JP2018170976A - 農業用フィルム - Google Patents

農業用フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2018170976A
JP2018170976A JP2017070260A JP2017070260A JP2018170976A JP 2018170976 A JP2018170976 A JP 2018170976A JP 2017070260 A JP2017070260 A JP 2017070260A JP 2017070260 A JP2017070260 A JP 2017070260A JP 2018170976 A JP2018170976 A JP 2018170976A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
agricultural film
antifogging
film
synthetic resin
inorganic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017070260A
Other languages
English (en)
Inventor
崇 後藤
Takashi Goto
崇 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumikasekisui Film Co Ltd
Original Assignee
Sumikasekisui Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumikasekisui Film Co Ltd filed Critical Sumikasekisui Film Co Ltd
Priority to JP2017070260A priority Critical patent/JP2018170976A/ja
Publication of JP2018170976A publication Critical patent/JP2018170976A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/25Greenhouse technology, e.g. cooling systems therefor

Landscapes

  • Protection Of Plants (AREA)
  • Greenhouses (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】保温性及び防曇性能の長期持続性、並びに耐傷性に優れ、且つ、柔軟性が高い農業用フィルムを提供する。【解決手段】合成樹脂フィルムと防曇層とが積層された農業用フィルムであって、当該合成樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂及び無機保温剤を含有し、引張応力が80〜150MPaであり、当該防曇層は、疎水性バインダー樹脂及び無機質コロイドゾルを含有する防曇性組成物から形成される、農業用フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、農業用フィルムに関する。
従来、様々な分野でフィルム等の製品に防曇性を付与する技術が求められている。例えば、農業の分野では、農業用作物を栽培する場合、市場性及び生産性を高めるために、塩化ビニルフィルムや、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリオレフィン系樹脂を主体とした特殊フィルム等の農業用フィルムにより被覆して有用作物を栽培する、ハウス栽培やトンネル栽培が盛んに行われている。
上述の農業用フィルムには、長期間屋外で日光等に曝されても劣化し難い、十分な耐候性を備えていること、太陽光を透過させるために透明性が良いこと、保温性が高いこと、フィルムの内側表面に付着した水滴を栽培作物に落下させることなくフィルム内面に沿って流下させるという、いわゆる防曇性(流滴性)を有すること等が要求される。
フィルムに防曇性を付与する方法として、ピペリジン環構造を有する耐候剤を配合したポリオレフィン系樹脂からなる基材フィルムに、合成樹脂バインダーと無機質コロイドゾルを主成分とする防曇塗料の塗膜層を設けた農業用フィルムが提案されている(特許文献1参照)
特開2003−199437号公報
上述の農業用フィルムは、長期耐候性、基材と防曇層との密着性及び防曇性能の長期持続性に優れた農業用フィルムではあるが、温室の金属のパイプに被覆して使用する際に、金属のパイプに擦れるために防曇層に傷が付き易いという問題がある。
また、保温性を向上させるために保温剤を添加すると、農業用フィルムが硬くなりすぎ、かえって傷が付きやすくなるという問題がある。
従って、保温性及び防曇性能の長期持続性、並びに耐傷性に優れる農業用フィルムの開発が望まれている。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、保温性及び防曇性能の長期持続性、並びに耐傷性に優れ、且つ、柔軟性が高い農業用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の合成樹脂フィルムと防曇層とが積層された農業用フィルムによれば、上記目的を達成できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、完成させたものである。
即ち、本発明は以下の項を包含する。
1.合成樹脂フィルムと防曇層とが積層された農業用フィルムであって、
前記合成樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂及び無機保温剤を含有し、引張応力が80〜150MPaであり、
前記防曇層は、疎水性バインダー樹脂及び無機質コロイドゾルを含有する防曇性組成物から形成される、農業用フィルム。
2.前記無機保温剤は、Si、Al、Mg、Ca及びLiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、
前記無機保温剤の含有量は、前記農業用フィルム100質量%に対して3質量%以上である、項1に記載の農業用フィルム。
3.前記疎水性バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)が5〜60℃であり、
