコポリマーを主成分と
する熱可塑性ポリマー組成物100重量部に、脂肪酸、
脂肪酸アミド又は脂肪酸と脂肪酸アミドの混合物を0.
051〜1.0重量部とを溶融混練し、射出成形するこ
とを特徴とする生分解性乳酸系ポリマーの成形方法が開
示されている。ポリ乳酸又は乳酸とヒドロキシカルボン
酸のコポリマーを主成分とする熱可塑性ポリマー組成物
は、必ずしも離型性がよくなく、場合により、離型剤を
必要とする。特に、一度の成形で多数個の成形体を製造
するような射出成形において、生産性を低下させないた
めには、特に離型性が問題となる。しかしながら、一般
的な離型剤は、成形体の透明性や強度を低下させてしま
うという問題があった。この発明は、ポリ乳酸又は乳酸
とヒドロキシカルボン酸のコポリマーを主成分とする熱
可塑性ポリマー組成物に、脂肪酸及び/又は脂肪酸アミ
ドを所定量配合し、溶融混練の後、射出成形することに
より、成形体に、非晶状態における透明性及び強度を維
持しつつ、優れた離型性を付与することにより、このよ
うな問題を解決する技術である。この発明と本発明と
は、以下の2点で対照をなす。 (1) この発明は、成形後において、結晶化しないことが
必須構成要素であるのに対して、本発明は、非晶性のポ
リ乳酸の場合、成形時又は成形後において、所定の条件
で結晶化することが必須構成要素である。 (2) この発明は、特に、一度の成形で多数個の成形体を
製造するような射出成形に有効であるのに対して、本発
明は、射出成形のみならず、他の成形法においても有効
である。
【0014】欧州特許公開公報683207号には、L
−乳酸比率が75%以上であるLー乳酸系ポリマー80
〜95重量%と、多価アルコールエステル及びヒドロキ
シ多価カルボン酸エステルからなる群より選ばれた可塑
剤5〜20重量%の混合物100重量部と、SiO2
90%以上含有し、平均粒径7〜50nmの耐ブロッキ
ング剤0.1〜5重量部と滑剤0.1〜2重量部からな
るL−乳酸系ポリマー組成物を、40〜65℃で加熱処
理することにより結晶化し、その後成形して、成形体を
製造する技術が開示されている。L−乳酸比率が75%
以上であるL−乳酸ポリマーは、ガラス転移点が低い
(例:ポリ乳酸は、約58℃)ので、ペレットとして、
ホッパーから成形工程に供給しようとすると、ホッパー
下部等で、熱と圧力により、軟化したペレットの表面同
士が相互に融着し、クラスター状に固まりとなってしま
うという問題があった。このような熱融着したぺレット
をそのまま成形工程に供給すると、成形体の品質(成形
加工の容易さ、透明性、強度、柔軟性、外観、平滑性
等)の低下を招来するという問題があった。この発明
は、L−乳酸比率が75%以上であるL−乳酸ポリマー
に、特定の化合物を少量添加混合してペレット化するこ
とにより、ぺレットに耐ブロッキング性及び滑り性を付
与し、さらには、このペレットを熱処理して結晶化する
ことにより耐熱性を付与し、表面融着しにくいペレット
とすることにより、このような問題を解決する技術であ
る。この発明と本発明は、以下の点で対照をなす。 (1) この発明は、ペレットに添加剤(滑剤又は耐ブロッ
キング剤)を添加しペレットの表面に付着させ、さらに
は熱処理し、その効果は成形時のペレットが固体状態か
ら溶融する時に発揮されるのに対して、本発明は、重合
体成分に添加剤(透明核剤)を均一に溶融混合し、その
効果は溶融状態から固化結晶化する時、あるいは固化し
た後に結晶化する時に発揮されるものである。 (2) この発明は、成形前において、熱処理することが必
須構成要素であるのに対して、本発明は、非晶性のL−
乳酸ポリマーの場合、成形時又は成形後において、所定
の条件で結晶化することが必須構成要素である。 (3) この発明は、耐ブロッキング性を付与するために耐
ブロッキング剤(例:SiO2)が必須構成要素である
のに対して、本発明では、耐ブロッキング剤が必須構成
要素ではない。
【0015】上述の如く、従来の技術によったのでは、
ポリ乳酸や乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸及び
/又は脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルポン酸の
コポリマー等の脂肪族ポリエステルの成形体に、透明性
と結晶性を同時に付与することは、あたかも二律背反の
ごとく、困難であった。
【0016】本発明者らは、脂肪族ポリエステルの成形
体に、透明性と結晶性を同時に発現せしめることは、極
めて有意義な解決課題であると想到した。本発明者らに
よるこのような問題の所在の把握は、従来、当業者によ
っては、まったく認識されてこなかった。本発明者ら
は、このような観点から、実際にポリ乳酸や乳酸と他の
脂肪族ヒドロキシカルボン酸及び/又は脂肪族多価アル
コールと脂肪族多価カルボン酸のコポリマー等の脂肪族
ポリエステルに、透明核剤として、ポリプロピレン樹脂
用の透明核剤であるソルビトール誘導体や、リン系の核
剤、タルク、超微粒子径(1〜数十nm)シリカ、乳酸
カルシウムあるいは安息香酸ナトリウム等を使用して射
出成形を試みたが、これらのみでは、これら脂肪族ポリ
エステルに、透明性と結晶性を同時に付与せしめること
はできなかった。このように、ポリ乳酸や乳酸と他の脂
肪族ヒドロキシカルボン酸及び/又は脂肪族多価アルコ
ールと脂肪族多価カルボン酸のコポリマー等の脂肪族ポ
リエステルに関しては、一般的な射出成形、ブロー成
形、圧縮成形等の成形技術において、成形時又は成形の
前後において、公知公用の透明核剤を用いても、透明性
と結晶性(耐熱性)を同時発現することは困難であっ
た。
【0017】
【課題を解決しようとする課題】本発明は、透明性と結
晶性(耐熱性)とを同時に有する、ポリ乳酸をはじめと
する脂肪族ポリエステルの成形体を得ることを課題とす
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、ある特定の化合物を
脂肪族ポリエステルに添加し、成形時又は成形後に、成
形体を結晶化させることにより、透明性と結晶性(耐熱
性)を併有する成形体が得られることを見い出だし、本
発明を完成するに至った。本発明は、以下の[1]〜
[27]に記載した事項により特定される。
【0019】[1] 融点からガラス転移温度まで10
℃/分の速度で降温したときに結晶を生成しない性質を
有する脂肪族ポリエステルと脂肪族カルボン酸アミド、
脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カル
ボン酸エステルからなる40〜300℃の融点を有する
化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を含
有する脂肪族ポリエステル組成物を成形し、成形時又は
成形後に熱処理することを特徴とする、透明性及び結晶
性を併有する脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
【0020】[2] 融点からガラス転移温度まで10
℃/分の速度で降温したときに結晶を生成する性質を有
する脂肪族ポリエステルと脂肪族カルボン酸アミド、脂
肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボ
ン酸エステルからなる40〜300℃の融点を有する化
合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を含有
する脂肪族ポリエステル組成物を成形することを特徴と
する、透明性及び結晶性を併有する脂肪族ポリエステル
成形体の製造方法。
【0021】[3] 脂肪族ポリエステル組成物におけ
る脂肪族ポリエステルと透明核剤の組成比が、脂肪族ポ
リエステル100重量部に対して、透明核剤0.1〜1
0重量部である[1]に記載した脂肪族ポリエステル成
形体の製造方法。
【0022】[4] 脂肪族ポリエステル組成物におけ
る脂肪族ポリエステルと透明核剤の組成比が、脂肪族ポ
リエステル100重量部に対して、透明核剤0.1〜1
0重量部である[2]に記載した脂肪族ポリエステル成
形体の製造方法。
【0023】[5] 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸で
あり、透明核剤が脂肪族カルボン酸アミドである[3]
に記載した脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
【0024】[6] 脂肪族カルボン酸アミドがエチレ
ンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミ
ド、エチレンビスオレイン酸アミド、m−キシリレンビ
スステアリン酸アミド及びm−キシリレンビス−12−
ヒドロキシステアリン酸アミドからなる群から選択され
た少なくとも一種である、[5]に記載した脂肪族ポリ
エステル成形体の製造方法。
【0025】[7] 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸ブ
ロックとポリブチレンサクシネートブロックを有する共
重合体である[3]に記載した脂肪族ポリエステル成形
体の製造方法。
【0026】[8] 透明核剤がパルミチン酸アミド、
ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、べヘニン酸アミ
ド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミ
ド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリル
エルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチ
レンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸ア
ミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キ
シリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、
ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステ
アリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレングリコ
ールジステアレート及びステアリルアルコール、からな
る群から選択された少なくとも一種である[7]に記載
した脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
【0027】[9] 脂肪族ポリエステルがポリブチレ
ンサクシネートである[4]に記載した脂肪族ポリエス
テル成形体の製造方法。
【0028】[10] 透明核剤がパルミチン酸アミ
ド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、べヘニン酸
アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸
アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステア
リルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、
エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン
酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m
−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミ
ド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、
ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレング
リコールジステアレート及びステアリルアルコール、か
らなる群から選択された少なくとも一種である[9]に
記載した脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
【0029】[11] 熱処理方法が、脂肪族ポリエス
テル組成物を一旦溶融した後、該脂肪族ポリエステル組
成物の結晶化開始温度から結晶化終了温度迄の温度範囲
に保温された金型内に充填し結晶化させることを特徴と
