JP2017104072A - 農業用多層フィルム - Google Patents

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駿 尾形
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駿 尾形
田中 達夫
Tatsuo Tanaka
達夫 田中
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Abstract

【課題】本発明は、耐久性が高く、耐久性が高く、軽量で、高い光変換効率を有することが可能な、農業用多層フィルム、すなわち、安定した光合成促進効果を有する農業用多層フィルムを提供する。【解決手段】外層と内層とこれらに挟まれた少なくとも1層の中間層とを有する農業用多層フィルムであり、外層及び内層が、それぞれ、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、中間層が、酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含有し、中間層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をA、外層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をB、内層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をCとしたときに、A−Bが3以上であり、A−Cが3以上であり、少なくとも中間層が、少なくとも1種の蛍光色素を含有することを特徴とする、農業用多層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、農業用多層フィルム、より詳しくは、植物の光合成促進効果を有する農業用多層フィルムに関する。
最近、野菜等の農産物の安定供給や計画栽培を図るため、植物等の光合成に寄与する波長帯の光を照射する発光ダイオードを光源に用いて、あたかも野菜を栽培する工場たる植物工場を建設する計画が進められている。しかしながら、このような方法は、計画栽培を可能にするものの、栽培を行うために大量の電力を消費することとなるため、地球温暖化や化石燃料の枯渇化等の環境・エネルギー問題に大きな影響を与えることが懸念されている。
一方、露地栽培では、野菜等の農産物の品質を管理するため、農薬散布が一般的に行われている。しかしながら、大量の農薬を使用することによる、周辺の大気汚染、雨水への混入による水質汚染が深刻な問題になっている。さらに加えて、最近の健康志向の高まりにより、無農薬栽培や豊潤な味のある有機栽培が要請されている。
こうした昨今の状況を踏まえつつ、光合成促進効果を狙いとした農業用フィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許第3612136号公報 特許第5321871号公報 特許第5375510号公報 特許第5505630号公報 特許第5505737号公報
しかしながら、特許文献1においては、遮蔽剤として使用されているガラス転移温度23℃以上の樹脂と基材樹脂との接着性が悪いため、界面での剥離が生じることにより、フィルムが白濁する、あるいはフィルムが破れ易くなる、というおそれがあった。また、ガラス転移温度23℃以上の樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジンはいずれも、比重が1.0を超えており、これらの樹脂を使用したフィルムは比重が大きくなるため、フィルムの取り扱い性が悪く、軽量化が求められていた。
また、特許文献2〜5においては、ペリレン系色素とポリエステル樹脂とを混練して成形品を製造しているが、ポリエステル樹脂は耐クリープ性に劣るため、使用中に成形品が破損するおそれがあった。また、ポリエステル樹脂は、比重が1.3を超えており、ポリエステル樹脂を使用したフィルムは比重が大きくなるため、取り扱い性が悪く、軽量化が求められていた。
一方、ポリオレフィン系樹脂は、耐クリープ性に優れ、比重は小さい樹脂として知られている。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、蛍光色素との相溶性が低いため、フィルム表面に色素がブリードアウトすることにより、光変換効率が低下するおそれがある。
また、蛍光色素は、光や熱により化学反応を起こして、光変換効率が低下する場合があり、特に混練する際には、押出機の熱やシェアにより、蛍光色素の光変換効率が低下するおそれがある。
本発明の課題は、耐久性が高く、軽量で、高い光変換効率を有する農業用多層フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明の目的を達成する農業用多層フィルム(特に、ポリオレフィン系多層フィルム)を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[1]
外層と内層とこれらに挟まれた少なくとも1層の中間層とを有する農業用多層フィルムであり、
前記外層及び前記内層が、それぞれ、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、
前記中間層が、酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含有し、
前記中間層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をA(質量%)、前記外層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をB(質量%)、前記内層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をC(質量%)としたときに、A−Bが3以上であり、A−Cが3以上であり、
少なくとも前記中間層が、多環系色素、キサンテン系色素、チオキサンテン系色素、ナフタルイミド色素、ナフトラクタム色素、アントラキノン色素、ベンゾアントロン色素、クマリン色素からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光色素を含有する
ことを特徴とする、農業用多層フィルム。
[2]
前記外層が、線状低密度ポリエチレンを含有し、前記内層が、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含有する、[1]に記載の農業用多層フィルム。
[3]
前記中間層における前記蛍光色素の含有量が、0.001〜0.1質量%である、[1]又は[2]に記載の農業用多層フィルム。
[4]
前記蛍光色素が有する蛍光波長域が、450〜530nm及び/又は610〜690nmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の農業用多層フィルム。
本発明によれば、耐久性が高く、軽量で、高い光変換効率を有することが可能な、農業用多層フィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の農業用多層フィルムは、外層と内層とこれらに挟まれた少なくとも1層の中間層とを有する農業用多層フィルムであり、少なくとも、外層、中間層、内層の3層で構成されるが、それ以上の層を含んでもよく、例えば、全体で5層等の構成にすることもできる(この場合、外層及び内層以外の3層が中間層となる)。
本実施形態においては、農業用多層フィルムをハウスに展張した際に、ハウス外側に面している層を外層といい、ハウス内側に面している層を内層という。
−外層・内層−
