JP5199636B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関する。より詳しくは、透明性および耐熱性を向上させた乳酸系樹脂組成物および該組成物からなる成形体に関する。
地球環境問題への意識が高まる中、熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂と比べてリサイクルがし易く、その用途は年々広がりを見せている。
一方で、化石原料や石油資源の枯渇、二酸化炭素の増大が問題視されているため、脂肪族ポリエステルなどの生分解性樹脂や植物を原料として合成する樹脂の研究開発も活発に行われており、脂肪族ポリエステルの中でも特に、優れた成形性を有するポリ乳酸は、とうもろこし等の穀物資源から発酵により得られる乳酸を原料とする、植物由来の樹脂として注目されている。
一般に熱可塑性樹脂は、加熱や加圧により成形が容易であるという利点がある一方、ガラス転移点(Tg)以上では軟化してしまうことにより、耐熱性に難がある。
これを解決する手段としてガラスファイバーやカーボンファイバー、タルク、シリカ等の副資材による補強も行われるが、結晶性を有する樹脂においては結晶化を促進することにより、耐熱性の大幅な向上を図ることが可能である。
しかしながら、熱可塑性樹脂であり、且つ代表的な植物由来樹脂であるポリ乳酸は結晶化速度が遅く、耐熱性が低いため、用途展開に限界があった。特に、ポリ乳酸非晶成形体の場合、ガラス転移温度(Tg)が60℃未満であるため、日常の使用環境下において白化や変形等を生じやすいという問題点が指摘されている。
また、熱処理(アニール)をして結晶性を上げることによりポリ乳酸の耐熱性を向上させようとすると、通常、光を散乱する原因となる光の波長と同程度以上の大きさの結晶(例えば、球晶)が急速に成長し、不透明になる問題点がある。
このような問題を解決するため、ポリ乳酸をはじめとする熱可塑性樹脂に各種添加剤を添加することにより、耐熱性、透明性を向上させる試みが多数なされている。
例えば、ポリ乳酸に対する検討として、特許文献1には核剤としてリン酸エステル金属塩、含水珪酸マグネシウム等の添加が効果的であると記載されている。しかしながら、その様な核剤を用いた場合、透明性が損なわれるという欠点がある。また、一般的に用いられるタルクは、結晶化速度の観点のみならば実用範囲内であるが、そのためには添加量が1%以上必要となる場合が多く、ポリ乳酸本来の特性である透明性を損なう欠点がある。
特許文献2には、核剤として脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコールおよび脂肪族カルボン酸エステルから選択される少なくとも一種を透明核剤として添加する方法が記されている。しかしながら、この場合、結晶化度33%でヘイズ6.5%であり、十分な結晶化度と透明性とを兼ね備える結果は得られなかった。
特許文献3には、特定の官能基を有する化合物を開始剤とするポリ乳酸と無機フィラーを用いる方法が記載されている。しかしながら、この方法では、スリップ性が改良されたものの、無機フィラーを添加していることで、透明性を確保することはできなかった。
特開2003-192884号公報 特開平9-278991号公報 特開2004-285121号公報
本発明の課題は、熱可塑性樹脂が本来有している剛性を損なわずに、耐熱性(高結晶化性)および透明性が改善された樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、一定のサイズ以下の粒径を持つシリカ、いわゆるナノシリカを用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)および一定のサイズ以下のナノシリカ(B)を含むことを必須とする事を特徴とし、必要に応じ結晶核剤(C)をも含んでなるものである。
本発明の熱可塑性組成物は、前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、前記ナノシリカ(B)を0.01〜50重量部含むことが好ましく、必要に応じ用いられる前記結晶核剤(C)を0.01〜10重量部の量で含むことが好ましい。
前記熱可塑性樹脂(A)は乳酸系樹脂(A’)であることが好ましく、前記乳酸系樹脂(A’)はポリ乳酸であることが好ましい。
前記ナノシリカ(B)は、一次粒径が1〜50nmであり、一次凝集のサイズが50〜500nmであることが好ましい。
また、これらのナノシリカの嵩比重は30〜200g/Lの範囲にあることが好ましい

前記結晶核剤(C)はカルボン酸アミドであることが好ましく、該カルボン酸アミドは、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスカプリン酸アミド、ヘキサメチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド、m-キシリレンビスカプリン酸アミド、m-キシリレンビスラウリン酸アミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスオレイン酸アミドおよびm-キシリレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
本発明の成形体は、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物からなり、厚み100μmでのヘイズが0.1〜15%であり、かつ結晶化度が35%以上であることを特徴とする。
