JP2002069206A - 脂肪族ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents

脂肪族ポリエステル系樹脂組成物

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JP2002069206A
JP2002069206A JP2000262701A JP2000262701A JP2002069206A JP 2002069206 A JP2002069206 A JP 2002069206A JP 2000262701 A JP2000262701 A JP 2000262701A JP 2000262701 A JP2000262701 A JP 2000262701A JP 2002069206 A JP2002069206 A JP 2002069206A
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diatomaceous earth
pcl
aliphatic polyester
irradiation
polyester resin
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JP2000262701A
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Hiroshi Mitomo
宏志 三友
Tei Murakami
禎 村上
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温成形時での溶融張力が高く、歪み硬化性
が向上し、ブロー成形を始めとする様々な成形に支障な
く適用でき、かつ生分解性にも優れる脂肪族ポリエステ
ル系樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 脱水縮合型の脂肪族ポリエステル樹脂
(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土(c)からな
る樹脂組成物であって放射線照射処理がなされたもので
あることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱水縮合型の脂肪
族ポリエステル系樹脂(a)及び/またはポリラクトン
(b)と珪藻土(c)からなる樹脂であって放射線照射処理が
なされたものであることを特徴とする脂肪族ポリエステ
ル系樹脂、該樹脂を含有する脂肪族ポリエステル系樹脂
組成物、該脂肪族ポリエステル系樹脂または脂肪族ポリ
エステル系樹脂組成物を成形してなる成形物、及び該脂
肪族ポリエステル系樹脂及び樹脂組成物の製造方法に関
する。該脂肪族ポリエステル系樹脂及び樹脂組成物は、
分解性、成形性に優れる。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフイン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステルなどの合
成プラスチックが、家庭用品、あるいは農業用、水産
用、一般産業用資材として使用されている。それらの使
用後の廃棄処分方法としては、焼却処分や、埋め立て処
分が挙げられるが、ポリオレフインやポリ塩化ビニル等
の難分解性の樹脂は、焼却の際には高発熱量による焼却
炉の損傷や、有害性排ガスの発生が問題となり、一方、
これらは化学的に安定であり、使用後自然界に廃棄、放
置されても殆ど分解しないため、埋め立て処分の場合
は、環境中にいつまでも残留することによる環境汚染が
問題になっており、その廃棄処分が社会問題化してい
る。これの対策として、種々の生分解性樹脂が提案さ
れ、上記樹脂との代替が検討されている。
【0003】そこで、天然素材系のバイオセルロースや
澱粉主体のプラスチック、低置換度セルロース系エステ
ル、微生物による天然ポリエステル、化学合成による脂
肪族ポリエステル樹脂等が生分解性のあるプラスチック
として、その製法、用途等が検討されている。これらの
内、加工性、コスト、機械特性、耐水性等の点で比較的
バランスがとれていて、様々な用途に使いやすい樹脂と
して注目されているものとして、化学合成で得られる脂
肪族ポリエステル樹脂、ポリラクトン等が挙げられる。
生分解性樹脂は、具体的には、ポリε−カプロラクト
ン、ポリヒドロキシブチレート/ポリヒドロキシバリレ
ート共重合体、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルの他、
変性澱粉/変性ポリビニルアルコール(PVA)組成
物、カルボニル基含有光分解性ポリマー等である。これ
らのうち、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシブ
チレート/ポリヒドロキシバリレート共重合体、ポリ乳
酸等の脂肪族ポリエステルは完全生分解性である点で最
も注目されている。
【0004】特開平8−188706号公報には、生分解性樹
脂であるポリε−カプロラクトン(以下、ポリカプロラ
クトン、PCLと略称することがある)80〜100重量%
と、生物によって産出される生分解性直鎖状ポリエステ
ル系樹脂20〜0重量%との混合物100重量部に対して滑剤
0.3〜0.8重量部を配合してなる組成物を成形して得ら
れた生分解性プラスチックフィルムが開示されている
が、フィルム成形時の機械的強度に問題があり、フィル
ムを量産することは困難であるばかりか、該フィルムは
生ゴミと共にコンポスト化装置に投入してもフィルムの
生化学的分解に100日もかかるので、分解速度は十分速
いとは言えない。
【0005】また、特開平8−11206号公報には、生分解
性樹脂のインフレーション製膜に下向きのダイスを使用
する提案がなされているが、押出方向を下方にするとい
うのみで、生分解性樹脂自体の特性に基づく問題の解決
策は示されていないので、生分解性樹脂のインフレーシ
ョン製膜時の課題の根本的解決にはなっていない。ま
た、特開平8−150658公報には、生分解性の脂肪族ポリ
エステルとエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物、
澱粉及び可塑剤とからなる組成物を使用するヒートシー
ル性、機械的強度、耐湿性等に優れたインフレーション
フィルムの製膜法が開示されているが、生分解性のない
エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物が共存してい
るため、生分解性の特性を一部犠牲にしており、上記課
題の解決策の開示とは言えない。
【0006】脂肪族ポリエステル樹脂は、α,ω−2官
能脂肪族アルコールと、α,ω−2官能脂肪族ジカルボ
ン酸の重縮合で得られるポリエステル樹脂で代表される
が、一般的に融点が低く、従来のポリオレフインの代替
としては使用できるものではない。ところが、ある種の
ポリエステル樹脂は融点が100℃以上で、熱可塑性を有
することが知られており、合成検討が行われてきた。す
なわち、コハク酸と1,4−ブタンジオールから得られる
ポリエステル樹脂、コハク酸とエチレングリコールから
得られるポリエステル樹脂、シュウ酸とネオペンチルグ
リコールから得られるポリエステル樹脂、シュウ酸と
1,4−ブタンジオールから得られるポリエステル樹脂、
シュウ酸とエチレングリコールから得られるポリエステ
ル樹脂等がそれらに相当する。このうち、シュウ酸から
得られるポリエステル樹脂は特に熱安定性が悪く、高分
子量に至らないが、コハク酸から得られるポリエステル
樹脂は熱安定性が比較的良好であり、合成の工夫が行わ
れてきた。しかし、これらコハク酸系の脂肪族ポリエス
テル樹脂であっても、一般的な装置を用いて重縮合する
場合、高分子量にするのは難しく、実用的な機械強度を
有する樹脂は得にくい。
【0007】そこで、ポリエステル樹脂の分子末端水酸
基をポリイソシアネート等を用いて、ウレタン結合によ
り高分子量化することが行われている。例えば、特開平
9−67513号公報には、脂肪族イソシアネートで高分子量
化した脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対してポリ
カプロラクトンを1〜200重量部を配合してなる生分解性
の改善されたポリエステル樹脂組成物が開示されてい
る。ここで用いるポリイソシアネートは芳香族系よりも
脂肪族系の方が生分解性に優れた性質を示すことから、
ヘキサメチレンジイソシアネート等がしばしば用いられ
る。このようにして、低分子量の脂肪族ポリエステル樹
脂を高分子量化し、機械特性を確保して、射出成形、ブ
ロー成形、繊維化、フィルム化等の加工に対応させてい
るのが現状である。
【0008】ところが、これら脂肪族ポリエステル樹脂
であっても結晶性が高かったり、前記のようにウレタン
結合を樹脂分子内に導入した場合、微生物による生分解
性が通常低下する。このことは、樹脂の非晶部分から生
分解が進み、結晶部分は分解し難く、残りやすいことが
知られていること、またポリオールとして生分解性に優
れるポリカプロラクトンポリオールを用いても、ポリイ
ソシアネートにヘキサメチレンジイソシアネートを用い
たカプロラクトン系のポリウレタンの生分解性は、JIS
K6950で規定されている活性汚泥中での分解試験で評価
すると、殆ど分解が認められないという結果になること
からも明かである。このような傾向は、比較的低密度の
ウレタン結合含有樹脂においても認められることから、
本来生分解性のあるポリエステル樹脂も高分子量化のた
めに含まれることとなる数重量%程度の少量のウレタン
結合の存在により、生分解性が低下する原因になってい
ることが多い。事実、数平均分子量10,000程度のコハ
ク酸系のポリエステル樹脂の分子末端水酸基をポリイソ
シアネートを用いて4〜5個つないで数平均分子量40,00
0〜50,000に高分子量化したポリエステル樹脂をJIS K6
950で規定されている活性汚泥中での分解試験で評価す
ると、難分解性という評価結果になり、農業用マルチフ
ィルムとして実用的なものではなかった。
【0009】単一の脂肪族ポリエステル樹脂では、それ
を効率よく分解する菌が存在する環境で生分解性を示す
が、より分解性の良好なポリカプロラクトンを配合・混
練することにより、混練した樹脂を分解する菌が環境中
に存在する確率が上がること、更に一旦分解が始まる
と、表面積が広がり、表面が親水性になり、菌が生育し
やすくなる環境ができること等の理由により、単一の樹
脂の場合より、分解性が向上している。しかしながら、
このような樹脂を使用して真空成形、ブロー成形、イン
フレーション成形等を行うと、成形中に溶融した樹脂が
ドローダウンするという問題があった。
【0010】一般的に生分解性樹脂は、結晶性樹脂であ
るため、その二次加工性が問題となる。そのため化学的
に分岐構造を導入した樹脂をブレンドしたり、放射線照
射により分岐構造を導入したりする方法がある。しか
し、分岐樹脂の場合樹脂の強度が不足したり、放射線の
場合、ある程度の照射量が必要となる問題がある。一
方、押出しなどの加工適性を改善するためタルクなどを
ブレンドし見掛け上の押出し特性を改善する方法がある