本実施形態で用いられる外層及び内層は、それぞれ、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
−−線状低密度ポリエチレン−−
線状低密度ポリエチレンとしては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン等のいわゆるエチレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。
線状低密度ポリエチレンとして、チーグラー触媒を用いて得られるもの、フィリップス触媒を用いて得られるもの、メタロセン触媒を用いて得られるもの等のいずれも用いることができる。
メタロセン触媒を用いて得られる線状低密度ポリエチレンは、例えば(A法)(特開昭58−19309号公報、特開昭59−95292号公報、特開昭60−35005号公報等)や、(B法)(特開平6−9724号公報、特開平6−136195号公報、特開平6−136196号公報等)により得られる。本実施形態では、フィルムの良好な初期透明性及び透明持続性が得られる点では、上記(A)法及び上記(B)法に拘泥されることなく、メタロセン化合物を用いて重合された線状低密度ポリエチレンを用いることができる。
線状低密度ポリエチレンの密度としては、0.880〜0.940g/cm3としてよく、好ましくは0.890〜0.920g/cm3である。
−−低密度ポリエチレン−−
低密度ポリエチレンは、通常、エチレンから高圧ラジカル法で製造され、高圧・高温条件下で重合される。
密度0.910〜0.930g/cm3のものが低密度ポリエチレンと呼ばれるが、フィルムの成形加工性、柔軟性、透明性、強度等のバランスに配慮すると、主に0.920g/cm3前後の密度のものを好ましく使用することができる。
−−エチレン酢酸ビニル共重合体−−
本実施形態の外層及び内層に含有され得るエチレン酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%であり、好ましくは2〜8質量%であり、
さらに好ましくは3〜7質量%である。
ここで、酢酸ビニル含有量は、当該層(すなわち、外層又は内層)に含まれるエチレン酢酸ビニル共重合体の質量を100質量%としたときの値である。
酢酸ビニル含有量が上記の範囲にあると、フィルムを高温環境に曝したときにフィルム同士のべたつきや、パイプハウスの部材等とフィルムとが融着するのを防止することができ、さらには中間層に添加された色素のブリードアウトを抑制することができる。
エチレン酢酸ビニル共重合体の密度としては、0.920〜0.950g/cm3としてよく、好ましくは0.925〜0.945g/cm3である。
ここで、外層及び内層に含まれる、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の含有量は、当該層(すなわち、外層又は内層)を100質量%として、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
−−他の樹脂−−
外層及び内層は、それぞれ、本発明の効果を損わない範囲で、前述の、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体以外の、他の樹脂を含有してもよい。
このような他の樹脂としては、上記以外の樹脂で本発明の効果を損わないものであれば、特に限定されることなく、任意の樹脂を使用することができる。
本実施形態の農業用ポリオレフィン系多層フィルムにおいては、外層と内層に含まれる樹脂の種類及び組成は、同じであっても異なっていてもよい。
特に、本実施形態では、外層が、線状低密度ポリエチレンを含有し、内層が、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含有することが好ましい。
−中間層−
本実施形態で用いられる中間層は、酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含有する。
そして、本実施形態では、少なくとも中間層が、蛍光色素を含有する。
−−エチレン酢酸ビニル共重合体−−
本実施形態の中間層に含有されるエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量は、1〜20質量%であり、好ましくは2〜18質量%であり、
さらに好ましくは3〜15質量%である。
ここで、酢酸ビニル含有量は、当該層(すなわち、中間層)に含まれるエチレン酢酸ビニル共重合体の質量を100質量%としたときの値である。
酢酸ビニル含有量が上記の範囲にあると、フィルムのコシがフィルムを取扱う際に適正な範囲に入り、さらには色素の分散性を良好にすることができる。
エチレン酢酸ビニル共重合体の密度としては、前述の外層及び内層におけるエチレン酢酸ビニル共重合体の密度と同様としてよい。
ここで、中間層に含まれる酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体の含有量は、当該層(すなわち、中間層)を100質量%として、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
−−蛍光色素−−
また、本実施形態で用いられる中間層は、蛍光色素を含有する。なお、蛍光色素とは、蛍光染料や蛍光顔料を包含するものである。
蛍光色素としては、非イオン系の蛍光色素が挙げられ、より具体的には、多環系色素(ビオラントロン系色素、イソビオラントロン系色素、ビラントロン系色素、フラバントロン系色素、ペリレン系色素、ビレン系色素等)、キサンテン系色素、チオキサンテン系色素、ナフタルイミド色素、ナフトラクタム色素、アントラキノン色素、ベンゾアントロン色素、クマリン色素からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
本実施形態においては、蛍光色素は、非イオン系の蛍光色素が好ましく、中でも多環系色素が好ましく、ペリレン系色素が特に好ましい。
特に、ペリレン系色素としては、例えば、ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト社製の商品名Lumogen FシリーズのYellow 083、Orange 240、Red 305等が挙げられる。
また、ナフタルイミド系色素としては、例えば、ビーエーエスエフアクチェンゲゼルシャフト社製の商品名 Lumogen FシリーズのViolet570、Blue650等が挙げられる。
本実施形態における蛍光色素が有する蛍光波長域は、450〜530nm及び/又は610〜690nmであることが好ましい。
これらの波長領域は、植物の葉緑素が吸収する光の波長領域であり、蛍光波長域がこの範囲であれば、植物等の光合成の促進効果が十分となる。
本実施形態の農業用多層フィルムには少なくとも中間層に蛍光色素が含まれている。
ここで、中間層に含まれる蛍光色素の含有量は、0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.005〜0.05質量%であることが更に好ましく、0.01〜0.03質量%であることが更に好ましい。
蛍光色素の含有量が0.001%以上である場合には、波長変換される光の量は十分でとなり、植物等の光合成の促進効果が十分となる。蛍光色素の含有量が0.1質量%以下の場合には、蛍光色素が樹脂内部で凝集しにくく、光変換効率が向上する。
−−他の樹脂−−
本実施形態の農業用多層フィルムの中間層には、本発明の効果を損わない範囲でエチレン酢酸ビニル共重合体(A)以外の他の樹脂を含有してもよい。
このような他の樹脂としては、本発明の効果を損なわないものであれば任意の樹脂を選択することが可能である。
以下、本実施形態の農業用多層フィルムの作用効果について記載する。
