JP2012031330A - 生分解性樹脂組成物及びそれを成形してなる成形体 - Google Patents

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裕之 金子
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Abstract

【課題】良好な機械強度を有し、生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物及びその成形体を提供する。
【解決手段】脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉、可塑剤及び生分解抑制剤を含有する生分解性樹脂組成物であって、脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉及び可塑剤の合計量100重量部に対して、脂肪族ポリエステル系樹脂を20重量部以上90重量部以下、澱粉を9重量部以上70重量部以下、可塑剤を1重量部以上20重量部以下、沸点が100℃以上230℃以下である生分解抑制剤を0.0001重量部以上5重量部以下含有してなる生分解性樹脂組成物とし、これを成形してなる成形体とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、良好な機械強度と制御された生分解速度とを有する生分解性樹脂組成物及びその成形体に関する。
従来、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において、紙、プラスチックフィルム、アルミ箔等が用いられている。特にプラスチックフィルムは強度、耐水性、成形性、透明性、コスト等において優れており、袋や容器として、多くの用途で使用されている。
近年、地球環境の保護の観点から生分解性樹脂が注目を浴びている。生分解性樹脂としての脂肪族ポリエステル樹脂は、成形性は良好であるが、例えばフィルムの機械的性質が不十分である(例えば、特許文献1参照)。
また、脂肪族ポリエステル樹脂の機械的性質やコストを改善する試みとして、澱粉と脂肪族ポリエステルとの組成物を調製することも行われているが、機械的特性の向上は図れても澱粉そのものが脂肪族ポリエステルよりも生分解速度が速いため、使用中に機械強度が低下する虞がある(例えば、特許文献2参照)。
また、生分解性樹脂そのものの生分解速度を抑制するために抗菌性金属イオンを溶出する無機抗菌剤を使用する例が開示されている(例えば、特許文献3参照)が、溶出した金属イオンの土壌汚染や澱粉併用に関する物性や生分解性の記載がなく、実使用には不安が残る。
同じく、生分解性樹脂の生分解速度を制御するという観点から生分解速度の抑制物質として天然由来の有機系抗菌剤を用いた例が開示されている(例えば、特許文献4参照)。生分解速度の制御という観点からは十分効果があるものと思われるが、生分解速度の促進物質である植物由来の有機物の分散性や、天然由来の有機系抗菌剤の分散性に特段の配慮がなされておらず、また、天然由来の有機系抗菌剤の添加量が多いので、機械的特性の低下が懸念される。
さらに、生分解性樹脂に対する生分解速度と機械的特性の低下防止を狙いとして油脂加工澱粉を用いる例が開示されている(例えば、特許文献5参照)。澱粉の生分解性樹脂中への分散が良くなるためか、機械的特性の低下防止には効果をもたらすが、澱粉配合により生分解速度を速くすることを目的としているため、やはり、使用中に機械的強度が低下する虞がある。
このような欠点を解消するため観点は異なるが、生分解性樹脂(変性澱粉含む)と鮮度保持剤と鮮度保持担持剤とからなる樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献6参照)。変性澱粉と鮮度保持剤、鮮度保持担持剤を併用していることから機械的強度低下、生分解速度促進による使用中の機械強度低下の欠点は改良されていることが想定されるものの、変性澱粉を使用するということでコスト、簡便性のメリットが失われている。
特開平8−239461号公報 特開平5−39381号公報 特開平5−117507号公報 特開2001−323177号公報 特開平8−283458号公報 特開2003−105216号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、良好な機械強度を有し、生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ジカルボン酸由来単位とジオール由来単位とを構成単位として有するポリエステル樹脂、澱粉、可塑剤、特定の沸点を有する生分解抑制剤、及び必要に応じて生分解抑制剤の担持体を選択し、特定の組成比率で含有させることにより、樹脂組成物中のポリエステル樹脂、澱粉及び生分解抑制剤が良好な分散状態となって、機械強度に優れるばかりでなく、生分解抑制剤が澱粉及び/または担持体中に保持されることにより生分解速度を適切に制御できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち第1の本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂と、澱粉と、可塑剤と、沸点が100℃以上230℃以下である生分解抑制剤と、を含有する生分解性樹脂組成物であって、脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉及び可塑剤の合計量100重量部に対して、脂肪族ポリエステル系樹脂を20重量部以上90重量部以下、澱粉を9重量部以上70重量部以下、可塑剤を1重量部以上20重量部以下、生分解抑制剤を0.0001重量部以上5重量部以下含有してなる生分解性樹脂組成物を提供するものである。
第1の本発明において、さらに、脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉及び可塑剤の合計量100重量部に対して、生分解抑制剤の担持体を20重量部以下含有してなることが好ましい。