する、[1]、[3]、[5]乃至[8]の何れかに記
載した脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
【0030】[12] 熱処理方法が、脂肪族ポリエス
テル組成物の溶融物を、金型内で冷却固化して非晶性成
形体を得た後、その成形体を該組成物のガラス転移温度
から融点迄の温度範囲で結晶化することを特徴とする、
[1]、[3]、[5]乃至[8]の何れかに記載した
脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
【0031】[13] [1]乃至[12]の何れかに
記載した製造方法により得られた脂肪族ポリエステル成
形体。
【0032】[14] 1mm厚のヘイズ値が30%以
下の透明性と結晶化度が10%以上である結晶性を有す
る、[13]の脂肪族ポリエステル成形体。
【0033】[15] 脂肪族ポリエステルと脂肪族カ
ルボン酸アミド、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン
酸エステルからなる40〜300℃の融点を有する化合
物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を含有す
る、透明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエステル成形
体。
【0034】[16] 脂肪族ポリエステルと透明核剤
の組成比が、脂肪族ポリエステル100重量部に対し
て、透明核剤0.1〜10重量部である[15]に記載
した脂肪族ポリエステル成形体。
【0035】[17] 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸
である、[16]に記載した脂肪族ポリエステル成形
体。
【0036】[18] 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸
ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有する
共重合体及び/又はポリブチレンサクシネートである
[16]に記載した脂肪族ポリエステル成形体。
【0037】[19] 透明核剤が脂肪族カルボン酸ア
ミドである[17]に記載した成形体。
【0038】[20] 脂肪族カルボン酸アミドが、エ
チレンビスカプリン酸アミド、エチンビスラウリン酸ア
ミド、エチレンビスオレイン酸アミド、m−キシリレン
ビステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒ
ドロキシステアリン酸アドからなる群から選択された少
なくとも一種の化合物である[19]に記載した成形
体。
【0039】[21] 透明核剤が、パルミチン酸アミ
ド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸
アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸
アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステア
リルエルカ酸アミド、エチレビスカプリン酸アミド、エ
チレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸
アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステア
リン酸アミド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸
カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、
エチレングリコールジステアレート及びステアリルアル
コールからなる群から選択された少なくとも一種の化合
物である[18]に記載した成形体。
【0040】[22] 透明性が、1mm厚のへイズ値
か30%以下であり、かつ、結晶化度が10%以上であ
る[15]乃至[21]の何れかに記載した成形体。
【0041】[23] パルミチン酸アミド、ステアリ
ン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシ
ノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−
オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸
アミド、エチレビスカプリン酸アミド、エチレンビスラ
ウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、m−
キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミ
ド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、
ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレング
リコールジステアレート及びステアリルアルコールから
なる群から選択された少なくとも一種の化合物を、脂肪
族ポリエステル用透明核剤として使用する方法。
【0042】[24] エチレンビスカプリン酸アミ
ド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレ
イン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド
及びm−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン
酸アミドからなる群から選択された少なくとも一種の化
合物を、融点からガラス転移温度まで10℃/分の速度
で降温したときに結晶を生成しない性質を有する脂肪族
ポリエステル用透明核剤として使用する方法。
【0043】[25] エチレンビスカプリン酸アミ
ド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレ
イン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド
及びm−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン
酸アミドからなる群から選択された少なくとも一種の化
合物を、ポリ乳酸用透明核剤として使用する方法。
【0044】[26] パルミチン酸アミド、ステアリ
ン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシ
ノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−
オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸
アミド、エチレビスカプリン酸アミド、エチレンビスラ
ウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、m−
キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミ
ド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、
ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレング
リコールジステアレート及びステアリルアルコールから
なる群から選択された少なくとも一種の化合物を、融点
からガラス転移温度まで10℃/分の速度で降温したと
きに結晶を生成する性質を有する脂肪族ポリエステル用
透明核剤として使用する方法。
【0045】[27] パルミチン酸アミド、ステアリ
ン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシ
ノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−
オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸
アミド、エチレビスカプリン酸アミド、エチレンビスラ
ウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、m−
キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミ
ド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、
ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレング
リコールジステアレート及びステアリルアルコールから
なる群から選択された少なくとも一種の化合物を、ポリ
乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有
する共重合体及び/又はポリブチレンサクシネート用透
明核剤として使用する方法。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 [脂肪族ポリエステル]本発明において、脂肪族ポリエ
ステルは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸のホモポリマー
(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロン
酸等)及びコポリマー(例えば、乳酸とグリコール酸の
コポリマー、乳酸とカプロン酸のコポリマー等)、脂肪
族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸のホモポリマ
ー(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン
アジペート等)及びコポリマー(例えば、ブタンジオー
ルとコハク酸及びアジピン酸のコポリマー、エチレング
リコール及びブタンジオールとコハク酸のコポリマー
等)、脂肪族ヒドロキシカルボン酸と脂肪族多価アルコ
ール及び脂肪族多価カルボン酸からなるコポリマー(例
えば、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートのブロック
コポリマー)、及びそれらの混合物を包含する。又、混
合物の場合、相溶化剤を含有してもよい。脂肪族ポリエ
ステルがコポリマーの場合、コポリマーの配列の様式
は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合
体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。さら
に、これらは少なくとも一部が、キシリレンジイソシア
ネート、2,4−トリレンジイソシアネート等のような
多価イソシアネートやセルロース、アセチルセルロース
やエチルセルロース等のような多糖類等の架橋剤で架橋
されたものでもよく、少なくとも一部が、線状、環状、
分岐状、星形、三次元網目構造、等のいずれの構造をと
ってもよく、何ら制限はない。
【0047】本発明の脂肪族ポリエステルにおいて、ポ
リ乳酸、特にポリ−L−乳酸、ポリカプロン酸、特にポ
リ−ε−カプロン酸、ポリ乳酸とポリ−6−ヒドロキシ
カプロン酸のブロックコポリマー、特にポリ−L−乳酸
とポリ−6−ヒドロキシカプ口ン酸のブロックコポリマ
ー、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸とポリブチレ
ンサクシネートのブロックコポリマー、特にポリ−L−
乳酸とポリブチレンサクシネートのブロックコポリマー
が好ましい。ない。
【0048】[脂肪族ヒドロキシカルボン酸]本発明に
おいて脂肪族ポリエステルを構成する脂肪族ヒドロキシ
カルボン酸の具体例としては、例えば、グリコール酸、
乳酸、3−ヒドロキシ酩酸、4−ヒドロキシ酩酸、4−
ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酪、6−ヒドロ
キシカプロン酸等が挙げられる。これらは一種類又は二
種類以上の混合物であってもよい。また脂肪族ヒドロキ
シカルボン酸が不斉炭素を有する場合、L体、D体、及
びその混合物、すなわち、ラセミ体であってもよい。
【0049】[脂肪族多価カルボン酸及びその無水物]