前記無機質コロイドゾルがコロイダルシリカ及びコロイダルアルミナから選択される少なくとも1種であり、
前記防曇性組成物は、更に、界面活性剤を含有する、項1又は2に記載の農業用フィルム。
4.前記疎水性バインダー樹脂がアクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜3のいずれかに記載の農業用フィルム。
5.前記防曇層の厚みが、0.5〜3.0μmである、項1〜4のいずれかに記載の農業用フィルム。
本発明によれば、保温性及び防曇性能の長期持続性、並びに耐傷性に優れ、且つ、柔軟性が高い農業用フィルムを提供することができる。
本発明の農業用フィルムの層構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の農業用フィルムについて詳細に説明する。
本発明は、合成樹脂フィルムと防曇層とが積層された農業用フィルムであって、当該合成樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂及び無機保温剤を含有し、引張応力が80〜150MPaであり、当該防曇層は、疎水性バインダー樹脂及び無機質コロイドゾルを含有する防曇性組成物から形成される農業用フィルムに関する。
本発明の農業用フィルムは、上記要件を満たすことにより、保温性及び防曇性能の長期持続性、並びに耐傷性に優れ、且つ、柔軟性が高いという特性を備える。
本発明の農業用フィルムの層構成は、少なくとも合成樹脂フィルムと防曇層とを有していれば特に限定されない。
合成樹脂フィルム
本発明の農業用フィルムを構成する合成樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂及び無機保温剤を含有し、引張応力が80〜150MPaである。
上記合成樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂及び無機保温剤を含有することで、農業用フィルムが優れた保温性及び高い柔軟性を示すことができる。
ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンまたはα−オレフィンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンまたはα−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、エチレンまたはα−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等を用いることができ、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)又は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、透明性、耐候性の点から、LDPE、LLDPE、EVAが好ましく、LLDPE、EVAがより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記合成樹脂フィルム中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、75〜95質量%が好ましく、80〜93質量%がより好ましく、85〜90質量%が特に好ましい。合成樹脂フィルム中のポリオレフィン系樹脂の含有量がこのような範囲にある場合、農業用フィルムの保温性、柔軟性が好適なものとなる。
上記合成樹脂フィルムの厚さは、好ましくは30〜200μmの範囲内であり、より好ましくは50〜150μmの範囲内である。厚さがこのような範囲にある場合、農業用フィルムをより長期間の使用することが可能となり、且つ、展張作業を容易に行うことができる。
本発明の農業用フィルムを構成する合成樹脂フィルムは、無機保温剤を含有する。
無機保温剤は、赤外線吸収能を有する赤外線吸収剤として作用する無機微粒子であり、無機保温剤を含有することで、本発明の農業用フィルムの保温性を向上させることができる。無機保温剤としては、Si,Al,Mg,Ca及びLiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有する無機化合物を用いることができる。このような無機化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類化合物(含水又は無水アルミニウム/マグネシウム塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、アルミニウム/亜鉛塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩)、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩化合物、複数種アニオンを含有する金属複合水酸化物塩等が挙げられる。これらの無機化合物は結晶水を脱水したものであってもよい。また、これらの無機化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、容易に入手できる点から、ハイドロタルサイト類化合物を用いることが好ましい。
無機保温剤の含有量は、合成樹脂フィルム中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜9質量部がより好ましく、5〜8質量部が特に好ましい。無機保温剤の含有量がこのような範囲にある場合、農業用フィルムの保温性、柔軟性がより好適なものとなる。
農業用フィルムを構成する合成樹脂フィルムの引張応力は80〜150MPaであり、85〜130MPaが好ましく、85〜120MPaがより好ましい。合成樹脂フィルムの引張応力がこのような範囲にある場合、農業用フィルムがより一層良好な柔軟性を示すことができる。
農業用フィルムを構成する合成樹脂フィルムの引張応力(引張弾性率)は、JIS−K−7127に基づいて合成樹脂フィルムの試験片を作製し、JIS−K−7161に従って測定し、算出した値である。
上記合成樹脂フィルムは、上記ポリオレフィン系樹脂及び無機保温剤を含有していれば、更に、必要に応じて、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤等の他の成分を配合することができる。