前述の蛍光色素は、極性を有する分子であるため、極性に乏しいポリオレフィンとは相溶性が悪く、これまで、蛍光色素を、ポリオレフィン系フィルムに均一に相溶させることは困難とされてきた。
本発明者らは、フィルム中に、1〜20質量%という特定量の酢酸ビニル含有量を有するエチレン酢酸ビニル共重合体を含有する層を用いることにより、これらの蛍光色素が均一に相溶することを見出した。
本実施形態においては、蛍光色素を含める中間層に、一般的に色素と相溶性が良好と言われている、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等と比較して比重が顕著に小さい、エチレン酢酸ビニル共重合体を使用するため、フィルム全体の比重も小さくすることができる。
また、中間層は、酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含有するため、ガラス転移温度及び融点が低く、中間層の製造時に、200℃以下という比較的低い温度での押出が可能となる。そのため、混練される蛍光色素が、押出機内で熱や酸素により化学反応しにくく、蛍光色素が、フィルム中で長期間安定して十分な蛍光を発することができる。
本実施形態においては、より詳細には、蛍光色素と混練する樹脂(蛍光色素を含む層が含有する樹脂)の含水率が、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることが更に好ましい。
なお、本実施形態における樹脂の含水率は、樹脂を70℃で30分間加熱した際の質量の減少率として測定した値である。
500ppm以下の場合には、蛍光色素と樹脂との混練中に蛍光色素が分解しにくく、フィルムの光変換効率が向上する。
本実施形態において、樹脂の含水率を500ppm以下に低下させる方法としては、公知の乾燥機を使用する手法が挙げられ、使用される乾燥機としては、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹梓式乾燥機等が挙げられる。
なお、本実施形態においては、エチレン酢酸ビニル共重合体等の、酢酸ビニル単位を含む樹脂は、中間層、外層、内層のいずれに含まれていてもよい。
ここで、本実施形態においては、中間層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をA(質量%)、外層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をB(質量%)、内層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をC(質量%)としたときに、A−Bが3以上であり、且つ、A−Cが3以上であり;A−Bが5以上であり、且つ、A−Cが5以上であることが好ましい。
なお、本実施形態の農業用多層フィルムが中間層を複数層含む場合、上記A(質量%)は、複数層についての平均を指すものとする。
そして、本実施形態においては、農業用多層フィルムの少なくとも中間層に含まれる蛍光色素が、この蛍光色素が使用中に徐々にではあるがフィルム表面にブリードアウトし、光変換効率を低下させたり、色素が雨水等により流出して環境を汚染するおそれがある。そこで、中間層が含有する酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量を、表層及び内層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量よりも高めることにより、フィルム表面へのブリードアウトを抑制することができる。
A−Bが3以上であり、且つ、A−Cが3以上の要件を満たす場合には、ブリードアウト抑制効果が十分となり、蛍光色素がフィルム表面にブリードアウトしにくく、光変換効率が向上したり、色素が雨水等により流出して環境を汚染したりするおそれが少ない。
またなお、本実施形態においては、蛍光色素は、少なくとも中間層に含まれるものであり、外層及び内層に含まれていてもよい。
−添加剤−
本実施形態の農業用多層フィルム中には、通常農業用フィルムに使用される各種添加剤を併用することができる。
それらの添加剤としては、例えば、防曇剤、防霧剤、耐候性向上剤(ヒンダードアミン系光安定剤(ヒンダードアミン化合物)、紫外線吸収剤等)、耐候剤、赤外線吸収剤、保温剤、充てん剤、金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩および過塩基性有機酸塩、ハイドロタルサイト化合物、エポキシ化合物、β−ジケトン化合物、多価アルコール、ハロゲン酸素酸塩、硫黄系、フェノール系およびホスファイト系等の酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、等が挙げられる。
防曇剤としては、公知の種々の非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等をはじめとする、多価アルコールと高級脂肪酸類とから成る多価アルコール部分エステル系のもの、シリコーン系界面活性剤が好適に使用できる。
このような界面活性剤の具体例としては、例えば、非イオン系界面活性剤、例えば、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステルのアルキレンオキシド付加物、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステルのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンアルキレンオキシド付加物及びソルビタンモノパルミチン酸エステル(ここで、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステルには、モノエステル、ジエステル、トリエステル、及びそれらの混合物が含まれる。)等のソルビタン系界面活性剤やグリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノパルミテート・モノステアレート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレートあるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等等のグリセリン系界面活性剤やポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等のポリエチレングリコール系界面活性剤やその他トリメチロールプロパンモノステアレート等のトリメチロールプロパン系界面活性剤やペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート等のペンタエリスリトール系界面活性剤、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物;ソルビタン/グリセリンの縮合物と脂肪酸とのエステル、ソルビタン/アルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステル;ジグリセリンジオレートナトリウムラウリルサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルアミン塩酸塩、ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩、トリエチルセチルアンモニウムイオダイド、オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩、ドデシルピリジニウム塩等やそれらの異性体を含むもの等を挙げることができる。