本発明において脂肪族ポリエステルを構成する脂肪族多
価カルボン酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、コ
ハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ
ン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸等及びそ
の無水物等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以
上の混合物であってもよい。
【0050】[脂肪族多価アルコール]本発明において
脂肪族ポリエステルを構成する脂肪族多価アルコールの
具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタン
ジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,
5−ぺンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、テ
トラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノール等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以
上の混合物であってもよい。
【0051】[多糖類]多糖類の具体例としては、例え
ば、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メ
チルセルロース、エチルセルロース、セルロイド、ビス
コースレーヨン、再生セルロース、セロハン、キュプ
ラ、銅アンモニアレーヨン、キュプロファン、ベンベル
グ、ヘミセルロース、デンプン、アミロペクチン、デキ
ストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キ
チン、キトサン、アラビアガム、グァーガム、ローカス
トビーンガム、アカシアガム、等、及びこれらの誘導体
が挙げられるが、特にアセチルセルロース、エチルセル
ロースが好的に用いられる。これらは、一種類又は二種
類以上の混合物であってもよい。
【0052】[脂肪族ポリエステルの分子量]本発明に
おいて使用する脂肪族ポリエステルの分子量は、目的と
する用途、例えば包装材及び容器などの成形体にした場
合に、実質的に充分な機械物性を示すものであれば、そ
の分子量は、特に制限されない。脂肪族ポリエステルの
分子量としては、一般的には、重量平均分子量として、
1〜500万が好ましく、3〜300万がより好まし
く、5〜200万がより好ましく、7〜100万がさら
に好ましく、9〜50万が最も好ましい。一般的には、
重量平均分子量が1万より小さい場合、機械物性が充分
でなかったり、逆に分子量が500万より大きい場合、
取扱いが困難となったり不経済となったりする場合があ
る。本発明において使用する脂肪族ポリエステルの重量
平均分子量及び分子量分布は、その製造方法において、
溶媒の種類、触媒の種類及び量、反応温度、反応時間、
共沸により留出した溶媒の処埋方法、反応系の溶媒の脱
水の程度等の反応条件を適宜選択することにより所望の
ものに制御することができる。
【0053】[脂肪族ポリエステルの製造方法]本発明
のポリエステルの製造方法は、特に制限されない。例え
ば、ポリ乳酸及び構造単位に乳酸を有する脂肪族ポリエ
ステルの製造方法の具体例としては、特開平6−653
60号に開示されている方法を参考した、後述の製造例
2に示すような方法が挙げられる。すなわち、乳酸及び
/又は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を、あるいは脂
肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を、有機溶媒及び触
媒の存在下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法であ
る。構造単位に乳酸を有する脂肪族ポリエステルの製造
方法の他の参考例としては、例えば、特開平7−173
266号に開示されている方法を参考した、後述の製造
例3〜6に示すような方法が挙げられる。すなわち、少
なくとも2種類の脂肪族ポリエステルのホモポリマーを
重合触媒の存在下、共重合並びにエステル交換反応させ
る方法である。ポリ乳酸の製造方法の他の具体例として
は、例えば、米国特許第2,703,316号に開示さ
れている方法を参考にした、後述の製造例1に示すよう
な方法が挙げられる。すなわち、乳酸及び/又は乳酸以
外のヒドロキシカルボン酸を、一旦、脱水し環状二量体
とした後に、開環重合する間接重合法である。
【0054】[脂肪族カルボン酸アミド]本発明で用い
られる脂肪族カルボン酸アミドとしては、通常アミド結
合と呼ばれる結合を有する化合物であり、融点が40〜
300℃の脂肪族カルボン酸アミドであれば、特に制限
されない。本発明方法における脂肪族カルボン酸アミド
としては、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂
肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸ア
ミド類、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類、N−
置換尿素類が挙げられる。
【0055】脂肪族カルボン酸アミドの具体例として
は、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン
酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘ
ニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステア
リン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類;
N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイ
ン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ス
テアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン
酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロール
ステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのよ
うなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類;メチレン
ビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミ
ド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレ
イン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチ
レンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミ
ド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビ
スヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステア
リン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、
へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレ
ンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキ
システアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン
酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステ
アリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド
類;N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′
−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジステアリル
アジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルセバシン酸
アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、
N,N′−ジステアリルテレフ夕ル酸アミドのようなN
−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類;N−ブチル−
N′−ステアリル尿素、N−プロピル−N′−ステアリ
ル尿素、N−ステアリル−N′−ステアリル尿素、N−
フェニル−N′−ステアリル尿素、キシリレンビスステ
アリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメ
チレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステ
アリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のよう
なN−置換尿素類が挙げられる。これらは一種類又は二
種類以上の混合物であってもよい。脂肪族ポリエステル
がポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロッ
クを有する共重合体やポリブチレンサクシネートの場合
は、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モ
ノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類
が好適に用いられ、特に、パルミチン酸アミド、ステア
リン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リ
シノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N
−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ
酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビ
スオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、
m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレ
ンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドが好適に
用いられる。又、脂肪族ポリエステルがポリ乳酸の場合
は、脂肪族ビスカルボン酸アミド類が好適に用いられ、
特に、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオ
レイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、m−
キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビ
ス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドが好適に用い
られる。
【0056】[脂肪族カルボン酸塩]本発明で透明核剤
として用いる脂肪族カルボン酸塩としては、融点が40
℃〜300℃の脂肪族カルボン酸塩であれば、特に制限
されない。本発明で使用する脂肪族カルボン酸塩は下記
一般式(1)に示される化合物を包含する。
【0057】
【化1】 R−COOM (1) (Rは、炭素原子数10〜40の、飽和若しくは不飽和
又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、Mは、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、アルミニウム、ベリリウム、バリウム、銅、ニッケ
