JP3724086B2 - 防曇性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防曇性や高透明及び容器成形性に優れたプロピレン系樹脂組成物シートの製造方法に関する。詳しくは、食品分野に用いられる透明な容器や蓋を加工するにあたり、従来得られなかった熱成形後の優れた防曇性と透明性、さらには耐熱性を有するプロピレン系樹脂組成物シートを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
透明性に優れているポリスチレンやポリエチレンテレフタレート等のシートは、内容物を容易に見分けることが可能であり、食品の容器や蓋材として広く活用されている。しかし、近年、冷凍食品や電子レンジ加熱食品の増加に伴い前記樹脂シートから得られる容器や蓋材は、割れたり溶けたりして問題があり、容器や蓋製造業者からは、透明で防曇性があり、しかも耐衝撃性や耐熱性のある材料が望まれていた。
一方、耐熱性や衝撃性に強いプロピレン系樹脂シートは、材料面や加工面の併用で透明性は得られるもののその表面が疎水性であるため、蓋材として使用した場合、内容物の水蒸気でシート表面が曇り、内容物を見分けることが困難であるという問題があった。
【0003】
そこでプロピレン系樹脂シートに防曇性を付与する方法として、各種防曇剤を練込み配合したプロピレン系樹脂シートを用いる方法、液状の防曇剤をプロピレン系樹脂シートに塗布する方法等が提案されているが、下記に記述する通り、いまだ完全にプロピレン系樹脂シート、及び該シートから得られる熱成形品(容器や蓋等)の防曇性を満足したものが確立できていない。
【0004】
練込み配合法には、(1)グリセリン脂肪酸エステル(特公昭38−4147、特公昭52−26532号公報)、(2)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(特公昭39−21112号公報)、(3)ポリグリセリン脂肪酸エステル(特開昭59−71352、特開昭61−157558、特開平6−212095号公報)等の防曇剤が知られているが、これらはいずれもプロピレン系樹脂シートに配合した防曇剤が、放置時間や放置温度の影響でシート表面にブリードしてシート表面が曇ったり、ベタツキが生じてブロッキングしたり、或いは熱板や真空成形等の容器成形時、該シートに配合した防曇剤が金型内の真空や圧空用の穴(0.2mm)を塞ぎ、連続の容器成形作業ができなかったり、更に高結晶性のプロピレン系樹脂では、練り込んだ防曇剤が結晶部でブリードが阻止されるため防曇効果が発現されない等の問題がある。
【0005】
また、塗布型法には、ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸基がラウリン酸で構成されている防曇剤が広く活用されているが(特開昭56−166234、特開昭57−80431、特公昭61−36864号公報)、いずれも防曇剤の耐熱温度が低いため、防曇剤を塗布したプロピレン系樹脂シートを熱成形して得た容器や蓋材等の熱成形品は防曇性が得られず、しかも塗布量を厚くして防曇性を発現しようとすると透明性が低下したり、塗布シートのブロッキングが激しくなったり、コスト高になる等の問題があり、熱成形温度に耐える耐熱性のある塗布型防曇剤が要望されていた。
また、容器成形後、防曇剤を塗布する方法では、個々の表面に塗布する装置や乾燥機等の設備が必要になり、低生産性やコストアップにつながるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の要望を満足する防曇性や透明性があり、しかも耐衝撃性や耐熱性のある容器や蓋材が得られるプロピレン系樹脂シートの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、MFRが0.3〜20g/10分のプロピレン重合体を主体とするプロピレン系樹脂組成物からなる、厚み0.1〜2mmのプロピレン系樹脂組成物シートの少なくとも一面を濡れ張力が36〜55ダイン/cmとなるように酸化処理した後、該処理面に、構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数が12から16の飽和脂肪酸であり、かつ平均エステル化率が12〜24%であるポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする防曇剤を塗布することを特徴とする防曇性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
1.防曇剤
本発明に用いる防曇剤は、ポリグリセリン(以下、PoGと略称する。)と脂肪酸との反応によって得られるポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、PoGEと略す。)を有効成分とするものであり、その構成脂肪酸の70重量%以上、好ましくは80重量%以上が炭素数12〜16の飽和脂肪酸である。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸の単独又は2種類以上の任意の割合のものを用いることができる。上記範囲内で他の脂肪酸、例えば、ステアリン酸、オレイン酸等を含んでいてもよい。炭素数が12未満では、プロピレン系樹脂組成物シートに対する親和性が低くなる。また、炭素数が16を超えると塗布剤の水に対する溶解性が低下し、表面処理剤として水溶液を調整することが困難となったり、基材である高透明なプロピレン系樹脂組成物シートの透明性を低下させる。
