JP2018162428A - 樹脂組成物及びそれを用いて成形された樹脂成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリブチレンスクシネート及び/又はポリブチレンスクシネートアジペートに代表される脂肪族ポリエステルを含む樹脂組成物を溶融押出によりフィルム等に成形した場合において、離ロール性に優れ、且つロール汚れも発生せず、得られるフィルムの物性も維持できる樹脂組成物を提供する。【解決手段】脂肪族ポリエステル及び結晶核剤を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の温度100℃での半結晶化時間が6.5〜9.0分である樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びそれを用いて成形された樹脂成型品に関する。
従来、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等、幅広い用途において、紙、プラスチックフィルム、金属箔等が用いられている。特にプラスチックフィルムは強度、耐水性、成形性、透明性、コスト等において優れており、袋や容器として多くの用途で使用されている。代表的なプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等によって構成されたものがある。しかしながら、これら樹脂は、自然環境下において分解し難く、また、焼却処理を行う場合に有害なガスを発生したり、焼却炉を傷めたりする等の問題がある。
上記のような環境問題に対する意識の高まりから、生分解性樹脂、具体的にはポリブチレンスクシネート(以下、PBSと略記することがある)又はポリブチレンスクシネートア
ジペート(以下、PBSAと略記することがある)などの脂肪族ポリエステル樹脂を用いた樹脂成形品であれば、当該樹脂成型品を廃棄しても土中分解され、環境汚染を低減することができることから、これらの樹脂を様々な用途に展開する試みがなされている。
一般的に、ポリブチレンスクシネートやポリブチレンスクシネートアジペートなどの脂肪族ポリエステル樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂に比べて、機械強度が低い。したがって、PBSやPBSAをポリオレフィン系樹脂と同様に成形
して樹脂成形品を製造する際には、得られる成形品の機械強度を高めるため、結晶核剤を樹脂に配合し、樹脂を結晶化させて成形することが好ましい。
例えば、特許文献1には、ポリブチレンスクシネート及び/又はポリブチレンサクシネートアジペートに結晶核剤として窒化ホウ素とを配合することで、結晶性を高めて機械強度を向上することが記載されている。
また、特許文献2には、植物由来原料からなる基材層と、融点が80〜180℃である脂肪族ポリエステルを含有するポリエステル層を含む積層体について記載されており、そして、このポリエステル層に係る樹脂の結晶化温度を制御して、成形時の加工性の改善をするため、任意にポリエチレンワックスなどの核剤を添加してもよい、ことが記載されている。
特開2006−117810号公報 特開2012−030547号公報
特許文献1や特許文献2には、PBSやPBSAに添加する結晶核剤は結晶化温度を高くでき
るものを添加することが好ましいと記載されているが、樹脂組成物を成形して得られる成形品の中でも、成形品が溶融押出ラミネート装置を用いて溶融押出によって得られた溶融膜を冷却ロールによって冷却して得られるフィルムなどである場合は、結晶化温度を高めるために添加する結晶核剤であっても、冷却ロールへのフィルムの張り付き、つまり離ロール性が悪くったり、ロール汚れや得られるフィルムの透明度や濁りが生じたりすること
があった。
本発明は、ポリブチレンスクシネート及び/又はポリブチレンスクシネートアジペートに代表される脂肪族ポリエステルを含む樹脂組成物を溶融押出によりフィルム等に成形した場合において、離ロール性に優れ、且つロール汚れも発生せず、得られるフィルムの物性も維持できる樹脂組成物、および、その樹脂組成物を成形してなるフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、脂肪族ポリエステルの結晶化温度を制御するのではなく、半結晶化時間をある特定の時間に制御することで、その樹脂組成物を溶融押出によってフィルムに成形した際の離ロール性を改善できる点に着目し、その半結晶化時間は特定の結晶核剤を選択して配合することで、ロール汚れや加工中の臭気や発煙も少なく、透明性の高いフィルムを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[9]を要旨とする。
[1] 脂肪族ポリエステル及び結晶核剤を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の温度100℃での半結晶化時間が6.5〜9.0分である樹脂組成物。
[2] 前記樹脂組成物中の前記結晶核剤の配合量が、前記脂肪族ポリエステルを100質量部として、0.001質量部以上2.5質量部以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記結晶核剤が有機系核剤である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記脂肪族ポリエステル樹脂がポリブチレンサクシネート及び/又ポリブチレンサクシネートアジペートである、[1]〜[3]のいずれか1に記載の樹脂組成物。
[5] 前記有機系核剤がポリエチレンワックスである、[3]又は[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記ポリエチレンワックスの重量平均分子量が1000〜10000である、[5]に記載の樹脂組成物。
[7] 前記結晶核剤の融点が前記脂肪族ポリエステルの融点よりも5℃以上高いことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1に記載の樹脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれか1に記載の樹脂組成物をTダイを装備した溶融押出装置に供給し、溶融押出成形し、樹脂溶融膜を得た後、該樹脂溶融膜を冷却ロールを用いて冷却し、樹脂成型品を得る、樹脂成型品の製造方法。
[9] 該樹脂成型品がフィルムである、[8]に記載の樹脂成型品の製造方法。
本発明によれば、溶融押出によってフィルムを成形した場合、離ロール性に優れ、ロール汚れや発煙なども低減できることから、成形する時間を短縮でき装置の負荷も低減し、フィルムの生産速度が向上することが期待できる。また、得られるフィルムについても核剤によって機械強度も向上し、フィルムの透明性も向上する。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本明細書において、“質量%”、“質量ppm”及び“質量部”と、“重量%”、“重量ppm”及び“重量部”とは、それぞれ同義である。
<脂肪族ポリエステル>
