JP4453649B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、実際の入力回転速度が目標入力回転速度となるように変速比を変更する無段変速機の制御装置に係り、特に、定常走行時におけるその目標入力回転速度の設定に関するものである。
車両に備えられた無段変速機の制御装置において、例えばアクセル操作量等に基づいて設定された目標駆動力に基づいてその無段変速機の目標入力回転速度を設定し、実際の入力回転速度がその目標入力回転速度となるように無段変速機の変速比を制御するものが良く知られている。
例えば、特許文献1に記載された無段変速機の制御装置がそれである。この特許文献1によれば、車速を一定に保つための目標駆動力を算出し、予め記憶されたマップからその目標駆動力に基づいて仮想スロットル開度を求め、変速マップから仮想スロットル開度および車速に基づいて無段変速機の目標入力回転速度を算出し、その目標入力回転速度となるように無段変速機の変速を実行する技術が記載されている。
特開2001−330133号公報
ところで、走行用動力源により駆動される車両の補機例えばエアコン用コンプレッサ等の補機負荷を補償するためにその補機負荷を考慮して目標駆動力を算出する場合には、車両補機の稼働状態に応じて目標駆動力が変化させられる。そうすると、目標駆動力に基づいて算出される目標入力回転速度も補機負荷の変化に応じて変化させられる。これにより実際の入力回転速度も変化させられることから、特に入力回転速度の変化が少ない定常走行時において不意にエンジン回転速度が変化するので、車両のドライバビリティが低下する可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、実際の入力回転速度が目標駆動力関連値に基づいて設定された目標入力回転速度となるように変速比が変更される無段変速機を備えた車両において、定常走行時のドライバビリティを向上させる無段変速機の制御装置を提供することにある。
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a) 走行用動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に無段変速機が配設された車両において、目標駆動力関連値に基づいてその無段変速機の目標入力回転速度を設定し、実際の入力回転速度がその目標入力回転速度となるように変速比を変更する無段変速機の制御装置であって、(b) 加速要求量および前記走行用動力源により駆動される補機負荷に基づいて第1の目標駆動力関連値を算出すると共にその補機負荷を考慮せずに第2の目標駆動力関連値を算出する一方で、一定の車速で走行する定常走行時には第2の目標駆動力関連値を前記目標駆動力関連値として設定する目標駆動力関連値設定手段を含むことにある。
このようにすれば、実際の入力回転速度が目標駆動力関連値に基づいて設定された目標入力回転速度となるように変速比が変更される無段変速機において、目標駆動力関連値設定手段により加速要求量および前記走行用動力源により駆動される補機負荷に基づいて第1の目標駆動力関連値が算出されると共にその補機負荷を考慮せずに第2の目標駆動力関連値が算出される一方で、一定の車速で走行する定常走行時には第2の目標駆動力関連値が前記目標駆動力関連値として設定されるので、一定の車速で走行する定常走行中に補機負荷が変化しても目標駆動力関連値が変化させられず、目標入力回転速度が変化することが防止されてすなわち意図せずエンジン回転速度が変化することが防止されて定常走行時の車両のドライバビリティが向上する。
ここで、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の無段変速機の制御装置において、予め設定された目標車速となるようにアクセル操作量に拘わらず前記車両の速度を自動的に制御する自動車速制御手段を含み、前記定常走行時は、前記自動車速制御手段により前記目標車速に制御される自動車速制御走行中であり、前記目標駆動力関連値設定手段は、前記目標車速に制御されるように第2の目標駆動力関連値を算出するものである。このようにすれば、アクセル操作量に拘わらず目標車速に制御される車両走行時例えばクルーズコントロール走行時の車両のドライバビリティが向上する。
ここで、好適には、前記加速要求量は、運転者の加速意思の大きさを示す量であって、例えばアクセルペダルの踏込量を示すアクセル操作量(アクセル開度)やそのアクセル開度に対応するスロットル弁の開度を示すスロットル弁開度等の加速操作量、或いはアクセル開度変化率、スロットル弁開度変化率等の加速操作速度が用いられる。また、そのアクセル開度に対応するエンジンの吸気管に設けられたチャンバ内或いはシリンダ内へ噴射される燃料の噴射量を示す燃料噴射量、エンジンの吸気管により吸入される吸入空気量などが用いられてもよい。
また、好適には、前記駆動力関連値は、駆動輪における車両駆動力(以下駆動力という)に1対1に対応する関連値(相当値)であって、駆動力関連値としてその駆動力はもちろんのことその他に、例えば車両加速度、駆動軸トルクとしての車軸上のトルク(以下車軸トルクという)、車両の出力(以下出力或いはパワーという)、エンジンの出力トルクとしてのクランク軸上のトルク(以下エンジントルクという)、トルクコンバータの出力トルクとしてのトルクコンバータのタービン軸上のトルク(以下タービントルクという)、無段変速機の入力トルクとしての入力軸上のトルク(以下入力軸トルクという)、無段変速機の出力トルクとしての出力軸上のトルク(以下出力軸トルクという)などが用いられる。
また、好適には、前記無段変速機は、動力伝達部材として機能する伝動ベルトが有効径が可変である一対の可変プーリに巻き掛けられ変速比が無段階に連続的に変化させられる所謂ベルト式無段変速機、共通の軸心まわりに回転させられる一対のコーンとその軸心と交差する回転中心回転可能な複数個のローラがそれら一対のコーンの間で挟圧されそのローラの回転中心と軸心との交差角が変化させられることによって変速比が可変とされた所謂トラクション型無段変速機などにより構成される。
また、好適には、上記無段変速機の車両に対する搭載姿勢は、変速機の軸線が車両の幅方向となるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型でも、変速機の軸線が車両の前後方向となるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両などの縦置き型でも良い。
また、好適には、前記走行用動力源としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジンが広く用いられる。さらに、補助的な走行用動力源として、電動機等がこのエンジンに加えて用いられても良い。或いは、走行用動力源として電動機のみが用いられても良い。