防霧剤としては、フッ素系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤の具体例としては、通常の界面活性剤の疎水基のCに結合したHの代わりにその一部又は全部をFで置換した界面活性剤で、特にパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルケニル基を含有する界面活性剤である。このようなフッ素系界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物としては、例えば、アニオン系含フッ素界面活性剤、カチオン系含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、ノニオン系含フッ素界面活性剤、含フッ素オリゴマー等が挙げられる。本発明においては、フッ素系界面活性剤が、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物又はパーフルオロアルキルプロピレンオキシド付加物を含むことが特に好ましい。
耐候性向上剤のヒンダードアミン光安定剤としては、農業用として通常配合されるヒンダードアミン系光耐候剤を使用することができ、例えば、分子中にピペリジン環構造を少なくとも2個以上有し、かつ分子量が500以上のヒンダードアミン化合物(以下、「ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物」ともいう)を好適に使用することができる。
上記ピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物等が挙げられる。
また、市販のヒンダードアミン系化合物、TINUVIN770、TINUVIN780、TINUVIN144、TINUVIN622LD、TINUVIN NOR 371、CHIMASSORB119FL、CHIMASSORB944(以上、チバガイギー社製)、サノールLS−765(三共(株)製)、MARK LA−63、MARK LA−68、MARK LA−68、MARK LA−62、MARK LA−67、MARKLA−57、LA−900、LA−81、NO−Alkyl−1(以上、ADEKA社製)、UV−3346、UV−3529、UV−3581、UV−3853(以上、サイテック社製)、ホスタビンN20、ホスタビンN24、ホスタビンN30、ホスタビン845、ホスタビンNOW、サンデュボアPR−31、ナイロスタッブS−EED(以上、クラリアント・ジャパン社製)、UVINUL5050H(以上、BASFジャパン社製)等を使用することができる。
これらのピペリジン環含有ヒンダードアミン化合物は、一種又は二種以上で用いられる。
上記ヒンダードアミン光安定剤の含有量は、多層フィルム各層中の樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。該含有量が0.001質量部以上では十分な効果が得られ、5質量部以下だと効果の向上がみられる。
耐候性向上剤の紫外線吸収剤として、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’.5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール等のトリアジン類等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、一種又は二種以上で用いられる。
紫外線吸収剤は、多層フィルム各層中の樹脂100質量部に対し、好ましくは0.001質量部以上2質量部以下、更に好ましくは0.01〜1質量部で添加することができる。含有量が上記範囲では耐候性改良効果が高く、ブリードアウトによる透明性低下が起こりにくい。
赤外線吸収剤としては、保温剤として有効なMg、Ca、Al、Si、Liの少なくとも1つの原子を含有する無機化合物(無機酸化物、無機水酸化物、ハイドロタルサイト類等)を使用できる。
本発明における農業用フィルムに、赤外線吸収剤を添加することにより、良好な保温性を付与することができる。
赤外線吸収剤としては、特に、下記の一般式(1)で表されるハイドロタルサイト類赤外線吸収剤を用いた場合に、安価で成形性良好なフィルムを得ることができる。
Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2
・・・・・(1)
なかでも、下記の一般式(2)で表される赤外線吸収剤を用いた場合に、安価で成形性良好なフィルムを得ることができる。
[Al2(Li(1-x)・M(x+y))(OH)(6+2y)2(An-2(1+x)/n・mH2
・・・・・(2)
(式中、Mは、Mg及び/又はZnで、Aは、n価のアニオン、mは、0又は正の数、x及びyは、0≦x<1、0≦y≦0.5である。)
上記一般式(2)で表される赤外線吸収剤(保温剤)の入手方法は、特に限定されず、市販のものを使用することができ、例えば、DHT4A、SYHT−3(協和化学(株)製)、HT−P(堺化学(株)製)、オプティマ(戸田工業(株)製)やミズカラック(水澤化学工業(株)製)等が挙げられる。
他に赤外線吸収剤(保温剤)として用いることのできる無機微粒子は、特に制限はないが、Si、Al、Mg、Caからなる群から選ばれた少なくとも1つの原子を含有する無機化合物を用いることができる。例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類化合物等が挙げられる。これらは結晶水を脱水したものであってもよい。
上記無機微粒子は天然物であってもよく、また合成品であってもよい。また、上記無機微粒子は、その結晶構造、結晶粒子径等に制限されることなく使用することが可能である。
これらは一種又は二種以上で組み合わせて用いることができる。
上記赤外線吸収剤の含有量は、フィルム各層中の樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは1〜12質量部である。含有量が上記範囲だと保温性改良効果が向上し、透明性も向上する。
金属の有機酸塩、塩基性有機酸塩、及び過塩基性有機酸塩を構成する金属種としては、Li、Na、K、Ca、Ba、Mg、Sr、Zn、Cd、Sn、Cs、Al、Snが挙げられ、有機酸としては、カルボン酸、有機リン酸類又はフェノール類が挙げられる。
充てん剤としては、フィルムのベタツキを抑制するために、あるいは保温性をさらに高めるために、例えば、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、マイカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、導電性酸化亜鉛、リン酸リチウム等が用いられる。
これらの充てん剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、アリザリンレーキ、酸化チタン、亜鉛華、群青、パーマネントレッド、キナクリドン、カーボンブラック等を挙げることができる。
本実施形態の農業用多層フィルムは、上述した添加剤を適宜組み合わせて含有してよく、さらに、前述の添加剤以外の任意成分(例えば、その他安定剤、耐衝撃性改善剤、架橋剤、充填剤、発泡剤、帯電防止剤、造核剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、難燃剤、螢光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤等)を、必要に応じて含有させることができる。
(農業用多層フィルムの製造方法)
本実施形態の農業用多層フィルムは、各種添加剤を配合するには、各々必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、単軸又は二軸押出機、ロール等の配合機や混練機その他従来から知られている配合機、混合機を使用すればよい。
