JP2016112013A - 農業用生分解性フィルム - Google Patents

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Abstract

【解決課題】栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間において、土中と土の表面に設置されたいずれのフィルムにおいても必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する生分解性フィルムを提供すること。【解決手段】生分解性樹脂組成物からなるフィルムであって、前記生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を当該組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有し、かつ250〜400nmの波長域に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする農業用生分解性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、農業用に使用する生分解性に優れた生分解性フィルムに関する。
昨今の廃棄物問題等を解決する手段の一つとして、生分解性を有する材料を用いた研究が数多くなされてきている。生分解性材料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペートといった脂肪族ポリエステル系樹脂やポリブチレンアジペートテレフタレートといった芳香族−脂肪族共重合ポリエステル系樹脂が挙げられ、種々検討が行なわれている。
しかしながら、生分解性フィルムをインフレーション成形機でフィルム化する場合、強度がありかつ柔軟性に優れたフィルムを実用的に製造することができなかった。これまでは、生分解性を有する低融点ポリマー、例えばアジピン酸とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールからなるジオール成分とを縮合してなる脂肪族芳香族ポリエステルを多官能イソシアネートで高分子化した脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂や、コハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸とを直接脱水重縮合してなる脂肪族ポリエステル系樹脂、或いは1、4−ブタンジオール等のポリオールとコハク酸、アジピン酸のようなジカルボン酸との重縮合反応により得られる脂肪族ポリエステル系樹脂に、比較的高融点である樹脂、例えばポリ乳酸系樹脂をブレンドすることにより柔軟性と強度を持たせることが行われていた。しかし組成中にポリ乳酸をブレンドしても相溶性に欠けるために期待したほどの効果がなかった。
このような中、生分解性樹脂組成物の相溶性を高めることにより、柔軟性を損なうことなく、機械的強度を向上させた生分解性フィルムとして、アジピン酸とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールからなるジオール成分とを縮合してなる脂肪族芳香族ポリエステルを多官能イソシアネートで高分子化した脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、及びコハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸とを直接脱水重縮合してなる脂肪族ポリエステル系樹脂、さらに生分解性を有する芳香族ポリエステル系樹脂とをインフレーション加工機によりフィルム化したものが提案されている(特許文献1)。
ところで、生分解性フィルムを農業用などの用途に適用する場合には、栽培作物がある程度育つまでは、地温を所定温度に保持すると共に雑草が生えるのを防止するためにフィルムが破れないように十分な強度が必要とされ、一方、作物の刈り取りが終了し、次期作物の栽培が始まる頃には、前の期で使用したフィルムは、ある程度まで土中で分解していることが必要である。しかしながら、このような農業用フィルムとしての使用に耐え得る強度を有し、かつ、適正な期間で生分解する特性を兼ね備えたものは未だ実用化に至っていない。
特に、生分解性フィルムを、土中への埋設と土の表面への設置を併用するような用途においては、土中における水分と微生物による影響を受ける環境と、土の表面に設置することで紫外線劣化の影響を受ける環境とに曝されるような場合、生分解性フィルムの強度低下と分解を同じように制御することは難しいのが現状である。
特許文献2には、引裂き強度及びヤング率に優れる生分解性フィルムとして、脂肪族ポリエステル100重量部当たり、充填剤5〜100重量部を含み、引裂き強度がMD及びTD方向共に5kg/cm以上ある脂肪族系ポリエステルフィルムの技術が開示されている。
また特許文献3には、透明性、柔軟性、耐候性及び防曇性に優れた生分解性農業用被覆材として、アジピン酸とテレフタル酸からなるジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールからなるジオール成分とを重縮合してなるポリエステルを多官能イソシアネートで高分子化した脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂95〜99.99重量%とポリブチレンテレフタレート樹脂0.01〜5重量%とヒンダードアミン系光安定剤0.05〜1重量部からなる混合樹脂をフィルム状に成形してなる生分解性農業用被覆材の技術が開示されている。
しかしながら、特許文献2のような脂肪族ポリエステル系樹脂を主原料としたフィルムは、土中における分解が早期に進むため、栽培している最中にフィルムが裂けるという問題がある。
また、特許文献3のような脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を主原料とし、ヒンダードアミン系光安定剤を含有したフィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂を主原料としたフィルムよりは分解するまでの時間は比較的長いため、土中に埋設されたフィルムは分解までの時間を延ばすことができるが、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂は耐候性に劣るため、土の表面のような紫外線を受ける場所に設置したフィルムは、経時により強度が著しく低下し、ヒンダードアミン系光安定剤を含有させた場合にも、強度低下を十分抑制することができず早期に劣化が進み、栽培している最中にフィルムが裂けるという問題がある。
特開2009−227882号公報 特開2000−44704号公報 特開2004−352799号公報
本発明は、このような問題に鑑み、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間において、土中と土の表面に設置されるいずれの場合においても必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する生分解性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討したところ、生分解性樹脂組成物として、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を47質量%以上含有し、かつ250〜400nmの波長域に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有する農業用生分解性フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、