が、この場合、ある範囲の加工には有効であるが、本質
的に改善しているものでないため薄いものの加工などで
は問題解決とはならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、脱水
型脂肪族ポリエステル樹脂(以下、脂肪族ポリエステル
樹脂と略すことがある。)及び/またはポリラクトンを
使用した生分解性、成形性、機械特性に優れた樹脂組成
物、その成形物、及び該樹脂組成物の製造方法を提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討を行った結果、脱水縮合型の脂
肪族ポリエステル樹脂(a)及び/またはポリラクトン
(b)と珪藻土(c)からなる組成物を放射線照射処理するこ
とにより得られる脂肪族ポリエステル系樹脂組成物が、
高温成形時での溶融張力が高く、歪み硬化性が向上し、
ブロー成形を始めとする様々な成形に支障なく適用で
き、かつ生分解性にも優れることを見いだし、本発明を
完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明の第1は、脱水縮合型の
脂肪族ポリエステル樹脂(a)及び/またはポリラクト
ン(b)と珪藻土(c)からなる樹脂組成物であって放射線照
射処理がなされたものであることを特徴とする脂肪族ポ
リエステル系樹脂組成物に関する。本発明の第2は、ポ
リラクトン(b)が、ε−カプロラクトン、4−メチルカ
プロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、
3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラ
クトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エ
ナントラクトンの単独重合体又はこれらの2種以上のモ
ノマーの共重合体、これらの単独又は共重合体の混合物
である前記本発明の第1の脂肪族ポリエステル系樹脂組
成物に関する。本発明の第3は、ポリラクトン(b)
が、ポリε−カプロラクトンである前記本発明の第1の
脂肪族ポリエステル系樹脂組成物に関する。本発明の第
4は、放射線処理が、γ線又は電子加速器による電子線
照射処理であることを特徴とす前記本発明の第1〜3の
いずれかの脂肪族ポリエステル系樹脂組成物に関する。
本発明の第5は、前記本発明の第1〜4のいずれかの脂
肪族ポリエステル系樹脂を成形してなる成形物に関す
る。本発明の第6は、脱水縮合型の脂肪族ポリエステル
系樹脂(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土(c)
からなる混合物を放射線照射処理することを特徴とする
脂肪族ポリエステル系樹脂組成物の製造方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明で使用する脱水縮合型の脂肪族ポリエス
テル樹脂としては特に限定されるものではないが、合成
ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサ
クシネート等の生分解性のポリエステル樹脂(このよう
な樹脂としては、昭和高分子株式会社のビオノーレに代
表される低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族
ジオールより合成されるポリエステル樹脂を例示するこ
とができる)、3−ヒドロキシアルカノエートユニット
(3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバリレー
ト、3−ヒドロキシカプロレート、3−ヒドロキシヘプ
タノエート)を含む共重合体ポリエステル{P(3H
A)共重合体}、3−ヒドロキシブチレート(3HB)
と3−ヒドロキシバリレート(3HV)ユニットからな
る共重合体{例えば、3HV分率が0から25モル%の
P(3HB−co−3−HV)共重合体:ICI社製、
商標名”バイオポール”}、特開平9−235360号、同9−
233956号各公報記載の三元共重合体の脂肪族ポリエステ
ル、特開平7−177826号公報記載の乳酸とヒドロキシカ
ルボン酸共重合体等が挙げられる。中でも、融点が100
℃以上で、熱可塑性を有するもの、比較的生分解性の高
くないものが好ましく、コハク酸と1,4一ブタンジオー
ルから得られるポリエステル樹脂、コハク酸とエチレン
グリコールから得られるポリエステル樹脂、シュウ酸と
ネオぺンチルグリコールから得られるポリエステル樹
脂、シュウ酸と1,4−ブタンジオールから得られるポリ
エステル樹脂、シュウ酸とエチレングリコールから得ら
れるポリエステル樹脂等が例示できるが、特に好ましく
はコハク酸と1,4一ブタンジオールから得られるポリエ
ステル樹脂である。脂肪族ポリエステル樹脂の好ましい
数平均分子量としては、20,000以上、更に好ましくは4
0,000以上の範囲である。上限は特にないが、実用上50
0,000程度のものも使用できる。
【0015】本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂
はウレタン結合を含むものを使用することができる。ウ
レタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂は、前記脂肪
族ポリエステル樹脂を、好ましくは脂肪族ジイソシアネ
ート化合物により高分子量化したものである。脂肪族ジ
イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル
{OCN−(CH24−CH(−NCO)(−COOCH3)}、トリメ
チルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される
が、中でもヘキサメチレンジイソシアネートが好まし
い。またウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂の
好ましい数平均分子量としては、20,000以上、更に好
ましくは40,000以上の範囲である。ウレタン結合を含
む脂肪族ポリエステル樹脂としては、昭和高分子(株)
製のビオノーレ♯1000、#3000、♯6000のシリーズが挙
げられる。
【0016】本発明に使用されるポリラクトンは、ε−
カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−
トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプ
ロラクトンなどの各種メチル化カプロラクトン、β−プ
ロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ一バレロラク
トン、エナントラクトンの単独重合体又はこれらの2種
以上のモノマーの共重合体、これらの単独又は共重合体
の混合物が挙げられる。本発明で使用するポリラクトン
は、ラクトンモノマーとラクトンモノマー以外のモノマ
ー(例えば、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキ
シ酪酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸;後述する脂肪
族ポリエステルで例示される脂肪族ジオール及び脂肪族
ジカルボン酸が挙げらる)と共重合されてもよく、特に
常温で軟化しないものが好ましく、この観点から高分子
量であって融点が60℃以上の、安定した性能が得やすい
ポリε−カプロラクトンが好適である。本発明で使用す
るポリカプロラクトンは、例えばアルコールなどの活性
水素含有化合物を開始剤としε−カプロラクトンを常法
の開環重合を行うことにより得られるものである。前記
開始剤の官能数は、特に制限はなく、2官能や3官能のも
のが好ましく使用できる。ポリカプロラクトンの分子量
は、低分子量から高分子量まで使用できるが、低分子量
のポリカプロラクトンを使用した場合は、樹脂の耐熱性
や機械強度の低下が大きくなるので添加量が制限される
が、樹脂組成物の溶融粘度が低下し、成形性が向上する
等のメリットが現れる。しかし高分子量のポリカプロラ
クトンを使用する方が配合率を多くすることができ、耐
熱性、機械特性、生分解性をいずれも高くバランスさせ
ることが可能であり、より好ましい。具体的には数平均
分子量が10,000〜500,000が好ましいが、効率的な橋
かけの点で30,000〜200,000のものが特に好ましい。
上記分子量のポリカプロラクトンはJIS K6726の規定に
よる相対粘度1.15〜2.80を有するものであり、特に好
ましくは1.50〜2.80を有するものである。なお、20
0,000よりも高い数平均分子量を有するものも問題なく
使用可能であるが、このような分子量の非常に高いポリ
カプロラクトンを得るのは難しく、現実的ではない。ま
た、使用するポリカプロラクトンは、ε−カプロラクト
ンの単独重合体以外に、前記ポリラクトンや、グリコリ
ド、ラクチドなどのコモノマー構成単位を、例えば20モ
ル%以下含まれる共重合体も使用可能である。ポリカプ
ロラクトンとしては、ダイセル化学工業(株)製のPCLH
7、PCLH4、PCLHl等が挙げられる。
【0017】脂肪族ポリエステル樹脂とポリラクトンを
併用する場合の配合割合は、特に制限はなく、双方の分
子量、要求される生分解牲、要求される物性により適宜
選択できるが、前者100重量部に対し後者が1〜200重量
部が好ましく、更に好ましくは5〜50重量部、特には20
〜40重量部の範囲である。
【0018】脂肪族ポリエステル樹脂とポリラクトンを
混練する場合は、両者に相溶性の有ることが混練して得
られる樹脂組成物の機械特性の面から好ましいが、両者
の相溶性が無い場合は、例えば、被混練樹脂成分とポリ
ラクトン成分の共重合体等の相溶化剤、例えば両者の中
間の極性を有する樹脂等の添加も好ましく使用できる。
【0019】本発明に用いられる脱水縮合型の脂肪族ポ
リエステル樹脂(a)及び/またはポリラクトン(b)に
は、他の生分解性樹脂を混合して用いてもよい。上記他
の生分解性樹脂としては、合成及び/又は天然高分子が
使用される。合成高分子としては、ポリアミド、ポリア
ミドエステル、生分解性セルロースエステル、ポリペプ
チド、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合物が挙
げられる。生分解性セルロースエステルとしては、酢酸
セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピ
オネート等の有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セ
ルロース、リン酸セルロース等の無機酸エステル;セル
ロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフ
タレート、硝酸酢酸セルロース等の混成エステルが例示
できる。これらのセルロースエステルは、単独で又は二
種以上混合して使用できる。これらのセルロースエステ
ルのうち有機酸エステル、特に酢酸セルロースが好まし
い。また、ポリペプチドとしては、ポリグルタミン酸等