本発明によって、該熱可塑性樹脂組成物の結晶化後の透明性が改善され、従来、ポリ乳酸系化合物をはじめとした熱可塑性樹脂にとって背反する特性とも言える、結晶化による耐熱性の向上および透明性の維持という二つの特性が同時に満たされることから、熱可塑性樹脂、特にポリ乳酸をはじめとするグリーンプラスチックの使用拡大に貢献できる。
以下、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物およびその成形体について詳細に説明する。まず、本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いることができる各成分について説明する。
<熱可塑性樹脂(A)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、(結晶性を有するもの)であれば特に限定されない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、乳酸系樹脂(A’)、(ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、PTFE等のフッ素樹脂および液晶性ポリマー(LCP))などが挙げられる。これらの中では、乳酸系樹脂(A’)が好ましい。なお、以下において、熱可塑性樹脂として乳酸系樹脂(A’)を含む場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物を「乳酸系樹脂組成物」と称することがある。
本発明の組成物に好適に用いられる「乳酸系樹脂」とは、L-乳酸単位および/または
D-乳酸単位を少なくとも50モル%以上、好ましくは75モル%以上含有する重合体を
主成分とする重合体組成物を意味するものであり、乳酸の重縮合や乳酸の環状二量体であるラクチドの開環重合によって合成される。
乳酸系樹脂(A’)は、乳酸と共重合可能な他のモノマーが共重合されたものでもよい。好ましくは乳酸単位が100モル%のポリ乳酸であり、さらに好ましくはL-乳酸またはD−乳酸由来の構成単位が95モル%以上、より好ましくは97モル%以上であるポリ乳酸である。また、乳酸系樹脂(A’)には、乳酸単位が50モル%以上含有された重合体以外に、該重合体の性質を著しく損なわない範囲で、他の樹脂や添加物等が混合された組成物であってもよい。
上記乳酸系樹脂(A’)の重量平均分子量(Mw)は5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜300,000である。
乳酸と共重合可能なモノマーとしては、ヒドロキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、カプロン酸等)、脂肪族多価アルコール(例えば、ブタンジオール、エチレングリコール等)および脂肪族多価カルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸等)などが挙げられる。
上記乳酸系樹脂(A’)がコポリマーの場合、コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式でもよい。これらは、少なくとも一部が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の二官能以上等の多価アルコール;キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート等のような多価イソシアネート;セルロース、アセチルセルロースやエチルセルロース等のような多糖類などが共重合されたものでもよい。また、少なくとも一部が、線状、環状、分岐状、星形、三次元網目構造等のいずれの構造をとってもよい。
ラクチド、乳酸またはその他のモノマーの重合を行う際に溶媒を使用しても構わない。溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレ
ン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジグリムなどのエーテル系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,1,2,2,−テトラクロロエタン、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などが用いられる。
これらの溶媒は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。ラクチドや乳酸の溶解性、反応温度、反応速度、反応終了後の溶媒除去の容易性等の点から、芳香族炭化水素とエーテル系溶媒が好ましく、特に好ましくはキシレン、トルエンである。溶媒の使用量は、ラクチドまたは乳酸の合計量に対して、0.1〜20倍、好ましくは0.5〜3倍の範囲で選択される。
また、重合において用いられる触媒としては公知のものを使用できる。例えば、オクタン酸スズ(2-エチルヘキサン酸スズ)、ジラウリン酸ジブチルスズ、塩化スズ等のスズ
系触媒、塩化チタン、チタンテトライソプロポキシド等のチタン系触媒、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛系触媒が挙げられる。これらの中では、好ましくはスズ系触媒、より好ましくはオクタン酸スズである。触媒の使用量は、乳酸やラクタイド等のモノマー100重量部に対して、0.001〜5重量部、好ましくは0.003〜1重量部、さらに好ましくは0.005〜0.1重量部である。