[1]生分解性樹脂組成物からなるフィルムであって、前記生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を当該組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有し、かつ250〜400nmの波長域に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする農業用生分解性フィルム。
[2]前記生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量100質量部に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤を0.05〜1.0質量部含有することを特徴とする[1]に記載の農業用生分解性フィルム。
[3]更にヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の農業用生分解性フィルム。
[4]200〜400nmの波長域の全光線透過率の平均値が、27%以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
[5]400〜700nmの波長域の全光線透過率の平均値が、75%以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
[6]耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸び率が、耐候性試験機に暴露する前の引張破断伸び率に対して40%以上保持していることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
に関する。
本発明により、土中と土の表面に設置されるいずれの場合においても分解までの期間を適度なものとすることができる生分解性フィルムを提供することができる。従って、本発明により、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する生分解性フィルムを提供することが可能となる。
実施例2、比較例1、参考例1及び参考例2の全光線透過率の測定値のグラフ。
本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を該組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有し、かつ250〜400nmの波長域に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有する。
本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を該脂組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有することが重要であり、48質量%以上含有することが好ましく、49質量%以上含有することが更に好ましい。脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を47質量%以上含有することで、水分による加水分解や、微生物による微生物分解の時間が適度となり、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間使用できるフィルム強度を好ましいものとすることができる。なお、含有量の上限は特に限定することは無いが、含有量は98質量%以下とすることが好ましく、95質量%以下とすることがより好ましい。含有量の上限を上記とすることで、フィルムの成形性が、より優れたものとなる。
<脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂>
本発明における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位とを含み、芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5〜60モル%である。
本発明における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂は、具体的には、例えば、下記式(1)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、および、下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
−O−R−O− (1)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R−CO− (2)
(式中、Rは直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−RCO− (3)
(式中、Rは2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
式(1)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2〜10のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(2)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸またはアジピン酸が好ましい。
式(3)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分および芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、またはこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することができる。
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を構成する全構成成分中、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましい。
本発明における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、好ましくは0.1〜100g/10分であり、更に好ましくは0.1〜50g/10分であり、特に好ましくは0.1〜30g/10分である。
このような脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂の具体例としては、BASF社製「Ecoflex」、S−EnPol社製「EnPol」などが挙げられる。
また、本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、250〜400nmの波長域に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有することが重要であり、前記トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、前記生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量100質量部に対して、好ましくは0.05〜1.0質量部であり、より好ましくは0.1〜0.9質量部であり、更に好ましくは0.1〜0.8質量部であり、特に好ましくは0.2〜0.6質量部である。