のポリアミノ酸及びポリアミドエステル等が例示でき
る。ポリアミドエステルとしては、ε−カプロラクトン
とε−カプロラクタムより合成される樹脂等が挙げられ
る。合成高分子としては、例えば脂肪族ポリエステル樹
脂を例にすると、GPCによる標準ポリスチレン換算で数
平均分子量が20,000以上200,000以下、好ましくは4
0,000以上のものが使用できる。
【0020】天然高分子としては、穀粉、セルロース、
紙、パルプ、綿、麻、毛、絹、皮革、カラギーナン、キ
チン・キトサン質、天然直鎖状ポリエステル系樹脂、又
はこれらの混合物が挙げられる。上記澱粉としては、生
澱粉、加工澱粉及びこれらの混合物が挙げられる。生澱
粉としてはトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、
コムギ澱粉、キャッサバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱
粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス
澱粉、ヒシ澱粉等が挙げられ、加工澱粉としては、物理
的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉
等)、酵素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分解
デキストリン、アミロース等)、化学分解変性澱粉(酸
処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉
等)、化学変性澱粉誘導体(エステル化澱粉、エーテル
化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)などが挙げられ
る。上記の中、エステル化澱粉としては、酢酸エステル
化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱
粉、リン酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱
粉、キサントゲン酸エステル化澱粉、アセト酢酸エステ
ル化澱粉など;エーテル化澱粉としては、アリルエーテ
ル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、カルボキシメチルエ
ーテル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、ヒド
ロキシプロピルエーテル化澱粉など;カチオン化澱粉と
しては、澱粉と2−ジエチルアミノエチルクロライドの
反応物、澱粉と2,3−エポキシプロピルトリメチルアン
モニウムクロライドの反応物など;架橋澱粉としては、
ホルムアルデヒド架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱
粉、リン酸架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉などが挙げ
られる。
【0021】また本発明には珪藻土を用いる。珪藻は褐
色植物門珪藻網の藻類の総称であり、淡水・鹹水・土壌
中に広く分布し、種類が多く、細胞膜に珪酸質の殻を持
つ単細胞藻類の植物性プランクトンである。珪藻土は、
そのプランクトンの遺骸から成る珪質の堆積物で有機物
・粘土・火山灰などを含み、海成層・湖成層のいずれか
らも産出し、主な珪藻土は第3紀以後のものである。形
状は珪藻殻の表面には無数の微細な孔があるため表面積
が大きく、優れた呼吸性と吸着性を有している。珪藻土
は、地球に多量に埋蔵されており、安定的に、低コスト
で入手できるので、その利用は生分解性プラスチックの
問題点である高価格の解消に役立つものである。珪藻土
を添加することにより生分解性が更に向上するとともに
溶融強度(粘度)が大きくなるので、溶融成形時のドロ
ーダウンが防がれ、真空成形、ブロー成形、インフレー
ション成形等の成形性が向上する。さらに放射線を照射
することにより、より溶融強度が大きくなり、得られる
フィルムでは引裂強度が向上する。これは放射線により
脂肪族ポリエステルと珪藻土中の有機物が橋かけ反応を
起こすことによるものと思われる。本発明に用いる珪藻
土はあまり精製し過ぎたものは、珪藻土中の有機物の消
失を招き、放射線照射時の脱水縮合型の脂肪族ポリエス
テル樹脂(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土と
の橋かけ反応が生じ難くいのでかえって好ましくない。
珪藻土の添加量は脂肪族ポリエステル樹脂とポリカプロ
ラクトンの合計に対して、珪藻土/(脂肪族ポリエステ
ル樹脂とポリカプロラクトンの合計)の重量比が1〜50
/99〜50、好ましくは3〜30/97〜70、更に好ましくは5
〜20/95〜80である。珪藻土の量が過大では、樹脂が粉
を吹き、種類によっては熱分解が促進され熱分解温度の
低下する場合がある。過小では成形加工性の改善効果が
十分でなく、成形時にドローダウン、ネッキング、厚み
むら、目やに発生が著しい。
【0022】また、本発明においては、本発明に用いら
れる脱水縮合型の脂肪族ポリエステル樹脂(a)及び/
またはポリラクトン(b)に樹脂添加剤を必要により加え
てもよい。樹脂添加剤としては可塑剤、熱安定剤、滑
剤、ブロッキング防止剤、核剤、光分解剤、生分解促進
剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、
流滴剤、抗菌剤、防臭剤、充填剤、着色剤、又はこれら
の混合物が挙げられる。
【0023】可塑剤としては、脂肪族二塩基酸エステ
ル、フタル酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エス
テル、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル、エポキ
シ系可塑剤、又はこれらの混合物が例示される。具体的
には、フタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸
ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)等の
フタル酸エステル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル(D
OA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)等のアジピン酸
エステル、アゼライン酸ジ2−エチルヘキシル(DOZ)等
のアゼライン酸エステル、アセチルクエン酸トリ2−エ
チルヘキシル、アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロ
キシ多価カルボン酸エステル、ポリプロピレングリコー
ルアジピン酸エステル等のポリエステル系可塑剤が挙げ
られ、これらは一種または二種以上の混合物で用いても
よい。これら可塑剤の添加量としては、用途によって異
なるが、一般には脱水縮合型の脂肪族ポリエステル樹脂
(a)及び/またはポリラクトン(b)100重量部に対し
て、3〜30重量部の範囲が好ましい。フィルムである
と、5〜15重量部の範囲が好ましい。3重量部未満である
と、破断伸びや衝撃強度が低くなり、また30重量部を越
えると、破断強度や衝撃強度の低下を招く場合がある。
【0024】熱安定剤としては、脂肪族カルボン酸塩が
ある。脂肪族カルボン酸としては、特に脂肪族ヒドロキ
シカルボン酸が好ましい。脂肪族ヒドロキシカルボン酸
としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸等の天然に存在するも
のが好ましい。塩としては、ナトリウム、カルシウム、
アルミニウム、バリウム、マグネシウム、マンガン、
鉄、亜鉛、鉛、銀、銅等の塩が挙げられる。これらは、
一種または二種以上の混合物として用いることができ
る。添加量としては本発明に用いられる脱水縮合型の脂
肪族ポリエステル樹脂(a)及び/またはポリラクトン
(b)100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲である。
上記範囲で熱安定剤を用いると、衝撃強度(アイゾット
衝撃値)が向上し、破断伸び、破断強度、衝撃強度のば
らつきが小さくなる効果がある。
【0025】本発明で用いることのできる滑剤として
は、内部滑剤、外部滑剤として一般に用いられるものが
使用可能である。たとえば、脂肪酸エステル、炭化水素
樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸
アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、
脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコール
エステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アル
コール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセ
ロール、金属石鹸、変性シリコーンまたはこれらの混合
物が挙げられる。好ましくは、脂肪酸エステル、炭化水
素樹脂等が挙げられる。滑剤を選択する場合には、本発
明に用いられる脱水縮合型の脂肪族ポリエステル樹脂
(a)及び/またはポリラクトン(b)の融点に応じて、そ
の融点以下の滑剤を選択する必要がある。例えば、脂肪
族ポリエステル樹脂の融点を考慮して、脂肪酸アミドと
しては160℃以下の脂肪酸アミドが選ばれる。配合量
は、フィルムを例にとると本発明に用いられる脱水縮合
型の脂肪族ポリエステル樹脂(a)及び/またはポリラ
クトン(b)100重量部に対し、滑剤を0.05〜5重量部を添
加する。0.05重量部未満であると効果が充分でなく、5
重量部を超えるとロールに巻きつかなくなり、物性も低
下する。フィルム用としては、環境汚染を防止する観点
から、安全性が高く、且つFDA(米国食品医薬品局)に
登録されているエチレンビスステアリン酸アミド、ステ
アリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドが
好ましい。
【0026】上記光分解促進剤としては、例えば、ベン
ゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェ
ノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンな
どのベンゾフェノンとその誘導体;アセトフェノン、
α,α−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノ
ンとその誘導体;キノン類;チオキサントン類;フタロ
シアニンなどの光励起剤、アナターゼ型酸化チタン、エ
チレン−ー酸化炭素共重合体、芳香族ケトンと金属塩と
の増感剤などが例示される。これらの光分解促進剤は、
1種又は2種以上併用できる。
【0027】上記生分解促進剤には、例えば、オキソ酸
