JP2013147609A - 樹脂組成物、成形体、フィルム及び袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融混合時等における溶融粘度の低下を抑制することが可能な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリエステル系樹脂(A)と、澱粉(B)と、脂環式構造を有するアルコール(C)とを含んでなる、樹脂組成物とする。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステル系樹脂(A)と、澱粉(B)と、脂環式構造を有するアルコール(C)とを含んでなる、樹脂組成物とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリエステル系樹脂、澱粉、及び脂環式構造を有するアルコールを含んでなる樹脂組成物に関する。
従来、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等、幅広い用途において、紙、プラスチック、金属箔等が用いられている。特にプラスチックは強度、耐水性、成形性、透明性、コスト等において優れており、フィルム、袋、或いは容器等の多くの用途で使用されている。代表的なプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。しかしながら、これら樹脂は、自然環境化において分解し難く、また、焼却処理を行う場合に有害なガスを発生したり、焼却炉を傷めたりする等の問題がある。
上記問題を解決すべく、様々な樹脂が研究されている。例えば、自然環境化において分解し易いポリエステル系樹脂が注目されている。当該ポリエステル系樹脂を成形してなるフィルムは、例えば、使用後、土中に埋設することで分解されるため、温暖化防止、土壌及び大気の汚染防止を図ることができる。しかしながら、ポリエステル系樹脂を成形してなるフィルムは、一般的に機械的物性に劣るものが多い。そこで、ポリエステル系樹脂を成形してなるフィルムにおいて、機械的物性を改善するための研究が数多くなされている。
例えば、特許文献1には、澱粉と、脂肪族ポリエステルと、脂肪族芳香族ポリエステルとを特定の割合で混合した樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、澱粉を含有する分散相と、熱可塑性ポリマーにより構成される連続層とを有する樹脂組成物が開示されている。さらに、特許文献3には、澱粉と脂肪族ポリエステルと多価アルコールとを特定の割合で混合した樹脂組成物が開示されている。
特許文献1〜3に開示された樹脂組成物のように、ポリエステル系樹脂とともに澱粉を含ませることにより、フィルムとした場合の機械的物性を向上させることが可能と考えられる。特に、樹脂組成物において、澱粉を可塑化して分散させることにより、澱粉を均一に分散させることができ、フィルムとした場合の機械的物性が一層向上する。すなわち、樹脂組成物においては、ポリエステル系樹脂及び澱粉とともに、可塑剤を含ませることが好ましい。
従来好適に用いられている可塑剤としては、例えば、グリセリンが挙げられる。しかしながら、グリセリンを含む樹脂組成物は溶融混合時等に長時間加熱するとポリエステル系樹脂が加水分解してしまうという問題があった。すなわち、樹脂組成物にグリセリンを含ませた場合、溶融混合時に長時間加熱すると樹脂組成物中のポリエステル系樹脂が分解して分子量が低下する結果、樹脂組成物の溶融粘度が低下して成形加工が困難となり、さらに、成形体とした場合の機械的強度が低下してしまうという問題もあった。
そこで、本発明は、溶融混合時等における長時間加熱した際の溶融粘度の低下を抑制することが可能な樹脂組成物、該樹脂組成物を成形してなる成形体、フィルム、及び袋を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、脂肪族ポリエステル系樹脂と澱粉と脂環式構造を有するアルコールとを含む樹脂組成物とすることで、澱粉を十分に可塑化できるとともに、溶融時の樹脂組成物の分解が抑制され、樹脂組成物の溶融粘度の低下を抑制できることを知見した。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、
本発明の第1の態様は、ポリエステル系樹脂(A)と、澱粉(B)と、脂環式構造を有するアルコール(C)とを含んでなる、樹脂組成物である。
本発明の第1の態様は、ポリエステル系樹脂(A)と、澱粉(B)と、脂環式構造を有するアルコール(C)とを含んでなる、樹脂組成物である。
本発明において「ポリエステル系樹脂」とは、樹脂を構成する成分のうち主成分となる成分がポリエステルであるものを意味し、ポリエステル以外の構成成分を含んでいてもよい主旨である。具体的には、ポリエステルを50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含むものが挙げられる。「ポリエステル」とは、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、或いは芳香族脂肪族共重合ポリエステルを例示できる。
また、本発明において「脂環式構造」には、酸素原子等のヘテロ原子が含まれていてもよい。例えばエーテル環構造も脂環式構造に含まれる。特に、本発明では、下記のような脂環式構造を有するアルコールを用いることが好ましい。
すなわち、本発明の第1の態様において、脂環式構造を有するアルコール(C)が、下記構造式(1)で表される化合物であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、澱粉(B)に含まれる水分量が12wt%以上であってもよい。本発明では、脂環式構造を有するアルコール(C)が含まれることによって、溶融時における樹脂組成物の加水分解が抑制されているため、澱粉中の水分量が12wt%以上であっても、樹脂組成物の溶融粘度の低下を抑制可能である。また、澱粉中の水分が澱粉の可塑剤となるため、澱粉中の水分量が12wt%以上であることで、澱粉が可塑化され易くなり、樹脂組成物において澱粉(B)を均一に分散させることができ、ひいては機械的強度に一層優れる樹脂組成物とすることができる。
本発明の第1の態様において、澱粉(B)が変性されたものであることが好ましい。
ここで、「変性」とは、化学的、物理的、生物学的等のあらゆる変性を含むものである。化学的変性としては、澱粉の構成単位の一部又は全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性することを示し、特には、水酸基をエーテル化又はエステル化することを示す。また物理変性は、結晶化度を変化させること等、物理的性質を変化させることを示す。また生物学的変性は、生物を用いて化学構造等を変化させることを示す。澱粉(B)を変性することで、澱粉(B)が可塑化され易くなり、樹脂組成物において澱粉(B)を一層均一に分散させることができ、ひいては機械的強度に一層優れる樹脂組成物とすることができる。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係る樹脂組成物を成形してなる、成形体である。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る樹脂組成物を成形してなる、フィルムである。
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様に係るフィルムを成形してなる、袋である。
本発明に係る樹脂組成物は、脂環式構造を有するアルコールを含むことによって、溶融時における粘度低下が抑制されている。樹脂組成物の溶融粘度の低下が抑制されることで、成形後、機械的強度に優れた成形体とすることができる。また、脂環式構造を有するアルコールは、樹脂組成物における澱粉を十分に可塑化させることができ、樹脂組成物において澱粉を均一に分散させることができる。これにより、機械的強度に一層優れる成形体とすることができる。さらに、溶融粘度の低下が抑制されることで、成形加工性に優れたものとすることができる。例えば、インフレーション成形時のフィルムの厚みムラや、成形品のサイズムラを防ぐことができる。
<1.樹脂組成物>