なお、この明細書で「油圧を供給する」という場合は、「油圧を作用させ」或いは「その油圧に制御された作動油を供給する」ことを意味する。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10の構成を説明する骨子図である。この車両用駆動装置10は横置き型自動変速機であって、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の動力源としてエンジン12を備えている。内燃機関にて構成されているエンジン12の出力は、エンジン12のクランク軸、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式の無段変速機(CVT)18、減速歯車装置20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびトルクコンバータ14の出力側部材に相当するタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられており、油圧制御回路100(図2、図3参照)内の図示しない切換弁などによって係合側油室および解放側油室に対する油圧供給が切り換えられることにより、係合または解放されるようになっており、完全係合させられることによってポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tは一体回転させられる。ポンプ翼車14pには、無段変速機18を変速制御したりベルト挟圧力を発生させたり、ロックアップクラッチ26を係合解放制御したり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧をエンジン12により回転駆動されることにより発生する機械式のオイルポンプ28が連結されている。
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに一体的に連結され、無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに一体的に連結されている一方、キャリア16cとサンギヤ16sは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は断続装置に相当するもので、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
そして、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が解放されると、前後進切換装置16は一体回転状態とされることによりタービン軸34が入力軸36に直結され、前進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、前進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が解放されると、前後進切換装置16は後進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、入力軸36はタービン軸34に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断するニュートラル(遮断状態)になる。
無段変速機18は、入力軸36に設けられた入力側部材である有効径が可変の入力側可変プーリ(プライマリシーブ)42と、出力軸44に設けられた出力側部材である有効径が可変の出力側可変プーリ(セカンダリシーブ)46と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。
可変プーリ42および46は、入力軸36および出力軸44にそれぞれ固定された固定回転体42aおよび46aと、入力軸36および出力軸44に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた可動回転体42bおよび46bと、それらの間のV溝幅を可変とする推力を付与する入力側油圧シリンダ42cおよび出力側油圧シリンダ46cとを備えて構成されており、入力側油圧シリンダ42cの油圧(変速制御圧PRATIO)が油圧制御回路100によって制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。また、出力側油圧シリンダ46cの油圧(挟圧力制御圧PBELT)は、伝動ベルト48が滑りを生じないように油圧制御回路100によって調圧制御される。
また、エンジン12には、オルタネータ38やエアコン用コンプレッサ40等の補機(以下、特に区別しない場合は補機Aと表す)がベルト等を介して作動的に連結されており、それぞれエンジン12により駆動される。
図2は、図1の車両用駆動装置10などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。電子制御装置50は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御や無段変速機18の変速制御およびベルト挟圧力制御やロックアップクラッチ26のトルク容量制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用や無段変速機18およびロックアップクラッチ26の油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置50には、エンジン回転速度センサ52により検出されたクランク軸回転角度(位置)ACR(°)およびエンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Nに対応するクランク軸回転速度を表す信号、タービン回転速度センサ54により検出されたタービン軸34の回転速度(タービン回転速度)Nを表す信号、入力軸回転速度センサ56により検出された無段変速機18の入力回転速度である入力軸36の回転速度(入力軸回転速度)NINを表す信号、車速センサ(出力軸回転速度センサ)58により検出された無段変速機18の出力回転速度である出力軸44の回転速度(出力軸回転速度)NOUTすなわち出力軸回転速度NOUTに対応する車速Vを表す車速信号、スロットルセンサ60により検出されたエンジン12の吸気配管32(図1参照)に備えられた電子スロットル弁30のスロットル弁開度θTHを表すスロットル弁開度信号、冷却水温センサ62により検出されたエンジン12の冷却水温Tを表す信号、CVT油温センサ64により検出された無段変速機18等の油圧回路の油温TCVTを表す信号、アクセル開度センサ66により検出されたアクセルペダル68の踏込操作量であるアクセル操作量(アクセル開度)Accを表すアクセル開度信号、フットブレーキスイッチ70により検出された常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無BONを表すブレーキ操作信号、レバーポジションセンサ72により検出されたシフトレバー74のレバーポジション(操作位置)PSHを表す操作位置信号、電流センサ76により検出された図示しないバッテリの充放電電流(入出力電流)ICDを表す充放電電流信号、バッテリ温度センサ78により検出されたバッテリ温度TBATを表すバッテリ温度信号、バッテリ電圧VBATを表すバッテリ電圧信号、エアコンを駆動するためのすなわちエアコン用コンプレッサ40を稼働させるためのエアコンスイッチ80のオン状態ACONを表す信号、内気センサ82により検出された車室内の気温Tを表す室温信号、アクセル操作量Accに拘わらず車速Vを制御する自動車速制御いわゆるクルーズコントロールによる車両走行を行うためのクルーズコントロールスイッチ84のメインスイッチのオン状態CONを表す信号、クルーズコントロールスイッチ84の車速セットスイッチのオン操作CSETを表す車速セット信号、クルーズコントロールスイッチ84の解除スイッチのオン操作CCANを表すキャンセル信号などが供給されている。