(例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リ
ンゴ酸などの炭素数2〜6程度のオキソ酸)、飽和ジカル
ボン酸(例えば、修酸、マロン酸、コハク酸、無水コハ
ク酸、グルタル酸などの炭素数2〜6程度の低級飽和ジカ
ルボン酸など)などの有機酸;これらの有機酸と炭素数
1〜4程度のアルコールとの低級アルキルエステルが含ま
れる。好ましい生分解促進剤には、クエン酸、酒石駿、
リンゴ酸などの炭素数2〜6程度の有機酸、及び椰子殻活
性炭等が含まれる。これらの生分解促進剤は1種又は2種
以上併用できる。
【0028】本発明では、脱水縮合型の脂肪族ポリエス
テル樹脂(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土
(c)からなる樹脂組成物は所定の放射線照射処理がされ
たものである。本発明で、「脱水縮合型の脂肪族ポリエ
ステル樹脂(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土
(c)からなる樹脂組成物は放射線照射処理がされたもの
である」とは、脱水縮合型の脂肪族ポリエステル樹脂
(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土(c)を配合
した状態で、成形前、成形中、又は成形後に照射される
ことを意味する。また、形状としてはパウダーであって
も、ペレットにした状態でも、成形中の状態でも、製品
の状態であってもよい。従って本発明では、予め脱水縮
合型の脂肪族ポリエステル樹脂(a)及び/またはポリ
ラクトン(b)と珪藻土(c)からなる樹脂組成物単独に所定
の放射線照射処理をし、これに、例えば脱水縮合型の脂
肪族ポリエステル樹脂(a)及び/またはポリラクトン
(b)を混合したり、さらに脂肪駿アミド等を添加して得
られる樹脂組成物の他、脱水縮合型の脂肪族ポリエステ
ル樹脂(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土(c)
からなる樹脂組成物に脂肪酸アミド等を混合して同様の
放射線照射処理をして得られる樹脂組成物、脱水縮合型
の脂肪族ポリエステル樹脂(a)及び/またはポリラク
トン(b)及び脂肪酸アミド等と珪藻土(c)を混合して上記
放射線照射処理をして得られる樹脂組成物も含まれる。
更に、例えばこの三成分が混合された状態で放射線照射
処理がされてなる態様としては、成形用ペレット製造時
の組成物(例えばペレット製造のためのストランド等)
に照射する態様も、製膜中のフィルムに照射する態様
も、成形品に照射する態様も含まれる。製膜時の成形性
の点から成形前がより好適である。また、初めに低線量
で照射し、後の段階で高線量で照射する態様も含まれ
る。これにより、未照射のものよりも溶融粘度が高くな
るので、より高温度で形状を保持して再度照射すること
ができて、橋かけが高い確率で起こり、耐熱性が向上す
る。
【0029】本発明に係る放射線照射処理に使用される
放射線源としては、α線、β線、γ線、X線、電子線、
紫外線等を使用することができるが、コバルト60からの
γ線、電子線、X線がより好ましく、中でもγ線、電子
加速器の使用による電子線照射処理が高分子材料の橋か
け構造導入には最も便利である。
【0030】照射量は、高分子の橋架け構造導入の目安
になる樹脂組成物のひずみ硬化指数を一つの尺度として
決められる。すなわち、樹脂組成物のひずみ硬化指数が
0.15〜4.0、好ましくは0.35〜3.0であり、さらに好
ましくは1.1〜2.0となるように、粉末またはぺレット
状の樹脂組成物に放射線照射処理を施せばよい。放射線
照射処理により、樹脂組成物のひずみ硬化指数が0.15
未満の場合には、フィルムの成形時には成形性に劣り、
フィルムの偏肉を引き起こす結果となる。また、ひずみ
硬化指数が4.0を越す場合には、成形品にゲルが発生し
易く、流動性も悪いために成形性もかえって低下する結
果となる。放射線照射量は、用いる樹脂の種類、要求さ
れる特性により適宜選ばれるが、一般的には5〜100kG
y、好ましくは10〜50kGyである。少なすぎては橋かけ効
果に乏しく、多すぎてはゴム状化が進み過ぎ好ましくな
い。なお、放射線処理時の雰囲気は特に限定されるもの
ではないが、酸素濃度が低いほど橋架け効率が向上し、
照射線量を少なくすることができるので有利である。
【0031】前記生分解性樹脂組成物に前記各種添加剤
を加えてなる配合組成物を得る方法としては、従来使用
されてきた各種方法が適用でき、特に限定されるもので
はない。
【0032】本発明において、本発明にかかる脂肪族ポ
リエステル系樹脂組成物を成形して各種成形品を得るこ
とができる。成形はペレット、板、パリソン等への1次
成形、それらをシート、フィルム、テープ、薄肉容器、
厚肉容器(これらは一軸または二軸延伸物を含み、延伸
により透明性、機械的強度が向上する。)、繊維(延伸
物を含み、延伸により透明性、機械的強度が向上す
る。)への2次成形、さらにフィルムを袋、特に分解性
ゴミ袋、水切り袋、シユリンクフィルム(直接製膜して
もよい。)孔あきフィルム等に;積層フィルムを農業用
マルチフィルム等に;繊維を糸、ロープ、織物、釣り
糸、ネット等に;テープを楠包用テープ、ネット、バン
ド等に;ネットを土木用補強用、植栽用、おむつ用、生
理用品用、医療品用ネットに;薄肉容器をトレイ、ブリ
スターパック等に;厚肉容器をボトル、植栽容器等に;
ホース、パイプ等の日用品、産業資材に;発泡体にして
クッション材、農業用資材等に;その他ペンの胴部、カ
ード類、情報メディア材料;アウトドア用品、スポーツ
用品、レジャー用品胴部等に加工することができる。成
形法としては押出成形、射出成形、ブロー成形、カレン
ダー成形、圧縮成形、トランスファー成形、熱成形、流
動成形、又は積層成形等が可能である。
【0033】以下に、フィルム、特にインフレーション
法によるフィルムを製膜する場合の好適例について説明
する。まず、ポリラクトンと脱水縮合型の脂肪族ポリエ
ステル樹脂の配合比は、特に限定されないが、前者の70
〜5重量%に対して後者の30〜95重量%(両者の合計100
重量%)が好ましいが、この場合前者の上限を60重量%
以下にとることが特に好ましく、前者の40〜10重量%に
対して後者の60〜90重量%の範囲が好適である。この場
合、ポリラクトンが70重量%を超えるとフィルム等成形
物の高温時の機械的物性が低下傾向を示し、5重量%未
満では生化学的分解に基づく崩壊性が低下する可能性を
有する。この傾向は40〜10重量%の範囲から外れた場合
も同様のことが言える。一方、脂肪族ポリエステル樹脂
の配合量が95重量%を超えると生分解性が遅くなる傾向
にあり、逆に30重量%未満では、例えばフィルムに加工
した場合には耐熱性が低下する可能性がある。この傾向
は60〜90重量%の範囲から外れた場合も同様のことが言
える。又、滑剤としての脂肪酸アミドの配合割合は、ポ
リラクトンと脂肪族ポリエステル樹脂の合計100重量部
に対し0.2〜5重量部が好ましいが、0.3〜1.5重量部
の範囲がより好ましい。脂肪酸アミドが0.2重量部未満
ではインフレーションフイルムのチューブ内のブロッキ
ングとかフィルムとニップロールやガイドロール間のブ
ロッキング防止効果がやや低くなり、一方、5重量部を
超えるとフィルムの滑り性が必要以上に高くなり易く、
ロール巻きの崩れ問題の他、印刷適性、接着性等も低下
傾向を示し始める。更に必要に応じて液状滑剤、微粉末
シリカ、澱粉等を添加することができる。液状滑剤の使
用目的は、前記樹脂組成物を構成する樹脂成分のポリラ
クトンや脂肪族ポリエステル樹脂が通常ペレットもしく
はビ−ズ状でインフレーション製膜工程に供給され、こ
れに後記のような嵩比重の極めて小さい微粉末シリカ等
を均一に混合しようとする場合と、該ペレットやビ−ズ
の表面を可及的ウェットにしておくことが好ましいため
である。このような使用目的を有する液状滑剤の添加量
は、ポリラクトン及び/または脂肪族ポリエステル樹脂
の合計量100重量部に対して、好ましくは0.1〜3重量
部、より好ましくは0.2〜0.7重量部の範囲で添加され
る。添加量が3重量部を超えると液状滑剤が混合用タン
ブラーの内面に多量に付着し、べたついて安定な混合が
難しくなることがあり、0.1重量部未満ではウェッティ
ング剤としての効果が充分には発揮できないことがあ
る。この傾向は、より好ましい0.2〜0.7重量部の範囲
外についても見られる。一方、ウェッティング剤として
の液状滑剤は融点が70℃以下が好ましく、常温で液状の
ものがより好ましく使用される。例えば流動パラフィ
ン、パラフィンワックス,ステアリルアルコール,ステ
アリン酸等の他,ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モ
ノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレー
ト、ステアリルステアレート等のステアリン酸エステル
類などを挙げることができる。なお、上記液状滑剤中最
も好ましい流動パラフィンは経口急性毒性(ラット)LD
50が5g/kgであるので非常に安全であり、食品術生法の
食品添加物として認められていて、フィルムの使用後に
廃棄された場合の環境汚染防止の点で非常に好都合の材
料である。上述のごとく滑剤としては液状滑剤を選択し
たが、若し固体滑剤を使用する場合は、樹脂組成物を含
む全体の系が、該固体滑剤の融点以上である必要があ
り、該融点以下の低温では使用困難である。室温におい
て液体である流動パラフィンはこの点で好ましい滑剤で
ある。微粉末シリカの使用目的は、インフレーションフ
ィルム及びインフレーション製膜時の前記ブロッキング
防止を図ることにある。使用される微粉末シリカは、湿
式法でつくられたシリカや、四塩化ケイ素の酸水素焔中
での高温加水分解により製造されたシリカ等が充当され
るが、特に粒径が50nm以下のものが好ましい。添加方法
としては、本発明に係る脂肪族ポリエステル系樹脂組成
物に加熱混練される方法が最も好ましく、かなりの高い
せん断力が作用し二次凝集粒子がほぐされ、フィルム間
及びフィルムと各ロール間のブロッキングとかべたつき
の防止効果を発揮する。なお、微粉末シリカの添加量
は、本発明にかかる脂肪族ポリエステル系樹脂組成物10
0重量部に対して0.1〜3重量部の範囲が上記効果の発揮
の点で最も好ましい。
【0034】前記樹脂組成物に前記各種添加剤を加えて
なる配合組成物を得る方法としては、従来使用されてき
た各種方法が適用でき、特に限定されるものではない。
例えば、上記の配合組成物の製造方法の一例について説
明するに、先ずポリラクトン及び/または脂肪族ポリエ
ステル樹脂と液状滑剤をタンブラーに入れて10〜20分撹
拌混合し、次いで脂肪酸アミドを添加し、これに珪藻
土、微粉末シリカ及び澱粉を加えて、更に20〜30分間撹
拌混合する。その後、単軸或いは2軸押出機等により140
〜210℃程度で溶融混練を行い、各種添加剤を含む樹脂
組成物の粉末又はペレットを得ることができる。放射線
照射処理はこの工程で適宜おこなってもよいことは既に
説明した通りである。
【0035】上記特定の放射線照射処理をした脂肪族ポ
リエステル系樹脂組成物の溶融流動性は、該樹脂組成物