このようにして得られた樹脂組成物をフィルム化するには、それ自体公知の方法、例えば、溶融押出し成形法(Tダイ法、インフレーション法を含む)、カレンダー加工、ロール加工、押出成型加工、ブロー成型、インフレーション成型、溶融流延法、加圧成型加工、ペースト加工、粉体成型等の方法を好適に使用することができる。
本実施形態の農業用多層フィルムの厚みについては、強度やコストの点で0.01〜1mmの範囲のものが好ましく、0.05〜0.5mmのものがより好ましく、更に好ましくは0.05〜0.2mmである。厚みがこの範囲であれば強度的、成形上、展張作業性の問題のない農業用多層フィルムを得ることができる。
また、外層、中間層、内層の各層間での厚みの比率としては、特に限定されるものではないが、成形性や透明性及び強度の点から、(外層/中間層/内層の順に、)1/0.5/1〜1/5/1の範囲が好ましく、1/2/1〜1/4/1の範囲がより好ましい。また、外層と内層との比率としては、特に規定されるものではないが、得られるフィルムのカール性から同程度とするのが好ましい。
また、上記の耐候性向上剤(ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤等)、耐候剤、赤外線吸収剤、保温剤等の各種添加剤は、全層に添加してもよく、また一部の層(中間層、又は中間層及び外層に中間層等)に添加することもできる。
((塗膜形成方法))
また、本実施形態の農業用多層フィルムには、その表面に防曇性塗膜及びそれ以外の塗膜を形成してよい。例えば、農業用フィルムをハウスに被覆した際に内側になる面(内層表面)に防曇性塗膜を、外側になる面(外層表面)に防塵性塗膜を形成してもよい。
以下、防曇性塗膜の形成方法の詳細について記載する。
防曇性塗膜としては、無機質コロイドゾル及び/又は熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂を主成分とする組成物等が挙げられる。
好ましくは、無機コロイド物質と親水性有機化合物とを主成分とした防曇性塗膜や、無機コロイド物質とアクリル系樹脂とを主成分とする防曇性塗膜を用いることができる。
また、上記組成物には、バインダー樹脂を添加しなくてもよく、コロイダルシリカやコロイダルアルミナ等の無機物を含めてもよい。
無機質コロイドゾルとしては、シリカ、アルミナ、水不溶性リチウムシリケート、水酸化鉄、水酸化スズ、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機質水性コロイド粒子を、種々の方法で、水又は親水性媒体中に分散させた、水性ゾルが挙げられる。中でも好ましく用いられるのは、シリカゾルとアルミナゾルで、これらは、単独で用いても併用してもよい。
無機質コロイドゾルとしては、その平均粒子径が5〜100nmの範囲で選ぶのが好ましく、また、この範囲であれば、平均粒子径の異なる2種以上のコロイドゾルを組み合わせて用いてもよい。平均粒子径をこの範囲にすることで被膜が白く失透したりすることがなく、無機質コロイドゾルの安定性においても良好である。
無機質コロイドゾルは、その配合量をバインダー樹脂組成物の固形分質量の合計100質量%に対して、固形分としての質量比で0.2〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%にするのが好ましい。すなわち、0.2質量%以上である場合は、十分な防曇効果が発揮でき、一方、5質量%以下である場合は、塗布後に形成される被膜が白濁化しにくく、フィルムの光線透過率を向上でき、また、被膜がきれいに形成される。
バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂は、基材フィルムがポリオレフィン系フィルムの場合は、ポリオレフィン系フィルムとの相性から、特に、アクリル系樹脂及び/又はウレタン系樹脂を用いることが好ましい。
より詳細には、バインダー樹脂は、(a)親水性アクリル系樹脂からなるもの、(b)一分子内に疎水性分子鎖ブロックと親水性分子鎖ブロックとを含むブロック共重合体からなるもの、(c)疎水性アクリル系樹脂からなるもの、(d)ウレタン系樹脂、(e)疎水性アクリル系樹脂とポリウレタンエマルジョンとからなるものが、各々の特質を生かす意味で、好ましい。
特に、基材フィルムがポリオレフィン系フィルムの場合は、(a)が、初期の防曇濡れが早い点で基材フィルムとの相性に優れているため、好ましく、一方、(c)は、基材フィルムとの相性に優れているため、好ましい。
(a)の親水性アクリル系樹脂としては、水酸基含有ビニル単量体成分を主成分とし(好ましくは60〜99.9質量%、更に好ましくは65〜95質量%含有)、酸基含有ビニル単量体成分を0.1〜30質量%含有し、必要に応じてさらにその他の共重合体成分を含有する共重合体、及び、その部分中和物又は完全中和物が挙げられる。
水酸基含有ビニル単量体成分としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独重合体であってもよく、これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類を主成分とし、これらと共重合しうる他の単量体との共重合体であってもよい。
これらヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類と共重合しうる酸基含有単量体としては、カルボン酸類、スルホン酸類、ホスホン酸類が挙げられ、特に好ましくは、カルボン酸に属する(メタ)アクリル酸である。
必要に応じて用いられるその他の共重合体成分としては、例えば、スチレン、ビニルテルエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酸化ビニル、(メタ)アクリル酸エステル類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン等が挙げられる。
(b)一分子内に疎水性分子鎖ブロックと親水性分子鎖ブロックとを含むブロック共重合体からなるものとしては、ポリエチレングリコール−ポリ乳酸共重合体、ポリエチレングリコール−ポリグリコリド共重合体、ポリエチレングリコール−ポリカプロラクトン共重合体等が挙げられる。
(c)の疎水性アクリル系樹脂としては、少なくとも合計60質量%のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル類からなる単量体、又はアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル類とアルケニルベンゼン類との単量体混合物と、0〜40質量%のこれらと共重合しうるα、β−エチレン性不飽和単量体とを、通常の重合条件に従って(例えば、乳化剤の存在下で、水系媒質中で、乳化重合させて、)得られる、水分散性の重合体又は共重合体を挙げることができる。
疎水性アクリル系樹脂の製造に用いられるアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル類としては、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n−プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステル等が挙げられ、一般には、アルキル基の炭素数が1〜20個のアクリル酸アルキルエステル及び/又はアルキル基の炭素数が1〜20個のメタクリル酸アルキルエステルが使用される。また、アルケニルベンゼン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これら単量体は、単独で用いても、又は2種以上の併用でもよい。