第1の本発明において、生分解抑制剤が天然物由来化合物であることが好ましい。
第1の本発明において、担持体を構成する材料のSP値が20〜40(J/cm0.5であることが好ましい。
第1の本発明において、担持体が、シクロデキストリンからなることが好ましい。
第2の本発明は、第1の本発明に係る生分解性樹脂組成物を成形してなる成形体を提供するものである。
第2の本発明に係る成形体は、インフレーション成形してなるフィルムであることが好ましい。
本発明によれば、良好な機械強度を有し、生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物及びその成形体を提供することができる。
<1.生分解性樹脂組成物>
以下、本発明に係る生分解性樹脂組成物について説明するが、本発明は以下の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で任意に変形したものも含まれる。
なお、本明細書では「重合体」という語を、単一種の繰り返し構造単位から構成される重合体(所謂「単独重合体」)と、複数種の繰り返し構造単位から構成される重合体(所謂「共重合体」)とを包含する概念として使用する。
また、以下の記載では、ある単量体に由来する重合体の部分構造単位を、その単量体の名称に「単位」という言葉を付して表わす。例えば、ジカルボン酸に由来する部分構造単位は、「ジカルボン酸単位」という名称で表わされる。
また、同一の部分構造単位を与える単量体を、その部分構造単位の名称の「単位」を「成分」に換えた名称で総称する。例えば、芳香族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸ジエステル等の単量体は、重合体を形成する過程の反応は異なったとしても、いずれも芳香族ジカルボン酸単位を形成する。よって、これらの芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸ジエステル等を、「芳香族ジカルボン酸成分」という名で総称する。
本発明に係る生分解性樹脂組成物は、所定量の、脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉、可塑剤及び生分解抑制剤を含んでいる。好ましくは、さらに所定量の担持体を含んでいる。
(1.1.脂肪族ポリエステル系樹脂(生分解性樹脂))
本発明に係る生分解性樹脂組成物は生分解性樹脂として脂肪族ポリエステル系樹脂を含有している。尚、本発明において、「系樹脂」とは当該樹脂を主成分とするものであって、主成分とは当該成分が最も多いことを意味し、主成分以外の構成成分を含んでいても構わない。脂肪族ポリエステル系樹脂とは、脂肪族ポリエステルを主成分とするものである。具体的には、脂肪族ポリエステルを50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含むものが挙げられる。本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂では、脂肪族ポリエステル以外の構成成分を含んでいても構わず、例えば脂肪族ポリエステル構造以外に芳香族ポリエステル構造部分を共重合成分として有していても構わないし、脂肪族ポリエステル樹脂と、芳香族ポリエステル樹脂や芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂との混合物であっても構わない。具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂は、コハク酸(脂肪族ジカルボン酸)と1,4-ブタンジオール(脂肪族ジオール)からなる脂肪族ポリエステルのみならず、アジピン酸や1,4−シクロヘキサンジメタノール(環状ジオール)等からなる環状構造を備えた脂肪族ポリエステルであってもよく、また、共重合成分として当該環状構造を備えた脂肪族ポリエステル成分が含まれていてもよく、さらには、当該環状構造を備えた脂肪族ポリエステルと環状構造を備えない脂肪族ポリエステル樹脂とのポリマーアロイであってもよい。或いは、共重合成分としてテレフタル酸(芳香族ジカルボン酸)を含むような芳香族/脂肪族ポリエステルであってもよく、また、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステル及び/又は芳香族/脂肪族ポリエステルとのポリマーアロイであってもよい。
(1.1.1.脂肪族ポリエステル樹脂)
本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂は、ジオール単位及びジカルボン酸単位を含むものが好ましく、更に好ましくは、例えば、下記式(1)で表される鎖状脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに、下記式(2)で表される鎖状脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位からなる脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とするものである。
−O−R−O− (1)
[式(1)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に2種以上のRが含まれていてもよい。]
−OC−R−CO− (2)
[式(2)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に2種以上のRが含まれていてもよい。]
なお、式(1)、式(2)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基」の「及び」とは、構成成分の1分子中に2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基との両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下、「鎖状脂肪族及び/又は脂環式」を、単に「脂肪族」と略記する場合がある。