が製膜工程に供することができれば特に限定されるもの
ではないが、製膜には、MI(190℃において荷重2160gで
測定)が0.3〜20g/10minであることが好ましく、特に
0.5〜3g/10minが適している。次に製膜について説明
する。原料樹脂組成物は環状ダイを備えた押出機に供給
され、180℃前後の温度で溶融混練されて環状のダイス
リットよりチューブ状に押出される。このとき、押出機
の押出径は40〜65mm程度、長さ/直径の比率(L/D)が
26〜32、環状ダイの直径が50〜150mmのものが採用で
き、ダイスリットのギャップは0.5〜1.5mmの範囲が好
ましい。押出されたチューブ状の未固化インフレーショ
ンフィルムはダイを貫通して挿入された気体吹込管より
導入された気体の圧力によって、ブロー比(チューブ径
/ダイ径)を2以上として、所定の径まで膨張し、次い
でニップロールにより折り畳まれて一定速度で引き取ら
れ、管状のフィルムとして、又は引取方向に切開されて
広幅フィルムとして巻き取られる。放射線処理工程を経
て得られた樹脂組成物は、脱水縮合型の脂肪族ポリエス
テル樹脂(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土
(c)の架橋構造に起因するためか、環状ダイより押出さ
れる樹脂の温度にかかわらず、安定してフィルムの製造
が可能である。本発明によれば、粉末又はペレット状の
珪藻土含有樹脂組成物は、放射線照射処理のない従来の
ポリラクトン又はその組成物に比較して、その架橋構造
に基づくと考えられる溶融粘度の向上により、インフレ
ーション製膜法以外の従来の各種の成形方法にも適用で
きる。
【0036】なお、フィルムヘ成形する場合には照射
後、脱水縮合型の脂肪族ポリエステル樹脂(a)及び/
またはポリラクトン(b)と珪藻土からなる樹脂組成物のM
Iが0.3以下(即ち低ゲル分率)になるような橋かけの
程度が好ましく、ハウジング、植木鉢等のような成形後
の物に照射する場合にはMIが0.1以下(即ち高ゲル分
率)になるような橋かけの程度でもよい。また、物によ
っては成形前に融点を若干上げる程度に、MIが0.1以上
を保つ程度に橋かけを行った後、最終製品の形状に成形
し、その後MIが0.1以下になるように橋かけを行うこと
ができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例により限定されるものでは
ない。なお、実施例中「%」及び「部」とあるのは、特
に断りのない限り重量基準を表す。 [測定及び評価方法]樹脂の物性は下記に示す方法で測
定・評価した。 分子量の測定 分子量はTOYOSODA社製(HCL−802A)のGPCによる分
子量測定により行った。熱的挙動の評価 熱的挙動の評価は、パーキンエルマー社製のDSC−7を用
いて昇温速度10[℃/min]で融点を求めた。また、島
津製作所社製のTGA−50を用いて昇温速度10[℃/mi
n]で熱分解挙動を調べた。 力学的挙動の評価 TOYOBALDWIN社製(TENSILON/UTM-III-500)の引っ
張り試験機を用いた。測定は、フィルム試料を幅5mmに
切り出し、所定の時間照射を行い、C.HSpeed(5mm/m
in)で行い、ヤング率、切断強度及び伸度を求めた。 溶融粘度、せん断応力、ずり弾性率の測定 東洋精機製作所社製のCAPIROGRAPH−2による溶融粘度及
びせん断応力測定を行った。測定する際の設定温度は15
0℃とした。また、試料温度70℃でのずり弾性率測定も
行った。 伸長粘度の測定 試料寸法5mmの直径で300mmの長さのものを、メル
テンレオメーター−670(東洋精機製)の試料ホルダー
にセットし測定した。測定前に試料は70℃のシリコンオ
イルバスで10分間完全に緩和し用いた。一軸伸長粘度は
70℃で測定した。実際のひずみ速度を計るため、伸長の
際の試料径をCCDカメラによってモニターした。設定ひ
ずみ速度は0.001〜0.5s-1であった。 動的弾性率の測定 この測定には、レオメトリック固体測定器Reometrics S
olids Analyzer(RSAII)を用いた。試料寸法は5×30m
m2で厚さ0.5mmのものを用いた。測定温度範囲は−150
℃〜300℃まで、10Hzの周波数で、ひずみ振幅は0.5mm
で測定した。 酵素分解試験 試料の酵素分解性には以下の試薬を用いた。 反応混合物(Reaction mixture): 0.2M phosphatebuffer(pH7.0):4.0ml Lipase AK enzyme(10mg/ml):1.0ml 0.1% surfactant(MgCl2):1.0ml これを1cm3の試料ごとに試験管に入れ、40℃のバス中で
振とうしながら所定の時間反応させた後、蒸留水とメタ
ノールで洗浄し、真空乾燥機により一定重量になるまで
乾操した後の重量を測定し、次の式から重量減少率を求
め、生分解性の尺度とした。 重量減少率(%)=[(W−Wd)/W]×100 W:分解前の重量(g) Wd:分解後の重量(g) 走査電子顕微鏡(SEM)による表面観察 SEMでは、酵素分解前と分解後の一部の試料につい
て、それらのフィルムを金板の上に載せ、金蒸着させた
ものを150倍で表面観察を行った。
【0038】試料の調製 試料は、ダイセル化学工業社製のポリカプロラクトン
(以下PCLと略す)のプラクセル−H7とブレンド試料と
して和光純薬工業株式会社製の珪藻土(以下wako珪藻土
と記すことがある)及びシグマ社製の珪藻土(以下sigm
a珪藻土と記すことがある)を用いた。はじめにPCLを24
時間減圧乾燥させ、珪藻土と混合させるため小平製作所
社製のミキシングロールを用いてロール温度を160℃に
設定し20分間練り混ぜを行った。珪藻土の混合割合は重
量分率で0%、6%、10%、20%と設定した。混合した試
料を池田機械工業社製のホットプレスとコールドプレス
を用い、まずホットプレスで160℃6分間予熱し、6分間1
60気圧で加圧後、コールドプレスで8分間水道水を循環
させることにより冷却を行い成形したフィルム状の試料
を測定に用いた。 照射方法 照射は、試料を真空包装機でパッキングし、コバルト6
0からのγ線を線量率10[kGy/hr]で、所定の時間だ
け照射を行った。照射後、直ちに試料をオーブンで60
℃、30分間アニールを行った。
【0039】[比較例1]PCLとPCL/珪藻土(wako)ブレ
ンド物の配合率を変えて熱的挙動を評価した。また、PC
LとPCL/珪藻(sigma)ブレンド物の珪藻土の配合率を変
えて熱的挙動を評価した。それぞれの1st run(第1回
目の測定)のDSC曲線及び2nd run(第2回目の測定)
のDSC曲線から融解温度のピークを求めた。各試料の1st
runと2ndrunの融解温度のピークと珪藻土の配合率の関
係を表1に示した。表中の0%(PCL)とは、珪藻土
が0%、すなわちPCLのみの場合である。
【0040】
【表1】
【0041】表1において珪藻土の配合率を変えても融
点のピーク温度は殆ど変化しなかった。また2nd runで
は珪藻土がブレンドされることにより若干融点が低下す
るようになる。1st runより2nd runでより結晶の不完全
性が表れた結果であると思われる。
【0042】図1に珪藻土(wako)におけるTGA曲線を
示す。縦軸は重量(Weight)、横軸は温度(Temperatur
e)である。図2に珪藻土(sigma)におけるTGA曲線を示
す。図3にPCLとPCL/珪藻土(wako)ブレンド物の珪藻
土の配合率を変えたTGA曲線を示す。図4にPCLとPCL/珪
藻土(sigma)ブレンド物の珪藻土の配合率を変えたTGA
曲線を示す。
【0043】図1において、室温以上から温度が増加す
るに従って重量が96%付近まで減少している。このうち
400℃付近に大きな減少が見られた。これは珪藻土中の
有機物が熱分解を起こしガス化することによる重量減少
と思われる。一方、図2においては、重量減少は見られ
らなかった。図3において、珪藻土の配合率が増加する
に従って熱分解を起こし始める温度が低下する傾向が見
られた。これはゼオライトや金属塩などの無機物をブレ
ンドさせることにより熱分解を促進させる働きがあるの
と同様に珪藻土(wako)も分解促進性のある珪藻土であ
ることが分かった。また、測定終了温度の480℃では残
存量は珪藻土の配合率に比例していることが分かった。
そしてPCLは480℃では完全分解していることが分かっ
た。図4において、配合率をかえても分解曲線に変化は
見られなかった。この結果から珪藻土(sigma)は分解
促進性を持たず耐熱性の低下には影響を与えていないこ
とが分かった。以上のことから、PCL/珪藻土ブレンド
物のブレンド効果について以下のことが明らかとなっ
た。 1.DSCよりPCLに珪藻土(wako)及び珪藻土(sigma)を
ブレンドしても融点に殆ど変化を与えない。 2.TGAよりPCL/珪藻土(wako)ブレンド物は配合率が増
加するに従って熱分解が促進され分解温度はより低下す
る。 3.TGAよりPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物は分解温度
に影響を与えない。
【0044】[実施例1]PCL/珪藻土ブレンド物におい
て珪藻土の配合率を変え、さらに各試料に対してγ線照
射量を変えることにより各物性への影響を調べた。 分子量挙動の評価 分子量挙動を評価し、図5にGPCによる照射PCLの分
子量(Mn)と照射量(Dose)の関係を示した。
【0045】この結果から照射量が増加するとともに分
子量は低下している。これは照射されることでPCLの主
鎖の切断が起こり分子量は低下したものと思われる。 熱挙動の評価 PCL及びPCLに珪藻土(wako)を6%、10%、20%ブレン
ドさせた試料及びPCLに珪藻土(sigma)を6%、10%、2
0%ブレンドさせた試料にγ線を照射し、熱挙動を評価
した。それぞれの1st runのDSC曲線及び2nd runのDSC曲
線から融解温度のピークを求めた。各試料の1st runと2
nd runの融解温度及び融解エンタルピーと珪藻土の配合
率及び照射線量の関係を珪藻土(wako)及び珪藻土(si
gma)についてそれぞれ表2及び表3に示した。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】表2及び表3から明らかなように、PCLの
融解温度は1st runにおいては殆ど変化しなかった。2nd
runにおいてはピーク温度は下がる傾向を示した。これ
は1strunで試料を融解させるときに結晶領域と非晶領域
との境界面で障害が起こり、2nd runにおいてより結晶
の不完全性が表れた結果であると思われる。PCL/珪藻土
(wako)ブレンド物については1st run及び2nd runにお
いて珪藻土の配合率を変えても融解温度には影響を与え
ず、照射による影響は殆ど見られなかった。PCL/珪藻土
(sigma)ブレンド物についてはPCL/珪藻土(wako)ブ
レンド物と同様に、珪藻土の配合率を変えても融解温度
には影響を与えず、照射による影響は殆ど見られなかっ
た。
【0049】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物について照