【0009】
平均エステル化率は12〜24%であり、特に16〜24%が好ましい。12%未満では、防曇性能が低下する。また、24%を超えると塗布剤の水に対する溶解性が低下し、表面処理剤として水溶液を調整することが困難となり、基材である高透明なプロピレン系樹脂組成物シートの透明性を低下させる。PoGEの平均エステル化率はケン化して得られる脂肪酸及びPoGの量から以下の方法を用いて算出した。尚、試料が未反応PoGを含む場合は予め試料中の未反応PoG含量を定量し、これを差し引く必要がある。
【0010】
平均エステル化率(%)=[(構成脂肪酸のモル数)]/[(構成PoGの総水酸基モル数)]×100=〔(FA/MFA)/[(POGE /MPOG )×(n+2)]〕×100
FA :試料をケン化、回収した脂肪酸量(g)
MFA :脂肪酸の分子量
POGE :試料をケン化、回収したPoG量(g)
MPOG :PoGの分子量(MPOG =74n+18)
n :PoGの平均重合度
【0011】
PoGは、グリセリンに対し少量の酸、またはアルカリを触媒として添加し、常圧下若しくは減圧下、180℃以上の高温で加熱する等の任意の方法で製造される。必要であれば反応終了後、中和、脱塩等の処理を行ってもよい。PoGの重縮合度は制限されず任意の値を取り得るが、通常4以上であり、特にそのエステル化物であるPoGEの食品添加物としての安全性の面から4〜20が好ましく、更に好ましくは、6〜12の範囲が好ましい。
【0012】
PoGEはPoGと脂肪酸のエステル化反応、または脂肪酸エステルとのエステル交換反応により製造され、通常、アルカリ触媒存在下、130℃以上の高温で行われる。反応系は、減圧系、常圧系の何れも用いることができる。必要であれば、反応終了後に中和、脱塩等の処理を行う。また、リパーゼ等を用い、酵素的にエステル化しても良い。得られたPoGEは未反応のPoGを含んでいても、また着色成分や臭気成分を水蒸気蒸着等で除去する等の精製処理を施してもよい。さらには、異なった反応条件により得たPoGEを適宜混合したものも供することができる。
【0013】
本発明に用いる防曇剤には、PoGEの他に各種陰イオン性界面活性剤を添加してもよい。陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、脂肪酸乳酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、有機酸モノグリセリド塩等が挙げられる。脂肪酸塩、脂肪酸乳酸エステル塩を構成する脂肪酸としては、炭素数8〜22の飽和、不飽和、分岐鎖のものが用いられ、具体的にはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノレイン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ヒドロキシデカン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、任意の割合からなる2種以上の混合物であってもよい。アルキルスルホン酸塩を構成するアルキル基としては、炭素数10〜20の直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基が用いられる。有機酸モノグリセリドとは具体的に酢酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリドが挙げられる。塩を構成する塩基性物質としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属若しくはマグネシウム等のアルカリ土類金属塩、或いはエタノールアミン等のアルカノールアミン、トリブチルアミン等の低級アルキルアミンが挙げられる。
【0014】
これらの中で、脂肪酸塩、脂肪酸乳酸エステル塩が好ましく、その構成脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸が好ましい。また、塩基性物質としては、アルカリ金属が好ましく、特にカリウムが好ましい。
これらの陰イオン性界面活性剤はPoGEに対して0.01〜10重量%を添加することが好ましい。陰イオン性界面活性剤の量が0.01重量%未満であると防曇剤を溶液にしてプロピレン系樹脂シートに塗布する際も該溶液が白濁化して、高透明のプロピレン系樹脂シートの透明性を悪化させることがある。
また、陰イオン性界面活性剤が10重量%を超えても効果は頭打ちであり、経済的にもコスト高になる。
【0015】
本発明に用いる防曇剤においては、各種可塑剤、各種安定剤、潤滑剤、顔料、ブロッキング防止剤、粘度調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤、着色防止剤等を防曇性が低下しない範囲であれば適宜併用することができる。
【0016】
2.プロピレン系樹脂組成物シート