本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステルとしては、本発明の効果を著しく損
なわない限り、公知のいずれの脂肪族ポリエステルも用いることができる。また、脂肪族ポリエステルは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ、および比率で併用してもよい。また、脂肪族ポリエステルは、生分解性を有するものが好ましく、更には一部または全てがバイオマス資源から得られる原料を用いて製造されたものが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族構造のモル比率が全体構造に対して最大比率となるものであり、例えば、脂肪族構造以外に、部分的に芳香族構造を有する脂肪族芳香族ポリエステルも使用することも可能である。より具体的には、脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル、およびそれらの混合物が挙げられる。中でも、接着性、成形加工性が良好であるため、脂肪族ポリエステル比率が高いことが好ましく、特には脂肪族ポリエステルのみからなることが好ましいが、この場合、脂肪族ポリエステルとして複数種の脂肪族ポリエステルの混合物を使用することもできる。
本発明において好ましい脂肪族ポリエステルとしては、より具体的には、主たる構成成分が脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸であるものや、ポリ乳酸、ポリカプロラクタムのように脂肪族オキシカルボン酸が主たる構成成分であるものが例示される。好ましくは、主たる構成成分が脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸のものである。
すなわち、本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステルは、ジオール単位(ジオールまたはその誘導体から形成される構成単位)と、ジカルボン酸単位(ジカルボン酸またはその誘導体から形成される構成単位)とを構成単位とすることが好ましい。ここで、ジオール単位およびジカルボン酸単位については、それぞれ本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。また、ジオール単位およびジカルボン酸単位は、いずれも、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
中でも、ジオール単位としては、下記式(I)で表されるジオールまたはその誘導体(以下適宜、ジオールおよびその誘導体を「ジオール成分」という。)から形成されるものが好ましく、ジカルボン酸単位としては下記式(II)で表されるジカルボン酸またはその誘導体(以下適宜、ジカルボン酸およびその誘導体を「ジカルボン酸成分」という。)から形成されるものが好ましい。
Figure 2018162428
(式(I)において、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表す。また、式(II)において、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表し、nは0または1を表す。)
式(I)において、Rは、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基であり、鎖状脂肪族炭化水素基であってもよく、脂環式炭化水素基であってもよい。また、分岐鎖を有していても、有していなくてもよい。
の炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、Rが鎖状脂肪族炭化水素基である場合、Rの炭素数は通常2以上、また、通常10以下、好ましくは6以下である。一方、R1が脂環式炭化水素基である場合、Rの炭素数は通常3以上、また、通常10以下、好ましくは8以下である。
式(I)のジオールの誘導体の例としては、酢酸とのエステル化合物などが挙げられる
上記式(I)で表されるジオールおよびその誘導体の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が好適に挙げられる。中でも、得られる脂肪族ポリエステルの物性の面から、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
式(II)において、Rは2価の脂肪族炭化水素基であり、鎖状脂肪族炭化水素基であってもよく、脂環式炭化水素基であってもよい。また、分岐鎖を有していても、有していなくてもよい。
の炭素数も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常2以上、また、通常48以下である。但し、Rが鎖状脂肪族炭化水素基である場合、Rとしては、−(CH)m−で表される2価の鎖状脂肪族炭化水素基であることが好ましい。なお、mは通常1以上、また、通常10以下、好ましくは6以下の整数である。
また、Rが脂環式炭化水素基である場合、Rの炭素数は、通常3以上、好ましくは4以上、また、通常10以下、好ましくは8以下である。
上記式(II)のジカルボン酸の誘導体の例としては、上記式(II)のジカルボン酸の低級アルコールエステルや酸無水物などが挙げられる。中でも、炭素数1〜4の低級アルコールエステルもしくは酸無水物が好ましい。
上記式(II)で表されるジカルボン酸およびその誘導体の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、へプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、マレイン酸、フマル酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の通常、炭素数が2以上48以下の鎖状あるいは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、これらの誘導体、例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル等の低級アルコールとのエステル、無水コハク酸、無水アジピン酸等の酸無水物も挙げられる。中でも、得られる脂肪族ポリエステルの物性の面から、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸またはこれらの酸無水物、およびこれらの低級アルコールとのエステルが好ましく、特にはコハク酸、無水コハク酸、アジピン酸及び/又はこれらの混合物が好ましい。
上記式(II)で表されるジカルボン酸およびその誘導体は、原料が石油由来でも植物由来でもよい。CO2の排出量の削減に寄与できることから特には植物由来のものであることが好ましい。例えば、ジカルボン酸およびその誘導体の原料としては、植物原料から変換されたコハク酸またはこの酸無水物、および低級アルコールとのエステルが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、生分解性樹脂として好適な脂肪族ポリエステルには、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記のジオール単位およびジカルボン酸単位以外の他の構成単位を含有させるようにしてもよい。