また、電子制御装置50からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号S、例えば電子スロットル弁30の開閉を制御するためのスロットルアクチュエータ86を駆動するスロットル信号や燃料噴射装置88から噴射される燃料の量を制御するための噴射信号や点火装置90によるエンジン12の点火時期を制御するための点火時期信号などが出力される。また、無段変速機18の変速比γを変化させる為の変速制御指令信号S例えば変速制御圧PRATIOを制御するための指令信号、伝動ベルト48の挟圧力を調整させる為の挟圧力制御指令信号S例えば挟圧力制御圧PBELTを制御するための指令信号、ロックアップクラッチ26の係合、解放、スリップ量を制御させる為のロックアップ制御指令信号例えば油圧制御回路100内の図示しないオンオフソレノイド弁やロックアップクラッチ26のトルク容量を調節するリニアソレノイド弁を駆動するための指令信号、ライン油圧Pを制御する図示しないリニアソレノイド弁を駆動するための指令信号などが油圧制御回路100へ出力される。
このライン油圧Pは、エンジン12により回転駆動される機械式オイルポンプ28から発生する油圧を元圧として油圧制御回路100内の図示しない例えばリリーフ型調圧弁(レギュレータバルブ)によって、アクセル開度或いはスロットル開度で表されるエンジン負荷等に応じた値に調圧されるようになっている。
シフトレバー74は、例えば運転席の近傍に配設され、5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、および「L」(図3参照)のうちの何れかへ手動操作されるようになっている。
「P」ポジション(レンジ)は車両用駆動装置10の動力伝達経路を解放しすなわち車両用駆動装置10の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし且つメカニカルパーキング機構によって機械的に出力軸44の回転を阻止(ロック)するための駐車ポジション(位置)であり、「R」ポジションは出力軸44の回転方向を逆回転とするための後進走行ポジション(位置)であり、「N」ポジションは車両用駆動装置10の動力伝達が遮断されるニュートラル状態とするための中立ポジション(位置)であり、「D」ポジションは無段変速機18の変速を許容する変速範囲で自動変速モードを成立させて自動変速制御を実行させる前進走行ポジション(位置)であり、「L」ポジションは強いエンジンブレーキが作用させられるエンジンブレーキポジション(位置)である。
クルーズコントロールスイッチ84は、例えばステアリングホイール近傍に配設され、クルーズコントロールの作動(オン)、非作動(オフ)を決定するメインスイッチ、クルーズコントロールの作動時の車速設定(オン)をする車速セットスイッチ、その設定車速を増速側に更新する加速スイッチ、およびクルーズコントロールの作動を解除するキャンセル信号を出力するための解除スイッチ等を有している。
図3は、油圧制御回路100のうち無段変速機18のベルト挟圧力制御、変速比制御、およびシフトレバー74の操作に伴う前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1の係合油圧制御に関する部分を示す要部油圧回路図であり、伝動ベルト48が滑りを生じないように出力側油圧シリンダ46cの油圧である挟圧力制御圧PBELTを調圧する挟圧力コントロールバルブ110、変速比γが連続的に変化させられるように入力側油圧シリンダ42cの油圧である変速制御圧PRATIOを調圧する変速比コントロールバルブUP116および変速比コントロールバルブDN118、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が係合或いは解放されるようにシフトレバー74の操作に従って油路が機械的に切り換えられるマニュアルバルブ120を備えている。
上記マニュアルバルブ120において、入力ポート120aにはライン油圧Pを元圧として図示しないモジュレータバルブによって調圧された一定圧のモジュレータ油圧Pが供給される、すなわちモジュレータバルブによってモジュレータ油圧Pに調圧された作動油が供給される。
そして、シフトレバー74が「D」ポジション或いは「L」ポジションに操作されると、モジュレータ油圧Pが前進走行用出力圧として前進用出力ポート120fを経て前進用クラッチC1に供給され且つ後進用ブレーキB1内の作動油が後進用出力ポート120rから排出ポートEXを経て例えば大気圧にドレーン(排出)されるようにマニュアルバルブ120の油路が切り換えられ、前進用クラッチC1が係合させられると共に後進用ブレーキB1が解放させられる。
また、シフトレバー74が「R」ポジションに操作されると、モジュレータ油圧Pが後進走行用出力圧として後進用出力ポート120rを経て後進用ブレーキB1に供給され且つ前進用クラッチC1内の作動油が前進用出力ポート120fから排出ポートEXを経て例えば大気圧にドレーン(排出)されるようにマニュアルバルブ120の油路が切り換えられ、後進用ブレーキB1が係合させられると共に前進用クラッチC1が解放させられる。
また、シフトレバー74が「P」ポジションおよび「N」ポジションに操作されると、入力ポート120aから前進用出力ポート120fへの油路および入力ポート120aから後進用出力ポート120rへの油路がいずれも遮断され且つ前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1内の作動油が何れもマニュアルバルブ120からドレーンされるようにマニュアルバルブ120の油路が切り換えられ、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1共に解放させられる。
変速比コントロールバルブUP116は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入出力ポート116tおよび入出力ポート116iを開閉するスプール弁子116aと、そのスプール弁子116aを入出力ポート116tと入出力ポート116iとが連通する方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング116bと、そのスプリング116bを収容し、スプール弁子116aに入出力ポート116tと入出力ポート116iとが連通する方向の推力を付与するために電子制御装置50によってデューティ制御されるソレノイド弁DS2の出力油圧である制御油圧PS2を受け入れる油室116cと、スプール弁子116aに入出力ポート116iを閉弁する方向の推力を付与するために電子制御装置50によってデューティ制御されるソレノイド弁DS1の出力油圧である制御油圧PS1を受け入れる油室116dとを備えている。