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で任意に変形したものも含まれる。本発明の樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂、澱粉、及び脂環式構造を有するアルコールを含んでなるものである。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で任意に変形したものも含まれる。本発明の樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂、澱粉、及び脂環式構造を有するアルコールを含んでなるものである。
なお、本明細書では「重合体」という語を、単一種の繰り返し構造単位から構成される重合体(所謂「単独重合体」)と、複数種の繰り返し構造単位から構成される重合体(所謂「共重合体」)とを包含する概念として使用する。
また、以下の記載では、ある単量体に由来する重合体の部分構造単位を、その単量体の名称に「単位」という言葉を付して表す。例えば、ジカルボン酸に由来する部分構造単位は、「ジカルボン酸単位」という名称で表される。
また、同一の部分構造単位を与える単量体を、その部分構造単位の名称の「単位」を「成分」に換えた名称で総称する。例えば、芳香族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸ジエステル等の単量体は、重合体を形成する過程の反応は異なったとしても、いずれも芳香族ジカルボン酸単位を形成する。よって、これらの芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸ジエステル等を、「芳香族ジカルボン酸成分」という名で総称する。
また、以下の記載では、ある単量体に由来する重合体の部分構造単位を、その単量体の名称に「単位」という言葉を付して表す。例えば、ジカルボン酸に由来する部分構造単位は、「ジカルボン酸単位」という名称で表される。
また、同一の部分構造単位を与える単量体を、その部分構造単位の名称の「単位」を「成分」に換えた名称で総称する。例えば、芳香族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸ジエステル等の単量体は、重合体を形成する過程の反応は異なったとしても、いずれも芳香族ジカルボン酸単位を形成する。よって、これらの芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸ジエステル等を、「芳香族ジカルボン酸成分」という名で総称する。
(1.1.ポリエステル系樹脂(A))
本発明に係る樹脂組成物はポリエステル系樹脂(A)を含有している。尚、本発明において、「系樹脂」とは当該樹脂を主成分とするものであって、主成分とは当該成分が最も多いことを意味し、主成分以外の構成成分を含んでいても構わない。ポリエステル系樹脂(A)とは、ポリエステルを主成分とするものである。具体的には、ポリエステルを50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含むものが挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物はポリエステル系樹脂(A)を含有している。尚、本発明において、「系樹脂」とは当該樹脂を主成分とするものであって、主成分とは当該成分が最も多いことを意味し、主成分以外の構成成分を含んでいても構わない。ポリエステル系樹脂(A)とは、ポリエステルを主成分とするものである。具体的には、ポリエステルを50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含むものが挙げられる。
ポリエステル系樹脂(A)としては、脂肪族ポリエステルを主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステルを主成分とする芳香族ポリエステル系樹脂、芳香族脂肪族共重合ポリエステルを主成分とする芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂、或いはこれらの混合物を例示できる。
(1.1.1.脂肪族ポリエステル系樹脂)
本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂とは、下記式(1)で表される鎖状脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに、下記式(2)で表される鎖状脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位からなる脂肪族ポリエステルを主成分とするものである。
本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂とは、下記式(1)で表される鎖状脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに、下記式(2)で表される鎖状脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位からなる脂肪族ポリエステルを主成分とするものである。
−O−R1−O− (1)
[式(1)中、R1は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に2種以上のR1が含まれていてもよい。]
[式(1)中、R1は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に2種以上のR1が含まれていてもよい。]
−OC−R2−CO− (2)
[式(2)中、R2は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に2種以上のR2が含まれていてもよい。]
[式(2)中、R2は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に2種以上のR2が含まれていてもよい。]
なお、式(1)、式(2)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基」の「及び」とは、構成成分の1分子中に2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下、「鎖状脂肪族及び/又は脂環式」を、単に「脂肪族」と略記する場合がある。
式(1)のジオール単位を与える脂肪族ジオール成分は特に限定はないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジオール成分が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール成分が特に好ましい。具体的には、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。脂肪族ジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
式(2)のジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分は特に限定はないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸成分が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸成分が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分の具体例としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、中でもコハク酸又はアジピン酸が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
更に、本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、又はこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液であってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸成分の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは、0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