ル、鉛、タリウム、亜鉛及び銀である。) 脂肪族カルボン酸塩の具体例としては、例えば、ラウリ
ン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸水素
カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシ
ウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸銀等のラウリン酸
塩;ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、
ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウ
ム、ミリスチン酸カルシム、ミリスチン酸亜鉛、ミリス
チン酸銀等のミリスチン酸塩;パルミチン酸リチウム、
パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パ
ルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン
酸銅、パルミチン酸鉛、パルミチン酸タリウム、パルミ
チン酸コバルト等のパルミチン酸塩;オレイン酸ナトリ
ウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、
オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸
鉛、オレイン酸タリウム、オレイン酸銅、オレイン酸ニ
ッケル等のオレイン酸塩;ステアリン酸ナトリウム、ス
テアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリ
ン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン
酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ベリリウム
等のステアリン酸塩;イソステアリン酸ナトリウム、イ
ソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウ
ム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バ
リウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリ
ン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル等のイソステアリ
ン酸塩;ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、
べヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘ
ニン酸バリウム、ベヘニン酸アルミニウム、べヘニン酸
亜鉛、ベヘニン酸ニッケル等のベヘニン酸塩;モンタン
酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネ
シウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸バリウム、
モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸
ニッケル等のモンタン酸塩等が挙げられる。これらは一
種類又は二種類以上の混合物であってもよい。脂肪族ポ
リエステルがポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシネ
ートブロックを有する共重合体やポリブチレンサクシネ
ートの場合は、特に、ステアリン酸の塩類やモンタン酸
の塩類が好適に用いられ、特に、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタ
ン酸カルシウムが好適に用いられる。
【0058】[脂肪族アルコール]
本発明で透明核剤とし
て用いる脂肪族アルコールとしては、融点が40℃〜3
00℃の脂肪族モノアルコール及び脂肪族多価アルコー
ルであり、一般式(2)で示される化合物である。
【0059】
【化2】 X−R−OH (2) (Rは、炭素原子数が6〜40の、飽和若しくは不飽和
又は直鎖若しくは分岐若しくは環状の炭化水素基であ
り、Xは、水素原子又は水酸基) 脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、脂肪族モ
ノアルコール類、脂肪族多価アルコール類、環状アルコ
ール類が挙げられる。例えば、ペンタデシルアルコー
ル、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステ
アリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシル
アルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等
の脂肪族モノアルコール類;1,6ヘキサンジオール、
1,7−へプタンジール、1,8−オクタンジオール、
1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等
の脂肪族多価アルコール類;シクロペンタン−1,2−
ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロ
ヘキサン−1,4−ジオール等の環状アルコール類等が
挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物で
あってもよい。脂肪族ポリエステルがポリ乳酸ブロック
とポリブチレンサクシネートブロックを有する共重合体
やポリブチレンサクシネートの場合は、脂肪族モノアル
コール類が好適に用いられ、特にステアリルアルコール
が好適に用いられる。
【0060】[脂肪族カルボン酸エステル]本発明で透
明核剤として用いられる脂肪族カルボン酸エステルに
は、融点が40℃〜300℃の脂肪族カルボン酸エステ
ルであり、下記一般式(3)で表される脂肪族モノカル
ボン酸エステル、一般式(4)で表されるエチレングリ
コールモノエステル及びエチレングリコールジエステ
ル、一般式(5)で表されるグリセリンモノエステル、
グリセリンジエステル及びグリセリントリエステルが包
含される。
【0061】
【化3】 R1−COOR2 (3)
【0062】
【0063】 (R1、R2 は、炭素原子数が10〜40の、飽和若し
くは不飽和又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、
1 、X2 、X3 、X4 、X5 は水素原子又は炭素原子
数2〜40の飽和若しくは不飽和、又は直鎖若しくは分
岐のアシル基であり,n1、n2、n3、n4、n5は、同
じであっても異なってもよく、0〜4の整数である。X
1 、X2 の少なくとも一つは、炭素原子数2〜40の飽
和若しくは不飽和、又は直鎖若しくは分岐のアシル基で
あり、X3、X4、X5の少なくとも一つは、炭素原子数
1〜40の飽和若しくは不飽和、又は直鎖若しくは分岐
のアシル基である) 脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、例えば、
ラウリン酸セチルエステル、ラウリン酸フェナシルエス
テル、ミリスチン酸セチルエステル、ミリスチン酸フェ
ナシルエステル、パルミチン酸イソプロピリデンエステ
ル、パルミチン酸ドデシルエステル、パルミチン酸テト
ラドデシルエステル、パルミチン酸ペンタデシルエステ
ル、パルミチン酸オクタデシルエステル、パルミチン酸
セチルエステル、パルミチン酸フェニルエステル、パル
ミチン酸フェナシルエステル、ステアリン酸セチルエス
テル、べヘニン酸エチルエステル等の脂肪族モノカルボ
ン酸エステル類;モノラウリン酸グリコール、モノパル
ミチン酸グリコール、モノステアリン酸グリコール等の
エチレングリコールのモノエステル類;ジラウリン酸グ
リコール、ジパルミチン酸グリコール、ジステアリン酸
グリコール等のエチレングリコールのジエステル類;モ
ノラウリン酸グリセリンエステル、モノミリスチン酸グ
リセリンエステル、モノパルミチン酸グリセリンエステ
ル、モノステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリ
ンのモノエステル類;ジラウリン酸グリセリンエステ
ル、ジミリスチン酸グリセリンエステル、ジパルミチン
酸グリセリンエステル、ジステアリン酸グリセリンエス
テル等のグリセリンのジエステル類;トリラウリン酸グ
リセリンエステル、トリミリスチン酸グリセリンエステ
ル、トリパルミチン酸グリセリンエステル、トリステア
リン酸グリセリンエステル、パルミトジオレイン、パル
ミトジステアリン、オレオジステアリン等のグリセリン
のトリエステル類等が挙げられる。これらは一種類又は
二種類以上の混合物であってもよい。脂肪族ポリエステ
ルがポリ乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロ
ックを有する共重合体やポリブチレンサクシネートの場
合は、エチレングリコールのジエステル類が好適であ
り、特にエチレングリコールジステアレートが好適に用
いられる。
【0064】[透明核剤の添加量]脂肪族カルボン酸ア
ミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族
カルボン酸エステルの脂肪族ポリエステルへの添加量
は、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、0.1
〜10重量部であり、好ましくは、0.1〜7重量部、
さらに好ましくは0.3〜5重量部、最も好ましくは
0.5〜3重量部である。0.1重量部より小さいと、
透明核剤としての効果が不十分となる場合があり、逆に
10重量部より大きくなると、さらなる透明核剤として
の効果は得られなくなるばかりか、外観や物性の変化を
来す場合がある。
【0065】[無機添加剤]本発明の製造方法により製
造する成形体には、成形体の透明性を損なわない限り、
結晶化速度の向上、耐熱性の向上、機械物性の向上、耐
ブロッキング性の向上等の諸物性を改善するために無機
添加剤を添加することもできる。無機添加剤の具体例と
しては、例えば、タルク、カオリナイト、SiO2、ク
レー等が挙げられるが、成形体の透明性を損なわないよ
うに適宜、条件(添加量、粒子サイズ)を選択する必要
がある。成形体の透明性を保持する為には、一般的に可
視光の波長よりも実質的に小さな粒子サイズを選択する
ことが推奨される。より具体的には、耐ブロッキング性
の物性改良を目的とした場合、例えば、粒径が1〜50
nmのSiO2等が透明性を損なうことなく好適に用い
られる。本発明の製造方法において、成形時の金型内で
の結晶化や生成した成形体の熱処理による結晶化などの
成形加工時の結晶化速度をさらに向上させることを目的
とした場合、SiO2成分を10重量%以上含む結晶性
の無機物が好ましく、具体的には、タルクTM−30
(富士タルク社製)、カオリンJP−100(土屋カオ
リン社製)、NNカオリンクレー(土屋カオリン社
製)、カオリナイトASP−170(富士タルク社
製)、カオリンUW(エンゲルハード社製)、タルクR
F(富士タルク社製)等が挙げられる。この場合、粒径
が小さく、樹脂と溶融混練した場合に凝集することなく
良好に分散するものが好適に用いられる。無機添加剤の
添加量は、成形体の透明性を極端に損なわな程度の量が
好ましく、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、
30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ま
しくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以
下、最も好ましくは1重量%以下が好適である。
【0066】[可塑剤]本発明の製造方法により製造す
る成形体には、結晶化速度を上げる為に、可塑剤を併用
することもできる。このような目的に使用される可塑剤
は、結晶化速度を上げる機能を有するものであれば特に
制限はなく、例えば、フタル酸系化合物等の芳香族化合
物であっても、エポキシ系化合物、エステル系化合物等
の脂肪族化合物であってもよい。可塑剤の好ましい具体
例としては、例えば、アセチルクエン酸トリブチル、ジ
イソデシルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセ
チン等の脂肪族化合物が挙げられる。可塑剤の添加量
は、添加剤の種類によって異なるが、脂肪族ポリエステ
ルの透明性を極端に阻害しない程度の量が好ましく、3
0重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好まし
くは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、
最も好ましくは1重量%以下が好適である。本発明の製
造方法により製造する成形体には、さらに、成形体の透
明性を損なわない限り、各種エラストマー(SBR、N
BR、SBS型3元ブロック共重合体熱可塑性エラスト
マー等)や添加剤(可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑
剤、染料、抗菌剤)、フィラー(耐衝撃性コア/シェル
型粒子、インパクトモディフアイアー等)、顔料(メタ
リック顔料、パール顔料)を目的や用途に応じて適宜使
用することができる。
【0067】[成形加工法] 〈混合・混練・捏和〉本発明において、融点からガラス
転移温度まで10℃/分の速度で降温したときに結晶を
生成しない性質を有する脂肪族ポリエステルと脂肪族カ
ルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコー
ル及び脂肪族カルボン酸エステルからなる40〜300
℃の融点を有する化合物群から選択された少なくとも一
種の透明核剤を、混合・混練・捏和して脂肪族ポリエス
テル組成物を製造する方法は、公知公用の混練技術、例
えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等で各原
料を固体状で混合させたり、又、さらに押出機等を用い
てポリマーを溶融させながら混練させる方法を採用する
ことができる。
【0068】〈成形〉以下に、本発明の目的とする透明
性と結晶性を併有する成形体を製造する方法について説
明する。本発明は、前述した脂肪族ポリエステル樹脂組
成物を成形時、又は成形後に結晶化させる事で、透明性
と結晶性を併有する成形体を製造する方法である。成形
方法としては、一般に射出成形、押出成形、ブロー成
形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー
成形、真空圧空成形、紡糸等の通常の方法が挙げられる
が、本発明で示す樹脂組成物においては、いずれの成形
方法にも適応でき、何ら制限はない。本発明では、例え
ばポリブチレンサクシネートの様な融点からガラス転移
温度まで10℃/分の速度で降温した時に結晶を生成す
る脂肪族ポリエステル(以下脂肪族ポリエステル(A)
という)の場合は、通常の成形方法により透明性と結晶
性、さらには耐熱性を有する成形体を得ることができ
る。一方、ポリ乳酸やポリ乳酸ブロックとポリブチレン
サクシネートブロックを有する共重合体の様な融点から
ガラス転移温度まで10℃/分の速度で降温した時に結
晶を生成しない脂肪族ポリエステル(以下脂肪族ポリエ
ステル(B)という)の場合は、成形時、又は成形後に
おいて、成形体を何らかの方法(例えば、熱処理)で結
晶化させる必要がある。脂肪族ポリエステル(B)組成
物を成形時、又は成形後に結晶化させる具体例として
は、例えば、成形時に該組成物の溶融物を金型内に充填
し、金型内でそのまま結晶化させる方法(以下、金型内
結晶化法という)、及び該組成物の非晶性の成形体を熱
処理する方法(以下、後結晶化法という)を挙げること
ができる。この金型内結晶化法及び後結晶化法では、成
形体を結晶化する際の最適の温度条件は異なる。
【0069】 金型内結晶化法における結晶化の温度
条件 金型内結晶化法の場合、金型の設定温度条件は、該組成
物の示差走査熱量分析における結晶化開始温度から、結
晶化終了温度までの温度範囲が好ましく、結晶化ピーク
の頂点付近の温度がより好ましい。結晶化開始温度より
高い温度では、結晶化速度が著しく小さくなり、生産
性、操作性が悪くなったり、さらには結晶化しなくな
り、目的とする成形体が得られない場合があり、逆に結
晶化終了温度より低い温度では結晶化速度が著しく小さ
く、目的とする成形体が得られない場合がある。この方
法では、金型内の保持時間は、該組成物によっても異な
るが、金型内で、成形体が十分に結晶化するにたる時間
以上であれば、特に制限はない。
【0070】 後結晶化法における結晶化の温度条件 一方、後結晶化法の場合、金型の設定温度条件は、該組
成物のガラス転移温度(Tg)から融点(Tm)までの
温度範囲、より好ましくは、(Tg+5℃)から(Tm
−20℃)、さらに好ましくは(Tg+10℃)から
(Tm−40℃)までの温度範囲がよい。設定温度がT
mより高い場合は、短時間で結晶化させても透明性を損
ねたり、形状が歪んだりする場合があり、さらに長時間
加熱すると融解する場合がある。逆にTgより低い温度
では、結晶化速度が著しく小さく、目的とする結晶性の
成形体が得られない場合がある。この方法では成形体を
熱処理する時間は、組成物により異なるが、成形体が十
分に結晶化するに足る時間以上であれば、特に制限され
ない。
【0071】〈透明性と結晶性を併有する成形体を製造
する方法の態様〉以下に、本発明に係る、成形体に透明
性と結晶性を同時に付与することができる成形体の成形
方法の態様を説明する。 射出成形(金型内結晶化法) 射出成形(金型内結晶化法)においては、例えば、後述
する製造例2で得られたポリ乳酸にエチレンビスラウリ
ン酸アミドを添加し組成物のペレットの溶融物を、結晶
化開始温度(135℃)から結晶化終了温度(65℃)
の温度範囲内に保持された金型内に充填し保持すること
により、本発明で目的とする透明性と結晶性を併有する
成形体を成形することができる。
【0072】 射出成形(後結晶化法) 射出成形(後結晶化法)においては、例えば、上記に
示したペレットを用いて金型温度20℃で成形して得ら
れた非晶性な成形体を、Tg(59℃)からTm(16
3℃)の温度範囲内の雰囲気下に保持したり、又は適当
な熱媒体と接触させることにより、本発明で目的とする
透明性と結晶性を併有する射出成形体を成形することが
できる。
【0073】 押出成形(後結晶化法) 押出成形(後結晶化法)においては、例えば、上記に
示したペレットを、一般的なTダイ押出成形機で成形し
た非晶性のフィルムやシートを、Tg(59℃)からT
m(163℃)の範囲内に保持されたオーブン(加熱
炉)中や温水中に連続的に通過させ熱処理したり、ある
いはバッチ的に熱処理したりすることにより、本発明で
目的とする透明性と結晶性を併有するシートやフィルム
を成形することができる。
【0074】 ブロー成形(後結晶化法) ブロー成形(後結晶化法)においては、上記に示した
ペレットを、一般的なブロー成形機で溶融して金型に充
填することにより非晶性な予備成形体を得た後、得られ
た予備成形体をオーブン(加熱炉)中で加熱した後に、
Tg(59℃)からTm(163℃)の範囲内に保持さ
れた金型内に入れて、圧力空気を送出してブローするこ
とにより、本発明で目的とする透明性と結晶性を併有す
るブローボトルを成形することができる。ここで、圧力
空気として、高温[例えば、室温(25℃)以上からT
m(163℃)以下の温度]のものを用いると、成形体
の結晶化に要する時間を短縮することができる。
【0075】 真空成形・真空圧空成形(金型内結晶
化法) 上記と同様な方法により成形した非晶性なフイルム
を、一般的な真空成形機により、結晶化開始温度(13
5℃)から結晶化終了温度(65℃)の範囲内に保持さ
れた金型内で真空成形又は真空圧空成形することによ
り、本発明で目的とする透明性と結晶性を併有する成形
体を成形することができる。ここで、圧力空気として、
高温[例えば、室温(25℃)以上からTm(163
℃)以下の温度]のものを用いると、成形体の結晶化に
要する時間を短縮することができる。
【0076】 真空成形・真空圧空成形(結晶性フィ
ルムの真空成形) 上記と同様な方法により成形した結晶性のフィルム
を、真空圧空成形することにより、本発明で目的とする
透明性と結晶性を併有する成形体を成形することができ
る。以上のような成形方法により成形して得られた本発
明の脂肪族ポリエステル成形体は、結晶性と透明性を併
有し、高い耐熱性を有する。
【0077】本発明において、脂肪族ポリエステル成形
体が透明性を有するということは、厚みがlmmの該成
形体と新聞を重ねた場合に、該成形体を介して新聞の文
字を認識できる程度の透明性を有することを意味し、厚
みが1mmの該成形体のへイズが30%以下であること
を意味する。本発明において、脂肪族ポリエステル成形
体が結晶性であるということは、X線回折法により測定
された結晶化度が10%以上であることを意味する。本
発明の製造方法により、結晶化度が10%以上であり、
厚みがlmmにおいてへイズが30%以下の結晶性(耐
熱性)と透明性を併有する脂肪族ポリエステル成形体が
得られる。本発明の製造方法により、結晶化度が30%
以上であっても、厚みがlmmにおいてヘイズが30%
以下、さらには、15%以下の結晶性(耐熱性)と透明
性を併有する脂肪族ポリエステル成形体が得られる。
【0078】本発明の透明性、結晶性(耐熱性)及び分
解性を有する脂肪族ポリエステル成形体は、公知、公用
の成形法で得られる射出成形品、フィルム、袋、チュー
ブ、シート、カップ、ボトル、トレー、糸等を包含し、
その形状、大きさ、厚み、意匠等に関して何ら制限はな
い。具体的には、本発明の成形体は、食品包装用袋、食
器やフォーク及びスプーン等の食品用の容器やトレイ、
乳製品や清涼飲料水及び酒類等用のボトル、ラップフィ
ルム、化粧品容器、ゴミ袋、かさ、テント、防水シー
ト、(粘着)テープ、エアーマット、漂白剤用の容器、
液体洗剤類用のボトル、医療器具や医療材料用の容器や
包装材、医薬品用容器や包装材、つり糸、魚網、農業用
品の容器や包装材及びカプセル、肥料用の容器や包装材
及びカプセル、種苗用の容器や包装材及びカプセル、農
園芸用フィルム、製品包装用フィルム、オーバーヘッド
プロジェクター用フィルム、熱線反射フィルム、液晶デ
ィスプレー用フィルム等に用いることができる。この
他、本発明の方法で得られるフィルムやシートは、紙や
他のポリマー等の他の材質のシートと、接着剤や熱融着
によるラミネートや貼り合わせ等により、多層構造の積
層体とすることもできる。特に、従来、ポリ乳酸やポリ
乳酸ブロックとポリブチレンサクシネートブロックを有
する共重合体のような透明性に優れている脂肪族ポリエ
ステルの非晶性のフィルムを、例えば、紙等に熱ラミネ
ーションした場合、ラミネーション時の熱により、結晶
化し、不透明になるという問題があった。したがって、
透明性が要求される用途の場合、熱ラミネーション時の
熱処理条件を限定したり、接着剤を用いるラミネーショ
ン方法が好ましく用いられ、さらには、透明性と耐熱性
を要求される用途の場合は、該樹脂組成物を用いること
はできなかった。しかしながら、本発明の透明核剤を含
むそれらの樹脂組成物を用いた場合、例えば、透明な非
晶性フィルムをそのまま紙等に熱ラミネーシヨンし、紙
等への貼り合わせと該組成物の結晶化を同時に行っても
よい。また、一旦熱ラミネーションした積層体をさらに
熱処理して結晶化させてもよい。いずれの条件下でも、
その透明性を維持し、さらには、耐熱性を付与した積層
体を得ることができる。
【0079】
【実施例】以下に製造例、実施例及び比較例等を示し、
本発明を詳述する。なお、本出願の明細書における合成
例、実施例、比較例、態様等の記載は、本発明の内容の
理解を支援するための説明であって、その記載は本発明
の技術的範囲を狭く解釈する根拠となる性格のものでは
ない。
【0080】A.製造例 実施例及び比較例において使用する脂肪族ポリエステル
の製造方法を以下に示す。なお、文中に部とあるのはい
ずれも重量基準である。また、重合体の平均分子量(重
量平均分子量Mw)はポリスチレンを標準としてゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で
測定した。 装置 :島津LC−10AD 検出器:島津RID−6A カラム:日立化成GL−S350DT−5,GL−
S370DT−5 溶 媒:クロロホルム 濃 度:1% 注入量:20μl
【0081】[製造例1] 〈ポリマーA(ポリL−ラ
クタイド)の製造〉 L−ラタタイド100重量部及びオクタン酸第一錫0.