式(1)のジオール単位を与える脂肪族ジオール成分は特に限定はないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジオール成分が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール成分が特に好ましい。具体的には、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。脂肪族ジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
式(2)のジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分は特に限定はないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸成分が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸成分が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分の具体例としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、中でもコハク酸又はアジピン酸が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
更に、本発明における脂肪族ポリエステル樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、又はこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液であってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸成分の量は、脂肪族ポリエステル樹脂を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは、0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
また、本発明における脂肪族ポリエステル樹脂は、「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物」又は「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合すると、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の溶融粘度を高めることができるため好ましい。
3官能の脂肪族多価アルコール成分の具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられ、4官能の脂肪族多価アルコール成分の具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸成分又はその酸無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸又はその酸無水物が挙げられ、4官能の多価カルボン酸成分又はその酸無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、リンゴ酸等が好ましく用いられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
このような3官能以上の化合物の量は、脂肪族ポリエステル樹脂を構成する全構成成分中、下限は、通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限は、通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
本発明における好ましい脂肪族ポリエステル系樹脂は、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂、又はそれらの混合物である。すなわち、主成分である上記脂肪族ポリエステル樹脂として、特に好ましくは、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、又はそれらの混合物を用いる。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル樹脂は、公知の方法で製造することができる。例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステル樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が、通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
(1.1.2.芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂)
本発明で使用する脂肪族ポリエステル系樹脂は、上記脂肪族ポリエステル樹脂に替えて、或いは、上記脂肪族ポリエステル樹脂に加えて、芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂とは、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸、並びに、脂肪族ジオールを主成分とするものである。この場合の芳香族ジカルボン酸単位の含量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5モル%以上60モル%以下であることが好ましい。具体的には、例えば、下記式(3)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。ただし、オキシカルボン酸単位を有していてもよい。以下、芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂について説明する。