前記トリアジン系紫外線吸収剤を含有させることで、生分解性樹脂組成物の耐候性能を優れるものとすることができる。より詳しくは、本発明に使用する生分解性樹脂組成物の主原料である脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂は、200〜400nmの波長域の紫外線を吸収する特性を持っており耐候性に劣るが、250〜400nmの波長域の紫外線に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤を含有させることで、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂が吸収する紫外線量を抑制することが可能となり、本発明の生分解性樹脂組成物で構成される農業用生分解性フィルムが特に紫外線に暴露される環境に使用する場合において、劣化が促進されることを抑制することができる。
<トリアジン系紫外線吸収剤>
本発明に使用するトリアジン系紫外線吸収剤は、250〜400nmの波長域の紫外線に吸収能を有するものであれば特に限定することはない。
たとえば、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール:CAS Number2725−22−6で表される化合物(例えばCytecのCYASORB UV−1164)や、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール:CAS Number 147315−50−2(例えばBASFジャパンのTinuvin1577FF、ソンウォンのSongsorb1577PW)、2−[4,6−ビス(ジフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−フェノール(例えば、BASFジャパンのTinuvin1600)を用いることができる。なかでも、2−[4,6−ビス(ジフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−フェノールを好ましく用いることができる。
また、前記トリアジン系紫外線吸収剤は、単独で使用してもよく2種以上の併用であってもよい。
また、本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤を含有することが好ましく、前記生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量100質量部に対して、0.05〜2.0質量部含有することがより好ましく、0.1〜1.9質量部含有することが更に好ましく、0.1〜1.8質量部含有することが特に好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤を含有することで、トリアジン系紫外線吸収剤と相乗効果が得られ、本発明の農業用生分解性フィルムの耐候性に関して特に好ましい性能を得ることができる。
特に本発明の農業用生分解性フィルムを有効に活用できる用途として、マルチフィルムが挙げられる。マルチフィルムは、土中に埋設される部分と、直接、太陽光を浴びる土の表面に展張する複合された環境において使用するため、上述する性能を有する本発明の農業用生分解性フィルムは、特に優れた性能を得ることができる。
これにより、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間において、土中と土の表面に設置された状態においてマルチフィルムとして必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度までマルチフィルムを分解させることを可能とすることができる。
<ヒンダードアミン系光安定剤>
本発明に使用するヒンダードアミン系光安定剤は、特に限定することはなく、たとえば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2−ビス(3−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エタン、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、ポリ〔1−オキシエチレン(2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ピペリジル)オキシスクシニル〕、ポリ〔2−(1,1,4−トリメチルブチルイミノ)−4,6−トリアジンジイル−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物及びそのN−メチル化合物、コハク酸と1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合物等が挙げられる。
市販のヒンダードアミン系光安定剤を例示すれば、TINUVIN765、TINUVIN770、TINUVIN780、TINUVIN144、TINUVIN622LD、CHIMASSORB119FL、CHIMASSORB944、Uvinul5050H(以上、BASFジャパン社製)、サノールLS−765(三共社製)、MARKLA−63、MARKLA−68、MARK LA−62、MARK LA−67、MARK LA−57(以上、アデカ・アーガス社製)、CYASORBUV−3346、CYASORBUV−3529、CYASORBUV−3581、CYASORB UV−3853等が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤は、単独で使用してもよく2種以上の併用であってもよい。
<その他の樹脂>
本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有することが重要であるが、その他の生分解性樹脂を含有することができる。
例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂や乳酸系ポリエステル系樹脂を使用することができる。
<脂肪族ポリエステル系樹脂>
脂肪族ポリエスエステル系樹脂は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂やジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂等を使用することができる。
本発明に使用できる脂肪族ポリエステル系樹脂の構成成分である脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステルを構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。
脂肪族ポリエステル系樹脂を具体的に示すと、例えば下記式(4)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位、並びに、下記式(5)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジカルボン酸単位からなるものである。