また、本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂は、「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物」又は「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合すると、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の溶融粘度を高めることができるため好ましい。
3官能の脂肪族多価アルコール成分の具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられ、4官能の脂肪族多価アルコール成分の具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸成分又はその酸無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸又はその酸無水物が挙げられ、4官能の多価カルボン酸成分又はその酸無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、リンゴ酸等が好ましく用いられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
このような3官能以上の化合物の量は、脂肪族ポリエステル樹脂を構成する全構成成分中、下限は、通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限は、通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
本発明における好ましい脂肪族ポリエステル系樹脂は、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂、又はそれらの混合物である。すなわち、脂肪族ポリエステル樹脂として、特に好ましくは、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、又はそれらの混合物を用いる。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル系樹脂は、公知の方法で製造することができる。例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が、通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
(1.1.2.芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂)
本発明における芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂とは、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸、並びに、脂肪族ジオールからなる芳香族脂肪族共重合ポリエステルを主成分とするものである。この場合の芳香族ジカルボン酸単位の含量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5モル%以上60モル%以下であることが好ましい。具体的には、例えば、下記式(3)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。ただし、オキシカルボン酸単位を有していてもよい。
本発明における芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂とは、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸、並びに、脂肪族ジオールからなる芳香族脂肪族共重合ポリエステルを主成分とするものである。この場合の芳香族ジカルボン酸単位の含量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5モル%以上60モル%以下であることが好ましい。具体的には、例えば、下記式(3)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。ただし、オキシカルボン酸単位を有していてもよい。
−O−R3−O− (3)
[式(3)中、R3は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(3)中、R3は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R4−CO− (4)
[式(4)中、R4は直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(4)中、R4は直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R5−CO− (5)
[式(5)中、R5は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(5)中、R5は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(3)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(4)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸又はアジピン酸が好ましい。
式(5)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分及び芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、又はこれらの混合物等が挙げられる。更に、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
この脂肪族オキシカルボン酸成分の量は、芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂は、前記脂肪族ポリエステル系樹脂と同様の製法により製造することができる。
本発明に用いられる芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
(1.1.3.芳香族ポリエステル系樹脂)
本発明における芳香族ポリエステル系樹脂とは、芳香族ジカルボン酸、及び、脂肪族ジオールからなる芳香族ポリエステルを主成分とするものである。具体的には、例えば、下記式(6)で表される脂肪族ジオール単位、及び、下記式(7)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。ただし、オキシカルボン酸単位を有していてもよい。
本発明における芳香族ポリエステル系樹脂とは、芳香族ジカルボン酸、及び、脂肪族ジオールからなる芳香族ポリエステルを主成分とするものである。具体的には、例えば、下記式(6)で表される脂肪族ジオール単位、及び、下記式(7)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。ただし、オキシカルボン酸単位を有していてもよい。
−O−R3−O− (6)
[式(6)中、R3は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(6)中、R3は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R5−CO− (7)
[式(7)中、R5は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(7)中、R5は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(6)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(7)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸であってもよい。なお、脂肪族ジオール成分及び芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における芳香族ポリエステル系樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、又はこれらの混合物等が挙げられる。更に、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
