JP5840520B2 - 熱成形用ポリプロピレン系樹脂シート、及び、包装用容器 - Google Patents
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Description
例えば、アモルファス状態のポリエチレンテレフタレート樹脂シート(A−PET)は、透明性に優れることから食品包装用容器の形成材料として広く用いられており、中でも透明性に対する要望の強い蓋体の形成材料として広く用いられている。
しかし、A−PETは、ある程度以上の温度になると変形を生じるおそれがあるため、より耐熱性が求められる場合には、A−PETに代えてポリプロピレン系樹脂シートを用いて包装用容器などの熱成形品を作製することが行われている。
このような水滴が広範囲に付着すると所謂曇りとなって容器内部の視認性を低下させてしまうことになる。
曇りの発生は、透明性を特長にした包装用容器の商品価値を低下させるという問題を有するばかりでなく、水滴を収容物に滴下させてその品質を低下させるおそれを有する。
このことから包装用容器等の形成には、ポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルといった防曇剤を表面に塗布した熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートが利用されたりしている。
しかし、単に防曇剤が塗布された熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを利用するだけでは、包装用容器に十分な防曇性を付与することは困難である。
即ち、従来の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートにおいては、透明性に優れ、且つ、防曇性に優れた熱成形品を形成させることが困難であるという問題を有している。
また、本発明者は、透明性を向上させるべく透明核剤を含有させた熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートに単に所定量の防曇剤を含有させるだけでは、熱成形における成形性に問題を生じたり、透明性を低下させたりするおそれがあるものの熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートの形成に用いるポリプロピレン系樹脂を、例えば、複数種類のものをブレンドするなどして特定条件における粘度が所定値を示すようにさせると得られる成形用ポリプロピレン系樹脂シートに成形性や透明性についての問題を生じさせるおそれを抑制させ得ることを見出して本発明を完成させるに至ったものである。
しかも、本発明においては、熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートに含有させるポリプロピレン系樹脂を特定条件における粘度が所定値を示すようにさせていることから熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを成形性や透明性に優れたものとし得る。
即ち、本発明によれば、透明性及び防曇性に優れた熱成形品を形成させ得る熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを提供することができ、内容物に対する視認性に優れた包装用容器を提供することができる。
本実施形態の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートは、透明性に優れたポリプロピレン系樹脂シート(以下「透明ポリプロピレン系樹脂シート」ともいう)の一面側に防曇剤が塗布され他面側に離型剤が塗布されたものである。
即ち、本実施形態における熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートは、(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)防曇剤((b1)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(b2)ショ糖脂肪酸エステル)、(c)離型剤((c1)ジメチルポリシロキサン)、及び、(d)透明核剤を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなる透明ポリプロピレン系樹脂シートの一面側に該ポリプロピレン系樹脂組成物に含有されているものと同じか又は異なるポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとが塗布されており、他面側に前記ポリプロピレン系樹脂組成物に含有されているものと同じか又は異なるジメチルポリシロキサンが塗布されている。
以下に、ポリプロピレン系樹脂組成物の形成を構成する各成分について説明する。
前記ポリプロピレン系樹脂は、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の主成分となるもので、該ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体(ホモPP)、エチレンや1−ヘキセンなどのα−オレフィンとプロピレンとのブロック共重合体(ブロックPP)、及び、前記α−オレフィンとプロピレンとのランダム共重合体(ランダムPP)を1種単独、又は、複数混合して用いることができる。
なかでも、本実施形態の透明ポリプロピレン系樹脂シートには、透明性に優れる点においてプロピレン単独重合体を用いることが好ましい。
また、α−オレフィンとプロピレンとのランダム共重合体でも、メタロセン触媒を用いて重合されたものは、比較的透明性に優れており、本実施形態において採用するのに好ましいポリプロピレン系樹脂であるといえる。
具体的には、温度210℃、せん断速度60sec-1において粘度(η)を測定した場合に5g・sec/cm2以上、12g・sec/cm2以下となるポリプロピレン系樹脂を用いることが重要であり、ポリプロピレン系樹脂を複数混合して用いる場合は、その混合状態における粘度が上記範囲内であることが本発明において重要である。
