JP2003026833A - 防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シート及びその成形品 - Google Patents

防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シート及びその成形品

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JP2003026833A
JP2003026833A JP2001221250A JP2001221250A JP2003026833A JP 2003026833 A JP2003026833 A JP 2003026833A JP 2001221250 A JP2001221250 A JP 2001221250A JP 2001221250 A JP2001221250 A JP 2001221250A JP 2003026833 A JP2003026833 A JP 2003026833A
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陽介 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブロッキング防止、強靱性、及び防曇性に優
れたゴム変性スチレン系樹脂シート並びにその特性を有
した成形品を提供すること。 【解決手段】 ショ糖脂肪酸エステル76〜99.9質
量%と未反応ビニルピロリドンの量が1000ppm以
下であるポリピロリドン系(共)重合体0.1〜24質
量%とを含有してなる防曇剤でゴム変性スチレン系樹脂
シートを表面処理することによって得たシート及びその
防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シートを用いて得た成形
品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シートのブロッキ
ング防止、強靱性、防曇効果に優れた防曇性ゴム変性ス
チレン系樹脂シート及びその成形品に関する。更に詳し
くは包装材分野等に広く用いられているスチレン系樹脂
シートに対し、シートのブロッキング防止、強靱性、防
曇効果に優れた特性を付与したスチレン系樹脂シート及
びその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂シートやその成形品は包
装、被覆材として広く使用されているが、その表面が疎
水性の為に気温や湿度の変化により凝集した水分が微小
水滴となり表面に付着する、いわゆる曇りが発生するこ
とがある。その曇りにより収納物の見分けが困難とな
り、商品価値を低下させたり、水滴が成長し内容物に落
下した場合、品質の不良化、腐敗の原因となる場合が多
かった。また、スチレン系樹脂シートを成形品にする工
程で、成形品を重ねてトリミングする際、成形品が割
れ、生産性を低下させる原因となる場合も多かった。
【0003】この問題を解決しようと、特開平5−28
7097号公報ではショ糖脂肪酸エステルとシリコーン
エマルジョンと多糖類及び/又は親水性高分子とを含む
表面処理剤で、特開平10−309785号公報ではシ
ョ糖脂肪酸エステルとメチルセルロースの混合物を用い
ることが記載されているがシートのブロッキング防止、
強靱性、防曇効果に優れたとは言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な技術状況の基で、シートのブロッキング防止、強靱
性、防曇効果に優れたスチレン系樹脂シート及びその成
形品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構成から
なる防曇剤を使用することによって本発明に達したもの
である。すなわち、本発明は、ゴム変性スチレン系樹脂
シートをショ糖脂肪酸エステル76〜99.9質量%と
未反応ビニルピロリドンの量が1000ppm以下であ
るポリビニルピロリドン系(共)重合体0.1〜24質
量%を含有してなる防曇剤で表面処理して得た防曇性ゴ
ム変性スチレン系樹脂シート及びそのシートを用いて得
た成形品とすることによって課題を解決したものであ
る。
【0006】以下に本発明を詳しく説明する。本発明の
防曇剤はショ糖脂肪酸エステルと未反応ビニルピロリド
ンが1000ppm以下であるポリビニルピロリドン系
(共)重合体を必須とする。ショ糖脂肪酸エステルは、
ショ糖と脂肪酸とのエステルである。ショ糖脂肪酸エス
テルを構成する脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、
カプリル酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の炭素数
6〜30程度の飽和脂肪酸、リンデン酸、パルミトオレ
イン酸、オレイン酸、エライジン酸、イソオレイン酸、
エルカ酸、リノール酸、リノレン酸等の炭素数10〜2
4程度の不飽和脂肪酸が挙げられ、これら脂肪酸は単独
でも併用してもよい。その中でもショ糖脂肪酸エステル
を構成する脂肪酸がラウリン酸であり、ラウリン酸成分