ジオール単位およびジカルボン酸単位以外の他の構成単位としては、例えば、脂肪族オキシカルボン酸単位が挙げられる。この脂肪族オキシカルボン酸単位としては、分子中に1個の水酸基とカルボン酸基を有する脂肪族オキシカルボン酸およびその誘導体(以下適宜、「脂肪族オキシカルボン酸成分」という。)により形成される構成単位であれば特に限定はなく、環状のものも、鎖状のものも使用できる。
脂肪族オキシカルボン酸成分としては、例えば、α,ω−ヒドロキシカルボン酸、α−
ヒドロキシカルボン酸等が挙げられるが、これらのオキシカルボン酸のエステルやラクトン類、ラクチド、あるいはオキシカルボン酸重合体等の誘導体であってもよい。
ラクトン類の具体例としては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトン等のラクトン;4−メチルカプロラクトン、2,2,4−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン等のメチル化ラクトンなどが挙げられる。
オキシカルボン酸としては、例えば、下記式(III)で表される脂肪族オキシカルボン酸が挙げられる。
Figure 2018162428
(式(III)において、Rは、上記の式(II)におけるRと同様の置換基を表す。)
上記式(III)で表される脂肪族オキシカルボン酸の中では、下記式(IV)で表される脂肪族オキシカルボン酸が好ましい。
Figure 2018162428
(式(IV)において、Rは、水素原子または炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐炭化水素基を表す。)
中でも特に、下記式(V)で表される脂肪族オキシカルボン酸が、重合反応性向上効果が認められる点で好ましい。
Figure 2018162428
(式(V)において、pは、0または1〜10の整数を表し、好ましくは0または1〜5の整数を表す。)
オキシカルボン酸、特に、脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、4−ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボン酸等も挙げられる。また、更には、これらの低級アルキルエステル、分子内エステルなどの誘導体も挙げられる。
これらの中で好ましいのは、乳酸またはグリコール酸であり、特に好ましいのは、使用時の重合速度の増大が特に顕著で、かつ入手の容易な乳酸である。なお、乳酸の形態としては、30〜95質量%の水溶液が、容易に入手することができるので好ましく使用される。
これら脂肪族オキシカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
脂肪族ポリエステルに脂肪族オキシカルボン酸単位を含有させる場合、その使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、脂肪族ジカルボン酸単位100質量部に対して、通常0.1質量部以上、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、また、通常100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。上記範囲の下限を下回ると柔軟性の付与や重合反応性の向上に対する添加効果が現れないおそれがあり、上限を上回ると本発明の樹脂組成物を用いて成形する際の臭気が問題になったり、結晶化温度の低温化により離ロール性が悪くなったりするおそれがある。
また、脂肪族ポリエステルには、3官能基以上を有する多官能成分単位として、3官能以上の脂肪族多価アルコール単位、脂肪族多価カルボン酸単位および脂肪族多価オキシカルボン酸単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の単位を存在させることも好ましい。これにより、脂肪族ポリエステルの溶融張力が向上し、積層体への加工性を向上させることができる。なお、多官能成分単位は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
多官能成分単位を形成する3官能の脂肪族オキシカルボン酸単位は、(i)カルボキシル基2個とヒドロキシル基1個とを同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基1個とヒドロキシル基2個とを同一分子中に有するタイプとに分かれるが、いずれのタイプも使用可能である。(i)のタイプの具体例としてはリンゴ酸等から形成される構成単位が挙げられ、(ii)のタイプの具体例としてグリセリン酸等から形成される構成単位が挙げられる。
同様に、多官能成分単位を形成する4官能の脂肪族オキシカルボン酸単位は、(i)カルボキシル基3個とヒドロキシル基1個とを同一分子中に共有するタイプと、(ii)カルボキシル基2個とヒドロキシル基2個とを同一分子中に共有するタイプと、(iii)ヒドロキシル基3個とカルボキシル基1個とを同一分子中に共有するタイプとに分かれるが、いずれのタイプも使用可能である。具体例としてはクエン酸や酒石酸から形成される単位が挙げられる。
多官能成分単位を使用する場合、その使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、脂肪族ジカルボン酸単位100モルに対し、通常0.001モル以上、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上、また、通常5モル以下、好ましくは2.5モル以下、より好ましくは1モル以下用いるようにする。この範囲の下限を下回ると、本発明の樹脂組成物から押出ラミネートによってフィルムなどの成形品を製造する場合、製造時における溶融膜のネックイン(押出機のT−ダイから出た溶融膜の幅が基材と接するまでの空間で狭くなる現象を言い、T−ダイ出口の溶融膜の幅と基材上にラミネートされたラミネート膜の幅との差で示す。)が大きくなったり、端部の膜厚と中心部の厚みの差が大きくなり、安定した製品が得られなかったりするという問題がある。また、上限を上回ると反応中にゲル化する可能性が増大したり、押出機のモーターへの負荷が著しく増加し、成形性が劣ったりする場合がある。
本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステルの製造方法は、ポリエステルの製造に関する公知の方法が採用できる。また、この際の重縮合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。また、通常は、エステル化反応を進行させた後、減圧操作を行うことによって更に重合度を高めることができる。
脂肪族ポリエステルの製造時に、ジオール単位を形成するジオール成分とジカルボン酸単位を形成するジカルボン酸成分とを反応させる場合には、製造される脂肪族ポリエステルが目的とする組成を有するようにジオール成分およびジカルボン酸成分の使用量を設定