01部と、ラウリルアルコール0.03部を、撹拌機を
備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真
空で2時間脱気した後窒素ガスで置換した。この混合物
を窒素雰囲気下で撹拌しつつ200℃で3時間加熱し
た。温度をそのまま保ちながら、排気管及びガラス製受
器を介して真空ポンプにより徐々に脱気し反応容器内を
3mmHgまで減圧にした。脱気開始から1時間後、モ
ノマーや低分子量揮発分の留出がなくなったので、容器
内を窒素置換し、容器下部からポリマーをストランド状
に抜き出してペレット化し、L−ラクタイドのホモポリ
マー(ポリマーA)を得た。収率は78%、重量平均分
子量Mwは、13.6万であった。
【0082】[製造例2] 〈ポリマーB(ポリL−乳
酸)の製造〉 Dien−Starkトラップを設置した100リット
ルの反応器に、90%L−乳酸10kgを150℃/5
0mmHgで3時間撹拌しながら水を留出させた後、錫
末6.2gを加え、150℃/30mmHgでさらに2
時間撹拌してオリゴマー化した。このオリゴマーに錫末
28.8gとジフェニルエーテル21.1kgを加え、
150℃/35mmHg共沸脱水反応を行い、留出した
水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応器に戻し
た。2時間後、反応器に戻す有機溶媒を46kgのモレ
キュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応器
に戻るようにして、150℃/35mmHgで40時間
反応を行い、重量平均分子量14.6万のポリ乳酸の溶
液を得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル44
kgを加え、希釈した後40℃まで冷却して、析出した
結晶を瀘過し、10kgのn−ヘキサンで3回洗浄して
60℃/50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5N
−HCl12kgとエタノール12kgを加え、35℃
で1時間撹拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで乾
燥して、白色粉末のポリ乳酸6.1kg(収率85%)
を得た。このポリ乳酸(ポリマーB)の重量平均分子量
Mwは、14.5万であった。
【0083】[製造例3]〈コポリマーC(ポリブチレ
ンサクシネート/ポリ乳酸共重合体)の製造〉 1,4−ブタンジオール50.5gとコハク酸66.5
gにジフェニルエーテル293.0g、金属錫2.02
gを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水
を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。これに、
Dean−Stark trapを取り付け、140℃
/30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モレキ
ュラーシーブ3Aを40g充填した管を取り付け、留出
した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に戻
るようにし、130℃/17mmHgで49時間撹拌し
た。その反応マスを600mlのクロロホルムに溶か
し、4リットルのアセトンに加え再沈した後、HClの
イソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(H
Cl濃度0.7wt%)で0.5時間スラッジングし
(3回)、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6時間
乾燥し、ポリブチレンサクシネート(以下PSBと略
す)を得た。このポリマーの重量平均分子量Mwは、1
1.8万であった。得られたポリブチレンサクシネート
80.0gに、製造例2と同様な方法で得られたポリ乳
酸120.0g(重量平均分子量Mwは2.0万)、ジ
フェニルエーテル800g、金属錫0.7gを混合し、
再び130℃/17mmHgで20時間脱水縮合反応を
行った。反応終了後、製造例2と同様に後処理を行い、
ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とのコポリマー1
88g(収率94%)を得た。このポリブチレンサクシ
ネートとポリ乳酸とのコポリマー(コポリマーC)の重
量平均分子量Mwは14.0万であった。
【0084】[製造例4] 〈コポリマーD(ポリブチ
レンサクシネート/ポリ乳酸共重合体)の製造〉 ポリブチレンサクシネート40.0g(重量平均分子量
Mwは11.8万)、ポリ乳酸160.0g(重量平均
分子量Mwは5.0万)を用いた他は、製造例3と同様
な方法で行った結果、ポリブチレンサクシネートとポリ
乳酸とのコポリマー(コポリマーD)を得た。収率は9
6%,重量平均分子量Mwは13.6万であった。
【0085】[製造例5]〈コポリマーE(ポリブチレ
ンサクシネート/ポリ乳酸共重合体)の製造〉 ポリブチレンサクシネート20.0g(重量平均分子量
Mwは11.8万)、ポリ乳酸180.0g(重量平均
分子量Mwは10.0万)を用いた他は、製造例3と同
様な方法で行った結果、ポリブチレンサクシネートとポ
リ乳酸とのコポリマー(コポリマーE)を得た。収率は
94%、重量平均分子量Mwは14.2万であった。
【0086】[製造例6]〈コポリマーF(ポリカプロ
ン酸/ポリ乳酸共重合体)の製造〉 乳酸のかわりに、6−ヒドロキシカプロン酸を用いた他
は製造例2と同様な方法で反応を行った結果、ポリカプ
ロン酸(重量平均分子量Mwは15.0万)を得た。次
に得られたポリカプロン酸20.0gとポリ乳酸18
0.0g(重量平均分子量Mwは10.0万)を用い製
造例4と同様な方法で行い、ポリカプロン酸とポリ乳酸
とのコポリマ(コポリマーF)を得た。収率は92%、
重量平均分子量Mwは15.3万であった。
【0087】[製造例7]〈コポリマーG(ポリブチレ
ンサクシネート)の製造〉 1,4−ブタンジオール50.5gとコハク酸66.5
gにジフェニルエーテル293.0g、金属錫2.02
gを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水
を留出しながら加熟撹拌しオリゴマー化した。これに、
Dean−Stark trapを取り付け、140℃
/30mmHgで8時間共沸脱水を行い、その後、モレ
キュラーシーブ3Aを40g充填した管を取り付け、留
出した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に
戻るようにし、130℃/17mmgで49時間撹拌し
た。その反応マスを600mlのクロロホルムに溶か
し、4リットルのアセトンに加え再沈した後、HClの
イソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(H
Cl濃度 0.7Wt%)で0.5時間スラッジングし
(3回)、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6時間
乾燥し、ポリブチレンサクシネートのホモポリマー(ポ
リマーG)を得た。収率は92%、重量平均分子量Mw
は11.8万であった。
【0088】B.評価方法 [物性の評価]製造例1〜7で得た脂肪族ポリエステル
樹脂組成物を用いて製造した成形体の物性の評価条件
は、以下のとおりである。 透明性(ヘイズ) JIS K−6714に従い、東京電色製Haze M
eterを使用して測定した。 結晶化度 X線回折装置(理学電機製、Rint1500型)にて
成形後の試験片を測定し、得られたチャートの結晶ピー
ク面積の総面積に対する比率を求めた。 耐熱性[ビカット軟化温度(ASTM−D152
5)] 荷重1kgfの条件で成形後の試験片を測定。 結晶化開始温度、結晶化終了温度 示差走査熱量分析装置(島津製作所製、DSC−50)
にて成形体を一旦溶融した後、10℃/minの条件下
で降温した時の結晶化ピークが認められた温度を結晶化
開始温度、結晶化ピークが認められなくなった温度を結
晶化終了温度とした。 ガラス転移温度(Tg),融点(Tm) 示差走査熱量分析装置(島津製作所製、DSC−50)
にて成形体を10℃/minの条件下で昇温した時のゴ
ム状に変わる点をガラス転移点(Tg)、融解ピークの
頂点を融点(Tm)とした。
【0089】C.実施例及び比較例 以下の実施例において、成形体を熱処理している場合、
金型内結晶化操作で降温時に結晶化している場合は、降
温時の結晶化開始温度以下から結晶化終了温度以上であ
る範囲内に設定し、又成形後熱処理操作で昇温時に結晶
化している場合は、ガラス転移温度以上から融点以下で
ある温度範囲内に設定した。
【0090】[実施例1−1〜1−9]製造例1〜6で
得られたポリ乳酸あるいは各コポリマーに、各脂肪酸ア
ミドを表−1に示す割合でヘンシェルミキサーで混合