この脂肪族オキシカルボン酸成分の量は、芳香族ポリエステル系樹脂を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
芳香族ポリエステル系樹脂は、前記脂肪族ポリエステル系樹脂や芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂と同様の製法により製造することができる。
本発明に用いられる芳香族ポリエステル系樹脂の固有粘度は、通常0.5〜2dl/g、中でも0.6〜1.5dl/g、特には0.7〜1.0dl/gであることが好ましい。
本発明におけるポリエステル系樹脂(A)としては、上記した脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂、或いは芳香族ポリエステル系樹脂のうちのいずれか2種以上を混合したものを用いてもよい。例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂と芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂との混合物を用いる場合、芳香族脂肪族共重合ポリエステル系樹脂の含有量は、脂肪族ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上100質量部以下である。含有量の下限は、より好ましくは5質量部以上、特に好ましくは10質量部以上、最も好ましくは20質量部以上である。含有量の上限は、より好ましくは70質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。このような範囲とすることで、フィルムのコシが増し、各種包装材料として使用する場合にフィルムの厚さを薄くすることができる。また、フィルムとした場合において、引張り伸び率や引裂き強度等に優れたものとすることができる。
本発明における樹脂組成物において、ポリエステル系樹脂(A)の含有量は、当該ポリエステル系樹脂(A)と、後述する澱粉(B)及び脂環式構造を有するアルコール(C)との合計量を基準(100重量部)として、20重量部以上90重量部以下であり、好ましくは30重量部以上80重量部以下、より好ましくは35重量部以上70重量部以下である。ここで、20重量部より少ない場合は、フィルム成形あるいは射出成形が困難となる場合があり、また90重量部を越えると、フィルム引裂強度が著しく不足する場合がある。
(1.2.澱粉(B))
本発明における澱粉(B)とは、分子式(C6H10O5)nの炭水化物(多糖類)で、多数のα−グルコース分子がグリコシド結合によって重合した天然高分子やその変性物である。ここで「変性」は、化学的、物理的、生物学的等のあらゆる変性を含むものである。化学的変性としては、澱粉の構成単位の一部又は全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性することを示し、特には、水酸基をエーテル化又はエステル化することを示す。また物理変性は、結晶化度を変化させること等、物理的性質を変化させることを示す。また生物学的変性は、生物を用いて化学構造等を変化させることを示す。変性澱粉は可塑化されやすく、本発明に特に好適に用いることができる。
本発明における澱粉(B)とは、分子式(C6H10O5)nの炭水化物(多糖類)で、多数のα−グルコース分子がグリコシド結合によって重合した天然高分子やその変性物である。ここで「変性」は、化学的、物理的、生物学的等のあらゆる変性を含むものである。化学的変性としては、澱粉の構成単位の一部又は全部をエステル化、エーテル化、酸化、還元、カップリング、脱水、加水分解、脱水素、ハロゲン化等の化学反応により変性することを示し、特には、水酸基をエーテル化又はエステル化することを示す。また物理変性は、結晶化度を変化させること等、物理的性質を変化させることを示す。また生物学的変性は、生物を用いて化学構造等を変化させることを示す。変性澱粉は可塑化されやすく、本発明に特に好適に用いることができる。
本発明における澱粉(B)は、具体的には、例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉、α澱粉等が挙げられ、コーンスターチ又は馬鈴薯澱粉が好ましく、特に好ましくはコーンスターチである。
澱粉(B)の配合量は上述したポリエステル系樹脂(A)、当該澱粉(B)、及び後述する脂環式構造を有するアルコール(C)の合計量を基準(100重量部)として、9重量部以上70重量部以下であり、好ましくは20重量部以上60重量部以下、より好ましくは25重量部以上50重量部以下である。ここで、9重量部より少ないとフィルムの引裂強度などの物性改良効果が不十分となる場合があり、70重量部を超えると耐水性、耐加水分解性、柔軟性などが損なわれる可能性がある。
(1.3.脂環式構造を有するアルコール(C))
本発明における脂環式構造を有するアルコール(C)(脂環式アルコール(C))は、脂環式構造を有し、且つ、澱粉に対して親和性があるアルコールあれば特に限定はない。ここで、脂環式構造とは、酸素原子等のヘテロ原子を有するものであってもよい。
本発明における脂環式構造を有するアルコール(C)(脂環式アルコール(C))は、脂環式構造を有し、且つ、澱粉に対して親和性があるアルコールあれば特に限定はない。ここで、脂環式構造とは、酸素原子等のヘテロ原子を有するものであってもよい。
脂環式アルコール(C)の具体例としては、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、フルフリルアルコール等の脂環式構造を有するアルコール;イソソルビド、イソイジド、イソマンニド、マルチトール、スクロース、ラクトース、マルトース、セロビオース等のエーテル環構造を有するアルコール(糖アルコール)が挙げられる。これらの中でもエーテル環構造を有するアルコールが好ましく、下記構造式(1)で表される化合物(イソソルビド)が特に好ましい。
脂環式アルコール(C)の分子量は、好ましくは3000以下、より好ましくは2500以下、特に好ましくは2000以下であることが望ましい。
脂環式アルコール(C)の配合量は、上述したポリエステル系樹脂(A)及び澱粉(B)と、当該脂環式アルコール(C)との合計量を基準(100重量部)として、1重量部以上20重量部以下であり、好ましくは3重量部以上15重量部以下、より好ましくは5重量部以上12重量部以下である。脂環式アルコール(C)の含有量が20重量部を超えると、得られるフィルムの弾性率が低下する虞がある。一方、脂環式アルコールの含有量が1重量部より少ないと、澱粉(B)が十分に可塑化できず、澱粉(B)の分散粒子径が粗くなり、澱粉(B)を適切に分散できない虞がある。
本発明に係る樹脂組成物においては、脂環式アルコール(C)が含まれることで、樹脂組成物の溶融混合時等において、樹脂の分解を抑制しつつ、澱粉(B)を適切に可塑化することができる。樹脂組成物の溶融粘度の低下が抑制されることで、樹脂組成物が成形加工性に優れたものとなり、また、成形後、機械的強度に優れた成形体とすることができる。
(1.4.その他の成分)
本発明に係る樹脂組成物においては、ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂、相溶化剤、無機充填剤、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散助剤、界面活性剤、スリップ剤、加水分解防止剤、末端封止剤等の「その他の成分」を使用してもよい。これらは、本発明の前記効果を損なわない範囲で任意に使用できる。
本発明に係る樹脂組成物においては、ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂、相溶化剤、無機充填剤、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散助剤、界面活性剤、スリップ剤、加水分解防止剤、末端封止剤等の「その他の成分」を使用してもよい。これらは、本発明の前記効果を損なわない範囲で任意に使用できる。