また、変速比コントロールバルブDN118は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入出力ポート118tを開閉するスプール弁子118aと、そのスプール弁子118aを閉弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング118bと、そのスプリング118bを収容し、スプール弁子118aに閉弁方向の推力を付与するために電子制御装置50によってデューティ制御されるソレノイド弁DS1の出力油圧である制御油圧PS1を受け入れる油室118cと、スプール弁子118aに開弁方向の推力を付与するために電子制御装置50によってデューティ制御されるソレノイド弁DS2の出力油圧である制御油圧PS2を受け入れる油室118dとを備えている。
ソレノイド弁DS1は、入力側油圧シリンダ42cへ作動油を供給してその油圧(変速制御圧PRATIO)を高め入力側可変プーリ42のV溝幅を小さくして変速比γを小さくする側すなわちアップシフト側へ制御するために制御油圧PS1を出力する。また、ソレノイド弁DS2は、入力側油圧シリンダ42cの作動油を排出して変速制御圧PRATIOを低め入力側可変プーリ42のV溝幅を大きくして変速比γを大きくする側すなわちダウンシフト側へ制御するために制御油圧PS2を出力する。
具体的には、制御油圧PS1が出力されると変速比コントロールバルブUP116に入力されたライン油圧Pが入力側油圧シリンダ42cへ供給されて変速制御圧PRATIOが連続的に制御され、制御油圧PS2が出力されると入力側油圧シリンダ42cの作動油が入出力ポート116tから入出力ポート116iさらに入出力ポート118tを経て排出ポート118xから排出されて変速制御圧PRATIOがな連続的に制御される。
例えば後述する目標入力軸回転速度NIN (或いは過渡目標回転速度NINP )と実際の入力軸回転速度(以下、実入力軸回転速度という)NINとが一致するように、それ等の回転速度差(偏差)ΔNIN(=NIN (或いはNINP )−NIN)に応じて無段変速機18の変速が実行される、すなわち入力側油圧シリンダ42cに対する作動油の供給および排出により変速制御圧PRATIOが調圧されて変速比γが連続的に変化させられる。
挟圧力コントロールバルブ110は、軸方向へ移動可能に設けられることにより出力ポート110tを開閉するスプール弁子110aと、そのスプール弁子110aを開弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング110bと、そのスプリング110bを収容し、スプール弁子110aに開弁方向の推力を付与するために電子制御装置50によってデューティ制御されるリニアソレノイド弁SLTの出力油圧である制御油圧PSLTを受け入れる油室110cと、スプール弁子110aに閉弁方向の推力を付与するために出力した挟圧力制御圧PBELTを受け入れるフィードバック油室110dとを備えており、リニアソレノイド弁SLTからの制御油圧PSLTをパイロット圧としてライン油圧Pを連続的に調圧制御して挟圧力制御圧PBELTを出力する。
例えば後述する必要油圧PBELT が得られるように出力側油圧シリンダ46cの挟圧力制御圧PBELTが調圧され、この挟圧力制御圧PBELTに応じてベルト挟圧力すなわち可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力が増減させられる。
図4は、電子制御装置50による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図4において、非線形アクセル開度算出手段150は、例えば図5の実線に示すようなアクセル操作量Accと非線形アクセル開度Accpとの予め実験的に求められて記憶された関係(マップ、非線形マップ)から実際のアクセル操作量Accに基づいて非線形アクセル開度Accp(=map(アクセル操作量Acc))を求める。この図5の非線形マップは、運転者がアクセルペダル50を踏込操作している角度と感性的な角度とが同じになるように、アクセル操作量Accを変数として非線形アクセル開度Accpを求めるための線形補間した関数の一例である。また、この非線形マップは、車速Vをパラメータとして予め複数種類設定されても良い。尚、図5の破線は、アクセル操作量Accと非線形アクセル開度Accpとが線形補間されない1対1の関係の場合を参考に示したものである。
目標駆動力算出手段152は、加速要求量としてのアクセル操作量Accに基づいて目標駆動力Fを算出する。例えば、目標駆動力算出手段152は、図6に示すような非線形アクセル開度Accpをパラメータとして車速Vと目標駆動力Fとの予め実験的に求められて記憶された関係(マップ、駆動力マップ)から実際の車速Vおよび前記非線形アクセル開度算出手段150により算出された非線形アクセル開度Accpに基づいて目標駆動力F(=map(車速V、非線形アクセル開度Accp))を求める。この図6の駆動力マップは、車速Vが小さい程また非線形アクセル開度Accpが大きい程目標駆動力Fが大きくなるように設定されている。
また、前記目標駆動力算出手段152は、算出した目標駆動力Fに基づいて過渡目標駆動力F を算出する。例えば、目標駆動力算出手段152は、図7に示すように目標駆動力Fに向かって漸増するような過渡目標駆動力F を設定する。図7に示すような過渡特性は、例えばショックや応答の遅れ感が生じない程度の速度で駆動力が変化されるように目標駆動力Fに対して一律に予め設定されていても良いし、アクセル操作量Accやその変化量ΔAccや車速Vなどのパラメータに基づいて変化させられても良い。例えば、アクセル変化量ΔAccが大きい程立ち上がりが早くなるように設定される。
このように、アクセルペダル50の踏込操作に基づいて車両が走行させられる場合には、目標駆動力算出手段152は上記駆動力マップから目標駆動力Fを算出する。一方で、アクセル操作量Accに拘わらず予め設定された目標車速Vとされるようなクルーズコントロール走行中にはアクセル操作量Accに基づいて目標駆動力Fを算出できない。このようなクルーズコントロール走行中における目標駆動力Fの算出を以下に説明する。
自動車速制御手段154は、予め設定された速度すなわち目標車速Vとなるようにアクセル操作量Accに拘わらず車速Vを自動的に制御するクルーズコントロールを実行する。例えば、自動車速制御手段154は、クルーズコントロールスイッチ84のメインスイッチのオン操作によりオン状態CON信号が入力されている走行中には、車速セットスイッチのオン操作CSETの信号出力に基づいてそのときの実際の車速Vをセット車速すなわち目標車速Vとして記憶しクルーズコントロールを開始すると共に、その目標車速Vとなるように目標駆動力Fを算出させる指令を目標駆動力算出手段152へ出力し、アクセル操作量Accに拘わらず車速Vを目標車速Vに維持する。