としての割合が50質量%以上、更に好ましくは55質
量%以上、特に好ましくは65質量%以上であるものが
好ましい。ラウリン酸成分としての割合が50質量%以
上の場合、表面処理性に優れ、更に防曇効果にも優れる
傾向が見られる。なお、ショ糖脂肪酸エステルを構成す
る脂肪酸とは、ショ糖と脂肪酸からショ糖脂肪酸エステ
ルを成すが、そのエステルを成す前の脂肪酸をここでは
いう。また、これらショ糖脂肪酸エステルは少なくとも
単独でも一種類以上併用使用することもできる。
【0007】本発明のポリビニルピロリドン系(共)重
合体はビニルピロリドン系単量体の重合体、並びにビニ
ルピロリドン系単量体とビニルピロリドン系単量体に共
重合可能な単量体との共重合体である。
【0008】本発明で使用されるビニルピロリドン系単
量体としてはビニルピロリドン及びその誘導体であっ
て、好ましくはビニルピロリドンである。これらビニル
ピロリドン系単量体は少なくとも一種以上併用して使用
出来る。
【0009】本発明で使用されるビニルピロリドン系単
量体と共重合可能な単量体としては酢酸ビニル、ビニル
イミダゾ−ル、ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
ビニルピロリドン系単量体及びビニルピロリドン系単量
体と共重合可能な単量体との割合は特に制限されること
はないが、好ましくはビニルピロリドン系単量体が30
質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ま
しくは60質量%以上である。ビニルピロリドン系単量
体が30質量%以上の場合、防曇効果に優れる傾向が見
られる。
【0010】本発明のポリビニルピロリドン系(共)重
合体中に存在する未反応ビニルピロリドンの量は100
0ppm以下である。好ましくは500ppm以下、更
に好ましくは300ppm以下、特に好ましくは100
ppm以下である。未反応ビニルピロリドンが1000
ppmより多いとシート成形時に金型が汚染され易く、
成形品の透明性を低下させる。また、ショ糖脂肪酸エス
テルとポリビニルピロリドン系(共)重合体からなる本
発明の防曇剤組成中の未反応ビニルピロリドンは好まし
くは200ppm以下、更に好ましくは100ppm以
下である。
【0011】本発明の防曇剤中のショ糖脂肪酸エステル
とポリビニルピロリドン系(共)重合体の割合は、ショ
糖脂肪酸エステルが76〜99.9質量%とポリビニル
ピロリドン系(共)重合体0.1〜24質量%である。
好ましくはショ糖脂肪酸エステルが80〜99.5質量
%でポリビニルピロリドン系(共)重合体0.5〜20
質量%、更に好ましくはショ糖脂肪酸エステルが85〜
98質量%でポリビニルピロリドン系(共)重合体2〜
15質量%、特に好ましくはショ糖脂肪酸エステルが9
0〜97質量%でポリビニルピロリドン系(共)重合体
3〜10質量%である。ショ糖脂肪酸エステルが76質
量%より少ないと防曇効果に劣る。また、ポリビニルピ
ロリドン系(共)重合体が0.1質量%より少ないと防
曇効果の持続性に劣り、24質量%より多いとシートの
ブロッキング防止に劣る。
【0012】ゴム変性スチレン系樹脂シートの表面を防
曇剤で処理する際には、ショ糖脂肪酸エステルとポリビ
ニルピロリドン系(共)重合体を溶媒に溶解した溶液と
して用いる。溶媒としては水、アルコール等が用いられ
るが特にこれらに限定されるものではない。取扱い上は
水が好ましい。その場合、ショ糖脂肪酸エステルとポリ
ビニルピロリドン系(共)重合体の溶液濃度は特に限定
されることはないが0.01〜10質量%が好ましい。
【0013】本発明の防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シ
ートに用いるゴム変性スチレン系樹脂シートとは、ゴム
変性スチレン系樹脂を成形加工して得た防曇剤で処理す
る前のシートである。ゴム変性スチレン系樹脂には、ブ
タジエン系ゴム存在下でスチレン系単量体及び/又はス
チレン系単量体と共重合可能な単量体を共重合して得た
共重合体及びそれらの混合物が挙げられる。
【0014】上記の共重合体に用いられるスチレン系単
量体にはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等が挙げ
られ、また、スチレン系単量体と共重合可能な単量体と
してはアクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸2−エチルヘキシル、1,3−ブタジエン、2
−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)等が挙げ
られる。更にブタジエン系ゴムにはハイシスポリブタジ
エン、ローシスポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
ゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、スチレン−
ブタジエン−スチレンブロックゴム、部分水添ポリブタ
ジエンゴム等が挙げられる。なお、重合に用いる単量体
やブタジエン系ゴムは少なくとも1種類以上を用いるこ