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物シートに用いられるプロピレン重合体を主体とするプロピレン系樹脂組成物とは、プロピレン単独、或いはプロピレン含量が98〜94重量%のプロピレンと、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,4−メチル−ペンテン−1等のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体、あるいはこれらの混合物などのプロピレン重合体を主体とするもので、プロピレン系樹脂組成物中のプロピレン重合体の含有量が好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上のものである。
【0017】
上記プロピレン重合体は、JIS−K6758(230℃−2.16kg荷重)に準拠して測定されたMFRが0.3〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分、更に好ましくは、0.5〜5g/10分であり、MFRが前記範囲を上回ると製品の衝撃強度不足や容器成形性が劣り、MFRが前記範囲を下回ると流動性が低下したり、シート成形時に流動不良となって厚み変動を起こすからである。
また、上記プロピレン重合体は、JIS−K6758(23℃)に準拠して測定された密度が0.92g/cm3 以下のものが好ましく、密度が前記値を上回るとシート成形時、冷却ロールとの密着が悪くなり、透明性が得られにくい傾向となる。
【0018】
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物シートに用いられるプロピレン重合体には、直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体を配合してもよい。用いられる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン70〜99重合%、好ましくは80〜93重合%と炭素数が3〜12のα−オレフィン30〜1重合%、好ましくは20〜7重量%とをチグラー系の化合物やメタロセン系化合物等の存在下に、高圧イオン重合、気相重合、溶液重合法により製造される密度(JIS−K7112、A法)が0.930/cm3以下、好ましくは、0.870〜0.915g/cm3、更に好ましくは、0.880〜0.910g/cm3、MFR(JIS K7210、条件4)が0.1〜50g/10分、好ましくは、0.5〜20g/10分、更に好ましくは、1.0〜10g/10分の当該重合体が良好である。MFRが上記範囲以外のものはいずれも溶融粘度が高すぎるか低すぎるため、プロピレン重合体との相溶性が悪くシート成形性に劣り、密度が0.93g/cm3を超えると、シートの透明性が劣ったり、冷却ロールでの密着性が悪くなり更に透明性が劣るからである。直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の配合量としては、プロピレン系樹脂組成物全量に対して好ましくは40重量%未満、より好ましくは30重量%未満である。
【0019】
また、本発明におけるプロピレン系樹脂組成物シートに用いられるプロピレン系樹脂組成物には、通常、核剤を配合する。用いる核剤としては、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族リン酸金属塩、ソルビトール系誘導体、ロジンの金属塩等が用いられる。これらの核剤の中ではP−t−ブチル安息香酸アルミニウム、リン酸2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、1,3,2,4−ジ(p−メチル−ベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチル−ベンジリデン)ソルビトール、ロジンのナトリウム塩、及び又はカリウム塩が好適である。
【0020】
また、上記核剤の配合割合は、プロピレン系樹脂組成物100重量部に対し、核剤0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.8重量部、更に好ましくは、0.07〜0.6重量部の割合である。核剤の配合量が前記範囲を下回ると高透明なシートが得られなかったり、剛性不足で容器等の形状保持が不安定になる。また、前記配合範囲を上回ると機械的物性の低下や剛性向上が頭打ちになり単にコストアップとなり好ましくない。
【0021】
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物シートに用いられるプロピレン系樹脂組成物には、通常、スリップ剤を配合する。用いるスリップ剤としては、飽和または不飽和の脂肪酸アミド、飽和または不飽和の脂肪酸ビスアミド、ポリアルキレングリコール、水添ひまし油または無機質粉末などの1種または2種以上が用いられる。脂肪酸アミドとしては、C8〜C22の飽和直鎖脂肪酸または不飽和脂肪酸のモノアミドもしくはビスアミドが好ましく、具体的にはパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等のモノアミドまたはこれらの混合物などが好んで用いられる。また、脂肪酸アミドとして、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドの如き2級アミドを用いることもできる。脂肪酸ビスアミドとしては、C8〜C22のN,N−メチレンビスアミドまたはN,N−エチレンビスアミドを主体とするもので、その中でステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸などのメチレンビスアミドまたはステアリン酸、オレイン酸、エリカ酸などのエチレンビスアミドが好んで用いられる。さらに、前記以外のスリップ剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、水添ひまし油、シリカ、タルクなどの無機質粉末などが用いられる。