目標駆動力算出手段152は、前述した機能に加え、自動車速制御手段154による自動車速制御中には、自動車速制御手段154により設定された目標車速Vや車両状況例えば登降坂路走行における車両勾配θ等により目標駆動力Fを算出する。
例えば、目標駆動力算出手段152は、平坦路走行における走行抵抗fresを算出する。この走行抵抗fresは、ころがり抵抗Rr(=μr×W;μrはころがり抵抗係数、Wは車両重量)と空気抵抗Ra(=μa×A×V;μaは空気抵抗係数、Aは前面投影面積、Vは車速)との和であり fres=Rr+Ra で表され、例えば走行抵抗fresと車速Vとの予め実験的に求められて記憶された関係(マップ)から実際の車速Vに基づいて走行抵抗fresを算出する。
次に、目標駆動力算出手段152は、図8に示すようなスロットル弁開度θTHをパラメータとしてエンジン回転速度Nとエンジントルク推定値TE0との予め実験的に求められて記憶された関係(エンジントルクマップ)から実際のエンジン回転速度Nおよびスロットル弁開度θTHに基づいて現在走行中のエンジントルク推定値TE0を求め、その推定エンジントルクTE0、無段変速機18の実際の変速比γ、差動歯車装置22等の減速比i、および駆動輪24のタイヤ有効半径rに基づいて現在の発生駆動力Freal(=TE0×γ×i/r)を算出する。
次に、目標駆動力算出手段152は、発生駆動力Freal、走行抵抗fres、車両重量W、および等価慣性質量Wrに基づいて、平坦路走行において発生駆動力Frealにより発生させられるべき車両加速度Gである基準車両加速度Gb(=(Freal−fres)/(W+Wr))を算出する。この等価慣性質量Wrは、エンジン12や動力伝達系等の慣性モーメントを駆動軸の有効半径上の重量に置き換えた回転部分慣性重量であり、予め求められて記憶されている値である。
次に、目標駆動力算出手段152は、基準車両加速度Gbと実際の車両加速度Gsとの加速度差G’(=Gb−Gs)を算出し、加速度差G’をパラメータとして予め実験的に求められて記憶された車速Vとみかけの路面勾配θとの関係(マップ)からその算出された加速度差G’および実際の車速Vに基づいてみかけの路面勾配θを求める。この加速度差G’は、基準車両加速度Gbに対する実際の車両加速度Gsを比較することから車両が実際に走行している路面勾配θの大きさを表しており、この差が大きい程路面勾配θが大きいことになる。また、このみかけの路面勾配θには、実際に走行している路面勾配θに車両重量W以外の重量例えば牽引するトレーラの重量が等価的に置き換えられた勾配分が加えられている。
そして、目標駆動力算出手段152は、車両重量W、みかけの路面勾配θ、および走行抵抗fresに基づいて、目標駆動力F(=K×(f(W、θ)+fres):Kは予め実験的に求められた所定係数、f(W、θ)は予め実験的に求めて記憶されたマップまたは関数)を算出する。
自動車速制御手段154によるクルーズコントロール制御を解除する一例を以下に示す。例えば、クルーズコントロールスイッチ84の解除スイッチのオン操作CCANの信号出力、メインスイッチのオフ操作によりオン状態CON信号が入力されていないこと、或いはフットブレーキが踏込操作されてブレーキスイッチ70のオン信号BONが出力されたこと等に基づいて、自動車速制御手段154はクルーズコントロール制御を解除する。
目標出力算出手段156は、目標駆動力算出手段152により算出された過渡目標駆動力F および車速Vから P =f(F 、V)=F ×V×1000/3600 に従って目標駆動力関連値としての過渡目標出力P を算出する。
また、目標出力算出手段156は、目標駆動力算出手段152により算出された目標駆動力F、車速V、および補機Aの稼働によるエンジン12の負荷(以下補機負荷)AUXに基づく補機負荷補償出力PAUXから P=f(F、V)=F×V×1000/3600+PAUX に従って目標駆動力関連値としての目標出力Pを算出する。
上記補機負荷補償出力PAUXは、補機負荷AUXによって低下する駆動輪24における出力Pを補償するために必要なその低下分の出力Pに相当するエンジン出力Pの増加分P である。
補機負荷補償出力算出手段158は、例えば予め求められて記憶された関係からオルタネータ38の発電電圧VGENと発電電流IGENとに基づいてオルタネータ38による補機負荷を算出する。
また、補機負荷補償出力算出手段158は、例えば予め求められて記憶された関係から、エアコンスイッチ80のオン状態ACONや車室内の気温Tなどに基づいてエアコン用コンプレッサ40の稼働容量CRUNを求め、その稼働容量CRUNに基づいてエアコン用コンプレッサ40による補機負荷を算出する。
そして、補機負荷補償出力算出手段158は、オルタネータ38による補機負荷やエアコン用コンプレッサ40による補機負荷などを合算して補機負荷AUXを求め、予め求められて記憶された関係から補機負荷AUXに基づいて補機負荷補償出力PAUXを算出し、この補機負荷補償出力PAUXを補機負荷信号として目標出力算出手段156へ出力する。
ところで、補機負荷AUXを考慮して目標出力Pを算出する場合には、補機Aの稼働状態に応じてすなわち補機負荷AUXの変化に応じてこの目標出力Pが変化させられる。そうすると、目標出力Pに基づいて後述する目標入力回転速度算出手段166により算出される目標入力軸回転速度NIN も補機負荷AUXの変化に応じて変化させられる。そして、目標入力軸回転速度NIN に一致するように実際の入力軸回転速度NINも変化させられることから、特に入力軸回転速度NINの変化が少ない定常走行中例えば定速走行となるクルーズコントロール走行中において不意にエンジン回転速度Nが変化するので、ドライバビリティが低下する可能性がある。
そこで、定常走行時には補機負荷AUXを考慮せずにすなわち目標出力Pを算出する式から補機負荷補償出力PAUXを除いて目標出力Pを算出する。
自動車速制御中判定手段160は、車両が前記自動車速制御手段154による自動車速制御中であるか否かを、例えば目標車速Vとなるように目標駆動力Fを算出させる指令が自動車速制御手段154により目標駆動力算出手段152へ出力されているか否かに基づいて判定する。
前記目標出力算出手段156は、目標駆動力F、車速V、および補機負荷補償出力PAUXから P =f(F、V)=F×V×1000/3600+PAUX に従って第1目標出力P を算出する第1目標出力算出手段162と、目標駆動力Fおよび車速Vから P =f(F、V)=F×V×1000/3600 に従って第2目標出力P を算出する第2目標出力算出手段164とを備え、定常走行時例えば前記自動車速制御中判定手段160により車両が自動車速制御手段154による自動車速制御中すなわちクルーズコントロール中であると判定されたときには上記第2目標出力P を目標出力Pとして設定する。また、第2目標出力算出手段164により第2目標出力P が算出される際には、自動車速制御手段154による自動車速制御中に目標駆動力算出手段152により目標車速Vとなるように算出された目標駆動力Fが用いられる。