する。通常は、ジオール成分とジカルボン酸成分とは実質的に等モル量である。但し、この際、ジオール成分の使用量は、エステル化反応中の留出があることから、通常は1〜20モル%過剰に用いられる。
本発明に好適な脂肪族ポリエステルに脂肪族オキシカルボン酸単位や多官能成分単位等の必須成分以外の成分(任意成分)を含有させる場合、その脂肪族オキシカルボン酸単位や多官能成分単位もそれぞれ目的とする組成となるように、それぞれに対応する化合物(モノマーやオリゴマー)を反応に供するようにする。このとき、上記の任意成分を反応系に導入する時期および方法に制限はなく、本発明に好適な脂肪族ポリエステルを製造できる限り任意である。
例えば脂肪族オキシカルボン酸を反応系に導入する時期および方法は、ジオール成分とジカルボン酸成分との重縮合反応以前であれば特に限定されず、例えば、(1)予め触媒を脂肪族オキシカルボン酸溶液に溶解させた状態で混合する方法、(2)原料仕込み時触媒を系に導入すると同時に混合する方法、などが挙げられる。
多官能成分単位を形成する化合物の導入時期は、重合初期の他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込むようにしてもよく、または、エステル交換反応後、減圧を開始する前に仕込むようにしてもよいが、他のモノマーやオリゴマーと同時に仕込む方が工程の簡略化の点で好ましい。
脂肪族ポリエステルは、通常、触媒の存在下で製造される。触媒としては、公知のポリエステルの製造に用いることのできる触媒を、本発明の効果を著しく損なわない限り任意に選択することができる。その例を挙げると、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属化合物が好適である。中でもゲルマニウム化合物、チタン化合物が好適である。
触媒として使用できるゲルマニウム化合物としては、例えば、テトラアルコキシゲルマニウム等の有機ゲルマニウム化合物、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物などが挙げられる。中でも、価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウムおよびテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特には、酸化ゲルマニウムが好適である。
触媒として使用できるチタン化合物としては、例えば、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラフェニルチタネート等のテトラアルコキシチタンなどの有機チタン化合物が挙げられる。中でも、価格や入手の容易さなどから、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどが好ましい。
また、本発明の目的を損なわない限り、他の触媒の併用を妨げない。なお、触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
触媒の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、使用するモノマー量に対して、通常0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、また、通常3質量%以下、好ましくは1.5質量%以下である。この範囲の下限を下回ると触媒の効果が現れないおそれがあり、上限を上回ると製造費が高くなったり得られるポリマーが著しい着色を生じたり耐加水分解性が低下したりするおそれがある。
触媒の導入時期は、重縮合以前であれば特に限定されないが、原料仕込み時に導入しておいてもよく、減圧開始時に導入してもよい。原料仕込み時に乳酸やグリコール酸等の脂肪族オキシカルボン酸単位を形成するモノマーやオリゴマーと同時に導入するか、または脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して導入する方法が好ましく、特には、重合速度が大きくなるという点で脂肪族オキシカルボン酸水溶液に触媒を溶解して導入する方
法が好ましい。
脂肪族ポリエステルを製造する際の温度、重合時間、圧力などの反応条件は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。但し、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。また、反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下である。更に、反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、中でも常圧が好ましい。また、反応時間は、下限が通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは6時間以下、より好ましくは4時間以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合の過剰生成が起こり、不飽和結合が要因となるゲル化が起こり、重合の制御が困難になることがある。
また、ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル反応および/またはエステル交換反応後の重縮合反応は、圧力が、下限が通常0.01×10Pa以上、好ましくは0.03×10Pa以上、上限が通常1.4×10Pa以下、好ましくは0.4×103Pa以下の真空度下で行うことが望ましい。また、この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。更に、反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。反応温度が高すぎると、不飽和結合の過剰生成が起こり、不飽和結合が要因となるゲル化が起こり、重合の制御が困難になることがある。
本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネートアジペー及び/又はポリブチレンサクシネートを用いることが特に好ましい。
脂肪族ポリエステルの製造時には、カーボネート化合物やジイソシアネート化合物等の鎖延長剤を使用することもできる。その量は、通常、脂肪族ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、カーボネート結合やウレタン結合が通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。しかしながら、脂肪族ポリエステル樹脂を本発明の積層体に使用する場合には、ジイソシアネートやカーボネート結合が存在すると、生分解性を阻害する可能性があるため、その使用量は、脂肪族ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、カーボネート結合が1モル%未満、好ましくは、0.5モル%以下、より好ましくは0.1モル%以下であり、ウレタン結合が、0.55モル%以下、好ましくは0.3モル%以下、より好ましくは0.12モル%以下、更に好ましくは0.05モル%以下である。脂肪族ポリエステル100質量部あたりに換算すると、0.9質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下である。カーボネート結合量やウレタン結合量は、H−NMRや13C−NMR等のNMR測定により算出される。ウレタン結合量の上限値を上回ると、積層体の製造時にウレタン結合の分解のため、ダイス出口からの溶融膜からの発煙や臭気が問題となる場合があり、また、溶融膜中に発泡による膜切れが起こって安定的に成形できないことがある。
カーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが例示される。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、または異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物が使用可能である。
ジイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、1
,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートなどが例示される。
これらの鎖延長剤(カップリング剤)を用いた高分子量ポリエステルの製造は従来の技術を用いて製造することが可能である。鎖延長剤は、重縮合終了後、均一な溶融状態で無溶媒にて反応系に添加し、重縮合により得られたポリエステルと反応させる。
本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステルの融点は、特に限定されないが、80℃以上180℃以下であることが好ましい。融点が低すぎる場合は紙カップおよび紙トレー等の用途において温かい飲食品を入れた時の耐熱性が不十分となり、溶融したりするおそれがある。逆に、融点が高すぎると本発明の樹脂組成物から得られる成形品をカップやサック、トレー、袋などへの2次加工する際にヒートシール温度を高く設定する必要があり好ましくない。好ましくは融点が90℃以上150℃以下であり、更に好ましくは融点が100℃以上140℃以下である。
本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステルの結晶化温度は、70℃以上100℃以下が好適である。下限値を下回るとフィルムなどを押出成形する場合に冷却ロールへの貼りつきなどの問題が生じ、これを回避するために冷却ロールの温度を低温に設定する必要がある。更に製袋や、自動包装機、カップ製造機などの2次加工する際にも接着までに時間がかかる場合がある。また、98℃以上であると、ダイ出口から基材に接地するまでのエアギャップの間で溶融膜の固化が始まり、基材との接着力が弱くなる虞がある。
本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステルの数平均分子量(Mn)は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以上、好ましくは30000以上、また、通常200000以下である。数平均分子量が上記範囲の下限を下回ると本発明の樹脂組成物を用いた成形品の製造時における溶融膜特性に劣るおそれがあり、例えば、ネックインが大きくなるおそれがある。他方、上限を上回ると溶融粘度が高くなり、押出機のモーター負荷が高くなることから、押出溶融成形によるフィルムの製造が困難になるおそれがある。数平均分子量(Mn)の測定方法は溶媒をクロロホルムとし、測定温度40℃でのGPC測定法である。数平均分子量は単分散ポリスチレンによる換算値である。
本発明の樹脂組成物において、好適に使用される脂肪族ポリエステルのメルトフローレイト(MFR;190℃、2.16Kg荷重)は、通常の下限は0.1g/10分以上、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは3g/10分以上、更に好ましくは4g/10分以上である。また、35g/10分以下、好ましくは30g/10分以下である。メルトフローレイトが上記範囲の下限を下回ると、本発明の樹脂組成物を用いた成形品の製造時におけるモーター負荷が著しく増大し、加工機が停止することがあり、他方、上限を上回ると230℃以上高温成形時に、溶融膜の安定性が悪化する(ネックインの増大、サージングの発生)ことがある。
更に、ダイス出口から溶融した状態で出た脂肪族ポリエステルのメルトフローレイト(MFR;190℃、2.16Kg荷重)は、通常の下限は6g/10分以上、好ましくは8g/10分以上、より好ましくは10g/10分以上、更に好ましくは12g/10分以上である。また、40g/10分以下、好ましくは35g/10分以下である。メルトフローレイトが上記範囲の下限を下回ると、本発明の樹脂組成物を用いた押出溶融成形によるフィルムの製造におけるモーター負荷が著しく増大し、加工機が停止することがあり
、他方、上限を上回ると230℃以上高温成形時に、溶融膜の安定性が悪化する(ネックインの増大、サージングの発生)ことがある。
また、本発明の樹脂組成物において、好適に使用される脂肪族ポリエステル中には不飽和結合を含有させることもでき、不飽和結合には、二重結合の他、三重結合も包含される。このような不飽和結合を有する構造単位には不飽和ジカルボン酸類や不飽和ジオール類等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸の代表例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ−cis−フタル酸(ナディック酸)、ダイマー酸などが挙げられる。
ポリマーの製造工程で生成する不飽和結合基も有用である。生成メカニズムは明らかではないが、主鎖の熱分解による末端ビニル基の生成や多官能成分として加えているリンゴ酸等の脱水によるフマル酸あるいはマレイン酸等への変換反応による不飽和結合の生成が考えられる。これら不飽和結合の種類は単独であってもよいし、2種以上で任意の割合でポリマー中に含有する形態であってもよい。
本発明の樹脂組成物において、使用する脂肪族ポリエステル中に含まれる不飽和結合量は通常100μmol/g以下、好ましくは80μmol/g以下、より好ましくは60μmol/g以下、更に好ましくは30μmol/g以下、最も好ましくは20μmol/g以下である。また通常3μmol/g以上、より好ましくは5μmol/g以上である。不飽和結合の量が下限値以下であると、分岐を発生させる際に、効率よく分岐させることが困難で、溶融張力を高めることができなくなる。逆に、上限値を超えると著しいゲル化を引き起こし、積層体を製造することができなくなることがある。不飽和結合量は、H−NMRや13C−NMR等のNMR測定により算出される。
また、本発明の樹脂組成物において、使用する脂肪族ポリエステル中のウレタン結合量は、0.9質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは、0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特には、脂肪族ポリエステルが実質的にウレタン結合を含まないことが好ましい。ウレタン結合量が多すぎると、ウレタン結合の熱分解により、発煙や発泡という現象を引き起こし、成形しにくくなる傾向がある。