−O−R−O− (4)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。)
−OC−R−CO− (5)
(式中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。)
なお、上記式(4)、式(5)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基」とは、2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下「鎖状脂肪族および/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、上記式(4)のジオール単位として、1,4ブタンジオール単位を必須成分として含むものである。1,4ブタンジオール単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、30〜60モル%、特に40〜50モル%であるのが好ましい。
1,4ブタンジオール単位以外のジオール単位としては特に限定されないが、炭素数3〜10個の脂肪族ジオール単位が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール単位が特に好ましい。具体的には1,3−プロパンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール等が挙げられる。前記脂肪族ジオール単位を与えるジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、更に、ジカルボン酸単位としてコハク酸単位を必須成分として含むものである。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂はジカルボン酸単位としてアジピン酸を必須成分として含む場合、アジピン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0.5〜20モル%であるのが好ましく、1〜15モル%であるのが更に好ましい。
コハク酸単位、アジピン酸単位以外のジカルボン酸単位としては特に限定されないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸単位が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸単位が特に好ましい。具体的には、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
更に、前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族オキシカルボン酸単位を含有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルコールもしくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液の何れであってもよい。これらの中で特に好ましいのは、乳酸またはグリコール酸である。これらの脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
脂肪族オキシカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましく、特に0.01〜10モル%であるのが好ましい。
このような脂肪族ポリエステル系樹脂の具体例としては、三菱化学社製「GSPla」、昭和電工社製「ビオノーレ」などが挙げられる。
本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル系樹脂を生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量に対して1〜53質量%含有することが好ましく、2〜45質量%含有することが更に好ましく、3〜40質量%含有することが特に好ましい。脂肪族ポリエステル系樹脂の含有量を上記の範囲とすることで、フィルムの弾性が好ましいものとなり、フィルムを展張する際の作業性に優れたものとなる。
<乳酸系ポリエステル系樹脂>
本発明に使用できる乳酸系ポリエステル系樹脂は、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはそれらの混合物、ラクチドなどのホモポリマーまたはコポリマーなどが使用できる。乳酸系ポリエステル系樹脂は、これらの原料から直接脱水縮合またはラクチドの開環重合などによって製造することができるが、製法は特に限定されない。また、乳酸系ポリエステル系樹脂の性質を損なわない程度に、乳酸以外の他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸等を共重合してもかまわない。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂の具体例としては、Nature Works社製「Ingeo Biopolymer」、浙江海正生物材料社製「REVODE」などが挙げられる。
また、この様にして製造された乳酸系ポリエステル系樹脂を、他の脂肪族ポリエステル系樹脂、または、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂と事前に混合された原料を用いることもできる。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂との混合系樹脂の具体例としては、BASFジャパン社製「Ecovio Fブレンド C2224」などが挙げられる。
また、本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、無機充填材を含有してもよい。無機充填剤の含有量は、生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜9.5質量部、更に好ましくは0.5〜9.0質量部である。無機充填材を上記のように含有させることで、生分解性樹脂組成物を適度な粘度とすることができ、より良好な成形性を得ることが可能となる。
本発明に使用できる無機充填材としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム及び珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム並びに硫酸バリウム等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
<その他の成分>
本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散剤や各種界面活性剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤は配合した方が好ましい。
スリップ剤としては、炭素数6〜30の不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイドが挙げられ、エルカ酸アマイド、エルカ酸ビスアマイドが好ましい。