光安定剤としては、従来公知のものを用いることができるが、中でもヒンダードアミン系光安定剤を含有することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)にアルキル基(R)が直接結合しているNR型ヒンダードアミン系光安定剤、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)に酸素原子(O)を介してアルキル基(R)が結合しているNOR型ヒンダードアミン系光安定剤、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)に水素原子(H)が結合しているNH型ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。NH型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」等が挙げられる。NR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」等が挙げられる。NOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 123」、商品名「TINUVIN NOR 371」、株式会社ADEKA製 商品名「LA−81」、クラリアントジャパン社製 商品名「Hostavin NOW」等が挙げられる。上記ヒンダードアミン系光安定剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記合成樹脂フィルムが上記ヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合の含有量は、合成樹脂フィルムに含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5〜8質量部が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、2〜5質量部が更に好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量がこのような範囲にある場合、農業用フィルムがより一層良好な耐候性を示すことができる。
防曇層
本発明の農業用フィルムを構成する防曇層は、疎水性バインダー樹脂及び無機質コロイドゾルを含有する防曇性組成物から形成される。当該防曇層は、後述する防曇性組成物を上記合成樹脂フィルムの表面に塗布し、乾燥させることにより得ることができる。
上記防曇層の厚みは、防曇性及び耐折れ白化性がより一層向上する点で、塗布後の防曇性組成物の固形分の厚みとして0.1〜3.0μmが好ましく、0.5〜2.0μmがより好ましく、0.7〜1.5μmがさらに好ましい。
上記合成樹脂フィルムの表面に防曇性組成物を塗布する方法としては特に限定されないが、例えば、ドクターブレードコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロッドコート法、バーコート法、ナイフコート法、ハケ塗り等の公知の塗布方法が挙げられる。防曇性組成物は、塗工時に良好なレベリング性を示し、塗布された防曇性組成物を乾燥することにより、防曇性、特に低温環境下での防曇性、及び耐傷性に優れた防曇層を形成することができる。乾燥方法は、自然乾燥又は強制乾燥のいずれの乾燥方法を採用してもよい。強制乾燥方法を採用する場合の乾燥温度は、30〜120℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。また、強制乾燥としては加熱乾燥が挙げられ、当該加熱乾燥としては、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法等が挙げられる。
防曇性組成物
本発明において、上記防曇層を形成するための防曇性組成物は、疎水性バインダー樹脂及び無機質コロイドゾルを含有する。防曇性組成物が、疎水性バインダー樹脂及び無機質コロイドゾルを含有することで、本発明の農業用フィルムが防曇性能の長期持続性及び優れた耐傷性を示すことができる。
疎水性バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられるが、防曇層の合成樹脂フィルムとの密着性、耐水性及び表面強度(耐傷性)の点で、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましい。これらの疎水性バインダー樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル系単量体」は、アクリル系単量体又はメタアクリル系単量体を意味し、他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
上記(メタ)アクリル系単量体としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;ビニルピリジン、ビニルアルコール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、1−ビニルイミダゾール等のビニル単量体;モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート等のイタコン酸エステル;モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノプロピルフマレート、モノブチルフマレート等のフマル酸エステル;及びモノメチルマレート、モノエチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート等のマレイン酸エステルが挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂を用いることができる。これらのウレタン系樹脂は、水性組成物、又はエマルジョンの形態で用いてもよい。
上記ウレタン系樹脂としては、防曇層の合成樹脂フィルムとの密着性、耐水性及び表面強度(耐傷性)に優れる点でポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂のエマルジョンが好ましく、防曇層の耐水性及び耐傷性が更に向上し、且つ防曇性を発現するまでの時間が短縮でき、防曇性が持続する点で、シラノール基を有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂のエマルジョンがより好ましい。これらのウレタン系樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の農業用フィルムにおける防曇層が含有する疎水性バインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、0〜100℃であることが好ましい。疎水性バインダー樹脂のガラス転移点が0℃以上であることにより、防曇層が、優れたアンチブロッキング性を示すことができ、ガラス転移点が100℃以下であることにより、防曇層に柔軟性が付与され、より優れた耐傷性を示すことができる。上記ガラス転移点は、0〜70℃がより好ましく、5〜60℃が更に好ましい。