例えば、脂肪族ポリエステル樹脂、を例に挙げるならば、PTTMCC社BioPBS(登録商標)FZシリーズ、FDシリーズ、NatureWorks社製Ingeo(登録商標)等が挙げられる。
<その他の樹脂>
本発明の樹脂組成物において、本発明の効果を阻害しない程度に含んでいてもよい、その他の樹脂としては、例えば、生分解性樹脂ポリブチレンアジペートテレフタレート、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン、などが挙げられる。更に、4−ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸樹脂、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリエーテル樹脂、セルロースおよびプルラン等の多糖類、ポリビニルアルコール樹脂等の生分解性樹脂が挙げられる。これらのその他の樹脂を使用する場合、1種類以上の樹脂を任意の組み合わせおよび比率で併用することができる。中でも、本発明の積層体の生分解速度が速くなり、また、分解後の崩形性が向上するという点において、生分解性樹脂を併用することが好ましい。
脂肪族ポリエステル以外の樹脂を併用する場合、全樹脂成分100質量部に対し、脂肪族ポリエステルの割合が、通常50質量部以上、好ましくは70質量部以上となるようにする。脂肪族ポリエステルの量が増えれば、本発明の積層体の生分解速度が速くなり、ま
た、分解後の崩形性が向上するからである。
<結晶核剤>
本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物を用いた成形品の製造時の半結晶化時間を制御し、成形時の加工性改善するために結晶核剤を配合する。これによって、半結晶化時間の短縮や離ロール性の向上が期待できる。結晶核剤は無機系核剤および有機系核剤に大別されるが、好ましくは有機系核剤を用いることが好ましい。なお、結晶核剤は、単独でもよいし、2種以上を任意の割合で複合し配合してもよい。
本発明の樹脂組成物において、好適に使用される結晶核剤である有機系核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、安息香酸アルミニウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩;p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩;ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸等のポリマー;エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー);ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩;2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム;ポリエチレンワックスなどを挙げることができる。特に好ましい核剤としてポリエチレンワックスが好適に用いられる。このポリエチレンワックスを使用すると、脂肪族ポリエステルの結晶化を促進させることができ、離ロール性が向上する。このポリエチレンワックスの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000〜10000であ
り、より好ましくは、1500〜9000、更により好ましくは2000〜8000である。Mwが高くなればなるほど、樹脂組成物をフィルムに成形した際のフィッシュアイが増加する恐れがあり、一方で、Mwが低くなるほどブリードアウトが起こりやすくなる傾向にある。なお、このポリエチレンワックスの重量平均分子量の測定は公知の方法で測定することができる。
また、本発明の樹脂組成物において、使用される結晶核剤の融点は、樹脂組成物に含まれる上述の脂肪族ポリエステルよりも5℃以上高いことが好ましく、より好ましくは、5℃以上20℃以下高い融点であり、更により好ましくは、5℃以上15℃以下高い融点である。融点が低いと核剤としての効果が出ず、高すぎると核剤が樹脂組成物を製造する際に均一に分散させることができなくなり、半結晶化時間の短縮には効果なく好ましくない。
また、本発明の樹脂組成物において、結晶核剤として使用してもよい無機系核剤の具体例としては、タルク、カオリン、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、
硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などを挙げることができる。また、これらの無機系核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
本発明の樹脂組成物において、結晶核剤の平均粒径は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意である。通常50μm以下、好ましくは20μm以下であることが望ましい。また、2次凝集や取り扱い作業性の点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であるのが望ましい。平均粒径が上記範囲の上限を超える場合には、半結晶化時間の短縮には効果がなく好ましくない。また、核剤の平均粒径が上記範囲の下限未満となった場合には、製造費が高くなり、また取り扱いが困難となるので好ましくない。
本発明の樹脂組成物において、結晶核剤の好ましい配合量は、脂肪族ポリエステルを100質量部として、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更により好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上、また一方、好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、更により好ましくは1.5質量部以下、特に好ましくは1.2質量部以下である。この範囲の下限を下回ると結晶化温度の高温化への効果が現れないおそれや、成形時における離ロール性の悪化のおそれがあり、上限を上回ると製造費が高くなりすぎるおそれや、成形時のロール汚れが問題となる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、酸化防止剤、滑剤及び改質剤などの添加剤を含有させるようにしてもよい。例えば、紫外線吸収剤、光安定剤(耐光剤)、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、離型剤、防曇剤、結晶核剤、可塑剤、着色剤、充填剤、相溶化剤、難燃剤等が挙げられる。特に、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、相溶化剤、結晶核剤、充填剤のいずれか1種類以上の使用剤を10ppm以上含むことが好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の製造は、従来公知の混合/混練技術は全て適用できる。混合機としては、水平円筒型、V字型、二重円錐型混合機やリボンブレンダー、スーパーミキサーのようなブレンダー、また各種連続式混合機等を使用できる。また混練機としては、ロールやインターナルミキサーのようなバッチ式混練機、一段型、二段型連続式混練機、二軸スクリュー押出機、単軸スクリュー押出機等を使用できる。