後、押出機シリンダー設定温度170〜210℃の条件
にてペレット化した。該ペレットを180℃/2min
で溶融させ、さらに180℃/100kgf/cm2
1minでプレスし厚さ150μのフィルムを得た。こ
のフィルムを表−1に示す条件下で熱処埋し、そのサン
プルの透明性(ヘイズ)と結晶化度を測定した。結果を
表−1[表1、表2]に示す。
【0091】[比較例1−1〜1−6]透明核剤(脂肪
族カルボン酸アミド)を添加しないことを除いて、実施
例1−1〜1−9と同様にペレット化しフィルムを得
た。このフィルムを表−1[表1、表2]に示す条件下
で熱処理し、そのサンプルの透明性(ヘイズ)と結晶化
度を測定した。結果を表−1[表1、表2]に示す。
【0092】[実施例2−1〜2−6]製造例1〜6で
得られたポリ乳酸あるいは各コポリマーに、各脂肪族カ
ルボン酸塩又は脂肪族アルコール又は脂肪族カルボン酸
エステルを表−2[表3]に示す割合でヘンシェルミキ
サーで混合後、押出機シリンダー設定温度170〜21
0℃の条件にてペレット化した。該ぺレットを180℃
/2minで溶融させ、さらに180℃/100kgf
/cm2/1minでプレスし厚さ150μのフィルム
を得た。このフィルムを表2[表3]に示す条件下で熱
処埋し、そのサンプルの透明性(ヘイズ)と結晶化度を
測定した。結果を表−2[表3]に示す。
【0093】[比較例2−1〜2−4]透明核剤(脂肪
族カルボン酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸
エステル)を添加しないことを除いて、実施例2−1〜
2−6と同様に、ぺレット化し、フィルムを得た。この
フィルムを表−2[表3]に示す条件下で熱処理し、そ
のサンプルの透明性(ヘイズ)と結晶化度を測定した。
結果を表−2[表3]に示す。
【0094】[実施例3−1〔射出成形〕]製造例2で
得られたポリ乳酸100重量部、透明核剤としてエチレ
ンビスラウリン酸アミド1重量%をヘンシェルミキサー
で充分に混合した後、押出機シリンダー設定温度170
〜210℃の条件にてぺレット化した。該ぺレットを日
本製鋼所製JSW−75射出成形機、シリンダー設定温
度180〜200℃の条件にて溶融し、設定温度30℃
の金型に充填し、冷却時間は30秒として1.0mm厚
の透明な平滑な平板成形体を得た。この平板の透明性
(ヘイズ)は2%,結晶化度は0%、ビカット軟化点は
59℃であった。又、この平板のガラス転移温度(T
g)は59℃、降温時の結晶化開始温度は135℃、降
温時の結晶化終了温度は65℃、融点(Tm)は163
℃であった。この平板を乾燥機中で120℃/5min
で熱処理した。得られた平板の透明性(ヘイズ)は7
%、結晶化度42%、ビカット軟化点は150℃であっ
た。結果を表−3[表4〜表7]に示す。
【0095】[実施例3−2〜3−27〔射出成形〕]
ポリマー、透明核剤の種類と添加量を表−3[表4〜表
7]に示すように変更した以外は、実施例3−1と同様
にして行い、それぞれ得られた平板の透明性(ヘイ
ズ)、結晶化度、ビカット軟化点を測定した。結果を表
−3[表4〜表7]に示す。
【0096】[比較例3−1〔射出成形〕]透明核剤の
エチレンビスラウリン酸アミドを除いた他は実施例1と
同様な方法で行った。得られた平板のヘイズ値は2%,
結晶化度は0%、ビカット軟化点は59℃であった。こ
の平板を乾燥機中で120℃/5minで熱処理した時
の透明性(ヘイズ)は83%、結晶化度は43%、ビカ
ット軟化点は150℃であった。結果を表−3[表4〜
表7]に示す。
【0097】[比較例3−2〜3−7〔射出成形〕]ポ
リマー、透明核剤の種類と添加量、乾燥機中での熱処理
条件を表−3[表4〜表7]に示すように変えた以外
は、実施例3−1と同様にして行い、それぞれ得られた
平板の透明性(ヘイズ)、結晶化度、ビカット軟化点を
測定した。結果を表−3[表4〜表7]に示す。
【0098】[実施例4−1〔ブロー成形〕]ポリマー
として製造例2で得られたポリ乳酸、透明核剤としてエ
チレンビスラウリン酸アミド1重量%をヘンシェルミキ
サーで充分に混合した後、押出機シリンダー設定温度1
70〜210℃の条件にてぺレット化した。該ペレット
を射出ブロー成形機(日精ASB機械製、ASB−5
0)、シリンダー設定温度180〜200℃の条件にて
溶融し、設定温度20℃の金型(A)に充填、冷却時間
は30秒、2.0mm肉厚の予備成形体(有底パリソ
ン)を得た。得られたパリソンを加熱炉中にてパリソン
温度を120℃に加熱し、さらに温度を120℃に保持
した金型(B)に入れ、圧力空気の圧力4kgf/cm
2の条件下で、たて倍率2倍、よこ倍率2倍にし、内容
槓500mlの容器を得た。得られた容器(厚み0.5
mm)の透明性(ヘイズ)は4%(1mm厚のヘイズに
換算すると8%)、結晶化度は45%、ビカット軟化点
は150℃であった。
【0099】[比較例4−1〔ブロー成形〕]透明核剤
(エチレンビスラウリン酸アミド)を除いた以外は、実
施例4と同様な方法で行った。得られた容器(厚み0.
5mm)の透明性(ヘイズ)は75%(1mm厚のヘイ
ズに換算すると80%)、結晶化度は43%、ビカット
軟化点は150℃であった。
【0100】[比較例4−2〔ブロー成形〕]パリソン
温度を55℃、金型(B)温度を30℃にした以外は、
実施例4−1と同様な方法で行った。得られた容器(厚
み0.5mm)の透明性(ヘイズ)は1.5%(1mm
厚のヘイズ値に換算すると2%)、結晶化度は0%、ビ
カット軟化点は59℃であった。
【0101】[実施例5−1〔押出シート成形〕]ポリ
マーとして製造例1で携られたポリ乳酸、透明核剤とし
てエチレンビスラウリン酸アミド1重量%をヘンシェル
ミキサーで充分に混合した後、押出機シリンダー設定温
度170〜210℃の条件にてペレット化した。該ペレ
ットをTダイ50mmΦ押出機(フロンティア製、ダイ
幅400mm)シリンダー設定温度180〜200℃の
条件にて溶融し、ダイ温度185℃にて透明な0.5m
m厚のシートを得た。このシート(厚み0.5mm)の
透明性(ヘイズ)は1%(1mm厚のヘイズ値に換算す
ると2%)、結晶化度は0%であった。さらに、このシ
ートを熱風乾燥機(温度100℃、滞留時間2min)
に連続して通過させて熱処埋した。得られたシートの透
明性は4%(1mm厚のヘイズに換算すると8%)、結
晶化度は40%であった。
【0102】[比較例5−1〔押出シート成形〕]透明
核剤のエチレンビスラウリン酸アミドを除いた他は実施
例5−1と同様な方法で行った。得られたシートの透明
性(ヘイズ)は73%(1mm厚のヘイズに換算すると
84%)、結晶化度は38%であった。
【0103】[比較例5−2〔押出シート成形〕]実施
例5−1で得られたシート(厚み0.5mm、ヘイズ値
は1%、結晶化度は0%)を熱風乾燥機中で温度55℃
で20min間熱処理した。得られたシート(厚み0.
5mm)の透明性(ヘイズ)は1%(lmm厚のヘイズ
に換算すると2%)、結晶化度は0%であった。
【0104】[実施例6−1〔インフレーション成
形〕]製追例4で得られた重合体(ポリブチレンサクシ
ネートとポリ乳酸とのコポリマー)を用い、透明核剤と
してステアリン酸アミド1重量%を、ヘンシェルミキサ
ーで充分に混合した後、押出機シリンダー設定温度17
0〜210℃の条件にてペレット化した。該べレットを
インフレーション成形機(川田製作所製、45mmΦ)
シリンダー設定温度165〜180℃の条件にて溶融
し、ダイ温度170℃、膨張比(BUR)2.5にて折
径250mm、厚み0.05mm,のインフレーション
フィルムを得た。このフィルムの透明性(ヘイズ)は
0.5%(lmm厚のヘイズに換算すると3%)、結晶
化度は0%であった。又、ガラス転移温度(Tg)は5
2℃、降温時の結晶化開始温度は125℃、降温時の結
晶化終了温度は45℃、融点(Tm)は163℃であっ
た。さらに、得られたフィルムを温水中(温度85℃、
滞留時間2min)で熱処埋した。このフィルム(厚み
0.05mm)の透明性(ヘイズ)は1.5%(lmm
厚のヘイズに換算すると5%)、結晶化度は36%であ
った。
【0105】[比較例6−1〔インフレーション成
形〕]透明核剤(ステアリン酸アミド)を除いた以外
は、実施例6−1と同方法で行った。得られたシート
(厚み0.5mm)の透明性(ヘイズ)は43%(1m
m厚のヘイズに換算すると70%)、結晶化度は36%
であった。
【0106】[実施例7−1〔異型押出成形〕]ポリマ
ーとして製造例2で得られたポリ乳酸、透明核剤として
エチレンビスラウリン酸アミド1重量%をヘンシェルミ
キサーで充分に混合した後、押出機シリンダー設定温度
170〜210℃の条件にてぺレット化した。該ペレッ
トを異型ダイ40mmΦ押出機(フロンティア製、ダイ
形状は四角の中空)シリンダー設定温度180〜200
℃の条件にて溶融し、ダイ温度175℃にて押出し、真
空装置付サイジングボックス(冷却温度30℃)内で成
形し、肉厚0.5mm、外寸法40mm×30mmの中
空成形体を得た。この中空体の透明性(ヘイズ)は1.