なお、前記粘度(η)は、例えば、東洋精機製作所製の流動性試験機、型名「Capirograph 1C」(キャピラリー長:40mm、ノズル径:1.0mm、バレル径:9.55mm)を用いて測定することができる。
即ち、透明ポリプロピレン系樹脂シートに厚みムラが生じ、むしろ透明性が損なわれたり、熱成形時における成形不良を発生させたりするおそれを有するためである。
従って、上記範囲を未満の低い粘度を有するポリプロピレン系樹脂を用いて熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを形成させようとすると熱成形時におけるタルミが顕著になって良好な熱成形品を得ることが難しくなる。
即ち、本実施形態においては、透明性、及び、成形性に優れた熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを得るために、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の主成分となるポリプロピレン系樹脂を上記粘度とすることが重要となっている。
即ち、熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートに関して、温度210℃、せん断速度60sec-1での粘度測定を実施した際において5g・sec/cm2以上、12g・sec/cm2以下の値が示されることが好ましい。
(b1)ポリグリセリン脂肪酸エステル
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が10〜18の飽和又は不飽和脂肪酸と、ポリグリセリンとのエステルを採用することができ、具体的には、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリンステアレート、テトラグリセリンオレート、ヘキサグリセリンステアレート、ヘキサグリセリンオレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレートなどが挙げられる。
なお、ラウレート、ステアレート及びオレートにおいては、モノラウレート、ジラウレート、トリラウレートのように、それぞれ、“モノ”、“ジ”、“トリ”が含まれる。
前記ショ糖脂肪酸エステルとしては、炭素原子数が10〜18の飽和又は不飽和脂肪酸とショ糖とのエステルを採用することができ、具体的には、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル等が挙げられる。
なお、これらには、モノラウリン酸エステル、ジラウリン酸エステル、トリラウリン酸エステルのように、それぞれ、“モノ”、“ジ”、“トリ”が含まれる。
(c1)ジメチルポリシロキサン
前記ジメチルポリシロキサンとしては、特に限定がされるものではなく、従来、離型剤として樹脂フィルムに塗布するなどして使用されているものの中から適宜選択して用いることができる。
前記透明核剤としては、ポリプロピレン系樹脂をはじめ結晶性ポリマーの透明性を向上させるための造核剤として一般的に用いられているものを採用することができ、例えば、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族リン酸金属塩、アルジトール系誘導体、ロジンの金属塩等を用いることができ、これらは、単独、または、複数組み合わせて用いることができる。
前記芳香族リン酸金属塩としては、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)アルミニウムが好適である。
前記アルジトール系誘導体としては、ヘキシトール系誘導体、ノニトール系誘導体が好ましく、ヘキシトール系誘導体の中では、例えば、ビス(4−プロピルベンジリデン)プロピルソルビトールなどのソルビトール系誘導体が好適である。
前記ロジンの金属塩としては、ロジンのナトリウム塩等が好適である。
また、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと前記ショ糖脂肪酸エステルとの合計量は、ポリプロピレン系樹脂1kgに対して、1.1〜301mgとすることが重要である。
なかでも当該透明核剤として前記アルジトール系誘導体をポリプロピレン系樹脂1kgに対して0.5〜5g含有させることが好ましく、1.0〜5g含有させることが特に好ましい。
また、それぞれに対して上記のような下限値を定めているのは、上記下限値よりも少ない量では防曇効果の持続性が不十分となるおそれを有するためである。
さらに、前記ポリプロピレン系樹脂に対する防曇剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル)の含有量に上記のような上限値が定められているのは、それぞれ上限値を超える量で含有させると透明ポリプロピレン系樹脂シートが着色されてしまい透明性を低下させるおそれを有するためである。
すなわち、ポリプロピレン系樹脂1kgに対するジメチルポリシロキサンの配合割合が200mgを超えると、例えば、ニーダーや二軸混練機といった一般的は混練装置を使用して前記(a)〜(d)の成分を溶融混練しようとしてもスリップを生じて均一分散させることが困難になるためである。
従って、ブロッキング防止と均一混練とにおける効果をより確実に発揮させるためには、ポリプロピレン系樹脂1kgに対するジメチルポリシロキサンの配合割合は、1.5〜100mgとすることが好ましい。
また、その一方で透明核剤の量を5g以下とするのが好ましいのは、当該透明核剤の添加による透明性の向上効果には限界があり透明ポリプロピレン系樹脂シートを一定以上に透明にさせることが困難であるばかりでなく、過剰に含有させても、透明ポリプロピレン系樹脂シート内に当該透明核剤の凝集物等を発生させてしまうおそれがあり、該凝集物によって美観が損なわれたり、かえって透明性を低下させたりするおそれを有するためである。
即ち、透明核剤は、透明ポリプロピレン系樹脂シートの透明性、及び、美観を良好なものとする点においてポリプロピレン系樹脂1kgに対して0.5〜5gの割合で含有されることが好ましいものである。