−O−R−O− (3)
[式(3)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R−CO− (4)
[式(4)中、Rは直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R−CO− (5)
[式(5)中、Rは2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(3)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(4)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸又はアジピン酸が好ましい。
式(5)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分及び芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、又はこれらの混合物等が挙げられる。更に、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液の何れであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
この脂肪族オキシカルボン酸成分の量は、芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂は、前記脂肪族ポリエステル樹脂と同様の製法により製造することができる。
本発明に用いられる芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
上記した芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部以上100重量部以下である。含有量の下限は、より好ましくは5重量部以上、特に好ましくは10重量部以上、最も好ましくは20重量部以上である。含有量の上限は、より好ましくは70重量部以下、特に好ましくは60重量部以下である。芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が多すぎると、フィルムのコシが不足し、各種包装材料として使用するためにはフィルムの厚さを厚くする必要がある場合がある。一方、芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が少なすぎると、引張り伸び率、引裂き強度等が不足する場合がある。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂の一例は、上記したような脂肪族ポリエステル樹脂を主成分とし、さらに芳香族/脂肪族ポリエステル樹脂を含み得るものである。本発明における生分解性樹脂組成物において、脂肪族ポリエステル系樹脂の含有量は、当該脂肪族ポリエステル系樹脂と、後述する澱粉及び可塑剤との合計量を基準(100重量部)として、20重量部以上90重量部以下であり、下限が好ましくは30重量部以上、より好ましくは35重量部以上、上限が好ましくは80重量部以下、より好ましくは70重量部以下である。ここで、20重量部より少ない場合は、フィルム成形あるいは射出成形が困難となる場合があり、また90重量部を越えると、フィルム引裂強度が不足する場合がある。
(1.2.澱粉)
本発明に係る生分解性樹脂組成物は澱粉を含有している。本発明における澱粉とは、分子式(C10の炭水化物(多糖類)で、具体的には、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉、α澱粉等が挙げられ、コーンスターチ又は馬鈴薯澱粉が好ましく、特に好ましくはコーンスターチである。これら澱粉の一部あるいは全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学的処理、あるいは脂肪酸誘導体、動物油、植物油等の油脂による混合・加熱処理等の物理的処理等を施した変性澱粉あるいは加工澱粉は含まない。
澱粉の配合量は、上述した脂肪族ポリエステル系樹脂と、当該澱粉と、後述する可塑剤との合計量を基準(100重量部)として、9重量部以上70重量部以下であり、下限が好ましくは15重量部以上、より好ましくは25重量部以上、上限が好ましくは60重量部以下、より好ましくは50重量部以下である。ここで、9重量部より少ないとフィルムの引裂強度などの物性改良効果が不十分となる場合があり、70重量部を超えると耐水性、耐加水分解性、柔軟性などが損なわれる可能性がある。尚、本発明においては、澱粉を含ませることにより、後述する生分解抑制剤が、脂肪族ポリエステル系樹脂中に保持されやすくなり、生分解抑制効果を適切に持続させることが可能となる。従来は低沸点(例えば、沸点が100℃〜230℃)の生分解抑制剤を樹脂に混ぜ込むことは、溶融状態で混練する時に必要となる温度の高さから考えて適用されるものではなかったが、本発明では澱粉を用いることでこれを可能とした。
(1.3.可塑剤)
本発明に係る生分解性樹脂組成物は可塑剤を含有している。本発明における可塑剤は、澱粉に対して親和性があるもので、水酸基を有していれば特に限定はないが、具体的には、例えば、水や、1価アルコール、多価アルコール、多価アルコールの部分エステル若しくは部分エーテル等の水酸基を含有する有機化合物が挙げられる。これらの中で好ましくは、ソルビトール、ペンタエリストール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ナノンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、グリセリンモノアルキルエステル、グリセリンジアルキルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、グリセリンジアルキルエーテル、ジグリセリン、ジグリセリンアルキルエステル等であり、より好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、グリセリンモノエステル、ソルビトール又はペンタエリスリトールであり、特に好ましくはグリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、プロピレングリコール又はエチレングリコールである。水及び水酸基を含有する有機化合物は、1種又は2種類以上が用いられる。