(1.4.1.ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂)
ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂としては、例えば、脂肪族オキシカルボン酸系樹脂を挙げることができる。脂肪族オキシカルボン酸系樹脂とは、脂肪族オキシカルボン酸単位からなる脂肪族オキシカルボン酸を主成分とするものである。
ポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂としては、例えば、脂肪族オキシカルボン酸系樹脂を挙げることができる。脂肪族オキシカルボン酸系樹脂とは、脂肪族オキシカルボン酸単位からなる脂肪族オキシカルボン酸を主成分とするものである。
脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、又はこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液であってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
また、脂肪族オキシカルボン酸系樹脂は、3官能以上の脂肪族オキシカルボン酸成分由来の思慕族オキシカルボン酸単位を有していてもよい。3官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、リンゴ酸等が好ましく用いられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
脂肪族オキシカルボン酸系樹脂は、上記したようなポリエステル等のその他の成分由来の構造単位を含んでいてもよい。脂肪族オキシカルボン酸系樹脂におけるその他の構造単位の含有量は、脂肪族オキシカルボン酸由来の構造単位と、その他の構造単位との合計を100モル%として、下限が、通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が、通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
本発明に係る樹脂組成物において、脂肪族オキシカルボン酸系樹脂等のポリエステル系樹脂(A)以外の樹脂の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)、澱粉(B)及び脂環式アルコール(C)の合計量(100質量部)に対して、通常15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
(1.4.2.相溶化剤)
本発明の樹脂組成物には、相溶化剤を含有していてもよい。相溶化剤とは、非相溶性の異種樹脂、或いは澱粉と樹脂を混合する際に、相溶性を改良する添加剤である。相溶化剤を添加することにより、相溶性を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物には、相溶化剤を含有していてもよい。相溶化剤とは、非相溶性の異種樹脂、或いは澱粉と樹脂を混合する際に、相溶性を改良する添加剤である。相溶化剤を添加することにより、相溶性を向上させることができる。
相溶化剤は、上述したポリエステル系樹脂(A)、澱粉(B)、及び脂環式アルコール(C)の合計量100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下添加するのが好ましい。
相溶化剤の例としては、高分子型相溶化剤、低分子の有機化合物、無機化合物、有機無機複合体等が挙げられるが、高分子型相溶化剤、低分子の有機化合物が成形品の物性の点で好ましく、成形プロセスの観点から、高分子型相溶化剤がより好ましい。また、相溶化剤としては、酸無水物基、グリシジル基、エーテル基のいずれかの構造を有するものであることが好ましく、これらいずれかの構造を有する高分子型相溶化剤がより好ましい。これらの構造を有する相溶化剤を用いることにより、上記相溶性を向上させる効果が大きくなる。
高分子型相溶化剤としては、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、アクリル系、スチレン系、ウレタン系、ポリアセタール系、オレフィン系エラストマー、不飽和脂肪族系エラストマー、水添不飽和脂肪族系エラストマー等の樹脂及びこれらの2種類以上のブロック、グラフト又は、ランダム共重合体が挙げられる。これらの共重合体に更に不飽和脂肪酸無水物を付加させる等して極性基を分子中に導入してもよい。付加させる不飽和脂肪酸無水物として無水マレイン酸が好ましく用いられる。
この中でも、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、アクリル系、スチレン系、オレフィン系エラストマー、不飽和脂肪族系エラストマー、水添不飽和脂肪族系エラストマー及びこれらの2種以上の共重合体等がより好ましく、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、アクリル系、スチレン系、水添不飽和脂肪族系エラストマー及びこれらの2種以上の共重合体が更に好ましい。
(1.4.3.無機充填剤)
本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を配合させても良い。かかる無機充填剤としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、「珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩」、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を配合させても良い。かかる無機充填剤としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、「珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩」、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の樹脂組成物に含有される無機充填剤の量は特に限定はないが、上述したポリエステル系樹脂(A)、澱粉(B)、及び脂環式アルコール(C)の合計量100重量部に対して、無機充填剤が1重量部以上30重量部以下が好ましい。無機充填剤が少なすぎる場合は、機械物性改良効果が少なくなる場合があり、一方、多すぎる場合は、成形性及び耐衝撃性が悪化する場合がある。
(1.4.4.各種添加剤)
本発明における樹脂組成物には、更に、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散助剤や各種界面活性剤、スリップ剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明における樹脂組成物には、更に、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散助剤や各種界面活性剤、スリップ剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
防曇剤はあらかじめ樹脂に防曇剤を練りこんでもよいし、成形後、成形品表面に塗布してもよい。使用する防曇剤は具体的には、炭素数4以上20以下の飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールのエステル系界面活性剤が好ましく用いられる。スリップ剤としては、炭素数6〜30の不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイドが挙げられるが、最も好ましくはエルカ酸アマイドが挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、炭素数6〜30の飽和脂肪酸アマイド、飽和脂肪酸ビスアマイド、メチロールアマイド、エタノールアマイド、天然シリカ、合成シリカ、合成ゼライト、タルク等が挙げられる。
耐光剤としてはビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネートが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールが特に好ましい