また、本実施形態の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートは、その内部に防曇剤や離型剤が含有されているとともに表面にもこれらが塗布されることから本実施形態の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを熱成形した後の端材を透明ポリプロピレン系樹脂シートの形成材料として有効活用することができる。
例えば、熱成形によって包装用容器などの製品形状を形成させた熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートから製品を打抜いた後の“トリミングロス”などと呼ばれる端材を溶融してリペレットするか、或いは、単にフレーク状に切断したものをポリプロピレン系樹脂や前記マスターペレットなどのバージン材とともに押出機に供給して、該押出機の先端に取り付けたTダイから所定の厚みとなるようにシート状に押出して透明ポリプロピレン系樹脂シートを作製することができる。
また、前記透明ポリプロピレン系樹脂シートは、JIS K6768(1999)に準拠して求められる“ぬれ張力”が36〜65dyn/cmであることが好ましく、40〜56dyn/cmであることがより好ましい。
前記透明ポリプロピレン系樹脂シートの“ぬれ張力”を上記のような範囲に調整すべく、透明ポリプロピレン系樹脂シートには、必要に応じてコロナ放電処理や高周波処理などの表面処理を行うことができる。
具体的には、本実施形態の透明ポリプロピレン系樹脂シートは、例えば、100μm以上300μm以下の厚みであれば2%以下のヘーズ値を示し、300μmを超え400μm以下の厚みであれば2.5%以下のヘーズ値を示し、400μmを超え700μm以下の厚みであれば3.5%以下のヘーズ値を示すような透明性を有していることが好ましい。
なお、要すれば、離型剤の塗布される側にも防曇剤を塗布して、両面に防曇剤が塗布された熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートとすることもできる。
この表面に塗布される防曇剤や離型剤は、透明ポリプロピレン系樹脂シートに含有させたものと同一であっても異なっていても良い。
ただし、この熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを熱成形した後の端材を透明ポリプロピレン系樹脂シートの形成材料として再利用を図る場合には、透明ポリプロピレン系樹脂シートに含有させたものと同じ防曇剤や同じ離型剤を塗布することが好ましい。
ここで、熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートにおける防曇剤の塗布割合が0.003g/m2以上であることが好ましいのは、透明ポリプロピレン系樹脂シートの面積1m2当たりの防曇剤の塗布量が0.003gよりも少ないと、十分な防曇性持続効果が期待できなくなるおそれを有するためである。
また、防曇剤の塗布割合が0.7g/m2以下であることが好ましいのは、熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートの防曇効果の長期持続性の観点からは、防曇剤の塗布量が多い方が有利ではあるが、透明ポリプロピレン系樹脂シートの面積1m2当たりに0.7gを超える割合で防曇剤を塗布させようとすると塗布ムラが生じやすくなる結果、熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートの透明性を損なうおそれを有するためである。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとを上記比率で用いることが好ましいのは、ショ糖脂肪酸エステルがポリグリセリン脂肪酸エステルに比べて防曇性に優れ、より少ない量で効果を発揮するためであり、このことからショ糖脂肪酸エステルを50%以上の割合で用いることが好ましい。
また、前記混合溶液に透明ポリプロピレン系樹脂シートを浸漬させる方法なども採用可能である。
このようにして、混合液を塗布した後で前記溶媒を除去させることによって防曇剤を透明ポリプロピレン系樹脂シートの一面側において表面担持させることができる。
また、ジメチルポリシロキサンの好ましい塗布割合を0.1g/m2以下としているのは、透明ポリプロピレン系樹脂シートの面積1m2当たりに0.1gを超える割合でジメチルポリシロキサンを塗布させても、それ以上にブロッキングを抑制する効果を期待することが困難なためである。
従って、本実施形態の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートは、防曇剤や離型剤の表面塗布によって透明ポリプロピレン系樹脂シートに比べて透明性が大きく低下してしまうおそれを抑制することができる。
即ち、本実施形態の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートは、例えば、100μm以上300μm以下の厚みであれば2%以下のヘーズ値を示し、300μmを超え400μm以下の厚みであれば2.5%以下のヘーズ値を示し、400μmを超え700μm以下の厚みであれば3.5%以下のヘーズ値を示すような透明性を有していることが好ましい。
そして、前記熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートの防曇剤塗布面が内側となるように熱成形することによって食品包装用容器に適した防曇性能の長期持続性を有する蓋体を作製することができる。