射量がそれぞれ、0kGy、30kGy、50kGy、100kGy、160kG
yでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を図6〜図10
に示した。
【0050】図6の未照射試料では珪藻土の配合率が増
加するに従ってTGA曲線は低温側へシフトするが、照射
量が増えるに従ってTGA曲線は高温側にシフトしている
ことが分かる。しかし、PCL/珪藻土(wako)ブレンド物の
TGA曲線は照射量に殆ど影響されなかった。
【0051】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物について
照射量がそれぞれ、0kGy、30kGy、50kGy、100kGy、160
kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を図11〜図
15に示した。
【0052】この結果からどの照射量においてもTGA曲
線はあまり変化が見られず、PCL/珪藻土(sigma)ブレ
ンド物については照射による影響は殆どないことが分か
った。
【0053】力学的挙動の評価 照射PCLの応力(Stress)と伸度(Strain)の関係を図
16に示す。この図より伸度80%あたりからネッキング
を起こし、0kGy照射のPCLは伸度900%あたりまで伸び
て切断した。そして照射量の増加に伴って伸度は低下
し、ヤング率は増加した。
【0054】PCL及びPCL/珪藻土(wako)ブレンド物の
各配合率に関するヤング率(Young's modulus)と照射
量(Dose)の関係を図17に示す。珪藻土の配合率が増
加するに従ってヤング率は増加し、照射量が多い試料は
ヤング率がさらに増加している。これはPCL同士の架橋
の他にPCLと珪藻土の架橋の効果も加わることによって
分子間のすべりが制限されたものであると思われる。
【0055】PCL及びPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物
の各配合率に関するヤング率と照射量の関係を図18に
示す。この図は、図17と同様に珪藻土の配合率が多い
ほどヤング率は増加しているが、全体的には図17ほど
ヤング率は大きくない。
【0056】図19にPCLと各配合率が20%のPCL/珪藻
土(wako、sigma)ブレンド物の切断強度(Tensile Str
ength)と照射量(Dose)の関係を示す。PCLは照射量の
増加に伴って切断強度が減少していることが分かる。こ
れは放射線分解が切断強度の低下を引き起こしているも
のであると思われる。また、PCL/珪藻土(sigma)ブレ
ンド物において切断強度は照射量に影響されなかった。
そして、PCL/珪藻土(wako)ブレンド物において照射量
の多いものは切断強度がやや増加している。これは珪藻
土とPCLの架橋が影響していると考えられる。
【0057】図20にPCLと各配合率が20%のPCL/珪
藻土(wako、sigma)ブレンド物の破断伸度(Elongatio
n at break)と照射量(dose )の関係を示す。PCLは50
kGyあたりから破断伸度が減少しているが、結晶表面の
分子鎖の切断がこのあたりから始まっておりPCL/珪藻土
(sigma)ブレンド物も50kGyあたりから破断伸度が減
少している。特にPCL/珪藻土(wako)ブレンド物では破
断伸度は急激に減少した。
【0058】以上の結果から以下のことが明らかであ
る。 1.PCLは照射を受けることで主鎖の切断が起こり分子量
は低下し、照射量の増加に伴って分子量は低下する。 2.試料の融解温度はどの珪藻土の配合率を変えても変
化せず、また、照射による影響は殆ど見られなかった。 3.PCL/珪藻土(wako)ブレンド物は配合率の増加に伴
い熱分解温度は低くなるが、照射をすることにより耐熱
性は上がる。またPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物は珪
藻土の配合率や照射に関係なく熱分解温度は変化しな
い。 4.PCLは照射を受けることでヤング率は増加し、切断強
度及び破断伸度は低下した。また珪藻土の配合率が増加
することでさらにヤング率は増加し、切断強度及び破断
伸度は低下した。特にPCL/珪藻土(wako)は照射によっ
て著しくヤング率の増加や切断強度及び破断伸度の低下
を示すようになった。
【0059】[実施例2]PCL及びPCL/珪藻土(wako)
とPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物においてγ線を照射
することによる加工性の改善効果を検討することを目的
として、珪藻土の配合率を変えてPCLとの相互作用を調
べ、γ線照射による溶融粘度挙動と珪藻土の配合率によ
る溶融粘度挙動を検討した。また、動的弾性率及び、溶
融粘度などを測定し成形性の改善効果を評価した。
【0060】溶融粘度挙動の評価1 図21はPCLの各せん断速度(Shear rate)に対する溶融
粘度(Viscosity)とせん断応力(Shearing stress)の関係
を各照射量に関してプロットしたものである。
【0061】この結果からPCLは低いせん断速度領域に
おいて照射量が増加するに従い溶融粘度は増加する傾向
が見られた。これはPCLが照射されることによって架橋
が起こることにより溶融粘度が増加したものと思われ
る。PCLは常温で照射される際、50kGyまでの照射量では
架橋反応よりも分解反応の方が優先されることが報告さ
れていることから、30kGyと60kGyでの溶融粘度の増加は
架橋によるものではなく、高分子鎖の分岐によって絡み
合いが生じた結果、溶融粘度に増加をもたらしたものと
考えられる。
【0062】図22は照射量0kGyでの各せん断速度に対
する溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(wako)
ブレンド物の珪藻土配合率に関してプロットしたもので
ある。この結果、未照射においては溶融粘度及びせん断
応力は差が見られなかった。
【0063】図23は照射量30kGyでの各せん断速度に
対する溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(wak
o)の珪藻土の配合率に関してプロットしたものであ
る。この結果、溶融粘度及びせん断応力はPCLよりもや
や増加する傾向が見られ、配合率の増加に従って溶融粘
度及びせん断応力は増加している。
【0064】図24は照射量50kGyでの各せん断速度に対
する溶融粘度とせん断応力の関係をwako珪藻土の配合率
に関してプロットしたものである。この結果、配合率10
%と20%の試料において、低いせん断速度領域において
溶融粘度及びせん断応力に増加傾向が見られた。
【0065】図25は照射量100kGyでの各せん断速度に
対する溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(wak
o)の珪藻土の配合率に関してプロットしたものであ
る。この結果、珪藻土を混ぜたすべての試料において低
いせん断速度領域において溶融粘度及びせん断応力に増
加傾向が見られ、また珪藻土の配合率が増えるに従って
さらに粘度及びせん断応力は増加する傾向が見られた。
【0066】図26は照射量160kGyでの各せん断速度に
対する溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(wak
o)の珪藻土の配合率に関してプロットしたものであ
る。この結果も同様にせん断速度の低下に従って、溶融
粘度及びせん断応力は図25よりもさらに増加し、配合
率の増加とともに溶融粘度及びせん断応力は増加してい
ることが分かった。
【0067】図22から図26の結果より未照射のブレ
ンド試料とPCLにおいて殆ど差は見られないが、30kGy以
降、照射量が増加するに従って溶融粘度及びせん断応力
はPCL単独に比べ増加しており、珪藻土の配合率の増加
に伴ってさらに溶融粘度及びせん断応力は増加する傾向
が分かった。これは、PCLと珪藻土の有機物部分が照射
によって架橋が起こった結果、溶融粘度及びせん断応力
は増加し、また、配合率の増加によってPCLと珪藻土が
架橋する部分が増えたため、さらに溶融粘度及びせん断
応力は増加したものであると考えられる。
【0068】図27から図31は各照射量が、0kGy、30
kGy、50kGy、100kGy、160kGyにおける各せん断速度に対
する溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(sigm
a)の珪藻土の配合率に関してプロットしたものであ
る。照射すると無照射に比べ特に低いせん断速度におい
て溶融粘度及びせん断応力は増加している。照射量が0k
Gy、30kGy、50kGy、100kGyにおいて珪藻土を配合しても
溶融粘度及びせん断速度の増加に殆ど影響はなく、照射
量160kGyにおいて、配合率20%の試料に関してわずかな
がら溶融粘度及びせん断速度に増加が見られる程度であ
った。これは図15のPCL/珪藻土(sigma)のTGA測定結
果で有機物が含まれていない可能性からPCLと珪藻土(s
igma)の架橋反応が起こらず、その結果珪藻土(sigm
a)のブレンドは溶融粘度及びせん断応力の増加に影響
を与えていないと思われる。
【0069】溶融粘度挙動の評価2 図32はPCLとPCL/珪藻土(wako及びsigma)ブレンド物
の配合率20%の試料についての他の測定による溶融粘度
測定(縦軸)の結果である。横軸は角速度である。この
結果から低い角速度領域ではPCLは照射量の増加に伴っ
て溶融粘度は増加しており、PCL/珪藻土(sigma)ブレ
ンド物はPCL単独と同様な挙動を示している。PCL/珪藻
土(wako)ブレンド物は低い照射量から溶融粘度は著し
く増加しており、図22〜図26の結果と同様な傾向を
示した。また、未照射の試料はどの珪藻土をブレンドし
ても溶融粘度の増加には影響していない。
【0070】ずり弾性率の評価 図33にPCL単独、PCL/珪藻土(wako)20%ブレンド
物、PCL/珪藻土(sigma)20%ブレンド物を試料として
測定温度150℃、各照射量に関して単位時間あたりの角
速度(横軸)に対するずり弾性率(縦軸)の測定結果を
示す。この結果よりPCL単独において、低角速度領域に
おいて照射量が増加するに従って、ずり弾性率は増加す
る。また、角速度が増加するに従い、ずり弾性率は増加
する。PCL/珪藻土(sigma)20%ブレンド物のずり弾性率
はPCL単独と同様な傾向を示した。しかし、PCL/珪藻土
(wako)ブレンド物では照射をすることによって、ずり
弾性率はPCL単独以上に増加した。これはPCL同士の架橋
形成の他にPCLと珪藻土の有機物部分の架橋により、ず
り弾性率がさらに増加したものと思われる。
【0071】伸長粘度の評価 PCLに20%珪藻土をブレンドした場合の照射線量が0、3
0、50kGyの試料の伸長粘度(縦軸)の測定結果をそれぞ
れ図34〜図36に示す。横軸はひずみ速度の逆数の対
数値である。図34のPCL単独で未照射のものはひずみ
速度0.09s-1のものが0.01〜0.15MPaまでのηEを示