とができる。これらゴム変性スチレン系樹脂としてはハ
イシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、スチ
レン−ブタジエン−スチレンブロックゴムの少なくとも
1種類以上の存在下でスチレンを重合して得られる耐衝
撃性ポリスチレン(HIPS)が好ましい。
【0015】ゴム変性スチレン系樹脂、ゴム変性スチレ
ン系樹脂シート中のゴム含有量、ゴム粒子径は特に限定
されることはないが、透明性を損なわない範囲であれば
より好ましい。透明性を重視する場合には、ゴム含有量
として好ましくは0.01〜10質量%であり、更に好
ましくは0.1〜5質量%である。ゴム含有量が0.0
1質量%より少ないと、強靱性に劣る傾向にあり、10
質量%より大きいと、透明性に劣る傾向にある。また、
ゴム粒子径として好ましくは0.01μm〜10μmで
あり、更に好ましくは0.1μm〜5μmである。ゴム
粒子径が0.01μmより小さいと強靱性に劣る傾向に
あり、10μmより大きいと透明性に劣る傾向にある。
【0016】ゴム変性スチレン系樹脂をシートに加工す
る方法は特に限定されることはなく、1軸延伸法、2軸
延伸法、多軸延伸法、共押出法、積層法等の常法が挙げ
られる。また、シートを防曇処理するにはシートの表面
をコロナ放電処理法、オゾン処理法、プラズマ処理法等
で改質したものが好ましい。
【0017】防曇剤処理液をゴム変性スチレン系樹脂シ
ートに処理する方法は特に限定されることはなく、簡便
にはロールコーター、ナイフコーター、グラビアロール
コーター等を用い塗布する方法が挙げられる。また、噴
霧、浸漬等を採用することも出来る。
【0018】防曇剤処理した本発明のゴム変性スチレン
系樹脂シート表面の防曇剤の固形分は好ましくは0.0
05〜0.5g/m2 、更に好ましくは0.01〜0.
45g/m2 、特に好ましくは0.01〜0.4g/
2 である。ゴム変性スチレン系樹脂シートの防曇剤
の固形分が0.005g/m2 より少ないと防曇効果に
劣る傾向が見られ、また、0.5g/m2 より多いとシ
ート表面の塗工ムラが目立ち始める。
【0019】本発明の防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シ
ートは、食料品の包装材或いは被覆材としてそのまま使
用される。該防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シートの厚
みは特に限定されることはなく、一般に100μm〜1
0mmである。このシートは成形して容器にも用いられ
る。また、該防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シートの透
明性を重要視する場合には、該防曇性ゴム変性スチレン
の透明性として好ましくはHaze(ヘーズ)が10%
以下である。
【0020】本発明の成形品とは防曇性ゴム変性スチレ
ン系樹脂シートを圧空成形、真空成形、真空圧空成形等
を用いて成形された食料品を包装する蓋容器やフードパ
ックである。
【0021】
【実施例】以下に実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例によって制限されるものではない。
なお、実施例における物性測定は以下の通り実施した。 (1)ゴム分:ゴム変性スチレン系樹脂シートを試料と
して日本電子社製90MHz H1−NMRを用いて測
定した。 (2)ゴム粒子径:ギヤオーブン中で、温度130℃、
1時間で加熱収縮させたゴム変性スチレン系樹脂シート
を日本電子社製透過型電子顕微鏡で撮影した写真を用い
て測定した。なお、ゴム粒子径は数1式で計算した平均
体積径([D])で表す。
【数1】 なお、式中の [D]は平均体積径、dkは個々のゴム粒
子径、nはゴム粒子の数を示す。なお、同一径も個々の
粒子径として別々に数える。 (3)未反応ビニルピロリドン量:試料として個体のポ
リビニピロリドン系(共)重合体10gを100mlの
純水に溶解し、2gの酢酸ナトリウムと50mlのメタ
ノールを加える。この溶液に0.1Nのヨウ素液をヨウ
素の色が無くなるまで滴定し、更に10ml加え、反応
が完全に終了するまで約30分放置する(ヨウ素のトー
タル量をAmlとする)。その後、0.1Nのチオ硫酸
ナトリウムで滴定する(チオ硫酸ナトリウム消費量をB
mlとする)。なお、指示薬としてデンプン試液を使用
する。次式より未反応ビニルピロリドン量を求める。 ビニルピロリドン量(%)={(A−B)×0.555
/(試料量(g)}
【0022】(4)シートの透明性:縦方向に2.5
倍、横方向に2.5倍延伸した0.25mm厚みの2軸
延伸ゴム変性スチレン系樹脂シートに、防曇剤を塗布し
た防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シートのHazeを日
本電色工業社製測定機NDH−1001DPにて測定し
た。 ◎:Hazeが10%未満 ○:Hazeが10%以上20%未満 △:Hazeが20%以上
【0023】(5)金型汚染性:(4)で得た防曇性ゴ
ム変性スチレン系樹脂シートを関西自動成型機(株)製