日本ポリプロ株式会社製のホモPP、製品名「FY4」と同社製ホモPP、製品名「EA9」とを25:75(「FY4」:「EA9」)の質量比で含む混合樹脂1kgに対しグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、商品名「ポエムJ−0021」)を0.1mg、ショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、商品名「リケマールA」)を140mg、透明核剤(ミリケン社製、ビス(4−プロピルベンジリデン)プロピルソルビトール、商品名「Millad NX8000」)を2000mg、及び、ジメチルポリシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、商品名「TSM6343」)を65mg含有するポリプロピレン系樹脂組成物を27mmツイン押出機で約250℃に加熱して溶融混練し、約220℃に設定されたTダイから約30kg/hの押出量で押出し、厚み0.32mmの透明ポリプロピレン系樹脂シートを作製した。
なお、この押出シート成形は、特段の問題も無く良好な状態で実施可能であった。
この透明ポリプロピレン系樹脂シートの一面側をコロナ放電処理して、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、商品名「ポエムJ−0021」)とショ糖脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、商品名「リケマールA」)とを含んだ混合溶液を前記コロナ放電処理面に乾燥後のグリセリン脂肪酸エステルの量が0.001g/m2、ショ糖脂肪酸エステルの量が0.005g/m2となるように塗布した。
一方で、グリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとを塗布した面とは反対側の面にジメチルポリシロキサンを、その付着割合が0.02g/m2となるように塗布して実施例1の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを作製した。
この実施例1の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを加熱ゾーンのヒーター温度が270℃に設定された成形機に供給して熱成形し、幅130mm×長さ200mm×深さ25mmの容器本体部と、幅130mm×長さ200mm×深さ30mmの蓋体部が長辺部分で連設されたフードパック(包装用容器)を防曇剤塗布面が容器内側となるようにして作製した。
なお、この熱成形においては、成形性も問題なく、且つ、得られた包装用容器は、透明性、防曇性、ブロッキング防止性に優れるものであった。
前記混合樹脂(「FY4」:「EA9」=25:75)の粘度(η1)と熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートの粘度(η2)とを、温度210℃、せん断速度60sec-1の条件で東洋精機製作所製の流動性試験機、型名「Capirograph 1C」(キャピラリー長:40mm、ノズル径:1.0mm、バレル径:9.55mm)を用いて測定したところ、混合樹脂の粘度(η1)が11(g・sec/cm2)で、熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートの粘度(η2)が10.6(g・sec/cm2)であった。
なお、熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートの粘度については、表面に離型剤が塗布された熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを細かく切断し、一旦、これら切断したシート片をペレット化した後で上記したのと同様に東洋精機製作所製の流動性試験機(Capirograph 1C)を用いて測定した
日本電色工業株式会社製のHazeMeter、型名「NDH4000」を用い、JIS K7136(2000)に準じてヘーズを測定し、下記判定基準にて透明性の評価を行った。
<判定基準>
・シート厚みが0.1〜0.3mmのものにあっては、ヘーズ2%以下を合格(○)判定とする。
・シート厚みが0.3mmを超え0.4mm以下のものにあっては、ヘーズ2.5%以下を合格(○)判定とする。
・シート厚みが0.4mmを超え0.7mm以下のものにあっては、ヘーズ3.5%以下を合格(○)判定とする。
・シート厚みが0.1〜0.7mmでヘーズが上記値を超えるものは不合格(×)判定とする。
作製した熱成形品を上下に50枚重ね、成形品外周に形成されているフランジ部の上下の間隔が成形品の前後左右において略均等となるように重ね合わせた熱成形品を軽く押さえた後に、上から一枚ずつ熱成形品を剥がしてブロッキング防止性を評価した。
判定基準は、以下の通り。
「 ○ 」:50枚の成形品が一枚ずつ剥れ、良好な剥れ方を示した。
「○〜△」:剥がそうとしている熱成形品と、その下側の熱成形品とが付着気味ではあるものの最終的には一つずつ剥がすことができた。
「 × 」:2枚以上が同時に剥れてしまった。
直径200mmの円筒状の保温容器に90℃の熱水を入れて熱成形品を蓋状に被せて8時間、及び、10時間放置し、その後、この放置した熱成形品を、改めて90℃の熱水を収容させた保温容器に5分間被せ曇りが発生するかどうかを観察した。
判定基準は、以下の通り。
「 ○ 」:10時間放置後、曇りが発生せず、小液胞も発生しない。
「○〜△」:10時間放置後、曇りは発生しないが、極少量の小液胞が発生する。
「 △ 」:10時間放置後、少量の小液胞、モヤが発生する。
「△〜×」:8時間放置後、大量の小液胞、モヤが発生する。
「 × 」:8時間放置後、熱成形品を、改めて保温容器に被せた直後、部分的に防曇不良となる。
また、熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを観察し、良好な状態で押出されているものを「○」、厚み等にややバラツキを有するものの熱成形品に影響を与える程度ではないものを「△」、熱成形品に影響を与える程度にバラツキを有するものを「×」として押出時の成形性を判定した。
以上の評価結果を、下記表1、2に示す。
表1、2に示すように、用いる材料の種類や量を変更したこと以外は、実施例1と同様に熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートを作製し、熱成形品(包装用容器)等についての評価を実施した。