【0022】
スリップ剤の配合割合としては、プロピレン系樹脂組成物シートを構成する樹脂成分100重量部に対し、無機質粉末の場合は0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部である。また、それ以外のものでは0.03〜1重量部、好ましくは0.05〜0.8重量部、更に好ましくは0.1〜0.5重量部である。スリップ剤の割合が前記範囲を下回ると、得られたシート間同士のブロッキング性が激しくなったり、あるいは金属ロールとの滑りが悪く、ロールとの剥離ムラなどで平滑な面がえられなかったりして透明性が悪くなるからである。また、前記配合を上回るとスリップ剤のブリードアウトでシート面が白化現象になり透明性が悪くなるからである。
【0023】
本発明のプロピレン系樹脂組成物シートの厚みは、0.10〜2mmであり、好ましくは、0.10〜1.0mm、更に好ましくは、0.15〜0.70mm厚であり、厚みが前記範囲を上回ると透明性が劣り、下回ると剛性が低下したり、高透明のシート成形が困難になる。また、本発明のプロピレン系樹脂組成物シートの防曇剤塗布面は、防曇剤との接着性を良好にするため、例えばコロナ放電やオゾン処理、またはフレーム処理等の酸化処理を行うことが必要であり、シートの塗布面の濡れ張力が36〜55ダイン、好ましくは、36〜45ダインの範囲となるよう酸化処理される。濡れ張力が大きいとオゾン臭で該処理シートが臭くなり加工した食品容器に残存したり、逆に濡れ張力が小さいと防曇剤の塗布性が悪くなるからである。
【0024】
上記プロピレン系樹脂組成物シートの製造法は、鏡面ロールを用いるポリシング法、エアーナイフ法(ロール圧延含)あるいは、金属鏡面ベルト法(シングルやインベルト含む)や急冷後に金属鏡面ベルトで圧着化する方法などの単層押出法や共押出法から製造されるものであれば特に限定はしないが、表面光沢が90以上、全HAZE値で10以下のプロピレン系樹脂組成物シートが製出できれば良い。前記光沢やHAZE値を下回ったり上回ると透明性が劣り容器後の内容物確認が困難になるからである。
【0025】
本発明に用いるPoGEを有効成分とする防曇剤は、通常、0.01〜5重量%の防曇剤溶液として用い塗布後、乾燥する。防曇剤溶液に用いる溶媒としては、例えば、水、アルコール等の防曇剤を溶解し、且つ前記プロピレン系樹脂組成物シートを溶解しない溶液で、しかも適用分野によっては安全性を充たす溶媒を適宜選択して用いるのが良い。前記該シートへの防曇剤固形分としては、0.05〜1.0g/m2塗布するのが好ましい。
防曇剤のコート量が前記範囲を下回ると、防曇効果が低下し、上回るとベタツキによる該シート間のブロッキングや容器成形後、防曇剤の表面白化による透明性の低下が生じる。上記の防曇剤の塗布法は、各種のロール印刷法やどぶ漬け法や吹き付け法等いずれでもかまわない。前記塗布法は、シート成形後に引き続いて行うインラインコートやシート成形・巻き取り後に巻き戻し工程で行うアウトラインコートする方法等で実施できる。
【0026】
防曇剤塗布後の乾燥方法としては、蒸気や電気で熱した乾燥炉(溶媒が水の場合100℃以上が好ましい。)にシートを通して、溶媒を蒸発させる方法等で、特に制限しない。
本発明の熱成形品の製造方法は、成形前に予熱工程(ロール加熱、間接加熱等)を設けたり、熱板圧空成形法、間接加熱成形法(真空成形法、圧空成形法)等の容器成形法であれば特に限定しない。
【0027】
プロピレン系樹脂組成物シートの熱成形温度は、成形法で異なるがプロピレン系樹脂組成物シートの表面温度が110〜200℃であり、好ましくは120〜180℃である。前記成形温度範囲を下回るとプロピレン系樹脂組成物シートが延びきれず容器の賦形ができなくなり、上回ると容器成形品にレインドロップ(残存エアーの斑点)やシワが発生したり、しかも防曇性能が低下するためである。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
実施例1
MFR1.8g/10分、密度0.89g/cm3のプロピレン−エチレンランダム共重合体(三菱化学(株)製:三菱化学ポリプロEX6BF(商品名)融点164℃<R−PP−1と称す>)100重量部に、核剤としてDBS(1,3,2,4−ジ(P−エチル−ベンジリデン)ソルビトール)(商品名:ゲルオールMD、新日本理化学(株)製)0.2重量部、スリップ剤としてエルシン酸アミド0.2重量部を加えたものを口径90mmφの押出機に装着したTダイから、樹脂温度260℃、幅700mm、肉厚0.25mmのシート状に溶融押し出しした。ついで前記溶融シートを三菱重工(株)製のツインベルトキャスティング機(ステンレス製ベルト厚み0.6mmで表面粗度0.2μmの鏡面処理済)で冷却固化し、厚みが0.25mm、幅が600mmのプロピレン系樹脂組成物シートを速度が40m/分(表面光沢度=130%、全HAZE値=4.0%)で得、前記該シートの片面に100W・分/m2のコロナ処理を施したプロピレン系樹脂組成物シートを製出した。