疎水性アクリル系樹脂の製造に用いられるα、β−エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等のα、β−エチレン性不飽和カルボン酸類;エチレンスルホン酸等のα、β−エチレン性不飽和スルホン酸類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパン酸;α、β−エチレン性不飽和ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチル等の水酸基含有ビニル単量体;アクリロニトリル類;アクリルアマイド類;アクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。これら単量体は、単独で用いても、又は2種以上の併用でもよい。α、β−エチレン性不飽和単量体は、0〜40質量%の範囲で使用するのが好ましい。この範囲であれば、防曇性能が向上できる。
上述の疎水性アクリル系樹脂は、公知の乳化剤、例えば、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤の中から選ばれる1種もしくは2種以上の存在下、水系媒質中で、乳化重合させる方法;反応性乳化剤を用いて重合させる方法;乳化剤を含有させずオリゴソープ理論に基づいて重合させる方法等によって得ることができる。
疎水性アクリル系樹脂の製造に好ましく用いられる重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらは、単量体の仕込み合計量に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することができる。
疎水性アクリル系樹脂は、特に、ガラス転移温度が35〜80℃のものを用いるのが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると、無機質コロイド粒子が数次凝集して不均一な分散状態をとりやすく、高すぎると、透明性のある均一な塗膜を得るのが困難となりやすい。
疎水性アクリル系樹脂は水系エマルジョンとして用いるのが好ましい。各単量体を水系媒質中での重合によって得られた水系エマルジョンをそのまま使用してもよく、更にこのものに液状分散媒を加えて希釈したものでもよく、また上記のような重合によって生じた重合体を分別採取し、これを液状分散媒に再分散させて水系エマルジョンとしたものでもよい。
一方、(d)ウレタン系樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンの水性組成物、エマルジョンが挙げられる。基材フィルムがポリオレフィン系フィルムの場合は、防曇性塗膜の基材フィルムとの密着性、耐水性及び耐傷付き性の点でポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンが好ましく、更なる防曇性塗膜の耐水性、耐傷付き性向上並びに防曇性を発現するまでの時間及び防曇持続性の点でシラノール基を含有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンがより好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シラノール基を含有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタンエマルジョンとは、分子内に少なくとも1個のシラノール基を含有するポリウレタン樹脂と、硬化触媒として強塩基性第3級アミンとを含有してなり、具体的には水相中にシラノール基含有ポリウレタン樹脂及び前記強塩基性第3級アミンが溶解しているもの、又は微粒子状に分散しているコロイド分散系のもの(エマルジョン)をいう。
(e)の疎水性アクリル系樹脂とポリウレタンエマルジョンとからなるものにおいて、ポリウレタンエマルジョンは、その配合量を、固形分質量比で、疎水性アクリル系樹脂100質量%に対して0.01〜2質量%、更に好ましくは0.01〜1質量%にすることが好ましい。0.01質量%以上であれば耐傷付き性が向上し、防曇性を発現するまでの時間が短く、十分な防曇効果が発揮しやすい。また、2質量%以下であれば、耐傷付き性が向上するばかりでなく、塗布後に形成される塗膜が白濁化しにくいため光線透過率を向上させやすく、また、コスト面でも有利である。
防曇性塗膜を形成するための防曇剤組成物を調製するときに、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、高分子界面活性剤等の界面活性剤を添加することができる。
このような界面活性剤は、以下のものを使用することができる。
陰イオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ジアルキルホスフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンサルフェート塩等が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、エタノールアミン類;ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩;ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩等のアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリエチレングリコールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエステル類;ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベンゾエート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート等のジグリセリン脂肪酸エステル類;グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル類;ペンタエリスリトールモノステアレート等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル類;ジペンタエリスリトールモノパルミテート等のジペンタエリスリトール脂肪酸エステル類;ソルビタンモノパルミテート・ハーフアジペート、ジグリセリンモノステアレート・ハーフグルタミン酸エステル等のソルビタン及びジグリセリン脂肪酸・2塩基酸エステル類;又はこれらとアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオンオキサイド等の縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシプロピレンソルビタンモノステアレート等;ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類;シュガーエステル類等が挙げられる。
高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、セルロースエーテル類等が挙げられる。
界面活性剤の添加は、バインダー樹脂と無機質コロイドゾルとを容易にかつ速やかに均一に分散することができ、また無機質コロイドゾルと併用することにより、疎水性のポリオレフィン系樹脂フィルム表面に親水性を付与する機能を果たす。