アンチブロッキング剤としては、炭素数6〜30の飽和脂肪酸アマイド、または飽和脂肪酸ビスアマイド(例えばステアリン酸アマイド、ステアリン酸ビスアマイド)、メチロールアマイド、エタノールアマイド、天然シリカ、合成シリカ、合成ゼオライト、タルク等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン等通常農業用マルチフィルムに使用される着色剤が使用できる。着色剤としては、そのまま使用してもよいし、マスターバッチとして添加してもよい。
本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、トリアジン系紫外線吸収剤を必須とするが、その他の紫外線吸収剤を併用してもよい。
トリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤としては、たとえば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等が挙げられ、その中でも、ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル6−(tert-ブチル)フェノール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール、オクタベンゾン、2,2’−ジヒドロキシ−4−4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロベンゾフェノンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、BHT、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオンアミド、n−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤及びこれらの2種以上の混合物などが例示できる。
安定剤としては脂肪酸金属塩が挙げられる。脂肪酸金属塩の脂肪酸成分としてはカルボキシル基を有する通常炭素数が6〜30の鎖状のカルボン酸であり、直鎖状でも分岐状でもよく、また飽和結合のみでも不飽和結合を有していてもよい。脂肪酸の具体例としてはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エイコセン酸、エルシン酸、エライジン酸、トランス11エイコセン酸、トランス13ドコセン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エルカ酸等が挙げられる。
一方、金属原子としては、周期表の1A、2A、2B及び3B族の原子が好ましい。好ましい例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛などが挙げられる。
脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種でもよく2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム及びラウリン酸アルミニウムが好ましい。
分散剤としては、モンタンワックス等のエステル系ワックスが挙げられる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で生分解性樹脂および天然物、例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末またはこれらの混合物を配合することができる。
本発明の農業用生分解性フィルムは、200〜400nmの波長域の全光線透過率の平均値が27%以下であることが好ましく、26%以下であることがより好ましい。200〜400nmの波長域の全光線透過率の平均値を27%以下とすることで、本発明に使用する脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂の特性(200〜400nmの波長域の紫外線を吸収する特性)により発現する耐紫外線性能の低さを改善することができる。
本発明の農業用生分解性フィルムは、400〜700nmの波長域の全光線透過率の平均値が、75%以上であることが好ましく、78%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。全光線透過率を75%以上とすることで展張した農業用生分解性フィルムの下の地温を上昇させる効果に優れ好ましい。
本発明の農業用生分解性フィルムは、耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸度が、耐候性試験機に暴露する前の前記農業用生分解性フィルムの機械の成形方向(MD)の引張破断伸度に対して40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。これにより、屋外での栽培作業において栽培している期間、3〜6ヶ月程度の間は必要な強度を有することができる。
ここで、耐候性試験機としては、サンシャインウェザーメーター(例えば、スガ試験機社製のサンシャインウェザーメーター)を用いることができる。
また、耐候性試験機での暴露条件としては、JISA1415を用いることができる。
また、農業用生分解性フィルムの厚さは、5μm〜50μmが好ましく、5μm〜40μmがより好ましく、5μm〜35μmが更に好ましく、5μm〜30μmがとりわけ好ましい。生分解性フィルムの厚さを5μm以上とすることでフィルムの成形をより安定させることができ、展張作業等に使用するときに強度が不十分になることを抑制することができる。また、フィルム厚さを50μm以下とすることで、栽培終了時や土中での分解が不十分になることを抑制することができる。
本発明に使用する生分解性樹脂組成物の混練方法は、樹脂組成物の混練方法として一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混練機に供給して溶融混練することができる。
生分解性樹脂組成物からフィルムを成形加工する方法は、押出機を用いてTダイにて押出ししたフィルムをキャストロールで冷却固化する押出成形や、インフレーション成形機により成形する方法が適している。
以下本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[評価方法]
(1)耐候性試験方法
インフレーション成形機を用いて成形したフィルムを、JISA1415の条件に従って、スガ試験機社製サンシャインウェザーメーターを用いて、ブラックパネル温度を63℃とし、100時間暴露した。
(2)耐候性試験後の伸び残率の測定方法
JISK6781に準拠した方法で、(株)島津製作所製の引張試験機を用いて、機械の成形方向(MD)の引張試験を行い、サンプル破断時の標線間距離から次の計算式により算出した。
破断伸び率(%)=((破断時の標線間距離)−(初期の標線間距離))/(初期の標線間距離))×100
引張試験は、耐候性試験を行う前後に行い、以下の計算式から伸び残率を算出した。
伸び残率(%)=(耐候性試験後の伸び率)/(初期伸び率)×100
<伸び残率の評価基準(100時間暴露後)>
◎:伸び残率が60%以上
○:伸び残率が40%以上60%未満
△:伸び残率が20%以上40%未満
×:伸び残率が20%未満
(3)全光線透過率の測定方法
機器名:島津製作所社製UV−2450
測定波長域:200−900nm
平均値算出方法:0.5nm毎の測定データを取出し、200〜400nmまで及び、400〜700nmまでの波長域の全光線透過率の平均値を算出した。
(4)土中の埋設評価方法
三重県の試験圃場に、幅10cm×長さ30cmのサンプルを埋設し、4ヶ月後、埋設したサンプルを取り出して、目視確認で各サンプルの破損の程度を評価した。