【0029】
次に平均エステル化率が22.6%で構成脂肪酸がラウリン酸、ポリグリセリンの平均重合度10からなるポリグリセリン脂肪酸エステルを1.6重量%水溶液として調合し防曇剤溶液とした。前記防曇剤溶液を上記コロナ処理を施したプロピレン系樹脂組成物シートの処理面にグラビアロール法で防曇剤溶液を塗布し、塗布面を120℃の乾燥機で乾燥しながら防曇剤固形分が0.5g/m2の塗布シートを得た。得られた塗布シートの防曇性や透明性評価結果を表1に示す。
【0030】
更に、前記塗布シートを用い、(株)浅野研究所製の熱板圧空成形機(名称:コスミック成形機)の熱板温度:125℃、予熱時間:4秒、圧空圧力:1kg/cm2 、冷却時間:5秒の条件で、縦:13cm、横:18cm、深さ:1cmの塗布面が内側になった容器の蓋を成形した。塗布シートの透明性及び防曇性、容器成形性、得られた蓋の防曇性、透明性及び耐熱性の評価結果を表1に示す。
【0031】
実施例2〜6、比較例1〜6
表1に示す平均エステル化率の脂肪酸種からなるPOGEやプロピレン系樹脂組成物シートの表面処理、シートの厚みをそれぞれ変更した他は実施例1と同様に蓋材を成形した。塗布シートの透明性や防曇性、容器成形性、蓋成形品の透明性や防曇性及び耐熱性を評価した値を表1に示す。
【0032】
比較例7
密度が1.27g/cm3 のPETを口径が65mmφの押出機に装着したTダイから、樹脂温度280℃、幅500mm、肉厚0.25mmでシート状に溶融押し出しした。次いでロール温度が60℃のポリシング法で幅400mm、厚みが0.25mmに冷却固化したPETGのシートを製出し、実施例1と同様に塗布シートと塗布成形品(蓋材)を得、透明性、防曇性、耐熱性を評価した結果を表1に示す。
【0033】
実施例7〜12、比較例8〜9
P−エチル−ベンジリデンソルビトールの核剤量、及びエルシン酸アミドのスリップ剤量をふらした配合量を下記樹脂を用い、表2の配合割合で混合したプロピレン系樹脂組成物を口径65mmφの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅650mm、肉厚0.25mmのシート状に溶融押し出しした。ついで前記溶融シートをエアーナイフ法が設置されている鏡面ロールに導き、厚みが0.25mm、幅450mm、表面酸化度が51dyne/cmのプロピレン系樹脂組成物シートを得た他は、実施例1と同様に塗布シートと塗布成形品(蓋材)を得、透明性、防曇性、容器成形性の評価を実施しその結果を表2に示す。
【0034】
試料
H−PP−1:MFRが2.4g/10分、密度が0.91g/cm3 のプロピレンホモポリマー
(三菱化学(株)製 三菱ポリプロFL6CK(商品名)融点170℃)
H−PP−2:MFRが25g/10分、密度が0.90g/cm3
(三菱化学(株)製 三菱ポリプロMG03<商品名>融点164℃)
R−PP−2:MFR=1.8g/10分、密度=0.90g/cm3
(三菱化学(株)製 三菱ポリプロ EX6<商品名>融点164℃)
LLDPE−1:MFR=2.0g/10分、密度が0.92g/cm3
(三菱化学(株)製 三菱ポレエチ−LL SF240<商品名>融点126℃)
LLDPE−2:MFR=3.0g/10分、密度が0.905g/cm3
(三菱化学(株)製 カーネル64FTK<商品名>融点103℃)
LLDPE−3:MFR=18.0g/10分、密度=0.905g/cm3
(三菱化学(株)製 カーネル57L<商品名>融点107℃)
ゴム:MFR=3.6g/10分、密度=0.89g/cm3
(三井石油化学(株)製 タフマーA−4085<商品名>
LWA1570:ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学(株)製)
PET:ポリエチレンテレフタレート、イーストマンコダック社製
商品名KODAR(登録商標)PETG6763 密度1.27g/cm3
【0035】
尚、防曇剤塗布シート及び防曇剤塗布容器の透明性や防曇性、耐熱性の評価は、下記方法で行った。
(1)透明性
JIS−K7105に準拠し、(株)東洋精機製作所製直読ヘイズメーターで霞度を測定した値と外観の肉眼観察結果の両方で評価し、下記範囲で○、△、×と判断した。
【0036】
(2)防曇性
80℃のお湯が100cc入ったコップに100円硬貨1枚を底に沈め、そのコップの縁上に塗布シート、及び塗布容器面を設置し、防曇性を下記内容で評価した。
【0037】
(3)容器成形性
表2の防曇剤が塗布されたプロピレン系樹脂組成物シートを用い、(株)浅野研究所製の熱板圧空成形機(ゴスミック成形機<商品名>)のヒーター設定温度:120〜150℃、予熱時間:4秒、圧空圧力:1kg/cm2、冷却時間:15秒の加工条件で得られた縦:13cm、横:18cm、深さ:1cmの容器成形性を下記内容で評価した。
【0038】
(4)耐熱性
耐熱性(1)
45℃のオーブンに防曇剤が塗布された蓋の容器を2週間放置後、JIS K7105に準拠し、(株)東洋精機製作所製直読ヘイズメーターで霞度を測定し、下記範囲で○、△、×と判断した。