5%(1mm厚のヘイズに換算すると2%)、結晶化度
は0%であった。さらに、中空体を熱風乾燥機(温度1
00℃、滞留時間2min)に連続して通過させて熱処
理し、中空体を得た。得られた中空体(厚み0.5m
m)の透明性(ヘイズ)は3.5%(1mm厚のヘイズ
に換算すると8%)、結晶化度は43%であった。
【0107】[比較例7−1〔異型押出成形〕]透明核
剤エチレンビスラウリン酸アミドを除いた他は実施例8
と同様な方法行った。得られたシート(厚み0.5m
m)の透明性(ヘイズ)は71%(1mm厚のヘイズに
換算すると77%)、結晶化度は42%であった。
【0108】[実施例8−1〔真空・圧空成形−1;結
晶化させたシートの成形〕1 ポリマーとして製造例2で得られたポリ乳酸、透明核剤
としてエチレンビスラウリン酸アミド1重量%をヘンシ
ェルミキサーでよく混合した後、押出機シリンダー設定
温度170〜210℃の条件にてペレット化した。該べ
レットをTダイ50mmΦ押出機(フロンティア製、ダ
イ幅400mm)シリンダー設定温度180〜200℃
の条件にて溶融し、ダイ温度185℃にて厚み0.25
mmのシートを得た。このシート(厚み0.25mm)
の透明性(ヘイズ)は1.0%(1mm厚のヘイズに換
算すると2%)、結晶化度は0%であった。さらに、こ
のシートを熱風乾燥機(温度100℃、滞留時間2mi
n)に連続して通過させて熱処理した。得られたシート
(厚み0.25mm)の透明性(ヘイズ)は3.0%
(1mm厚のヘイズに換算すると8%)、結晶化度は4
0%であった。次いで、このシートを長径146mm、
短径100mm、深さ30mmの楕円形金型を備えた真
空圧空成形機を使用し、加熱温度120℃、保持時間3
0秒で軟化させ、金型温度60℃に設定した上記楕円形
金型に圧空圧力4kgf/cm2で、10秒間真空密着
(減圧度50mmHg)させて成形体を得た。成形体の
透明性(ヘイズ)は3%(1mm厚のヘイズに換算する
と8%)、結晶化度は40%であった。
【0109】[実施例8−2〔真空・圧空成形−2;非
結晶シートを型内で結晶化〕]実施例8−1で得られた
厚み0.25mmのシート(ヘイズ値は1.0%、結晶
化度は0%)を用い、長径146mm、短径100m
m、深さ30mmの楕円形金型を備えた真空圧空成形機
を使用し、加熱温度85℃、保持時間40秒で軟化さ
せ、金型温度を100℃に設定した上記楕円形金型に圧
空圧力4kgf/cm 2で、1分間真空密着(減圧度5
0mmHg)させて成形体を得た。成形体の透明性(ヘ
イズ)は4%(1mm厚のヘイズに換算すると9%)、
結晶化度は43%であった。
【0110】[比較例8−1]透明核剤(エチレンビス
ラウリン酸アミド)を除いた以外は、実施例8−2と同
様な方法で行った。得られた成形体の透明性(ヘイズ)
は73%(1mm厚のヘイズに換算すると82%)、結
晶化度は42%であった。
【0111】[比較例8−2]金型温度を55℃にした
以外は、実施例8−2と同様な方法で行った。得られた
成形体(厚み0.25mm)の透明性(ヘイズ)は1%
(1mm厚のヘイズに換算すると2%)、結晶化度は0
%であった。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】
【0117】
【表6】
【0118】
【表7】 [表の見方]表−1〜表−3[表1〜表7]中の各記号
は、以下のとおりである。 ポリマーポリマーあるい
はコポリマーは、製造例1−7で得られたポリマー(A
−F)を示す。 透明核剤 A エチレンビスラウリン酸アミド B エチレンビスオレイン酸アミド C エチレンビスカプリン酸アミド D m−キシリレンビスステアリン酸アミド E m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン
酸アミド F パルミチン酸アミド G ステアリン酸アミド H エルカ酸アミド I ベヘニン酸アミド J リシノール酸アミド K ヒドロキシステアリン酸アミド L N−オレイルパルミチン酸アミド M N−ステアリルエルカ酸アミド N エチレングリコールジステアレート O ステアリルアルコール P ステアリン酸Na Q ステアリン酸K R ステアリン酸Zn S モンタン酸Ca T オレイン酸アミド
【0119】
【発明の効果】本発明により、透明性と結晶性(耐熱
性)を併せ有するポリ乳酸、ポリ乳酸/ポリブチレンサ
クシネート共重合体、ポリブチレンサクシネート等の脂
肪族ポリエステルからなる成形体を提供することができ
る。本発明により、脂肪族ポリエステルからなる成形体
に、高い透明性(透明性と逆相関するヘイズ値に換算す
ると、1mm厚のヘイズ値が30%以下)と高い結晶性
(例えば、30%以上)を同時に付与することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/20 C08K 5/20 // C08L 101/16 C08L 101/16 (72)発明者 北原 泰広 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 鈴木 和彦 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 味岡 正伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−304939(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02 C08L 67/04

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点からガラス転移温度まで10℃/分
    の速度で降温したときに結晶を生成しない性質を有する
    脂肪族ポリエステルと脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族
    カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸
    エステルからなる40〜300℃の融点を有する化合物
    群から選択された少なくとも一種の透明核剤を含有する
    脂肪族ポリエステル組成物を成形し、成形時又は成形後
    に熱処理することを特徴とする、透明性及び結晶性を併
    有する脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 脂肪族ポリエステル組成物における脂肪
    族ポリエステルと透明核剤の組成比が、脂肪族ポリエス
    テル100重量部に対して、透明核剤0.1〜10重量
    部である請求項1に記載した脂肪族ポリエステル成形体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であり、
    透明核剤が脂肪族カルボン酸アミドである請求項2に記
    載した脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 脂肪族カルボン酸アミドがエチレンビス
    カプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エ
    チレンビスオレイン酸アミド、m−キシリレンビスステ
    アリン酸アミド及びm−キシリレンビス−12−ヒドロ
    キシステアリン酸アミドからなる群から選択された少な
    くとも一種である、請求項3に記載した脂肪族ポリエス
    テル成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸ブロック
    とポリブチレンサクシネートブロックを有する共重合体
    である請求項2に記載した脂肪族ポリエステル成形体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 透明核剤がパルミチン酸アミド、ステア
    リン酸アミド、エルカ酸アミド、べヘニン酸アミド、リ
    シノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N
    −オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ
    酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビ
    スラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、
    m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレ
    ンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステア
    リン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン
    酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレングリコールジ
    ステアレート及びステアリルアルコール、からなる群か
    ら選択された少なくとも一種である請求項5に記載した
    脂肪族ポリエステル成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱処理方法が、脂肪族ポリエステル組成
    物を一旦溶融した後、該脂肪族ポリエステル組成物の結
    晶化開始温度から結晶化終了温度迄の温度範囲に保温さ
    れた金型内に充填し結晶化させることを特徴とする、
    求項1乃至6の何れかに記載した脂肪族ポリエステル成
    形体の製造方法。
  8. 【請求項8】 熱処理方法が、脂肪族ポリエステル組成
    物の溶融物を、金型内で冷却固化して非晶性成形体を得
    た後、その成形体を該組成物のガラス転移温度から融点
    迄の温度範囲で結晶化することを特徴とする、請求項1
    乃至6の何れかに記載した脂肪族ポリエステル成形体の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8 の何れかに記載した製造
    方法により得られた脂肪族ポリエステル成形体。
  10. 【請求項10】 1mm厚のヘイズ値が30%以下の透
    明性と結晶化度が10%以上である結晶性を有する、
    求項9の脂肪族ポリエステル成形体。
  11. 【請求項11】 脂肪族ポリエステルと脂肪族カルボン
    酸アミド、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エス
    テルからなる40〜300℃の融点を有する化合物群か
    ら選択された少なくとも一種の透明核剤を含有する、透
    明性と結晶性を併有する脂肪族ポリエステル成形体。
  12. 【請求項12】 脂肪族ポリエステルと透明核剤の組成
    比が、脂肪族ポリエステル100重量部に対して、透明
    核剤0.1〜10重量部である請求項11に記載した脂
    肪族ポリエステル成形体。
  13. 【請求項13】 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であ
    る、請求項12に記載した脂肪族ポリエステル成形体。
  14. 【請求項14】 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸ブロッ
    クとポリブチレンサクシネートブロックを有する共重合
    体である請求項12に記載した脂肪族ポリエステル成形
    体。
  15. 【請求項15】 透明核剤が脂肪族カルボン酸アミドで
    ある請求項13に記載した成形体。
  16. 【請求項16】 脂肪族カルボン酸アミドが、エチレン
    ビスカプリン酸アミド、エチンビスラウリン酸アミド、
    エチレンビスオレイン酸アミド、m−キシリレンビステ
    アリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキ
    システアリン酸アドからなる群から選択された少なくと
    も一種の化合物である請求項15に記載した成形体。
  17. 【請求項17】 透明核剤が、パルミチン酸アミド、ス
    テアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミ
    ド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミ
    ド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリル
    エルカ酸アミド、エチレビスカプリン酸アミド、エチレ
    ンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミ
    ド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン
    酸アミド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリ
    ウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチ
    レングリコールジステアレート及びステアリルアルコー
    ルからなる群から選択された少なくとも一種の化合物で
    ある請求項14に記載した成形体。
  18. 【請求項18】 透明性が、1mm厚のへイズ値か30
    %以下であり、かつ、結晶化度が10%以上である請求
    項11乃至17の何れかに記載した成形体。
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