し、0.02〜0.006s-lのものでも0.2〜0.3MPaまでし
か増加しない。また、20%珪藻土ブレンドの試料でも粘
度が最大でも0.5MPa程度しか増加せず、PCLと殆ど同じ
挙動を示した。これに対し、PCLを30及び50kGy照射した
ものは、最高1MPaまでηEが増加し、分子間架橋が導入
された効果が見られる。さらに、20%珪藻土(wako)ブレ
ンドPCLは10〜50MPaものηEの増加を示し、試料は切断
直前に極端な粘度増加とすべりを示すようになる。一
方、20%珪藻土(sigma)は未ブレンドPCLと非常に類似
した曲線を示し、PCLと珪藻土間に照射による架橋形成
が殆どないことを示している。
【0072】動的弾性率の評価(温度分散) 図37はPCLの各照射量についての動的弾性率の測定結
果である。架橋が始まる50kGyから破断温度が高温側に
シフトしはじめ、160kGyではさらに高温側にシフトし20
0℃付近で破断している。図38はPCL/珪藻土(sigma)
ブレンド物の珪藻土の配合率20%試料についての動的弾
性率の測定結果で、この結果より50kGyでは破断温度が
やや高温側にシフトしているがPCLとほぼ同様の傾向を
示している。図39はPCL/珪藻土(wako)ブレンド物の珪
藻土の配合率20%試料についての動的弾性率の測定結果
で、30kGyから破断温度が急激に高温側にシフトしてい
ることが分かる。これは珪藻土(wako)とPCLの架橋に
よる影響であると考えられる。
【0073】以上のことからγ線照射したPCL及び、PCL
/珪藻土(wako)、PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物に対
し、その溶融特性から以下のことが分かった。 1.PCL/珪藻土(wako、sigma)ブレンド物において未照
射時は珪藻土(wako、sigma)をブレンドしても、PCLと
比べ溶融粘度及びせん断応力は増加しない。 2.PCLは照射量が増加するに従って溶融粘度及びせん断
応力は増加する。 3.PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物において、低照射量で
はPCL以上に溶融粘度及びせん断応力は増加し、さらに
配合率が増えるに従って増加するが、高照射量では溶融
粘度及びせん断応力はPCLと同様の挙動を示し、珪藻土
ブレンドの照射効果は殆どない。 4.PCL/珪藻土(wako)ブレンド物において照射量が増
加するに従い同じ照射量のPCL以上に溶融粘度及びせん
断応力は増加し、さらに配合率が増えるに従って増加す
る。 5.ずり弾性率は照射量の増加に伴い増加する。また、P
CL/珪藻土(wako)ブレンド物は照射すると、PCL、PCL/
珪藻土(sigma)以上にずり弾性率が著しく増加する。 6.伸長粘度において照射試料は切断直前に粘度増加と
すべりを示し、特に、PCL/珪藻土(wako)ブレンド物は
照射されると切断直前に極端な粘度増加とすべりを示
す。 7.動的粘弾性においてPCLは50kGyから破断温度が高温
側にシフトしはじめ、160kGyで200℃付近までシフトす
る。また、PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物はPCL単独と
同様な傾向を示した。PCL/珪藻土(wako)ブレンド物は
30kGyから破断温度が200℃付近に達する。
【0074】[実施例3]微生物分解性を有するPCL及
び、PCL/珪藻土(wako)とPCL/珪藻土(sigma)ブレンド
物について、生分解性の制御性を明らかにするために、
γ線照射による放射線挙動を調べた。また、酵素分解に
よる試料の経時変化をSEMにより分解過程を調べた。 酵素分解試験の評価 図40は40℃におけるPCLフィルム(フィルムは種々
の照射量で照射されたPCLから得たものである。)の
各照射量に関する重量減少(Weight loss)の測定結果
である。横軸は酵素分解反応時間(Reaction Time)で
ある。この結果から照射量30kGy、50kGyの試料では分解
が末照射のものに比べて比較的早く分解することが分か
り、100kGy、160kGyの試料では未照射に比べ分解は遅く
160kGyでは重量滅少は10%程度にとどまった。酵素分解
は試料中の非晶部分から分解されることから、30kGy、5
0kGyの試料では分解反応が優先される結果、非晶部分が
増えたため分解しやすくなったと思われる。また、100k
Gy、160kGyの試料などでは架橋反応によって分解性が著
しく低下したものと思われる。図41は未照射でのPCL/
珪藻土(wako)ブレンド物の配合率に関する40℃にお
ける酵素分解による重量減少の測定結果である。この結
果から珪藻土の配合率が増加するに従って分解性が促進
されることが分かる。これは分解中に珪藻土が抜け落ち
たため表面積が増えた結果、分解が促進されたためであ
ると思われる。また図42の末照射でのPCL/珪藻土(si
gma)ブレンド物の配合率に関する40℃における酵素
分解による重量減少の測定結果も同様に珪藻土の配合率
が増加するに従って分解が促進されている。図43は照
射量160kGyでのPCLおよびPCL/珪藻土(wako)ブレンド
物のフィルムの40℃における酵素分解による重量減少
の配合率に対する測定結果である。フィルムは160kGyで
照射されたPCLおよびPCL/珪藻土から調製した。この結
果から図41と同様に珪藻土の配合率が増加するに従っ
て分解が促進されているが、全体的に重量滅少は低下し
た。これも非晶部分での架橋反応によって分解性が著し
く低下していることが分かった。また図44の照射量16
0kGyでのPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物のフィルムの配
合率に関する40℃における酵素分解による重量減少の
測定結果も同様に全体的に分解性は著しく低下してい
る。フィルムは160kGyで照射されたPCLおよびPCL/珪藻
土から調製した。図45はPCL/珪藻土(wako)ブレンド
物のフィルムの珪藻土の配合率20%での各照射量に関す
る40℃における酵素分解による重量減少の測定結果で
ある。フィルムは種々の照射量で照射されたPCL/珪藻土
ブレンドサンプルから調製した。この結果から0kGy、30
kGy、50kGyまでの照射量に関してはほぼ同じように分解
した。また100kGy、160kGyの試料に関しては架橋の影響
で分解が著しく低下した。図46は、同様にPCL/珪藻土
(sigma)ブレンド物の珪藻土の配合率20%での各照射
量に関する重量減少の測定結果である。この結果も同様
に100kGy、160kGyの照射試料に関しては未照射よりも分
解が低下していることが分かる。
【0075】[実施例4] SEMによる表面観察の評価 図47はPCLの未照射と160kGy照射された試料(フィル
ム)の分解前と分解後12時間後、24時間後のSEM(走査
型電子顕微鏡)による画像である。この画像から未照射
の試料よりも160kGyの試料の方が侵食されている孔の大
きさが小さいことが分かる。これはPCLの架橋により分
解しづらくなったためと思われる。図48は珪藻土配合
率5%でのPCL/珪藻土(wako)ブレンド物フィルムのSE
M画像である。図47に比べ侵食されている孔の大きさ
が大きくなっていることが分かる。これは珪藻土周辺の
PCLが分解され珪藻土が抜け落ちたため表面積が拡大さ
れた結果、分解が早くなり孔の大きさが広がっていると
考えられる。また、160kGyの試料も架橋の影響により孔
の大きさが小さくなっている。図49は同様にPCL/珪藻
土(wako)ブレンド物フィルムの配合率20%でのSEM画
像である。図47に比べさらに侵食されていることが分
かる。図50は同じくPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物
フィルムの配合率5%でのSEMによる画像である。図5
1は同じくPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物フィルムの
配合率20%でのSEMによる画像である。図50と図5
1もPCL/珪藻土(wako)ブレンド物と同様な分解過程を
経ていることが分かる。やはり照射の影響により未照射
試料よりも侵食の孔の大きさが小さくなっており、配合
率の多い方が侵食の孔が大きいことが分かる。
【0076】γ線照射したPCL及び、PCL/珪藻土(wak
o)、PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物に対する分解挙動及
び、SEMによる分解過程の経時変化を観察することによ
り以下のことが分かった。 l.PCLは照射量30kGy、50kGyでは分解が促進されるが10
0kGy、160kGyの照射量では分解は著しく低下する。 2.PCL/珪藻土(wako,sigma)のブレンド物においても同
様に100kGy、160kGyの照射量では分解は著しく低下す
る。 3.PCL/珪藻土(wako,sigma)のブレンド物において珪藻
土の配合率が増加するに従い分解は早くなる。 4.SEMから、どの試料も分解過程は類似しているが、照
射された試料は架橋の影響により分解し難くなる。
【0077】
【発明の効果】以上のように、本発明で提供される脂肪
族ポリエステル系樹脂組成物は脱水縮合型の脂肪族ポリ
エステル樹脂(a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻
土(c)からなる組成物を放射線照射処理することによ
り、高温成形時での溶融張力が高く、歪み硬化性が向上
し、ブロー成形を始めとする様々な成形に支障なく適用
でき、かつ生分解性にも優れるという特徴を有するの
で、種々の樹脂成形品として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】珪藻土(wako)におけるTGA曲線を示す。
【図2】珪藻土(sigma)におけるTGA曲線を示す。
【図3】PCLとPCL/珪藻土(wako)ブレンド物の珪藻土
の配合率を変えたTGA曲線を示す。
【図4】PCLとPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物の珪藻土
の配合率を変えたTGA曲線を示す。
【図5】GPCによる照射PCLの分子量と照射量の関係
を示す。
【図6】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物について、珪藻
土の各配合率に関するTGA曲線を示す。
【図7】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物について、照射
量が30kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を示
す。
【図8】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物について、照射
量が50kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を示
す。