水酸基を含有する有機化合物の分子量は、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下、特に好ましくは2000以下であることが望ましい。
可塑剤の配合量は、上述した脂肪族ポリエステル系樹脂及び澱粉と、当該可塑剤との合計量を基準(100重量部)として、1重量部以上20重量部以下であり、下限が好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上、上限が好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。可塑剤の含有量が20重量部を超えると、可塑剤がフィルム表面からブリードアウトしたり、得られるフィルムの弾性率が低下したりする虞がある。一方、可塑剤の含有量が1重量部より少ないと、澱粉が十分に可塑化できず、澱粉の分散粒子径が粗くなる虞がある。
(1.4.生分解抑制剤)
本発明に係る生分解性樹脂組成物は、沸点が100℃〜230℃である生分解抑制剤を含有している。ここで、「沸点」とは、1気圧(1013.25[hPa])における沸点を意味する。本発明における生分解抑制剤としては、生分解性を抑制する効果を有するものであれば如何なるものでも採用することが可能であるが、通常、抗菌性及び防カビ性の少なくとも一方を有する化合物を使用する。本発明では、生分解抑制剤として沸点が100℃〜230℃のものを採用した場合でも、生分解を抑制する効果を長期間維持することが可能な点に特徴を有する。
生分解抑制剤の例としては、沸点が上記範囲内のものであれば特に限定されるものではないが、ハロゲン系、アルコール系、フェノール系、エステル系、エポキシ系、イミダゾール系、チアゾール系、チオカーバメート系、界面活性剤系といった合成系化合物(例えば、クロルピクリン、クレゾール、酢酸フェニル、ブロム酢酸、クロロ酢酸エチル、グルタルアルデヒド等)、あるいはキチン系、キトサン系、プロポリス系、ポリリジン系、イソシアン酸エステル系(例えば、アリルイソチオシアネート)、テルペン系(例えば、α−テルピネオールやリモネン)、その他植物成分系(例えば、ヒノキチオール)といった天然由来化合物があげられる。特に、生分解後の使用環境に対する残留性、安全性などの観点から、天然由来化合物が好ましく、なかでもイソシアン酸エステル、ヒノキチオール、テルペン系化合物が特に好ましい。
上記の生分解抑制剤の配合量は、上述した脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉、及び可塑剤の合計量100重量部に対して、0.0001重量部以上5重量部以下であり、下限が好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上、上限が好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記の範囲とすることにより、樹脂組成物の生分解速度が必要以上に速くなって使用中に問題を生じることなく、しかも生分解が進まず環境上の問題を生じる等の不都合を生じることもない速度に、生分解速度を制御することが可能となる。
(1.5.担持体)
本発明に係る生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂組成物製造時の生分解抑制剤の取り扱いを容易にし、且つ、上記脂肪族ポリエステル系樹脂等への分散をより良くし、かつ生分解抑制剤の効果をより適切に持続させるために、さらに、生分解抑制剤を担持体に内包あるいは担持させることが好ましい。この場合、生分解抑制剤と担持体とが包接化合物を形成することが好ましい。特に、生分解抑制剤が包接化合物に内包された形態が好ましい。
かかる担持体を構成する材料のSP値は、20〜40(J/cm0.5であることが好ましく、このような材料を選択することにより、上記脂肪族ポリエステル系樹脂等への生分解抑制剤の分散を一層好適なものとすることが可能となり、機械的性質を一層向上させ、より適切に生分解速度の制御が可能となる。
好ましい担持体としてはセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ビスコースレーヨン、再生セルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の誘導体を含むセルロースがあげられる。また、好ましい包接化合物を形成する担持体としては、α―シクロデキストリン、β―シクロデキストリン、γ―シクロデキストリン及びヒドロキシメチルシクロデキストリン、ヒドロキシエチルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、ヒドロキシブチルシクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリン、トリメチルシクロデキストリン、ジエチルシクロデキストリン、トリエチルシクロデキストリン、トリアセチルシクロデキストリン、カルボキシメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリン、ジマルトシルシクロデキストリン等の誘導体を含むシクロデキストリンがあげられる。
生分解抑制剤を担持体に内包あるいは担持させる方法としては、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、飽和水溶液法、混練法、混合粉砕法等の一般的な方法を用いることができる。