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に用いられ、イルガノックス3790(1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン)、イルガノックス1330(3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール)が特に好ましい。
主に大気中の水分等による加水分解を抑制する目的で用いられる末端封止剤としては、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられるが、その中でも分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)で、モノカルボジイミド化合物として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示できる。これらの中では、工業的に入手が容易なジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
これらの添加剤の添加量は、上述したポリエステル系樹脂(A)、澱粉(B)、及び脂環式アルコール(C)の合計量100重量部に対して、通常0.001重量部以上10重量部以下である。
<2.混練・成形方法>
(2.1.混練方法)
本発明において、上記したポリエステル系樹脂(A)等を含む樹脂組成物は、従来公知の混合/混練技術を用いて混合/混練される。混合機としては、水平円筒型、V字型、二重円錐型混合機やリボンブレンダー、スーパーミキサーのようなブレンダー、また各種連続式混合機等を使用できる。また、混練機としては、ロールやインターナルミキサーのようなバッチ式混練機、一段型、二段型連続式混練機、二軸スクリュー押し出し機、単軸スクリュー押し出し機等を使用できる。
(2.1.混練方法)
本発明において、上記したポリエステル系樹脂(A)等を含む樹脂組成物は、従来公知の混合/混練技術を用いて混合/混練される。混合機としては、水平円筒型、V字型、二重円錐型混合機やリボンブレンダー、スーパーミキサーのようなブレンダー、また各種連続式混合機等を使用できる。また、混練機としては、ロールやインターナルミキサーのようなバッチ式混練機、一段型、二段型連続式混練機、二軸スクリュー押し出し機、単軸スクリュー押し出し機等を使用できる。
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、ブレンドした原料を同一の押出機で溶融混合する方法、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙げられる。また、各々の原料を直接成形機に供給して樹脂組成物を調製すると同時に、その成形体を得ることも可能である。各成分を混合して加熱溶融させたところに、各種添加剤、無機充填剤、有機充填剤、他の樹脂等を添加して配合する方法等が挙げられる。また、この際、前記の各種添加剤を均一に分散させる目的で、ブレンド用オイル等を使用することもできる。
上述したように、本発明においては、樹脂組成物中に脂環式アルコール(C)が含まれているため、溶融混合時、樹脂組成物の溶融粘度の低下を抑制しつつ、澱粉(B)を適切に可塑化して分散させることができる。
(2.2.成形方法)
本発明における樹脂組成物は、汎用プラスチックに適用される各種成形法により成形に供することができる。その成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押し出し成形や共押し出し成形(インフレーション法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工)、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。中でも、押し出し成形、射出成形、発泡成形、中空成形が好適に適用される。具体的には、フィルム、容器及び繊維への適用が好ましい。本発明の樹脂組成物は、良好な溶融特性及び機械物性を有しているため、インフレーション成形してなるフィルム、更にはインフレーション成形してなるフィルムから製造される製品に好ましく用いられる。
本発明における樹脂組成物は、汎用プラスチックに適用される各種成形法により成形に供することができる。その成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押し出し成形や共押し出し成形(インフレーション法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工)、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。中でも、押し出し成形、射出成形、発泡成形、中空成形が好適に適用される。具体的には、フィルム、容器及び繊維への適用が好ましい。本発明の樹脂組成物は、良好な溶融特性及び機械物性を有しているため、インフレーション成形してなるフィルム、更にはインフレーション成形してなるフィルムから製造される製品に好ましく用いられる。
本発明に係る樹脂組成物をフィルムに成形した場合、当該フィルムは、JIS K7128に準拠したエルメンドルフ引裂強度が、好ましくは20N/mm以上、より好ましくは30N/mm以上、特に好ましくは50N/mm以上である。
<3.用途>
本発明の樹脂組成物は、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において好適に用いられる。その具体的用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレーやファーストフードの容器、野外レジャー製品等)、押出成形品(例えば、フィルム、釣り糸、漁網、植生ネット、保水シート等)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において好適に用いられる。その具体的用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレーやファーストフードの容器、野外レジャー製品等)、押出成形品(例えば、フィルム、釣り糸、漁網、植生ネット、保水シート等)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は良好な成形性や機械強度を有するため、インフレーション成形してなるフィルムから製造されるショッピングバッグ又はゴミ袋に適用されることが好ましい。
更に、包装用資材、例えば、包装用フィルム、袋、トレー、ボトル、緩衝用発泡体、魚箱等、及び、農業用資材、例えば、マルチングフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、防草シート、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
1.物性評価
[澱粉の熱可塑化評価]
ガラスプレートとプレパラートの間に澱粉(B)と脂環式構造を有するアルコール(C)の組成物、ないしは澱粉(B)とグリセリン(D)の組成物を少量挟み込みホットプレートで140℃に加熱後プレパラートの上からプレスし、薄膜を作成した後に、光学顕微鏡で観察を行った。観察時に澱粉の顆粒構造が認められなかった場合に澱粉の熱可塑化が行われたと判断した。
[澱粉の熱可塑化評価]
ガラスプレートとプレパラートの間に澱粉(B)と脂環式構造を有するアルコール(C)の組成物、ないしは澱粉(B)とグリセリン(D)の組成物を少量挟み込みホットプレートで140℃に加熱後プレパラートの上からプレスし、薄膜を作成した後に、光学顕微鏡で観察を行った。観察時に澱粉の顆粒構造が認められなかった場合に澱粉の熱可塑化が行われたと判断した。
[フィルム成形性の評価]
インフレーション成形を実施した際の成形のしやすさを、以下の判断基準に従って評価した。
良好(○):所定温度(150℃)において、所定厚み(20μm)に成形することが可能である。
不良(×):所定温度(150℃)において、所定厚み(20μm)に成形することが不可能である。
インフレーション成形を実施した際の成形のしやすさを、以下の判断基準に従って評価した。
良好(○):所定温度(150℃)において、所定厚み(20μm)に成形することが可能である。
不良(×):所定温度(150℃)において、所定厚み(20μm)に成形することが不可能である。
[引裂き強度の測定方法]