このように、目標駆動力関連値設定手段としての目標出力算出手段156は、アクセル操作量Accおよび補機負荷AUXに基づいて第1の目標駆動力関連値としての第1目標出力P を算出すると共にその補機負荷AUX或いはその変化を考慮せずに第2の目標駆動力関連値としての第2目標出力P を算出する一方で、定常走行時例えば自動車速制御手段154により一定車速に維持される自動車速制御走行中にはその第2目標出力P を目標出力Pとして設定する。また、目標出力算出手段156は、目標駆動力算出手段152により目標車速Vとなるように算出された目標駆動力Fを用いて一定車速が維持されるように第2目標出力P を算出する。
目標入力回転速度算出手段166は、前記目標出力算出手段156により算出された目標出力Pに基づいて目標入力軸回転速度NIN を算出する。例えば、目標入力回転速度算出手段166は、入力軸回転速度NINとエンジントルクTとで構成される二次元座標内において運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶された図9の実線に示すようなエンジン12の最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)に沿ってエンジン12が作動させられるように、図9の破線に示すような入力軸回転速度NINとエンジントルクTとに基づいて予め求められて記憶された目標出力Pの等出力曲線(等出力マップ、関係)から目標出力Pに基づいて目標入力軸回転速度NIN (=map(目標出力P))を求める。すなわち、目標入力回転速度算出手段166は、上記最適燃費率曲線および等出力曲線から目標出力Pを充足させるために必要な目標入力軸回転速度NIN を算出する。
過渡目標回転速度算出手段168は、前記目標入力回転速度算出手段166により算出された目標入力軸回転速度NIN に基づいて過渡目標回転速度NINP を算出する。例えば、過渡目標回転速度算出手段168は、図10に示すように目標入力軸回転速度NIN に向かって漸増するような過渡目標回転速度NINP を設定する。図10に示すような過渡特性は、例えば変速ショックや応答の遅れ感が生じない程度の変速速度で変速が実行されるように目標入力軸回転速度NIN に対して一律に予め設定されていても良いし、アクセル操作量Accやその変化量ΔAccや車速Vなどのパラメータに基づいて変化させられても良い。例えば、アクセル変化量ΔAccが大きい程立ち上がりが早くなるように設定される。
目標エンジントルク算出手段170は、前記目標出力算出手段156により算出された過渡目標出力P および前記過渡目標回転速度算出手段168により算出された過渡目標回転速度NINP から T =f(P 、NINP )=60×P /(2π×NINP ) に従って目標エンジントルクT を算出する。
要求スロットル開度算出手段172は、前記目標エンジントルク算出手段170により算出された目標エンジントルクT に基づいて要求スロットル開度θTHRを算出する。例えば、要求スロットル開度算出手段172は、図11に示すようなエンジン回転速度Nと目標エンジントルクT とで構成される二次元座標内において運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶されたエンジン12の最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)に沿ってエンジン12が作動させられるように、要求スロットル開度θTHRをパラメータとしてエンジン回転速度Nと目標エンジントルクT とに基づいて予め求められて記憶された等出力曲線P(等出力マップ、関係)から目標エンジントルクT に基づいて要求スロットル開度θTHR(=map(エンジン回転速度N、目標エンジントルクT ))を求める。すなわち、要求スロットル開度算出手段172は、最適燃費率曲線および等出力曲線から目標エンジントルクT が得られるための要求スロットル開度θTHRを算出する。この図11は、前記図8に示すようなエンジントルクマップと、前記図9に示すようなエンジン12の最適燃費率曲線および目標出力Pの等出力曲線とを反映した関係と見ることもできる。
ベルト挟圧力設定手段174は、前記要求スロットル開度算出手段172により算出された伝達トルクに対応する要求スロットル開度θTHRに基づいて伝動ベルト48のベルト挟圧力すなわち出力側油圧シリンダ46cの必要油圧PBELT を算出する。例えば、ベルト挟圧力設定手段174は、図12に示すような要求スロットル開度θTHRをパラメータとして変速比γと必要油圧PBELT (ベルト挟圧力に相当)とのベルト滑りが生じないように予め実験的に求められて記憶された関係(挟圧力マップ)から実際の変速比γおよび要求スロットル開度θTHRに基づいて必要油圧PBELT を設定する。
変速制御手段176は、実入力軸回転速度NINが前記目標入力回転速度算出手段166によって算出された目標入力軸回転速度NIN (或いは過渡目標回転速度算出手段168によって算出された過渡目標回転速度NINP )と一致するように、それ等の回転速度差(偏差)ΔNIN(=NIN (或いはNINP )−NIN)に応じて無段変速機18の変速をフィードバック実行する。すなわち、入力側油圧シリンダ42cの変速制御圧PRATIOを調圧する変速制御指令信号(油圧指令)Sを油圧制御回路100へ出力して変速比γを連続的に変化させる。
ベルト挟圧力制御手段178は、前記ベルト挟圧力設定手段174により設定された必要油圧PBELT が得られるように出力側油圧シリンダ46cの挟圧力制御圧PBELTを調圧する挟圧力制御指令信号Sを油圧制御回路100へ出力してベルト挟圧力を増減させる。
油圧制御回路100は、上記変速制御指令信号Sに従って無段変速機18の変速が実行されるようにソレノイド弁DS1およびソレノイド弁DS2を作動させて変速制御圧PRATIOを調圧すると共に、上記挟圧力制御指令信号Sに従ってベルト挟圧力が増減されるようにリニアソレノイド弁SLTを作動させて挟圧力制御圧PBELTを調圧する。
エンジン出力制御手段180は、エンジン12の出力制御の為にエンジン出力制御指令信号S、例えばスロットル信号や噴射信号や点火時期信号などをそれぞれスロットルアクチュエータ86や燃料噴射装置88や点火装置90へ出力する。例えば、エンジン出力制御手段180は、前記要求スロットル開度算出手段172により算出された要求スロットル開度θTHRとなるように電子スロットル弁30を開閉するスロットル信号をスロットルアクチュエータ28へ出力してエンジントルクTを制御する。
図13は、電子制御装置50の制御作動の要部すなわち無段変速機18の変速の際に目標入力軸回転速度NIN を適切に設定する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、アクセル操作量Acc、車速V、補機負荷信号としての補機負荷補償出力PAUX、クルーズコントロール信号例えばオン信号CONや車速セット信号CSETやキャンセル信号CCAN、およびブレーキ操作信号BONなどが電子制御装置50に読み込まれる。