本発明の生分解性樹脂組成物において、上記担持体の含有量は、上述した脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉、及び可塑剤の合計量100重量部に対して、20重量部以下であり、下限が好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、上限が好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。この範囲とすることにより、生分解抑制剤の分散性が向上し、機械的特性の低下を防止することができ、また生分解抑制剤の効果をより持続させることができる。
(1.6.その他の成分)
本発明に係る生分解性樹脂組成物においては、相溶化剤、無機充填剤、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散助剤、界面活性剤、スリップ剤、加水分解防止剤、末端封止剤等の「その他の成分」を使用してもよい。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に使用できる。
(1.6.1.相溶化剤)
本発明の生分解性樹脂組成物には、相溶化剤を含有していてもよい。相溶化剤とは、非相溶性の異種樹脂、或いは澱粉と樹脂を混合する際に、相溶性を改良する添加剤である。溶化剤を添加することにより、相溶性を向上させることができる。
相溶化剤は、上述した脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉、及び可塑剤の合計量100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下添加するのが好ましい。
相溶化剤の例としては、高分子型相溶化剤、低分子の有機化合物、無機化合物、有機無機複合体等が挙げられるが、高分子型相溶化剤、低分子の有機化合物が成形品の物性の点で好ましく、成形プロセスの観点から、高分子型相溶化剤がより好ましい。また、相溶化剤としては、酸無水物基、グリシジル基、エーテル基のいずれかの構造を有するものであることが好ましく、これらいずれかの構造を有する高分子型相溶化剤がより好ましい。これらの構造を有する相溶化剤を用いることにより、上記相溶性を向上させる効果が大きくなる。
高分子型相溶化剤としては、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、アクリル系、スチレン系、ウレタン系、ポリアセタール系、オレフィン系エラストマー、不飽和脂肪族系エラストマー、水添不飽和脂肪族系エラストマー等の樹脂及びこれらの2種類以上のブロック、グラフト又は、ランダム共重合体が挙げられる。これらの共重合体に更に不飽和脂肪酸無水物を付加させる等して極性基を分子中に導入してもよい。付加させる不飽和脂肪酸無水物として無水マレイン酸が好ましく用いられる。
この中でも、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、アクリル系、スチレン系、オレフィン系エラストマー、不飽和脂肪族系エラストマー、水添不飽和脂肪族系エラストマー及びこれらの2種以上の共重合体等がより好ましく、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、アクリル系、スチレン系、水添不飽和脂肪族系エラストマー及びこれらの2種以上の共重合体が更に好ましい。
(1.6.2.無機充填剤)
本発明の生分解性樹脂組成物には、無機充填剤を配合させても良い。かかる無機充填剤としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、「珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩」、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の生分解性樹脂組成物に含有される無機充填剤の量は特に限定はないが、上述した脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉、及び可塑剤の合計量100重量部に対して、無機充填剤が、1重量部以上30重量部以下が好ましい。無機充填剤が少なすぎる場合は、機械物性改良効果が少なくなる場合があり、一方、多すぎる場合は、成形性及び耐衝撃性が悪化する場合がある。
(1.6.3.各種添加剤)
本発明における生分解性樹脂組成物には、更に、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散助剤や各種界面活性剤、スリップ剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
防曇剤はあらかじめ樹脂に防曇剤を練りこんでもよいし、成形後、成形品表面に塗布してもよい。使用する防曇剤は具体的には、炭素数4以上20以下の飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールのエステル系界面活性剤が好ましく用いられる。スリップ剤としては、炭素数6〜30の不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイドが挙げられるが、最も好ましくはエルカ酸アマイドが挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、炭素数6〜30の飽和脂肪酸アマイド、飽和脂肪酸ビスアマイド、メチロールアマイド、エタノールアマイド、天然シリカ、合成シリカ、合成ゼライト、タルク等が挙げられる。
耐光剤としてはビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネートが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールが特に好ましい