の真空圧空成型機PK400を用い、成型温度130℃
で天面が平らな蓋容器(200mm長×120mm幅×
50mm高)を200ショット成型した。200ショッ
ト成型した後、金型の汚染性を目視にて評価した。 ○:金型汚染が殆ど見られない。 △:金型汚染が半分程度見られる。 ×:金型汚染が大部分で見られる。
【0024】(6)シートブロッキング性:(4)で得
た防曇剤を塗布した防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シー
トと何も塗布して無いゴム変性スチレン系樹脂シートを
それぞれ10cm×10cmの面積で重ね合わせ、10
MPaの加重下で24時間放置した後、ゴム変性スチレ
ン系樹脂シートを引き剥がした。全10組の組み合わせ
からその時のシート状態を目視にて評価した。 ◎:シートに白化無し ○:シート面積の10%未満に白化が有る △:シート面積の10〜40%に白化が有る ×:シート面積の40%を超えて白化が有る
【0025】(7)防曇効果:温度45℃のお湯を張
ったPSP(ポリスチレンペーパー)容器の上に(5)
で得られた蓋容器をそれぞれ1個を張り付けた後、更に
温度5℃の冷蔵庫に30分放置した。その後蓋容器の曇
りを目視で評価した。なお、21から30ショット目の
10個の容器を用いて評価した。 ◎:曇りが殆ど見られない。 ○:曇りが一部で見られる。 △:曇りが半分程度見られる。 ×:曇りが大部分で見られる。 (8)防曇効果:防曇効果を評価後、蓋容器を30
cm/secの速度で上下に10cm(元の位置とその
位置から10cm上)、20回往復移動させた時、落下
した水滴の数をカウントした。水滴のカウント数が少な
い方が防曇性に優れていることを示す。
【0026】(9)強靱性評価:(5)で得られた耳の
付いている蓋容器を20個重ね、20個一度に耳の部分
をトリミングする作業を合計5回、蓋容器100個分行
った時、蓋容器に割れが発生した個数をカウントした。
割れの発生したカウント数が少ない程、強靱性に優れて
いることを示す。
【0027】実施例1 ゴム変性スチレン系樹脂シートとして、ゴム分2.5質
量%、ゴム粒子径0.2μm、シート厚み0.25mm
の2軸延伸耐衝撃性ポリスチレンシートを用いた。ま
た、防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルを構成する脂
肪酸の70質量%がラウリン酸であるショ糖ラウリン酸
エステルで、かつその38質量%水溶液を用い、ポリビ
ニルピロリドン系(共)重合体には未反応ビニルピロリ
ドンが60ppmであるポリビニルピロリドンを用い
て、ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニルピロリドン
を固形分割合で96質量%と4質量%になるように調整
して得た。更にこの防曇剤を1.5質量%水溶液に希釈
して、シート表面の防曇剤の固形分が0.06g/m2
に塗布したシートを得た。また、そのシートを用い、蓋
容器(200mm長×120mm幅×50mm高さ)を
成形した。なお、ショ糖ラウリン酸エステルの38質量
%水溶液に第一工業製薬社製DKエステルS−L18
A、ポリビニルピロリドンにBASFジャパン社製ルビ
スコールK17を用いた。表1にゴム変性スチレン系樹
脂シート中のゴム分を質量%、ゴム粒子径をμm、防曇
剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も
示した。
【0028】実施例2 防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用い
たショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液と、構
成する脂肪酸の95質量%がミリスチン酸であるショ糖
ミリスチン酸エステルのペレットを用い、またポリビニ
ルピロリドン系(共)重合体には実施例1で用いたポリ
ビニルピロリドンを用いた。ショ糖ラウリン酸エステル
とショ糖ミリスチン酸エステルとポリビニルピロリドン
の固形分割合をそれぞれ86質量%と6質量%と8質量
%になるように調整して得た。この防曇剤を用いた以外
は実施例1と同様に行った。なお、ショ糖ミリスチン酸
エステルに第一工業製薬社製M−160を用いた。表1
にゴム変性スチレン系樹脂シート中のゴム分を質量%、
ゴム粒子径をμm、防曇剤の固形分の配合割合を質量%
で示し、得られた物性も示した。
【0029】実施例3 防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用い
たショ糖ラウリン酸エステルの38%質量水溶液を用
い、ポリビニルピロリドン系(共)重合体に未反応ビニ
ルピロリドンが40ppmでビニルピロリドンと酢酸ビ
ニルの割合が70質量%と30質量%であるポリビニル
ピロリドン−酢酸ビニル共重合体を用いた。ショ糖ラウ
リン酸エステルとポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共
重合体の固形分割合をそれぞれ88質量%と12質量%
になるように調整して得た。更にこの防曇剤を0.25