JIS K7128に準拠してエルメンドルフ引裂き強度を測定した。
JIS K7128に準拠してエルメンドルフ引裂き強度を測定した。
2.使用物質
[2−1 ポリエステル系樹脂(A)]
ポリエステル系樹脂として、以下の樹脂を用いた。
(A−1)三菱化学株式会社製 GS Pla
(AD92WN;ポリブチレンサクシネートアジペート)
(A−2)BASF社製 Ecoflex
(FBX7001;ポリブチレンテレフタレートアジペート)
[2−1 ポリエステル系樹脂(A)]
ポリエステル系樹脂として、以下の樹脂を用いた。
(A−1)三菱化学株式会社製 GS Pla
(AD92WN;ポリブチレンサクシネートアジペート)
(A−2)BASF社製 Ecoflex
(FBX7001;ポリブチレンテレフタレートアジペート)
[2−2.澱粉(B)]
澱粉として、以下の製品を用いた。
(B−1)コーンスターチY−3P
(日本コーンスターチ社製 未変性のコーンスターチ;含水率12wt%)
(B−2)モールドNo.1
(日本コーンスターチ社製 アルファー化コーンスターチ;含水率12wt%)
澱粉として、以下の製品を用いた。
(B−1)コーンスターチY−3P
(日本コーンスターチ社製 未変性のコーンスターチ;含水率12wt%)
(B−2)モールドNo.1
(日本コーンスターチ社製 アルファー化コーンスターチ;含水率12wt%)
[2−3.脂環式構造を有するアルコール(C)]
脂環式構造を有するアルコール(C)として、イソソルビド(東京化成工業株式会社製)を使用した。
脂環式構造を有するアルコール(C)として、イソソルビド(東京化成工業株式会社製)を使用した。
[2−4.その他(D)]
その他の原料として、グリセリン(新日本理化株式会社製 濃グリセリンS)を使用した。
その他の原料として、グリセリン(新日本理化株式会社製 濃グリセリンS)を使用した。
[製造例1]
コーンスターチY−3P(B−1)50gに対して、イソソルビド(C)20gをラボプラストミル(東洋精機株式会社製)に仕込み、温度140℃、スクリュー回転数50rpmで400秒間混練した。組成物は透明でやや茶褐色であった。得られた組成物を光学顕微鏡にて観察したところ、コーンスターチの顆粒構造は消失しており、コーンスターチの熱可塑化が進展したことが明らかになった。
コーンスターチY−3P(B−1)50gに対して、イソソルビド(C)20gをラボプラストミル(東洋精機株式会社製)に仕込み、温度140℃、スクリュー回転数50rpmで400秒間混練した。組成物は透明でやや茶褐色であった。得られた組成物を光学顕微鏡にて観察したところ、コーンスターチの顆粒構造は消失しており、コーンスターチの熱可塑化が進展したことが明らかになった。
[製造例2]
コーンスターチY−3P(B−1)50gに対して、グリセリン(D)20gをラボプラストミルに仕込み、実施例1と同じ条件で混練を実施した。組成物は透明で黄褐色であった。得られた組成物を光学顕微鏡にて観察したところ、コーンスターチの顆粒構造は消失しており、コーンスターチの熱可塑化が進展したことが明らかになった。
コーンスターチY−3P(B−1)50gに対して、グリセリン(D)20gをラボプラストミルに仕込み、実施例1と同じ条件で混練を実施した。組成物は透明で黄褐色であった。得られた組成物を光学顕微鏡にて観察したところ、コーンスターチの顆粒構造は消失しており、コーンスターチの熱可塑化が進展したことが明らかになった。
[製造例3]
モールドNo.1(B−2)50gに対して、イソソルビド(C)20gをラボプラストミルに仕込み、実施例1と同じ条件で混練を実施した。組成物は透明でやや茶褐色であった。得られた組成物を光学顕微鏡にて観察したところ、コーンスターチの顆粒構造は消失しており、コーンスターチの熱可塑化が進展したことが明らかになった。
モールドNo.1(B−2)50gに対して、イソソルビド(C)20gをラボプラストミルに仕込み、実施例1と同じ条件で混練を実施した。組成物は透明でやや茶褐色であった。得られた組成物を光学顕微鏡にて観察したところ、コーンスターチの顆粒構造は消失しており、コーンスターチの熱可塑化が進展したことが明らかになった。
[製造例4]
モールドNo.1(B−2)50gに対して、グリセリン(D)20gをラボプラストミルに仕込み、実施例1と同じ条件で混練を実施した。組成物は透明で黄褐色であった。得られた組成物を光学顕微鏡にて観察したところ、コーンスターチの顆粒構造は消失しており、コーンスターチの熱可塑化が進展したことが明らかになった。
モールドNo.1(B−2)50gに対して、グリセリン(D)20gをラボプラストミルに仕込み、実施例1と同じ条件で混練を実施した。組成物は透明で黄褐色であった。得られた組成物を光学顕微鏡にて観察したところ、コーンスターチの顆粒構造は消失しており、コーンスターチの熱可塑化が進展したことが明らかになった。
以上の結果から、脂環式構造を有するアルコール(C)であるイソソルビドを用いた場合でも、従前知られたグリセリンと同様に、各種の澱粉を可塑化することが可能であることがわかる。
[参考例1]
ポリエステル系樹脂(A−1)70gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは11.1N・m、混練終了直前のトルクは11.1N・mであった。
ポリエステル系樹脂(A−1)70gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは11.1N・m、混練終了直前のトルクは11.1N・mであった。
[参考例2]
ポリエステル系樹脂(A−2)70gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは17.3N・m、混練終了直前のトルクは15.2N・mであった。
ポリエステル系樹脂(A−2)70gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは17.3N・m、混練終了直前のトルクは15.2N・mであった。
[参考例3]
ポリエステル系樹脂(A−1)70gにイソソルビド(C)0.1gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは11.5N・m、混練終了直前のトルクは10.3N・mであった。トルクの低下が少なく、経時での粘度低下が少ないことが分かる。
ポリエステル系樹脂(A−1)70gにイソソルビド(C)0.1gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは11.5N・m、混練終了直前のトルクは10.3N・mであった。トルクの低下が少なく、経時での粘度低下が少ないことが分かる。
[参考例4]
ポリエステル系樹脂(A−1)70gにグリセリン(D)0.1gをラボプラストミルに仕込み、実施例1と同じ条件で混練を行った。混練150秒後のトルクは10.0N・m、混練終了直前のトルクは5.4N・mであった。トルクの低下が大きく、経時での粘度低下が大きいことが分かる。
ポリエステル系樹脂(A−1)70gにグリセリン(D)0.1gをラボプラストミルに仕込み、実施例1と同じ条件で混練を行った。混練150秒後のトルクは10.0N・m、混練終了直前のトルクは5.4N・mであった。トルクの低下が大きく、経時での粘度低下が大きいことが分かる。
[参考例5]
ポリエステル系樹脂(A−2)70gにイソソルビド(C)0.1gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは17.7N・m、混練終了直前のトルクは14.3N・mであった。トルクの低下が少なく、経時での粘度低下が少ないことが分かる。
ポリエステル系樹脂(A−2)70gにイソソルビド(C)0.1gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは17.7N・m、混練終了直前のトルクは14.3N・mであった。トルクの低下が少なく、経時での粘度低下が少ないことが分かる。
[参考例6]
ポリエステル系樹脂(A−2)70gにグリセリン(D)0.1gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは17.6N・m、混練終了直前のトルクは11.6N・mであった。トルクの低下が大きく、経時での粘度低下が大きいことが分かる。