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に用いられ、イルガノックス3790(1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン)、イルガノックス1330(3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール)が特に好ましい。
これらの添加剤の添加量は、上述した脂肪族ポリエステル系樹脂、澱粉、及び可塑剤の合計量100重量部に対して、通常0.001重量部以上10重量部以下である。
主に大気中の水分等による加水分解を抑制する目的で用いられる末端封止剤として、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられるが、その中でも分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)で、モノカルボジイミド化合物として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示できる。これらの中では、工業的に入手が容易なジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
<2.混練・成形方法>
(2.1.混練方法)
本発明において、上記脂肪族ポリエステル系樹脂等を含む生分解性樹脂組成物は、従来公知の混合/混練技術を用いて混合/混練される。混合機としては、水平円筒型、V字型、二重円錐型混合機やリボンブレンダー、スーパーミキサーのようなブレンダー、また各種連続式混合機等を使用できる。また、混練機としては、ロールやインターナルミキサーのようなバッチ式混練機、一段型、二段型連続式混練機、二軸スクリュー押し出し機、単軸スクリュー押し出し機等を使用できる。
本発明の生分解性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、ブレンドした原料を同一の押出機で溶融混合する方法、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙げられる。また、各々の原料を直接成形機に供給して生分解性樹脂組成物を調製すると同時に、その成形体を得ることも可能である。各成分を混合して加熱溶融させたところに、各種添加剤、無機充填剤、有機充填剤、他の生分解性樹脂等を添加して配合する方法等が挙げられる。また、この際、前記の各種添加剤を均一に分散させる目的で、ブレンド用オイル等を使用することもできる。
(2.2.成形方法)
本発明の生分解性樹脂組成物は、汎用プラスチックに適用される各種成形法により成形に供することができる。その成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押し出し成形や共押し出し成形(インフレーション法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工)、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。中でも、押し出し成形、射出成形、発泡成形、中空成形が好適に適用される。具体的な形状としては、フィルム、容器及び繊維への適用が好ましい。本発明の生分解性樹脂組成物は、良好な溶融特性及び機械物性を有しているため、インフレーション成形してなるフィルム、更にはインフレーション成形してなるフィルムから製造される製品に好ましく用いられる。
<3.用途>
本発明の生分解性樹脂組成物は、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において好適に用いられる。その具体的用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレーやファーストフードの容器、野外レジャー製品等)、押出成形品(フィルム、例えば釣り糸、漁網、植生ネット、保水シート等)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋等が挙げられる。
本発明の生分解性樹脂組成物は、良好な成形性や機械強度を有し、生分解速度が制御されている為、特に、インフレーション成形してなるフィルムから製造されるショッピングバッグ又はゴミ袋に適用されることが好ましい。
更に、包装用資材、例えば、包装用フィルム、袋、トレー、ボトル、緩衝用発泡体、魚箱等、及び、農業用資材、例えば、マルチングフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、防草シート、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢等が挙げられる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例により限定されるものではない。
<組成物の製造、成型>
(原料)
・ポリブチレンサクシネート系樹脂
ポリブチレンサクシネート系樹脂として、三菱化学(株)社製ポリブチレンサクシネート系樹脂GSPla(グレード名:AD92WN)を使用した。
・ポリアルキレンテレフタレートアジペート系樹脂
ポリアルキレンテレフタレートアジペート系樹脂として、BASF社製ポリブチレンテレフタレートアジペート系樹脂Ecoflex(グレード名:FBX7011)を使用した。
・澱粉
澱粉として、未加工澱粉であるコーンスターチ(日本コーンスターチ社製;Y−3P)を使用した。
・可塑剤
澱粉の可塑剤として、グリセリン(和光純薬社製:特級)を使用した。
・生分解抑制剤(抗菌、防カビ剤)
生分解抑制剤として、アリルイソチオシアネート(1気圧における沸点150℃)、又は、ヒノキチオール(1気圧における沸点140℃)を使用した。
・担持体
担持体として、β−シクロデキストリンを使用した。
(混練)
混練は、日本製鋼所社製の二軸スクリュー式押出機TEX30(22シリンダー:L/D=77)を用い、設定温度を80〜160℃、スクリュー回転数を150〜300rpmとして使用した。
(インフレーション成型)
インフレーション成形は、エンプラ産業株式会社製形式E30SPにより、ブロー比3、折り径360mm、成型温度160℃で厚さ20μmのフィルムを成型し、後の測定に供した。