なお、本明細書において、疎水性バインダー樹脂のガラス転移点は、JIS K7121に準拠した測定方法により測定される値であり、具体的には、示差走査型熱量計(DSC;セイコー電子工業(株)製:SSC5200(型番))を用いてJIS K7121(プラスチックのガラス転移温度測定方法)に基づいて、不活性気体中で、10℃/分の昇温スピードの条件で測定した値である。なお、測定は、試料をサンプル皿に所定量秤取した後、130℃で3時間乾燥させてから行なう。
上記疎水性バインダー樹脂の固形分の含有量は、防曇性組成物を100質量%として0.5〜10質量%が好ましく、0.8〜8.0質量%がより好ましく、1.0〜7.0質量%が更に好ましく、1.5〜5.0質量%が特に好ましい。疎水性バインダー樹脂の固形分の含有量を上記範囲とすることにより、防曇性組成物を用いて形成された防曇層が、耐傷性、防曇性、且つ、耐折れ白化性にも優れる。
無機質コロイドゾルとしては、シリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性ゾルが挙げられる。これらの中でも、コロイダルシリカ及びコロイダルアルミナが好ましく、これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
コロイダルシリカは、SiOの化学組成式で示されるシリカ粒子が、液体に分散してコロイドを形成した状態のものである
コロイダルシリカの形状は、特に限定されないが、粒子状のもの、又は粒子状のものが連なったものが好ましく用いられる。
コロイダルシリカに含まれるシリカ粒子の平均粒子径は、当該シリカ粒子が一次粒子である場合、100nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましい。また、上記シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましい。なお、本明細書において、上記コロイダルシリカを形成するシリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、JIS Z8830に準拠したBET法により測定することができる。
上記一次粒子であるシリカ粒子を含有するコロイダルシリカの市販品としては、日産化学工業株式会社製コロイダルシリカ 商品名:「ST―XS」(平均粒子径4〜6nm)、「ST−S」(平均粒子径8〜11nm)、「ST−30」(平均粒子径10〜15nm)、「ST−50」(平均粒子径20〜25nm)、「ST−20L」(平均粒子径40〜50nm)、「ST−XL」(平均粒子径40〜60nm)等が挙げられる。
コロイダルアルミナは、Alの化学組成式で示されるシリカ粒子が、液体に分散してコロイドを形成した状態のものである
コロイダルアルミナの形状は、特に限定されず、例えば、粒子状、板状、針状、羽毛状などが挙げられる。なお、上記コロイダルアルミナの形状は、本発明の農業用フィルムに要求される初期防曇性、防曇持続性、透明性などの特性に合わせて適宜選択するのが好ましい。
コロイダルアルミナに含まれるアルミナ粒子の平均粒子径は、当該アルミナ粒子が一次粒子である場合、100nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましい。また、上記アルミナ粒子の一次粒子の平均粒子径は、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましい。なお、本明細書において、上記コロイダルアルミナを形成するアルミナ粒子の一次粒子の平均粒子径は、JIS Z8830に準拠したBET法により測定することができる。上記一次粒子であるアルミナ粒子を含有するコロイダルアルミナの市販品としては、日産化学工業株式会社製コロイダルアルミナ 商品名:「AS―200」(平均粒子径7〜15nm)、「AS―520」(平均粒子径15〜30nm)等が挙げられる。
上記コロイダルシリカ又はコロイダルアルミナの固形分の含有量は、防曇性組成物を100質量%として0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましい。
本発明の農業用フィルムにおいて、上記疎水性バインダー樹脂の固形分質量に対する上記コロイダルシリカの固形分質量の重量比は、0.5〜4.0であることが好ましく、1.5〜3.0であることがより好ましい。重量比が上記範囲であることにより、防曇性組成物を用いて形成された防曇層が、防曇性に優れ、高い透明性を示すことができる。
上記防曇性組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。上記界面活性剤としては、公知の種々の非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を始めとする、多価アルコールと高級脂肪酸類とから成る多価アルコール部分エステル系のもの、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、防曇性組成物に高いレベリング性を付与でき、防曇性組成物を用いて形成した防曇層に高い防曇性を付与できることから、非イオン性界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましく、シリコーン系界面活性剤がより好ましい。これらは1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して使用してもよいが、併用する場合は、非イオン性界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を少なくとも含むことが好ましい。