混練の方法としては、脂肪族ポリエステルを加熱溶融させたところに結晶核剤、各種添加剤、フィラー、熱可塑性樹脂を添加して配合する方法などが挙げられる。また、前記の各種添加剤を均一に分散させる目的でブレンド用オイル等を使用することもできる。
さらに、本発明の樹脂組成物のメルトフローレート(MFR;190℃、2.16Kg荷重)は、3g/10分以上40g/10分以下であることが好ましい。樹脂組成物のMFRの下限について、より好ましくは4g/10分以上、特に好ましくは5g/10分以上である。また、樹脂組成物のMFRの上限について、より好ましくは35g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。樹脂組成物のMFRをこのような範囲とすることで、加工時のサージングの抑制、離ロール性の悪化の抑制に有効であり、加工性を良好とすることができる。
<半結晶化時間と核剤の関連性>
本発明の樹脂組成物の半結晶化時間は6.5〜9.0分であり、好ましくは、7.0〜8.9分、より好ましくは、7.2〜8.5分である。半結晶化時間とは、樹脂組成物が最終的に到達する結晶化度の半分に到達するまでに要する時間である。溶融結晶化時に結
晶核剤を混合すると核剤が結晶核の起点となり、樹脂組成物の結晶核形成速度並びに結晶成長速度の向上し、その結果半結晶化時間を短縮することができる。
<樹脂成型品の製造方法>
本発明の樹脂組成物を用いて樹脂成形品を製造する方法は、上述した本発明の樹脂組成物、必要に応じて添加される他の樹脂、滑剤、酸化防止剤、改質剤などの所望の添加剤を配合した樹脂組成物を、ハンガーコートタイプTダイを有する押出機を用いて押出成形する方法(押出コーティング法)や、上述した本発明の樹脂組成物をインフレ成形やTダイフィルム成形法によりフィルムとする方法が好ましく、生産性や得られる樹脂成形品の物性の観点からは、押出コーティング法が特に好ましい。押出コーティング法を用いる場合には、ポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂の溶融押出コーティング・ラミネート用に通常使用される溶融押出コーティング・ラミネート装置を用いることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて得られる樹脂成型品のおいて、フィルムを成形することが特に好ましい。汎用プラスチックに適用される各種成形法によりフィルム状に成形することができる。成形法に関しては、特に、上述の押し出し成形やインフレ成形によって成形すると、本発明の効果が顕著に現れる。より具体的には、例えば、Tダイ、Iダイまたは丸ダイ等から所定の厚みに押し出したフィルム状、シート状物または円筒状物を、冷却ロールや水、圧空等により冷却、固化させる方法等が挙げられる。本発明の樹脂成型品がフィルムの場合、厚みは特に限定されないが、一般に5μm以上、より好ましくは8μm以上、更に好ましくは15μm以上が好ましい。上限値としては100μm以下であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。上限値を超えると、ラミネート品の巻き癖や、離ロール性が悪化する傾向にあり、下限値を下回ると押出し機の性能に左右されるが、吐出が安定しなく、厚みムラが生じたりする場合がある。
このようにして得られたフィルム状成形体は、その後、ロール法、テンター法、チューブラー法等によって一軸または二軸延伸を施してもよい。延伸する場合は、延伸温度は通常30℃〜110℃の範囲で、延伸倍率は縦、横方向、それぞれ0.6〜10倍の範囲で行われる。また、延伸後、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法、ヒートロール上に接触させる方法等によって熱処理を施してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<メルトフローレイト(MFR)>
JIS K7210(1999年)に基づき、メルトインデクサーを用いて190℃、荷重2.16kgにて測定した。単位はg/10分である。
<DSC測定>
JIS K7210(1987年)に基づき、降温温度10℃/分にて測定した。
<脂肪族ポリエステル>
実施例にて使用した樹脂の詳細は下記の通りである。
BioPBS(登録商標) FZ71PM(MFR 20.0g/10分 融点113℃)
(2)評価法
<離ロール性>
冷却ロールからの張り付き具合を観測した。評価基準は下記の通りとした。
◎:樹脂が冷却ロールから無理なくリリースされ、外観が綺麗である。
○:樹脂が冷却ロールから少し離れ難くなっており、リリースする際に音が出る状態。
△:樹脂が冷却ロールから離れ難くなっており、リリースする際の音がかなり大きい状態。また成形品に筋が入る状態。
×:積層体が冷却ロールから剥がれず、運転ができない状態。
<発煙・臭気>
ダイス出口からの発煙の状態と臭気の官能試験を実施した。評価基準は下記の通りとした。
○:発煙が少なく、鼻や目につく刺激臭がない。
△:発煙が多少あり、鼻や目につく刺激臭が少しあるが、作業上問題にならないレベル。×:発煙があり、鼻や目につく刺激臭がある。
<ロール汚れ>
フィルム成形後の冷却ロールの汚れ具合を評価した。評価基準は下記の通りとした。
○:加工時間1時間の時点でロール上に白色の粉状物質の付着がわずかな状態で加工性に悪影響を与えていない。
△:加工時間1時間の時点でロール上に白色の粉状物質の付着が多いが加工性に悪影響を与えていない。
×:加工時間1時間の時点でロール上に白色の粉状物質の付着が多い状態で積層体表面に白色粉状物質の移行があった場合。
<半結晶化時間測定>
半結晶化時間測定には日立ハイテック社製DSC「DSC7000X」を使用した。試料は5.3〜5.5mgに調製しRDCアルミパンに詰め専用のシーラーでシールした。温度プログラムは30℃から260℃に100℃/minで昇温後3分間保持した後に100℃/minで98℃に降温し30分保持し、続いて260℃に100℃/minにて昇温後、3分保持しその後100℃に100℃/minで降温し保持した
際の結晶化発熱挙動を観測した。測定装置は熱流束型DSCであるため温度保持時には±0.1℃程度のばらつきが発生した。そのため結晶化発熱ピークが発生している時間範囲の温度の平均値を結晶化温度とした。プログラムでは100℃の設定であったが、実際には試料に
より若干の差が発生し、99.14〜99.18℃の範囲の結晶化温度となった。また、熱補償型DSCと異なり、等温結晶化温度への到達が若干遅れるため、結晶化温度到達時間をt=0とせず、結晶化発熱開始時間(結晶化ヒ゜ークのベースをとる点)をt=0とし、半結晶化時間を
測定した。半結晶化時間(t1/2)は結晶化発熱ピークを積分し、積分値が50%となる時間をt=0より起算して算出した。