重合温度は、60℃〜250℃、好ましくは100℃〜230℃である。たとえば、溶媒を用いない場合、反応温度は150〜200℃程度が好ましい。また、例えば、溶媒にキシレンを用い、触媒としてオクタン酸スズを用いて重合開始剤にラクチドを反応させる場合、反応温度は110〜150℃程度が好ましい。
重合時間は、用いるモノマーの種類、重合温度、触媒量などにより異なるが、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜12時間、さらに好ましくは1〜6時間であり、現実的には反応の際、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により分子量(重量平均分子量)を測定し、所望の分子量に到達した時点を反応終点として決定すればよい。
<ナノシリカ(B)>
本発明において用いられるナノシリカは、いわゆる市販のナノシリカで良いが、本発明の特徴である、35%以上の高結晶化度における高透明性を発現するためには、一次粒径が1〜50nmであり、一次凝集のサイズが50〜500nmであることが好ましい。
また、これらのナノシリカの嵩比重は30〜200g/Lの範囲にあることが好ましい。
一般的にシリカは、その表面にシラノール基が存在するため親水性であるが、本発明においては用いる場合、その表面がシランカップリング剤で修飾され疎水性となっていても、また無修飾のまま親水性であっても構わない。
一方、一次凝集サイズは50〜500nmであっても、二次凝集を起こして1〜500μmの二次凝集サイズとなっているものがあるが、その凝集物が熱可塑性樹脂中において成形加工時のシェアにより一次凝集サイズにまで粉砕される物であれば、本発明の目的に使用可能である。
これらの指標として、粒度分布で示す事ができる。すなわち、動的光散乱法による粒度分析において、ナノシリカを分散処理しない場合、累積10%までの粒径が0.1μm〜0.24μmの範囲、累積50%までの範囲が、0.25μm〜0.39μmの範囲、累積90%までの範囲が0.4μm〜1.0μm未満範囲であり、超音波の照射による分散処理を5分〜60分程度行った時の粒度分布が、累積10%までの粒径が0.1μm〜0.22μmの範囲、累積50%までの範囲が、0.23μm〜0.34μmの範囲、累積90%までの範囲が0.35μm〜0.90μmの範囲にある事が好ましい。
尚、粒度分布を測定する際の分散溶媒は特に指定されないが、ナノシリカは一般的に比重が小さく、水を用いると浮いてしまい分散状態が不良となる場合が多く、比重の小さなエタノール等を用いる事が好ましい。
また、本出願においてナノシリカとは、特に動的光散乱法による粒度分析において、超音波の照射等、特段の分散処理を行わない状態で累積90%(重量%)における粒径が1.0μm未満の範囲のものである。
上記ナノシリカ(B)は、上記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜50重量部、さらに好ましくは0.3〜30重量部の範囲の量で用いることができるが、さらにコストを勘案すると0.3〜15重量部の範囲が好ましい。
<結晶核剤(C)>
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、必要に応じ透明核剤(C)を含有する。ここで「透明核剤」とは、特定の構造を有する熱可塑性樹脂に添加した場合、結晶化の際に核剤となるもので、かつ透明性を付与するものである。
特に結晶化速度の遅い樹脂、代表的にはポリ乳酸を用いる場合には重要となるものであり、具体的には、カルボン酸アミド、脂肪族アルコール、脂肪族カルボン酸エステルが挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類;
N-オレイルパルミチン酸アミド、N-オレイルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリ
ン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-
ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN-置換脂肪族モノカルボン酸アミド類;
メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m-キシリレンビスオレイン酸アミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスベヘニン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類;
N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’-ジステアリルテレフタル酸アミドのようなN-置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類;
N-ブチル-N’-ステアリル尿素、N-プロピル-N’-ステアリル尿素、N-ステアリル-N’-ステアリル尿素、N-フェニル-N’-ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のようなN-置換尿素類が挙げられる。
これらの中では、ビスカルボン酸アミドが好適に用いられ、特に、エチレンビスラウリ
ン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド、m-キシリレンビスラウリン酸アミド、m-キシリレンビスオレイン酸アミド、m-キシリレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミドが好ましい。さらに、分子内に芳香環を有しないエチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミドが、結晶化速度が優れるという点で好ましい。