上記非イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンとアルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステル等のソルビタン系界面活性剤;グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノパルミテート・モノステアレート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレートあるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等のグリセリン系界面活性剤;ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等のポリエチレングリコール系界面活性剤;トリメチロールプロパンモノステアレートなどのトリメチロールプロパン系界面活性剤;ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート等のペンタエリスリトール系界面活性剤;アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物;ソルビタン/グリセリンの縮合物と脂肪酸とのエステル;ソルビタン/アルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステル;ジグリセリンジオレートナトリウムラウリルサルフェート;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;セチルトリメチルアンモニウムクロライド;ドデシルアミン塩酸塩;ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩;トリエチルセチルアンモニウムイオダイド;オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩;ドデシルピリジニウム塩等やそれらの異性体を含むものが挙げられる。
上記シリコーン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アルコキシシラン、反応性シロキサンオリゴマー、及びこれらの構造を持つシリコーンエラストマー等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、防曇性組成物に高いレベリング性を付与でき、防曇性組成物を用いて形成した防曇層に高い防曇性及び低温環境下での防曇性を付与できる点で、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましい。
上記防曇性組成物において、上記界面活性剤の含有量は、防曇性組成物を100質量%として0.1〜1.0質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。界面活性剤の含有量を上述の範囲とすることで、防曇性組成物により形成された優れたレベリング性を示すことができる。
上記疎水性バインダー樹脂、無機質コロイドゾル、及び界面活性剤は、通常市販されている製品そのもの、又は、水等の分散媒に分散された製品、通常市販されている粉末等を水等の分散媒に分散させたもののいずれを用いてもよい。
上記防曇性組成物は、分散媒を含有していてもよい。すなわち、上記防曇性組成物は、上記コロイダルシリカ、疎水性バインダー樹脂、界面活性剤、及び、必要に応じて後述する他の成分が、分散媒中に分散された形態であってもよい。分散媒としては、水、水を含む水混合性溶媒等が挙げられ、具体的には、水道水、脱イオン水、純水等の水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が挙げられる。これらの分散媒は、水単独で用いるか、又は、水とそれ以外の溶媒を混合して用いることが望ましい。
上記防曇性組成物は、上記疎水性バインダー樹脂、無機質コロイドゾル及び界面活性剤を含有していれば、更に、必要に応じて無機フィラー、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、帯電防止剤等の他の成分を通常の量で配合することができる。
無機フィラーとしては、一般に用いられる各種の化合物が挙げられ、特に、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩及び、その複合物が好ましい。具体的には、クレー(カオリンクレー、ソフトクレー、ハードクレー、焼成クレー、ロウ石クレー)、タルク(滑石、フレンチチョーク)、アスベスト(クリソタイル、クロシドライド、アンモナイト、アンソフェライト、トレモライト、アクチノライト)、マイカ、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、アタパルジャイト、軽石粉、スレート粉、長石粉、ケイ灰石、フラースアース、トリポリ石、蛭石、含水又は無水の沈降性ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩;ハイドロタルサイト類(含水又は無水アルミニウム/マグネシウム塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、アルミニウム/亜鉛塩基性炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩);三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミ(含水又は無水)等の酸化物;炭酸カルシウム(重質炭カル、軽質炭カル、膠質炭カル又は沈降性炭カル、胡粉、チョーク、ウィッチング、アラレ石)、炭酸マグネシウム(沈降性、含水及び無水)等の炭酸塩;硫酸バリウム(バライト粉)、沈降性硫酸バリウム、硫酸カルシウム(石コウ、軟石コウ又は沈降性)、ブランフィクス等の硫酸塩;ライム(水酸化アルミ)、水酸化マグネシウム等の水酸化物;カーボンブラック(ファーネス、チャンネル、ランプ、サーマル、アセチレン)、グラファイト、炭素繊維、炭素球、無煙炭粉等の炭素原子からなるもの;銅、アルミニウム、ブロンズ、鉛、亜鉛、スチール等の金属の粉末、繊維、ホイスカーあるいはワイヤー;繊維状、球状、発泡、フライアッシュ球、シラスバルーン等のガラス物質;バリウムフェライト;マグネタイト;二硫化モリブデン;チタン酸カリ等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、フェニルサリシレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好適に用いられる。