(カビ抵抗性の判定基準)
生分解抑制効果の指標の一つとして、カビ抵抗性を評価した。判定基準は下記の通りとした。
0 : 50倍の実体顕微鏡で観察して、試料表面にカビの生育が認められない。
1 : 試料表面を肉眼で観察して、カビの生育が認められない。
2 : 試料表面の25%未満で、カビの生育が認められる。
3 : 試料表面の25%以上50%未満で、カビの生育が認められる。
4 : 試料表面の50%以上100%未満で、カビの生育が認められる。
5 : カビの生育が試料表面を完全に覆い尽くしている。
(土壌展張試験)
三重県松阪市嬉野川北町の圃場にて、4月〜5月の30日間展張したフィルムサンプルについて、引張試験及びカビ抵抗性を実施した。展張前後の引張破断伸度に関して、下記式に従って強度保持率を算出した。
強度保持率(%)=展張後の引張破断伸度/展張前の引張破断伸度
ここで、強度保持率が大きいほど、当該フィルムを使用中に充分な強度を維持することが可能となることを示すものであって、好ましい。
(引裂き強度の測定方法)
JIS K7128に準拠して土壌展張試験実施前のフィルムのMD方向(流れ方向)のエルメンドルフ引裂き強度を測定した。
(引張試験)
JIS K7113に準拠して、引張降伏応力、引張破断応力、引張破断伸びについて測定した。土壌展張試験前の材料を測定した結果を「初期」の値とし、土壌展張試験後の材料を測定した結果を「展張後」の値として、初期の値から展張後の値を引いた差を、それぞれ引張降伏応力差、引張破断応力差、引張破断伸び差として、表1に記載した。これらの値が小さいほど、当該フィルムを使用中に充分な強度を維持することが可能となることを示すものであって、好ましい。
(実施例1)
コーンスターチ30重量部、Ecoflex20重量部、グリセリン6重量部を、スクリュー式2軸押出機に供給し混練したあと、ベント部にて水蒸気を除去し、その後GSPla44重量部、アリルイソチオシアネート0.1重量部及びβ−シクロデキストリン0.9重量部をサイドフィードし混練を行った。ダイスから該樹脂組成物をストランド上に押出し、水槽にて冷却後カッティングし、白色のペレットを得た。その後、樹脂組成物のペレットを、70℃、窒素雰囲気下で8時間乾燥を行なった。その後、このペレットを用いてインフレーション成型に供したところ、成型は容易で表面も平滑なフィルムが得られ、引張応力、伸び、引張弾性率、引裂き強度ともに強いフィルムが得られた。また、所定日数展張後の強度保持率、カビ抵抗性を下記表−1に示す。
(実施例2〜5)
下記表−1で示されるように各成分の量比を変えたこと以外は実施例1に準ずる。
(比較例1〜4)
下記表−2で示されるように各成分の量比を変えたこと以外は実施例1に準ずる。
Figure 2012031330
尚、表中の「−」は当該材料を使用していないことを示す。
Figure 2012031330
尚、表中の「−」は当該材料を使用していないことを示す。
表−1及び表−2の結果から分かるように、実施例1〜5に係る生分解性樹脂組成物を用いて成形されたフィルムは、いずれも、比較例1に係るフィルムと比較して、引張降伏応力差、引張破断伸び差、強度保持率、カビ抵抗性(生分解抑制性)に優れていることが分かる。また、比較例2では、多量のアリルイソチオシアネートを用いたことで、インフレーション成形時に穴あきが発生し、フィルムサンプルを得ることができなかった。さらに、比較例3、4は、澱粉、担持体を含まないフィルムの評価結果を示しており、生分解抑制剤のみ配合してもカビ抵抗性は向上しない。以上より、実施例1〜5に係る生分解性樹脂組成物を用いることで、機械特性と生分解速度の制御性能とを両立した、総合的に優れた性能を有するフィルムが得られると言える。
本発明の生分解性樹脂組成物及びその成形体は、機械特性に優れるとともに、制御された生分解速度を有する為、各種食品、薬品、雑貨用の粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等に広く利用されるものである。

Claims (7)

  1. 脂肪族ポリエステル系樹脂と、澱粉と、可塑剤と、沸点が100℃以上230℃以下である生分解抑制剤と、を含有する生分解性樹脂組成物であって、
    前記脂肪族ポリエステル系樹脂、前記澱粉及び前記可塑剤の合計量100重量部に対して、
    前記脂肪族ポリエステル系樹脂を20重量部以上90重量部以下、
    前記澱粉を9重量部以上70重量部以下、
    前記可塑剤を1重量部以上20重量部以下、
    前記生分解抑制剤を0.0001重量部以上5重量部以下含有してなる生分解性樹脂組成物。
  2. さらに、前記脂肪族ポリエステル系樹脂、前記澱粉及び前記可塑剤の合計量100重量部に対して、前記生分解抑制剤の担持体を20重量部以下含有してなる、請求項1に記載の生分解性樹脂組成物。
  3. 前記生分解抑制剤が天然物由来化合物である、請求項1または請求項2に記載の生分解性樹脂組成物。
  4. 前記担持体を構成する材料のSP値が20〜40(J/cm0.5である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の生分解性樹脂組成物。
  5. 前記担持体が、シクロデキストリンからなる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の生分解性樹脂組成物。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の生分解性樹脂組成物を成形してなる成形体。
  7. 前記成形体が、インフレーション成形してなるフィルムである請求項6に記載の成形体。
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KR101729892B1 (ko) * 2016-03-17 2017-05-02 장선웅 친환경 부표

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