脂肪族アルコールの具体例としては、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、シクロヘキサン1,2-ジオール、シクロヘキサン1,4-ジオール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、ラウリン酸セチルエステル、パルミチン酸セチルエステル、ステアリン酸セチルエステル、ジラウリン酸グリコール、ジパルミチン酸グリコール、モノラウリン酸グリセリンエステル、モノステアリン酸グリセリンエステル等が挙げられる。
上記透明核剤(C)は、上記ポリ乳酸系化合物(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、さらに好ましくは0.3〜3重量部の範囲の量で用いることができる。透明核剤(C)の含有量が前記範囲内であることにより、透明核剤としての効果が大きく発現し、高い結晶化度、透明性を兼ね備えた樹脂組成物が得られる。
<各種添加剤等>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、目的(例えば、成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、耐候性、難燃性等の向上)に応じて、上記成分(A)、(B)および(C)以外の他の樹脂もしくは重合体や各種添加剤を添加してもよい。
他の樹脂もしくは重合体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、非晶ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、エチレン・α-オレフィン共重合ゴム、共役ジエン系ゴム、スチレン系ゴム、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
各種添加剤としては、たとえば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、有機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、染料、核化剤、滑剤、天然物等を挙げることができ、好ましくは可塑剤が挙げられる。
可塑剤としては、たとえば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、ジブチルセバケート、シリコーンオイルなどが挙げられる。
無機添加剤や滑剤は、フィルムもしくはシートのブロッキング防止やすべり性を改良するために用いることができる。このような無機添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ、カオリン、カオリナイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ワラストナイト、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、マグネシウムオキシサルフェート繊維、チタン酸カリウム繊維、亜硫酸カルシウム、ホワイトカーボン、クレー、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、無機添加剤としてガラス繊維を用いることにより、樹脂組成物の耐熱性向上が期待できる。
有機添加剤としては、デンプン及びその誘導体、セルロース及びその誘導体、パルプ及びその誘導体、紙及びその誘導体、小麦粉、おから、ふすま、ヤシ殻、コーヒー糟、タンパクや、フタル酸系、脂肪族多塩基酸系、グリセリン系、クエン酸系、グリコール系、オレフィン系の低分子量体や、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の樹脂、重合体または添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて適宜選択される。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、公知の製造方法を適宜採用することができる。例えば、高速撹拌機または低速撹拌機等を用いて、各成分を予め均一に混合した後、樹脂の融点以上において十分な混練能力のある一軸もしくは多軸の押出機で溶融混練する方法、溶融時に混合混練する方法、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などを採用することができる。
熱可塑性樹脂組成物の製造は、成形体の成形前に行ってもよく、組成物の製造と成形とを同時に行ってもよい。成形前に組成物を製造する場合、樹脂組成物の形状はペレット、棒状または粉末などが好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、十分に結晶化が進行した状態で透明性に優れるという点が大きな特徴である。ここで、本発明における「透明性」とは、一定の厚さのシートを十分に結晶化させた後の「ヘイズ」によって示されるものであり、その数字が小さいほど透明性が高く、且つ非晶状態のヘイズ値と十分に結晶化を進行させた後のヘイズ値の差が小さいほど、結晶化による透明性の阻害が小さく、添加するナノシリカの効果が高いことを示す。
尚、「十分に結晶化を進行させる」とは、結晶化度にして35%以上を目安とするものであり、結晶性の熱可塑性樹脂が十分な速度で結晶化をする温度にてアニールをすることで目的が達せられる。