光安定剤としては、防曇性組成物に通常配合される種々の化合物を使用することができる。具体的には、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)アジペート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート等のヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
滑剤ないし熱安定剤としては、例えばポリエチレンワックス、流動パラフィン、ビスアマイド、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、脂肪族アルコール、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、有機リン酸金属塩、有機ホスファイト化合物、フェノール類、β−ジケトン化合物等が挙げられる。
上記他の成分は、それぞれ1種または2種以上を組合せて使用することができる。上記他の成分のそれぞれの配合量は、防曇性組成物の性能を低下させない範囲とすることが好ましく、通常は、無機質コロイドゾル、疎水性バインダー樹脂の固形分、界面活性剤、及び分散媒の合計を100質量部として、合計10質量部以下の範囲で選択することができる。
上記防曇性組成物の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、無機質コロイドゾル、疎水性バインダー樹脂、界面活性剤、及び必要に応じて他の成分を添加し、ホモジナイザー等の撹拌装置により撹拌混合する方法が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
実施例1〜10及び比較例1〜6
(合成樹脂フィルムの調製)
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:日本ポリエチレン株式会社製 商品名「ノバテック LL」密度 0.926g/cm、MFR 0.9g/10分)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA:日本ポリエチレン株式会社製 商品名「ノバテック EVA LV342」酢酸ビニル含有量 10質量%、MFR 2.0g/10分)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA:日本ポリエチレン株式会社製 商品名「ノバテック EVA LV430」酢酸ビニル含有量 15質量%、MFR 1.0g/10分)、無機保温剤(ハイドロタルサイト:堺化学工業株式会社製 商品名「STABIACE HT−P」)、及び、光安定剤(HALS2:BASFジャパン社製 商品名「CHIMASSORB 944」平均分子量 2000〜3100)を表1に示す配合で混合し、25mmφダイを備える単層インフレーション成形装置(HAAKE社製)を用い、成形温度170℃、ブロー比2.0の条件で押し出し成形して、厚さ150μmの合成樹脂フィルムを調製した。
(防曇性組成物の調製)
表1に示す配合により、表2に示す疎水性バインダー樹脂、表3に示すコロイダルシリカ、表4に示すアルミナゾル、及び表5に示す界面活性剤を、分散媒としての脱イオン水と混合して撹拌することにより防曇性組成物を調製した。
疎水性バインダー樹脂A〜Cは、以下のようにして調製した。すなわち、四ツ口フラスコにポリオキシエチレンラウリルエーテル2質量部及び水80質量部を仕込んで窒素ガス気流下で60℃まで加熱した。反応温度を60〜70℃に保持しながら、過硫酸アンモニウム0.5質量部を添加し、更に表2に示した配合により各単量体を混合して調製した混合物100質量部を3時間にわたって滴下した。滴下終了後も温度を60〜70℃に2時間保持した後冷却し、疎水性バインダー樹脂の分散媒への分散液を得た。なお、表1において、防曇性組成物中のコロイダルシリカ又はアルミナゾル、及び疎水性バインダー樹脂の配合量は、固形分での配合量を示している。また、表2において、疎水性バインダー樹脂の組成は、固形分での組成を示しており、疎水性バインダー樹脂は、当該固形分が水に分散したエマルジョンの状態で用いられる。
(農業用フィルムの調製)
上述のようにして調製した防曇性組成物を、#7バーコーターを用いて合成樹脂フィルム上に塗布した。防曇性組成物が塗布された合成樹脂フィルムを、70℃のオーブン中で1分間保持し、防曇性組成物の液状分散媒を揮散させて防曇層とすることにより、農業用フィルムを調製した。農業用フィルムを形成する防曇層の被膜の厚みは約1.0μmであった。得られた農業用フィルムを100cm×30cmの大きさに切断し、試験片とした。
実施例1〜10及び比較例1〜6の合成樹脂フィルム、防曇性組成物及び農業用フィルムについて、以下の評価を行った。
<引張応力試験>
合成樹脂フィルムの引張応力をJIS−K−7127及びJIS−K−7161記載の引張試験方法に準拠して測定した。測定は、上記合成樹脂フィルムの引張応力の長手方向および幅方向について行い、その平均値を引張応力とした。また測定雰囲気は、温度25℃、相対湿度30%RHの環境条件下で行った。
<保温性試験>
農業用フィルムの吸収スペクトルを赤外線分光光度計(日本分光社製、商品名「FT/IR−410」)を用いて測定し、各波長の赤外線吸収率に15℃の黒体輻射エネルギー吸収率を乗じて規格化し、400〜2000cm−1の波長範囲に亘って積算した。得られたエネルギー吸収率の総黒体輻射エネルギーに対する百分率を保温指数とした。
<耐折れ白化性試験>
JIS K7105に準拠した測定方法により、日本電色工業社:MDH2000を用いてヘイズを測定し(折れ前のヘイズ値)、折り目をMD方向、TD方向に各2ヶ所付けた後のヘイズを測定し(折れ後のヘイズ値)、下記式に基づいて耐折れ白化性を算出した。
[耐折れ白化性(%)]=[折れ後のヘイズ値(%)]―[折れ前のヘイズ値(%)]
算出された耐折れ白化性を下記基準に従って評価した。
○:5%未満
△:5%以上8%未満
×:8%以上
<耐傷性試験>
鉄パイプに試験片(得られた農業用フィルムを100cm×30cmの大きさに切断したもの)を、防曇層が鉄パイプに接するように展張した。試験片の上部20cm部分に鉄パイプを覆うようにサンプルを設置した。試験片の下部5cm部分に切れ込みを入れ1.5kgの重りを付け荷重をかけた。試験片の上部5cm部分に切れ込みを入れプッシュブルゲージを用いて40Nの力で50cm引っ張った。試験片を50cm引っ張った場合に試験片の表面に付いた擦り傷の本数及び擦り傷の長さを測定し、下記評価基準に従って評価した。擦り傷の本数の評価と擦り傷の長さの評価との積をもとめ、下記評価基準に従って評価した:
[擦り傷の本数]
擦り傷の本数が5本未満:2
擦り傷の本数が5本以上15本未満:4
擦り傷の本数が15本以上:6
パイプに引っかかり穴があく:10
[擦り傷の長さ]
擦り傷の長さが10cm未満:2
擦り傷の長さが10cm以上50cm未満:4
擦り傷の長さが50cm以上:6
パイプに引っかかり穴があく:10
[擦り傷の状態]
○:擦り傷の本数の評価と擦り傷の長さの評価との積が10未満であった
△:擦り傷の本数の評価と擦り傷の長さの評価との積が10以上20未満であった
×:擦り傷の本数の評価と擦り傷の長さの評価との積が20以上100未満であった
××:擦り傷の本数の評価と擦り傷の長さの評価との積が100であった。
<防曇性試験>(防曇性(1):初期防曇性)
水を入れた水槽の上部に、試験片の防曇層が水槽側となるように、水面に対して30°の角度をつけて試験片を設置した。水槽内の水面と、試験片の下端との距離を30cmとした。この状態で、外気温20℃、水温40℃の条件下で保持し、試験片の表面に付着した水滴が流れ落ちるまでの状態を下記基準により評価した。なお、評価が△であれば実使用において問題ないと評価される:
〇:水滴の流れが擦り傷により阻害されない
△:水滴の流れが擦り傷部分で阻害されるが、水滴が落下しない
×:水滴の流れが擦り傷部分で阻害され、水滴が落下する。
<防曇性試験>(防曇性(2):防曇性能の長期持続性)
水を入れた水槽の上部に、試験片の防曇層が水槽側となるように、水面に対して30°の角度をつけて試験片を設置した。水槽内の水面と、試験片の下端との距離を30cmとした。この状態で、外気温20℃、水温40℃の条件下で120日間保持し、試験片の表面に付着している水滴の状態を、5日、10日、20日、30日、40日、の時点で計測し、下記基準に従って評価した。なお、評価が△であれば実使用において問題ないと評価される。
〇:水滴の流れが擦り傷により阻害されない。
△:水滴の流れが擦り傷部分で阻害されるが、水滴が落下しない。
×:水滴の流れが擦り傷部分で阻害され、水滴が落下する。
結果を表1に示す。
1…農業用フィルム、2…合成樹脂フィルム、3…防曇層

Claims (5)

  1. 合成樹脂フィルムと防曇層とが積層された農業用フィルムであって、
    前記合成樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂及び無機保温剤を含有し、引張応力が80〜150MPaであり、
    前記防曇層は、疎水性バインダー樹脂及び無機質コロイドゾルを含有する防曇性組成物から形成される、農業用フィルム。
  2. 前記無機保温剤は、Si、Al、Mg、Ca及びLiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、
    前記無機保温剤の含有量は、前記農業用フィルム100質量%に対して3質量%以上である、請求項1に記載の農業用フィルム。
  3. 前記疎水性バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)が5〜60℃であり、
    前記無機質コロイドゾルがコロイダルシリカ及びコロイダルアルミナから選択される少なくとも1種であり、
    前記防曇性組成物は、更に、界面活性剤を含有する、請求項1又は2に記載の農業用フィルム。
  4. 前記疎水性バインダー樹脂がアクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の農業用フィルム。
  5. 前記防曇層の厚みが、0.5〜3.0μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の農業用フィルム。
JP2017070260A 2017-03-31 2017-03-31 農業用フィルム Pending JP2018170976A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017070260A JP2018170976A (ja) 2017-03-31 2017-03-31 農業用フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017070260A JP2018170976A (ja) 2017-03-31 2017-03-31 農業用フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018170976A true JP2018170976A (ja) 2018-11-08

Family

ID=64106425

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017070260A Pending JP2018170976A (ja) 2017-03-31 2017-03-31 農業用フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018170976A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020182409A (ja) * 2019-05-07 2020-11-12 タキロンシーアイ株式会社 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム
JP7297356B1 (ja) * 2023-03-08 2023-06-26 竹本油脂株式会社 農業用合成樹脂フィルムコーティング剤組成物及びそれを用いた改質フィルム、並びにその製造方法

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0732387A1 (en) * 1995-03-17 1996-09-18 Sumitomo Chemical Company, Limited Antifogging agent composition and agricultural film coated therewith
JPH1158646A (ja) * 1997-08-12 1999-03-02 Mitsui Chem Inc 農業用多層フィルム
JP2001269066A (ja) * 2000-03-28 2001-10-02 Mitsubishi Chem Mkv Co 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム
JP2003094578A (ja) * 2001-09-21 2003-04-03 Sekisui Chem Co Ltd 農業用フィルム
JP2003138035A (ja) * 2001-11-01 2003-05-14 Mitsubishi Chem Mkv Co ポリオレフィン系農業用フィルム
JP2003199437A (ja) * 2001-09-26 2003-07-15 Mitsubishi Chem Mkv Co 農業用フィルム
JP2009159839A (ja) * 2007-12-28 2009-07-23 Mkv Platech Co Ltd 農業用フィルム
WO2014010625A1 (ja) * 2012-07-13 2014-01-16 三菱樹脂株式会社 農業用多層フィルム
JP2014018109A (ja) * 2012-07-13 2014-02-03 Mitsubishi Plastics Inc 農業用多層フィルム
JP2015065951A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 積水フィルム株式会社 防曇性組成物、防曇層及び防曇性フィルム

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0732387A1 (en) * 1995-03-17 1996-09-18 Sumitomo Chemical Company, Limited Antifogging agent composition and agricultural film coated therewith
JPH1158646A (ja) * 1997-08-12 1999-03-02 Mitsui Chem Inc 農業用多層フィルム
JP2001269066A (ja) * 2000-03-28 2001-10-02 Mitsubishi Chem Mkv Co 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム
JP2003094578A (ja) * 2001-09-21 2003-04-03 Sekisui Chem Co Ltd 農業用フィルム
JP2003199437A (ja) * 2001-09-26 2003-07-15 Mitsubishi Chem Mkv Co 農業用フィルム
JP2003138035A (ja) * 2001-11-01 2003-05-14 Mitsubishi Chem Mkv Co ポリオレフィン系農業用フィルム
JP2009159839A (ja) * 2007-12-28 2009-07-23 Mkv Platech Co Ltd 農業用フィルム
WO2014010625A1 (ja) * 2012-07-13 2014-01-16 三菱樹脂株式会社 農業用多層フィルム
JP2014018109A (ja) * 2012-07-13 2014-02-03 Mitsubishi Plastics Inc 農業用多層フィルム
JP2015065951A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 積水フィルム株式会社 防曇性組成物、防曇層及び防曇性フィルム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020182409A (ja) * 2019-05-07 2020-11-12 タキロンシーアイ株式会社 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム
JP7297356B1 (ja) * 2023-03-08 2023-06-26 竹本油脂株式会社 農業用合成樹脂フィルムコーティング剤組成物及びそれを用いた改質フィルム、並びにその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016130274A (ja) 防曇性組成物及び防曇性フィルム
KR20150035719A (ko) 농업용 다층 필름
WO2016153050A1 (ja) 防曇性組成物及び防曇性フィルム
JP5063668B2 (ja) 梨地状農業用ポリオレフィン系フィルム
JP2018170976A (ja) 農業用フィルム
JP5474246B1 (ja) 防曇性組成物、防曇層及び防曇性フィルム
JP2011078341A (ja) 農業用ポリオレフィン系多層フィルムおよびその製造方法
JP5693765B1 (ja) 防曇性組成物、防曇層及び防曇性フィルム
KR20150035720A (ko) 농업용 다층 필름
JP2017052918A (ja) 防曇性組成物及び防曇性フィルム
JP2018065990A (ja) 防曇性組成物及び防曇性フィルム
JPH04238029A (ja) オレフィン系農業用積層フィルム
JP3898771B2 (ja) 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム
JP2004099695A (ja) 塗布防曇剤及び農業用フィルム
ES2199270T3 (es) Composicion a base de resina de poliolefina.
JP2001334612A (ja) 多層フィルム
KR100201885B1 (ko) 농업용 폴리올레핀계 수지 필름
JPS63286343A (ja) 農業用積層フィルム
JP4636973B2 (ja) 農業用積層フィルム
JP2007312679A (ja) ポリオレフィン系農業用フィルム
JPH0753747A (ja) 農業用フィルム
JPH0782398A (ja) 塗布性の改良された防曇剤組成物および農業用フィルム
JPH04271729A (ja) 農業用軟質塩化ビニル系樹脂フィルム
JPH10217400A (ja) 防曇持続性農業用ポリオレフィン系フィルム
JP4347987B2 (ja) 農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20180427

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201124

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210601