<Haze測定>
JIS K7136(2000年)に基づき、測定した。
<Gloss測定>
JIS K3741(1997年)に基づき、角度は20度で測定した。
<ポリエチレンワックスのGPC測定>
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記の測定条件で測定する。
<測定条件>
装置:東ソー HLC-8321GPC/HT
カラム: TSKgel GMH6-HT (7.8mm I.D.×30cmL×4)
カラム温度:135℃
検出器:RI
移動相:ODCB
流速:1.0mL/min
注入:0.1wt%×500μL
換算標準:ポリエチレン
(3)樹脂組成物の製造、及び評価結果
[実施例1]
FZ71PM(PTTMCC社製 BioPBS(MFR=20))98部と結晶核剤としてポリエチレンワックス(AcumistB6、Hanewell社製)2部をドライブレンドし、混練温度を150℃にて、2軸押出機にてストランド状に押出し、ペレタイザーによりペレットとしポリエチレンワックスマスターバッチ(以下、ポリエチレンワックスMBと略規することがある)を得た。また、FZ71PMを99部と酸化防止剤(BASF社製 Irganox1010)1部をドライブレンドし、混練温度を170℃にて、2軸押出機にてストランド状に押出し、ペレタイザーによりペレットとし酸化防止剤マスターバッチ(以下、酸化防止剤MBと略記することがある)を得た。ポリエチレンワックスMBを1.25部とFZ71PM 96.75部、酸化防止剤MBを2%ドライブレンドしたものをスクリュウ径Φ50mmの単軸押出機に幅300mmのハンガーコート型のTダイを用い、260℃にて押し出した。溶融膜が安定した後、発煙・臭気を観察した。
次に溶融膜を低速にて通紙し、膜厚が25μmになるよう引き取り速度を調整した。尚、冷却温度は30℃とし、冷却ロールはセミマットタイプ、エアナイフを使用した。
ラミネート成形時には溶融膜は透明で、ブツ、気泡、発煙もなく成形安定性に優れていた。また、臭気やロール汚れはなかった。更に離ロール性は良好だった。
上記作製したフィルムの半結晶化時間、Haze、Glossを上記の方法にて測定した。
結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、ポリエチレンワックスMBを2.5%とFZ71PM(BioPBS、PTTMCC社製(MFR=20))を95.5部、酸化防止剤MBを2%ドライブレンドしたものを用いた以外は、すべて実施例1と同様の方法で成形・評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、脂肪族ポリエステルとして使用したFZ71PM 95部とポリエチレンワックスの代わりに、タルク(MG115、富士タルク社製)5部をドライブレンドし、混練温度を190℃にて、2軸押出機にてストランド状に押出し、ペレタイザーによりペレットとしタルクマスターバッチを得た。このタルクMBを2.5部とFZ71PM(PTTMCC社製 BioPBS(MFR=20))95.5部、酸化防止剤MBを2%ドライブレンドした以外は全て実施例1と同様の方法で成形・評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例3において、使用したタルク(MG115、富士タルク社製)の代わりに、別のタルク(ミクロエースK−1、日本タルク社製)に変更した以外は全て実施例3と同様の方法で成形・評価した。結果を表1に示す。
[実施例5〜7]
実施例1で使用したポリエチレンワックスの種類を異なる重量平均分子量や融点を持つポリエチレンワックス(Hiwax400P,Hiwax210MP,HiwaxNL100)に変更し対外は全て実施例1と同様の方法で成形・評価した。変更したポリエチレ
ンワックスのHiwax400P,Hiwax210MP,HiwaxNL100をそれぞれ使用したものを実施例5〜7とした。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、ポリエチレンワックスを配合せず、FZ71PM98質量部、酸化防止剤MBを2%ドライブレンドしたものに変更した以外は全て、実施例1と同様の方法で成形・評価した。結果を表1に示す。
[比較例2,比較例3]
実施例2において、使用したポリエチレンワックスの替わりに、ステアリン酸アミド(アルフローS10、日油社製)もしくはステアリン酸カルシウムをドライブレンドし、混練温度を190℃にて、2軸押出機にてストランド状に押出し、ペレタイザーによりペレットとし、各々のマスターバッチを得た。このマスターバッチを2.5部とFZ71PM(PTTMCC社製 BioPBS(MFR=20))95.5部、酸化防止剤MB(1
%酸化防止剤MBであるFZ71PM)を2%ドライブレンドしたものを用いた以外は全て、実施例2と同様の方法で成形・評価した。結果を表1に示す。
Figure 2018162428
表1に示された結果から、特定の結晶核剤を混合すると核剤が結晶核の起点となり、樹脂組成物の結晶核形成速度並びに結晶成長速度の向上するため半結晶化時間が短くなる。その結果、離ロール性に優れ、且つロール汚れも発生せず、物性も維持できたフィルムを
得ることができる、ことがわかる。

Claims (9)

  1. 脂肪族ポリエステル及び結晶核剤を含む樹脂組成物であって、該樹脂組成物の温度100℃での半結晶化時間が6.5〜9.0分である樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物中の前記結晶核剤の配合量が、前記脂肪族ポリエステルを100質量部として、0.001質量部以上2.5質量部以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記結晶核剤が有機系核剤である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記脂肪族ポリエステル樹脂がポリブチレンサクシネート及び/又ポリブチレンサクシネートアジペートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記有機系核剤がポリエチレンワックスである、請求項3又は4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリエチレンワックスの重量平均分子量が1000〜10000である、請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記結晶核剤の融点が前記脂肪族ポリエステルの融点よりも5℃以上高いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物をTダイを装備した溶融押出装置に供給し、溶融押出成形し、樹脂溶融膜を得た後、該樹脂溶融膜を冷却ロールを用いて冷却し、樹脂成型品を得る、樹脂成型品の製造方法。
  9. 該樹脂成型品がフィルムである、請求項8に記載の樹脂成型品の製造方法。
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