界面活性剤の添加量は、樹脂の固形分100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲で選ぶとよい。界面活性剤の添加量が0.1質量部以上であれば、樹脂及び無機質コロイドゾルが十分に分散するのに時間がかからず、また、無機質コロイドゾルとの併用での防曇効果を十分に発揮できる。一方界面活性剤の添加量が50質量部以下であれば、塗布後に形成される被膜表面へのブリードアウト現象が起きにくく、被膜の透明性が向上する。
防曇性塗膜を形成するための防曇剤組成物を調製するときに、架橋剤を添加することができる。架橋剤は、特にアクリル系樹脂同士を架橋させ、塗膜の耐水性を向上させる効果がある。架橋剤としては、フェノール樹脂類、アミノ樹脂類、アミン化合物類、アジリジン化合物類、アゾ化合物類、イソシアネート化合物類、エポキシ化合物類、シラン化合物類等が挙げられるが、特にアミン化合物類、アジリジン化合物類、エポキシ化合物類が好ましく使用できる。
本実施形態に使用される防曇剤組成物には、必要に応じて、液状分散媒を配合することができる。かかる液状分散媒としては、水を含む親水性ないし水混合性溶媒が含まれ、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、等の1価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が挙げられる。これら液状分散媒は単独で用いても併用してもよい。
防曇剤組成物には、更に必要に応じて、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、造粘剤、顔料、顔料分散剤等の慣用の添加剤を混合することができる。また、アクリル系樹脂以外のバインダー成分として、例えば、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系の水分散性ウレタン樹脂等を混合していてもよい。
本実施形態の農業用多層フィルムの表面に防曇性塗膜を形成するには、一般に防曇性組成物の溶液又は分散液をそれぞれ、ドクターブレードコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロッドコート法、バーコート法、ナイフコート法、ハケ塗り法等それ自体公知の塗布方法を採用し、塗布後乾燥すればよい。塗布後の乾燥方法は、自然乾燥及び強制乾燥のいずれの方法を採用してもよく、強制乾燥方法を採用する場合、通常50〜250℃、好ましくは70〜200℃の温度範囲で乾燥すればよい。加熱乾燥には、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、遠赤外線乾燥法、紫外線硬化法等の方法を適宜採用すればよく、乾燥速度、安定性を勘案すれば熱風乾燥法を採用するのが有利である。
防曇性塗膜の厚さは、農業用多層フィルム(以下「基材フィルム」ともいう)の1/10以下を目安に選択するとよいが、必ずしもこの範囲に限定されるものではない。塗膜の厚さが基材フィルムの1/10以下であると、基材フィルムと塗膜とでは屈曲性に差が少ないため、塗膜が基材フィルムから剥離しにくく、また、塗膜に亀裂が生じにくいため基材フィルムの強度を維持できる。
また、基材フィルムと防曇剤組成物に由来する塗膜との接着性が充分でない場合には、基材フィルムに表面処理を施しておいてもよい。
表面処理の方法としては、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、ナトリウム処理、サンドブラスト処理等の方法が挙げられる。コロナ放電処理法は、針状あるいはナイフエッジ電極と対極間で放電を行わせ、その間に試料を入れて処理を行い、フィルム表面にアルデヒド、酸、アルコールパーオキサイド、ケトン、エーテル等の酸素を含む官能基を生成させる処理である。スパッタエッチング処理は、低気圧グロー放電を行っている電極間に試料を入れ、グロー放電によって生じた正イオンの衝撃によりフィルム上に多数の微細な突起を形成するものである。サンドブラスト処理は、フィルム面に微細な砂を吹きつけて、表面上に多数の微細な凹凸を形成するものである。これら表面処理の中では、塗布層との密着性、作業性、安全性、コスト等の点から、コロナ放電処理が好適である。
本実施形態の農業用多層フィルムは、透明、梨地、半梨地としてよく、ハウス、トンネル、マルチング等の用途に好適に使用することができる。
以下に、実施例及び比較例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明は、本発明の主旨を超えない限り、本実施例に限定されるものではない。
なお、本発明で用いる評価方法は下記の通りである。また、本実施例中の部、%及びppmは、特に断らない限り質量基準である。
以下、後述の実施例及び比較例で得られた農業用多層フィルムの評価方法について記載する。
<比重(密度)>
フィルムの比重は、JIS K7112−1999に準拠し、密度勾配管法(23℃)で測定した。比重を測定するフィルムを5mm角に切出してサンプルとし、サンプルを密度勾配管に静かに投入し、一時間後の位置を測定することにより比重(密度)(g/cm3)を算出した。
<フィルム引張強度>
フィルムの引張破断強度(N)は、JIS K7161:1994に準拠し、25℃にて測定した。試験片は、フィルムを10mm×100mmの短冊形に切出したものとした。試験の引張速度は100mm/分とした。
<蛍光強度>
フィルムの蛍光の強度は、分光蛍光光度計F−7000(日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定した。測定に使用した励起光の波長は440nmであった。スキャンスピードは240nm/分、初期待ち時間はなし、励起側スリットは5nm、蛍光側スリットは5nm、ホトマル電圧は250V、レスポンスは自動、スペクトル補正はONに設定し、波長605nmの波長の蛍光のabs.値を測定した。蛍光色素添加フィルムの蛍光強度は、該フィルムの蛍光のabs.の値から、樹脂組成は同一で蛍光色素無添加のフィルムの蛍光のabs.値を減じることにより算出した。
<蛍光強度率>
フィルムの蛍光強度率(ppm-1・m-1)は、蛍光強度の値を、蛍光色素が含まれる層の厚み(m)と該層に含まれる蛍光色素の濃度(ppm)との積で除すことにより算出した。蛍光強度率が小さい場合には、蛍光色素が効率的に蛍光を発していないことを表しており、蛍光色素の分散性が悪いと考えられる。
<ふき取り試験>
フィルムを100×100mmに切出し、OPSシート SP(厚み0.25mm、三菱樹脂製)の上に載せ、そのまま60℃に予熱した恒温槽(PV(H)−212、エスペック製)の中に入れて静置した。240時間後、OPSシートごと取り出し、25℃に冷却した。冷却後、OPSと密着していない平面を無着色シルク布でフィルム表面に傷がついたり変形したりしないように二回拭き、シルク布の着色を目視で観察し、下記の評価基準に従い評価した。
○:シルク布が全く着色しなかった
×:シルク布が着色した
<取扱い性>
1000mm×500mmに切出したフィルムの短辺の角部を300mm間隔にして持ち上げた時のフィルムの挙動を確認した。フィルムが自重で折れなかった場合には○、フィルムが自重で折れて垂れ下がった場合には×とした。
(原料)
EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)1:ウルトラセン 630(MFR=1.5g/10分、密度=0.936g/cm3、酢酸ビニル含有量=15質量%、東ソー製)
EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)2:ウルトラセン 515(MFR=2.5g/10分、密度=0.925g/cm3、酢酸ビニル含有量=6質量%、東ソー製)
EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)3:ウルトラセン 635(MFR=2.4g/10分、密度=0.948g/cm3、酢酸ビニル含有量=25質量%、東ソー製)
LLDPE(線状低密度ポリエチレン):ハーモレックス NF324A(MFR=1.0g/10分、密度=0.906g/cm3、日本ポリエチレン製)
蛍光色素:Lumogen F Red−305(BASF製)
原料である上記EVA1〜3は、使用前に真空定温乾燥器(VOS−451SD、東京理科機械製)中で、60℃で8時間乾燥させた。
乾燥後のEVA1〜3の含水率は、それぞれ、50質量ppm、40質量ppm、及び55質量ppmであった。
なお、含水率は、ハロゲン水分計(HB43−S、メトラートレド製)を用いて、5gの試料を80℃で1時間加熱し、加熱後に減少した質量を測定し、この減少した質量を加熱前の試料の質量で除すことにより、算出した。
エチレン酢酸ビニル共重合体(1)と蛍光色素とを混練し、蛍光色素含有量が0.3質量%である蛍光色素マスターバッチを作成した。混練は、二軸押出機BT40(プラスチック工学研究所製)を用いて行った。
以下、各実施例及び各比較例について詳述する。
[実施例1]
三台の押出機を用いて三種類の樹脂組成物を溶融し、その押出機に接続されたTダイから樹脂をシート状に溶融押出し、冷却ロールを用いて急冷し、幅500μm、厚み1000μmの三種三層のシートを作成した。
シートの外層には、ハーモレックス NF324A、中間層には、ウルトラセン 630、内層には、ウルトラセン 515を用いた。
押出し温度は、樹脂投入部は110℃に、その他は180℃に設定した。
シートの巻き取り速度は、5m/分であった。
なお、外層/中間層/内層の厚みの比は、1/3/1であった。
中間層にのみ、作成した蛍光色素マスターバッチを5質量%添加した。
得られたシートを一辺150mmの正方形に切出し、二軸延伸装置(EX10−III、東洋精機製)を用いて、延伸温度70℃、延伸速度500mm/分、延伸倍率3倍×3倍で、逐次二軸延伸を行った。
得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験、取扱い性の結果を表1に示す。得られたシートの特性はいずれも良好であった。
[実施例2]
中間層に添加する蛍光色素マスターバッチの添加量を10質量%にした以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験、取扱い性の結果を表1に示す。得られたシートの特性はいずれも良好であった。
[実施例3]
中間層に添加する蛍光色素マスターバッチの添加量を15質量%にした以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験結果を表1に示す。得られたシートのコシは適切であり、シートの取扱い性は良好であった。
[実施例4]
中間層に添加する蛍光色素マスターバッチの添加量を30質量%にした以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験、取扱い性の結果を表1に示す。得られたシートの特性はいずれも良好であった。
[実施例5]
中間層に添加する蛍光色素マスターバッチの添加量を40質量%にした以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験、取扱い性の結果を表1に示す。蛍光強度率は低いものの、他のシートの特性は良好であった。
[実施例6]
中間層にウルトラセン 515を用いた以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験、取扱い性の結果を表1に示す。ふき取り試験の結果、シルク布がわずかに赤色に着色した。得られたシートのコシは、実施例1と比較すると硬いものの、シートの取扱い性および他のシートの特性は良好であった。
[実施例7]
内層に、前述の乾燥処理を行っていない、水分含有率が520ppmであるウルトラセン 630を用いた以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験結果、取扱い性の結果を表1に示す。蛍光強度率は低いものの、他のシートの特性は良好であった。
[比較例1]
蛍光色素マスターバッチを添加しなかった以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験、取扱い性の結果を表1に示す。蛍光が観察されなかった。
[比較例2]
内層にウルトラセン 630を用いた以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験、取扱い性の結果を表1に示す。ふき取り試験の結果、シルク布がわずかに赤色に着色した。また得られたシートのコシは弱く、シートが簡単に折れてしまい、取扱い性は不良であった。
[比較例3]
中間層にウルトラセン 635を用いた以外は実施例1と同様にシートを作成した。得られたシートの比重、引張強度、蛍光強度、蛍光強度率、ふき取り試験結果、取扱い性のを表1に示す。得られたシートのコシは弱く、シートが簡単に折れてしまい、取扱い性は不良であった。
Figure 2017104072
表1に示されるように、本発明の農業用多層フィルムはフィルム強度が高く、比重が小さく、安定して高い光変換効率を有することが明らかである。
本発明の農業用多層フィルムは、耐久性が高く、軽量で、高い光変換効率を有することが可能な、非常に有用な農業用フィルムである。
また、本発明の農業用多層フィルムは、ハウス、トンネル、マルチング等の用途に好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 外層と内層とこれらに挟まれた少なくとも1層の中間層とを有する農業用多層フィルムであり、
    前記外層及び前記内層が、それぞれ、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、
    前記中間層が、酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含有し、
    前記中間層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をA(質量%)、前記外層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をB(質量%)、前記内層が含有する樹脂の酢酸ビニル含有量をC(質量%)としたときに、A−Bが3以上であり、A−Cが3以上であり、
    少なくとも前記中間層が、多環系色素、キサンテン系色素、チオキサンテン系色素、ナフタルイミド色素、ナフトラクタム色素、アントラキノン色素、ベンゾアントロン色素、クマリン色素からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光色素を含有する
    ことを特徴とする、農業用多層フィルム。
  2. 前記外層が、線状低密度ポリエチレンを含有し、前記内層が、酢酸ビニル含有量が1〜10質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含有する、請求項1に記載の農業用多層フィルム。
  3. 前記中間層における前記蛍光色素の含有量が、0.001〜0.1質量%である、請求項1又は2に記載の農業用多層フィルム。
  4. 前記蛍光色素が有する蛍光波長域が、450〜530nm及び/又は610〜690nmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の農業用多層フィルム。
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