ポリエステル系樹脂(A−2)70gにグリセリン(D)0.1gをラボプラストミルに仕込み、温度160℃、スクリュー回転数50rpmで350秒間混練した。混練150秒後のトルクは17.6N・m、混練終了直前のトルクは11.6N・mであった。トルクの低下が大きく、経時での粘度低下が大きいことが分かる。
以上の結果から、脂環式構造を有するアルコール(C)であるイソソルビドを用いた場合、溶融混合時等における長時間加熱した際の、樹脂の溶融粘度の低下を抑制できることが分かる。
[実施例1]
コーンスターチY−3P(B−1)35.5重量部、ポリエステル系樹脂(A−2)17.7重量部、イソソルビド(C)8.9重量部を、スクリュー式2軸押出機(日本製鋼所社製TEX30;22シリンダー、L/D=77)のホッパーに供給して最高温度が170℃以下になるように混合する工程を経た後、ベント部にて水蒸気を除去し、それに引き続き、サイドフィーダーからポリエステル系樹脂(A−1)37.9重量部を供給して、澱粉(B)、ポリエステル系樹脂(A−2)、イソソルビド(C)、およびポリエステル系樹脂(A−1)を最高温度が170℃以下になるように混合する工程を同一押出機内にて逐次的に行い、真空ベントによる吸引を行い、樹脂組成物をダイスからストランド状に押し出し、水槽にて冷却後カッティングし、白色の澱粉含有樹脂組成物(X−1)を得た。混練時の設定温度は80〜150℃、スクリュー回転数は150〜300rpmとした。
得られた樹脂組成物(X−1)を、インフレーション成形機(エンプラ産業株式会社;E30SP)でインフレーション成形を実施し、厚み20μmのフィルムを得た。インフレーション成形性は、良好であった。フィルムを23℃、50%RH条件で2日間置き状態調整した後にフィルムのエルメンドルフ引裂き強度を測定したところ、110N/mm(MD方向)、210N/mm(TD方向)であった。
コーンスターチY−3P(B−1)35.5重量部、ポリエステル系樹脂(A−2)17.7重量部、イソソルビド(C)8.9重量部を、スクリュー式2軸押出機(日本製鋼所社製TEX30;22シリンダー、L/D=77)のホッパーに供給して最高温度が170℃以下になるように混合する工程を経た後、ベント部にて水蒸気を除去し、それに引き続き、サイドフィーダーからポリエステル系樹脂(A−1)37.9重量部を供給して、澱粉(B)、ポリエステル系樹脂(A−2)、イソソルビド(C)、およびポリエステル系樹脂(A−1)を最高温度が170℃以下になるように混合する工程を同一押出機内にて逐次的に行い、真空ベントによる吸引を行い、樹脂組成物をダイスからストランド状に押し出し、水槽にて冷却後カッティングし、白色の澱粉含有樹脂組成物(X−1)を得た。混練時の設定温度は80〜150℃、スクリュー回転数は150〜300rpmとした。
得られた樹脂組成物(X−1)を、インフレーション成形機(エンプラ産業株式会社;E30SP)でインフレーション成形を実施し、厚み20μmのフィルムを得た。インフレーション成形性は、良好であった。フィルムを23℃、50%RH条件で2日間置き状態調整した後にフィルムのエルメンドルフ引裂き強度を測定したところ、110N/mm(MD方向)、210N/mm(TD方向)であった。
[実施例2]
モールドNo.1(B−2)35.5重量部、ポリエステル系樹脂(A−2)17.7重量部、イソソルビド(C)8.9重量部を、スクリュー式2軸押出機(日本製鋼所社製TEX30;22シリンダー、L/D=77)のホッパーに供給して最高温度が170℃以下になるように混合する工程を経た後、ベント部にて水蒸気を除去し、それに引き続き、サイドフィーダーからポリエステル系樹脂(A−1)37.9重量部を供給して、澱粉(B)、ポリエステル系樹脂(A−2)、イソソルビド(C)、およびポリエステル系樹脂(A―1)を最高温度が170℃以下になるように混合する工程を同一押出機内にて逐次的に行い、真空ベントによる吸引を行い、樹脂組成物をダイスからストランド状に押し出し、水槽にて冷却後カッティングし、白色の澱粉含有樹脂組成物(X−2)を得た。混練時の設定温度は80〜150℃、スクリュー回転数は150〜300rpmとした。
得られた樹脂組成物(X−2)を、インフレーション成形機(エンプラ産業株式会社;E30SP)でインフレーション成形を実施し、厚み20μmのフィルムを得た。インフレーション成形性は、良好であった。フィルムを23℃50%RH条件で2日間置き状態調整した後にフィルムのエルメンドルフ引裂き強度を測定したところ、100N/mm(MD方向)、210N/mm(TD方向)であった。
モールドNo.1(B−2)35.5重量部、ポリエステル系樹脂(A−2)17.7重量部、イソソルビド(C)8.9重量部を、スクリュー式2軸押出機(日本製鋼所社製TEX30;22シリンダー、L/D=77)のホッパーに供給して最高温度が170℃以下になるように混合する工程を経た後、ベント部にて水蒸気を除去し、それに引き続き、サイドフィーダーからポリエステル系樹脂(A−1)37.9重量部を供給して、澱粉(B)、ポリエステル系樹脂(A−2)、イソソルビド(C)、およびポリエステル系樹脂(A―1)を最高温度が170℃以下になるように混合する工程を同一押出機内にて逐次的に行い、真空ベントによる吸引を行い、樹脂組成物をダイスからストランド状に押し出し、水槽にて冷却後カッティングし、白色の澱粉含有樹脂組成物(X−2)を得た。混練時の設定温度は80〜150℃、スクリュー回転数は150〜300rpmとした。
得られた樹脂組成物(X−2)を、インフレーション成形機(エンプラ産業株式会社;E30SP)でインフレーション成形を実施し、厚み20μmのフィルムを得た。インフレーション成形性は、良好であった。フィルムを23℃50%RH条件で2日間置き状態調整した後にフィルムのエルメンドルフ引裂き強度を測定したところ、100N/mm(MD方向)、210N/mm(TD方向)であった。
以上の結果から、本発明の樹脂組成物は、混練を行っても粘度低下が小さく良好な物性を維持することが可能となる。また、混練を行った後でも良好な物性を維持して優れた成形特性を発揮することがわかる。また、得られた樹脂組成物から成形されたフィルムは、高い引裂き強度を有する。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う樹脂組成物、成形体、フィルム及び袋もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の樹脂組成物及びその成形体は、機械特性に優れ、各種食品、薬品、雑貨用の粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等に広く利用されるものである。
Claims (7)
- ポリエステル系樹脂(A)と、澱粉(B)と、脂環式構造を有するアルコール(C)とを含んでなる、樹脂組成物。
- 前記澱粉(B)に含まれる水分量が12wt%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記澱粉(B)が変性されたものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる、成形体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる、フィルム。
- 請求項6に記載のフィルムを成形してなる、袋。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012010842A JP2013147609A (ja) | 2012-01-23 | 2012-01-23 | 樹脂組成物、成形体、フィルム及び袋 |
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US11926929B2 (en) | 2015-06-30 | 2024-03-12 | Biologiq, Inc | Melt blown nonwoven materials and fibers including starch-based polymeric materials |
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-
2012
- 2012-01-23 JP JP2012010842A patent/JP2013147609A/ja active Pending
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