ここで表1、2においてポリプロピレン系樹脂の種類(原料PP)を表す丸囲いの番号については、表3に示す通りである。
なお、実施例2−11においては、実施例11の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートが熱成形時において、ややタルミ気味となって観察されたもののシート作製時や包装用容器の熱成形において特段の問題は発生せず概ね良好であった。
また、得られた熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートや包装用容器も透明性に優れるものであった。
一方で、比較例1では、透明ポリプロピレン系樹脂シートを押出シート成形するのに際して溶融樹脂の粘度が過度に高くなって偏肉を生じ、冷却ロールで挟んで偏肉調整を試みるも十分に偏肉を抑制させることができない状況となった。
また、比較例3では、透明ポリプロピレン系樹脂シートに着色が見られ、当然ながら、得られた包装用容器にも着色が見られた。
しかも、この比較例3の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートは、熱成形時の温度を260℃として、実施例1の場合よりも低温にしたにもかかわらず、タルミを生じて成形性に問題が生じた。
さらに、比較例6、7においては、偏肉やタルミに関する問題は見られなかったものの透明ポリプロピレン系樹脂シートの作製段階で既に白濁を生じてしまっており、透明性に優れた熱成形用ポリプロピレン系樹脂シート、及び、包装用容器を得ることが出来なかった。
Claims (5)
- ポリプロピレン系樹脂と透明核剤とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなる熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートであって、
前記ポリプロピレン系樹脂の、温度210℃、せん断速度60sec-1における粘度が5〜12g・sec/cm2であり、前記ポリプロピレン系樹脂組成物には前記ポリプロピレン系樹脂1kgに対して、ジメチルポリシロキサン0.5〜200mg、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.1〜300mg、及び、ショ糖脂肪酸エステル1〜150mgが含有されており、且つ、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと前記ショ糖脂肪酸エステルとの合計量が1.1〜301mgであることを特徴とする熱成形用ポリプロピレン系樹脂シート。 - 一面側にポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとが合計で単位面積あたりの割合で0.003〜0.7g/m2 となっている塗布層を備え、前記ポリプロピレン系樹脂組成物に含有されているポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルと前記一面側の塗布層におけるポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルとを合計した際にこれらの割合(ポリグリセリン脂肪酸エステル:ショ糖脂肪酸エステル)が2:98〜50:50となっているとともに、他面側にジメチルポリシロキサンが単位面積あたりの割合で0.007〜0.1g/m2 となっている塗布層を備えている請求項1記載の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シート。
- ポリプロピレン系樹脂と透明核剤とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなる熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートであって、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物には前記ポリプロピレン系樹脂1kgに対して、ジメチルポリシロキサン0.5〜200mg、ポリグリセリン脂肪酸エステル0.1〜300mg、及び、ショ糖脂肪酸エステル1〜150mgが含有されており、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと前記ショ糖脂肪酸エステルとの合計量が1.1〜301mgであり、さらに、一面側にポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとが合計で単位面積あたりの割合で0.003〜0.7g/m2 となっている塗布層を備え、他面側にジメチルポリシロキサンが単位面積あたりの割合で0.007〜0.1g/m2 となっている塗布層を備えており、温度210℃、せん断速度60sec−1における粘度測定をした場合に、該粘度が5〜12g・sec/cm2となることを特徴とする熱成形用ポリプロピレン系樹脂シート。 - 前記ポリプロピレン系樹脂組成物に含有されているポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルと前記一面側の塗布層におけるポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルとの合計におけるポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとの割合が2:98〜50:50となっている請求項3記載の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シート。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱成形用ポリプロピレン系樹脂シートが熱成形されてなることを特徴とする包装用容器。
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