<成形体>
本発明の成形体は、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物、好ましくは乳酸系樹脂組成物からなる。本発明の成形体は、公知公用の方法、たとえば、以下のような方法で製造することができる。
(1)押出成形においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、一般的なTダイ押出成形機で成形することにより、フィルムやシートを成形することができる。
(2)射出成形においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物のペレットを溶融軟化させて金型に充填し、成形サイクル20〜300秒で成形体が得られる。
(3)ブロー成形(射出ブロー成形、延伸ブロー成形、ダイレクトブロー成形)においては、たとえば、射出ブロー成形の場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、一般的な射出ブロー成形機で溶融して金型に充填することにより、予備成形体を得る。得ら
れた予備成形体をオーブン(加熱炉)中で再加熱した後、一定温度に保持された金型内に入れて、圧力空気を送出してブローすることによりブローボトルを成形することができる。
(4)真空成形・真空圧空成形においては、上記(1)の押出成形と同様の方法により成形したフィルムやシートを予備成形体とする。得られた予備成形体を加熱して、一旦、軟化させた後、一般的な真空成形機を用いて、一定温度に保持された金型内で、真空成形または真空圧空成形することにより、成形体を得ることができる。
(5)積層体成形においては、上記(1)の押出成形の方法で得たフィルムやシートと他の基材とを、接着剤や熱でラミネーションする方法;上記(1)の押出成形の方法と同様の方法で、Tダイから溶融樹脂を直接、紙、金属、プラスチックなどの基材上へ押出す押出ラミネーション法;本発明の樹脂組成物などを別の押出機で各々溶融し、ダイヘッドで合流させて同時に押し出す共押出法;これらを組み合わせた共押出ラミネーションなどの方法で積層成形体を得ることができる。
(6)テープヤーン成形においては、上記(1)の押出成形と同様の方法により成形したフィルムやシートを特定の幅にスリットし、60℃〜140℃の温度範囲で一軸に熱延伸し、必要に応じてさらに80℃〜160℃の温度範囲で熱固定することで成形体を得ることができる。
(7)糸成形においては、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、押出機を用いて150〜240℃の温度で溶融し、紡糸口金から吐出させる溶融紡糸法により糸を得ることができる。必要に応じて、60℃〜100℃の温度範囲で一軸に熱延伸し、場合によってはさらに80℃〜140℃の温度範囲で熱固定することで糸を成形することができる。
(8)不織布成形においては、スパンボンド法またはメルトブローン法により成形体を成形することができる。スパンボンド法では、上記(7)の糸成形と同様の方法で、多孔の紡糸口金を用いて溶融紡糸し、紡糸口金の下部に設置したエアーサッカを用いて延伸してウェブを形成し、捕集面に堆積させ、さらにこれをエンボスロールおよび平滑ロールにて圧着または熱融着させることで不織布を得ることができる。メルトブローン法では、多孔の紡糸口金から吐出された溶融樹脂が、加熱気体吹出口から吹き出される高速度の加熱気体と接触して微細なファイバーに繊維化され、さらに移動支持体上に堆積されることで不織布を得ることができる。
本発明の成形体は、80℃〜120℃で1〜300秒間熱処理した後の厚み100μmでのヘイズが0.1〜15%、好ましくは0.1〜12%、さらに好ましくは0.1〜11%であり、かつ、結晶化度が35%以上、好ましくは35〜60%。さらに好ましくは35〜50%である。
本発明における「結晶化度」とは、示差走査熱量測定(DSC)によって求められる。具体的には、まず、プレス成形によって得られた無配向フィルムを105℃のオーブンで所定時間熱処理する。熱処理後のフィルムを5〜6mg秤量し、窒素シールしたパンに計り込み、窒素シールされた予め30℃に設定されたDSC測定部に装入し、10℃/mi
nの昇温速度で昇温し220℃まで昇温する。結晶化エンタルピー(ΔHc)、結晶融解エンタルピー(ΔHm)を測定し、[[(ΔHm−ΔHc)/(ΔH0)]×100]を求
め、これを結晶化度とする。ここで、ΔH0は完全理想結晶融解エンタルピーを表し、た
とえば、ポリ乳酸のΔH0は93J/gである。また、本発明における「ヘイズ」は、ヘ
イズメーターで測定した値である。
<用途>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した種々の成形加工方法により成形することができ、特に限定されることなく様々な用途に好適に使用することができる。また、これらの成形品は、自動車部品、家電材料部品、電気・電子部品、建築部材、土木部材、農業資材および日用品、各種フィルム、通気性フィルムやシート、一般産業用途及びレクリエーション用途に好適な発泡体、糸やテキスタイル、医療又は衛生用品などの各種用途に利用することができ、好ましくは耐熱性、耐衝撃性が必要とされる自動車材料部品、家電材料部品、電気・電子材料部品あるいは耐熱性および透明性が求められる日用品に利用することができる。
具体的には、自動車部品材料用途では、フロントドア、ホイルキャップなどのこれまで樹脂部品が用いられている部品への展開、家電材料部品用途ではパソコン、ヘッドホンステレオ、携帯電話などの製品の筐体部品への展開、電気・電子部品では、反射材料フィルム・シート、偏光フィルム・シート、日用品では飲用カップ、野菜トレーやブリスターパック等への展開が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<結晶化度>