<破損の程度の評価基準(4ヶ月埋設後)>
◎:破れの発生が見られない、または1cm以下の破れが発生している。
○:1cmより大きく3cm以下の破れが発生している。
△:3cmより大きく5cm以下の破れが発生している。
×:5cmより大きい破れが発生している。
[使用原料]
・脂肪族芳香族ポリエステル(A−1):BASF社製 商品名「Ecoflex」
・脂肪族芳香族ポリエステル(A−2):S−EnPol社製 商品名「EnPol」
・脂肪族ポリエステル:三菱化学社製 商品名「GSPla FZ91PN」
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:BASFジャパン社製 商品名「Tinuvin326」
・トリアジン系紫外線吸収剤(B−1):BASFジャパン社製 商品名「Tinuvin1600」
・トリアジン系紫外線吸収剤(B−2):ソンウォン社製 商品名「Songsorb1577PW」
・ヒンダードアミン系光安定剤(C−1):BASFジャパン社製 商品名「Chimassorb944FD」
・ヒンダードアミン系光安定剤(C−2):BASFジャパン社製 商品名「Tinuvin622」
・ヒンダードアミン系光安定剤(C−3):BASFジャパン社製 商品名「Uvinul5050」
・ヒンダードアミン系光安定剤(C−4):三共社製 商品名「サノールLS770」
・無機充填材(タルク):日本ミストロン社製 商品名「MISTRON850JS」
[実施例1〜12及び比較例1〜4]
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び無機充填材については、事前に脂肪族ポリエステルと一定量で混合したものを二軸の押出し機を用いて溶融混練してマスターバッチを作製し、各々表1に記載されている配合により、ペレット状態でドライブレンドし、シリンダおよびダイス温度は脂肪族芳香族ポリエステルの溶融温度+40℃に設定し、モダン社製のインフレーション成形機を用いて、厚み18μm(実施例1〜12及び比較例1〜4)のフィルムを成形した。
得られたフィルムを上記の試験方法及び評価基準により、耐候性試験後の伸び残率、各波長域における全光線透過率、土中埋設後の破損を評価した。その結果を表1に示す。
また、実施例2、比較例1、参考例1及び参考例2の全光線透過率の測定値グラフを図1に示す。
Figure 2016112013
図1より、参考例2の脂肪族ポリエステルのみのフィルムは、200〜400nmの波長域の全光線透過率が高く、紫外線を吸収しないため、紫外線による劣化が起きにくいことが分かる。一方、参考例1の脂肪族芳香族ポリエステルのみのフィルムは、200〜400nmの波長域の全光線透過率が低く、紫外線を吸収するため紫外線による劣化が起きやすいことが分かる。
実施例2のフィルムは、250〜400nmの波長域の紫外線に高い吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤を含有させることによって、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂が吸収する紫外線の量を減少させることを可能とし、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂を主原料としたフィルムとした場合にも、耐候性を上げることが可能であることがわかる。
なお、比較例1のフィルムは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有させたものであり、紫外線吸収剤を含有させていない参考例1と比較すると200〜400nmの波長域の紫外線を若干吸収しているものの吸収量が不十分であるため、耐候性能が不十分であることが分かる。
表1より、本発明の生分解性フィルムは、耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)で良好な伸び残率を有しており耐候性に優れている結果が得られた。
また、実施例1〜12のいずれも、土中での埋設試験において、栽培期間を想定した4ヶ月経過後も破損していないことが確認された。
これに対して、脂肪族芳香族ポリエステル含有量が本発明で規定する含有量より少ない比較例2〜4においては、土中埋設試験4ヶ月経過時に分解が進行し、また本発明で規定するトリアジン系紫外線吸収剤を含有していない比較例1においては、土の表面に展張した箇所で早期に劣化が進行し、比較例1〜4のフィルムは、いずれも栽培期間中における農業用フィルムとしての性能、特に土中の温度を保温する性能として十分な性能を保有しない結果となった。
また、実施例1〜12のいずれも、畑での展張試験6ヶ月後において、土中に展張された環境における加水分解や微生物分解が進み、また、土の表面に展張された環境における紫外線による劣化も進んでおり、栽培期間終了後の土中に鋤き込まれた破片は、機械で処理ができる程度の状態となっており、次の栽培が開始されるまでに問題のない程度に分解が進むことを確認した。
従って、本発明により、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能を有すると共に雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する農業用生分解性フィルムを提供することが可能となる。

Claims (6)

  1. 生分解性樹脂組成物からなるフィルムであって、前記生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を当該組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有し、かつ250〜400nmの波長域に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする農業用生分解性フィルム。
  2. 前記生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量100質量部に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤を0.05〜1.0質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の農業用生分解性フィルム。
  3. 更にヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の農業用生分解性フィルム。
  4. 200〜400nmの波長域の全光線透過率の平均値が、27%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
  5. 400〜700nmの波長域の全光線透過率の平均値が、75%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
  6. 耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸び率が、耐候性試験機に暴露する前の引張破断伸び率に対して40%以上保持していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
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