【図9】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物について、照射
量が100kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を示
す。
【図10】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物について、照
射量が160kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を
示す。
【図11】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物について、
珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を示す。
【図12】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物について、
照射量が30kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を
示す。
【図13】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物について、
照射量が50kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線を
示す。
【図14】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物について、
照射量が100kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線
を示す。
【図15】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物について、
照射量が160kGyでの珪藻土の各配合率に関するTGA曲線
を示す。
【図16】照射PCLの応力と伸度の関係を示す。
【図17】PCL及びPCL/珪藻土(wako)ブレンド物の各
配合率に関するヤング率と照射量の関係を示す。
【図18】PCL及びPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物の
各配合率に関するヤング率と照射量の関係を示す。
【図19】PCLと各配合率が20%のPCL/珪藻土(wako、s
igma)ブレンド物の切断強度と照射量の関係を示す。
【図20】PCLと各配合率が20%のPCL/珪藻土(wak
o、sigma)ブレンド物の破断伸度と照射量の関係を示
す。
【図21】PCLの各せん断速度に対する溶融粘度とせん
断応力の関係を各照射量に関してプロットしたものであ
る。
【図22】照射量0kGyでの各せん断速度に対する溶融粘
度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(wako)ブレンド物
の珪藻土配合率に関してプロットしたものである。
【図23】照射量30kGyでの各せん断速度に対する溶融
粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(wako)の珪藻土
の配合率に関してプロットしたものである。
【図24】照射量50kGyでの各せん断速度に対する溶融
粘度とせん断応力の関係をwako珪藻土の配合率に関して
プロットしたものである。
【図25】照射量100kGyでの各せん断速度に対する溶融
粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(wako)の珪藻土
の配合率に関してプロットしたものである。
【図26】照射量160kGyでの各せん断速度に対する溶融
粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(wako)の珪藻土
の配合率に関してプロットしたものである。
【図27】照射量が0kGyにおける各せん断速度に対する
溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(sigma)の
珪藻土の配合率に関してプロットしたものである。
【図28】照射量が30kGyにおける各せん断速度に対す
る溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(sigma)
の珪藻土の配合率に関してプロットしたものである。
【図29】照射量が50kGyにおける各せん断速度に対す
る溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(sigma)
の珪藻土の配合率に関してプロットしたものである。
【図30】照射量が100kGyにおける各せん断速度に対す
る溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(sigma)
の珪藻土の配合率に関してプロットしたものである。
【図31】照射量が160kGyにおける各せん断速度に対す
る溶融粘度とせん断応力の関係をPCL/珪藻土(sigma)
の珪藻土の配合率に関してプロットしたものである。
【図32】PCLとPCL/珪藻土(wako及びsigma)ブレンド
物の配合率20%の試料についての角速度に対する溶融粘
度の測定結果を示す。
【図33】PCL単独、PCL/珪藻土(wako)20%ブレンド
物、PCL/珪藻土(sigma)20%ブレンド物を試料として
測定温度150℃、各照射量に関して単位時間あたりの角
速度に対するずり弾性率の測定結果を示す。
【図34】PCLに20%珪藻土をブレンドした場合の照射
線量が0kGyの試料の角速度に対する伸長粘度の測定結果
を示す。
【図35】PCLに20%珪藻土をブレンドした場合の照射
線量が30kGyの試料の角速度に対する伸長粘度の測定結
果を示す。
【図36】PCLに20%珪藻土をブレンドした場合の照射
線量50kGyの試料の角速度に対する伸長粘度の測定結果
を示す。
【図37】PCLの各照射量についての動的弾性率の測定
結果を示す。
【図38】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物の珪藻土の
配合率20%試料についての動的弾性率の測定結果を示
す。
【図39】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物の珪藻土の配合
率20%試料についての動的弾性率の測定結果を示す。
【図40】PCLの各照射量に関する重量減少の測定結果
を示す。
【図41】未照射でのPCL/珪藻土(wako)ブレンド物の
配合率に関する重量減少の測定結果を示す。
【図42】末照射でのPCL/珪藻土(sigma)ブレンド物
の配合率に関する重量減少の測定結果を示す。
【図43】照射量160kGyでのPCL/珪藻土(wako)ブレン
ド物の配合率に関する重量減少の測定結果を示す。
【図44】照射量160kGyでのPCL/珪藻土(sigma)ブレン
ド物の配合率に関する重量減少の測定結果を示す。
【図45】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物の珪藻土の配
合率20%での各照射量に関する重量減少の測定結果を示
す。
【図46】CL/珪藻土(sigma)ブレンド物の珪藻土の配
合率20%での各照射量に関する重量減少の測定結果を示
す。
【図47】PCLの未照射と160kGy照射された試料の分解
前と分解後12時間後、24時間後のSEMによる画像であ
る。
【図48】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物の配合率5%
でのSEM画像である。
【図49】PCL/珪藻土(wako)ブレンド物の配合率20%
でのSEM画像である。
【図50】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物の配合率5
%でのSEMによる画像である。
【図51】PCL/珪藻土(sigma)ブレンド物の配合率20
%でのSEMによる画像である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA47 AC22 AE30 HA04 HB14 HB15 4F071 AA43 AA44 AB30 AG14 AH19 BC07 4J002 CF031 CF191 DJ036 FD020 FD060 FD170

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱水縮合型の脂肪族ポリエステル樹脂
    (a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土(c)からな
    る樹脂組成物であって放射線照射処理がなされたもので
    あることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 ポリラクトン(b)が、ε−カプロラク
    トン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチル
    カプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクト
    ン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−
    バレロラクトン、エナントラクトンの単独重合体又はこ
    れらの2種以上のモノマーの共重合体、これらの単独又
    は共重合体の混合物である請求項1に記載の脂肪族ポリ
    エステル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリラクトン(b)が、ポリε−カプロ
    ラクトンである請求項1に記載の脂肪族ポリエステル系
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 放射線処理が、γ線又は電子加速器によ
    る電子線照射処理であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪族
    ポリエステル系樹脂を成形してなる成形物。
  6. 【請求項6】 脱水縮合型の脂肪族ポリエステル系樹脂
    (a)及び/またはポリラクトン(b)と珪藻土(c)からな
    る混合物を放射線照射処理することを特徴とする脂肪族
    ポリエステル系樹脂組成物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006098159A1 (ja) * 2005-03-14 2006-09-21 Sumitomo Electric Fine Polymer, Inc. ポリ乳酸製架橋材の製造方法およびポリ乳酸製架橋材
CN100340605C (zh) * 2003-07-30 2007-10-03 复旦大学 一种薄壁可降解管状高分子材料及其熔融注射成型方法

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