質量%水溶液に希釈して、シート表面の防曇剤の固形分
が0.01g/m2 に塗布したシートを得た。このシー
トを用いた以外は実施例1と同様に行った。なお、ポリ
ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体にBASFジャ
パン社製ルビスコールVA64Pを用いた。表1にゴム
変性スチレン系樹脂シート中のゴム分を質量%、ゴム粒
子径をμm、防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示
し、得られた物性も示した。
【0030】実施例4 防曇剤としてはショ糖脂肪酸エステルに実施例1で用い
たショ糖ラウリン酸エステルの38質量%水溶液と構成
する脂肪酸の70質量%がステアリン酸であるショ糖ス
テアリン酸エステルを用い、またポリビニルピロリドン
系(共)重合体に実施例1で用いたポリビニルピロリド
ンと実施例3で用いたポリビニルピロリドン−酢酸ビニ
ル共重合体を用いた。ショ糖ラウリン酸エステルとショ
糖ステアリン酸エステルとポリビニルピロリドンとポリ
ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の固形分割合を
それぞれ65質量%と15質量%と10質量%と10質
量%になるように調整して得た。この防曇剤を用いた以
外は実施例1と同様に行った。なお、防曇剤を成す各成
分物質は前記記載の物を用いた。表1にゴム変性スチレ
ン系樹脂シート中のゴム分を質量%、ゴム粒子径をμ
m、防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られ
た物性も示した。
【0031】実施例5 ゴム変性スチレン系樹脂シートとして、ゴム分6.0質
量%、ゴム粒子径1.0μm、シート厚み0.25mm
の2軸延伸メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン
共重合体シートを用いた以外は実施例1と同様に行っ
た。表1にゴム変性スチレン系樹脂シート中のゴム分を
質量%、ゴム粒子径をμm、防曇剤の固形分の配合割合
を質量%で示し、得られた物性も示した。
【0032】実施例6 ゴム変性スチレン系樹脂シートとして、ゴム分0.5質
量%、ゴム粒子径0.08μm、シート厚み0.4mm
の2軸延伸耐衝撃性ポリスチレンシートを用いた以外は
実施例1と同様に行った。表1にゴム変性スチレン系樹
脂シート中のゴム分を質量%、ゴム粒子径をμm、防曇
剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も
示した。
【0033】比較例1 防曇剤としては実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エス
テルの38質量%水溶液を用い、ポリビニルピロリドン
系(共)重合体に実施例1で用いたポリビニルピロリド
ンを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニルピロ
リドンの固形分割合をそれぞれ5質量%と95質量%と
なるように調整して得た。この防曇剤を用いた以外は実
施例1と同様行った。表2にゴム変性スチレン系樹脂シ
ート中のゴム分を質量%、ゴム粒子径をμm、防曇剤の
固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示し
た。ブロッキング防止、防曇効果に劣ることが分かる。
【0034】比較例2 ゴム変性スチレン系樹脂シートとして、ゴム分15質量
%、ゴム粒子径1.5μm、シート厚み0.25mmの
2軸延伸耐衝撃性ポリスチレンシートを用いた。また、
防曇剤としては実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エス
テルの38質量%水溶液を用い、ポリビニルピロリドン
系(共)重合体に未反応ビニルピロリドンが2000p
pm、重量平均分子量が120万であるポリビニルピロ
リドンを用い、ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニル
ピロリドンの固形分割合をそれぞれ67質量%と33質
量%となるように調整して得た。更にこの防曇剤を3質
量%水溶液に希釈して、シート表面の防曇剤の固形分が
0.03g/m2 に塗布したシートを得た。このシート
を用いた以外は実施例1と同様行った。表2にゴム変性
スチレン系樹脂シート中のゴム分を質量%、ゴム粒子径
をμm、防曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得
られた物性も示した。金型汚染性、ブロッキング防止、
防曇効果に劣ることが分かる。
【0035】比較例3 防曇剤としては実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エス
テルの38質量%水溶液を用い、ポリビニルピロリドン
系(共)重合体に未反応ビニルピロリドンが1200p
pmであるポリビニルピロリドンを用い、ショ糖ラウリ
ン酸エステルとポリビニルピロリドンの固形分割合をそ