続く、前記非線形アクセル開度算出手段150に対応するS2において、例えば図5の実線に示すようなアクセル操作量Accと非線形アクセル開度Accpとの予め実験的に求められて記憶された非線形マップから実際のアクセル操作量Accに基づいて非線形アクセル開度Accp(=非線形マップ(アクセル操作量Acc))が求められる。
続く、前記目標駆動力算出手段152に対応するS3において、例えば図6に示すような非線形アクセル開度Accpをパラメータとして車速Vと目標駆動力Fとの予め実験的に求められて記憶された駆動力マップから実際の車速Vおよび非線形アクセル開度Accpに基づいてアクセル操作時目標駆動力F(=駆動力マップ(車速V、非線形アクセル開度Accp))が算出される。或いは、クルーズコントロール信号に基づいて実行されるクルーズコントロール制御中には目標車速Vとなるように目標駆動力Fを算出させる指令に従ってクルーズコントロール時目標駆動力Fが算出される。例えば、車両重量W、みかけの路面勾配θ、および走行抵抗fresに基づいて、クルーズコントロール時目標駆動力F(=K×(f(W、θ)+fres))が算出される。
続く、S4において目標駆動力Fに基づいて目標出力Pが算出される。具体的には、前記自動車速制御中判定手段160に対応するS41において、車両がクルーズコントロール走行中であるか否かが、目標車速Vとなるように目標駆動力Fを算出させる指令が出力されているか否かにより判定される。
上記S41の判断が否定される場合は前記目標出力算出手段156(第1目標出力算出手段162)に対応するS42において、アクセル操作時目標駆動力F、車速V、および補機負荷補償出力PAUXから P =f(F、V)=F×V×1000/3600+PAUX に従って第1目標出力P が算出される。
一方、前記S41の判断が肯定される場合は前記目標出力算出手段156(第2目標出力算出手段164)に対応するS43において、クルーズコントロール時目標駆動力Fおよび車速Vから P =f(F、V)=F×V×1000/3600 に従って第2目標出力P が算出される。
そして、前記目標出力算出手段156に対応するS44において、前記S41の判断が否定されたクルーズコントロール走行中でない通常走行中には上記第1目標出力P が目標出力Pとして設定され、S41の判断が肯定されたクルーズコントロール走行中には上記第2目標出力P が目標出力Pとして設定される。
続く、前記目標入力回転速度算出手段166に対応するS5において、例えば図9の実線に示すようなエンジン12の最適燃費率曲線に沿ってエンジン12が作動させられるように、図9の破線に示すような予め求められて記憶された目標出力Pの等出力曲線から前記S4にて設定された目標出力Pに基づいて目標入力軸回転速度NIN (=最適燃費率曲線および等出力曲線(目標出力P))が算出される。
上述のように、本実施例によれば、実際の入力回転速度がNIN目標出力Pに基づいて設定された目標入力軸回転速度NIN となるように変速比γが変更される無段変速機18において、目標出力算出手段156によりアクセル操作量Accおよび補機負荷AUXに基づいて第1目標出力P が算出されると共にその補機負荷AUXを考慮せずに第2目標出力P が算出される一方で、定常走行時にはその第2目標出力P が目標出力Pとして設定されるので、定常走行中に補機負荷AUXが変化しても目標出力Pが変化させられず、目標入力軸回転速度NIN が変化することが防止されてすなわち意図せずエンジン回転速度が変化することが防止されて定常走行時の車両のドライバビリティが向上する。
また、本実施例によれば、定常走行時例えば自動車速制御手段154によりアクセル操作量Accに拘わらず目標車速Vに維持されるクルーズコントロール走行時には、目標駆動力算出手段152により目標車速Vとなるように算出されたクルーズコントロール時目標駆動力Fを用いて目標出力算出手段156により目標車速Vが維持されるように第2目標出力P が算出されるので、クルーズコントロール走行時の車両のドライバビリティが向上する。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、目標出力算出手段156が目標駆動力関連値設定手段として機能したが、目標駆動力算出手段152が補機負荷AUXを考慮して第1の目標駆動力F を算出すると共に補機負荷AUXを考慮せずに第2の目標駆動力F を算出する一方で、定常走行時にはその第2の目標駆動力を目標駆動力Fとして設定することにより、目標駆動力関連値設定手段として機能しても良い。この場合には、第1の目標駆動力F は補機負荷補償分が既に考慮されて算出されているので、定常走行時でない通常走行時であっても目標出力算出手段156は、補機負荷補償出力PAUXを加算せずに第1の目標駆動力F と車速Vとに基づいて第1目標出力P を算出する。このようにしても、前述の実施例と同様に、定常走行中に補機負荷AUXが変化しても目標出力Pが変化させられず、目標入力軸回転速度NIN が変化することが防止されて定常走行時のドライバビリティが向上する。
また、前述の実施例では、自動車速制御手段154によるクルーズコントロール走行は設定された目標車速Vとなるように一定車速が維持されるものであったが、一定車速が維持されるものに限らず設定された目標車速Vとなるように自動車速制御されるクルーズコントロール走行であれば本発明は適用され得る。例えば、クルーズコントロール走行は、クルーズコントロールスイッチ84の加速スイッチの操作に基づいて目標車速Vを増速側に更新する新たな目標車速Vを設定してその目標車速Vとなるように自動車速制御されるクルーズコントロール走行であっても良いし、前方車両を一定の車間距離で追随走行するように目標車速Vを設定してその目標車速Vとなるように自動車速制御される例えば良く知られたレーダクルーズコントロール走行であっても良い。このような場合には、目標駆動力算出手段152は、例えば目標車速Vとなるための目標車両加速度G(=KG×(V−V);KGは速やかに目標車速Vとなるように予め実験等により求められた定数)を算出し、目標駆動力F(=m×G;mは荷重)を算出しても良い。
また、前述の実施例では、車両の定常走行としてアクセル操作量Accに拘わらず目標車速Vに維持される自動車速制御手段154によるクルーズコントロール走行を例示したが、このクルーズコントロール走行に限らず他の定常走行時であっても本発明は適用され得る。例えば、必ずしも一定の車速でなくとも良く、アクセル操作量Accが略一定とされた要求負荷が一定の定常走行時であっても良い。尚、このような定常走行時には、目標出力算出手段156はクルーズコントロール時目標駆動力Fに替えてアクセル操作時目標駆動力Fを用いて第2目標出力P を算出するものであっても良い。このようにしても、前述の実施例と同様に、定常走行中に補機負荷AUXが変化しても目標出力Pが変化させられず、目標入力軸回転速度NIN が変化することが防止されて定常走行時のドライバビリティが向上する。
また、前述の実施例では、補機負荷補償出力算出手段158は、オルタネータ38の発電電圧VGENと発電電流IGENとに基づいてオルタネータ38による補機負荷を算出したが、オルタネータ38の発電電流IGENに替えて、エアコン用ブロアモータやワイパー等の電気負荷例えばエアコンスイッチ80のオン状態ACONやワイパー作動スイッチのオン状態等や充放電電流ICD等が用いられても良い。