DSC(島津製作所製「DSC−60」)により求めた。プレス成形によって得られた無配向フィルムを105℃のオーブンで所定時間熱処理し、処理後のフィルム5〜6mgを秤量し、窒素シールしたパンに計り込み、窒素シールされた予め25℃に設定されたDSC測定部に装入した後、10℃/minの昇温速度で220℃まで昇温した。結晶化エ
ンタルピー(ΔHc)、結晶融解エンタルピー(ΔHm)を測定し、[[(ΔHm−ΔH
c)/(ΔH0)]×100]を求め、これを結晶化度とした。ここで、ΔH0は完全理想
結晶融解エンタルピーを表し、ポリ乳酸の数値93J/gを使用した。
<透明性(HAZE)>
JISK7105に基づきヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)により求めた。
<ナノシリカの一次粒径および一次凝集サイズ>
TEM(日立製作所製 透過型電子顕微鏡 H7650により観察を行い、目視によりおおよそのサイズを求めた。
<シリカの粒度分布測定>
Nanotrac UPA−UT151(Microtrac社製 粒度分析計)において、動的光散乱法により求めた。
またはMicrotrac MT3300EXII(Microtrac社製 粒度分析計)において、レーザー光回折散乱法において求めた。
サンプルはエタノールに分散させ、分散処理無しおよび超音波バスによる分散処理を行った後に測定した。
〔実施例1〕
市販のポリ乳酸(A)[三井化学(株)製、登録商標LACEA、グレードH−100、Mw=Mw=17.3万]100重量部に対して、市販のナノシリカ(B)[旭化成ワッカーシリコーン(株)製、登録商標 HDK H20]1部、および結晶核剤(EBL:エ
チレンビスラウリン酸アミド)0.5部とを、ラボプラストミルを用いて、温度200℃
、時間5分および回転数50rpmの条件で混練した。
混練物を200℃および10MPaの条件で5分間プレスし、厚さ100μmのフィルムを得た。また、このフィルムを105℃のオーブンに20秒間および60秒間入れて熱処理(アニール)を行い、アニール前後の結晶化度および透明性(ヘイズ)を、上記のようにして測定した。結果を表1に示す。
尚、ナノシリカ[旭化成ワッカーシリコーン(株)製、登録商標 HDK H20]のTEMによる観察を行ったところ、一次粒径は、概ね10nm程度であり、一次凝集サイズは、50〜500nm程度であった。(図−1)
また、その嵩比重は40g/Lであった。
このナノシリカを、Nanotrac UPA−UT151により、動的光散乱法で粒度分布を測定したところ、分散処理なしの場合で累積10%:0.200μm、累積50%:0.317μm、累積90%:0.474μmであり、28KHzの超音波バスによる30分の分散処理を行った後の粒度分布は、累積10%:0.186μm、50%:0.263μm、90%:0.357μmとなった。
超音波による分散処理を行う前後で大きな差はなく、二次凝集はほとんど無い事が判明した。
尚、測定の際の分散溶媒は、エタノールで行った。
〔実施例2〕
実施例1におけるナノシリカの使用量を5重量部に変えた以外は同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。また、このフィルムを105℃のオーブンに20秒間および60秒間入れて熱処理(アニール)を行い、アニール前後の結晶化度および透明性(ヘイズ)を、上記のようにして測定した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1におけるナノシリカの使用量を10重量部に変えた以外は同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。また、このフィルムを105℃のオーブンに20秒間および60秒間入れて熱処理(アニール)を行い、アニール前後の結晶化度および透明性(ヘイズ)を、上記のようにして測定した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例1におけるポリ乳酸(A)を[三井化学(株)製、登録商標LACEA、グレードH−400、Mw=Mw=24.6万]100重量部に変えた以外は同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。また、このフィルムを105℃のオーブンに20秒間および60秒間入れて熱処理(アニール)を行い、アニール前後の結晶化度および透明性(ヘイズ)を、上記のようにして測定した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
市販のポリ乳酸(A−1)[三井化学製、登録商標LACEA、グレードH−100、Mw=Mw=17.3万]100重量部に対して、ナノシリカを用いずに、結晶核剤(EBL:エチレンビスラウリン酸アミド)を0.5部用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。また、このフィルムを105℃のオーブンに20秒間および60秒間入れて熱処理(アニール)を行い、アニール前後の結晶化度および透明性(ヘイズ)を、上記のようにして測定した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例2におけるナノシリカを、市販のシリカ((株)アドマテックス社製、商品名 ア