【0039】
耐熱性(2)
水が150cc入ったフィラー容器に防曇剤が塗布した蓋をかぶせ、1500wの電子レンジで5分加熱後、電子レンジから取り出し蓋材の変形を肉眼で観察した。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする防曇剤を透明なプロピレン系樹脂組成物シートに塗布することで、食品包装材分野で特に電子レンジに適用できる透明な蓋材を提供することができ、従来電子レンジで蓋材が収縮したり、容器内の内容物飛散で蓋材に穴が発生していた問題点が解決でき、しかも透明性と防曇性を兼ねていることから安心して容器内の内容物を電子レンジで暖めることができる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
Claims (7)
- MFRが0.3〜20g/10分のプロピレン重合体を主体とするプロピレン系樹脂組成物からなる、厚み0.1〜2mmのプロピレン系樹脂組成物シートの少なくとも一面を濡れ張力が36〜55ダイン/cmとなるように酸化処理した後、該処理面に、構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜16の飽和脂肪酸であり、かつ平均エステル化率が12〜24%であるポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする防曇剤を塗布することを特徴とする防曇性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法。
- MFRが0.3〜20g/10分のプロピレン重合体を主体とし、かつMFRが0.1〜50g/10分で密度が0.930g/cm3以下の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体を40重量%未満含有する混合物であるプロピレン系樹脂組成物からなる、厚み0.1〜2mmのプロピレン系樹脂組成物シートの少なくとも一面を濡れ張力が36〜55ダイン/cmとなるように酸化処理した後、該処理面に、構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜16の飽和脂肪酸であり、かつ平均エステル化率が12〜24%であるポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする防曇剤を塗布することを特徴とする防曇性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法。
- MFRが0.5〜5g/10分で密度が0.92g/cm3以下のプロピレン重合体を70重量%以上含有し、かつ炭素数3〜12のα−オレフィンを共重合してなる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体であってMFRが1.0〜10g/10分で密度が0.930g/cm3以下のものを30重量%未満含有する混合物であるプロピレン系樹脂組成物からなる、厚み0.1〜1.0mmのプロピレン系樹脂組成物シートの少なくとも一面を濡れ張力が36〜55ダイン/cmとなるように酸化処理した後、該処理面に、構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜16の飽和脂肪酸であり、かつ平均エステル化率が12〜24%であるポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とする防曇剤を塗布することを特徴とする防雲性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法。
- 防曇剤が、ポリグリセリンの重合度が4〜20であり、構成脂肪酸の70重量%以上が炭素数12〜16の飽和脂肪酸であり、かつ平均エステル化率が16〜24%であるポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とするものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防曇性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法。
- 防曇剤が陰イオン界面活性剤を含有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の防曇性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法。
- プロピレン系樹脂組成物が、該樹脂100重量部に対して核剤を0.01〜1重量部含有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の防曇性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法。
- プロピレン系樹脂組成物が、該樹脂100重量部に対してスリップ剤を0.01〜3重量部含有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の防曇性プロピレン系樹脂組成物シートの製造方法。
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