また、前述の実施例では、補機負荷としてオルタネータ38による補機負荷やエアコン用コンプレッサ40による補機負荷を例示し、補機負荷補償出力算出手段158はこれら補機負荷を合算して補機負荷AUXを求めたが、これらの補機負荷に限らず他の補機負荷例えばウォーターポンプやパワーステアリングポンプ等の補機負荷を合算して補機負荷AUXを求めても良いし、何れか1つを単独で或いは何れか複数の補機負荷を合算して補機負荷AUXとしても良い。
また、前述の実施例では、自動車速制御中判定手段160は、目標車速Vとなるように目標駆動力Fを算出させる指令が出力されているか否かにより自動車速制御手段154による自動車速制御中であるか否かを判定したが、この判定方法以外に種々の判定方法が用いられる。例えば、自動車速制御中判定手段160は、クルーズコントロールスイッチ84のメインスイッチのオン信号CON、クルーズコントロールスイッチ84の車速セットスイッチによる車速セット信号CSET、クルーズコントロールスイッチ84の解除スイッチによるキャンセル信号CCAN、ブレーキ操作信号BONなどに基づいて自動車速制御中であるか否かを判定しても良い。
また、前述の実施例では、要求スロットル開度算出手段172により目標エンジントルクT が得られるための要求スロットル開度θTHRが算出されたが、必ずしも要求スロットル開度θTHRでなくとも良く目標エンジントルクT が得られるための他の要求値が用いられても良い。例えば、目標エンジントルクT が得られるための燃料噴射量や点火時期などが用いられてもよい。
また、前述の実施例における入力軸回転速度NINやそれに関連する目標入力軸回転速度NIN や過渡目標回転速度NINP は、それら入力軸回転速度NINなどに替えて、エンジン回転速度Nやそれに関連する目標エンジン回転速度N など、或いはタービン回転速度Nやそれに関連する目標タービン回転速度N などであっても良い。
また、前述の実施例において、流体伝動装置としてロックアップクラッチ26が備えられているトルクコンバータ14が用いられていたが、ロックアップクラッチ26は必ずしも設けられなくてもよく、またトルクコンバータ14に替えて、トルク増幅作用のない流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式動力伝達装置が用いられてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用された車両用駆動装置を説明する骨子図である。 図1の車両用駆動装置などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。 油圧制御回路のうち無段変速機のベルト挟圧力制御、変速比制御、およびシフトレバーの操作に伴う前進用クラッチ或いは後進用ブレーキの係合油圧制御に関する部分を示す要部油圧回路図である。 図2の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 アクセル操作量と非線形アクセル開度との予め実験的に求められて記憶された関係(マップ、非線形マップ)の一例を示す図である。 非線形アクセル開度をパラメータとして車速と目標駆動力との予め実験的に求められて記憶された関係(マップ、駆動力マップ)の一例を示す図である。 目標駆動力算出手段により目標駆動力に向かって漸増するように設定される過渡目標駆動力の過渡特性の一例を示す図である。 スロットル弁開度をパラメータとしてエンジン回転速度とエンジントルク推定値との予め実験的に求められて記憶された関係(エンジントルクマップ)の一例を示す図である。 入力軸回転速度とエンジントルクとで構成される二次元座標内において、運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶されたエンジンの最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)と、入力軸回転速度とエンジントルクとに基づいて予め求められて記憶された目標出力の等出力曲線(等出力マップ、関係)との一例を示す図である。 過渡目標回転速度算出手段により目標入力軸回転速度に向かって漸増するように設定される過渡目標回転速度の過渡特性の一例を示す図である。 エンジン回転速度と目標エンジントルクとで構成される二次元座標内において、運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶されたエンジンの最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)と、要求スロットル開度をパラメータとしてエンジン回転速度と目標エンジントルクとに基づいて予め求められて記憶された等出力曲線(等出力マップ、関係)との一例を示す図である。 要求スロットル開度をパラメータとして変速比と必要油圧(ベルト挟圧力に相当)とのベルト滑りが生じないように予め実験的に求められて記憶された関係(挟圧力マップ)の一例を示す図である。 図2の電子制御装置の制御作動の要部すなわち無段変速機の変速の際に目標入力軸回転速度を適切に設定する為の制御作動を説明するフローチャートである。
符号の説明
12:エンジン(走行用動力源)
18:無段変速機
24:駆動輪
50:電子制御装置(制御装置)
154:自動車速制御手段
156:目標出力算出手段(目標駆動力関連値設定手段)

Claims (3)

  1. 走行用動力源と駆動輪との間の動力伝達経路に無段変速機が配設された車両において、目標駆動力関連値に基づいて該無段変速機の目標入力回転速度を設定し、実際の入力回転速度が該目標入力回転速度となるように変速比を変更する無段変速機の制御装置であって、
    加速要求量および前記走行用動力源により駆動される補機負荷に基づいて第1の目標駆動力関連値を算出すると共に該補機負荷を考慮せずに第2の目標駆動力関連値を算出する一方で、一定の車速で走行する定常走行時には第2の目標駆動力関連値を前記目標駆動力関連値として設定する目標駆動力関連値設定手段を含むことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 予め設定された目標車速となるようにアクセル操作量に拘わらず前記車両の速度を自動的に制御する自動車速制御手段を含み、
    前記定常走行時は、前記自動車速制御手段により前記目標車速に制御される自動車速制御走行中であり、
    前記目標駆動力関連値設定手段は、前記目標車速に制御されるように第2の目標駆動力関連値を算出するものである請求項1の無段変速機の制御装置。
  3. 前記目標駆動力関連値設定手段は、前記定常走行時に前記補機負荷が変化しても前記目標駆動力関連値が変化させられず、前記目標入力回転速度の変化が防止されるように、前記定常走行時には前記第2の目標駆動力関連値を前記目標駆動力関連値として設定するものである請求項1又は2の無段変速機の制御装置。
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