ドマファインSO−C1)5重量部に変えた以外は同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。また、このフィルムを105℃のオーブンに20秒間および60秒間入れて熱処理(アニール)を行い、アニール前後の結晶化度および透明性(ヘイズ)を、上記のようにして測定した。結果を表1に示す。
このシリカを、Microtrac MT3300IIにより、レーザー光回折散乱法で粒度分布を測定したところ、分散処理なしの場合で累積10%:11.3μm、累積50%:36.2μm、累積90%:77.9μmであり、28KHzの超音波バスによる30分の分散処理を行った後の粒度分布は、累積10%:0.438μm、50%:0.786μm、90%:3.67μmとなった。
超音波による分散処理を行う前後で大きな変化があり、二次凝集体を形成していると推察された。
尚、測定の際の分散溶媒は、エタノールで行った。
〔比較例3〕
実施例2におけるナノシリカを、市販のシリカ((株)アドマテックス社製、商品名 アドマファインSO−C2)5重量部に変えた以外は同様にして、厚さ100μmのフィルムを得た。また、このフィルムを105℃のオーブンに20秒間および60秒間入れて熱処理(アニール)を行い、アニール前後の結晶化度および透明性(ヘイズ)を、上記のようにして測定した。結果を表1に示す。
このシリカを、Microtrac MT3300IIにより、レーザー光回折散乱法で粒度分布を測定したところ、分散処理なしの場合で累積10%:50.6μm、累積50%:120μm、累積90%:266μmであり、28KHzの超音波バスによる30分の分散処理を行った後の粒度分布は、累積10%:0.615μm、50%:0.944μm、90%:2.26μmとなった。
超音波による分散処理を行う前後で大きな変化があり、二次凝集体を形成していると推察された。
尚、測定の際の分散溶媒は、エタノールで行った。
以上、実施例および比較例で分かるように、ポリ乳酸を、結晶核剤を用いて十分結晶化させた場合、38%の結晶化度においてヘイズは17%であることが、比較例1より分かる。(厚さ100μmプレスシート)
これに対し、実施例1ではナノシリカ1%を添加しただけで、38.6%の結晶化度において、6.74%のヘイズに留まっている。
さらに、実施例2ではナノシリカを5%添加しており、37.9%の結晶化度においてヘイズ4.75%、実施例3では38.3%の結晶化度においてヘイズ4.72%であり、ナノシリカの添加量にはあまり関わらずに、大きく透明性が向上していることが分かる。
また、ポリ乳酸のグレードを高分子量グレードに変えても、37.1%の結晶化度において、ヘイズ4.25%であり、ポリ乳酸の分子量にかかわらずナノシリカの添加は透明性の向上に寄与していることが分かった。
一方、比較例2および3において用いたシリカ(商品名アドマファイン)は、(株)アドマテック社より市販されている、球状微粉シリカであるが、粒度分布の測定から超音波処理をしない状態ではその粒径は、先のナノシリカと比べてかなり大きく、また超音波処理
を行ってもナノシリカよりは大きい事が分かる、このアドマファインを用いた場合、透明性の指標であるHAZEはシリカを添加しない比較例1とほぼ同等か、粒径が大きい比較例2に至っては多少大きくなっている事が分かる。
このことから、透明性の向上に寄与するシリカは、一定の大きさ以下のサイズである、ナノシリカのみであることが判明した。
実施例1で使用したナノシリカのTEMによる観察写真である。

Claims (7)

  1. 乳酸系樹脂(A’)および超音波の照射による分散処理を5分〜60分行った時の動的光散乱法による粒度分布が、累積10%までの粒径が0.1μm〜0.22μmの範囲、累積50%までの粒径が0.23μm〜0.34μmの範囲、累積90%までの粒径が0.35μm〜0.90μmの範囲にあるナノシリカ(B)を必須として含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 乳酸系樹脂(A’)および超音波の照射による分散処理を5分〜60分行った時の動的光散乱法による粒度分布が、累積10%までの粒径が0.1μm〜0.22μmの範囲、累積50%までの粒径が0.23μm〜0.34μmの範囲、累積90%までの粒径が0.35μm〜0.90μmの範囲にあるナノシリカ(B)を必須として含み、結晶核剤(C)含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記乳酸系樹脂(A’)100重量部に対して、ナノシリカ(B)を0.1〜100重量部の量で含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記乳酸系樹脂(A’)100重量部に対して、ナノシリカ(B)を0.1〜100重量部、結晶核剤(C)を0.1〜10重量部の量で含むことを特徴とする請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記乳酸系樹脂(A’)がポリ乳酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記結晶核剤(C)がカルボン酸アミド類であることを特徴とする請求項2、4および5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなり、厚み100μmでのヘイズが0.1〜15%であり、かつ結晶化度が35%以上であることを特徴とする成形体。
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