れぞれ78質量%と22質量%となるように調整して得
た。この防曇剤を用いた以外は実施例1と同様行った。
表2にゴム変性スチレン系樹脂シート中のゴム分を質量
%、ゴム粒子径をμm、防曇剤の固形分の配合割合を質
量%で示し、得られた物性も示した。金型汚染性に劣る
ことが分かる。
【0036】比較例4 防曇剤としては実施例1で用いたショ糖ラウリン酸エス
テルの38質量%水溶液とメチルセルロースを用い、固
形分割合でそれぞれ75質量%と25質量%となるよう
に調整して得た。更にこの防曇剤を0.5質量%水溶液
に希釈して、シート表面の防曇剤の固形分が0.02g
/m2 に塗布したシートを得た。このシートを用いた以
外は実施例1と同様行った。表2にゴム変性スチレン系
樹脂シート中のゴム分を質量%、ゴム粒子径をμm、防
曇剤の固形分の配合割合を質量%で示し、得られた物性
も示した。防曇効果に劣ることが分かる。
【0037】比較例5 スチレン系樹脂シートにブタジエン系ゴムが無いシート
厚み0.25mmの2軸延伸GPポリスチレンシートを
用いた。また、防曇剤としては実施例1で用いたショ糖
ラウリン酸エステルの38質量%水溶液を用い、ポリビ
ニルピロリドン系(共)重合体に未反応ビニルピロリド
ンが1200ppmであるポリビニルピロリドンを用
い、ショ糖ラウリン酸エステルとポリビニルピロリドン
の固形分割合をそれぞれ78質量%と22質量%となる
ように調整して得た。この防曇剤を用いた以外は実施例
1と同様行った。表2にゴム変性スチレン系樹脂シート
中のゴム分を質量%、ゴム粒子径をμm、防曇剤の固形
分の配合割合を質量%で示し、得られた物性も示した。
金型汚染性、強靱性に劣ることが分かる。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明の防曇性ゴム変性スチレン系樹脂
シート及びその成形品はシートブロッキング防止、強靱
性、及び防曇効果に優れているので食料品の包装等に広
く使用でき、非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/18 C08L 25:06 // C08L 25:06 B65D 1/00 A Fターム(参考) 3E033 AA10 BA22 CA03 CA20 DD01 EA20 FA04 3E086 AB01 BA04 BA15 BA24 BB02 BB85 CA01 DA03 4F006 AA15 AB03 AB12 BA10 CA07 4F071 AA12X AA22 AA22X AA75 BB08 BC01 4F100 AH03B AK02B AK12A AL06A AN00A BA02 CC00B DA01 DE01 EH46B EJ38A GB16 GB23 JK00 JK01 JK10A JL06 JL07 JL07B JN01 YY00B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム変性スチレン系樹脂シートを、ショ
    糖脂肪酸エステル76〜99.9質量%と未反応ビニル
    ピロリドンの量が1000ppm以下であるポリビニル
    ピロリドン系(共)重合体0.1〜24質量%とを含有
    してなる防曇剤で表面処理したことを特徴とする防曇性
    ゴム変性スチレン系樹脂シート。
  2. 【請求項2】 ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸
    の50質量%以上がラウリン酸であることを特徴とする
    請求項1記載の防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シート。
  3. 【請求項3】 ポリビニルピロリドン系(共)重合体を
    構成する単量体の30質量%以上がポリビニルピロリド
    ン単量体であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シート。
  4. 【請求項4】 ゴム変性スチレン系樹脂シートを表面処
    理した防曇剤量が固形分として0.005g〜0.5g
    /m2 であることを特徴とする請求項1乃至3記載のい
    ずれか1項記載の防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シー
    ト。
  5. 【請求項5】 ゴム変性スチレン系樹脂シートとして2
    軸延伸耐衝撃性ポリスチレンシートを用いることを特徴
    とする請求項1乃至4記載のいずれか1項記載の防曇性
    ゴム変性スチレン系樹脂シート。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5記載のいずれか1項記載
    の防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シートを用いて得られ
    ることを特徴とする成形品。
  7. 【請求項7】 成形品が食料品包装容器であることを特
    徴とする請求項6記載の成形品。
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